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2010-09-07 第175回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年九月七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 一川 保夫君                 岩本  司君                 山田 俊男君     委 員                 大河原雅子君                 大久保潔重君                 主濱  了君                 藤原 良信君                 舟山 康江君                 加治屋義人君                 中西 祐介君                 中原 八一君                 野上浩太郎君                 野村 哲郎君                 松下 新平君                 横山 信一君                 渡辺 孝男君                 柴田  巧君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   山田 正彦君    副大臣        農林水産大臣  篠原  孝君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       舟山 康江君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (戸別所得補償制度に関する件)  (過剰米米価下落対策に関する件)  (口蹄疫問題等に関する件)  (北海道における畑作振興に関する件)  (赤潮被害対策に関する件)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 主濱了

    ○主濱了君 民主党・新緑風会の主濱了でございます。どうぞよろしくお願いします。  今日は、山田大臣それから篠原大臣、参議院の農林水産委員会へ初めての御出席ということでございます。舟山先生も、政務官も何回も出ていますね、ということで、是非ともよろしくお願いをいたします。  早速質問に入らせていただきます。  まず、私は戸別所得補償制度について御質問をさせていただきたいと思います。  今回の概算要求では七千九百五十九億円、これを要求していると、こういうことでございます。私は、近年の日本農業、かなり元気をなくしていると、このように理解をしているところであります。この根拠としては、まず生産農業所得の低下、さらには販売農家数激減、この辺に表れているというふうに思っているのであります。  生産農業所得、これはもう皆様既に御承知のとおりでありますけれども、平成二年には四兆八千億ありました。で、平成十九年、これは三兆円、ここまで落ち込んでいると、こういう状況です。この結果と思っているわけですけれども、販売農家戸数平成二年には三百万戸あったと。で、平成二十一年、最近の統計ですが、百七十万戸まで激減をしていると。これ四〇%以上減っているんですよ、この間にですね。これは大変な問題であると、このように思っております。  このような中で、日本農業を元気にするために農業所得補償制度を導入したと、こういうことでございます。日本農政にとって不可欠な政策であると、このように思っております。限られた財源の中で今回優先的に約八千億、この概算をまとめられたということに対してまずは敬意を表したいと思います。  それでは質問に入っていきますけれども、今、米の需要が低下する中で、まずは、低下している中なんだけれども農家所得補償しなければいけないと、こういう状況にあるわけでございます。  ちょっと質問から離れますけれども、これまでにも本会議で、あるいは本委員会でもお話をしたことはあるんですが、地元の作家宮沢賢治についてちょっとだけお話をさせていただきたいと、このように思います。  宮沢賢治は、昭和六年に、「雨ニモマケズ」と、こういう歌を発表をしております。この中を見ますと農業に関するものが様々入っておりますので、ちょっと御紹介を申し上げたいと思います。  「ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ」と、こういうことで、農業は本当に自然に左右される産業であると、こういったようなことを歌っているところでございます。  もう一つ、「一日ニ玄米四合ト 味噌トシノ野菜ヲタベ」と、こういうくだりがあるわけでございます。この一日玄米四合、これは実は、ちょっと計算しますと、一人当たり年間大体三俵ぐらい食べていると、こういう勘定になるかというふうに思っております。  昭和六年、今申し上げましたように昭和六年には一人当たり三俵、そして統計上残っている一九六〇年、昭和三十五年には二俵、そして現在は五十八・五キログラム、一俵を切っていると、こういうふうになっております。この八十年間で日本人の米を食べる量、これが三分の一になっていると、こういう事態、これをまず私は認識をしなければいけないと、このように思っております。こういうことから、主食米については需要に合わせた生産数量目標、これが不可欠であろうと、こういうふうに思います。  それからもう一つ、田んぼにおきましては、主食米から、要するに転作ですね、新規需要米であるとか麦、大豆であるとか、そちらの方にスムーズに移行することが必要であろうと、こういうふうに思っております。  質問に入りますけれども、転作を容易にするためには、この新規需要米について、集荷から最終実需者までの流通経路構築されていることが大切であると、このように思っております。流通経路構築状況、実際に作ったものがうまく流通経路に乗るかどうか、その辺の構築はどうなっているのか、あるいは関係団体として挙げられるのが全農全農なんかとの関係はどのようになっているのか、まずはお伺いをいたしたいと思います。
  4. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 初めてお答えさせていただきます。  新規需要米の推進につきましては、生産農家農協等農業団体、それから集荷業者流通業者、それから製造加工業者畜産農家、この皆さん方の、皆連携していただいてそしてやっていかないと、生産消費流通、うまく動いていかないんじゃないかと思っております。  こうしたことから、我々も一生懸命この点については役所としてもサポートをしております。生産者団体、それから農業者加工業者を結び付けるために、例えば岩手県でいいますと原体ファームというのがあると、法人でですね。それで米粉米を使っていると。そこで需要がありますよということで、水田協議会等に、ここが十二万トン、それから同じように岩手県の例でいいますとフリーデンという畜産業者が三百トンの飼料米使いますよ、それから岩手ファームが四百万トンですよとペーパーを作りまして配付したりして、マッチング、言ってみればお見合いですけれども、そういったことをして、そしてうまく生産流通消費、結び付けてくださいというようなことでやっております。  それから、これは皆さんいろんなところで目にされていると思いますけれども、消費拡大等にも取り組んでおりまして、米粉倶楽部というので、皆さん知っておられるテリー伊藤さん、趣味の人と趣味じゃない人もいろいろおられるかもしれませんが、これはみんな知っている石川遼さん、米粉倶楽部というので米粉パンですよと、米粉を使ってくださいよというポスターを作りまして消費も喚起しております。  それから、そのほかに飼料米を使って、飼料米で育った鶏が産んだ卵ですよというようなことも表示して消費者理解を得るようにしております。  新規需要米、一生懸命取り組んでおりますけれども、なかなかそう簡単に需要は拡大していかないと思いますけれども、生産の方がもう先に走っておりますので、これをうまくマッチングしてうまく動いていくようにしたいと思っております。
  5. 主濱了

    ○主濱了君 ありがとうございます。  私どもは、主食米、先ほど申し上げましたように主食米消費が減少しているわけですから、それに合わせてやはり今後は控えるべきであろうと、こういうふうに思っておりまして、その転作先、その作物がうまく流通するかどうか、これが一つポイントであるというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それからもう一つ、同じく関連いたしまして、これは事故米のときも問題になったわけですけれども、カントリーエレベーター、あるいはライスセンターにおけるコンタミネーション、コンタミですね、混交、いろいろ混ざってしまうこと、これ意識的にやる場合もあるでしょうし、それから無意識のうちに間違ってやる場合もあるでしょうけれども、この混交について、これも大変な問題だと思います。主食米と例えば加工用米が一緒になってしまった、こういうことはあってはならないことだというふうに、こう思っております。  今回は卸業者だけではなくて、生産段階から全部チェックしなくちゃいけないと、このように思うわけですが、この点の対応はいかがお考えになっていますでしょうか。
  6. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 新規需要米、十アール当たり八万円の援助をして作っていただいているわけですが、これが主食用米として横流れした場合はまた過剰になってしまうという大問題が発生します。それは主濱委員御指摘のとおりでございます。  新規需要米用途外の使用の禁止につきましては、既に食糧法を改正いたしまして、この四月一日からきちんとしたルールが施行されております。  そこで、どういうふうなことをしているかといいますと、今乾燥施設とかいうのがありましたけれども、まず倉庫ですね、保管保管のときに混同してしまうので、そこはきちんと、そうならないようにきちんと分けて保管するようにと。それから、販売する際には、飼料米には丸で飼料米と、それから米粉米の場合は粉と書いて、そういったように包装に用途を示して表示するとかいうこと。それから、何人もの業者を経ていくと途中で事故米汚染米主食用に変わってしまうと、このおそれがありますのでそれはやめて、直接販売するようにということ。それから、定められた用途に確実に使われるようにというので、契約で措置をするようなことを義務付けております。  それで、これをちゃんと守らせるために、我々はちゃんと立入検査をまずすることにしております。それから、ルール違反があった場合には、まず勧告、命令を実施いたします。それから、命令違反があった場合には罰則、結構厳しいんで、一年の懲役か百万円以下の罰金、この罰則を適用することにより横流れを防止してまいりたいと思っております。  これらのことにつきましては、もう今モデル事業も進んでいるわけでございますけれども、生産者生産者団体に対しまして、地方農政局あるいは地方事務所を通じましてこのことについて趣旨を徹底しているところでございます。それから、更に加えて、今年十月からは米トレサ法が施行されまして、新規需要米も含めて米穀等の譲渡を受けた場合は記録をちゃんと義務付けられることになっております。これらのこと、いろんなことを勘案しますと、横流れ防止、万全な措置を今のところは講じておるんではないかと思います。  きちんとルールはできているわけですが、これからが、実施がちゃんとできるかどうかということで、今年一年頑張ってやってまいりたいと思っております。
  7. 主濱了

    ○主濱了君 一点だけ追加質問させていただきたいんですが、様々なやることは決まっていると、問題はそれをどう実施するか、だれがどのように実施するか、今決まっている範囲で構いませんですが、だれがどのようにそれを実行し、コンタミが起こらないようにやっていくのか、その点についてもし決まっていることがあったらば教えていただきたいと思います。
  8. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今のところは、何回も説明会、この農業者戸別所得補償について説明会を開いております。ですから、まずは農政局地方農政事務所関係者、これがこの仕組み、よく承知しておると思います。それから、百三十二万戸の農家皆さんに参加していただきました。そのときにこのことがきちんと伝わっているはずであります。初めてのことなんで、どのように動いているかというのは本当のところよく分からないわけですけれども、ですけれども、もうこの問題につきましては、事故米というのは悪い、悪いというか、悪い例としてありますんで、そういうことがないようにということで、皆さん非常に気に掛けていただいているんではないかと私は思います。
  9. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 私から補足させていただきます。  昨日、各都道府県の農政部長さん、農水省の講堂に集まっていただきました。それから、各農政局食糧部長さんにも来ていただいて、コンタミの問題と横流し防止、例えば、もう一つ、あるいは今回戸別所得補償をやるから、農家から安くその分、米を買う、これは独占禁止法優越的地位による取引違反に当たると、そういったものの摘発も含めて、昨日一日徹底して議論させていただきました。  殊に先ほどのコンタミ防止については、いわゆる倉庫に入れるときの清掃もですが、乾燥するときの清掃等も、機械等についてしっかり清掃するような指導マニュアルもできております。
  10. 主濱了

    ○主濱了君 よろしくお願いしたいと思います。もうそこがポイントだと思いますので、今まで苦い経験もされていますので、是非ともよろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、価格変動補てん交付金、一千三百九十一億円、あっ、これは計上ではなくて二十四年度要求するというものですね。ここのところについてお伺いをいたしたいと思います。  この価格変動補てん交付金につきましては、この二十三年産米販売価格と過去三年平均販売価格との差額を二十四年度補てんをしようと、こういったようなものというふうに理解をしております。具体的に、この予算額一千三百九十一億円、この予算額では、平均価格当該年度の二十三年度産米の価格、どの程度まで補てんできるのか。差額補てんは一俵当たりどの程度までカバー可能なのか、これをまず伺いたいと思います。
  11. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 六十キロ当たり千二百円まで可能です。
  12. 主濱了

    ○主濱了君 そこで、続けてお伺いしたいんですが、この想定した予算の枠をオーバーした場合ですね、想定した予算の枠、今一俵当たり一千二百円と、こう聞きましたけれども、その想定した枠をオーバーした場合に果たしてどうなるのか。足切りになっちゃうのか、あるいは財源を寄せ集めてきちっと対応されるのかどうか。この辺につきまして、今年度平成二十二年度につきましてはモデル事業の中で変動部分というのがあります。同じ考え方だろうというふうに、こう思いますので、ここのところを併せて、二十三年度といいますか二十四年度対応と、それから今年度対応を併せてお伺いをいたします。
  13. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 戸別所得補償対象になるのは二十二年産米、今年のモデル事業対象になるのは、今年の、今、出来秋からの米になってまいります。その米については、六十キロ、過去相対取引で一番安かったときが一万四千二十六円なんですが、それをかなり下がっても十分補てんできる金額だと、そう考えております。  今年、このままでいきますと作柄は平年作だと考えておりまして、今年十分に補てんできると考えているところです。今年、どういうことになるかはこれからの作柄が、早場米じゃない、遅場米作柄は平年並み若しくはやや不良となっておりますし、これから先それをしっかり見ていかなきゃなりませんが、十分できると考えております。  今年の二十二年産米支払は、来年の三月、四月までの価格を見て、五月、六月に変動分支払はする予定です。で、来年の、再来年のになるのか──そうだね、ちょっと一年、今年の、はい、三月までに払うことになると思いますが、予算要求については、次の年度の分は今年度の、二十三年度予算要求ではなく二十四年度予算で、やはり千三百九十何億でしたか、九十一億円、させていただきたいと思っているところです。
  14. 主濱了

    ○主濱了君 大変恐縮ですが、ちょっと通告なしで質問をさせていただきたいなというふうに、こう思います。  話が若干今のところから飛ぶわけですけれども、結局、過剰米対策は取らない、過剰米対策は取らなくても農家所得対策は十分だと、こういうふうなことで今伺ったわけですが、この点につきましてもうちょっと詳しく御説明をいただければいいなというふうに思います。
  15. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 過剰米対策は取らない。何となればというと、生産費補償農家に直接支払するわけですから、仮に過剰米が生じたとしても、その生産者は、米を作った十アール当たり何俵ちょっと余分に仮に取れたとしても、その分の生産費補てんされますし、余分なものはその人にとってはそれだけ、何に、売るにしろメリットになっていくわけですから、生産者にとっては過剰米が生じても一切困らないと考えております。  逆にここで過剰米について政府が買い入れたりしますと、戸別所得補償に入っていない人たちにしてみても米価がそれだけ上がって利益を得ることになったり、何とか早く一生懸命売った人たちと売れ残った人たち、売れ残った人たち利益を取ったり、もう一つは、生産者に対して直接、米作りを安心してこれからもできるように支払っていきますよと、生産費だけの岩盤部分補償しますよと言いながら、更に過剰米にお金を掛けるというのは、税金を使うというのは国民の理解が得られるかどうか、そう考えますと過剰米対策はこれ以上取れないと、そうはっきり申し上げておきます。
  16. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) もう時間ですから、主濱君。
  17. 主濱了

