○山口那津男君 私は、公明党を
代表し、
菅総理の
所信表明演説に対し
質問を行います。
総理、私はあなたの
演説を聞いてあきれてしまいました。あなたの言葉を借りれば、
政治と金の問題、普天間問題に対する
責任を率直に認め、
辞任というけじめを付けた前
総理の勇断を受けて
政権を引き継いだという
政権なのですか。
それでは伺います。普天間問題にどうけじめが付いたのですか。
鳩山前
総理と小沢前幹事長の
政治と金の問題にどうけじめが付いたのですか。はっきり
説明してください。
総理は、
民主党の
代表選挙に当たって、小沢氏はしばらく静かにしてもらった方が本人にとっても
民主党にとっても
日本の
政治のためにとってもいいのではな
いかと述べたと伺いました。特に、
日本の
政治のためにもというのは、前二者と異なり客観的な
意味で使われている。静かにしていないとすると、なぜ
日本の
政治のために悪いのですか。昨日の我が党の井上幹事長の
質問にも答えていなかったので、きちんと答弁してください。それほど大事な問題であるのなら、静かにしていた方がいいのではなく、徹底した解明が必要ではないですか。それとも臭い物にふたをするということですか。これで、あなたが青春の
思い出として
演説の中で誇らしく触れられた市川房枝さんに顔を向けられないのではありませんか。前
内閣の一員として
責任を痛感するというのであれば、その
責任をもっと具体的な言動で示すべく、明確に御答弁ください。
次に、荒井
国家戦略担当
大臣の事務所費問題について伺います。
あなたは、昨日の答弁で、法律事務所や監査法人等に調査してもらっていると人ごとのように述べていましたが、公表された領収書によれば、パチンコ店で流れる音楽を集めたCD、キャミソール、漫画本、マッサージ料金など、明らかに不適切な支出ではありませんか。私も弁護士ですが、調査するまでもなく、だれが見ても不適切ですよ。荒井
大臣自身の
認識をはっきりと御答弁ください。
新
内閣がスタートしたばかりなのに、またしても
政治と金の問題ですか。私は、三月三十一日の党首討論で
鳩山前
総理大臣に、いまだに
政治と金の問題で
議論しなければならないのはざんきの念に堪えませんと厳しく指摘したにもかかわらず、二か月半たっても
民主党は自発的に問題
解決ができず、また新たな問題をさらけ出している。
政治と金の問題は
政治家が起こしたものであり、
国民生活とは直接関係のない障害物なのであります。
国民からすれば、景気
対策を始め、
口蹄疫問題への
対応など
国民生活に直結するあらゆる問題を
議論したいのに、次から次と起きては
解決が放置される
政治と金の問題が邪魔になって、肝心な
議論ができないではないですか。
総理、この問題について、
国民に納得いく
責任ある答弁をしてください。
以下、具体的な
課題について
質問します。
まず、改めて明確にしておきたいのは、
鳩山氏も小沢氏も
政治と金の問題について、
総理や幹事長
辞任では免責されず、何の決着も付いていないこと、その解明をなすべきことであります。その上で、
国民のための
議論の障害物である
政治と金の問題を二度と起こさせないために、しっかりとした再発防止策を講じる必要があります。
私は、二月十七日の党首討論で当時の
鳩山総理に、
政治資金規正法改正に向けた与
野党の協議機関に参加するよう提案しました。当時、
鳩山総理は、
民主党としても与
野党の協議機関の設置に賛成をしたい、大いにこれは各党で協議を進めていこうではありませんかと答弁されました。
しかし、実態はどうでしょうか。
民主党は
鳩山氏や小沢氏の参考人招致、証人喚問を嫌がり、与
野党の協議機関に参加しようともしない。他党に事寄せて自発的に
解決する姿勢がない。前回
衆議院選挙で
民主党が
マニフェストに掲げた
企業・団体献金の禁止も、当時の
鳩山総理の答弁も単なるパフォーマンスだったと言われても仕方ありません。
菅総理自身、
政治と金にまつわる問題にけじめを付けることが必要と
発言しました。その上クリーンな
