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2010-02-03 第174回国会 参議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年二月三日(水曜日)    午前十時一分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第六号   平成二十二年二月三日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  議事日程のとおり      ─────・─────
  2. 江田五月

    ○議長(江田五月君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。    〔山口那津男君登壇、拍手〕
  3. 山口那津男

    山口那津男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました鳩山総理施政方針演説など政府演説に対し質問いたします。  鳩山内閣となって初めての施政方針演説、私は、総理の友愛の思想に基づく具体的かつ率直な政策が総理の口から聞かれるものと強く期待していました。しかし、結論から申し上げれば、その期待は裏切られました。正直申し上げて、心に響くものが感じられなかったのは私だけでしょうか。  二つ理由があると思われます。  総理施政方針演説の中で、友愛ではなく、いのちを守るというキーワードに変わっていたものの、二十四回もいのちを守ると言われました。いのちを守る、実に重みのある言葉です。だからこそ、鳩山内閣が具体的に何をしようとしているのか、それが聞きたかった。しかし、言葉が上滑りして、それに伴う具体策がありませんでした。  残念ながら、私にはどうしても鳩山総理考え理念具体策が結び付いてこなかったのであります。これが第一の理由であります。  第二の理由は、総理自身の姿勢の問題。率直に申し上げれば、政治と金で何も語ろうとしない、国民との信頼が問題なのであります。幾ら美辞麗句を並べても、国民から信頼されない総理言葉は、やはり信用もされないのであります。まさに政治家に問われているのは、総理演説で言われた、まず国会議員が範を垂れることであります。信頼を回復する努力であります。  総理、なぜ演説の冒頭できちんと政治と金の問題について国民に説明をされなかったのか。演説の中で触れられたのは、わずか二行だけ。しかも、御批判を真摯に受け止めると言うだけで、国民に対しては何の説明もありません。問題は、受け止めた後、自らどうするかです。  民主党を始めとする与党の皆さんは、野党時代、舌鋒鋭く政権党政治と金の問題を追及していたではありませんか。立場が逆になった途端だんまりを決め込む、これでは信を託した国民への裏切りそのものではありませんか。総理答弁を求めます。  総理国民の多くはこう思っているでしょう。政権が交代した、そして百日待った、さあ、いよいよ鳩山内閣は具体的に何をやってくれるのかと。ハネムーンは終わったのであります。総理日本国最高責任者として、しっかりと国民と向き合ってください。そして、この国会で、国民いのちを守るため、国民生活を守るため、大いに議論しようではありませんか。私たち公明党もその責務を果たしてまいる決意です。  まずは政治と金の問題から質問します。  総理の偽装献金問題や小沢一郎民主党幹事長資金管理団体の土地購入問題は、現職国会議員を含む元秘書らが逮捕されるゆゆしき事態です。  総理は、お母様から毎月千五百万円、総額十二億六千万円にも上る贈与を受けていた。あなたの言を用いれば、これこそ労働なき富ではありませんか。そして、秘書に任せていたから、もらったこと自体を知らなかった、さらに何に使ったのかも知らなかったとの答弁を繰り返しています。しかし、知らなかったで済まされる金額ではありません。お金の入りも出もすべて秘書任せ、まして何に使ったかも説明しない、それで国民にどう納得しろというのでしょうか。あなたが全く知らないところで、関与しないところで秘書が勝手に出し入れをして使ったとでもいうのですか。  総理、自らの不明を恥じるというなら、まず何に使ったかというところから説明すべきです。答弁を求めます。  また、小沢幹事長資金管理団体による土地購入疑惑についても、捜査中であることを理由民主党は全く自浄能力を果たしていません。民主党の現職の国会議員が逮捕されたのです。代表たる総理は、自らリーダーシップを取って自浄能力を発揮させるべきではありませんか。お答えください。  そして、小沢氏が潔白であると信ずるというのなら、総理にはその根拠を国民に示す責任があります。ただ同志だからというのでは余りにも国民を愚弄しています。総理、明確に国民に説明してください。いずれにせよ、秘書に任せていたから知らなかったとの説明で済ませるのでは余りに無責任政治家本人責任を問う新たな仕組みが必要です。  公明党は、秘書などの会計責任者虚偽記載などの違法行為を行った場合には、監督責任のある議員公民権を停止する政治資金規正法改正案を昨年提出しています。  総理、まずはこの通常国会政治家監督責任強化する法改正実現することこそが、あなたが引き起こしたような問題の再発を抑止する仕組みになるのです。その実現に向けて、国民に明快な決意を述べてください。  あわせて、企業・団体献金を禁止する法改正にも踏み込むべきだと考えますが、いかがですか。  次に、平成二十二年度予算案について申し上げます。  鳩山内閣として初めての本予算は、民主党マニフェスト実現のため予算規模は大きく膨らみ、一般会計で九十二兆三千億円と当初ベースで過去最大となりました。しかも、世界経済危機に伴う景気の悪化で税収が激減したこともあり、新規国債発行額は四十四兆三千億円まで膨らみました。一方、事業仕分による歳出削減額は一兆円、独法の基金返納などの一時的な歳入も含めても二兆円程度にとどまり、平成二十三年度以降の恒久的な財源はほとんど捻出されなかったのであります。  鳩山総理自身、当初、マニフェストに必要な財源は七兆円、無駄遣いの見直しで確保するとしていましたが、達成できませんでした。民主党が言うように予算の組替えがなされていれば、四十四兆円もの国債発行にはならなかったはずです。総理、そもそも見通しが甘かったと率直に認めるべきではありませんか。明確にお答えください。  また、菅財務大臣財政演説の中で、国債増発に依存することなく必要な財源を確保していると話されましたが、私には言い訳にしか聞こえません。数多くのマニフェスト違反、修正によって二十二年度は何とかつじつまを合わせたものの、二十三年度以降はどうなるのか、甚だ疑問であります。  さらに、総理施政方針演説の中で、景気の二番底には陥らせない決意として、第二次補正予算と二十二年度本予算により切れ目ない景気対策を実行すると述べられました。何が切れ目ない景気対策ですか。第一次補正予算を凍結した挙げ句、何ら有効な手を打つことなく、私たちの主張していた凍結解除にも応じず、ずるずると年明けまで第二次補正予算提出を先延ばししたのは一体どの内閣でしょうか。その時点で打つべき対策を講じず、経済対策を遅らせたのは明白です。中長期の見通しのないその場しのぎにすぎないのではありませんか。総理答弁を求めます。  そもそも、来年度予算案のどこに経済成長を積極的に促す策があるのでしょうか。政府は、本予算案を編成した後の昨年十二月三十日に新成長戦略基本方針を発表しました。しかし、目標達成への具体的な道筋は依然示されないままであります。柱のない家に身の丈以上の家具を好き勝手に並べたところですぐに倒壊してしまうのが関の山、先行き不安に対する懸念を増幅させるだけです。  また、財政健全化への道筋も全く示されていません。特に、今後社会保障在り方をどうするのか、貧困、格差の是正にどう対策を講じていくのか、まさに歳出歳入在り方全体についての明確なビジョンを打ち出すべきではありませんか。総理、具体的にお答えください。  さて、昨年、公明党は、今後目指す社会方向性山口ビジョンとして発表しました。新しい福祉、教育、平和をつくる公明党と題したこのビジョンでは、日本の未来を見据えた、地域で支える協働型福祉社会子供の幸福を最優先する社会核廃絶、平和、環境世界に貢献を三つの挑戦として掲げました。  まず、地域で支える協働型福祉社会です。  日本は今、人口に占める六十五歳以上の割合が二二%に達し、急速に超高齢社会へと突き進んでいます。  私は、年金、医療、介護子育ての各分野できめ細かなサービス仕組みをつくり、その上に地域の実情に合った協働型福祉社会を築くべきだと思います。協働型福祉社会は、個人が自立して生活する自助、地域住民の連帯でお互いを支え合う共助、行政などによる公助がバランスよく効果を発揮する社会であり、総理施政方針演説の中で強調された新しい公共と理念の上で相通じるかもしれません。  その中で、最重要の課題の一つは、介護の力をどう築くかです。二〇二五年には高齢化率三〇%という人類が経験したことのない超高齢社会を迎える中、公明党は、介護基盤整備目標を示す新たな介護ビジョンが必要と考えます。総理、新たな介護ビジョンを策定する考えはありませんか。お答えください。  公明党は、昨年十一月から十二月にかけて、全国三千人を超える議員が一丸となり、四十七都道府県で介護総点検を実施しました。寄せられた十万件を超える貴重な声を基に、高齢者が住み慣れた地域で必要に応じた介護サービス介護施設を自由に選択、利用でき、家族の負担が過大にならない安心して老後を暮らせる社会実現を目指します。  そこで、二〇二五年の姿を前提に、二〇一二年の介護保険制度改正では抜本的な制度設計見直しが必要です。日常生活を豊かに過ごす介護基盤整備の拡充を始め、利用者負担の抑制や、家族に休息してもらうレスパイトケアの充実介護従事者等処遇改善見直しは、先日の予算委員会で指摘したように全力を挙げて取り組まねばなりません。生涯設計において、必要なときに入居できるケア付き高齢者住宅整備も求められています。  まずは介護施設の大幅な拡充が必要です。入所待機者の解消を目指し特養ホーム、老健施設などの介護三施設は倍増させる、また、全く足りない特定施設、グループホームは三倍に増やす緊急整備に着手すべきです。総理のお考えを伺います。  また、在宅介護支援強化を急ぐべきであり、通い、宿泊、訪問といったすべてのサービス体系を提供する小規模多機能型居宅介護事業の大幅な拡充は、先日の予算委員会で指摘したところです。総理、今こそ安心して老後を暮らせる社会実現に向けて、政府を挙げて取り組もうではありませんか。総理の明快な答弁を求めます。  次に、社会を支える安全網強化について伺います。  福祉や雇用のセーフティーネットから漏れた貧困層、低所得や単身の高齢者、一人親世帯など、社会的に弱い立場の方々を最優先で支援することが政治に課せられた使命です。公明党は、現行のセーフティーネットを拡充し、所得保障住宅支援就労支援等のトータルな支援策をいま一重、厚くすべきだと考えます。  第一に、職業訓練等就労支援とその間の生活保障が重要です。昨年ILOが発表した報告書では、我が国失業給付を受けていない失業者の比率がOECD諸国の中で最も高いことが明らかになりました。まずは雇用保険適用範囲を拡大することが急務です。また、公明党の推進で創設した職業訓練中の生活費用を保障する訓練・生活支援給付は、より多くの方が利用できるよう拡充するとともに、制度を恒久化すべきです。  第二に、高齢期所得保障の柱である年金制度安全網強化することが必要です。公明党がこれまで主張してきた年金保険料事後納付期間の延長は、今般、政府提出国民年金法改正案に盛り込まれましたが、これだけでは支払能力のある方しか救済できず不十分です。事後納付期間の延長とともに、受給資格期間の短縮、さらには低所得者年金額を上乗せする年金加算制度の創設を早急に実現すべきです。  第三に、一人親世帯独居高齢世帯の増加といった今日的課題を踏まえ、こうした方々が安心して生活できるよう、給付面のみにとどまらず、サービスの提供においても支援強化すべきです。一人親が安心して子供を預けられる安価な保育サービスや、独居高齢者の安全を地域で見守るサービスなど、必要かつ十分な支援を行うべきです。  以上、我が党が提案する安全網強化の具体的な取組について総理考えを伺います。  ビジョンの第二の柱は、子供の幸福を最優先する社会、すなわちチャイルドファースト社会の構築です。  かけがえのない子供たちの個性や能力、創造性、思いやりの心をはぐくむことを社会の最優先課題とする、未来を託する子供たち社会全体で守り育てる、そのような環境を整えてまいりたい。  今回の経済危機のように、社会が危機に直面したとき、そのしわ寄せを最も強く受けるのは子供たちであります。その意味からも、危機を乗り越えようとしている今こそ、私たちが掲げる理念重要性を強調したいのであります。  そこで、教育について伺います。  総理は、施政方針演説教育について言及されましたが、教育の質を向上させるための具体策は全く示されませんでした。私は、チャイルドファーストという理念の下、社会全体で教育に取り組むための環境整備を進めるべきと考えます。特に学校は、子供を様々な脅威から守る安全の拠点、文化の担い手を育成する拠点、未来をつくる人材の発信拠点を目指し、教職員等の人材の充実など、ソフトハード両面にわたる環境整備に取り組むべきであります。  具体的には、災害に強い学校づくりに加えて、情報化社会に対応したICT環境整備、少人数教育の徹底、経験豊かな社会人の活用、文化芸術活動などの体験学習充実スクールカウンセラー栄養教諭充実地域学校を支える体制の抜本的な強化などが必要です。また、地域学校の多様な課題に柔軟に対応するため、教育における地方分権の推進も必要と考えます。  特に義務教育については、権限や財源の大胆な移譲を検討するなど、学校地域が自由な発想で子供教育できるような環境を整えるべきです。総理の見解を求めます。  さて、総理は、施政方針演説の中で阪神・淡路大震災のことに触れつつ、防災、減災の重要性に言及されました。しかし、この度提出された予算案では、学校施設耐震化については予算計上されたのは約二千二百棟分にすぎません。地方自治体から要望があった五千棟の半分にも満たないのです。一方で、マニフェストに掲げた高校授業料実質無料化には三千九百億円を計上しました。マニフェスト実現を優先する余り、結果的に子供地域のまさにいのちを守る学校耐震化予算削減されたとの指摘もあります。このように禍根を残した予算編成になってしまったのも、本当の意味でいのちを守る政治を貫く信念と目指すべきビジョンがないからです。総理の見解を求めます。  総理、今年が国民読書年であることは御存じでしょうか。これは二〇〇八年に衆参両院全会一致の決議を経て制定されたものです。  私たち読書重要性、特に子供たちが本に親しむことの大切さを何度も訴えてまいりました。朝の読書が定着した学校では、読解力の向上だけでなく、子供たちに落ち着きが出てきた、遅刻やいじめが少なくなったなどの効果も報告されています。  しかし、事業仕分の結果が反映された二十二年度予算案では、子供読書体験活動を応援する子どもゆめ基金を廃止した上、子供読書活動を推進する事業は大幅に縮減されてしまいました。仕分結果に寄せられた国民からの意見のうち、実に九割近くが反対であったにもかかわらずです。総理読書重要性やこれに関する教育現場などでの着実な努力をどのようにお考えか、明確にお答えください。  ビジョンの第三の柱は、核廃絶、平和、環境世界に貢献する日本です。  公明党は、平和の党として、人間安全保障を掲げてまいりました。これは、貧困や飢餓、紛争と地雷、環境破壊感染症、麻薬などの脅威から一人一人の人間を守るという考え方です。その人間を守る大前提として、核兵器廃絶、そして持続可能な地球環境実現することを目指します。まずは、核兵器の廃絶への政府取組について伺います。  世界には今も二万発を超える核兵器が存在すると言われ、二十一世紀に入ってからは、テロなどの影響により核の拡散という新たな核の脅威も生まれています。核廃絶実効性あるものとして前進させるためには、核の違法性国際規範として確立することが必要です。我が国リーダーシップの下、この規範を広めるため核兵器禁止条約実現を目指すべきだと考えますが、総理の御見解を承りたいと思います。  核兵器のない世界を目指すと宣言した昨年四月のオバマ・アメリカ大統領演説により、世界は核軍縮へと動き始め、核兵器のない世界を目指す安保理決議一八八七号の全会一致の採択など、変化の兆しに世界の期待が高まっています。その中で迎える本年の核拡散防止条約NPT運用検討会議はまさに正念場であります。  核廃絶の第一歩は、何よりも核保有国がこれまでの核抑止政策を転換できるかどうかに懸かっていると考えます。そのために、NPT運用検討会議において、核兵器国は非兵器国に対して核兵器を使用しないとの一九九五年のジュネーブ軍縮会議での宣言を改めて行うとともに、それを実効あらしめる消極的安全保障法的拘束力のある合意を目指し、各国が議論のテーブルに着けるよう、唯一の被爆国である我が国が行動すべきと主張したいと思います。  