    ○主濱了君 終わります。
  18. 山田俊男

    山田俊男君 自由民主党山田俊男であります。  八月四日の日に予算委員会山田大臣とは質疑をさせていただきました。しかし、それ以降もう一か月たつわけで、作物は育つわけでありまして、とりわけ米はもう既に収穫しているところもあります。全国生産者は本当に米価水準がこの過剰下の中でどんなふうに推移するのか大変心配しているわけであります。  今、主濱委員質問に対しまして大臣は、過剰対策は何としても取れないというふうにおっしゃったわけでありますけれども、私は到底納得がいかないし、全国生産者もそれには納得がいかないという怒りの声が出てこようかというふうに思います。本日は、大臣、率直に意見交換をさせていただきたい、こんなふうにお願いします。  また、本当に久しぶりに委員会にこうして出てまいりますと、これだけ全体として委員がそろいますと、それこそ数の力というのは物すごくでかいなというふうに思うわけでありまして、大臣、今後ともこの農林水産委員会で大事なことを質疑して審議していくわけですから、是非精力的な審議をお願いしたいというふうに思います。  いずれにしても、今回、閉会中審査をこの時期にちゃんとやれたということについては、民主党一川筆頭理事それから委員長に対しまして御礼を申し上げるところであります。  さて、大臣は八月四日の予算委員会のときに、そもそも昨年の在庫がもう多かったんだと、五十一万トン多かったんだということで、いかにも前政権のときの責任と言われかねないような言い方をされていたわけであります。  確かに一昨年来、御案内のとおり穀物の価格が高騰して、麦も高騰しました。ですから、その分だけ米の需要が増えたものですから、そういう面でもっと米の需要は増えるという見通しもあって少し甘めの生産数量目標を設定してきた経緯があるんじゃないかということは、私もそう思います。  ところが、大臣、前政権の結果だというふうにおっしゃったように聞こえたわけでありますけれども、昨年の十一月に決められました、大臣が副大臣のときにお決めになりました生産数量目標、二十二年の生産数量目標も実は甘かったというふうに言わざるを得ないわけであります。  この点についての、大臣、事実と認識はいかがですか、お聞きします。
  19. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 私が副大臣のときに決めた今年の二十二年産生産数量目標については、当時、私の記憶では、需要と供給との過去の指数というか、それをトレンドしていったグラフの、それのそのまま落ち着く先で、ここで、じゃ、今年この数量に決めようという形で八百何万トンだったか、そういう形で決めさせていただいたという経緯がありまして、殊更に、例えば米の場合には作柄が九〇になったり一〇〇になったりしますので、意図的に、在庫量がすごく多いから、本当は昨年の私が副大臣のときに生産数量目標をもっと下げればよかったじゃないかという山田委員趣旨かもしれませんけれども、在庫量そのものもずっと見ていきますと、全体の量としては二百万トン前後から最近では百八十万トン前後とか大体その辺の推移で、在庫量から見ても二十二年産生産数量目標はそんなに多かったり少なかったりしなかったんじゃないかと、そう思っておりますが。
  20. 山田俊男

    山田俊男君 大臣大臣は、一昨年の在庫に比べて昨年の在庫がもう既に五十一万トン多かったんだというふうにちゃんとおっしゃっているんです。だから、在庫は一昨年、昨年、持ち越してきているんですよ、多めに。その上で生産数量目標を昨年決めるわけですから、当然そういうこともひっくるめて、そして需要見通しに沿ったしっかりした生産数量目標を決定していくべきじゃないですか。  ところで、二十二年産の今の全体としての需要の動向を見てみますと、生産数量目標八百十三万トンに対して需要はそれよりもおよそ八万トンぐらい減るという見通しにならざるを得ないんです。もはやそこで八万トンの在庫が出ているわけじゃないですか。  さらに、二十一年産米については、二十年産米在庫が残っていたということもあって、二十一年産米については三十五万トンほどこのままでいくと十月末には売れ残るんではないかと、こういう見通しであります。  大臣は先ほど、今年の作柄についてはほぼ平年作だというふうにおっしゃっておられる。まだ分かりません。言うところによれば、一ポイント、二ポイント上がるんじゃないかと。一ポイント、二ポイント上がったって、八万トンないしは十六万トンの出回りが出てくるんですよ。トータルで見てみたら、それこそ五十万トンほど出回りが多くなる、需要に対しても、在庫に対しても。こうなりますと、必ず米価は下がっていくことになるわけです。  一体、大臣、改めて聞きますけど、この過剰だ、過剰在庫だという認識大臣の中にはあるのかどうかと、それを聞きたいと思います。
  21. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 過剰在庫であるかどうかというか、過去のをずっと見ていますと、大体まあ六月の統計でいくと百八十万から二百万トンを超える在庫が普通ですから、そういう意味でどこを過剰と言うのか。僕は五十万トンというのを過剰だと言ったわけじゃないんで、今年の六万トンが、去年に比べれば今年の六万トンが過剰とは言えないんじゃないかと答弁したつもりだったんですが、五十万トンそのものを過剰だと言ったつもりじゃなかったんです。  いずれにしても、山田委員が、今年は在庫が三十五万トンぐらいあるじゃないか、これをどうしてくれるんだと、さらに豊作になったらもっと増えるじゃないかと。じゃ前の前の年、じゃその前の年というふうになっていきますと、やはりその都度いろんな過剰とか、過剰と言えるかどうか分かりませんが、それなりの在庫推移はあるものだと思っておりまして、その中で当然、今回もいろんな意味で、最終的な作柄は見てみなきゃいけませんが、価格等にもやはり反映していくものではないかとは思っております。
  22. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、確かに在庫は変動するんですよ、間違いなく、大臣おっしゃるように。そして、過剰の場合もあれば、それから不足の場合もあるという事実の繰り返しであります。その過剰在庫を、苦労して苦労しながら、様々な手だてを講じながら解消する努力を、それこそ、国の努力もありますが、生産者自らの努力も、さらに集荷団体、販売団体の努力も含めてその対策を取ってきているんじゃないんですか。大臣は今度は一切やらないと一等最初からそれを明言されているから、これは大変なことになりますよと、大臣、こう私は申し上げているんです。  大臣大臣は、八月四日の予算委員会のときもそうでした。だって、大臣、あのときは戸別所得補償にこうして取り組んだと、そして、ちゃんと生産数量目標の達成に取り組めばメリットがあると、そのためにその制度へ加入する者が増えてきている、こうおっしゃっている。私も否定しません。確かに、今度の戸別所得補償の取組の中で多くの加入があった。農業者並びに農業団体の大変な努力も、私は、大臣、あったと思うんです。ちゃんと認めてもらわなきゃいかぬのですが、あったんです。その取組の中で進んできた。  ところが、進んだんだけれど、大臣、まだ四万ヘクタール程度過剰作付けがあるというふうに言われている。それ、トータルで計算してみると二十万トンですよ。その米が表へ出てくるんだから、どうします、大臣。これはどんなふうにお考えになります。
  23. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) それは昨年も同じことでして、昨年は五万ヘクタール過剰作付けがあったんです。今年は一万ヘクタール過剰作付けだけでも少なくなっていますから、五万トンは市場に出回る量が去年より減っているということなんです、これは。それだけ、二十二年産は五万トン分は需給が締まるということなんです。実際に作柄を見てみなきゃどうなっていくか分かりませんよ、それはね。  確かに、今回、戸別所得補償はペナルティーを廃止したのに百三十二万戸入っていただけたのは、農業団体皆さん方が一生懸命やってくれたおかげ、いろんな方々がやってくれたおかげ、そして、今までもいろんな集荷団体、農業団体等が米価の安定について非常に努力されてきたということも私もよく承知しております、それは。  ところが、我々、政権交代して、今回はその生産者に対して直接支払をする、生産者生産費岩盤部分をこれから十年も二十年、安心して米作りができるように、いわゆるきちんと所得補償していきますよと、その代わり生産数量目標に従って作ってくださいという政策ですから、戸別所得補償制度ですから、それを是非御理解いただいて、価格の変動がどうなっていくかはそのときの作柄でやむを得ないものだと、そう考えております。
  24. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、それじゃお聞きしますけれども、大臣戸別所得補償を一生懸命やりましょう。一生懸命にやって、そして、それじゃこの四万ヘクタールの過剰作付け、今後とも、来年解消できますか、再来年解消できますか、三年後に解消できますか。大臣、現実を見てくださいよ。  近くにいて、そして小規模の農家で、大変水の多い湿田地帯でやっぱり米どうしても作りたいということだったら米作る、制度に加わらないで米作ることは大いにあり得るわけでしょう。大いにあり得るんですよ。しかし、一方で、ちゃんと制度に乗っかって取り組もうという多くの、圧倒的多くの農業者の努力はあるんです。どうしてもやはり過剰作付けは出てきます。  とすると、この過剰作付け部分について手を打たない限り、毎年過剰になって出てくるんですよ。その事実を、大臣、ちゃんと認めなきゃ駄目なんです。  ところで、大臣、昨年の十二月に、私は総理に対しまして質問主意書をやりました。そして、過剰米対策について質問をしたんです、資料を出しています。そのときの質問主意書の答弁は、「過剰米が生じた場合には、その販売分は、当該販売農家利益となるものであり、当該販売農家において、様々な用途に適切に販売を行うことが重要であると考えている。」、大臣、こういう答弁書でありました。総理が答弁したといったって、大臣がお書きになったか農林水産省のだれかが書いた、閣議で決定していただいた内容のものであります。  ところで、こうなってくると、過剰になって出てきたのはどうぞ自由に売ってくださいという話でしょう、そうでしょう。そうしたときに、生産数量目標に従って努力しているにもかかわらず上回る部分があってその部分が世の中に出てくる、米価下がるのは当たり前じゃないですか。この事実をどんなふうに受け止められますか。
  25. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 今までは五万ヘクタールもそういう過剰米があったんです、自民党政権下において。それで、二十五万トンそういう米が出ていたんです。ところが、今回はそれが、ペナルティーを廃止したにかかわらず一万ヘクタール減って五万トン減ったんです。今年、戸別所得補償に入った方がメリットだと、あるいは水田においては、麦、大豆を作れないところは米粉とか飼料米を作った方がメリットだと、そう思ったときに、私は、今年の価格は仮に下がったとしたら、やはり戸別所得補償に入らざるを得ないという過剰米農家が格段に増える可能性は出てくると。あるいは、今でも既にそういうお話も聞いているところはありますが、来年は戸別所得補償に入ってくれる農家も今の過剰米の中で出てくるんではなかろうか。  それともう一つ、今回この戸別所得補償制度で集落は千五百ぐらい増えました。いわゆる四十戸ぐらいの集落、まあ三反とか、三十アールとか四十アールとかわずかな田んぼしか作っていないところも、みんなで集落でやれば、いわゆる販売農家として十アールを引けばいいですよということは効果を奏したと思うんですが、そういった意味で、小さな農家も集落営農としてどんどんこの戸別所得補償制度に参加していただけるんじゃないか。そうなっていけば、ペナルティーを課していったり特別に税金を使って過剰米対策をやらなくても、戸別所得補償制度の中でともあれ生産者に直接支払をし、生産費をちゃんと補償することによって米の需給制度の安定は保たれていくであろうと、そう考えているところです。
  26. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、やっぱり大臣はきれいに考え過ぎておられるんだよ。もっとやっぱりこの現実をちゃんと見てもらわなきゃいかぬと思うんです。  現に、大臣、二十一年産米は千円下がっているんです、当初の価格に比べて一年間で、六十キロ。かつ、二十二年産米価格の交渉がもう始まって、現に値段も決まっています。その際どんな議論がなされているかといったら、下がった分は補てんされる仕組みに戸別所得補償でなっているだろうと、だったら下がったっていいじゃないか、補てんされるからと。こういう議論のやり取りで価格の水準が、千円、千五百円、場合によったら二千円、六十キロ当たり、そういう形での価格の引下げが進んでいるんじゃないんですか。この事実をちゃんと見てみなきゃいかぬ。  大臣補てんされればいいじゃないかという、補てんされればいいじゃないかといったって、それで財源は用意してありますよといったってだ、全国生産者からとってみると、補てんすると言ってきたって、こんな形で下がって補てんして、元気出ないぞと。補てんしてもらったって、その後の財源はちゃんと準備できる話なのか。だって、そうですよ。世間中、財源問題がある、財源問題がある、財政再建だとおっしゃっているわけじゃないですか。その中で、この仕組みは本当に安定した仕組みとしていけるのかという、みんな疑問と不安を持っているんです。  ここにね、大臣、ちゃんと事実を見てどんな手があるかということを考えない限り駄目なんだよ。是非、その件についての見解を聞きたい。私は、ここ、差額補てんの仕組みを少なくともどんな形でか検討し直さない限り、ないしは徹底して検証しない限り、私は戸別所得補償は破綻すると思うんだよ。
  27. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 山田委員が心配していることはよく分かります。  一つもう一回山田委員にお聞きしておきたいんですが、戸別所得補償があるからそれだけ下げろと。現に、実際に、山田委員、そういう取引の現場であるのは間違いないんですか。
  28. 山田俊男

    山田俊男君 あのね、大臣ね、あのね……
  29. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 具体的にお話しいただけますか。
  30. 山田俊男

    山田俊男君 はい、いいですよ。具体的にといったって、あの農協だ、この農協でこの生産者と言うわけにはいきません。いきませんが、現に千円、千五百円引きが前提になって、そして価格交渉が始まっているというふうに具体的な声がちゃんと伝わってきている。  だから、そこは、大臣に言ったら、いやいや、公正取引委員会を通じてちゃんと指導している、集荷団体指導している、買入れ団体指導している。そんな話じゃないんだよ。そんな話じゃなくて、具体的に値段の交渉が始まるわけでしょう。だって、販売価格は、販売基準価格はどこで決まります。相対の価格をベースにして決まることになっているんですよ。だから、相対の価格形成の中で、そういう具体的なやり方が始まっているじゃないですか。
  31. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 戸別所得補償をやるからその分下げろと相対取引でやっているとしたら、これは明らかに独禁法違反優越的地位に基づくもので、それは告発しなければならない事態です。その事実が明らかであれば、山田委員、是非御連絡いただければと思っております。びしびしとそういったものについての取締りや刑事告発をさせていただきたいと思っております。  同時に、山田委員が言いましたように、過剰米が確かに出れば価格は下がるかもしれない、まだ作柄を見なければどうなるか分かりませんが。確かに、今度の早場米の二十二年産も下がっているのは事実です、それはね。しかし、下がってくれば、そこでどうなるかというと、戸別所得補償に参加しなかった、いわゆるそういう商取引をした農家にしてみれば、やはりこれは戸別所得補償に参加しなければ大変だということに必ずなると、私はそう思っております。そういう意味では、ここはきちんとこの制度を堅持していくと、そういう覚悟でおります。
  32. 山田俊男