政治と言うのなら、公明党が提出した
政治家の監督
責任を強化する
政治資金規正法改正案を丸のみしたらどうですか。各党各会派で相談しろではなく、あなた自身のお
考えはどうなのですか。賛成なら、今
国会で、
政治家の監督
責任を強化する
政治資金規正法の改正に協力すべきです。
鳩山氏と小沢氏、両氏の異なる検察審査会においても共通して指摘されていることは、会社の上司が
責任を取らされている世間一般の常識に合致しない、秘書に任せていたと言えば
政治家本人の
責任は問われなくてよいのか、市民目線からは許し難いとして、監督
責任強化の法改正の
必要性が提起されているところであります。
また、小沢氏の
企業献金、小林千代美氏の団体献金事件の再発防止のために
企業・団体献金の全面禁止も制度化しようではありませんか。
総理は
所信の中で
企業献金にしか触れなかったのは腰が引けているとしか言いようがありません。さらに、
予算委員会の
議論まで逃げようとリーダーシップを発揮できないのですか。
総理の
責任ある答弁を求めます。
さて、あなたの
演説を聞いていて、その無
責任ぶりとともに目立ったのが空疎な言葉の羅列でした。第三の道、強い
経済、強い
財政、強い
社会保障などなど。ところが、
一つ一つ聞いてみると、言葉は躍っても、どれも
具体策がありません。
そこで、私は、具体的に提案を含めて
総理に伺います。
まずは、
財政再建についてです。
菅総理は、
財政再建のための与
野党協議機関の設置を呼びかけられました。私たちも
財政の危機的状況に目をそらすべきではなく、与
野党が一定の
責任を持ってその打開に努力すべきであると
考えます。しかしながら、
総理の提案は、
余りにも虫が良過ぎる話であると言わざるを得ません。
そもそも、
民主党は、無駄を削れば
マニフェストに必要な
財源は簡単に出てくると豪語してきました。その結果、
財政再建の絵姿もないまま
平成二十二年度
予算を編成し、結果、フローで四十四・三兆円にまで借金を膨らませてきました。さらには、
消費税は四年間上げないと公言してきた。にもかかわらず、今般、増税を含めた
財政再建へと大きくかじを切ろうとするならば、まずは
民主党の
マニフェストは間違いであったことを明確にすることがすべての大
前提ではありませんか。
総理、
いかがですか。
成長戦略もない、
社会保障も、年金
改革はおろか医療や介護などの具体的
方向性も示されていません。また、
所信表明演説では、
財政再建、
税制改革を進める上での重要テーマであるべき
消費税については、その言葉すら出てきませんでした。要するに、今般の協議機関の提案の
前提というべき
政府の方針なるものは全くのゼロ提案ではありませんか。
財政に赤信号をつけた自らの
責任を棚に上げる一方で、増税が見え隠れする
財政健全化の
議論だけは与
野党を超えてみんなで渡ろうというのは、まさに
責任転嫁、
責任逃れであり、
消費税隠しなのではありませんか。
私はむしろ、年金、医療、介護、子育て支援などの
社会保障のあるべき姿について、その
財源の在り方と併せて
国民的コンセンサスを得ていくことが正しい
議論の筋道であると
思います。
政府の借金を返すために
消費税を増税しようという論議は言語道断であり、反対です。
そこで、私は、
財政再建の前に、
社会保障のあるべき姿、
社会保障の機能強化の在り方を
検討する与
野党の協議機関を設置すべきと逆提案いたします。
総理の
見解を求めます。
公明党は、行政の無駄を省くためにこれまで先頭に立って取り組んできました。例えば、事業仕分については、二〇〇五年の衆院選の
マニフェストで提唱し、翌年の行政
改革推進法に事業仕分という言葉と
考え方を盛り込んだのも公明党です。また、
政策ごとに
予算と決算を結び付け、
予算とその成果を評価できるように
予算書、決算書の
見直しなども行いました。
私は、これから
財政健全化を本気で進めていくためには、例えば事業仕分に関しても、公会計制度を含めたインフラを整備し、その上で、客観性、透明性のあるデータに基づいた歳出