さらに、国連決議一八八七号に盛り込まれたCTBTの批准やカットオフ条約早期交渉開始実現についても、NPT運用検討会議の好機を生かし、働きかけていただきたい。併せて総理の御所見をお尋ねします。  次に、地球温暖化対策への取組です。  これは人間安全保障のために避けて通れない課題ですが、国際交渉の有様は、人類共通課題の解決よりも、いかに自国の義務や負担を少しでも軽くするかに力点が置かれているのが実情です。こうした状況を打ち破り、むしろ各国が温暖化対策への貢献を競い合うような状況をつくり出すことが必要であり、それをリードする中に我が国ソフトパワーも高まるのではないでしょうか。公明党北海道洞爺湖サミットに先立ち、温室効果ガスの二〇二〇年二五%削減を打ち出したのも、こうした考え方に立ったからであります。  COP15におけるコペンハーゲン合意は、残念ながら採択には至りませんでしたが、米国を含む先進国、中国、インドなどの新興国も合意した貴重な一歩であります。今後、この合意への各国の賛同を大きく広げ、温暖化交渉ベースとするとともに、内容をより肉付けすることによって、弱い合意から強い合意へと高めていかなければなりません。  その意味で、日本政府が二五%削減という目標を各国に率先して提出したことは率直に評価いたしますが、ただ、今後の外交においては、公平かつ実効性のある国際枠組み、意欲的な目標実現をただ待っているのではなく、その実現のために積極的に国際社会をリードしていただきたいと思います。まずは、ほぼすべての国がコペンハーゲン合意に賛同し、国別削減目標削減行動を提出するよう働きかけるべきです。また、COP16のホスト国メキシコ国連条約事務局との連携を強化し、交渉をサポートしなければならないと思いますが、総理外交方針並びに決意をお伺いいたします。  また、国際社会温暖化への取組を促進していくためにも、二五%削減国内対策をもっとスピード感を持って進めていくべきです。鳩山内閣の新成長戦略にも環境が掲げられていますが、具体性に欠けた貧弱なものと言わざるを得ません。このままでは我が国は更に世界に後れを取りかねません。まず、国際交渉の結果を待たず、早急に国内の削減目標を決定すべきではないでしょうか。それでこそ本格的な低炭素社会づくりをスタートさせることができると考えます。それとともに、我が国温室効果ガス排出の実態をきちんと分析し、包み隠さず、分かりやすく国民に知らせた上で、現在の経済社会を低炭素社会に移行させるための制度づくりを急ぐべきです。  例えば、我が国温室効果ガス排出が、排出量の報告が義務付けられている事業所等で七割、二百に満たない事業所で五割を占めていることを考えれば、排出の上限を定める国内排出量取引制度導入は不可避です。それとともに、環境税など税制をどう組み合わせるかも一体的に検討しなければなりません。  また、太陽光発電、小水力発電などの自然エネルギー導入を図るために電力の固定価格買取り制度をどう拡充していくか、あるいは次世代自動車断熱住宅などへの切替えをどう進めるのか、税制優遇補助金強化するなら、その財源はどう捻出するのか等々、各種の施策をいかに組み合わせて温室効果ガス削減実現するかという見取図を早急に示し、国民の理解を得なければ、十年後に迫った二〇二〇年二五%削減には間に合いません。  鳩山総理は、まず国内削減目標を早急に決める考えはないか、また、日本排出実態をどう認識し、どのような道筋で国内での削減を進めるつもりなのか、明快な答弁を求めます。  次に、道州制についてお尋ねしたい。  公明党は、地域活性化と新時代にふさわしい福祉を始めとする身近な行政サービス充実させるため、国、道州、基礎自治体の三層構造から成る地域主権型道州制の導入を掲げています。人口減少高齢化過疎化に直面している今日、日本全体が持続的に発展していくためには、新しい国の形として地域主権を持つ地域主権型道州制の導入が不可欠です。  総理施政方針演説で、地域主権型の構造に変革すると述べましたが、地域主権型道州制の導入について、政府は検討されているのですか。だとすれば、そのスケジュール、基本方針等取組はどうなっているのか、答弁を求めます。  道州制の導入に先立ち、まずは徹底した地方分権を推進することが重要です。特に、そのかぎを握るのが地方税財源充実、二重行政との批判がある国の出先機関の廃止ですが、一向に進んでいません。鳩山内閣からは、地方分権の具体的な取組について、言葉は躍れど強靱な意思やメッセージが伝わってきません。地方の率直な意見だと思います。総理地方分権を推進するために一体いつまでに何を実現するのか、その道筋国民に分かりやすく説明すべきです。お答えください。  次に、具体的な政策課題について伺います。  今、雇用問題は深刻です。仕事がない、ハローワークに何回通っても仕事が決まらない、いつ解雇されるか分からないなど、国民は現実に苦しんでいます。  雇用調整助成金積極活用による雇用維持雇用保険住宅困窮者への対策などのセーフティーネット強化、医療・介護子育て分野環境、農業、観光などの成長分野への戦略的な雇用創出、この三つの柱を軸にあらゆる政策手段を総動員すべきです。  特に、高校、大学等新卒者の就職は危機的な状況です。新卒者内定率就職氷河期と呼ばれた時代を下回る今、緊急避難的な措置として、第二次補正予算で講じられるアドバイザーの人的配置とともに、トライアル雇用のように未就職新卒者が実際に働ける場を提供するような緊急支援策を講じるべきです。待ったなしの雇用対策に対する総理の認識と取組方針について伺います。  最後に、普天間飛行場の移設問題についてお尋ねします。  私は、昨年十二月十八日、沖縄県を訪問し、普天間飛行場に近接する市立普天間第二小学校などを視察してまいりました。同小学校では墜落事故を想定し避難訓練まで実施しています。  普天間問題の根本は、住宅地の真ん中に基地が存在する危険性を取り除くことです。総理施政方針演説いのちを守りたいと繰り返し述べられましたが、まさに普天間問題の解決こそ、いのちを守ることにほかならないのであります。一日でも先送りされればそれだけいのちが危険にさらされます。沖縄から遠く離れた政府における閣僚の発言の不一致、ころころ変わる総理の発言は、沖縄の人々のいのちにかかわる問題に対する切迫感が感じられません。  先日の予算委員会において私は、五月末決着について、実現できなければこれは内閣の命運にかかわることであり、この政権の言わば存続を懸けてこれを実現する決意かと総理に質問しました。総理は、五月末までに必ず結論を出しますと答弁されました。これは、普天間の危険性を除去するための移設先を五月末までに決定できなければ、総理として責任を取る覚悟があるということだと受け止めましたが、改めて総理の明快な決意を求めます。  以上、私のビジョンを中心に言及してまいりましたが、この未曾有の経済危機を打開し、併せて日本の希望ある未来を切り開く総理リーダーシップを強く望み、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  4. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 公明党の山口代表の御質問にお答えをいたします。  まず、政治と金の問題について御質問がございました。  政治と金の問題につきましては、国会の冒頭から発言を申し上げ、行政の長として、また時には民主党の代表として、国会でも、また記者会見でも常に御説明を申し上げてきたところでございます。また、国民に何の説明もなくとのお話でございますけれども、私は、検察捜査によって解明された事実に基づいて記者会見でもできる限り説明を申し上げ、資料を添えて国民の皆様にでき得る限りの情報公開を行って、これまでの国会答弁でも説明を尽くしてまいったところでございます。  そして、国民への裏切りではないかと、そのお言葉でございますが、国民の皆様の政権交代に懸けた大変な大きな期待考えるときに、身を粉にして国民の皆様方の御期待にこたえることこそ使命であると、そのように決意をいたしているところでございます。  母から提供された資金の使途についての御質問がございましたが、秘書任せとの御指摘でございますが、母からの資金提供については検察の捜査によって初めて解明されたことであり、私自身は何も承知していなかったことも捜査によって明らかになったことだと、そのように考えております。  また、私は、他の人からの金品の詐取とか、あるいは不正な手段による富の獲得とか、あるいは法令に違反をして人倫にもとる利得の取得を行ったものでもありません。そして私は、私の知らないところで使われたお金について、その責任を果たすために贈与税をさかのぼって申告を申し上げ、納付をいたしたところでございます。  資金の使い道については、私自身のお金、母からのお金を含めて一括をして、政治団体にも私の議員活動にもまたプライベートな支出にも使われていたということは、これも検察の捜査によって明らかになったわけでありますが、私自身は全く認識しておらず、具体的にも承知しておりませんでした。したがいまして、検察から違法な支出があったという指摘はありませんでしたけれども、今後、裁判によって事実認定が最終に確定をしたその後、検察に提出をいたしました書類の返還を待ちまして、使途の分析、検証を行うように弁護士の調査チームに依頼をしているところでございます。  国民の皆様方にすべて御理解をいただくにはまだやや時間が掛かると、そのようには考えておりますけれども、繰り返し真実は真実として正直に述べてまいりたい、そのように考えております。  現職議員の逮捕、小沢幹事長についての説明でございますが、現職国会議員が逮捕されてしまったということに関しては大変遺憾でございます。現在、捜査中であり、いまだ検察による事実の解明も処分も定まっているわけではありません。さらに、小沢幹事長に関して申し上げれば、報道の域を出ておらず事実関係はまだ明らかではありません。  自浄能力についてのお尋ねがありましたけれども、いまだ検察捜査による解明も処分も定まらぬ段階でありますので、捜査による事実の解明を待つことが肝要だと、そのように考えております。  また、何を根拠に小沢幹事長を信じるのかというお尋ねがございましたけれども、共に苦労を分かち合いながら政権交代を成し遂げた民主党の同志の、自分は潔白であると、そういう言葉をまず信じることは当然ではないでしょうか。そして、報じられているような法に触れる事実があったか否かということは捜査によって解明されるものだと、そのように考えております。  政治資金規正法の改正についてのお尋ねがありました。  政治家監督責任強化については、御党から御質問のたびに御提案をいただいているところでございます。政党や政治家のこれは政治活動にかかわる問題であり、企業・団体献金の禁止などと併せて、各党各会派で十分に御審議をいただいて成案を得ていただくことを期待をしています。  したがいまして、私、個人的に申し上げれば、政治資金規正法改正については、国民の皆様の声に謙虚に耳を傾ける、これは大事であって、不断に見直す姿勢が必要だと考えておりますので、前向きに検討すべきだと、そのように私からは申し上げております。  二十二年度の予算の評価に関するお尋ねでありますが、二十二年度の予算においては、子ども手当などのマニフェスト関連の政策に必要な財源、約三兆円でありますが、これは国債発行によらないで、歳出の削減あるいは公益法人などの基金の返納など、これ事業仕分などを通じて行ったところでございます。  新規国債の発行額については、目標としておりました約四十四兆円以下という水準をおおむね達成をいたしましたけれども、これは税収が大幅に落ち込むという状況の中で、財政の果たす役割に配慮をして、財政規律はやはり守らねばならぬと、その思いの下で国債市場の信認を確保できるぎりぎりの水準だと、そのように考えておりまして、見通しが甘かったなどという批判は当たらない、そのように考えております。  切れ目のない景気対策の認識についての御質問でございますが、この内閣は、昨年の九月の発足直後から第一次補正予算見直しに取り組む一方、昨年の十月、新たな予算措置を要せずに既存の施策、予算活用した緊急雇用対策を取りまとめたところでございまして、また、十二月には、第一次補正予算見直しで捻出した財源活用しながら、経済雇用情勢大変厳しい状況の中で、果断な対応を図る緊急経済対策を取りまとめてきたところでございます。これに伴って、十二月十五日に閣議決定をいたしました第二次補正予算は一月二十八日に成立をいたしました。この二次補正予算を二十二年度の予算と一体となって切れ目なく執行することが今一番重要なことだと、そのように考えておりまして、さらに新成長戦略基本方針によって我が国の中長期的な成長の姿をお示しをしたところでもございます。  歳出歳入在り方に関する御質問でございます。  新成長戦略基本方針については、今後、目標、施策の具体化、さらに追加を行った上で、成長戦略実行計画、これは工程表でありますが、これを策定をして確実に実行してまいります。また、社会保障制度信頼できる持続可能なものにしていくために、財源を確保して、連立政権合意あるいはマニフェストで示しました政策を着実に実行してまいりますとともに、貧困問題にも真摯に取り組んでまいりたい。  財政の将来像については、本年の前半に複数年度を視野に入れた中期財政フレームを策定いたしますし、さらに中長期的な財政規律の在り方を含む財政運営戦略を策定をして、そこで財政の健全化に向けた長く大きな道筋を示してまいります。  介護ビジョンについてのお尋ねでございます。  大変、山口代表始め皆さん御熱心に介護の問題取り組んでおられる、何よりでございます。高齢化率が三〇%を超える二〇二五年に向けて、施設と在宅のバランスを取って計画的に介護基盤整備を進めていくことが大変大事だと、そのように認識しておりまして、今後、介護基盤整備目標を示すことにしております。整備を行う自治体においては、この目標を念頭にしてそれぞれの整備計画を定めていただきたい、そのように考えているところでございます。  介護の三施設などの介護基盤整備についてのお尋ねがございましたが、高齢者方々ができるだけ住み慣れた地域でお暮らしできるような施設サービスあるいは在宅サービスについて、過去の三年分に比べて倍の整備量に当たる約十六万床の整備というものを、まず介護基盤整備推進していくに当たって決めたところでございますが、さらにあわせて、これも御案内のとおりだと思いますが、医療サービス介護サービスだけでなくて、様々な生活支援サービスなど多様なサービスを包括して提供できる地域包括ケアシステムというものを構築をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。  また、公明党さんが大変御熱心になさっております小規模の多機能型居宅介護の普及についての御質問がございました。  これは、平成十八年の創設以来、年々利用者が増加してまいりまして、現在約四万人の方に御利用いただいていると思っております。これをさらに、平成二十一年度四月の介護報酬改定において新たな加算の創設、また平成二十一年度の第一次補正予算において事業所の開設の際の補助を拡充するなどの支援策を講じたところでありまして、さらに新政権としても、今後ともこういった施策を更に活用、普及を図ってまいりたいと考えているところでございます。  雇用セーフティーネットについての御質問がございました。  非正規雇用者に対する雇用保険が適用される雇用見込み期間を六か月以上から御案内の三十一日以上に緩和する法案というものを、もう既に今国会に出したところでございます。また、雇用保険を必ずしも受給できない方々に対して緊急人材育成支援事業を創設をする、これは旧政権のところでございますが、昨年の七月以降、無料の職業訓練を実施するとともに、訓練中に月額十万円を給付するということにいたしているわけでございますが、さらにこれを恒久化する必要があるということでございまして、私どもとしても平成二十三年度から訓練期間中に手当を支給できるよう、求職者支援制度というものを創設したい、そのように考えております。  年金問題についてのお尋ねでございますが、無年金、低年金対策について実態把握を行って、運用面、さらには制度面の両面にわたって対応を引き続いて検討してまいりたいと思っております。今後、公平でさらに透明な、さらには新しい時代に合った新制度をつくらなければならないと思っておりまして、平成二十五年度の法案成立を目指して検討を進めてまいりたいと思っておりますが、その中で受給資格期間の短縮あるいは低所得者への加算といった、先ほど御提案いただいた内容についても新制度との整合性あるいは財源の確保、こういった問題がありますが、こういった問題を考慮しながら真剣に議論の中で検討を進めていくことにしております。  一人親に対する保育サービスあるいは独居高齢者向けサービスについての御質問でございます。  母子及び寡婦福祉法に基づいて、各市町村では一人親家庭の子供の保育所への優先入所について配慮するということになっております。