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町村委員 さっき申し上げたように、夢なり希望なりをいろいろ持っていることは、人間だれでもいい。しかし、それを現実にどうやって実現するのかというところなしに、そうなったらすばらしいなというだけでは、全くしようがないんですね。
そして、
基本法も通っていないんだから政策手段がと言われたけれ
ども、しかし、それは逆であって、こういう政策手段があるんですよ、そしてその結果は
国民生活に、さっき言ったように、家計収入がこれだけ減りますよ、可処分所得が減りますよ、その上で、国民の
皆さん、いいですかという
説明をしないから、石油依存度が減ったりCO2が減ったりする、それはいいことだよねと。国民は、そこの上澄みだけの部分を見れば、それはいいという判断をするに決まっているんですよ。しかし、いざ我が身に置きかえて、これだけの負担があなた方にかかりますが、いいですねというところを言わないで、どうですかと言ったら、それは賛成と言う人が多いに決まっているじゃありませんか。
だけれ
ども、それは
議論としてはまことにアンフェアであって、こういう負担もあります、こういうメリットもあります、どうですかといって、すべての素材を明らかにする、その諸要素を明らかにすることを
政府は怠っている。私は、そこが問題だと思うんですよ。そういう
意味で、まだこの
基本法の
議論が足りないというのはそこだし、国民の理解もまだ全く行き届いていないのはそこだと私は思うんですよ。ですから、あらまほしき姿だけを述べて、どうですか、
皆さんと言うだけでは、これは
議論としてはまことに不十分なものに今とどまっている。
国民の多くは、せいぜい月千円まで、これが今のところ、国民の六割の反応ですよ。そんなにたくさん負担できない。月千円ということは、大体、年間にすると一万二千円。さっきの十数万円の十分の一の負担ならば、まだ国民は負担してもいいかと思っているわけですから、そこはやはりきちんと、いい面ばかりではなくて、マイナスの面ということも言わなければいけない。
それから、雇用への
影響というものも、もちろん新産業ができてプラスの面もあるでしょう。それは私
ども否定はいたしませんし、そういうことは私
どもの内閣の
時代からもやってきました。しかし、同時にマイナスもある。
私の地元の本当に小さな中小企業の方々が最近何を言うかというと、国内
市場もなかなか伸びない、北海道は景気が悪い、もう
一つ、
環境規制が厳しくなるから、
町村さん、いずれ私
どもの企業もやっていけないので、二、三年以内に、札幌のある工場でも、やはり東南アジアに移さざるを得ないなと。そこの雇用は、たかだかと言ってはなんですけれ
ども、十数名の本当に小さな企業ですよ。そういうところまでも、この
環境規制の強化で、東南アジア、タイに行くことを考える。
そういう話がごくごく普通に行われている
一つの大きな要素が、この
環境規制にある。まして、大きな鉄鋼その他のところは、三つ溶鉱炉があれば、
一つか二つは閉じなければ、もうとてもたえられない、基準を満たせないというようなことで、これは雇用への悪
影響というのも絶対あるんですよ。それを、何か雇用がプラスになります、プラスになります、百二十五万雇用が創出されますというような話、成長戦略にもいろいろ出ておりますけれ
ども、しかし、私の見る限り、その
具体性は非常に乏しい。しかし、減る方は間違いなく減っていっちゃうんですよ。
そういった雇用への悪
影響な
どももうちょっとしっかりと、そこも国民に対する情報提供として、明るい面もあるでしょう、しかしこういうマイナス面もあります、さあ、それで
皆さんどうですかというフェアなことにしてもらわないと、国民の正しい判断は出てこないということを強く申し上げたいと思っております。
そして、もう
一つ。今度、COP16、メキシコで開かれるわけであります。
今、アメリカが二〇〇五年比で一七%、一九九〇年比ではわずかに四%。中国は、原単位を改善するというけれ
ども、例えば二〇二〇年まで年率八%で
経済成長をすると、二〇二〇年には今の中国の排出量と同じだけの排出量が、もう
一つの中国ができるというほど、これから中国の排出量は実はふえていくという
目標ですよね。そのオバマさんの言っているわずか九〇年比四%ですら、今度の中間
選挙の結果、米議会を通ることがまた物すごく難しくなってきた、こう言われております。
大臣、アメリカや中国が現在示している中期
削減目標、これはさしもの
鳩山総理も五月二十一日の
参議院本
会議で不十分であると答弁しておられますけれ
ども、今のアメリカ及び中国という最大二大排出国の
目標について、これは意欲的であり十分な
目標たり得るのかどうなのか、どういう見解をお持ちでしょうか。