改革を行うことが重要であると
考えます。
そうした観点から一点提案申し上げたい。東京都では、既に複式簿記、
発生主義会計が導入されたことにより、お金の流れ、資産の状況がより透明化され、
財政再建に一定の成果を上げております。私は、
企業や自治体とはその性質が違うことも承知の上で、
財政再建を本気で進めるのであれば、自治体などの実績、成果を踏まえて、公会計制度の
見直しを真正面から
議論してはどうかと
考えます。
総理の
見解を求めます。
関連して、
平成二十三年度
予算について伺います。
もはや、歳出の
見直しや事業仕分だけでは十兆円、二十兆円の
財源が生み出せないことが明白になりました。この点は
総理も認められますね。まず、答弁を求めます。そうであれば、
平成二十三年度
予算編成に関しては、
財政再建が喫緊の
課題とするならば、極論すれば、
マニフェストを
思い切って見直すか、それとも
財政規律に目をつぶってでも
マニフェストを実現するかしかありません。二兎は追えません。
総理はどちらの道を選ぶのか、明確にお答えください。
平成二十二年度
予算では、いわゆるシーリングがなく、結果として大型
予算につながってしまいました。私は、
財政規律、要求省庁の自己査定機能の発揮との観点からシーリングが必要と
考えますが、
総理はどう
認識されていますか。
また、来年度
予算は新規国債
発行を四十四・三兆円以内に
抑制する旨の
発言があります。これは
公約と受け取ってよろしいですか。さらに、一般会計総額九十二兆円はどうするのですか。
マニフェスト達成のために膨らむのでしょうか。併せて方針をお聞かせください。
次に、
成長戦略についてであります。
年内にGDPが中国に抜かれる、
日本の世界
競争力は二十七位、
日本は先進国ならぬ老大国になってしまったなど、残念ながら
日本の相対的地位や影響力は弱くなり、このまま衰退してしまうのではな
いかという声が聞こえてきます。しかし、私は、ピンチをチャンスに変える、これこそが
成長戦略のポイントであると訴えたいと
思います。
第一には、地球環境、気候変動への
対応についてです。
私は、省エネ・環境技術では世界に誇れる優位性を保っており、また国際貢献も十分に可能です。環境・エネルギーの
分野への研究
投資を
拡大しながら、
いかに
競争力を確保していくか。あわせて、農業を含めたグリーン産業革命を起こすなど
戦略的な取組が重要であります。
第二には、魅力ある
日本の構築と産業構造の転換についてです。
日本に
投資する魅力を
いかに確保するか。
日本に来れば良い仕事ができると海外の
企業や
投資家の方たちが思えるようなインフラ整備を早急に進めていく必要があります。
税制もさることながら、物流、立地環境の整備、高度人材の呼び込み、金融の
見直しなどを含めた総合的な拠点化を目指すべきです。産業構造の転換、中でも環境・エネルギー、農業、医療・介護、教育、文化などの
分野に重点
投資して
雇用も生み出していく。また、アジアを始めとする新興国の
成長を取り込み、中でも、
政府が先頭に立って新幹線、上下水道などのインフラ輸出を積極的に推し進めていくべきです。
第三には、人口減少、少子高齢化への
対応です。
公明党は、
雇用の安定確保を基軸とした安心の
社会保障、福祉の確立こそが
日本の
経済成長の基盤であると
認識しており、介護、医療の
分野を
中心に
雇用を
拡大し、さらには学校教育、職業教育、職業訓練などの人的
投資を
拡大していくことが重要と
考えます。さらには、
日本の中小
企業の製造業などが持つ物づくりの技術力、たくみの技をもっと
生活現場あるいは
社会保障、福祉の
分野などで積極的に生かしていくべきです。そのことは結果として産業構造の転換にもつながるものであります。
以上申し述べた諸点について、
総理の
見解を伺います。
次に、地球温暖化問題です。
総理は、
成長戦略の第一にグリーンイノベーションを挙げ、温室効果ガス二五%削減