さらに、先週決定をいたしました子ども・子育てビジョンに基づいて保育サービスの定員を毎年五万人増やすという目標をつくらせていただいて、一人親を含むすべての働いておられる親御さん方が安心して子供を預けられるような、そういう環境整備していきたいと思っております。  また、独り暮らしの御高齢の方々が安心して地域でお暮らしできるような、介護サービスだけではなくて、見守りあるいは緊急時対応という多様なサービスを包括をして提供できる地域包括ケアシステム、先ほど申し上げましたが、これを構築してまいりたいと思っておりますが、こういう分野はまさに新しい公共という視点も大変重要なのではないか、そのように思っておりまして、そういった方々をうまく政府としても支援申し上げたいと思っております。  教育環境整備教育における地域主権についての御質問がございました。  まさにおっしゃるとおりでありまして、社会全体として教育に大きな資源を振り向けるべく、学校耐震化あるいはICT環境整備社会人活用など、御指摘のような教育環境整備に必要な経費を来年度予算に盛り込んでいるところでございます。こういったことで教育内容の充実を図ってまいりたいと思っております。  また、この地域主権という話、まさに教育、そうだと思っておりまして、国と地方との適切な役割分担を行っていく中で、子供一人一人が充実した教育を受けることができるように教育における地域主権の確立を図るため、諸方策をこれは積極的に検討してまいりたいと考えております。  学校施設耐震化についてのお尋ねがございましたが、まさに平成二十二年度の予算では、公立学校施設耐震化関連予算、これは当初予算ということに比べれば増えたということでございますが、必ずしも自慢ができる話じゃないなと、そのようにも考えているところでございまして、今後、この予算効果的、効率的な執行に努めていくことはもとよりでありますが、その執行状況を踏まえながら、二兆円の景気対策枠というものがございますので、その活用なども視野に入れて学校耐震化はやはりこれは早急に進めていきたい、そのように考えているところでございます。  子供読書活動についてのお尋ねでございますが、確かに衆参両院で二〇一〇年を国民読書年ということにいたしました。そして、政官民が協力をして、国を挙げてあらゆる努力を重ねることを全会一致で決めたところでございます。これを契機といたしまして、さらに引き続いて学校、家庭、地域など現場を通じた読書活動推進してまいりたいと思っております。  なお、この子どもゆめ基金に関して申し上げれば、百億円の国庫分は返納をいたしたところでございます。基金は存続をさせる、所要の経費はむしろ運営交付金で賄って確保したいと、そのように考えております。これもある意味教育地域主権という方向からも考える必要があろうかな、そのようにも考えております。  それから、核兵器の使用を禁止する条約に関するお尋ねでございますが、我が国は唯一の被爆国でありますので、核廃絶に向けてやはり先頭を切って走らなきゃいけません、そういう思いではあります。  しかし、核兵器の使用禁止条約ということになりますと、現時点においては、残念ながら核兵器国を含む多くの国が受け入れていないというのが実情でございます。そういった状況を踏まえながら、しかし、核廃絶に向けて大胆に進んでいかなきゃなりませんので、現実的な措置を着実に積み重ねていくことが大変重要だと、そのように認識をいたしているところでございます。  消極的な安全保障というお尋ねでございますが、おっしゃるとおりでありまして、非核兵器国に対して核兵器国が核を使用しないという消極的な安全保障考え方は基本的に支持できると、そのように思っておりまして、これは岡田外務大臣も答弁申し上げているところでもございます。川口・エバンズ委員会の報告書も、こういった法的拘束力のある形での消極的安全保障の供与を提案しておりますし、本年五月に、お尋ねがありましたNPT運用検討会議におきまして消極的安全保障が議題となると、そのように伺っておりまして、我が国としてこの問題について関係国としっかりと連携をしながらリーダーシップを発揮してまいりたいと考えております。  CTBTやカットオフ条約についての御質問でございますが、CTBTの早期発効、カットオフ条約早期交渉開始、妥結の達成は大変重要で、これは私が昨年九月の安保理の首脳会合などによって、二国間の首脳会談などでもこの点を強く訴えてきたところでございまして、本年五月の先ほど申し上げたNPT運用検討会議においても、こういった措置の実現に向けてリーダーシップを発揮していかなければいけない、そのように考えております。  気候変動における外交方針についてのお尋ねでございます。  我が国は、削減目標を条約事務局に提出をいたしました。コペンハーゲン合意への賛同国を増やしていかなければなりませんし、削減目標・行動の提出に向けて各国にこのことを働きかけてまいりたいと思っております。COP16の議長国のメキシコとの連携は大変重要だと思っておりまして、一昨日、メキシコのカルデロン大統領が来られたときに私の方から、この問題に対してもCOP16の成功に向けて協力をするということを確認をしたところでありまして、連携強化を行ってまいりたいと思っております。今後ともリーダーシップをしっかりと発揮してまいりたいと思います。  温室効果ガス国内削減目標排出実態削減道筋に対する御質問がございました。  私は、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築や、意欲的な目標の提示、合意が必要だということを申し上げながら二五%の削減を提示したところでございますが、これは日本だけが高い目標を掲げてもほかの主要な国々が嫌だと言ったら仕方ない話であると、それではいけないわけでありまして、背中をしっかりと押すということが大事だという思いでございまして、主要な国々の意欲的な取組を促すためにも前提条件はやはり必要なものだ、そのように考えております。  そして、具体的な施策ということ、当然大変重要だと思っておりますし、これは旧政権のときから行われておりましたエコカーなどの導入支援というもの、あるいはエコ住宅もありますが、必要なことは、私は国民の皆さんの意識というものに訴えかけることだと思っております。加えて、先ほど山口代表からお話がありました国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、あるいは税制、こういったあらゆる政策を総動員をしていくことが必要だと、そのように考えております。  それから、地域主権と道州制についての御質問をいただきました。  私どもは、国の権限というものを道州に移譲するという道州制のむしろ先を行きたい、そのように考えておりまして、補完性の原理に基づいて地域でできることは基本的に全部地域で行うと、そのような世の中に変えていきたいと、そのように考えておりまして、むしろ基礎自治体というものを中心に置いた地域主権国家というものをつくり上げていきたい、そのように考えているところでございます。  そういう目標に基づきまして地域主権戦略の工程表を作り上げておりまして、まずは地方に対する不必要な義務付け、枠付け、こういったものを全面的に廃止しようということ、あるいはひも付き補助金を一括交付金化をすると、あるいは出先機関の抜本的な改革をする、こういったことを行って地域主権戦略大綱を策定をして、政治主導でこれを行わなければ決してできない話でございますので、政治主導で集中的かつ迅速に地域主権国家をつくり上げていきたいと、そのように思っております。  雇用対策に対する認識と取組方針でございますが、御指摘の三つの柱、大変重要だと思っておりまして、こういった考え方に基づいて雇用調整助成金の支給要件の緩和と、あるいは雇用保険制度の機能強化、あるいは貧困・困窮者支援強化、体験雇用の場の提供など新卒者支援強化、あるいは介護医療というような重点分野を含めて雇用創出というものに取り組んでいきたい。雇用に関しては積極的に取り組んでいかなければならないと思います。  最後の御質問でありますが、普天間の飛行場の移設問題についての御質問でございますが、普天間の飛行場の危険性あるいは騒音というものを考えたときに、一刻も早く移設先を見出していかなければなりません。  この問題については、まずは負担軽減を長い間願ってこられた沖縄の県民の皆様方のお気持ちというものを大事にするという立場、これを基本姿勢にしながら安保の観点も踏まえてしっかりと検討してまいります。現在、平野官房長官の下で沖縄基地問題検討委員会で精力的な議論が進められておるところでございまして、地元の理解、さらにはアメリカの理解というものも求めて、最終的には、当然国が責任を持って、私が責任を持ちながら五月末までに必ず結論を出します。そのことを申し上げておきます。  以上です。(拍手)     ─────────────
  5. 江田五月

    ○議長(江田五月君) 岡田直樹君。    〔岡田直樹君登壇、拍手〕
  6. 岡田直樹

    ○岡田直樹君 私は、自由民主党の岡田直樹です。自由民主党・改革クラブを代表して、鳩山総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  まず、改めて想像を絶するハイチの大地震の犠牲者にお悔やみを申し上げ、被災者にお見舞いを申し上げます。しかし、総理施政方針演説の冒頭、いのちを守りたいと述べたことを思えば、今回の地震で日本政府の対応が遅れたことは残念でありました。世界いのちを守りたいと言う以上、今後どのような復興支援策を講じていくか、まずお示しをいただきたいと思います。  さて、鳩山総理は、施政方針演説いのちを守りたいとうたわれました。これには同感でありますが、その内容たるや観念的、情緒的あるいは幻想的と言わざるを得ません。あの演説を聞く限り、鳩山政権が内外の厳しい情勢の中で本当にいのちを守れるのだろうかと大きな不安を感じたことを申し上げた上で質問に入ります。  政治家いのち信頼でありますが、今それが大きく揺らいでいます。先日の施政方針演説で強い違和感を感じたのは、労働なき富、つまり働かずにもうけてはいけない、こういうガンジーの言葉鳩山総理が口にされたことであります。  なぜなら、鳩山総理ほど労働なき富を多く手にしている人は少ないのではありませんか。お母様から友愛に満ちた月額一千五百万円、合計十二億六千万円もの資金を受けていた鳩山総理であります。日々の仕事もない人々の気持ちが実感できるのでしょうか。その総理が、働くいのちを守りたいと演説してもむなしく響くばかりと、私には聞こえました。  総理は、お母様からの資金について、知らなかった、すなわち脱税ではなかった、この一点張りでありますが、この説明を信じる国民が果たして何人いるでしょうか。世論調査で内閣支持率が急落し、不支持率が上回ったことの原因の一つは、ぬぐい去れない総理の脱税疑惑にあるでしょう。  総理は、私腹を肥やしたり不正な利得に手を染めたりしていないと繰り返していますが、到底納得できません。総理自身が国家に納めるべき贈与税を納めていなかったことは、既に私腹を肥やしたことであり、不正な利得に手を染めたことではありませんか。後で分かったから税金を払いましたでは済まないのであります。  総理国民の血税を預かる政府最高責任者であります。総理がちゃんと税金を納めないでいて、どうして国民に納税せよと言えるでしょうか。このことをもってしても、あなたは総理の資質に欠けると思いますが、総理は自らの政治責任、道義的責任をどのように認識しておられるか、それともこれで一件落着と考えているのか、伺いたいと思います。  関連して、昨年六月に発覚した友愛政経懇話会の収支報告書虚偽記載の問題について伺います。  いまだに収支報告書の訂正申告が行われておらず、国民に対して真実が報告されておりません。総理が自身の潔白を主張するならば、すぐにでも検察にある資料の返還又は閲覧を求め、訂正申告をして真実を国民の前に明らかにすべきではありませんか。どうして訂正をしないのですか。  検察に押収された資料は、御自身が要求すればいつでも閲覧が可能であります。起訴事実についても争う点がないと総理は明言しているではありませんか。訂正しないのは、そのことにより総理自身友愛政経懇話会に寄附した金額が量的制限の一千万円をはるかに超えることが明らかになるおそれがあり、そうなると、結果として自らの公民権が停止される可能性があるからではありませんか。なぜ訂正申告により説明責任を果たそうとしないのか、誠実かつ明確な答弁を求めます。  そして、小沢幹事長の問題があります。  施政方針演説小沢幹事長の疑惑について全く触れなかったのは何ゆえですか。総理は何が何でも小沢幹事長いのち、すなわち政治生命を守りたいのですか。小沢幹事長国会でもしっかり説明責任を果たすべきとは考えないのですか。民主党は自浄作用が働かず、小沢幹事長ににらまれないように口を閉ざす議員が大部分ではありませんか。我々は、小沢幹事長を参考人として国会に招致して国民説明責任を果たすよう強く求めております。鳩山総理、そして連立を組む国民新党の亀井大臣、社民党の福島大臣に、小沢問題に関してどのような御認識をお持ちか、また国会における小沢幹事長説明責任をどのように果たすべきか、お考えを伺います。  次に、外交安全保障について伺います。  いのちを守るという第一に、我が日本国民のいのちを守る責務が総理にあることは当然であります。  まず、拉致問題について伺います。  私の地元の石川県を始め、日本海側の各地で北朝鮮による拉致が多発してきました。私は新聞記者時代、二度北朝鮮を訪れ、当時北朝鮮が決して認めなかった拉致の存在を確信いたしました。横田めぐみさんが十三歳で拉致された新潟の現場に立ち、涙したこともあります。そのめぐみさんも今四十五歳になります。横田さんの御両親から北朝鮮に強い姿勢で臨むよう訴えられたこともあります。御家族もお年を召しました。一日も早く被害者のいのちを救わねばなりません。  我々が与党のときには、北朝鮮に対して対話と圧力、いや、圧力と対話の路線で毅然とした姿勢を取ってまいりました。これに対して、鳩山政権誕生後、その北朝鮮政策が見えてまいりません。率直に言って、拉致問題への対応に物足りなさを感じるのです。昨年の所信表明や先般の施政方針にも数行おざなりの文句が書かれているだけです。  鳩山総理、国家第一の責務は国民いのちを守ることであります。そして、拉致は日本主権に対する明白な侵害であり、それ以上に日本国民のいのちに対する冷酷非情な侵害であります。どうか拉致に対してもっと断固とした姿勢を取っていただきたいのです。なぜ総理いのち演説に北朝鮮に対する強い怒りが示されなかったか、これを伺いたい。あわせて、鳩山政権の拉致問題解決に懸ける決意方針を伺います。  さて、日米同盟は我が国にとって安全保障上の命綱ですが、総理は昨今の日米関係を余りにも楽観視しているのではありませんか。  普天間飛行場移設問題では、地元沖縄も含めて長い困難な交渉の末に調整した日米合意をほごにしかけており、憂慮に堪えません。今、米国政府は我慢の限界にあると言ってよいでしょう。鳩山政権普天間飛行場の移設先について結論を先延ばしにし、名護市長選挙で受入れ反対派が勝利したことでますます自ら窮地に陥ったのではありませんか。そもそも政府責任を持って判断すべきことを名護市民にげたを預けたこと自体、大きな間違いと考えます。市長選挙は住民投票ではありません。受入れ容認の名護市民も少なくなく、その民意をいかに判断するのですか。結局、総理の不決断が地元住民に苦渋の決断を強いてしまったのではありませんか。移設先についてこれからゼロベースで検討すると言い、平野官房長官は、選挙結果についてしんしゃくしてやらなければいけない理由はないと、こう述べました。名護市辺野古も移設先の候補として残っていると考えてよいのですか。総理の明確な答弁を求めます。  五月末までに結論を出すという意味は、まさか政府が候補地を選ぶだけという意味ではなく、日米そして移設先の合意も得るということを指すのだと考えますが、確認を願います。もしこれが実現できず、危険な普天間飛行場のままという最悪の事態に陥った場合、総理はどのような政治責任を取りますか。はっきりと伺います。  先日、海上自衛隊によるインド洋補給支援活動が打ち切られました。平成十三年から本年一月まで、我が国は派遣隊員のいのちを一人も失わず、テロとの戦いに参加し、成果を上げてきたのであります。この補給支援活動について、以前、民主党は、無料のガソリンスタンドとか、諸外国から感謝されていないなどと酷評をしていましたが、総理自身はこの活動をどう評価しますか。炎熱のインド洋で汗水垂らして頑張った隊員に総理からねぎらいの言葉を掛けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。この補給支援活動の中止を米国や国際社会はどう受け止めるでしょうか。アフガニスタンへ四千五百億円もの援助を行うことは、やはり小切手外交に逆戻りと見られるのではないでしょうか。  こうした日米関係の現状を見て、米国の識者から、日本は日米同盟から日中同盟に切り替えようとしているのではないか、こういう指摘さえあります。