○林
久美子君 ありがとうございました。
幼稚園の定員充足率は六九%ということでございました。つまり、幼稚園においては三割が空いているということになるわけでございます。しかし、幼稚園も保育所もいずれも就学前の子供
たちが通っている施設です。しかし、保育所には入りたくても入れない待機児童がいて、片や幼稚園の方は空いているという
状況にあるわけでございます。
では、保育所と幼稚園の違いは一体何なのか。保育所は、八時間保育が基本とされていて、
厚生労働省が所管をする児童福祉施設で、入所に当たっては保育に欠けるという要件が課されております。一方、幼稚園は、四時間の教育が基本とされる文部科学省が所管をする教育施設でありまして、入園に当たっては保育所のように保育に欠けるとかそういった要件は課されておりません。つまり、所管をしているのが
厚生労働省か文部科学省かということであり、同時にその違いは保育に欠けるかどうか、つまりは保護者が共働きなのかあるいは片働きなのかと、就労形態の違いによって子供
たちの居場所が分けられているというのが現状でございます。
実際、御両親がフルタイムで働いている御家庭で、一人目のお子さんが保育所に入っています、しかし、お母様が二人目を授かって、それで産休、育休を取るということになった場合に、上のお子さんの保育に欠ける要件がこれ外れてきますので、そうしたら上のお子さんが保育所を出ていかなくちゃいけないというケースも後を絶ちませんし、あるいはフルタイムで正規社員で働いていた方が、子供さんを保育所に入れながら働いていたけれ
ども、専業主婦になった場合には保育所を今度は出ていかなくちゃいけない、幼稚園に替わらなくてはいけないと、こうしたケースも数多く伺っております。結局、保護者の就労形態が変わるたびに子供
たちが振り回されているという
状況にあるわけです。
しかし、一方では、幼稚園でも両親とも就労していて預かり保育で通常八時間保育を受けているというケースもありますし、地域的な偏在などから、保育所においても共働きでない御家庭のお子さんが通っているというケースもございます。
また、三歳児から五歳児に関して言えば、幼稚園教育要領と保育所保育指針というものによって指導上のねらいとか教育上のねらいというのは合わせて同じように実は作ってあります。事実、保育所も幼稚園も就学前の子供
たちが通う施設であって、内容も近くなってきていると。幼稚園でも保育もやるし教育もやるし、保育所でも教育もやるし保育もやるということになっています。
こうした現状は、既に私は、国の二元行政の形骸化を表しているというふうに思っております。本来は、幼稚園も保育所も関係なく、子供
たちにとってとにかく質の良い居場所が安定的にきちっと提供されるということが大切なんだと
思います。幼稚園が空いているのであれば、保育所
機能を備えて、設備も整えて、御両親とも働いていらっしゃる御家庭のお子さんが通ってもいいわけですし、逆に保育所が多い地域では共働きの家庭でないお子さんが通ったってこれは別にいいわけです。
つまり、待機児童が存在して、幼稚園も保育所も内容がこれだけ近づいている以上、この際、幼稚園と保育所を
一つにする幼保一体化を実現をして、就学前の子供
たちにとって質の良い居場所として提供し、質の良い教育、保育ができるようにしていけばいいのではないかと考えます。そうすれば、地域的な偏在はなくなるし、保護者の就労形態によって子供
たちがあちこちと振り回されることもなくなるのではないかというふうに考えます。
実は、この幼保一体化という問題につきましては、今から六十四年前の一九四六年に既に帝国議会において
議論が行われておりました。私、議事録を確認しましたところ、衆議院の
予算委員会の場でこのように
議論がなされております。幼稚園も託児所も保育の面で内容は本当に同じことをしているのでありますから、これを
一つにして子供を育てていただきたいと。こうして幼保一体化を求める声が既にもうこの六十四年前から少なくとも始まっているということでございます。
また、近年では、形上、幼稚園と保育所を
一つにしたように、形上ですが、見える認定こ
ども園というのが
平成十八年から始まりました。当初、自民党
政権では保育所など二千か所がこの認定こ
ども園になると見込んでいたんですが、実際は、認可を受けた保育所と認可を受けた幼稚園でないと非常に運営も難しくて、去年の四月現在ではわずか三百五十八の施設しか認定こ
ども園になっていません。二千と言っていたのが三百五十八というのが現状でございます。
さらに、この認定こ
ども園といえ
ども、中身はそれぞれがやっぱり幼稚園と保育所でありますので、所管省庁は文部科学省と
厚生労働省と二つにまたがっていて、お金の出口も二つ、書類も二つということで、かなりこれ現場の先生方にも混乱が生じているということも伺っています。
では、なぜ認定こ
ども園が増えてこなかったのか。そして、なぜ少なくとも六十年以上前から提起されている幼保一体化が過去の
政権には実現できなかったのでしょうか。
私は、既得権益を守ろうとするそれぞれの省の縦割り行政が大きな弊害になってきたというふうに考えますが、
総理はいかがお考えでしょうか。
また、過去の
政権にはできなかった幼稚園と保育所の一体化、子供
たちの目線に立った一体化を実現していくべきであると考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。