目標を掲げた地球温暖化
対策に言及しました。しかし、
具体策のない
成長戦略は夢物語です。温暖化
対策では、何よりも二五%削減という意欲的な
目標が
出発点となります。
日本がいち早くグリーン産業革命を遂行し、世界
経済における
競争優位を獲得していくには二五%削減への速やかな着手が必要です。
ところが、
政府の温暖化
対策基本
法案では、二五%削減
目標に国際
合意の実現という
前提条件を付け、
凍結してしまっています。肝心の削減
目標がないのでは法律は機能せず、本格的な温暖化
対策も始動しません。
総理の言う国際交渉の主導にもマイナスになります。
公明党は、国際法上の義務にかかわる
外交交渉はともかく、
国内法における自主的
目標に
前提条件は全く不要であると
考えます。温暖化
対策の画竜点睛は、
政府案の二五%削減
目標から
前提条件を外すことです。
総理のリーダーシップで、及び腰が透けて見える
前提条件を外す
考えはな
いか、伺います。
一方、公明党は必ずしも二五%のすべてを
国内で削減しなければならないとは
考えていません。もちろん、低炭素
社会への移行、省エネルギーやグリーン産業の育成などの
政策効果を
考えると、なるべく
国内で削減した方がよいことは間違いありません。
しかし、
目標の二〇二〇年は十年後に迫っており、
国内だけでは無理が生じるおそれがあります。ゆえに、海外クレジットの取得についても途上国での具体的な削減と結び付く形で前向きに
考えてよいと
思います。その上で、
国内での適切な削減量を早急に
検討すべきです。それが決まらなければ、排出量取引などの制度設計や
企業の方針決定のための
前提がいつまでも明確になりません。例えば、
国内で最小限この程度は削減するとの
目標を示してはどうか、
総理の
考えを伺います。
公務員制度について伺います。
鳩山前
政権は、発足当初、天下りあっせんの全面禁止を打ち出したにもかかわらず、舌の根も乾かぬ昨年十月、官僚の中の官僚OBと言われる元大蔵事務次官の齋藤次郎氏を
日本郵政の社長に据え、自らが天下りあっせんの道を開きました。
こんな
政権が天下りを禁止できるはずがありません。案の定、
国家公務員法改正案には、天下りの温床となっている早期退職勧奨の禁止や退職後の再就職を一定期間禁止する事前規制など、重要な
規定が盛り込まれていませんでした。口では天下り根絶と言いながら、やっていることは天下り自由化そのものではありませんか。
公明党は、早期退職勧奨の禁止、在職中に密接な関係にあった営利
企業、独法、公益法人への再就職を五年間禁止する事前規制の復活、強化、さらに、事後規制として、あっせん禁止違反に対する刑事罰の新設などを盛り込んだ修正案を提案しましたが、
民主党は自らの非を隠すように強行採決を行いました。
世論の厳しい批判に耐え切れず退陣した前
政権の轍を二度と踏まないためにも、
総理、公務員制度
改革担当
大臣を新設したことでもありますので、この際、
国家公務員法改正案については、私の指摘したとおり、抜本的に
見直し、出直すべきです。答弁を求めます。
次に、公務員等による税金の不正使用について伺います。
国あるいは地方公務員が取引先業者などと結託し、虚偽の請求書を作成して裏金づくりを行うなどの不正は今も後を絶ちません。しかも、不正に預けた裏金を使い込まれて返還を求めるなどという、クリーンハンドの原則に反するようなみっともない事件まで起きる始末です。
行政に対する
国民の不信を払拭するため、公明党は、本年四月、いわゆる不正経理防止
法案と会計検査院の事務権限の強化を
目的とした会計検査院法改正案を自民党と共同で提出しました。この不正経理防止
法案は、公務員にとどまらず、独立行政法人や公益法人等も対象に含め、不適切な会計処理を行った場合、三年以下の懲役刑又は百万円以下の罰金刑を定めた画期的な内容となっております。速やかなる法律の制定を行うべきと
考えますが、
総理の
見解を伺います。
国会議員の歳費について伺います。
国会議員の歳費は月額で支給されており、昨年八月三十日の