米国との信頼関係が揺らぐ一方で、小沢幹事長平成の遣唐使さながらの大訪問団を率いて訪中をし、天皇陛下と中国副主席の特例会見が強行されたことを見れば、こうした疑念が生ずるのも当然であります。  もちろん中国は大切な隣国でありますが、その軍備拡張にひた走る姿や世界のヘゲモニーを握ろうとする姿を見るとき、決して無警戒ではいられません。総理は、日米関係、日中関係のバランスをどのようにとらえ、外交を展開していく構想をお持ちか、伺います。  この問題の結びに、先日行われたオバマ大統領の一般教書演説では、テロとの戦いについても経済対策についても、日本への言及がなかったことを指摘しておきたいと思います。総理はどのような感想を抱きましたか。政権交代後の総理を始めとする政府の言動によって、日本は米国から軽視あるいは無視されようとしているのではありませんか。この点、総理は日米関係の現状をどう認識しているか、伺いたいと思います。  総理は、施政方針演説の中で、来年度予算いのちを守る予算に転換したと宣言しました。そして、公共事業予算を一八・三%削減したことを誇らしげに述べました。しかし、公共事業予算にかつてない大なたを振るったことは、現在の厳しい不況、とりわけ地方不況の中で、本当に地域の人々の働くいのち、すなわち雇用の場を守る選択なのでしょうか。そこに行き過ぎはないでしょうか。  我々が与党であった時代にも公共事業は抑制してきましたが、一昨年からの百年に一度と言われる不況に直面して大型の補正予算も組み、懸命に景気の底割れを防いできました。  厳然たる事実として公共事業に依存する地域があります。私の地元石川県でいえば、能登半島や白山のふもとの過疎地がその典型です。鳩山総理の北海道にもそうした地域は多いでしょう。そうした地域の人々が、今、公共事業の大幅削減で途方に暮れています。建設会社の破綻が相次ぎ、その関連産業も含めて雇用の場が失われ、人々の生活が脅かされています。昨年も、私の友人が一人、自らいのちを絶ちました。私は、コンクリートから人へというスローガンを素直に受け入れることができないでおります。  コンクリートから人へ、人のための政治は当然至極であり、私も、人間いのちと暮らしのために政治を志したのです。人は政治の目的です。コンクリートはその手段です。災害から人のいのち、安全を守るコンクリートもあれば、人の暮らしを便利に豊かにするコンクリートもあります。  先ほども申したとおり、多くの人々が建設業に関連して生計を立てております。建設業法では二十八種もの業種があります。土木、建築、大工、左官、とび、石工、屋根、電気工事、管工事、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、削井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、以上であります。このほかにも関連の産業が幅広くございます。  総理、お尋ねをいたします。こうした多くの人々の働くいのちと誇りを傷つけるコンクリートから人へのスローガンを総理は今後も使い続けるおつもりでしょうか、お尋ねをしたいと思います。  いわゆる土建国家からの脱却は必要でありますが、現在の厳しい景気雇用情勢を見れば、建設関連企業の急激な淘汰は決して好ましくないと考えます。前原大臣は、建設業者は二十万社でも過大であると発言されたように伺いますが、どの程度の業者数が適正と考えておられますか。また、建設業からの事業の転換や従業員の雇用についてどのような支援を講じる考えか、お伺いをいたします。  私は、今後の景気対策において、あえて公共事業を除外する必要はないと考えます。リーマン・ショック以降、米国や中国も大型の公共事業によって景気の底支えを行ったではありませんか。オバマ大統領の一般教書演説でも、米国は温暖化対策の側面もある高速鉄道網の整備などを目玉に、橋、高速道路といった社会基盤整備も即座の雇用創出につながるとして景気対策の柱にしております。景気対策における公共事業の役割について総理の御認識を伺います。また、環境面に配慮すれば、我が国においても整備新幹線の促進は依然として大きな意義のある事業考えますが、総理の認識を伺います。  次に、総理が地球のいのちと表現した環境問題についてお伺いします。  総理は、政権発足直後、我が国温室効果ガス排出量を二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減すると高らかに表明しました。しかし、その後は、温暖化問題解決に向けて総理自ら指導力を発揮してきたと言えるでしょうか。民主党マニフェストに記載されていたガソリン税等の暫定税率を廃止し、地球温暖化対策税に一本化するという案も、結局は小沢幹事長の圧力に屈して、あいまいな形で先送りしただけではありませんか。  また、昨年末、コペンハーゲンにおけるCOP15でも総理の存在感は薄く、各国の議論を主導することもないまま終わりを迎えてしまいました。会議も、事実上、結論の先延ばしで、ポスト京都議定書の枠組みはまだ見えてきません。そもそも、国民的な合意を得る努力もないまま、したたかな各国首脳を相手に華々しい数値目標だけ先走って発信してしまったことは、外交戦略上、軽率だったのではありませんか。後からできませんでしたでは、国民からも世界からも信用を失ってしまいます。指導力欠如という評価を気にしたのか、総理は、十分な議論も待たずに、先日、国連気候変動枠組条約の事務局に二五%削減目標値を提出しました。これもまた独善的ではありませんか。もっと幅広い国民の声をお聞きください。  総理は、昨年の臨時国会答弁において、目標達成に向けての中身を早急に明らかにすると述べております。そこで、改めて、今後二五%削減に向けてどのような道筋を描いているのか、明確にお示しください。あわせて、その実現のためには、国民、産業界の負担は金額にして年間幾らを想定しているのか、具体的に御説明ください。  地球温暖化防止は、国際社会が共通して取り組むべき大きな課題であります。しかし、国民合意のない、また国民の暮らしを脅かすパフォーマンスであっては決してならないということを申し添えておきたいと思います。  次に、国の形であり、いのちともいうべき憲法問題についてお伺いをします。  鳩山総理、あなたの憲法に対する姿勢がよく分かりません。総理はかつて、自衛軍の保持も盛り込んだ「新憲法試案 尊厳ある日本を創る」という著書を出しておられます。また、昨年末にも、ベストな国の在り方のための憲法を作りたいと憲法改正の意欲を示すとともに、民主党内や与野党間で改正論議を活性化させるべきだとの考えを表明されました。しかしながら、先日の代表質問で総理は、首相という立場においては、特に重い憲法尊重擁護義務というものが課せられていると、そのようにも考えております、したがいまして、今はその私の考え方について申し上げるべきときではない、そのようにも考えておりますと述べ、憲法改正について自らの姿勢を鮮明にすることから逃れています。  しかし、総理や大臣が憲法改正を論ずること自体は、憲法九十九条の憲法尊重擁護義務に違反しないということは明らかであります。もし無血の平成維新というならば、今こそ国会内閣など統治機構を含む新しい日本の国の形を大いに論ずるべきではありませんか。平成十九年には憲法改正国民投票法も成立し、衆参両院に憲法審査会が設置されましたが、民主党の一部にも反対論があり、二年半以上を経過した今も規程すらなく、全く機能していないことは明らかに違法な状態であり、極めて遺憾であります。鳩山総理には、民主党代表としても憲法審査会の始動に向けて指示をしていただきたい。その場で党利党略を超えて大いに議論をしようではありませんか。憲法審査会の問題も含めて、憲法改正について政治家としての鳩山総理の御所見を伺います。  質問の結びに申し上げます。  私は、昨年九月十六日、鳩山政権発足の日にある報道関係者から問われて、小鳩内閣というニックネームを付けました。その後、割合よく使われる表現となりましたが、小鳩の小は小沢幹事長の小でもあり、小沢幹事長鳩山総理の頭越しに仕切る内閣になるのではないかと予測したのでありますが、その予測は的中したようであります。  このような不正常な政権構造は直ちに解消すべきであります。そして、鳩山総理自らと小沢幹事長は、政治と金の問題について一刻も早く国民説明責任を果たすべきであります。このことを強く強く訴えて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  7. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 岡田議員の御質問にお答えをいたします。  まず、ハイチへの復興協力についてのお尋ねがございました。  私どもは、ハイチの実際のニーズをしっかりと検討をしながら、国際緊急援助隊、これによります医療活動、あるいは七千万ドルの緊急・復興支援、さらに国連PKOへの自衛隊施設部隊の派遣、こういったものを行うことに決めたところでございます。こういった支援はハイチ及び国際社会から様々御評価もいただいているところでありますが、一方で、やはり今回のケースを踏まえて、今後より迅速に緊急支援を行えないか検証作業を開始をしたところでもございます。  いずれにいたしましても、やはり震災国である日本として経験や知見を生かすことが重要だと、そのように思っておりまして、国際社会と協力をしてハイチの復旧復興に向けてこれからも積極的に取り組んでまいることをお約束をいたします。  それから、母からの資金提供に係る贈与税に関してでございますが、先ほどもお話を申し上げましたけれども、母からの資金の提供に関しては検察の捜査によって初めて解明されたところでございますが、私自身は何ら承知をしていなかったことも検察の捜査によって明らかになったことだと、そのように私は考えております。したがいまして、贈与税を免れようとか、あるいは私腹を肥やそうとか、そういう認識は全くありませんでした。既に贈与税、贈与として申告をして納税をいたしておりますけれども、これを脱税と判断するか否かの判断は国税当局が行うものだと、そのように思っております。  私の政治資金の問題に関しましては、捜査によって全容が解明をされ、処分の決定によって決着したと認識はしておりますけれども、国民の皆様方に御理解をいただくにはもう少し時間が掛かると思っておりまして、引き続き説明を尽くしてまいりたいと思っております。  御批判がございますでしょうから、様々な御批判には真摯に受け止めながら、国民の皆様の政権交代に懸けていただいた大変大きな御期待に対しても真剣に考えて、まずは改めるべきところをしっかりと改めて、御理解と御支持をいただけるように身を粉にして私に課せられた使命の遂行に全力を傾注をしてまいりたい、そのように考えております。  収支報告書の訂正についての御質問がございましたが、私の資金管理団体の収支報告書につきましては、検察による事実解明を真摯に受け止めて、今後、公判による事実認定の最終確定と検察に提出した書類の返還を待って数字の精査を行う必要があります。そして、二十一年分の収支報告の提出時期までには行うことを既に表明を申し上げているところでございます。なお、これまでも何度も御説明しておりますとおり、量的制限という制度については認識しておりまして、私が承知していないところで使われたお金でありますから、私には寄附をするという意思はなく、昨年の六月の修正と同様に貸付けとして処理をすることが法令に照らしても適切だと判断をしております。したがって、法令に反しているとは認識をしておりません。  小沢幹事長の問題についての認識、説明責任についてでございますが、小沢幹事長政治団体の収支報告書の記載をめぐる問題については検察による強制捜査が行われており、いまだ捜査中であると、したがって事実関係はまだ解明されておらない状況でございます。したがって、今は捜査の進展を冷静に見守ることが肝要だと申しております。また、小沢幹事長説明責任につきましては、御本人が検察の事情聴取にも応じて、記者会見も開いております。今後、更に説明責任を果たしていくことを御自身としても表明をしているというところでございます。  小沢幹事長国会招致に関しては、政府として申し上げる立場ではありません。国会で是非御議論をいただきたいと思っております。  それから、拉致問題についてのお尋ねでございます。  大変岡田議員がこの問題に対して情熱を燃やしておられること、何よりだと思っております。拉致は絶対に許されないことだと、当然でございます。  施政方針で示しましたように、すべての拉致被害者が一日も早く帰国されますように、政府の総力を挙げて最大限の努力をしていくということでございますが、これは昨年、私も総理になりましてから拉致被害者の御家族とお会いをいたしました。その際に、自分の家族を早く帰してほしいという大変痛切な思いを伺ったところでございます。まさに、いのちを守る政府として一日も早い解決を約束を申し上げたところでございます。したがいまして、新たに設置をいたしました拉致問題対策本部の下で、情報収集や分析の体制というものを強化をして、具体的な行動を北朝鮮からやはり引き出していかなければなりませんので、関係国とも一層緊密に連携を強化をしていきたいと考えております。  それから、普天間の飛行場の移設問題についての御質問でございますが、名護市長選挙の結果は、やはりこれは稲嶺市長が誕生したというのは名護市民の皆様方の民意の表れの一つだと、そのように受け止めております。一方で、当然、この問題は国が最終的に責任を持って具体的な移設先を決定をするというものでございます。  その移設先について申し上げれば、現在、沖縄基地問題検討委員会で精力的に議論を行っているところでございまして、まさにゼロベースで幅広く検討をしているところでございまして、現時点で私が言及することはありません。  いずれにしても、普天間の飛行場の危険性考えれば一刻も早く移設先を見付けなければなりません。地元の理解をしっかりと求めながら、また米国にも理解を求めて、すり合わせを行って、五月末までに具体的な移設先を決定をしてまいりますから、是非そのように御理解を願いたい。  インド洋での補給支援活動についての御質問でありますが、過酷な環境の下で大変に高い士気と規律を保ちながら補給支援活動をなさってこられた自衛隊員の皆さん方に対しては、心から敬意と感謝を申し上げたいと思っています。したがいまして、二月の六日でございますが、私としても直接ねぎらいの言葉を掛けさせていただきたいと思っております。  補給支援活動については、一定の成果を決して否定、すべて否定しているわけではありませんが、一方で、補給回数が一時期に比べてかなり減少してきたということで、補給支援活動の意味合いが小さくなってきたというのも、これも実態として事実だと申し上げてまいりました。  補給支援活動は終わったわけでありますが、政府としてはテロの根源を絶つということは大変重要だと思っておりまして、主としてアフガニスタンにおいては民生支援を中心として引き続いてテロ対策取組に主体的に行動してまいりたいと、そのように考えております。  日米関係、日中関係のバランスのお尋ねがございました。  言うまでもありません、アメリカは日本と基本的な価値を共有する唯一の同盟国でございます。そして、日中関係は我が国にとっても大変重要な二国間関係の一つであることも認識をしております。昨今、軍事力が増強されてきているというようなことには注視をしなければならないことも言うまでもありませんし、透明性も求めていきたいと思っております。日米同盟というものを基軸にすればこそ、我が国として中国を含むアジア各国との協力関係を高めていくことができると思っておりまして、日米関係と日中関係のバランス論みたいな考え方を取るつもりはありません。  日米関係についての御質問が更にございましたが、日本が米国から軽視、無視されようとしているという指摘は当たってはおりません。オバマ大統領の一般教書演説のほとんどはまさにジョブ、ジョブ、ジョブというお話でございまして、米国内の諸課題に割かれております。かつて経済摩擦が大変大きかったときに日本が言及されたことはありますが、日本の言及がないということは何ら不自然なことではありませんで、特段のコメントする立場ではありません。  日米同盟は我が国外交の基軸でありまして、同時に、オバマ大統領自身が米国にとって不可欠であると累次の機会に述べているところでもございます。これからも日米関係、特に日米同盟五十周年を機に更に深化をさせてまいりたいと思っております。  コンクリートから人への考え方についてのお尋ねがございました。  まさに私は、決してコンクリートを悪者扱いするつもりで申し上げているつもりは一切ありません。ただ、コンクリートから人へという象徴的な言葉は、大規模な公共事業国民にとって本当に必要なものかどうかというものをやはりもう一度見極める必要があると、財政も決して豊かではない状況であるということであって、必ずしも必要でないものは中止をしながら、真に必要なインフラに関しては十分にこれからも戦略的に財政等を検討しながら進めていくという認識でございまして、決して建設業あるいは関係の方々のなりわいと誇りというものを傷つける趣旨ではありません。  