    山田俊男君 大臣ね、差額補てんの仕組みがあるから引き下がって、それで差額補てんしますよという仕組みを内蔵しているものですから、それだったら差額があるんだろうという議論が販売業者、安く買いたい者の立場としてあるわけ。そして、売りたい、売らなきゃいかぬ生産者やJAからとってみると、過剰在庫を抱えているという環境があるものだから、何とか自分の米を売らなきゃいかぬということの弱点があるから、その中でこういう価格形成がおのずとでき上がっているんですよ。だれとだれとだれだといって、そして独占禁止法で告発できると。全部の状況を告発しなきゃ済まないような話になっちゃうんですよ。  それは告発の問題じゃないんだよ。この戸別所得補償が抱えている課題をどうするかということでない限り、この問題があるんだよ。それともう一つは、どうしても過剰の環境、この環境を、やっぱり押しなべて全部均平にといったって、そんなこともできないですよ。だけれど、どこかで余っている部分、理由があって余っている部分について何らかの対策を打つということをやらない限り駄目なんだ。  大臣、それで申し上げますけれども、先ほど、国の責任だけでやれというわけじゃないんだよ。みんな物すごく苦労してきたから、関係者全部、国も苦労した、生産者も苦労した、団体も苦労した、販売業者も苦労した。苦労したからこそ何をやったかといったら、豊作分の部分について集荷円滑化対策ということで、生産者が拠出して基金を集めて、百五十億毎年集めて、そして財源を作って、豊作分については少なくともこの市場から隔離しようという取組を集荷円滑化対策でやってきたんじゃないですか。その集荷円滑化対策をやめたんですよ、農林水産省は。  一体、この大事な仕組み、何でやめたんですか。今こそこの仕組みをちゃんと生かせるチャンスだったんじゃないですか。一体、ここの試行錯誤は絶対に認められない。
  33. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 今、根源のところに山田委員触れておられますので、ちょっとまずその点についてお答えさせていただきたいと思います。  集荷円滑化対策とかいうのは前の政策ではやっていたんですね。それは目的一緒なんです、我々の農業者戸別所得補償集荷円滑化対策も。それは稲作農家の経営安定です。過剰米が生じたりしたら、それを市場から隔離しなくちゃいけないんだということで国も生産者も一緒になって基金を積み立てておいて緊急対策をしようと、なかなかいい制度だったと私は思います。  しかし、そういう考え方を改めて、そして農業者戸別所得補償というのでやっていきましょうということにしたわけです。大臣がるるお答えになりましたとおり、我々は、そもそもなかなか経営が立ち行かないでしょうからということで十アールで一万五千円出すことにしているわけです。それで、なおかつほかの作物も同じようにしているわけですけれども、米については今までずっとある程度価格が維持されてきたんだと、だから変動したりした場合は、更にその部分について千三百九十一億円用意して変動部分についても補てんしますよというので、言ってみれば集荷円滑化対策事業は違う形でやっていたわけですけれども、農業者戸別所得補償の中でも麦や大豆やその他の作物についてはそんなものはないわけですけれども、米についてだけは別格扱いして、言ってみれば一つの激変緩和措置なわけです。そういうことをしているわけですね。  ですから、こういった手厚い制度をちゃんと理解していただいて、そして皆さん参加していただいてやっていただくのが筋ではないかと思います。それを、我々がつくってそういうふうにやっているのを、変動部分について補てんするからその部分を差っ引いて、それで米価を下げて、そして取引するなど、私は、これは米価関係者の中でそのことが、そういう人たちがいたとしたら、不届き千万だと私は思いますね。
  34. 山田俊男

    山田俊男君 何せ、残念ながら、本当はもうちょっと時間をいただいてこの大事な話をしなきゃいかぬのですが、五十五分までしか時間ありませんのでスピードを上げて大事なところは議論したいというふうに思います。  篠原大臣のおっしゃる意味を全面的に否定するわけじゃないんだよ。だけれども、現に過剰があって、そして値段が下がっていて、この問題について対策がなかったら本当にみんな困っているから、だから集荷円滑化対策という手段があったじゃないかということを申し上げているし、現に集荷円滑化対策も、国は七十五億、七十五億を貸し付けていたんだけれども、それ百五十億全部、どうしたか知らぬが回収するという話になっちゃって、どこかに金あるはずですね。  ところで、生産者の三百二十一億の金があるんだ、拠出金。三百二十一億の拠出金があるんだから、これらを、国の金と三百二十一億の生産者の拠出金をちゃんと使って適切な対策を今やらなきゃいかぬのじゃないですか、こう申し上げているわけじゃないですか。この問題を戸別所得補償は直ちに解消できないんじゃないですか。そうでしょう。戸別所得補償が解消できるのは、今年の十一月になって来年の生産数量目標を過剰分だけ大きく減らして、そして生産調整、率直に言えば生産調整の拡大をやらざるを得ないわけだ、そうでしょう。それでしか問題は片付かないんですよ。そのことでは本当に大臣一生懸命やられるのなら、大臣一生懸命やられれば余計、この大事な戸別所得補償方式が生きますか。生きませんよ。破綻しますよ、間違いなく。だから、過剰対策を今ちゃんとやっておかなきゃいかぬのじゃないかというふうに申し上げているんです。  大臣は、そうすると不公平感が生ずるんじゃないかと。不公平感生ずるといったって、今過剰を抱えている東北の多くの各県、大臣は、一部の東北の県が在庫を抱えているだけだと言って、何か一部の東北の県が努力しなかった、努力不足だみたような言い方で予算委員会に答弁されていたんで、私はあえて申し上げるわけでありますけれど、御案内のとおり、東北の各県は米の生産が、収穫が二、三か月遅れますよ。かつ、市場は東京や大阪にあるわけだから遠い、そして遠距離だ。どうしても時期が遅れるんです。関東近辺はぱっと売ってきます。売れます、自分でも売れます。だけれど、東北各県はどうしてもそうした取組にせざるを得ない。しかし、東北各県は全国の主要な米の生産地であり、国民の主食たる米を賄う大事な大事な産地じゃないですか。とすると、生産数量目標を配ってしか解決しないとなったら、これ来年の秋まで、米の収穫終わるまでこの過剰のままずっと我慢しなきゃいかぬのだよ。これでは駄目じゃないですか。制度を維持できないですよ。だから、申し上げているんです。  是非、大臣、是非このことをちゃんと念頭に置いてもらいたい。
  35. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 山田委員のおっしゃることはよく分かるんですけれども、いわゆるこの戸別所得補償制度そのものの本来の趣旨からしても、ここは本当に過剰米対策をやらずに、もし下がるんなら、もし幾らかでも下がれば、多分戸別所得補償制度に来年は過剰米の人がほとんど参加できるようなっていただければ、まさに需給がバランスが取れていって財政の負担も逆に少なくなっていくと、私はそう考えておりまして、今年はその旨、過剰米対策は一切やらないと、ということをはっきり申し上げさせていただきます。
  36. 山田俊男

    山田俊男君 委員長ね、委員長、全く納得できない。こういう形で一切やらないということだけを前提にして議論を進められちゃかなわないですよ。納得できない。検討の余地がないんだ、事実を認識しているのかと、そう言わざるを得ないじゃないですか。そんなの駄目ですよ、そんなもの。できないことを前提にしておっしゃっているんだもの。
  37. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) でも、やらないという方針でまず説明されているわけですから、もっと具体的に御質問いただければと思いますが。
  38. 山田俊男

    山田俊男君 大臣、話変えますけど、大臣大臣は立派な著作がおありなんです。この、「輸入食品に日本は潰される」と、二〇〇三年の本です。読ませていただきました。前にも読んだんですが、立派な本です。そこで、備蓄量の目安と備蓄コストはどうなるのかと、備蓄のことを触れておられる。大臣、三百万トン備蓄は必要だというふうにおっしゃった上で、更にこれを飼料やその他への転用分として二百万トン備蓄している、合わせて少なくとも五百万トンが適正な備蓄の水準だと考えられると、こう考えている。そして、百七十万トンぐらいの余剰米を政府が買うのは予算的に大丈夫なんだと、十分に金があるんだ、どこからでも金出てくると書いてある。  大臣、今備蓄で検討されていこうとしていること、今余剰米については一切買い入れない、一切手を打たないというふうにおっしゃっていること、大臣がおっしゃっていることと違うじゃないですか。これはどんなふうに弁明されますか。
  39. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 山田委員に私の著書を読んでいただいて、有り難く思います。  これは二〇〇三年に書いたときの本だと思っておりますが、今二〇一〇年になりまして、その間七年経過しております。私どもも、民主党の中でも、新しい政権になってからも備蓄の問題もいろいろ議論させていただき、戸別所得補償制度という新たな制度の導入に向けて、法案もその間に二回、野党時代も出させていただきました。その中で考え方も徐々に、当時の状況も含めて、今の見解に達してきたというところで御理解いただければと思います。
  40. 山田俊男