衆議院選挙後には、二日間だけで八月分が満額支給されたことに
国民から疑問の声が上がりました。間もなく実施される
参議院議員選挙後にも同様の問題が起こり、新人で当選した場合には
任期開始となる七月二十六日から三十一日の六日間だけで七月分の歳費が満額支給されることになります。こうした庶民感覚から
考えられない仕組みは改めるべきです。
公明党は、既に一部自治体で臨時職員などに日割りで給与が支給されているように、
国会議員の当選月の歳費を日割り支給にするべきだと
考えますが、
いかがですか。
総理は
演説の中で、新たな年金制度に関する基本原則を提示する、介護についても安心して利用できる
サービスの確立に努めますとおっしゃいました。
民主党は一体いつまで
検討を続けているんですか。
民主党が年金制度の抜本
改革を言い出したのは二〇〇三年、既に七年が経過しています。今ごろ基本原則などと言っている場合ではありません。早く
具体策を出してください。それができないのなら、抜本
改革など撤回していただきたい。
総理の答弁を求めます。
公明党は、新しい福祉について具体的に提案いたします。
まず、うつ病などの心の病、深刻化するDVや児童虐待、高齢者の孤独死、貧困や不安定
雇用など、
国民は新たなリスクに直面しています。公明党は、これまで年金、医療、介護など
社会保障制度や子育て支援の充実に全力を挙げてきました。しかし、これらの新たなリスクは今までの
社会保障、福祉の枠では
対応できない
課題であります。
公明党は、福祉の党として、これらの二十一世紀の新たな
社会問題に
対応するため、新しい福祉を提案しています。
社会保障制度の抜本的な充実を図る新しい
生活保障、
生活の安定に直結する
雇用保障の確立に向けた新しい
雇用保障、そしてうつ病など現代の
社会問題に
対応する新しいヒューマンケアの三本柱であります。
二十一世紀の新しい福祉
政策について、特に喫緊の
課題であるうつ病
対策と介護に絞って伺いたい。
うつ病は、だれもが身近に接する疾病となっています。うつ病患者は約二百五十万人、不安障害などの気分障害全体では実に一千万人を超えています。もちろん
日本だけの現象ではなく、WHOの将来予測では二〇二〇年には総疾病の第二位とまで言われています。
しかし、患者のうち四分の三は医療機関での治療を受けていません。まず、入口となる職場のメンタルヘルス
対策の推進、かかりつけ医の研修事業の拡充など、早期発見の体制整備を図るべきであります。
また、治療法では、公明党が推進してきた認知行動療法が本年四月の
診療報酬改定で健康保険が適用されましたが、まだまだ圧倒的に専門家が足りません。先進的に行ってきた
沖縄県精神保健センターでは、実に九二%の方が改善したとの成果が出ている治療法です。認知行動療法の更なる推進、早期発見から治療体制への充実、
社会復帰までの支援体制の充実について、
総理はどう取り組まれるか、答弁を求めます。
次に、介護について伺います。
公明党は昨年十一月、全国三千人の
議員が介護
現場に飛び込み、全国四十七都道府県で介護総点検運動を実施しました。介護
現場では、高齢者や介護家族、介護従事者など、五つの
分野で実態調査を行い、十万件を超える介護
現場の切実な声を聞き取りました。特に、介護施設、在宅支援、介護労働力という三つの
不足に対する不安の声が数多く寄せられました。
本年二月、公明党独自の新・介護公明ビジョンを発表し、介護と医療の連携の強化、高齢者住宅の整備など、
地域の暮らしを支える
地域包括ケアの実現を提案しました。
特に重要
課題として十二項目の
政策提言を行い、特養ホームなど介護施設の倍増、二十四時間訪問介護
サービスの拡充、家族に休息を取ってもらうレスパイトケアの充実などを主張し、その提言に対し
鳩山前
総理は、大いに
政府として参考にする、具体的な内容については厚生労働省などに
検討を促すと述べました。
そこで、
総理に伺います。公明党の介護ビジョンを
検討した結果はどうなったのか、お答えください。