景気対策における公共事業の役割あるいは整備新幹線の話がございました。  公共事業が当然地域経済の下支えあるいは雇用創出などにおいて一定の役割を果たしてきていることは事実でありまして、そのことは認識をしております。ただ、一方で、人口が減ってきている、また少子高齢化だ、財政も大変厳しいと、こういう我が国の置かれた状況考えたときに、貴重な財源というものを有効に活用していかなければならないということでございまして、従来型の公共事業依存型の産業構造というものに関しては、大胆に見直していかなければならないという発想を私どもとしては取っているということでございます。  整備新幹線に関して申し上げれば、厳しい財政の制約もございますが、こういったことを考慮して、整備の意義を十分に検証した上で、国民の皆様方の理解を得ながら計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。  それから、温室効果ガスの二五%削減道筋、あるいは国民負担に対する御質問がございました。  私がこのいわゆる二五%削減というものを提案をしたのは、地球温暖化対策に向けてまさに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、アメリカとか中国、こういった主要排出国の背中を押さなければならないと、日本だけが高い目標を掲げてもいかぬという意味で、あえて目標を掲げながら先進国、主要排出国の合意が必要だということも申し上げてきたわけでございまして、そういう意味で、COP15、最終的に留意事項が付いたわけでありますが、それなりのものができたと、そのようには考えております。  ただ、これをいかに実現していくかと、国内対策が大変重要だと思っておりまして、エコカーあるいは省エネ家電などの導入支援策、これはもう既に行ってこられたわけでありますが、さらに国内排出量取引制度、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度、さらには地球温暖化対策のための税制といったものをしっかりと整備していく必要があります。また、やはり国民の皆さんの意識というものに促すことが大事だという思いの下で、チャレンジ25キャンペーンを小沢環境大臣の下で国民運動として起こしているところでございまして、あらゆる政策を総動員していきたいと考えております。  この負担の部分に関しては、従来のモデル分析が必ずしも正確でなかったということでございまして、これは、むしろプラス面なども十分に考慮していく中で今検討しているところでございます。  憲法改正についてのお尋ねがございました。  私がこの首相という立場においては特に重い憲法尊重擁護義務があると、課せられていると思っていると申し上げたのは、決して憲法の解釈論として申し上げたわけではありません。首相の立場にある者の政治姿勢、私の意思として申し上げたところでございます。  憲法改正は、できる限りこれは当然、両院議員における与野党の大多数の意見の一致を得て、すなわち、できる限り国民の多くの皆様方の広い意見の一致を得て行われなければならないものだと、そのように考えております。一党一派やあるいは内閣が憲法改正を声高に叫んだり、手続を強引に進めたりすると、かえってむしろ与野党間、党派を超えた建設的な憲法論議の機運というものを萎縮させてしまうんじゃないか、そのように思っておりまして、そのことはこれまでの経緯を見ても明らかではないかと思います。  したがいまして、憲法の在り方については、まず各党の中でそれぞれしっかりと議論をしていただいて、その上で、与党、しかる後に与野党間でしっかりと協議をして決めていくべき問題だと、そのように申し上げているところでございます。憲法審査会の始動の問題も同じでございます。  残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣亀井静香君登壇、拍手〕
  8. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 小沢幹事長をめぐる問題については、御本人が御自身の判断で今いろいろと御説明をされておると、このように承知をいたしております。(拍手)    〔国務大臣福島みずほ君登壇、拍手〕
  9. 福島みずほ

    国務大臣(福島みずほ君) 刑事事件については、その結果についてきちっと注視をしております。また、この問題については、刑事事件とはまたかかわりなく、御本人がきちっと説明をされるべきだと思います。(拍手)    〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
  10. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 岡田議員にお答えをいたします。  建設業者の適正規模、それから事業転換及び従業員の雇用への支援についてのお尋ねがございました。  私が二十万社というふうに申し上げたのは、現在五十万社余りでございますけれども、年間の売上げが百万円を超えている業者数は二十万社程度でございまして、それをベースに今お話をしております。  議員も御承知のとおり、現在、人口減少、そして少子高齢化、そして莫大な財政赤字ということの中で税金の使い道を大きく見直していかなくてはなりません。そういう意味で公共事業見直しというものを今行わせていただいているところでございます。抑制傾向で見直しをさせていただいているところでございます。他方、鳩山総理の所信演説にもございましたように、民間の知恵、資金を使ったインフラ整備というものもしっかりと進めてまいりたいと考えております。  それと同時に、この公共事業あるいは建設で今までなりわいとされてきた方々に対して、観光、農業、林業あるいは介護といった他の職業への転業支援というものもしっかりと行ってまいりたいと考えておりますし、また、建設就業者の雇用の維持確保につきましては、雇用調整助成金等の活用も図り、政府としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
  11. 江田五月

    ○議長(江田五月君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議
  12. 江田五月

    ○議長(江田五月君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。松岡徹君。    〔松岡徹君登壇、拍手〕
  13. 松岡徹

    ○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。ただいま議題になりました二〇一〇年度予算案について、民主党・新緑風会・国民新・日本の会派を代表して質問いたします。  昨年九月に民主党を中心とした連立政権が誕生した結果、日本政治を取り巻く状況が劇的に変化したことを国民の皆さんとともに心から喜びたいと思います。  自公連立政権の時代は、いわゆる市場原理主義の経済政策の下、我が国は弱い人や貧しい人を切り捨てる貧困大国あるいは格差大国の道をひた走ってきました。その結果、六人に一人が貧困という実態を生み出し、また、非正規労働者も三人に一人の割合で存在し、ニートと呼ばれる若者たちは増える一方でした。このような貧困と格差の増大にストップを掛け、少しでも希望の持てる社会にしてほしいという国民の熱い期待が、自民党から民主党への政権交代を実現させる原動力になったのであります。  予算案に関する質問に先立ち、鳩山総理大臣始め関係大臣に是非とも確認しておきたいことがあります。  最近、私たち民主党小沢幹事長政治資金規正法違反の容疑で東京地検特捜部の事情聴取を受けましたが、検察庁の捜査の在り方に関連して、取調べの全面可視化法案がマスコミで話題になりました。一部では、民主党が検察庁に圧力を掛けるために法案を検討しているとの批判がなされましたが、これは完全なミスリードであり、国民の皆様に誤解を与えています。  民主党の可視化の取組は今に始まったことでなく、二〇〇三年七月の参議院法務委員会の附帯決議で、取調べ状況の客観的信用性担保のための可視化等を含めた制度・運用について検討を進めることとされ、その附帯決議を踏まえ、私たち民主党は、二〇〇四年に取調べの全面可視化に関する条項を追加した刑事訴訟法改正案を衆議院に提出。その後、両院に議員立法を五回にわたって提出、参議院において二回にわたり可決、成立いたしました。  昨年五月にスタートした裁判員制度においては、これまでの調書主義を打ち破ることが期待されているはずです。また、裁判員として参加する一般市民を冤罪に加担させるような誤りは絶対にあってはならないことであります。  昨年、民主党は、裁判員制度実施に向けた環境整備等に関する意見書をまとめ、特に可視化の義務付けと全証拠リストの開示の義務付けを当時の森法務大臣に提出いたしました。一般市民を冤罪に加担させないためにも、部分的な可視化ではなく、取調べの全過程の可視化のための制度整備が裁判員制度定着の前提条件であると考えますが、千葉大臣の御所見をお伺いいたします。  鹿児島の志布志事件、富山の氷見事件等、冤罪事件が再び明るみになるとともに、昨年は栃木の足利事件の再審が開始されたことは記憶に新しいところであります。そして、昨年、冤罪の可能性が指摘されてきた布川事件の再審開始決定が確定、再審請求中の狭山事件についても、第三次再審請求にかかわる三者協議の中で東京高裁が検察側に対して初めて証拠開示を勧告し、再審に向けた動きが見られます。  鳩山総理は、布川事件の再審開始決定の確定に当たり、服役の長い年月が何を意味するかを裁判官一人一人、国民すべてが考えていかねばならない問題だとコメントされましたが、これら幾度となく繰り返されてきた冤罪の再発を防止するために、その構造的な原因を明らかにし、それを取り除いていくことが望まれているのではないでしょうか。これら繰り返される冤罪事件について、鳩山総理の御所見をお伺いいたします。  そもそも、これら冤罪事件が後を絶たず生み出される最大の原因はどこにあるのでしょうか。私は、このような冤罪の原因は自白の重視、そのための捜査段階における密室での自白強要及び裁判における調書主義にあると考えます。我が国の刑事裁判は、自白調書に強く依存しています。そのことが取調べの過程で強制や誘導が行われることを誘発し、ひいては虚偽の自白がなされる危険を内蔵しているのです。  無辜の人を裁いてはならない、このことは当然のことであり、また冤罪は真犯人を取り逃がし、犯罪被害者の方々等の期待を裏切ることにならないでしょうか。このような冤罪を二度と生み出さないという強い決意が必要だと思います。そのためには、密室での自白強要の防止、調書の偏重に基づく捜査や裁判の見直しが必要であり、いわゆる被疑者取調べの全面可視化は不可欠ではないでしょうか。鳩山総理の御所見を伺います。  民主党は昨年の総選挙におけるマニフェストにおいて、取調べの可視化で冤罪を防止すると明記いたしました。国民のための司法制度に改革するためにも、二度と冤罪被害者を生み出さない決意国民に示す意味でも、速やかに取調べの全面可視化を実現すべきと考えますが、千葉大臣の可視化法の今国会成立に向けた決意並びにいつごろ提案されるのかという見通しについてお伺いいたします。  次に、予算編成に先立って行われた事業仕分についてであります。  新たに設置された行政刷新会議が主導して、無駄な予算の洗い直しを目指し、民間の識者らも加えて、公開の場で徹底して無駄な予算にメスが入れられました。事業仕分では、概算要求額から六千七百七十億円を削減し、廃止と判定された事業は七十八事業、その九割以上が予算の計上を見送りました。その結果、無駄な予算削減額は、当初に見込んだ金額を下回りこそすれ、約一兆円に及びました。各省庁の事業予算の中身でどんなところが無駄なのかが分かり、国民の目には実に新鮮に映りました。もちろん、初めての試みでありました。  そこで、鳩山総理にお聞きします。総理は閣僚に対し、予算を要求する大臣でなく査定する大臣になれと訓示しましたが、その期待は果たせたのでしょうか。事業仕分の成果をどう見られておられるのですか。  次に、仙谷行政刷新担当大臣にお聞きします。今回の事業仕分の総括をどのように行い、どういう反省点があったのですか。今後、同じような事業仕分の手法を取り入れるとすれば、どのような点を手直ししていかれるのですか、お聞きいたします。  本年度第二次補正予算では、雇用対策のために六千百四十億円の予算が組まれました。  また、来年度予算案では、雇用保険の適用基準を緩和する措置をとり、雇用セーフティーネット機能を強化されています。また、雇用や中小企業対策等に使える予備費を特別枠として一兆円確保し、さらに研究開発や人材育成に取り組む中小企業を支援する制度を創設する等の施策を打ち出されました。  雇用は、国民が生活のよりどころとなる所得を得ると同時に、自己を実現するための重要な手段です。来年度予算雇用対策においていかなる実効性があるのか、長妻大臣に御所見をお伺いします。  二〇〇九年十二月の十五歳から二十四歳の若者の失業率は八・四%と、他の年齢に比べて極めて高くなっております。これからの我が国を担う若者の雇用対策は重要な問題です。しかしながら、政府は、昨年の事業仕分で、自立を目指す若者を支援する若者自立塾を事業廃止するとの結論を出しました。当面、緊急人材育成・就職支援基金で来年度は対応するようですが、政府として本格的にニート等の若者の自立支援を打ち出していくべきではないでしょうか。長妻大臣の御所見をお伺いします。  二〇〇二年に議員立法で成立しましたホームレス自立支援法は、十年の時限立法であります。中間見直しの二〇〇七年以降、厚生労働省による全国実態調査が毎年行われていますが、基本方針はほとんど変わっておりません。  野宿に至るまでや野宿から脱する過程、そしてまた、再度野宿に至る等の過程において、ホームレス対策施設だけではなく、生活保護施設やNPO等の民間施設、病院等の多様な中間施設が存在しており、法施策の不備を民間支援団体に頼っているのが実態であり、野宿生活者が減ったというのは一面的な判断と言えます。支援団体との連携等、調査手法の見直しを検討すべきではないでしょうか、長妻大臣にお聞きします。  野宿生活者に限定したホームレスの定義や認識、自立の概念を見直し社会的包摂、ソーシャルインクルージョンの観点から、ホームレスを生まない社会づくりに向けて多様でトータルな支援を構築すべきです。  今後、民間団体との連携や共働、施策実施の地域間の不均衡の是正、生活保護制度職業訓練在り方、住民参加型の町づくり支援等について検討することが重要です。  二年後にホームレス自立支援法の期限切れを迎えます。いのちを守る政治を掲げる鳩山政権が新たなホームレス自立支援施策を打ち出していくべきときだと考えます。法失効後の対応も含めどのような方針で臨まれようとしているのか、長妻大臣にお考えを伺います。  昨年十月、政府は、初めて相対的貧困率を公表しました。それによると、相対的貧困率は、一九九八年の一四・六%から二〇〇七年には一五・七%へと上昇しています。この数字を見たとき、国民の生活はどのような状況に追い込まれていると総理は御認識でしょうか。貧困の現状について政府はどのように受け止めているのか、長妻大臣に御所見をお伺いします。  特に考えなければならないのが、母子家庭等の一人親世帯貧困の問題です。OECD報告では、我が国の一人親家庭の貧困率は五八・七%と、二番目に高いアメリカの四七・五%を大きく引き離して、加盟国中、最悪の水準にあります。最も危惧されているのが、こうした親の貧困子供貧困につながる、いわゆる貧困の連鎖であります。  政府は、こうした状況を背景に、昨年十二月、厚生労働省内にナショナルミニマム研究会を立ち上げて、生活保護の実態や相対的貧困率等について検討を始めてこられました。この検討が、今後、どのようにして政府の施策に反映されるのですか。貧困の連鎖を断ち切るために、政府としてどのような考えの下に施策や取組を進めていくのか、長妻大臣のお考えをお聞かせください。  また、親がいない、身寄りのない子供には、来年度は子ども手当としての支給は行われないと聞いていました。政府は、こうした問題に対応して、安心こども基金を活用した対応を検討しているようですが、次代を担う子供の成長や発達を社会全体で支援するという原点にいま一度立ち返る必要があるのではないでしょうか。検討の状況見直し方向性について、長妻大臣にお聞きします。  鳩山総理は昨年の所信表明演説で、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない、そのことだけは、私の友愛政治の原点として、ここに宣言させていただきますと、また今回の施政方針演説においても、いのちを守りたい、働くいのちを守りたい、世界いのちを守りたい、地球のいのちを守りたいと格調高く述べられました。鳩山総理のお考えになる政治の原点、御決意に私自身大いなる感銘と共感を持ち、賛意を表すものであります。  鳩山総理が示された政治姿勢を具体化するために重要な政策の柱は、我が国の人権政策を確立していくことではないでしょうか。  