○小野寺
委員 これは、USTRの担当者もそうですし、さまざまな
アメリカ側の方もおっしゃっていました。今回
日本が入るときには、今既に加入を決めている九カ国とそれぞれに交渉をし、それぞれから了解をとらなければいけない。ということは、後から入る私どもは、九カ国に了解をとって初めてこの中に入る、
議論に入れていただけるということですので、高い授業料は当然払うことになりますねと。これが、実は
アメリカ側を含めた諸外国の見方です。ですから、
日本が初めからルールメーキングに入っているわけではなくて、今できている大体のルールメーキングの中に今から入れてもらう、いわゆる入場料を払って入るということになります。
私は、十年間という期間は決して短い期間ではないと
思います。例えば郵政の問題も、今からさらに民営化を進めていくという方向に、このTPPの
議論をする場合にはむしろいかなきゃいけない。それには十年かかります。ですから、逆に言えば、今回の郵政の改革の法案について
政府が出すなんということは、当然、これは逆行する話ですから、あり得ないということになります。それは
政府内で共通の
認識を持っていただかないと、言ったはいいけれども後でごめんなさいでは困ります。そういうしっかりとしたスタンスをとっていただきたい。
それから
農業についても、今GDPの比較という
お話がありましたが、これは乱暴な意見ではなくて、やはりGDPの比較が正確な範囲だと私は思っています。
韓国は、TPPには実は入ろうとしていません。
アメリカとの二国間、これで米は守ってほかを譲った。それでも、
日本のGDPに換算すれば毎年四・八兆円です。
農業予算の倍の予算を
農業支援と戸別
所得補償に回して、それでようやく韓国は落ちついて農家の方が将来に向けて今頑張ろうとしている。そのような
状況であれば、むしろ
日本は今から、例えば毎年五兆円の
農業予算をとって、そのうちのかなりの
部分を
所得補償に回して、十年間頑張っていくから十年後にはこうなりますよと、今の時点で大きな姿勢を示さなきゃいけない、私はそのように思っています。
ぜひ、このTPPの問題というのは、これだけ根深い、いろいろな問題をはらむ問題ですから、これから、やはり
議論に当たっては相当の時間も必要です。今回のAPECでまさかこんなことはないと
思います。ただ、巷間こういうことを言う方もいらっしゃいます。さまざまな
外交案件で今の菅総理は手詰まりになっている、その中で、今回、議長をされるというお
立場でぜひ何か
成果を上げたい、そういう中でこのTPPについて一人前
向きになっていると。このような
懸念がないように、しっかりわきを固めていただければと
思います。
それからもう
一つ。これは
前原大臣もよくおわかりだと思うんですが、
アメリカという国は、京都
議定書のときにこういうことがございました。いろいろな
議論があって、
日本もそうだと
思い、議長国でした、最終的にはかなり高い京都
議定書の
数値目標というのに
日本はコミットいたしました。結果、一番旗振り役だった
アメリカが、議会の反対もあり、これに
参加をしませんでした。
今のTPPの問題でも、今度の上院の選挙、下院の選挙、中間選挙で、実はかなり
アメリカの中の政界構造も変わってまいります。そのときに、今の時点ではTPPに前
向きということで、各国にどんどんハードルを下げさせていっていますが、最終的な段階で実は
アメリカ自身が抜けてしまい、
日本は多くのものを譲った中で、結局また二国間交渉、FTAに振り出し、こういうようなことになった場合でも私は大変だと
思います。
ですから、やはり、これはよほど戦略的に見ていかないと、
アメリカという国のよさ、悪さもございます。そこは
大臣にしっかり受けとめていただきたい、そう思っております。
さて、最後の
質問になりますが、実は、今回の
中国との案件の中でさまざまなデモが起きて、一部邦人の経営するような企業や
日本の進出しているスーパーマーケット等が、かなりの破壊というんでしょうか、そういうものを受けたということが
報道されております。この
中国における邦人の被害についての対応について、今どのような被害
状況なのか、そして、今後どのような対応をしていくのか、
大臣にお伺いしたいと思っております。