    山田俊男君 大臣の、日本農業に対して、日本の米の生産に対して、消費について、流通についての大臣の思いはよく表れていますよ。  その立場からすると、大臣が今極めてかたくなな姿勢で一切過剰対策やらないんだというふうにおっしゃっているのは大臣の本意じゃないように思うんだよ。大臣、需給は怖い、そして物すごく難しい。この問題について着実にやっぱり手を打っていかなきゃいかぬのですよ、冷静に、そして仕組みをつくって、財源も用意して、そういうことでしょう。そのための私は集荷円滑化対策だったんだと思うんです。それを廃止されたわけだから。  だけど、まだ余地があります。この対策を生かす余地があるわけだから、その余地を活用してもらいたい。ましてや、備蓄の在り方について今検討の最中じゃないですか。検討の最中であれば、二十三年度から百万トンの回転備蓄をやるというふうにおっしゃっているんだったら、そういう検討だったら、それじゃ、二十二年度から今の困難な状況の中でそれを前倒し実施するということだってできないわけじゃない。そういう知恵と工夫を今出してやらなかったら生産者は本当にかわいそうだ。  最後に、大臣、言いますけれども、大臣、先ほど来、この質問主意書に関連しても申し上げたし、大臣もおっしゃっているんだけれども、豊作分については、それは売っていってもらうんだというふうにおっしゃっている。大臣、そして大臣は、値段が下がったって補てんするからいいというふうにおっしゃっている。これ、米をどこへ持っていくのかということになるんだよ。補てんするからいいじゃないかといったって、大臣補てんする補てんの販売基準価格もだんだん下がってくるんですよ、御案内のとおり。五年のうちの三年取って、その平均価格補てんするという仕組みなんだから。とすると、値段下がってくるんだから、下がっていくのを五年取ろうが三年取ろうが、下がっていった補てんにしかならない。だから、結局、米価下がっていくんですよ。  そして、今みたいに過剰下の中でずっと下がってきている、下がってきている。下がってきていて、そして自由に売っていいんだという話になったら、あれっ、もしかして大臣のやることは、もしかして農林水産省のやることは、もしかして農林水産省の中でこの原案を考えている、幹部連中なのか担当なのか分からぬ、その連中は基本的には我が国の米を市場競争の中に持っていこうと、米価下げさせよう、それで構造改革を進めるしかない、そのための手段が戸別所得補償制度なんだとしか見れないじゃないですか。  大臣ね、大臣、このことだけ本当によく考えて、そして、しかるべく在り方考えない限り、ここは、もう本当、全部大臣の責任だというふうに言わざるを得なくなっちゃう。是非考えてほしいと思います。  委員長にそれでお願いするんですが、是非、もう今本当に困っている、大変な時代でありますので、閉会中審査も引き続いてこの議論ができるように措置していただきたい、このことを切にお願いして、私の質問を終わります。
  41. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。  今日、閉会中審査を開いていただきました委員長始め皆さんに心から御礼申し上げますが、ただ、私どもは大臣の所信を一回も聞いたことありません。そして、通常国会が終わった後も、閉会中審査の手続も経ずして、そして国会を閉じてしまった。こういう乱暴な国会運営は絶対許さない、そのことをまずもって申し上げたいと思います。  そこで、時間がありませんので早速質問に入りたいと思いますが、大臣は口蹄疫の問題で宮崎にも入っていただき、副大臣時代、常駐していただき、そしてまた大臣になってからもいろいろ対策を取っていただきました。このことについては心から感謝を申し上げる次第であります。  ただ、私は、宮崎県が八月二十七日、終息宣言をいたしました。しかし、まだまだ今からいろんな課題が残されておるところでありまして、この百三十日という口蹄疫の発生してから終息宣言が出るまでの間、宮崎を始め鹿児島、そして熊本、九州各県の皆さん方、家畜市場を閉鎖しながら、そして広がらないようにということで今まで取り組んできました。さあ、いよいよ終息宣言が出た、今から畜産農家の経営再建なり、あるいは地域の経済の再生に向けて取り組んでいかなきゃならない。そのときにこの基金というのが、私どもは特措法の中でこのことを取り上げさせていただきました。ただ、大変この基金問題については迷走に迷走を私は重ねていたというふうに思います。  この口蹄疫の措置法がどうなっているかといいますと、二十三条の基金の創設については、口蹄疫の蔓延が地域経済に重大な影響を及ぼしている状況にかんがみ、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施できるよう、これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとあるわけであります。  このことについては、もう御承知のとおり、七月二十八日の衆議院の閉会中審査で、私どもの宮腰委員なり、あるいはまた江藤委員、徳田委員、そして公明党の東委員から質問がありました。そのときの答弁では、山田大臣も、そして内閣の古川官房副長官にしても大変あいまいな答弁で、これは審議が中断したことは御承知のとおりであります。その後どうなったかといいますと、八月二日の予算委員会で我が党の石破政調会長が同様の質問に対し、山田大臣から基金を是非設置したいという大変前向きな答弁をいただいておりました。しかしながら、ようやくこの基金の設置を山田大臣の口から言明されたわけでありますが、その後の取組というのが見えてこない。  そして、私は非常にがっかりしました。それはいつかといいますと、八月三十一日、山田大臣の記者会見におきまして、口蹄疫の基金問題で記者さんから進捗状況を聞かれたときに大臣はこう答弁しているんですよ。今、うちの官房長が官邸とやっているようですが、少しずつ動き出しているようです。少しずつ動き出しているようです。詳しい内容については事務方から聞いていただければと思います。人ごとの発言じゃないですか。あれだけ私どもの衆議院の方で委員会でもこの基金問題を取り上げて、そしてマスコミも大きく取り上げました。政治主導が私は聞いてあきれる。事務方に、官房長に聞いてやってみてくれ、官邸と今やっているんだから、こんな事務的な話じゃないんだと思うんですよ。その後、宮崎県、鹿児島県、いろいろと基金の問題を要請に上がったけれども、確たる答弁を役所からもいただいてない。  そこで、具体的に聞きたいと思いますけれども、大臣、この基金の進捗状況はどうなんですか。そして、具体的にもう少し申し上げますと、この基金の規模はどのぐらいなんですか。そして、この基金はどこに設置するんですか。国ですか、宮崎県ですか、鹿児島県ですか、それぞれの県に設置するんですか、こういうのがまだ分かってない。そして、この基金は阪神大震災のような運用益でやるのか、あるいは取崩しでやるのか、そういうことをまだ何にも決まってない。そして、いつまでつくるのか。今、現場が一番知りたいのは、いつ基金はできるんだということばっかりなんですよ。ですから、このところをはっきりと今日は大臣の口から是非お答えをいただきたいと思います。
  42. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 基金については是非設置したいと、そういうふうに予算委員会で答弁させていただきました。その前に官邸とも私ども相談いたしまして、当時の農水委員会、筒井農水委員長が整理していただいたので、その趣旨に沿って基金を設置しようという形で官邸の方も御了解いただきました。  その中身についてですが、基金の運用益でするのか取崩し型にするのか、宮崎県につくるのか、あるいは南九州、あるいは九州全体につくるのか、いろんなことが今検討されていると聞いておりますが、宮崎県側からの要望を聞いて検討するというお話をさせていただいてまいりました。宮崎県側からの要望でも、県の単独の公共事業だけで二百億もあるという事情もあります。これは基金にはふさわしくないんじゃないかというような見解もあるようでして、今経済産業省、国交省、私ども農水省、財務省、総務省等々含めてどういう基金にするか、私ども農水省としては、所管省庁としてはできるだけ早くいずれかの方向で決めていただきたいと、そう考えて今交渉しているところです。  なかなかいろんな問題があってそう簡単にまだ事は進んでいないというのが現状です。
  43. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 まだそういう状況なんですか、大臣。この内閣は遅いですよ。口蹄疫の初動対応も遅れたということは再三指摘されたんですよ。そして、いよいよ復興に向けて、さあ宮崎県、鹿児島県、熊本県、みんな行政も団体も農家も一緒になってやろうじゃないか、あるいは地域の産業も一緒になってやろうじゃないかというときに、まるで人ごとのようじゃないですか。  法律ができたのは六月の四日ですよ、施行されたのは。何か月ですか、三か月ですよ。まだこんな状況ですか。あなた方の取組というのはそういう状況なんですよ。現場の皆さん方の切実な思いというのが全く大臣は分かっていない。みんなどういうふうにしてやろうか、今日もいろんな方々が見えていますよ。さあ、今日は山田大臣から基金の在り方について方向性をきちっと出してもらえるんだろうと思って、みんな今日は聞きに来ていますよ。なぜこの段階になって、三か月も経過したのにまだそんな状況なんですか。どのぐらいの規模で、あるいはどこに設置するのかも決まっていない。取崩しなのか運用なのか、しかも、いつまでにつくるんだという明確なアナウンスをしてくださいよ。そうしますと地元もみんな落ち着くんですよ。なぜそこができないんですか、大臣。なぜネックになっているんですか。
  44. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) これは農水省で決めることではありませんで、官邸が中に入って、総務省、財務省、経済産業省、国交省も含めてその中で考えなければ、その中で決めていかなければならない問題ですから、農水省、私がお答えする立場でこの問題については今ないわけですが、農水省としては、いよいよ昨日から家畜の導入が始まったようですが、家畜導入等々についての再生支援基金とかそういったもの、そしていろんな手当て、いわゆる畜産の再生に向けてあらゆる形でのいろんな手当ては、かなりきめ細かくそれに係る費用は手当てさせていただいていっているつもりです。
  45. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私どもは役所の皆さんも呼んでいろいろ聞きましたよ。そうすると、この事務局は今農水省にあるんでしょう、基金の窓口は。内閣じゃないですよ。今日来てないですか、担当課長が。  内閣も呼んで私どもは話をしましたよ。みんなお互いに、この基金は内閣官房の問題だ、内閣官房は、いや、それは農水省だとボール投げをしているだけですよ。だから時間掛かっているんですよ、皆さん。こんなことがありますか。担当大臣ですよ、山田さん、あなたは。何でそのことを自分、自らのこととして考えて内閣をつつかないんですか。だから、いや、それは内閣が考えることだ、内閣に言わせりゃ、いや、農水省が窓口だ。当然そうですよ。国交省に影響があったり環境省に影響があったりいろんなところの省庁間をまたがるから、私も農水省の管轄じゃないと思いますよ。だけれども、農水省が受けた以上は担当大臣たるあなたが指示を出せば進むんじゃないですか。おかしいですよ。  だから、いつまでもこういうことをやっていると、民主党政権というのは何にもやらない政権なんだ、基金はつくると言ったけれども、その絵姿も全然出てこない。そうでしょう。今さっき聞いた具体的な話、じゃ、どこにつくるんですか。各県から、宮崎県から出てきた、公共事業が二百億だという今話がありました。国が何にも示さないから皆さんそれぞれ各県が、私の鹿児島もそうですよ、思い思いのところでやってくるんですよ。今回の復興基金についてはこういうような形でやってくれという話をしないからこういうことになっているんじゃないですか。思い思いで出てきますよ。それをどう集約していくんですか。やはり政治主導ならば政治主導らしく、こういう基金にして、いつまでにこういうものを出せ、そして各県を集めて議論をしていく。そして、メニューならメニュー方式でもいいですよ、そういうことすら何にも検討されていない。  もうこれ以上私はできませんよ、質問が。ずっと今までと同じ答弁ですよ。
  46. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 基金の在り方については、農水大臣としては私なりの考えがあります。私なりの考えについては官邸に伝えてあります。  各省庁間においていろいろ詰めていきますと、経済産業省においても既にやっているもの、エコポイントに近いいろんなファンド、基金とか、そういったものもありますし、農水省もかなりやっております。そういったきめ細かい対策に、じゃ、それに何を上乗せできるのかという細かい詰めはかなりやっているところでして、まだまだそれが最終段階に至っていないと、そう考えていただければ結構かと思います。
  47. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 こういう形で大臣意見交換するのは本当に残念なことです。  私どもは、もう少し役所がスピード感を持ってやってもらわなければ、現場の皆さん方がどれほど困窮しているか、あの現場を見たのは山田大臣とそれから篠原大臣だと思いますよ。早く復興させなきゃいけない、そういう思いがひしひしと伝わっているはずなんですよ。私の考えは官邸に伝えてありますとおっしゃるけれども、だったらその熱意をもう少し、一歩でも二歩でも踏み出してくださいよ。全然伝わってきません。官房長にただ任してありますとか、官房長が、今少しずつ進んでいますとか、こんなことを地元の人が聞いたら、これはもうとてもじゃない、山田大臣大臣の資格があるのかというのを問いたいですよ。  場合によっては私どもは次の臨時国会で不信任案を出しますよ。そのぐらいの覚悟はしておってください。こんな遅々と進まない基金創設というのはありません。時間がありませんし、また明日、衆議院の方で同じような質問があると思いますから、明日までにある程度方向をきちっと出してください。そのことをお願い申し上げます。  時間がありませんので、次に進みます。  私は、今回の対策で、皆さんがいろいろなことを考えて打っていただきました。そして、その中でどうしても、これまで役所の皆さん方意見交換はするけれども、再三再四にわたって私どもが申し上げているんですけれども、全く動きがない。六月の十六日にこういう対策を打ちます、六月の十六日というのはもう四か月前ですよ。そのときに何をしたかというと、私どもが申し上げたのは、農家が競り市に出せない、この競り市に出せない間のえさの、これは負担は国がやりましょう、こういうことで、もちろんこれは特措法にも書いてあるわけですから、当たり前のことだといえば当たり前のことなんです。ただ、そこが非常にこそくなことをされている。  何かというと、二つありますよ。一つは、一日のえさ代を四百円ということを皆さん方が提示されました。そして、もう一つ納得がいかないのが、いつまでに出荷ができなかった、何日間出荷ができなかった、単価が出ますと、その日数を掛ければいいわけです。ただしかし、この日数計算においてもう誠にこれは、現場のことが分かっているのかよと言いたいようなことがあるんです。それは、日数算出において、二十一年度平均出荷日数プラス三十日とされているんですよ。なぜこのような日数計算になるのかどうか。  その今二つ、四百円とこの日数計算の根拠を示してください。
  48. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) まず最初の三十日の部分についてですが、私どもの田舎では競り市は二月に一回ですが、多いところで一月に一回、一月に一回か二月に一回競りがなされていると思っています、子牛の競り。そうしたときに、三十日ぐらいというのは、大体、今度の競りで出荷するか出荷しないかというその範囲内であって、その出荷のそれを超えたときに、三十日を超えたときに価格は上がってくるんじゃないか。そうであれば、三十日を過ぎた分についてえさ代、三十日分までは自ら負担してもらうのが、当然と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そこはそうしていただければ有り難いと、そう思っております。  また、四百円でしたっけ、一日。これについて少ないじゃないかと言われ方があるかと思いますが、これについては、確かに家族労働費は入れておりません。しかしながら、実際に掛かる費用を何とか補てんする、特措法の趣旨からして、私としてはそこまでさせていただければと思っているところなんです。同時に、えさ会社にはその支払を猶予してもらうようにすぐに連絡しておりましたし、そういう意味でも、ある程度そういう形でできるんじゃないか。  先生、鹿児島ですが、沖縄、私の住んでいる五島列島においても三か月間出荷できませんでした。しかし、その出荷遅延したそのえさ代等について一円も出ません、これは。大分も隣県ですが出ません。鹿児島はただその一部が掛かっただけに、この制限区域に、それですべての農家にそれだけのことが出ているわけですが、今回九州全域で出荷をやめております。九州全域で被害が出ております。しかし、中でもいわゆる鹿児島とか宮崎とか熊本においてその補てんをしようとしてやっているわけですから、何もかにも、これもあれもというわけにはいかないということは御承知いただければと思います。
  49. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 大臣、私は、何もかにもという話ではないんですよ。先ほど来質問いたしておりますように、この平均の出荷日数プラス三十日というのはどういう根拠でと質問しましたら、いや、一か月、毎月開かれるところもあれば二か月に一遍開くところがある、その三県の多分平均を取られた。役所の説明もそうでしたよ。まさしく役所が説明するとおりのことを今大臣説明されたんですよ、答弁されたんですよ。大臣は畜産については相当造詣は深いということを言っておられます。本当にこれでいいとお思いなんですか。  じゃ、一つ言いましょう。牛ほど競り市に出す日数がきちっと決まっているものはありませんよ。証拠を見せますよ。  私は全市場回りました。これは伊佐の、伊佐という私どもの地域の競り名簿です。五月十四日なんです。五月十四日に名簿はでき上がっていて、出場させる牛は全部決まっている。いつ開いたか、八月の八日に開いたんです。その名簿をそのまま使っているんですよ。いつ出すか分からないというのはうそなんですよ。こんなばかなことがありますか。  あともう一つ見せますよ。これは曽於という大産地の名簿です。四月と五月のが、これは四月にもうでき上がっているんですよ。このまんまの名簿を今回の競り市で出しているんです。どうですか、全部牛は分かるんですよ。だから、いつ競り市に出すのか分からないから平均的に取ったって、何でこんな実態にそぐわないようなのを、役人の皆さん方が言うのをうのみにされたんですか。
  50. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 競り名簿に記載されて予定されておったという事実は承知しているつもりです。その競り名簿に、そこに出すか出さないかというのは農家の判断です、それはね。そのときに、そのときに、いいですか、私も競り市場はよく行っておりますから分かります。六か月齢で出す人もおれば七か月齢で出す人もいる、八か月齢で出す人もいる。それは必ず七か月齢で出すとは限っていないわけです。それはその人、例えば私という農家は、大概この人は少し大きめで出すとか、あるいは小さくても出すとかという、その農家、各農家が決めていくわけで、その予定が確かに競り市場の名簿になっているわけで、その間のずれというのは一月ぐらいあって、一月ぐらい過ぎると、余計大きいものになってくると、肥育する側が子牛を買いに行ってもその分だけ価格が下がるということはあり得るから三十日という数字を取ったと、そう考えていただければと思います。
  51. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いや、山田大臣は牛のことは十分お詳しいと私どもは聞いておりました。  先ほど言うように、農家が自主的にいつ出すかというのは決めるわけじゃないですよ。これは、競り名簿は五月十四日にできているんですよ、十四日の分ですよ。これが今度の八月八日にも使われたんですよ。
  52. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) いや、だから……
  53. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 ちょっと待ってください、これは購買者にも全部送るわけですよ。出てこないとか出てくるとかというのは農家の判断だとおっしゃった。そんなことはありませんよ。みんなこの名簿どおりに出てくるんですよ。それは確かに自家保留したのが出てこないのが何頭かおりました。だけど、ほとんど、九九%は出てくるんですよ。  ですから、私が何を言いたいかといったら、こういう実態があるにもかかわらず、何で一か月間引くんですか。一か月間、四百円にしたときに一頭当たり一万二千円じゃないですか。農家にとって、今回安くなった、私の地元でも一万五千円から二万円前年に比べれば安くなっているんですよ。しかし、国からえさ代の補てんがあるからまあ我慢してもう少し続けるか、こういう気持ちに今農家皆さんなっているにもかかわらず、何でこんなこそくなことをするんですか。  一頭一頭分かるわけですから、一頭一頭分かるんですよ、豚と違うんですよ。牛は全部三か月になれば鼻紋を取る、そしてこれは何月何日の競り市に出してください、そしてこの名簿ができ上がってくるんですよ。何でこういうことを平均的に、しかも日本全国対象にしたわけじゃありませんよ、先ほどおっしゃったように、鹿児島と宮崎と熊本、三県の市場の分でしょう。何でこういうことが、細かなことができないんですか。法律違反ですよ、これは。
  54. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) いいですか、子牛の競り市場の名簿に載っているのは事実です、それは。この競り市場に載せた名簿に対しては農家ももちろん出しますよね。そのために買いに来るわけですから、家畜市場さんが。  ところが、その名簿に載せるかどうかの判断は、何か月齢で載せるか、何か月齢でその競りに出すかというのは農家の判断じゃありませんかと。その月齢期の三十日ぐらいの期間というのは、えさをやった分だけ、増体した分だけ競り市場で値段は上がっていくのが通常なんです。そうであれば、当然、今回は三十日を引いても何もおかしくないと考えていますが。
  55. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 私は、ずっと金額も、大臣、体重と金額をずっと競りのたびに書きましたよ。今大臣は、大きくなればなるほど価格は上がるとおっしゃった。逆ですよ。  肥育農家の購買者の皆さん方は、大体二百七十日齢で三百キロですよ、二百七十日で三百。それが四百キロも四百五十キロも、これはもう子牛じゃないんです、成牛になってきているんですよ。そうすると、肥育農家は、もう成年になった、成人になったその牛を買って今からどういった肉質ができるかというのは大変心配されているんですよ。  ですから、価格が上がらない。四百キロのものが三十何万でしか売れないんですよ。ですから、前回よりも下がっているし、あるいは前年度よりも下がっている。しかも、体重は大きい。五十キロから百キロ、ふだんのものからすると大きいわけですよ。にもかかわらず安いんです、安いんですよ。  今、大臣は全然状況を御存じない。体重が乗ればそれだけ価格が上がるんだと、そんな認識だったら、私はもう本当に大臣として情けなく思いますよ。しかも、大臣はいつもおっしゃっているじゃないですか、畜産は、おれは昔畜産経営やっていたんだと。全然分かっておられないですよ、現状を。  どうですか。もう私も本当にあきれ返って、さっきの基金の問題もですけれども、これもそうなんですよ。全く大臣として疑いたくなるような答弁を先ほどからされておりますけれども、これ以上本当に質問は、委員長、できませんよ。
  56. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 山田大臣、答弁ありますか。
  57. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 先ほどからと同じことで、同じ答弁にしかなりませんが、いわゆる三十日ぐらいの前後というのは、私は結構、増体の分だけはほぼ、三十日超えて大きくなり過ぎると今言ったように価格は下がっていきますよ、それはね。だから、その分見ていきましょうという形で一日四百円考えているわけですから、だからそれなりに十分措置はしていると思っていますがね。
  58. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 いや、私が言いたかったのは、何で平均の日数とプラス三十日で、こういう算式で、農家にせっかくもう一遍再興してくださいよという意味で、もう一遍再建してくださいよという意味で国から手厚い私は支援があるとみんな農家皆さんは思っているわけですよ。それがこういったような算式で日数計算までされて、喜ぶどころか、私どもは説明できないんですよ。ずっと私は参議院選挙のときも、これを、民主党はこういうことをやっているんですよということを言いたかったけれども、農家皆さんに不安を与えちゃいかぬと思って言わなかった。だけれども、いまだに私どもは説明できないです。  大臣、今度農家皆さんに直接説明してくださいよ。そうするとあなたも絶対にこの現場の気持ちが分かりますから。実態に即してやれということですよ。何で役人の言うことばっかりうのみにしてそれを答弁されているんですか。それ以上の答弁は出てこないじゃないですか、あなたの答弁の中には。だから私は言うんですよ。もう少し政治主導だったら政治主導らしく、こういう問題があるぞということを現地の農家皆さんあるいは団体の皆さんや、いろんなところから聞いてくださいよ。絶対にこのことは私どもは許容できませんから。  もう次に行きます。時間ありません。  それと、養豚問題です。これも皆さん方が新しく養豚経営安定対策事業をおつくりになりました。もう時間がありませんのでくどくど申し上げません。二つ問題があります。  一つは何かといいますと、来年から新制度になって、農家皆さん方が非常に不安がっている。それは、皆さん方政権になってからいろんなことが直接払い、直接払いとおっしゃるものですから、そうすると今年は、今までどおりでJAなり出荷団体なり、それが県を通してALICに来ていました。これは中抜きをして農家が直接申請するようになっていますよね。今年は旧来のやり方と直接申請と二つあって、どちらでもいいですよと、こういうような状況になっている。来年からはこれはもう直接申請だと、こういうふうになっていまして、このことに農家が不安を覚えているんですよ。  それで、もう時間がありませんので余り聞きませんが、要は、直接申請をした農家というのが養豚農家どのぐらいあるのか。私も自分のところを調べました、農家皆さんが心配しているものですから。わずか六百戸の中でうちではたった七戸。山田大臣のところは三百十数戸の養豚農家の中でゼロですよ、ゼロ。いいですか、ゼロですよ。ですから、こういうことを本当にばさっと来年から直接申請だよということでやられるのか、そのことを一分でお答え願います。
  59. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 農畜産機構のいわゆる仕分の中でも、いわゆる中間を抜いて直接支払をするようにという指摘は前からなされておりまして、今回特に畜産においてはALICから、養豚生産者に対してALICから直接支払をしていくという形を取らさせていただく。今回は、今までの農業団体、いろんな組合団体を通じてでもできる、直接でもできるという、そういう方式にさせていただきました。  確かに、事業になかなか参加しにくい小さな規模の生産者とかあるいは高齢者の皆さん方、そういった方々も何とか直接支払に、いわゆるALICからの直接補てんに参加できるような方法を何とか来年度に向けて検討していきたいと、そう考えております。
  60. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 何らかの検討をするということを今おっしゃいました。そういう私は答弁をいただきたかったんです。来年からもう全部すべての養豚農家は直接申請だよといいますと、申請書類だ、あるいは契約書だ、出荷証明書だ何だって、もう大変複雑になります、煩雑になります。それは企業経営をされている養豚はいいですよ。だけれども、家族経営の養豚農家はこういう直接的な申請というのはなかなか慣れていないから難しい。しかも、これは国の金ですから、最後はこれは会計検査の対象になっていくわけですから、そのことに対して不安を覚えている。  ですから、大臣、少なくとも農家皆さん方が、大変すばらしい制度をつくっていただいた、このことは評価するんです。だけれども、こういったような直接申請、直接交付をする、その仕組みもいいですよ。だけど、来年から一方的にぱっと直接申請に切り替えろ、これじゃ農家が大変迷ってくる。ですから、できるだけこれは、徐々に徐々にそういう方向に向けるならいいですよ。来年もまだこの二者択一でどっちでも選びなさいよというぐらいの緩やかなやり方をしていかないと。  ただ、もし緩やかなやり方をやらないということで来年からやるよということになれば、これは私どもは甘味資源で、甘味資源でやっているんですよ。農家はできません。今度の米の交付金もそうですよ。百三十万農家って非常に手柄話をされていますけれども、これが農政事務所に直接来たらどうしますか。パニックですよ。養豚農家は少ないから、全国で六千戸だからまだいいですよ。だけど、百三十万農家が全部農政事務所に申請してきたときに、その対応は本当にできるんですか。それはもう米のことは私は言いません。  だから、そのぐらい難しい様式、難しいというかいろんな手間が掛かる。そして会計検査の対象にもなる。農家は申請しませんよ、家族経営の。と、どうなるかといいますと、皆さんが一番今まで言われていた、そういう小規模の養豚農家あるいは高齢の養豚農家は申請しなくなるということですよ。こういう農家をセーフティーネットから外してしまう、そういうことに結果的になるんです。ですから、あなた方が今までずっと言ってこられたようなことが家族経営の養豚農家をつぶすのではないかということなんですよ。そのことを申し上げた。  もう一つ、もう一つこの問題にあります。  それは何かというと、税法の問題ですよ。今まで、私ども、公明党さんとのこの十年間の連立の中でやってきたこの養豚の仕組みは三年一期だったんです。農家の積立金も、あるいは団体からの農家の負担を軽減するための助成も三年一期でした。すべてこれは所得税法上の必要経費なり法人税の損金として認められてきたんですよ。しかし、今回は一年でしょう。  これは税法上はクリアしているんですか。そのことだけイエスかノーかで。
  61. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 今回はその税法上の特別な措置は認められていないと思っておりますが、来年度の税制改正要望においてこれはやらさせていただきたいと思っております。
  62. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 制度を導入するときには、税対策まで考えて何でやっていないんですか。だったら今年は、来年の申告のときには税金を納めなきゃいかぬですよ。何でこういうことを、最初導入されたときに私どももあっと驚きましたよ。ああ、私は六年間、この養豚のセーフティーネットをつくってほしいということをずっと言い続けました。できませんでした、私どもの時代には。これはやっぱり民主党政権さすがだと思いましたよ。だけど、何でここまで詰めたものを出さなかったんですか。皆さん農家の、これに直接申請した人たちは、あるいは直接申請でなくても、みんな税金が掛かるんですよ。今までは掛かっていなかった。  そして、もう一つ大きな問題は、農家の負担を軽減するために団体やいろんなところが助成しているんですよ。掛金が大きいと農家が入りにくい。だからいろんな人たちが助成している。これも損金算入で認められた。何で税金まで払って負担をしなきゃならないかと、こういうことになってくるんですよ。何でここまで詰め切ったもので実施されなかったのか。  じゃ、ないということですね。私は帰って言いますよ、来年はどっと税金が来るぞということを。
  63. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 現行型の活用方式、県団体が積立金を管理するか、今年限りの仕組みであり、三年以上実施するという損金算入の指定の条件を満たさないということになっております。  確かに、いろんな意味で税制については、私も、今回は仕分の方も先行しておりましたので直接支払制度を先に実施させていただきましたが、来年度、その税制に関しても十分な要求を税制要求においてさせていただきたいと考えているところです。
  64. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 来年の一月の確定申告のときには、養豚農家皆さん方にはそのことはきちっと私どもは申し上げておきます。  税金の対策もなしにこの制度を導入した。何でそこまで詰め切ったものでないものを、私どもは二月か三月ですか、この仕組みを聞いてびっくりしました。おお、いいことをやっていただいたと思ったんですけれども、そこまできちっと整理されたものだろうと思うんですよ。政策決定のプロセスがおかしいんですよ、あなた方は、言っておきますけど。だから、大臣も、篠原大臣はいらっしゃらなかった、政務官はいらっしゃるんですよ。何でこのことまで議論をして、税対策はきちっとやっているんだねというところまでやってこのゴーサインを出さなかったのかですよ。もう走っているわけですから、もう手遅れですよ。来年以降はって、今年の税調で、税制改正で何とかやるからと。今年の分は課税される、そのことだけははっきり申し上げておきます。  それから、もう時間がありませんので、もう一つ。  今日は、赤潮問題も、明日もあると思います、衆議院で。赤潮問題で、大臣、もう中身は言いません、御存じのとおりですから。今年、私ども、長崎、鹿児島、熊本、この三県の養殖のブリがまた赤潮でやられました。五十三億の被害です。昨年も三十三億の被害だったんですよ。そして、八月の十一日には長崎県、鹿児島県、そして熊本県の知事さんも見えて、議長さんも見えて、大臣に直接要請されたはずです。  そこで、共済金の支払を早くしなさいとか、こういうのは、あるいは融資はこういう対応をしますよというのは、それは私どもも聞いています。しかしながら、一番漁家の皆さん方、漁民の皆さん方が何を望んでいるかと。二年連続ですよ、百年に一遍の赤潮が二年連続来たんです。共済で賄えるのは六割程度なんですよ、一〇〇のうちの六〇%。ですから、あとの四割は口蹄疫と同じように何か対策を打ってくれというのが悲願なんですよ。このところについて大臣はどうお考えなのか。  私どもは、法律があることも知っております。ですから、この法律に基づいて、八代海、そしてまた有明海の特措法があります。この特措法の中の二十一条なり二十二条に書いてありますように、何らかの漁業被害が発生した場合においては、漁業者の救済について必要な措置を講ずるよう配慮すると、こうなっているわけですから、この法律に基づいて当然役所は何か考えていただいているんだろうと思うんですが、いかがですか。もう時間が食い込んでいますから。
  65. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 赤潮被害対策については私もちょっと長崎の現場を見せていただきましたし、大変だというのはよく承知しているつもりです。  これについて、ほとんどの方が確かに共済に入っていただいておりましたので六割までは補てんできます。あとの四割分について県が何とか、まあ知事さん方とも話しさせていただきましたが、二割は補てんしたいと思うが、残りの二割を国で見てもらえないだろうかというお話がございました、確かに。しかし、それについては、私どもとしては特別交付金でそれが見てもらえるか、見てもらえないか、できるだけ見てもらえるように総務省に農水省の方からお願いして、何とか万全な赤潮対策を取りたいと思っているところなんです。  ただ、あそこの漁場は二年続いて赤潮が発生しております。このままで、じゃ来年大丈夫かといいますと、シャトネラというんですかね、赤潮の被害はまた更に出てくる可能性は十分あるんじゃないか、そういったときに漁場を変えることも含めて検討しなければいけないだろう。二十三年度概算要求で赤潮対策の予算を七十億ほど概算要求に計上させていただいているところです。
  66. 野村哲郎