この人権政策を具体的に確立、実施していくことは、日本国憲法第十一条の基本的人権の享有、第十四条の法の下の平等、第二十五条の生存権等の精神を実質化、具体化していくことにつながると考えますが、鳩山内閣における人権政策重要性についての認識にかかわって、鳩山総理の御所見をお伺いいたします。  その上で、現在の我が国状況考えると、残念ながら深刻な人権問題が依然として数多く発生し、人権を侵害された弱い立場の人々が泣き寝入りを強いられているという悲しむべき実情があります。  被差別マイノリティーや弱い立場の人々に対する排除や攻撃はますます深刻化しています。鳩山総理は、障害を持った人々や在日外国人あるいは被差別部落の出身者に向けられた、インターネット上の見るに堪えない差別書き込みや、他人の戸籍謄抄本を不正に入手し、興信所、探偵社に横流しをしている事件、また、いまだにその人の出身や立場等を理由とする就職や結婚の際の差別事件が後を絶たないこと等を御存じでしょうか。差別や人権侵害によって被害者は働く道を閉ざされ、結婚の希望を打ち砕かれ、時にはいのちをも奪われる状況を御存じでしょうか。  法務省の人権侵犯事件調査処理規程に基づく様々な人権侵害の申告が年約二万数千件以上も上がっています。このような立法事実を見るのであれば、国内人権救済機関の設置は喫緊の課題と言えますが、このような立法事実に対する鳩山総理の御所見をお伺いいたします。  二〇〇一年、人権救済機関の必要性を示した人権擁護推進審議会の答申が出されて九年が経過してなお、法整備はいまだに実現していません。先ほど示しました差別、人権侵害の実態が存在するにもかかわらず、立法措置がなされず、政治責任政府責任が果たされていないままであります。  また、政府から独立した救済機関の必要性については、一九九三年の国連総会で採択された国内人権機関の地位に関する原則、いわゆるパリ原則に日本政府も賛成し、国内人権機関を創設する義務があるにもかかわらず、その後五年が経過しても放置していることに対して、一九九八年に国連自由権規約委員会から早期設置の勧告を始め、社会権規約委員会、人種差別撤廃委員会、子どもの権利委員会、女性差別撤廃委員会からも同様の勧告を今日まで度重ねて受け続けています。国連人権理事会の理事国を務める我が国は、本来国際的な人権保障の先頭に立たなければならない立場にもかかわらず、自らの国際社会における役割、責任を放棄していると言えます。  また、二〇〇五年には、民主党は、人権侵害の被害の救済及び予防に関する法律案を国会に提出、廃案となりましたが、今日時点においても民主党の正式な法案として存在していると理解しているところであります。  今通常国会において実効ある国内人権機関を立ち上げる法制度、いわゆる人権侵害救済法の制定が必要であり、人権政策確立への試金石であると考えますが、立法不作為の政治責任と国際的責務に対する認識、マニフェストを踏まえた鳩山総理の法整備への御決意をお示しください。  人権侵害の被害者や被差別当事者、マイノリティーや社会的弱者が置かれている実態を見れば、我が国の人権政策とそれを支える法や体制の整備はまだまだ不十分と言わざるを得ません。  諸外国においては、積極的に政府から独立した人権委員会を設置するとともに、人権政策推進体制を体系的に整備しています。人権侵害や差別がどんな被害を生み出すのか的確に把握、対処し、憲法の言う基本的人権の具体化と人権施策を推進する行政機構の整備は必要不可欠ではないでしょうか。個別の法整備課題解決に向けた取組ももちろん必要ですが、人権政策推進する人権省を設置すべきだと考えますが、鳩山総理の御所見を伺います。  一九二二年、大正十一年三月三日、差別や人権侵害がいかに人間性を踏みにじり、尊厳を傷つけることかを指摘し、人間を尊敬することにより人権社会をつくり上げること、人の世に熱あれ、人間に光あれとうたった水平社宣言は、我が国初の人権宣言と言われています。鳩山総理の言ういのちを守る政治実現するためにも、人間としての尊厳を大切にする人権政策の確立が極めて重要な課題であると考えます。  私たち鳩山総理いのちを守る政治実現を大いに期待し、私の質問を終えます。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  14. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 松岡議員にお答えをいたします。  松岡議員が長い間、人権問題大変携わってこられたことに、心から敬意を申し上げたいと思います。  いわゆる冤罪の再発防止についての御質問でございますが、過去に幾つかの事案におきまして無実の方が有罪判決を受けたという事態、誠に遺憾だと思っております。先ほどもお話の中にありましたけれども、長い年月を掛けて最終的に無実だということが証明されても、その長い年月が戻ってくるわけではありません。このようなことがなくなるような世の中にしていかなければなりません。刑事裁判におきまして、処罰されるべきでない方を処罰するようなことは絶対にあってはならないことだと、そのように思います。原因には様々なことが考えられるわけでありますが、捜査当局におきましては、このような事態を極めて重く受け止めて、適正な捜査の遂行にまずは努めることが重要だと、そのように申し上げておきます。  取調べの可視化についてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、民主党におきましてはかなり長い間、可視化の問題、研究をしてまいったところでございます。民主党マニフェストにおいては、被疑者取調べの過程を録画等の方法により可視化することを掲げているところでもございまして、法務省などの関係省庁においてその実現に向けて現在議論をして、検討を進めているところでございます。そのように伺っています。したがいまして、今後も幅広い観点から適切に議論をして、検討をして、結論を出していかなければならないと思っておりまして、松岡議員にも御協力を願いたいと存じます。  事業仕分の成果についての御質問がございました。  事業仕分はどのぐらい役に立ったのか、有効だったのか、私は非常に有意義だったと、そのように思っております。まず、国民の皆さんに今まで予算というもの、もうそれはどうせ違うところ、我々の知らないところでつくられたものだろうと、そのようにしか思われていなかった。それを国民の皆さんの目に留まるような形にしたということだけでも大変に大きなこの新政権の意義があった、そのように思っております。  さらに、その事業仕分の実施によりまして、無駄な事業というものを取りやめる、あるいは延期するということも行われたわけでございまして、このようなことは大いにこれからも行ってまいりたいと思っておりまして、あるいは第二弾、第三弾、事業仕分をこれからも国民の視線に立って行ってまいりたいと思いますので、どうぞ御協力をお願いします。  それから、貧困率を見て国民の生活はどのような状況だと思うかというお尋ねがございました。  大変に日本、我々としては、これは先進国だという思いで胸を張っていたわけでありますが、いつの間にか貧困率極めて高いところになってしまったと。誠に残念だと思っておりまして、その一因は、やはりこれは弱肉強食、いわゆる市場原理至上主義というものがまかり通った結果だと思っておりまして、このようなことで格差が広がった結果、貧困率が高まったと、そのように思っております。したがいまして、その発想を百八十度転換をしていかなければならない。歯車のような人間、そして経済ではなくて、むしろ人間というものに重きを置いた経済というものをつくり出していく、社会生活を営んでいけるような、そんな新たな時代をつくり上げていくために努力をしてまいりたいと思いますので、この意味でも御協力を願えればと思います。  人権政策重要性についての御質問がございました。  人々のいのちを守り、すべての人々が人間らしく幸せに生きていく社会とするためには、まずは一人一人の人権がまさに憲法にのっとって十分に保障されることがこれは大前提だと、そのように思っておりまして、必ずしもその人権が守られていない、日本は人権を大事にする国だと言われながら、果たして本当にそうなのかと思われるようなことがいろいろとあることも大変残念だと思っております。人権侵害を受けている人々の悲しみや苦しみというものを十分にかみしめながら、差別とかあるいは偏見とは無縁に一人一人の皆様方の人権が守られる、そしてすべての人が生き生きと暮らせる社会、そういう日本をつくっていかなければならない。決意を新たにしているところでございます。  人権侵害の実情と人権救済機関の設置についてのお尋ねがございました。  今申し上げたように、国内において、様々な差別問題を始めとして数々の深刻な人権問題がまだ後を絶たない。そういった被害を受けられた方々は大変つらい思いをされていることを我々としても認識しなければなりません。したがいまして、こういった方々、被害を受けられた人々に対するより実効的な救済を図っていくために、国内の人権機関を設置するということは大変重要な課題だと思っておりまして、大変すばらしい御指摘をいただいたと思っております。  したがいまして、この法整備に対する御質問がございましたが、今申し上げましたように、各種人権規約に基づく委員会が我が国に対して示した見解の中で、独立した国内人権機関の整備について度々言及していることを私も存じ上げております。このような状況を踏まえて、政府から独立性を持った人権救済機関を創設することは非常に重要な発想だと思っております。できる限り早期に、人権救済機関の創設等を目的とする法案を国会に提出できるように努力をお約束をいたします。  人権省の設置についての御質問でございましたが、お尋ねの御趣旨は、人権問題に対して、これは法務省一省だけではなくてすべての役所に横断的にもっと頑張れという御指摘をいただいたものだと思っておりまして、これは人権省と一足飛びにそこまで行くかというところはまだあるわけでございますが、いずれにしても、人権侵害による被害者の救済などの人権政策について、政府全体として大いに推進してまいりたいと思っております。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣千葉景子君登壇、拍手〕
  15. 千葉景子

    国務大臣(千葉景子君) 松岡徹議員にお答えをさせていただきます。  まず、裁判員制度と取調べの可視化についてのお尋ねがございました。  裁判員裁判におきましては、裁判の長期化を避け、裁判員の負担を過重なものとしないようにする配慮が必要だと私も考えております。特に、自白の任意性等についても、分かりやすくてできるだけ短い時間で立証をしていかなければならないことは当然だと思います。そのため、検察においても、裁判員裁判の対象事件における被疑者の取調べの必要な部分について録音、録画を行うなどはしてまいりました。  しかし、さらに被疑者の取調べの全過程の録画等の方法により可視化することについて、その実現に向けて今取り組む決意をして作業を進めているというところでございます。省内に政務三役を中心とする勉強会等を設けて精力的に論議、検討を進めておりますので、どうぞまた応援をよろしくお願いをしたいというふうに思います。  次に、取調べ可視化に関する法案の提出時期についてのお尋ねがございました。  今申し上げましたように、今この問題に対する精力的な議論を進めさせていただいているところでもございます。提出時期について今確定的なことを申し上げることはできませんが、どうぞ御理解をいただきまして、今後とも皆さんの協力の下にこの実現に向けて取組を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)    〔国務大臣仙谷由人君登壇、拍手〕
  16. 仙谷由人

    国務大臣(仙谷由人君) 松岡議員の御質問にお答えしたいと思います。  事業仕分の総括についてお尋ねがございました。  今般の事業仕分、民間の第一線の専門家の参加をいただきまして事業仕分という公開の場であの作業を行うことによりまして、予算執行の実態、それから予算執行の効率性、効果性、これを国民の目の前に明らかにすることができたと、ひいては従来型の予算編成国民の主体的参加と監視の下で行うものに抜本的に変更することができたと考えております。今後、独立行政法人や公益法人が行う事業、あるいは特別会計などについても事業仕分第二弾を実施したいと考えております。  そしてまた、この事業仕分の結果も踏まえまして、今ハトミミドットコム国民の声・職員の声というものを国民から広く募集をいたしておるわけでございますが、国民の声は十二月十八日から二週間で約八百件の提言や指摘や、まあ告発的なものも寄せられております。こういう国民の声をよく聞いて次の事業仕分に生かしたいと思っております。  先般の事業仕分の経験も踏まえて、事業についての調査や分析の時間をもう少し取った方がいいのではないか、あるいは事業仕分そのものの審議の時間や方法、これについても、前回の経験を生かして、もう少し時間を長く取った方がいいのかというふうなことも含めて考えたいと思います。それから、国民の声をよく聞いて、対象事業の選定などについてもこれから創意工夫をしてまいりたいというふうに考えております。  お許しをいただいて、もう一つ感想めいたことを話をさせていただきますと、公開で予算執行の議論をするということは、本来、国会の機能ではないだろうかと。つまり、行政の監視や税金の使い方、使われ方について公開で議論するということは、決算委員会あるいは行政監視委員会の仕事ではないかという気がいたします。  決算委員会において分科会などを設置して濃密な議論をしていただくというふうなことで、そういう議論と両々相まって行政刷新の実を上げたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
  17. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 松岡議員におかれましては、日ごろ雇用貧困問題にお取り組みをいただき、敬意を表するものでございます。  私には七問の御質問をいただきました。  まずは、平成二十二年度予算で実施する雇用対策についてのお尋ねがございました。  現下の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあると認識しております。このため、平成二十一年度第二次補正予算に引き続き、平成二十二年度予算案に各種の雇用対策を盛り込んでいるところであります。  主なものを五つ申し上げますと、第一に、現在の厳しい経済情勢の中で企業を支援するため、休業者の休業手当等の一部を補助する雇用調整助成金について、生産量要件を緩和することにより、従来であれば助成金の支給対象から外れることになる約八十万人の方が引き続き助成金の対象者となるようにいたします。全体で二百万人を超える方の休業時の手当等を補助し、失業を防ぎます。  第二に、今後成長が見込まれる介護福祉医療、情報通信等の分野への就業を促進するため、これらの分野における職業訓練充実雇用創出に取り組んでまいります。緊急人材育成支援事業を含め、平成二十二年度は合計で三十万人を超す訓練の定員を確保をいたします。  第三に、仕事を探すには住まいが安定していなければできません。全国の主要なハローワークに住居・生活支援アドバイザーを配置して、総合相談と実施機関への的確な誘導を行います。住居が不安定な方に支給する住宅手当についても、補正予算での措置により、引き続き一定の条件下で、支給期間をこれまで六か月だったものを九か月に延長して実施をしてまいります。  第四に、厳しい雇用情勢の中、特に新卒者就職難が憂慮をされることから、企業や学校を訪問して新卒者就職支援する高卒・大卒就職ジョブサポーターをハローワークに倍増、千人近くに倍増して配備をいたします。また、新卒者を体験雇用する事業主を支援する新卒者体験雇用事業活用することなどにより就職を促進します。  第五に、今後、雇用保険法の御審議をいただきますが、非正規労働者に対するセーフティーネット強化するため、雇用保険適用範囲雇用見込み六か月以上から三十一日以上に拡大することとしております。この措置により、新たに二百五十五万人の方が雇用保険の対象者となる見込みであります。  鳩山内閣が目指す人間のための経済においては、国民が安心して働き、能力を発揮する雇用の場を得られることが何よりも重要なことと考えております。切れ目のない支援を行うためにも、本予算の速やかな成立をお願いを申し上げます。  次に、ニート等の若者の自立支援についてのお尋ねがございました。  厳しい雇用環境の下、ニート等の若者の自立は一層困難となっており、こうした若者が職業的に自立し、安定した職業に就けるようにするため支援充実してまいります。  議員御指摘のとおり、これまでの若者自立塾事業は廃止をして、平成二十二年度は新たに緊急人材育成支援事業訓練メニューの一つとして合宿型自立支援プログラムを位置付け、まずは従来を超す六百人以上の規模を目指して切れ目のない支援を行うこととしております。