○坂口(力)
委員 これはなかなか大変なことだというふうに思います。一方で、経済の方がよくならない、減っていく
部分もありますから、そこでふやしていかなきゃならないというのは大変なことだというふうに思います。
それで、その中に、重点
分野雇用創造
事業がありまして、ここでは、介護、
医療、農林、環境・エネルギー、観光、こうしたことを挙げられているんですね。これは、前回のときにもひょっとしたら私、申し上げたかわかりませんが、新しい
雇用の創出のところで、一番先にいつも介護、
医療というのが出てくるんですね。
ところが、この介護とか
医療というのは、御承知のとおり
保険制度に
がんじがらめに縛られておるわけですね。その
保険制度の中でやっていますから、そんなにここでたくさん人を出すということは難しい。まあ、医師が足りない、
看護師が足りない、そういう話はありますから、あるいは介護士が足りない、そういうところは少し広がるだろうというふうに思いますけれども。それにしても、これはもう職種が限定された話でありますので、大学を卒業される一般の皆さん方がより多くここへ入っていくというのはなかなか難しいことだというふうに私は思っています。
現在の
医療制度を何か大きく転換して、そして
規制緩和でもすればこれはまた話は別でありますけれども、今のような
状況の中でふやそうと思いますと、なかなかふえる場所がないんですね。現在のように、各病院なんかも経営が厳しいとかなんとか言っておりますと、減らすことはありましても、新しくふやしていくというところはそんなにないんですよね。だから、いつでも介護、
医療が一番先に出てくるんですが、出てくる割には、ここはなかなか難しいというふうに思っています。
それでは、その次の農林業のところへたくさん行ってくれるかといいましても、農業を目指して、そして将来そこで生計を立てようと思ってくださる人は少ないということもありますから、これもなかなか、言うはやすくして現実問題としては難しいのではないかというふうに思っております。
観光ですとかエネルギー・環境といったところは若干ふえる可能性がありますから、新しいところをぜひ探していただきたいというふうに思っております。
それで、一枚、皆さん方のところにグラフをお配りいたしましたけれども、これは、日本とアメリカ、ドイツの
雇用者の推移を見たものでございます。二〇〇八年の第一・四半期のところを一〇〇としまして、その後の経過を見たものでありますが、一番悪いのはアメリカですね。アメリカがぐっと落ち込んできております。日本もなだらかに落ちている。一番いいのがドイツなんですね。それで、ドイツも景気はそんなによくない、なぜドイツはいいのか。日本やアメリカはなぜ悪いのか。
いろいろ調べるんですが、
一つは、ドイツは、景気が悪くなりますと
労働時間を短縮しまして、そしてやめなくてもいいようにする、自分たちでワークシェアリングをやるということをやっている。これは
一つの
方法であります。もう
一つは、一九八〇年ぐらいから、
地域の
企業を育てるということを一生懸命にやっている。私は、ここが今後非常に着目をしていかなきゃならないところだというふうに思っています。
日本におきましても、今まで
地方で
雇用創出といいましたら、判で押したように大
企業誘致なんですね。みんなが大
企業誘致をして、そして、ぬれ手にアワと言うとしかられますけれども、とにかく楽に、どんと来てもらって多くの
雇用を生み出すという
方法をみんなが考えるわけでありますけれども、今はそうはいかなくなってきましたね。
大きい
企業は、
地方といえどもなかなかもう来てくれない、むしろ、海外へだんだんと出ていってしまうということが多くなってきました。大きい
企業が出ていくだけではなくて、
関連をしております下請の
企業あるいは孫請の
企業でも大きいところは一緒に外へ出てほしいといったようなことを大きい
企業は言っております。だから、ベトナムに出るところは下請もみんな引き連れてベトナムに行く。タイへ行くところは下請、孫請も引き連れてタイへ行くというようなことが最近起こってきておりますから、製造業のところはなかなかそういう調子にはいかない。
そのときに、一体、日本の将来、どうしたらいいかということでありまして、ずっと私も最近、この一カ月ばかり、将来の
雇用をどうしたらいいかと思っていろいろ勉強したり考えたりしているんですけれども、いい案があるわけではありません。
いろいろ読んで、そしていろいろなものを見ますと、ドイツがいいのには、
一つにはワークシェアリングをやっておりますが、もう
一つは、やはり
地域に根差した中小
企業に着目をしている、ここが非常にユニークなところでありまして、そして、その
地域に根差した
企業の中でも、全部が全部に手を差し伸べておるわけではなくて、その中で、特に、新しいものをつくり出す、あるいは新しい技術を開発する、新しいサービスを行うといったようなところに限定して、そこを育てていく。
それが、だんだんだんだん、十年、二十年というふうにたまってきまして、そうしたところが
地域に、あるいは
地方にと言ってもいいと思いますが、根を張ってきていて、そして
雇用を支えているということが起こっている。ですから、日本の国もそうしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。
〔
委員長退席、石毛
委員長代理着席〕
日本の国は、日本の国の中で大学を卒業する皆さん方にお会いをしてお話を聞きましても、皆さんもやはり大きい