    ○野村哲郎君 もう時間をオーバーしましたので終わりますけれども、またこれは明日の衆議院でも同じようなこの赤潮問題が出ると思いますので、きちっとした答弁を、明確な答弁をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  67. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。閉会中審査ですので、今日は重要な課題について的を絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず、口蹄疫対策に関して質問をさせていただきます。  四月二十日の最初の口蹄疫発生確認から七月四日の発生例を最後に新たな発生は確認されておらず、昨日より清浄化確認のためのサーベイランスが開始されたところまで来たわけでありますけれども、これまで御苦労されました宮崎県、鹿児島県、熊本県などの関係者の皆様に御慰労を申し上げるとともに、全国から御支援を賜りました皆様方に対しまして、心から敬意を表したいと思います。  さて、質問に入らさせていただきますけれども、最初に再発防止対策について質問をいたします。  今回の宮崎県での口蹄疫発生の感染経路の究明の現状と今後の調査研究などによる究明の方針について、並びにアジアでの口蹄疫発生の現状と国際協力による疫学調査、また口蹄疫根絶に向けての協力体制の構築などについて山田農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
  68. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 口蹄疫対策は一応終息できたと思っておりますが、で、新しい牛も導入できました。しかし、今後どういうふうになっていくかといいますと、韓国では一月に発生したA型が、四月にO型が発生するという、中国でも、またアジアでは台湾でもそうですが、依然として猛威を振るっておりますので、いつ入ってくるとも限らない。それに対する緊急対策、私が今回いろんなことで学習した結果、いわゆる二十時間以内に殺処分できれば必ず蔓延を防ぐことができると、そう確信するに至りました。  そういう意味で、韓国とも話してまいりましたが、中国とも今回、日中韓でひとつ共同研究しようじゃないかと。今、第三者委員会で、検証委員会、これを精力的にやっていただいておりまして、今月の半ばぐらいまでに中間報告が出るかもしれません。そういったことを基にしてしっかりとこれからの対策をやっていきたいと、家伝法の改正も含めてそう考えているところです。
  69. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私は、感染経路の究明の方がどこまで進んでいるかという質問もさせていただきましたが、黄砂運搬説等も学者の中では出てきているということでありますので、この感染経路の究明は現状はどの程度まで進んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  70. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 失礼いたしました。  感染経路については、疫学調査チームというのに今やっていただいております。この中には民間の獣医さんも入ってもらったりしながら、かなり厳しくやっていただいたつもりです。  いろんなことが分かってまいりました、感染ルートは。当時のその農場の日誌とか、どこにどういうえさを運ぶトラックとかそういったものが入ったとか、そういったあらゆるもの、あるいは聞き取り調査等を基にしてやっているものですから。ホームページで公表されているものもありますが、その中で、かなり正確な疫学調査の中で、今回の感染が何に基づいたものであるか、どこから入ってきたものであるか、これについても何とか究明できないかとやっているところですが、現時点では不明です。
  71. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 なかなか前回の発生のときにも感染経路等は解明されなかったということでありますけれども、再発防止に関しましてはこの感染経路の解明ということがやはり大変重要だろうと。そうでなければ、またいつ口蹄疫が発生するか、宮崎県だけでなくて、ほかの畜産の盛んな県でも発生する可能性が出てくるわけでありまして、皆不安を持って経営をしているわけでありまして、これはしっかり日中韓共同等の研究も進められて解明に努力をしていただきたいと思います。  先ほど大臣の方からも家畜伝染病予防法の改正のお話も出てまいりました。今回、予想外の大きな被害を被ったわけでありまして、この家畜伝染病予防法も今回の対策等の経験を踏まえて改正が必要であろうと、そのように考えておりますけれども、政府の改正に向けての方針について大臣にお伺いをしたいと思います。
  72. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) まず一つは、感染経路を今回明らかにするに当たって、単なる今までのところ立入調査は一応できるようにはなっているんですが、任意の聴取しかできていなかったとか、いろいろあります。しかし、実際にやるとしたら、司法警察員のいわゆる資格を持った調査員、そういった形でかなり強制捜査も必要であると今回現地にいてつくづく感じました。そういう意味で、家伝法においては、いわゆる立入検査等に伴う強制捜査権も付与した防疫員というものの必要性が一つあります。  二つ目は、今回、非常に殺処分するための埋却地、これについて随分、かつてこの家伝法ができた時代はすぐそばに埋められたんでしょうが、今は密飼いをやっております。そういう、いわゆる私に言わせれば出口のないといいますか、そういう飼い方はいかがなものかと。そういったもので、そういった場合の殺処分、埋却の在り方も含めて、いわゆる家畜の飼い方も含めて、ひとつもう一回今度の検証の結果を待って検討させていただければなと。  それと、やはりこれは、これまでの家伝法では県が、法定受託業務ですから県の方でいわゆる口蹄疫対策をやることになっております。実際、口蹄疫ぐらいの家畜伝染予防法になりますと、国が直接自ら国の危機管理として責任持ってやる、こういう体制をきちんと整えなきゃいけない、そのためにも法的整備が必要であると、そう考えております。  幾つかはございますが、検証の結果を待ってそういうところをしっかりと対応を検討していきたいと考えているところです。
  73. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今回の宮崎県を中心として、様々な大変な御苦労をしながら防疫体制、あるいは今後の経営再建のためにどのようなことをしていったらいいのか、そういう大変な経験をされたわけでありますけれども、またこれからも対策を進めていくわけでありますけれども、今後ほかの県でもそのような感染がいつ起こるかは分からないということがありますので、今回のこういう経験を生かして、宮崎県からの要望では家畜防疫研修施設を国が関与しながら整備したらどうかというような御提言もあるわけでありますけれども、この点に関しまして農林水産省としてどのようなお考えを持っておるか、お伺いしたいと思います。
  74. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 家畜防疫技術を常日ごろから向上しておかなきゃならないということは、渡辺委員の御指摘のとおりでございます。  農林水産省は、毎年、動物衛生研究所におきまして、農林水産省が主催いたしまして、家畜防疫員、各県のです、都道府県の家畜防疫員を対象にいたしまして、病性の鑑定、それから牛、豚、家畜ごとの病気についての家畜衛生講習会を開催しております。こういったことをちゃんとしていく必要があるんじゃないかと思います。  宮崎県でも、宮崎県だけでは対応できなくて、各都道府県から家畜防疫員、現場の実態を承知している家畜防疫員の方に来ていただきました。知識、経験についても異なるということで、常日ごろから準備しておかなくちゃならないと思っております。  ただ、だからといって、宮崎県の先ほどから話題になっております基金等の要望の、この分厚い要望書の中の一つに宮崎県にも研修施設というのがありましたけれども、これはやっぱり狭い日本ですからあちこちに研修施設は必要ないんじゃないかと思います。東京に来ていただいて、同じ技術でもって同じように研修していただいて技術水準を一定に保つということで、東京の施設を充実して活用していくことで十分ではないかと思っております。
  75. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 ちょっと大臣がお席を外しましたので、また戻ってきてから質問をする項目もございますので、少し質問を飛ばさせていただいてと思っております。  口蹄疫に対し、口蹄疫の、経営再建、地域復興のためにはやはり基金というのが大変重要でございまして、先ほどからもいろいろ議論が大臣とあったわけでございますけれども、宮崎県としては三百億円規模の三年間取崩し型の基金創設を要望をしておるわけでございます。また、鹿児島県の方も地域の活性化のために基金創設を求めているわけでありますけれども、先ほどの大臣の答弁をお聞きしますと、検討はしているけれどもまだすぐにという段階に来ておらないようでありますけれども、この点について、大臣、あっ、済みません。
  76. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) どうも済みません。  基金について。
  77. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 基金の方で。  先ほども質問ございましたけれども、質問通告もしておりますので、宮崎県、鹿児島県等、基金創設について計画を立てておるわけでありますけれども、やはり政府の基金に対する支援、これは口蹄疫対策特別措置法で、第二十三条で設置のことを決めておるわけでありますけれども、大臣に是非とも早急にこの基金設置に向けて、また基金の在り方について方針を示していただきたい。今努力中ということでありますけれども、重ねてその点を要求したいと思います。大臣、いかがでしょうか。
  78. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 先ほどもそういうお話出ましたように、農水省だけでというわけにいかない話ですので、財務省、経済産業省、総務省ともよく連絡を取りながら、できるだけ早く取りまとめることができるように検討を是非やらせていただきたいと思います。
  79. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そのほかにも、基金での支援ということの以外にも様々な口蹄疫で被害を被った県では対策を講じておるわけでありまして、基金の支援に適さないような対策についてはやはり特別交付税措置が必要であろうと。それからまた、手当金等が農家さんに渡るわけでありますけれども、これも是非とも非課税措置農林水産大臣から関係大臣要求をしていただきたい、実現を図っていただきたいと思います。この点について一言お話しいただければと思います。
  80. 舟山康江