その際、内容面でも、企業実習を盛り込み、ハローワークともより密接に連携するなど、これまで以上に就職に結び付きやすいものとする拡充を行います。  また、地域の専門機関のネットワークにより、ニート等の若者に面接の仕方などについてのきめ細かい相談から情報提供まで幅広く支援を行う地域若者サポートステーション事業、これがございます。平成二十二年度は若者サポートステーションを全国百か所に拡大するとともに、ニート状態に陥るおそれの特に大きい高校中退者等の御自宅に訪問する支援、すなわちアウトリーチ支援の本格的な実施等の拡充を図るということとしております。これら施策を総合的に展開し、ニート等の若者に対する自立支援策拡充を図ってまいります。  次に、ホームレスの方の実態調査の手法についてお尋ねがございました。  ホームレスの実態に関する全国調査については、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき、毎年一月、各自治体に対して人数と居場所の調査をお願いしているところであります。しかし、ホームレスの方の実態把握については、私は不十分と考えております。従来のように屋外で生活されている方ばかりではなく、例えばネットカフェなどを転々とし寝泊まりしている方をできるだけ把握することや夜間の調査など、自治体の協力を得つつ、より良い調査手法等について検討を進めていく所存でございます。  次に、ホームレスの方の自立支援法の失効後の対応方針についてお尋ねがございました。  ホームレスの方の自立を促進していくためには、雇用支援はもとより、住宅、保健、福祉等の総合的な自立支援策を講ずることが重要です。この考え方に立ち、現在、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき施策を進めているところです。  さきの第二次補正予算においても、第一に、簡易宿泊施設等の借り上げ方式による緊急一時宿泊施設を五千人分追加確保し、第二に、ホームレスの方への相談を行う巡回相談員を百八十人増員するなどの施策を講じたところであります。  ただし、ホームレスの方の自立支援については、行政の対応だけでなく、市民やNPOとの協力の下、地域全体で推進されていくことが重要です。この法律は議員立法であり、平成二十四年の期限後の在り方についてはまず関係者で御議論いただきたいと考えております。ただ、私としては、いのちを守る鳩山内閣方針の下、新しい公共、地域のきずなといった観点も踏まえ、ホームレス自立支援対策をしっかり推進してまいります。その一つとして、新たに民間の効果が著しい活動に一部助成していくことも検討してまいります。  次に、国民の生活、貧困状況の認識についてのお尋ねがありました。  昨年、我が国の抱える貧困の問題を直視するため、厚生労働省において初めて相対的貧困率を公表したところであり、先進国であるOECD諸国の中では高いグループにあると認識をしております。いのちを守る政策を実施する中で、結果として貧困率が低下するよう取り組んでまいります。  また、一昨年には、帰る家すらない貧困・困窮者の方のために、民間人による派遣村が開設されました。このことに象徴されるように、貧困率の数字だけではなく、貧困は大きな社会問題になっていると実感をしております。  私も、鳩山総理と御一緒して、今年の元旦に八百人を超える方が入所されている年越しの一時宿泊所にお邪魔しました。職や住まいを失った方々の窮状を直接お伺いし、年末年始のみならず、日常的な取組の必要性を感じているところでございます。  そこで、貧困・困窮者の方への緊急支援として、第一に、利用者が雇用や生活支援など必要な支援サービスの相談、手続を一つの窓口でできるようにするワンストップサービスデーの実施をいたしました。第二に、失業して住宅を失った方等を対象として、家賃に充てるための住宅手当を現在支給をしております。手続は自治体がしております。第三に、雇用保険を受給できない方等を対象として、無料の職業訓練を行うとともに、一定の要件の下、訓練期間中に、単身者は月額十万円、養う御家族のいらっしゃる方は月額十二万円の生活費を給付をするというような支援もしております。今後とも、貧困実態を把握し、対策に生かしてまいりたいと考えております。  次に、ナショナルミニマム研究会の検討を踏まえた今後の対応についてのお尋ねがございました。  貧困の問題については、貧困の連鎖を断ち切るべきとの御指摘もあり、平成二十二年度予算案においては子供貧困に着目し、第一に昨年復活させた生活保護の母子加算の継続、第二にこれまで支給対象ではなかった父子家庭への児童扶養手当の支給などの対策を盛り込んだところであります。加えて、中学校終了までの子供一人当たり月額一万三千円の子ども手当の創設についても、結果として子供貧困問題にも資するものと考えております。  また、憲法二十五条では国が国民の最低限の生活を保障することをうたっていますが、具体的な最低限度の生活とは何かというナショナルミニマムをきちんとまだ定められていないと認識をしておりまして、それを国家として定める必要があるというふうに考えております。このため、有識者や現場に詳しい方から成るナショナルミニマム研究会を設置したところであり、現状を検証した上で、最低限度の生活の基準、ナショナルミニマムを決める作成に取り組んでまいります。引き続き様々な施策に取り組み、貧困の問題に真摯に対応をしてまいります。  最後に、身寄りのない子供たちへの子ども手当の支給について御質問がございました。  子ども手当は、すべての子供の育ちを社会全体で支援することを趣旨としております。したがって、本来、施設内の親のいない子供等に対しても子ども手当の恩恵が行き渡るべきであると考えております。  しかしながら、平成二十二年度においては、施行までの期間や市町村の事務負担を考慮すれば、子供を保護し、見守る、監護する方に手当を支給するという現在の支給要件を法律上変更することは困難であることから、別途、例えば安心こども基金活用により、施設内の親がいない子等について、施設に対し子ども手当相当額が行き渡るような措置について現在検討をしております。  平成二十三年度以降の取扱いについては、制度在り方を検討する中で、子ども手当の恩恵が行き渡るよう検討を続けてまいります。  今後とも、雇用貧困問題に全力で取り組んでまいります。(拍手)     ─────────────
  18. 江田五月

    ○議長(江田五月君) 松村祥史君。    〔松村祥史君登壇、拍手〕
  19. 松村祥史

    ○松村祥史君 自由民主党、松村祥史でございます。私は、自由民主党・改革クラブを代表し、鳩山総理並びに関係閣僚に質問いたします。  先日、総理施政方針演説を聞かせていただきました。いのちを守りたい、地球を守りたい、ごもっともなお考えです。そのことを実現していただきたいと願います。  しかし、総理は本当にそのことを実現するための方法論をお持ちなのでしょうか。私には理想論ばかりにしか聞こえませんでした。世の中には、明日の生活をも知れず困っている人々が国内にも世界にもたくさんおられます。  総理が、平成二十二年度予算いのちを守る予算と名付けられ、本当にいのちを守りたいと思っていらっしゃるのなら、まずは隗より始めよではありませんか。国民の税金という他人の財布だけを当てにして、ただだから大盤振る舞いするということではなく、総理が持っている莫大な資産から十億や二十億ぐらい寄附してからおっしゃったらいかがでしょうか。  総理自身も、自ら施政方針演説で労働なき富は社会的大罪と述べられました。総理が親から譲り受けた庶民では想像すらできないような巨額の財産や毎月のお小遣いは、労働なき富そのものじゃありませんか。  それにしても、労働なき富が社会的大罪とはよくおっしゃいました。私も、鳩山政権になって、この言葉意味がよく分かりました。本当にそのとおりだと思います。鳩山政権政策には、国全体で富を拡大するという思想がほとんどありません。施政方針演説を聞いて、この国が豊かになる、明るい社会が築けると思った国民は恐らく皆無でしょう。なぜ富を拡大して国を豊かにするという発想が出てこないのでしょうか。総理自身もおっしゃるように、恵まれた家庭に育って富を稼ぐ必要がなかったからじゃないんですか。それ以上豊かになる必要がなかったからじゃないんでしょうか。私は、他人の人生における価値観をとやかく申し上げるつもりはありません。しかし、このような人が一国の総理として経済政策の最終責任を担っている、これを社会的大罪と言わずして何と言うんでしょうか。  総理は、母親から受けていた毎月家一軒買えるだけの巨額の贈与を全く知らなかったとおっしゃっておられますが、仮に中小企業の経営に例えれば、その会社を支える大口取引との取引の存在を部下に任せて全く知らなかったということであります。私も中小企業の経営者をやっておりましたのでよく分かるのですが、そんな経営者はいません。もしいたとしたら経営者として失格であり、知らないことも罪なんです。経営のイロハも分からず中小企業の経営も満足にできないような人が今まさに国家経営をしている、まるでブラックジョークのような話です。国民にとって実に不幸なことだとは思いませんか。総理見解をお伺いいたします。  私は、昭和三十九年、東京オリンピックの年に生まれました。オリンピックの開催は、先進国の仲間入りを果たした象徴でもあると思います。熊本で生まれ育った一九六〇年代は、まさしく高度経済成長の真っただ中でした。資源に恵まれない我が国は、世界でもまれに見るほどに勤勉な国民が創意工夫を重ねたことで経済大国を築き上げました。  その国民が、残念なことに今自信を失っています。その原因は何か。情報通信を始めとした現代文明の進歩により、世界は小さくなりました。情報、人、物、金が国境を越えて瞬時に移動できるようになりました。先般の世界的金融危機を例に挙げるまでもなく、経済的に見れば既に世界は一つになったと言っても過言ではありません。我が国経済も、その多くはこの一体化した国際経済の中に組み込まれています。これは、好き嫌いではなく事実です。多くの国民は、その中で競争し、勝ち抜いていくことに自信を失ってしまっているのではないでしょうか。  私は、失われた国民の自信をもう一度取り戻したい、取り戻せると確信をしております。まさにそれが政治の役割だと考えております。我が国が資源が乏しい中で生きていく以上、国際経済の中で競争し、勝ち抜いていくことから逃れるわけにはいきません。そして、幸運なことに、そのためのすばらしい可能性を国民一人一人は持っています。国民一人一人の能力や個性を生かしながら、その可能性を存分に引き出すことができれば、我が国は間違いなくもっと伸びていくと確信をしております。  ところが、政府・与党の政策にはこの発想が極めて希薄です。基本的には、今そこにいる弱者を保護し、いのちを守る。しかし、厳しい国際経済の荒波からは目を背けたい。弱き者を助けることは当然大事ですが、国民とともに荒波に立ち向かい、それを乗り越えていくことなくして国民の生活も救われません。  確かに、先日、政府は新成長戦略を策定されました。来年度予算案の編成後に策定するというタイミングも、いささか本気度に疑問符が付くところであります。また、内容もとても戦略と呼べるような代物ではありません。これまでの政権に対する敵がい心ばかりで、あとは少しの関連施策を羅列したにすぎません。語られる内容が適切かどうかの検証もなければ、実現するためのシナリオすらも描かれていない。このように、経済成長のことも考えていますというポーズのためだけのパフォーマンスはもうやめましょう。偽装するのは献金だけでもう十分です。国民は本物の政策を待ち望んでいます。  政府・与党は、多くの政策において国民を弱き者、保護すべき存在と決め付けています。まるで国民総護送船団のようです。社会主義国家じゃあるまいし、実に上から目線だとは思いませんか。単に保護するだけでは決して明るい未来は開けません。我々、自由民主党は違います。国民一人一人の可能性を信じ、共に伴走し、一生懸命にとことん励まし、共に汗を流し、それによって初めて国民は、明るい将来や夢、希望、生きがいを感じることができると確信をしております。総理はどのようにお考えですか、お聞かせください。  幾つもある政府・与党の国民総護送船団の政策のうちの一つが、まさしく子ども手当であります。  本来、少子化対策は、妊娠、出産から高校、大学までの子供の成長に応じた総合的な子育て支援、親の働き方の改革、社会の意識改革、こういった多面的な対策に相乗効果を持たせていくべきものであるにもかかわらず、中学生以下の親に現金を配るところに政策資源を集中的に特化するという、誠にバランスを欠いたばらまき政策を展開しています。二十二年度は二・三兆円、二十三年度は五・三兆円と見込まれる真水の予算支出にもかかわらず、これによって少子化に歯止めが掛かるとは到底考えられません。  最近は共働き世帯が増えていますが、夫婦共に働くためには、安心して子供を預けられる施設が家庭や職場の近所にあって夜遅くまで対応してくれる、そこに心優しい親切な先生や保育士がいる。老朽化した施設の耐震強化子供たちの安全を守るためには必要でしょう。そういう環境整備も極めて重要であり、ばらまきという言葉は好きではありませんが、家計にお金を配ればそれで済むという単純なことではないと思います。  本当にこれは少子化対策なんでしょうか。それとも所得対策なのか、政府の言う需要対策なのか、政策目的すら明確ではありません。政策効果も不明なまま、まさに子ども手当の対象となる子供たちに巨額の借金のツケを回すのが本当に子供たち未来のためになるのか、政府としてもう一度胸に手を当てて考えるべきではないでしょうか。一体どういう目的で、どのような効果期待してこれだけの多額の予算を計上されているのか、社会子供を育てるという理念には大いに賛同いたしますが、その方法論として、三歳から五歳児の幼児教育・保育の無償化や、未払が多く出ている給食費へ充当するとか、もっと効率的な施策があると思いますが、総理責任ある御見解をお伺いいたします。  総理も最近になってようやく地方に行かれるようになったようですが、地方におります私にとって、地方経済が極めて深刻な状況であることを危惧しております。こうした状況を改善するためには、地方の産業をてこ入れし、活性化することが必要です。ほとんどの地域の産業は、おおむね農林水産業、中小・小規模企業、建設関連産業の三本柱によって成り立っております。そこで、この三つの産業について、産業育成という観点から総理にお伺いいたします。  まず、地方経済についてお聞きいたします。  今回の政府予算案では、コンクリートから人へという掛け声の下に、公共事業関係予算が前年比約一・三兆円の減、率にして約一八・三%の減と大幅に削減されました。  地方においては、一般に社会資本整備が遅れており、このような公共事業の極端な削減により、通勤通学あるいは医療福祉関係機関へのアクセス整備など、真に必要な公共事業整備もままならない状況に陥っています。  さらに、経済基盤の脆弱な地方にとっては、公共事業に依存する度合いが強く、景気雇用にも致命的な影響を与えかねず、地域の疲弊に拍車を掛けることも懸念されます。  一方、政府は、削減分の一部を活用地域にとって使い勝手の良い新たな交付金を創設したと言っておられますが、交付金の使い道については、関連の社会資本整備ソフト事業も含まれるといった話はあるものの、総額として大きく減額されており、そのほとんどはこれまでの国庫補助対象事業を移し替えただけとの声も聞こえてきます。これでは、ひも付きではないといっても見かけ倒しの地方分権ではないでしょうか。総理の御認識をお伺いいたします。  次に、農林水産政策についてお伺いいたします。  後継者問題は深刻です。地元熊本でも、お話を伺っておりましても、民主党農政への不安は消えません。確かに各農家の所得を補償してくれる選挙での民主党のスローガンは非常に耳触りが良く、農家の方々の心をとらえました。しかし、かねてより小沢幹事長を始め民主党は農産物貿易の自由化を主張され、総選挙前には、米国とのFTAを締結するとしたマニフェストを、農業者の猛反発に遭い、交渉するから促進するへと後退させた経緯があります。幾ら農家の所得を戸別に補償すると言われても、海外の安い農産品が大量に入ってきたのでは、価格競争に勝てず、将来農業が産業として成り立っていけるのか、農業者の方々は不安でならないのです。  農家は決して弱者ではありませんし、守らなければならないかわいそうな人たちでもありません。農業に自信と誇りを持ち、産業として自立したいというのが農業者の方々の真の願いだと考えます。国が丸抱えで面倒を見なければならないような産業に若い人が夢を持てるでしょうか。  今必要なのは、各農家にお金を支払う社会政策ではなく、産業としての自立を促す政策です。総理は、産業としての農業をどう考えていらっしゃるのでしょうか。  また、この度、戸別所得補償のモデル事業の費用を捻出するに当たって、農業農村整備予算が三千六百四十三億円削減されました。六三%以上の減です。