企業に行きたい、安定したところに行きたいという気持ちが強くて、なかなか中小
企業に、よし、一遍行ってそこで頑張ってやろうというような人は非常に少ないわけです。小さい
企業の方が不安定だという気持ちが強い。
しかし、今は、小さい
企業の方が不安定か、大きい
企業も安定しているのかといえば、これはどっちがどっちとも言えないわけですね。かえって、小さい
企業の方が安定しているということもあり得ると私は思うんです。
そこで、国の方がそこへ手を差し伸べて、国も優秀な中小
企業には手を差し伸べているよということを見せれば、お若い皆さん方も、よし、それでは、小さい中小
企業でひとつ頑張ろうかという気持ちになっていただけるのではないか。これは希望的観測も含めてでありますけれども、そんなふうに実は思っております。
そういうことは、事実、ドイツで起こっておりますし、前回、これも御報告をいたしましたが、コロラド州のある市の中で、エコノミックガーデニングという政策を行っている。これもやはり、その
地域に根差した
企業で、しかも新しいものを取り入れてやっていこうというところ、特にそこに手を差し伸べているといったようなことでありました。このアメリカのコロラド州のケースを見ましても、十五年間で働く人の数は大体倍増しております。
雇用者数は倍増、そしてそこから上がります税収が約三倍になっております。だから、かなり成功しているわけですね。アメリカでもまだ少ないですが、四カ所か五カ所、そうした実験を始めているところがある。
だから、今までは大
企業にばかり目が行っていましたけれども、そうではなくて、世界じゅう、先進国の中は、大きい
企業から中小
企業へと目のつけどころを変えてきているということではないかというふうに思っています。ですから、今回つけていただいております
厚生労働省の
予算も、そうした中小
企業のところにどれだけ行くのかなという思いで拝見をしているわけです。
これは
厚生労働省だけではなくて、経済
産業省がやはり中小
企業に着目をしたいろいろな施策をおやりになっていますね。経済
産業省のおやりになっている
内容も、
内容は
厚生労働省とよく似た
内容なんですけれども、
厚生労働省の方は、職のない人に、人を対象にして、その人の訓練、そしてその人の生活費を一部見ましょうといったようなことを最近はやっている。それに対して経済
産業省の方は、
地域の
企業、中小
企業に着目をして、中小
企業と学生さんとをマッチングさせる、そこでインターンをやらせて、そして、よかったらそこで働けるようにしていくというようなことをやっておみえになる。
経済
産業省の方は
予算の額も割合小さいですね。これは、
厚生労働省の
予算と比較いたしますと、少なくとも一けた違う、中には二けた違うかなと思うものもあるわけですね。ヨーロッパやアメリカでやっているようなところも、公共
事業をやることを思うと、十分の一の金で
雇用を創出できるということを言っておりますから、そうした
企業に着目をした、中小
企業に着目をしたやり方というのは、少ない
予算で多くのことができるのかなというふうに思っています。
これは経済
産業省からいただいたものでございますが、新卒者就職応援プロジェクト
事業というのをおやりになっていますが、これは九十八億円で、多い方であります。それから、合同就職
説明会というのは三億円、中小
企業人材育成実践型研修というのは九億円、戦略的基盤技術高度化支援
事業というのは百五十億円、これはちょっと大きい方です。
地域イノベーション創出
研究開発
事業というのは十五億円、中小
企業技術基盤強化税制というので十五億円、それからドリームマッチというのは夢のマッチング、先ほども言いましたように、とにかく中小
企業で働いてもらって、実際に実体験をしてもらって、そしてそこで働くことができるかどうかを見る、これは九億円ですね。そして、インターネットの求人サイトを活用して中小
企業と学生のマッチング支援を行うというようなことをここでやっている。それから、ジョブカフェも
予算額は十億円。
一けた違う、中には二けた違うかなというのもあるわけでありまして、非常に少ない額でおやりになっている。それは、
予算がもらえないから少ない額でやっておるとも言えますけれども、それだけではなくて、やはり、少ない額でもやり方によってはそこで
雇用を創出できるということでおやりになっているのではないかというふうに思っています。
そのことを思いますと、
厚生労働省の
予算は、今回でも二千五百億ついているんですから、これはなかなか大きな
予算ですね。ですから、
厚生労働省の方は、この大きい
予算をしっかりと使っていただいて成果を上げていただかなければならないというふうに思います。
今までやっていただいたものの中で成績が出ているものがあるかどうかをひとつお聞きしようと思ったんですが、緊急
人材育成支援
事業というのがありまして、これは千十三億円、今回もついております。無料の
職業訓練と訓練期間中の生活給付を出しておりますが、この訓練を受けている人は、
平成二十一年度で四万八千五百七十三人、それから二十二年度が十四万一千八百三十二人。かなり多くの人がお受けになっていますね。これは、生活費も出るしというので非常に人気があるんだろうというふうに思います。
そこで、これで現在までのところでどれぐらいの方が実際就職ができているのかということをお聞きしたいんですが、わかりますでしょうか。
〔石毛
委員長代理退席、
委員長着席〕