    大臣政務官舟山康江君) 御指摘のとおり、様々な対策を打たせていただいておりますけれども、今農林水産省といたしましては、防疫措置に要した残りの県負担分、それから復興対策に要する費用について、総務省に対して特別交付税の措置を要請しております。  また、その非課税の扱い等ですね、そちらについても、課税の取扱いにつきましても特例措置を創設するよう要望しているところでありますので、是非実現できるように精力的に交渉していきたいと思っております。
  81. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 もう時間がなくなってきました。米価下落、そしてまた米の在庫過剰の問題等、また後日質問をさせていただきますけれども、先ほどもお話がありました、農水省としては来年度から新しい、回転備蓄から棚上げ備蓄の方に制度を変えていくというようなお話を聞いておるわけであります。概算要求でもそのような予算の要望が出ておったわけでありますけれども、これをどのようにこの方向に変えていくことになったのか、まず簡単に、この理由だけまず今日はお伺いをして、質問を終わりにしたいと思います。
  82. 舟山康江

    大臣政務官舟山康江君) 備蓄の在り方ですけれども、これまでの米の備蓄運営につきましては、二、三年程度で備蓄米を更新するという回転備蓄を前提としておりました。しかし、実際には、需給緩和時には追加的な政府買入れ、それから政府備蓄米の販売抑制など、事実上の需給調整機能や米価維持機能を求められてきていました。  このような運営というのは、法律上、備蓄というのは法律上、消費者対策として不測の事態に備える、まさに不測の事態にしっかりと安定供給できるような、そのためのものだという原則があったわけですけれども、その原則から著しく乖離しているというところから、非常に、何というんですか、恣意的な運用が行われてきてしまったということ、それから、生産者流通業者などが買入れ時期、買入れ数量があらかじめ予見できない、市場を混乱させる原因にもなってきたと思っています。  そういう中で、今般、米の不足時に消費者にきちんと安定供給を図るという法律上の備蓄本来の機能にきちんと立ち戻るべきではないかということで、もう一つは、市場に対してより透明性を確保した形での備蓄運営を行っていきたい、そんな中で、基本的には回転備蓄から棚上げ備蓄に見直すということを検討しているところであります。  その具体的な内容を簡単に申し上げますと、今考えておりますのは、百万トン水準の米の備蓄を前提に、主食用として賞味し得る保管期間、五年程度ですけれども、これに配慮をして、計画的な年産更新を図ることを目的として毎年二十万トンを買い入れ、これを五年間保管し、使われようが使われまいが、結局、毎年使われなくても二十万トンについては主食用以外の用途に販売をして主食用には流れないような、そんな形で運用していきたいと、これを基本としています。
  83. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 議論はまた後でさせていただきたいと思います。これで質問を終わります。
  84. 横山信一

    ○横山信一君 それでは、早速質問させていただきます。  畑作の盛んな北海道におきましては、ビート、てん菜、小麦、大豆、バレイショ栽培を組み合わせた三作ないし四作の輪作体系というのが維持をされております。平成二十年度統計によりますと、北海道のバレイショ、ジャガイモの生産量は二百十三万トン、これは全国の七八%、そして同じく小麦は五十四万トンで六二%、そしてまた大豆は六万トンで全国の二二%ということで、我が国の生産量の多くをこの北海道の畑作地帯で担っているということであります。  こうした背景の下で、平成十九年度に水田・畑作経営所得安定対策が導入をされまして、ビート及びでん粉原料用ジャガイモ、これは輪作体系上欠くことのできない農作物であると、そういう位置付けをされ、特別措置が講じられております。  こうした増産支援というのは昨今の国際的な食料事情に照らしても大変重要な取組であるというふうに考えておりまして、国際的な需要面では、開発途上国を中心とした人口の増加、あるいは中国、インド等の経済発展に伴う油脂類、肉類の消費の増加が予測されております。  こうした背景の下で、国際的な食料需給、こうしたことを見込んだ上で、国内畑作の生産振興をどのように進めようとしているのか、まずその基本的なお考えを伺いたいと思います。
  85. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 来年の戸別所得補償の本格実施に向けて、小麦とか大豆に加えて、北海道のバレイショ、てん菜、カンショ、サトウキビ等も大変重要な作物だと考えておりまして、今委員がおっしゃられましたいわゆるてん菜とかバレイショについても戸別所得補償対象にさせていただきたいと考えています。
  86. 横山信一

    ○横山信一君 確かに重要だという認識をいただいて安心をしたわけでありますが、その重要だということが戸別所得補償になったんだということであれば、今回概算要求で取りまとめられたこの交付金単価を見ますと、全国一律でこの制度が導入されております。これでは、畑作農家にとってみれば、日本の畑作を一体どこに持っていこうとしているのかという、そういう不安感を抱いてしまいます。  例えば、具体的に申し上げますと、数量単価、数量払いの交付金単価でいいますと、小麦と大豆というのは現行水準を上回っております。しかし一方で、今大臣がおっしゃられた、重要だとおっしゃられたビートとでん原、ジャガイモのことですが、ジャガイモはこの交付金単価を下回っているという現状があります。  これでは、こうした作物を主に栽培している十勝地方ですけれども、この十勝地方では、この畑作の戸別所得補償を導入した場合、現在の輪作体系を維持しようとしたらどうなるかということなんですが、これを試算すると現在の交付金単価よりも約五億円の減になるというふうにも試算をされているわけです。  そうすると、農家はどういう選択をしていくかということになります。今の収入を維持しようとすれば、小麦と大豆の作付けを増やすという方向に当然進んでいきます。そして、今大臣が重要だとおっしゃられたビートとジャガイモの作付けを減らすということに、そういう選択が出てくるわけです。  そうすると、輪作の維持が困難になれば、これは当然農地の生産性は下がります。生産性が下がれば、これはもう結果として食料自給率の低下を招くばかりか、経済に大きな影響を与えるということになってまいります。  確かに世界的な食料事情で見れば砂糖は余っておりますし、そしてまた、砂糖の原料になるこのビートというのは非常に作付けが非常に面倒な、作業量も多いと。そういう意味では、年々その作付けが減少しているという現状にあります。  新制度導入によって、政府は、重要だとおっしゃられたんですが、しかし、この戸別所得補償の制度の内容を見たときには、このビートとでん原というのを輪作体系から外そうという意図が政府はあるんじゃないかというふうに見えてしまうわけです。そうすると、やはりビートとでん粉原料用ジャガイモに対しては加算措置などのソフトランディング対策が必要なんじゃないか、あるいはそういった加算措置をやっぱり、これはもう現地の農家の方たちもみんな求めている、団体も求めていることであります。そういう意味では、しっかりとこの出口対策を示していないことに対して農家のいら立ちが見えているというふうに感じられます。  そういう意味で、この畑作の輪作維持に必要な小麦、大豆、てん菜、そしてバレイショ、これを政府は農業政策の上にどのように位置付けようとしているのか。そしてまた、輪作の主要作物でありながら交付金単価の低いビートやでん粉原料用ジャガイモ、これに何らかの措置を講ずるべきというふうに考えますけれども、お考えを伺います。
  87. 舟山康江