また、介護を必要とする高齢者が年々増加する中で、自宅で暮らし続けられるためには、二十四時間三百六十五日の在宅
サービスの充実が不可欠であります。ところが、施設介護は定額払なのに対して、在宅介護は出来高払。在宅介護において、施設と同様に定額で提供され、何度でも訪問できる小規模多機能型居宅介護の
サービスが普及しなければ、
地域包括ケアの実現は難しい状況です。
総理、小規模の在宅支援事業は全く足りていません。せめて小学校区に一か所以上展開する必要があります。明確な答弁を求めます。
次に、子育て
支援策について伺います。
初めにお聞きします。
総理、来年度以降の子ども手当は
マニフェストどおり二万六千円に拡充するのですか。その際、
財源はどうするのですか。一部
閣僚より見直すとの
発言が見受けられますが、ぱらぱらと無
責任な
発言をせずに、明快に
国民に対し来年度以降の姿を示していただきたい。子ども手当は
民主党マニフェストの一丁目一番地でした。もし変えるのならば、きちんと
説明すべきです。
総理、お答えください。
本年度の月額一万三千円を中学生まで支給する子ども手当は、実質児童手当の拡充であり、公明党が目指してきたものであるところから賛成をいたしました。
しかし、来年度以降の話は別です。私は、子育て支援は、
経済的負担の軽減と保育
サービスの一層の充実など、あえて
法案を修正して明記させたように、総合的な子育て支援が重要と
考えています。
これからは、待機児童ゼロに向けた保育所の緊急整備や幼児教育と公立小学校の給食費の無償化など、子育て環境の整備にこそ力を入れるべきです。
総理の
見解を伺います。
最後に、
外交問題について菅首相の基本的姿勢、
立場を伺います。
普天間移設問題をめぐる
鳩山前
総理の失政により、
沖縄県民の期待は怒りへと変わり、
日米関係も悪化、普天間問題
解決の道のりはかつてなく困難なものとなりました。
日米合意では代替施設の位置、配置及び工法に関する
検討を八月末までに完了させるとしていますが、本当にできるのですか。
総理はかつて、
沖縄に駐留するアメリカ
海兵隊について、
沖縄にいなくても極東の安全は維持できる、
日本から移転を
考えている、一方で普天間の辺野古移転について、不可能だ、
県外、国外へ移転すべきだと述べられました。したがって、
政権交代当初は、アメリカ
海兵隊の
抑止力について
鳩山総理と同様の
認識だったのですか。まず、お答えください。
日本周辺では、今年三月の韓国海軍哨戒艦の天安沈没事件、昨年のミサイル発射事案、核実験など北朝鮮による挑発的な行動が相次ぎ、
地域の平和と安定を損なっています。このような冷徹な事実を前に、
鳩山前
総理と同様、
菅総理は
抑止力に対する
認識を変えたのですか。変えたのであれば、いつの時点で、どのような
理由で改めたのか、お答えください。あわせて、日米安保体制に対する
総理の基本的な
見解を伺います。
五月三日から二十八日までニューヨークの国連本部で開かれた核拡散防止条約、いわゆるNPT再
検討会議では、初めて核兵器禁止条約に言及した最終文書が全会一致で採択されました。昨年四月五日、オバマ・アメリカ大統領がプラハで核のない世界に向けて行動すると
演説して以来、世界の核廃絶への機運は着実に高まっています。
今月二十六日よりカナダでG8サミットが開催され、
総理は初めて参加されます。その場で、今回のNPTで言及された核兵器禁止条約について
議論を始めるよう各国のリーダーに提起すべきだと
考えますが、
総理の所感を伺います。
質問の最後に一言申し上げます。
総理は
演説の最後に、
国民の皆様が私を信頼してくださるかどうかで、リーダーシップを持つことができるかどうかが決まるとの趣旨の
発言に、私は耳を疑いました。まずあなたがリーダーシップを発揮することによって、
国民の信頼が得られるのではないですか。あなたの主張は本末転倒です。このことを厳しく指摘し、私の
質問を終わります。(拍手)
〔
内閣総理大臣菅直人君登壇、拍手〕