○加納時男君 今、小沢
大臣がおっしゃったのは非常に正確だと思って、私も全くその説明に納得をします。まさに世界中の多くの学者が集まって多くの知見を持ち寄った。このまとめ方に問題があったとかデータがインチキだったとか改ざんがあったとかスキャンダルがあったとか、いろいろ言いますけれども、私は基本的にこのIPCC、私も国際的ないろんな
会議にコミットしておりますので、IPCCは重要な役割を果たしていると、好意的にむしろ考えていますので、今の御説明はよく分かります。
だとすると、今おっしゃったのは、幾つもの知見を集めたと。私もちょっとチェックしてみたんですよ。そうしたら、これは何も三五〇ppmないし四〇〇ppm、これCO2でいった場合ですね、それだけで二度C以下に下げて二五%という、これを勧告するなんてどこにも言っておりません。ここには、膨大な作業をやって、そしてそれを六つのカテゴリーに分けています。盛んに引用されている、あるいは
総理が引用されたのは、恐らくカテゴリー六つのうちの一つ目の一番だけ、それは三五〇ppmから四〇〇ppm、CO2イクイバレントで見ると温室効果ガス四四五から四九〇ぐらいですか、たしかそういうふうに書いてあったと記憶していますけど。これでいくと二度Cちょっとぐらいで収まるのかなというのが知見として述べられている、これは事実です。このためのシナリオが六つほど書かれている。そのうちの三つは同じ人が書いているというのはもう分かっちゃったんですけど、あとの三つのうちの二つはやっぱり共同作業で一人が書いた。だから三人が書いているんですけど、六つのシナリオがある。おっしゃるとおりなんですね。
ところが、じゃシナリオはこれだけかといったら、シナリオは、私ちょっとチェックしてみたんですけど、私の知っているだけで百七十七のシナリオがある。いろんな知見があっていろんなカテゴリーがあって、何ppmになったならば何度Cというのを幾つも作っている。その中の一つにこれがあると。だから、知見がないとは言いません。知見が示されているけれども、あたかもこれが、科学が要請をしたというふうに
総理がおっしゃると、だれがだれに何を要請したのかなというのはどうも私がすとんと落ちないところであります。
この二度Cというのと四五〇ppmというのは非常にくっついた話としてよく議論されますけれども、二度C以内というのはEUが非常にこだわったんですけれども、これもCOP15では否定されているわけです。つまり、決議されなかったわけであります。これも頭に置かなきゃいけないんじゃないかと。
つまり、このIPCCの試算というのは様々な選択肢を示したものであって、特定のものを、一つのものだけを示したものではない、これは明らかだと思います。もし違っていたらまた御回答ください。
続けて
質問をさせてもらいますけれども、仮に二五%
削減が要請されていた、私はいないと思っていますけれども、されたと仮にした場合、それでも
日本が二五%やらなきゃならないということには全くなりません。
といいますのは、これはIEAがいろんな試算をやっています。仮に
先進国が二五%、
先進国全体で二五%
削減するといった場合に、どこの国が何%ぐらいやるのが妥当かなと。これはまた、私、
質問して知っていますかと聞くのは失礼だと思うので余り聞きませんけれども、もう御存じのとおり、限界費用逓減の法則とか限界費用均等の法則というのがあります。同じ
お金を出していくならば、様々な分野でやるときに、限界費用が均等になるような配分がいいんだ、この例に即していえば限界
削減費用であります。限界
削減費用均等の法則というのがありますから、それでもってアロケートすればいいわけで、IEAはこの計算をやったところ、世界全体でそれは幾らとは言わずに、
先進国全体で二五、アネックスⅠ、附属書Ⅰの国が二五%やるときの妥当な水準というのは、
日本は二五%ではなくて一〇%だというような試算をしています。これから見ても
日本はやや突出しているんじゃないかなというのは感じます。
また、これを、試算を受けて
日本の地球環境産業技術研究機構、RITEというところで限界費用を計算していますので取り寄せて見てみたんですけれども、それを見ると、
日本の限界費用は非常に高くて、つまり、先進、すごく省エネルギーなり原子力なり進んでいる国でありますので、これ以上CO2を
削減するといった場合には非常に金が掛かる。EUの八倍、米国の十倍近く金が掛かるというような試算もしています。
こういうふうに考えますと、どうもこれは科学的知見の、科学的な要請に基づいて二五%というのは、私は明らかにこれはミスリーディングではないかと思います。二五%提案するというのはいろんな考え方がおありでしょうけれども、科学的要請には非常にこだわっているということを申し上げますが、何か御意見があればいただきたいと思います。