    大臣政務官舟山康江君) まず、やはり北海道におきましては、かなり計画的に輪作体系、地域によっては三輪作若しくは四輪作という形でかなり定着してやっていただいていると思っています。そういう中で、やはりその輪作体系がきちんと守れるような、そういう仕組みをつくっていかなければいけないというのは私たちも十分認識しております。  委員御指摘のとおり、てん菜及びでん粉原料用バレイショについては、これは近年の国際価格が上昇しているということに伴って実は国産の販売価格も上昇しています。そういう中で、支援単価は、現行の経営所得安定対策と比較して確かに、御指摘のとおり、十アール当たりてん菜で千円、でん粉原料用バレイショで千四百円減少した形の要求をしているというのはそのとおりであります。  ただ一方で、今申し上げましたとおり、販売価格の方もこれは幸いなことに上昇していると。これはここ数年見ても、特にバレイショの方はかなり大きく上昇しておりますし、てん菜についても趨勢的に少し上向きであるという状況がありまして、交付金と販売価格を合わせた農家手取りは現行対策の策定時よりも高い、再生産可能な水準を確保しているのではないかと、そんなところを考えています。  一方で、やはりソフトランディングという言葉がありましたけれども、今年、米のモデル事業をやったときにも、やはりその単価を一律に決める中で、やはり従来に比べて大きく手取りが減ってしまう地域があるではないかとこの委員会でも相当御指摘をいただきまして、そういう中で激変緩和措置というものをとらせていただきました。  今回、畑作物所得補償の導入に際しては、やはりそういう生産状況に配慮しつつ、円滑な導入を図る観点から、都道府県の判断で、畑地もこの産地資金ですね、そういった極端に減るところに少し上乗せをできるような、そういった柔軟に使える産地資金の対象にできるように概算要求にも盛り込ませていただいています。
  88. 横山信一

    ○横山信一君 やはり現地の事情を聞いていただきたいと思うんですね。確かに、その販売価格が上がっているから大丈夫じゃないかと。しかし、現地は大丈夫じゃないとみんな認識しているわけです。これはもう下がるんだということはもう確実でありまして、そういう意味では是非農家皆さん方との直接のお話をしていただきたいと思います。  では、もう時間ないので最後の質問になりますけれども、今年も異常な酷暑でありまして、これはもう畑作地帯にも大変な被害をもたらすであろうということが予測をされております。既に大豆に実が入っていない、あるいはジャガイモにすがいっぱい入っていると、そしてまた小麦の収量が低下するというような、そういった既に収穫状況が出ているということであります。  そういう意味で、こうした農業被害に対して、今、日本の経済は、これ農業だけじゃないですが、非常に疑心暗鬼に満ちた経済状況にあります。そしてまた、農家の皆様方も、どうなってしまうか分からないと、ましてや新制度が導入されるという、そういう状態の下で皆さん方は非常に不安に思っているわけです。  そこへもってきて、こうした収量の低下ということが予想されているという中で、やはりこの救済策というのを今からきちっと示しておく必要があるんじゃないか。そしてまた、今これだけの地球的な規模で気候変動があるのであれば、農業共済事業ということもこうした深刻な状況を踏まえた適切な単価設定となるような見直しも必要なんじゃないか、このことを最後に伺いたいと思います。
  89. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 舟山政務官。  なお、質問、時間が過ぎていますので、答弁は簡略にお願いします。
  90. 舟山康江

    大臣政務官舟山康江君) はい。  農業共済の単価につきましては、共済契約時点で確定している直近五か年の各都道府県における平均的な販売価格を基に設定しています。品目によって若干違いますけれども、その時点で分かっている、取れる一番直近の価格で五年平均、五年で上と下を切った、いわゆる五中三と言われていますけれども、五中三の価格を基に設定していますので、近年の価格の動向を適切に反映していると考えています。  いずれにしましても、今後ともやはり不測のその農業被害に対して、通常の所得の減少については戸別所得補償対応しますけれども、こういった災害による減収についてはこの共済、まさにセットで十分に補償が行われるように努めていきたいと思っています。
  91. 柴田巧

    ○柴田巧君 みんなの党の柴田巧です。初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。  さて、御案内のように、さきの参議院選挙で私ども大きく躍進をさせていただきました。これも、私たちが申し上げてきた、小さな政府で地域が主役、民間が主導の成長国家を目指していきたい、こういう私たちの政治理念や政策方向が高く評価されてのことだと思っております。そういう考えに基づいて、今この農業を取り巻く環境は大変厳しいものがありますが、いかにこの日本の成長産業に農業をしていくか、また地域の基幹ビジネスにしていくか、こういう視点でいろんな問題を取り上げてまいりたい、政策を実現をしていきたいと思っている次第です。  いろいろ農業には逆風が吹いているわけですが、それを乗り越えていくためにも、一つは、地域の知恵をどう活用するか、また業種を超えた連携をどう進めていくか、こういったことが重要だ、こういったそれぞれの持ち味を生かした取組が点から面になって、それが日本農業の底上げにつながっていくものではないかと思うわけでありますが、そういう観点から、今日は限られた時間でありますけれども、質問をしてまいりたいと思っております。  まずは、いわゆる産地資金についてであります。  御案内のように、来年度からこの戸別所得補償制度を、本格実施になるわけですけれども、食料自給率の向上を目指していく、やっていくということはもちろん重要なことでありますが、先ほどからもお話があるように、多様な地域農業の維持発展を進めていく、やっていくということも私は併せて大事なことだと思っています。  言うまでもありません、農業は大自然を相手にやるわけですから、当然、九州も北陸も、そして今もお話あった北海道も条件が違うわけです。したがって、基本的にこの東京で、霞が関で一律に物事を決めていこうということ自体、どだい無理があるわけですけれども、この担い手が地域の気象条件や経営条件に応じて作物を、作目をしっかり選択できる、そういうやっぱり仕組みを整えていくということが私は大事なことだと思っております。  そういう中で、今年度から水田利活用自給力向上事業が実施をされているということであります。この麦、大豆など自給率にかかわる作物を戦略作物とする一方で、それ以外の作物や花卉、球根などはその他作物という位置付けで国の支援が大きく後退するということになったわけです。確かに、激変緩和措置が取られて二百六十億円設けられて何とか円滑に導入をすることができたということでありますが、来年度はこの激変緩和措置を発展的に解消して、この地域農業の振興を支援するとして産地資金が設けられるわけですけれども、先ほど申し上げました多様な地域農業の維持発展を支えて、地域に応じた、その戦略作物以外の作物にも生産意欲が生じる、そういう制度、仕組みであるべきだと思っております。  私の地元は富山県でありますが、ここにはちょうど同じ富山県の山田先生、野上先生もおられますが、水田率が九六%というところであります。生産調整が必要な米と転作作物の組合せで経営農業が成り立っているというのが実際のところですが、やはり麦、大豆等の需要や収益には限界があります。したがって、野菜や花卉などの複合経営を進めていかなきゃならぬ、そして収益を拡大を図っていかなきゃならぬというのが実際のところです。  これまでは産地確立交付金によっていろんな新しい特産品を育ててきた。例えばチューリップもそうでありますし、最近ではハト麦なりタマネギなり、新たな産地化が進んできているところです。特にハト麦などはその機能性を生かした新たな商品が、ハト麦茶でありますとか、あるいは美肌効果があるので化粧品やそういったものなどなどに、あるいは健康食品などにつなげていこうと、こういう取組がされているところであります。  ちなみに、これは氷見市が中心にやっていますが、ハト麦茶の取組は、先般も経産省と農水省の農商工連携のベストプラクティス30にも選ばれたりしたわけですが、この耕作放棄地を復元していく、あるいは一本売れるごとに五円を地元の市に寄附するという仕組みなどが大変評価をされているところでありますが、いずれにしても、これまでの産地交付金は非常に自由度が高かった、つまり県などを経由して市町村やJA、農家などでつくられる地域水田農業推進協議会などに配分されて、そこで使途が決められてきたわけですね。したがって、地域で重点的にやっていきたいという作物を決めて、地域主導で意思決定がやれる、この制度、仕組みがやはりそういったものを育ててきた、成果を上げてきたと思うわけです。  したがって、この産地資金、つくられるわけですが、そういった良い部分は可能な限り取り入れられていくべきだと思いますし、守っていきたい作物、伸ばしていきたい作物というものを地域主導で選択できるシステム、これは地域の意欲喚起につながると思いますが、こういったやっぱり仕組みをしっかり残して維持発展をさせていかなきゃならない。地域が一生懸命取り組んできた特産作物を、やっぱり国としても大事にこれからも扱って、生産意欲がそがれないように、また一律の所得補償ばかりに傾注するのではなくて、頑張る地域や農家を応援するようなものであるべきだと思いますが、この産地資金、地域農業の維持発展を支えていくために地方の裁量発揮可能な仕組みにすべきだと思いますが、大臣のお考えをまずはお聞きをしたいと思います。
  92. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 今回、激変緩和措置に代わって、新しく水田活用事業の中にいわゆる産地資金というのを今度の概算要求で創設することにいたしました。  この産地資金は、いわゆる全国一律の単価で戦略作物をやるだけでなく、その地域の特性に応じたものに対してその地域の判断で上乗せすることができる、あるいはその他の作物、花卉、そういったものについても適用できる、そういう方向に整理させていただきました。十分地域の特性に応じた、ハト麦とかチューリップとかそういったものでも、県がその方向で考えていただければできるものだと考えております。
  93. 柴田巧

    ○柴田巧君 そうすると、確認ですが、この対象作物や単価、あるいは加算等を柔軟に設定できる仕組み、地域の創意工夫の取組が拡大できる仕組みになるというふうに理解してよろしいわけですね。
  94. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 恥ずかしそうにチューリップってちょっと言われましたけれども、富山県は衆議院にも宮腰委員がおられまして、もう十二分に農林水産の政策については富山県の意向が反映されているのではないかと思います。  そういったことを、よく農政をやると、地域の実情、地域の実情とすぐ出てくるんです。しかし、これはなかなか難しくて、やはり全体像は国で示して、その後地域でそれなりに対応をしていただくと。そういったことを考えますと、今、柴田委員御指摘になりましたように、産地資金というのはまさにその間を縫って潤滑油になるものではないかと思います。正確な仕組みというのはまだ検討中でございますけれども、山田委員から先刻御指摘になりましたけれども、今までのやり方をがらっと変えているわけですね。全国一律ということにいたしました。ですから、いろいろ調整が必要なんじゃないかと思います。  その一つに、激変緩和措置というのが今回のモデル事業にあったわけですけれども、激変緩和措置というのは一年かせいぜい二年でして、毎年続けるものではございません。それで、産地資金ということにいたしまして、激変緩和措置的なものに使ってもいいし、これまでもほかの作物について十アール当たり一万円出しておりましたけれども、それはどのような作物に、例えば違う作物でもいいわけですし、麦、大豆が大事だったら麦、大豆を上乗せするのに使ってもいいわけです。そういった実情を、地域によって違うわけですから、勘案してやっていただくということで、産地資金、考えております。  それから、お金の方も、先ほど二百六十億というのがありましたけれども、その部分と今の他作物に使われた分を一緒にしまして、四百三十億円ほど産地資金に回しております。これは都道府県で考えていただいて、国と協議していただいて、自由に使っていただけるんではないかと思います。
  95. 柴田巧

    ○柴田巧君 いずれにしても、農家のやる気を引き出していくということがやっぱり大事なことだろうと思うわけですが、これまで一生懸命地域の中で実情に応じて頑張ってきた、そういう取組というのはもっともっとやっぱり大事にしていただきたいものだと思うわけですね。  この助成水準、これから決めていくんだろうと思いますけれども、これがもし下がるというようなことがあればやはり意欲が減退していく、それが水田の耕作放棄地等々にやっぱりつながっていくというおそれがあると思うんで、そこら辺の水準もしっかりしたものにしていただかなきゃならぬと思うんですが、そこら辺の考え方、先ほどもちょっとおっしゃいましたが、改めてお聞きをしたいと思います。
  96. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) 国がきちんと設定いたしました戦略作物については交付単価決めておりますけれども、それ以外の作物等については各県、都道府県にお任せしたいと思います。ただ、法外な単価になったりするといけませんので、国と協議していただいて決めていただければいいんじゃないかと思います。
  97. 柴田巧

    ○柴田巧君 いずれにしても、それも含めて、やはり早期の情報提供なり具体的にどうなるかということを示していくことが非常に重要ではないかなと思います。  昨年は大きく政権も替わったりしたことももちろんですけれども、この産地確立交付金の配分を見込んで作付けがもう既に始まって、その後いろいろ、この激変緩和措置などがとられるということがあったわけで、非常に生産現場は混乱をしたと思います、年末は。したがって、そういうことのないように、これからまた作付けを控えていくわけですから、この産地資金の具体的な制度内容等々、助成の内容ですね、具体的な内容等々を早期にやっぱり示す必要があるのではないかと思いますが、そこら辺、どういうふうに考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  98. 篠原孝

    ○副大臣篠原孝君) できますれば早く、臨時国会に法案を提出して、速やかに御審議していただいてということが理想なわけでございますけれども、臨時国会にはちょっと間に合いそうもありません。ただ、山田大臣がいろんなところで申し上げておると思いますけれども、通常国会には少なくとも法案の形でお示ししたいと思いますが、その前に、具体的な仕組みや都道府県がどの程度柔軟性を持って取り組めるかというようなことにつきましては、説明会等を開きまして、なるべく早く示してまいりたいと思っております。
  99. 柴田巧

    ○柴田巧君 是非、その点、よろしくお願いをしたいと思います。  それでは、もうわずかになってきたので、もう一つだけお聞きをしたいと思いますが。  先ほど申し上げましたように、これからの農業を伸ばしていくためには、いわゆる業種を超えた取組、農商工連携などが大変私は重要なことだと思っております。これは新たないろんな計画の中にも既に示されているところでありますけれども、特にこれから一つ力を入れていくべきではないのかなと思いますのは、実は昨日もある施設を実際見てきたところでありますが、植物工場というものであります。  御案内のように、光や温度、養分など、環境を人工的にコントロールして農作物を栽培する施設のものでありますが、これによって、その工場の中でやられるということによって、生育が季節や気候に左右されず計画的に安定供給できるというメリットや土地を選ばないというメリットもあるでしょうし、単位面積当たり生産量も非常に高いし、これがいろんな高付加価値化につながっていくというのは御存じのとおりであります。  されども、いろいろなコストが掛かるといった面等々、多々課題があるのも事実でありますが、国としては経産省とともに今これを、二十年度五十か所あったのが二十三年度末に百五十か所にしていきたいという計画を、目標を掲げているところであります。  これから目指していくその農商工連携の一つの、あるいは日本農業を伸ばしていく、成長させていくモデルにこの植物工場はなると思っておりますが、これまでの取組状況、そしてこれからどういう支援策をしていくか、充実をしていくか、是非お聞きをしたいと思います。  昨日、実際にやっておられる人にお聞きをすると、自分たちは農業をやっているんだと、自分たちの技術やそういうアイデアをもって日本農業を良くしていきたいと思っている。けれども、なかなかいろんな規制の緩和や支援が薄くて十分なことができないということをおっしゃっておられましたが、是非日本農業を農商工連携で、あるいは新たな次世代農業としていくためにも、この植物工場というのは大変ある意味では意義のあるものではないかと思っていますが、どうやって支援を充実させていかれるか、併せてこれまでの取組と、お聞きをしたいと思います。
  100. 舟山康江

    大臣政務官舟山康江君) 植物工場というのは、一般的には高度な環境制御を行うことによって野菜などの周年・計画生産が可能な施設園芸の一形態であると理解されています。  私は、やはり農業生産の基本は土を使い、太陽光を利用してと、これが基本になると思っていますけれども、今委員が御指摘のとおり、やはり一方でそういった環境制御等の先端技術というのは今後施設園芸を営む農業者にとっても幅広く利用されることが期待されるということから、農林水産省では経済産業省とも連携を図りつつ、例えば、民間が有するIT技術などを利用して植物工場など高度な施設園芸の低コスト化技術の開発、実用化を推進するとともに、また、農業者が共同利用により施設導入を行う場合には環境制御型の大型ハウスなどの施設導入を支援対象としています。  全く太陽を使わない完全人工光型植物工場もあれば、本当に一般の農家の方々が行う太陽光を利用する植物工場、また土の代わりに養液を使う工場、様々ありますけれども、その技術についてはやはり幅広く応用ができると、そういった観点から是非、今申しましたとおり、引き続き経済産業省とも連携を図りつつ支援をしていきたいと思っています。
  101. 柴田巧

    ○柴田巧君 終わります。
  102. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。時間十五分ですので、早速質問に入りたいと思います。  まず、食料自給率引上げの戦略作物になっている小麦の問題についてお聞きをしたいと思います。  今年の三月に民主党政権として食料・農業・農村基本計画を策定をし、食料自給率を二〇二〇年までに五〇%まで引き上げるというふうにしています。計画では、その五〇%に引き上げていく上で、寄与率ということで見るとそのうちの三分の一を小麦に充てているということで、言わば戦略作物に位置付けられているというように言っていいと思うんです。ところが、現実にはこうした政策の打ち出しと逆行する事態が起こっているわけですね。  というのは、小麦の主産地北海道である十勝に先日行きましたけれども、うどんなどのめん向けの小麦として開発をされている品種に「きたほなみ」というのがあるんです。この「きたほなみ」の作付面積を今広げているんですけれども、これまでは主力品目というのが「ホクシン」だったんですけれども、大体「きたほなみ」だと収量が二割、三割増えるんですよね。  それで、これを増やしていこうということで、自給率向上につなげていこうということで計画を作って進めてきたわけですけれども、もちろん増やしていくということはそれに伴って乾燥施設ということも当然必要になってくるわけで、その乾燥施設を増設したり増やすということで予算要求をしてきたわけです。ところが、国からはこの予算要求に対してはほとんどゼロ回答ということになっていて、それは強い農業づくり交付金というふうに交付金制度に変わったという経過があって、それが前年度二百四十四億円だったのが、四一%カットされて約百四十四億円ということで、百億円も削減されたと。そのことによって、今まで各農協に交付されてきたこの乾燥施設の補助金が認められなかったということがあるわけです。だから、一個はできるけど、あと二個はできないということになって、実際にはもう播種前契約なんかで契約進めてきたのに、生産者にしてみたらはしごを外された形になって困ったということになっているわけなんですね。  それで、なぜこういう政策打ち出しながらこのような失態の状況になっているのか、それから、これに対してはどう対応するのかということについて明らかにしてほしいということが一点です。  もう一点お聞きしたいのは、農協によっては協力し合って何とかやっていくために施設造っていこうと、そのために、一定の財力を集めてやっていく上でも自給率向上のために無利子融資制度の創設ということなんかも検討してもらえたら助かるという声も出ているんですけれども、ちょっとこの二点について最初にお聞きをしたいと思います。
  103. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 確かに、小麦のその乾燥施設について、強い農業づくり交付金が前回仕分で減らされまして、非常にあれは優先順位が、いっぱいいろんな要望があったものですから、この「きたほなみ」ですか、北海道のそれは外されてしまいました、残念ですが。  こういったことにかんがみまして、今回、二十三年度概算要求で、戸別所得補償制度の緊急対策としてそういう乾燥施設等をその中で予算計上することにいたしました。是非、戦略作物、小麦とか大豆等々に対する、例えば飼料米倉庫とかそういったものも含めて、いろいろと今回緊急に整備しなきゃいけないものの整備、これも同時に取り組んでいきたいと考えております。  もう一つ、無利息の資金をどうかということですが、今回一般予算の中でも無担保無保証、無利息の予算というのも出てきておりますし、いろいろ無利息の、今度政策金融公庫から、今まで各都道府県でやっていたものを無利息で貸し付ける制度、これは名前は何といったかな、農業改良資金、そういう制度もございますし、セーフティネット資金もいろいろありますし、スーパーL資金とかそういったものを利用していただいて何とか、できるだけ自給率向上というか、そういった方向に沿った形でできればと考えているところです。
  104. 紙智子

    ○紙智子君 今そういう事態を打開していくといいますか、二十三年度からというお話があって、まあそれはそれとしていいんですけれども、問題は今の話なんですね。実際取り組んでおられる農家の方は、要するにもうそのつもりで進めてきたわけで、来年度から予算付いても、今どうするかということになっているわけですよ。だから、出ている声は、じゃ、補正で何とかやってもらえないのかということなどもあるんですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  105. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) その資金とあと二つ三つぐらいそういうものがございまして、今回の経済緊急対策に盛り込まれないかどうかということでお願いしたんですが、これちょっと入ってないんだな、次の補正でという形で今調整させていただいているところです。
  106. 紙智子

    ○紙智子君 次の補正というのは、今年度
  107. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) もし今度、今年、多分補正になると思うんですが、そのときに。
  108. 紙智子

    ○紙智子君 補正に検討しているところというふうに受け止めてよろしいですか。──はい。  それじゃもう一つなんですけれども、口蹄疫の問題です。  終息宣言を受けていよいよ産地の復興が最大の課題ということでありまして、私も実は八月の十六、十七と現地に行ってまいりました。終息に向かったということで、ずっと農家を回ったんですけど、もうとにかく畜舎という畜舎は全く一頭もいないと、閑散とした状況の中で農家皆さんが肥料の、堆肥の切り返しを一生懸命やって、とにかくもうこれで絶対に菌は発生しないということでの安心をつくらなきゃということで、本当に頑張っておられたわけですね。  それで、私が行った農家一つは、要するに、発生はしなかったんだけれどもワクチンを打って、やっぱり止めるために六百七十頭の牛を全部亡くしてしまったという農家で、そこの方がおっしゃっておられましたけれども、息子たち夫婦は頑張ると言っていると、だから何とかやっぱりつなげていきたいという思いを話をされていまして、やっぱりそういう復興しようということでの思いにこたえていかなきゃいけないということを痛感をしました。  ところが、先ほどもちょっと議論があったんですけれども、依然として明らかになっていないのがこの特措法二十三条の基金の問題なわけです。それで、宮崎県としても三百億円の基金の設置ということで要請をしてきていて、先ほどのやり取りの中でも、要は、県とも話をして、県でどういうふうなものにするかということを待っているかのような話もあったわけですけれども、やっぱり時間が掛かってきていると。これはもう本当に現地にしてみたら、いつになったら早く煮詰まるのかという思いで来たわけで、これに対して大臣としてどういうふうに受け止めてどうしようとしているのかということで、明らかにしていただきたいと思います。
  109. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 農水省としては、できるだけ早くという形で、いわゆる官邸にも、財務省、総務省にもお願いしているところですが、具体的に農水省の事務方でも官邸の事務方でも財務省の事務方でも詰めてもらっております、現段階で。あとは、最終的には官邸でどう調整していただけるかなと私は思っているところなんです。私なりの考え方も話ししておりますし、農水省でできる部分についても、こういうものは農水省でできますと、そういう話もしておりますし、あと、できるだけ早く決まっていただければ私も有り難いかなと思っているところなんですが、急がせるようにしたいと思います。
  110. 紙智子

    ○紙智子君 八月の二十七日に枝野幹事長が宮崎県に行った際に、三百億円の規模の基金について、既存の制度、枠組みの下ではなかなか難しいということを述べられたという報道があったんです。これはどういうことなのかというふうに思うわけですね。既存の制度、枠組みの中では、基金の問題が特措法でも決まっているにもかかわらずこういう話をされたというのは、やっぱりそこに何かがあるというふうに思うわけですけれども、この点については把握されているんでしょうか。
  111. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 枝野幹事長がどのようにおっしゃったか私も定かじゃないんですけれども、ただ、基金について私どもも各省とも検討した中で、宮崎県が三百億の要求の中の二百億円は県の単独の公共事業なんです。これは、いわゆる復興資金とはなじまないだろうと、いわゆる基金としてはなじまないだろうと。そういう形でもっと、いわゆる観光とか中小零細企業に対するいろんな対策を経済産業省でも考えておりますし、我々農水省としても家畜の導入等々についてのいろんなことを今も手当てさせていただいておりますが、いろんなことを考えておりますので、そういったものを含めた、そういった本当に何が必要なのかという形で結構詰めの段階に入ってきているんじゃないかと考えているところです。
  112. 紙智子

    ○紙智子君 補助金の、その補助金適正化法というものに何かちょっとかかわるという話もちょっと耳にもしたんですけれども、それがあるのであれば、そういうことの法改正も含めて考えるべきだというふうに思うんです。  それで、基金の設置の問題は、特措法で全会一致でこれ確認しただけでなくて、大臣自身も八月四日の予算委員会質問の中で、総理からも基金を設置するようにという指示をいただいたんだと、で、どういう形にするのかということを含めて鋭意取り組んでいるという答弁をされていて、それからもう一か月過ぎて、特措法ができてからは三か月たっているわけで、やっぱりもう待てないということになっているわけです。余りにもやっぱり遅いと言わざるを得ないわけで、今せっかく復興に向けて意欲を持ってやっていこうとしているときに、その出ばなをくじくということになりかねないというふうに思うわけです。  ですから、是非、まあ大臣としての考え方も示しているということなんですけれども、必要となるならばその特措法の改正も含めて、そういう、さっき言ったような適正化法に引っ掛かるということであればそれを変えるということも含めて政治主導でやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  113. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 確かに、補助金の適正化法というのは、これ、財務省所管の法案なんで私からは何とも言えませんが、いわゆる取崩し型の基金については結構厳しいんじゃないかと思っていますが、阪神大震災のときのように運用益利用型の基金とかいろいろあるかとは思っております。  今回、宮崎県側からの地域の自主的判断を生かした柔軟な事業展開が可能となるような基金という要請については、やはりいわゆる一定の制限受けざるを得ないものと、財務省との私どもの折衝ではそう言われておりますので、そのためにその適正化法を変えるということも、今ここでそうするということも何かおかしなことではないかなと、やはり今できる範囲での基金というものを早急に詰めさせていただければと考えているところです。
  114. 紙智子

    ○紙智子君 現地から共通して出されているのは、やっぱり使い勝手がいいやり方ということをおっしゃっていて、それで急がれるということだと思うんですね。それで、本当に、ルールというか、必要な、何でもかんでもとはもちろんならないと思いますけれども、そういうやっぱり全体を復興させていくということで必要な対応策を基金の趣旨に基づいてやっていく必要があるということを改めて申し上げておきたいと思います。  最後にもう一点質問したいのは、米価下落問題です。  この問題は、私も今年の三月の予算委員会、通常国会の予算委員会でも取り上げて、やっぱり政府が米を買い上げるなど価格の下落を防ぐべきだということを私どもとしては一貫して要求してきました。これに対して山田大臣は、これも、大臣、一貫して買上げを拒否し続けてきているということがあるわけですけれども、その結果として事態はますます深刻度を増しているというふうに思うんです。  先ほども議論がありましたけれども、二十一年産でいうと、六月、一万三千二百九十四円と、これ史上最低価格ということで、それを更に百八十五円下落すると。七月ちょっと上がったということなんですけれども、これだけでもやっぱり農家にとっては大変な打撃なわけです。さらに、今年の新米のJAの仮渡金も一俵当たりで、六十キロ一万円かそれ以下という異常な水準なわけで、各地の米作の農家からは本当にもうこれだったらやっていけないという声が上がっているわけです。一刻もやっぱり放置できない状態だというふうに思うわけですね。  民主党さんの中からも、やっぱりこれは何とかしなきゃいけないと、買い上げるべきじゃないかという声も出ているというふうに聞いています。それから、JAさんも米の緊急需給調整対策を求めているわけです。戸別所得補償制度も、これは米価が安定すれば財源的にも安定するはずなわけで、そういう意味でも大臣としてはやっぱり買上げを決断すべきではないかと、やっぱり柔軟に対応するべきじゃないのかというふうに思うわけです。  その点で、今のこの米価の水準に対する大臣認識を含めて考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  115. 山田正彦

    国務大臣山田正彦君) 先ほども山田委員とも随分いろいろお話しさせていただいたんですが、今、紙委員からもそういうお話ございました。  確かに米価はかなり下がっております、相対取引において。まあ一番下がったのは一万四千二十六円だったんですが、それより今現在、七月に入って九十円ぐらい少し上がってきたみたいですが、いずれにしましても、米価が非常にこの何年間かはずっと下がり続けてきたということで、今も下がっていることは事実なんです。このままでいくとまた下がり続けていくであろうという、そういう言われ方をする方もいらっしゃいます。  そのために戸別所得補償制度をやって、いわゆる生産者の、掛かる生産コストというのは必ず補償いたしますと、農家に直接支払して補償いたしますという制度を取っておりますので、今回は下がるかもしれないけれども、戸別所得補償に参加する方が来年以降更に私は増えていただけるんじゃないかと思っていますが、そういう中においていわゆる需給が安定していくんじゃないか、締まっていくんじゃないか。今年も約五万トンほどペナルティーなしでいわゆる生産数量目標に参加していただいたんで、そう考えておりまして、今言ったように買い上げて価格を引き上げてくれというのは分かるんですが、それをやると、いわゆる変動部分まで補償しながら、予算措置しながら、さらにそこに税金を掛けることが国民の理解を得られるのかどうか。また、戸別所得補償に参加していただいた方々、参加しなかった人たちまでが不当な利益を受けることになりはしないか、不公平感が生じはしないか、そういったもろもろのことを考えますと、今回はこのまま買上げせずに今回の作柄状況その他見ながら、その推移を、買上げせずにいきたいと考えているところです。
  116. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) もう時間を過ぎていますが。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 一言、終わりに。  いろいろ反論したいですけれども、時間ということなので、またこの後の、閉会中審査があるかどうか分かりませんけれども、そこでやりたいと思います。
  118. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会