総理は、十年後に自給率五〇%を目指すと言っておられますが、圃場整備をおろそかにしてどのようにして自給率を向上させようというのでしょうか、併せてお伺いいたします。  同様に、林業については、第一次補正予算の凍結後、森林整備予算が百九十四億円削減されました。やはり来年度予算でも森林整備予算は四百三十五億円以上削減されました。政府は緊急経済対策の中で、森林・林業再生の加速を成長戦略の一つに位置付けられました。にもかかわらず、削減とは一体どういうことでありましょうか、その真意をお伺いいたします。  菅副総理は、林業を雇用の受皿にすると言っていらっしゃいますが、農業と同様、基礎的な整備を怠って日本の林業が再生するとでも考えていらっしゃるのでしょうか。地球温暖化の観点からも、森林吸収源としてますます重要となる林業を産業として再生させるため、どのような方策を取るおつもりでしょうか、お伺いいたします。  水産業についても厳しい状況は変わりありません。乱獲や環境の変化により漁獲高も減り、厳しい経営を強いられております。まさに漁業者の方々も八方ふさがりです。  総理は、一次産業について、産業育成という観点からどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。  地元熊本に帰りますと、中小・小規模事業者から聞こえてくるのは悲鳴ばかりです。そのような中で、民主党マニフェストには、最低賃金を全国平均千円まで引き上げることを目指すと記されています。現在、熊本の最低賃金は六百三十円です。最低賃金の千円は、地方の水準からすれば到底払い切れない金額です。  私も、中小・小規模企業で一生懸命働く従業員の方々の賃金を引き上げられないかとは思います。しかし、現実を見れば厳しい、非常に厳しい状況です。中小・小規模企業は我が国雇用全体の約七割を支えております。今より賃金を引き上げれば、大部分の中小・小規模企業自体が立ち行かなくなるのが現状です。一体いつから引き上げるおつもりなのでしょうか。なぜ、現在のように企業業績が低迷するときに労働分配率だけを大幅に引き上げないといけないのか、私には全く理解できません。  むしろ、中小・小規模企業をきちんと活性化した上で、その果実を従業員の方々とともに分かち合うというのが本来あるべき姿ではないでしょうか。その意味で重要となる中小・小規模企業の活性化についても、目先の金融対策という対症療法以上に、企業を成長軌道に乗せていくための支援策政府はきちんと持ち合わせていないように見受けられますが、どのようにお考えなのか、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。  建設関連産業についても大変な状況に置かれております。政権が変われば政策も変わるというのは分かります。しかし、政策の先には現場で生活する人々が大勢おられます。  前原大臣は、先日、建設業者の数を五十万社から二十万社に減らすとおっしゃっておられました。公共事業予算が減れば、建設関連産業も自然淘汰されるとでも思っておられるのでしょうか。淘汰される三十万社もの経営者、従業員、そしてその家族方々はどうすればいいのでしょう。御聡明な前原大臣にはよく御理解いただいているものと思っておりますが、円滑に事業転換、業種転換をさせていこうと考えているのか全く伝わらず、大変不安に思っております。  政府として責任を持って明確なビジョンを示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。午前中、同僚の岡田議員からも同様の質問に対し前原大臣から御答弁いただきましたが、もっと詳細なプランをお持ちでしょうか。お持ちであればお示しいただきたいと思います。  次に、外交安全保障政策についてお伺いいたします。  その前に、長らくインド洋に派遣され、無事任務を終了された海上自衛隊の皆様や、ゴラン高原にPKO活動で派遣された佐藤正久隊長の第一次部隊から、今般派遣される第二十九次派遣部隊の皆様の御労苦と御活躍に深く敬意を表すものであります。  外交安全保障ほど現実的なアプローチが求められる分野はなく、我が国の安全や国際平和も、核廃絶のみを訴えればそれで済むというほど甘いものではありません。  政府は、昨年末に策定するはずであった新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画の策定を先送りしました。変化の激しい国際環境の中で、政府として安全保障基本方針すら示せずにいるのは、基本的なリスク管理ができているのか、大いに不安にさせられます。政府としての国益上のねらい、戦略を分かりやすく具体的に国民総理から御説明していただきたいと思います。  次に、外国人参政権についてお伺いいたします。  地方政治に拙速に外国人参政権を認めようとする動きが政府民主党内にあることが報道されています。政府民主党は、地域主権を唱えながら、地方意見を聞かずに、他方で地方に外国人参政権を認めようとしています。先般、熊本県議会からも反対決議がなされていると思います。  これは、要するに、国の主権を拙速に外国人に与えようとしているということにほかならないんじゃないでしょうか。全く理解できません。もっと地方国民の声を聞くべきです。この点について、総理の御見解と、連立与党として亀井大臣の御所見をお伺いいたします。  政府は、予算編成に際して事業仕分という手法を導入いたしました。透明、オープンな方法で客観的に評価するということはとても大事なことであります。その趣旨は分かりますが、手法には多くの疑問が残ります。仕分対象事業仕分人の選定、仕分ける際の判断基準など、透明なプロセスという見せかけとは裏腹に、仕分ける側の政府に都合のいい非常に恣意的な手法が埋め込まれております。  そもそも、このような決算評価的なプロセスは、きちんと国会で、それも参議院が担うべきものではないでしょうか。参議院決算委員会で我々国会議員が与野党の垣根を越えて十分な審議を行い、その決算を基に予算編成をする。会社を経営した者としてはごく当然のことと思いますが、いかがでしょうか。総理にお伺いいたします。  最後にもう一点。これまで触れてまいりませんでしたが、民主党小沢幹事長の献金問題については、巷間言われている問題自体の深刻さもさることながら、それに対する民主党の対応は異常としか言いようがありません。このように深刻な疑惑になぜ政府や与党の皆さんの多くは口をつぐむんですか。なぜ批判をすることすらも許されないんですか。国会議員なのになぜ発言する自由すらないんですか。このように大事なときに発言することすらできない政治家や政党に国を任せて本当に大丈夫なんでしょうか。民主主義の根幹にかかわるこの問いを最後に総理にお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  20. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 松村議員にお答えをいたします。  まず、母からの資金提供と国家経営に関してでございます。  まず、秘書任せという御指摘でございますが、母からの資金提供については検察の捜査によって初めて解明されたことでございまして、私自身が何も承知していなかったこと、捜査によって明らかになったと考えております。  また、私は、他の方々からの金品の詐取とか、あるいは不正な手段によって富の獲得とか、あるいは法令の違反をして人倫にもとると、そういう利得の取得を行ったというものでもありません。私の知らないところで使われたお金につきましては、その責任を果たすために贈与税をさかのぼって申告をし、納税をいたしたところでございます。  私に国家経営を任せることは不適当かどうかと、このことに関しましては国民の皆様方が御判断されることだと、そのように思っております。また、民主党全員あるいは連立与党の全体が政権の負託を受けたと理解をして、今は一致結束をして国民の皆様方の御期待にこたえたい、そのように思っているところでございます。  政策における国民の位置付けについての御質問でございました。  この国民総護送船団の意味が必ずしもよく分からないのでありますけれども、私たちは、むしろ自立支援、すなわち自立しようと思っている、ある意味国民の皆さんの中でも弱い立場に立たされてしまっている方が一生懸命自立をしたいと、その自立を支援をするのが基本的に政府の役割だ、そのように思っておりまして、その意味でのセーフティーネットというものを強化することが重要課題だと、そのように考えております。  子ども手当とかあるいは高校の無償化というものは国民一人一人の皆様方が能力を十分に発揮するための基盤を整備するものでございまして、その意味で、国民を弱き者だから保護すべき存在だと、そのように決め付けているという指摘は当たらない、そのように思っております。ある意味で、お互いにお互いを支え合う新しい公共というものをつくり上げていきながら、その担い手の方に政府支援をするという新たな仕組みというものを構築をしてまいりたいと考えております。  子ども手当の政策目的、効果についてのお尋ねでございますが、子ども手当は次代の社会を担う子供の皆さん一人一人の育ちを社会全体で応援しようという趣旨でございまして、安心して子育てできる環境整備に資するという効果期待をしております。もちろん、少子化の流れというものを変えて安心して子育てできる環境整備するためには、これだけではなく、すなわち子ども手当のような現金の支給のみならず、保育サービスのような現物給付というものも車の両輪として推進することが大変必要であると思っておりまして、給食費の未払問題などへの対応も検討してまいりたいと考えております。  社会資本整備のための新交付金についてのお尋ねでございますが、平成二十二年度の予算におきましては、地域主権の確立に向けて、地方公共団体が地域のニーズに合った社会資本整備を行うための新たな交付金を創設をいたしたところでございます。  この交付金は、お尋ねではありますが、従来の個別補助金とは異なって、地域のニーズに合った各種のインフラ整備の自由な選択とかあるいは創意工夫、これを生かしたソフト事業も実施することができるような、そんな総合的な交付金でありまして、地方公共団体の自由度とあるいは使い勝手が大幅に高まるものだと、そのように考えておりまして、地域の皆様方にも必ず愛されるものだと、そのように考えております。  農業の政策についてのお尋ねでございますが、農業は、これは意欲を持った農家の皆さん方が安心して農業を継続をしていただけるような環境を整えていきながらコストの削減あるいは付加価値を付けた販売などの創意工夫を促していく、そういうことによりまして産業としての発展を図ることがやはり大変重要だと思っております。  農業関係の予算は、いわゆるコンクリートから人への理念に立ちまして、農業者を直接支援する事業に重点的に配分をしていくことに決めたのでございます。農業農村整備事業については、限られた予算の中で、食料自給率の向上に重要な麦とかあるいは大豆、こういった生産の拡大に資する農地の排水対策なども重点化していきたいと考えております。  それから、森林・林業の再生についての御質問がございました。  まさに松村議員が御指摘のとおりで、今までの日本の林業はまさに基礎的な整備を怠っていたと思っています。それを何とかしなきゃいけないということでありまして、森林・林業の再生を図る上で、例えば間伐や路網の整備など、森林の整備を極めて重要に考えて行っていきたいと思っておりまして、その思いの下で、平成二十一年度の第二次補正予算において、地域活性化・きめ細かな臨時交付金、あるいは来年度の予算に盛り込まれました農山漁村地域整備交付金など、森林整備に必要な予算を獲得をして間伐や路網の整備に取り組んでいきたいと思っております。また、さらに、昨年の暮れに公表いたしました森林・林業再生プランに基づいて、例えば国産材によって住宅を整備推進をしていくというようなこととか、あるいはバイオマス利用の促進など、新たな需要の開拓を進めていくこととしているところでございます。  一次産業について全体的な御質問がございました。  我が国の農林水産業は地域において核となる産業であることは論をまたないわけでありまして、その営まれる農山漁村は、いわゆる炭酸ガスの吸収源でもあり、またバイオマスなどを利用する新エネルギーの供給源などの機能を果たし、国民全体の安全、安心な生活に重要な役割を果たしてきている、またいくべきだと、そのようにも思っております。さらには、豊富に存在する未利用資源をいかに活用するかということが大事でありまして、そのことによって新たな産業や雇用の創出を期待ができると思っております。  私どもは、そういう思いの下で、これは農林水産業すべてにわたりまして戸別所得補償制度というものを何らかの形で導入していきたい、さらには、六次産業化の推進を行って、農林水産業を新たな成長産業という位置付けで大きく育ててまいりたいと考えております。  最低賃金の引上げについて、これは経済産業大臣からも後でお話があろうかと思っておりますが、社会で働いておられる方々の暮らしを守るために最低賃金の引上げに取り組むことはやはりこれは重要だと、そのように考えております。ただ、最低賃金の全国平均、時間当たり千円への引上げについては、やはり地域実情とか、あるいは雇用、経済への影響というものもかんがみなければなりません。労使関係者との調整を行いながら進めていかなければならないことだと、そのように考えております。  それから、外交安全保障基本方針についてのお尋ねがございました。  平成二十二年度の防衛予算については、現行の防衛計画の大綱はまだ生きております。したがいまして、その下で、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえて平成二十二年度の防衛予算の基本的な方針というものを策定をして予算編成をしてきたところでございます。  なお、この防衛計画の大綱の見直しに当たりましては、政権交代という大変歴史的な転換を経て、新しい政府として十分な検討をやっぱり行うべきだと、そのような思いでございまして、中期防衛力整備計画の改定と併せて、平成二十二年内にしっかりとした結論を得ることといたしたところでございます。  それから、永住外国人への地方選挙権の付与の問題でございますが、この問題は我が国制度の根幹にかかわる重要な問題である、さらに、様々な意見国民の皆さん、また各党の中にもあることも存じ上げております。したがいまして、政府として、法案の提出に向けての現在論点の整理を行っているところでございまして、適時適切に関係各方面に御意見を伺いながら進めてまいりたいと考えております。  決算評価的なプロセスについての御質問でございます。  事業仕分に対する御評価もいただいたわけでありますが、国会における決算の審査は、予算の執行が所期の政策目的を果たしているかどうかということに対して審査を行い、検討するものでございまして、重要な機能を果たすものだと、そのように認識をしております。したがいまして、参議院におきまして、これまでも大変熱心に、特に決算審査を重視して行ってこられたということには大変敬意を表しているところでございます。  政府としては、予算の編成におきまして、国会の決算審査の結果をより一層的確に反映させてまいりたい、そのように考えているところでございます。  それから、民主党の党内民主主義についてお尋ねがございました。  行政の長として申し上げられることは、検察捜査の公正性というものを信じておりまして、捜査の進展を冷静に見守ることが肝要であると考えております。なお、民主党におきましては、発言や批判の自由は何ら統制されておりません。民主党議員は、常に一人一人が信念を持って行動しているところでございます。結果として民主党が、党内で今一致結束をして国民の皆様方の御期待をいただきながら政権交代を実現してまいったわけでございまして、その重みというものをかみしめながら、今は、この問題に関しては、検察の捜査を党全体として、議員一人一人捜査の進展を見守っている、そのように承知をしております。  残余の質問は、関係大臣に答弁させます。(拍手)    〔国務大臣直嶋正行君登壇、拍手〕
  21. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 中小企業の活性化策についての質問でございます。  松村議員御指摘のとおり、中小企業が厳しい経済環境を乗り越え、成長軌道を描けられるようにするためには、資金繰りだけではなく、中小企業がその力を発揮するための支援が重要であるというふうに思っております。  具体的に三点申し上げたいと思います。  一つは、やはり経済全体を立て直すことだと思います。そのことによって中小企業の皆さんにも仕事が回っていくということになると思います。先般成立させていただきました二次補正予算では、需要拡大策として、家電エコポイントやエコカー補助金延長、そして住宅版エコポイント制度の創設を行ったところでございまして、しっかり執行して景気浮揚に努めていきたいというふうに思っております。  第二に、自ら需要を開拓する意欲のある中小企業を後押しするため、例えばものづくり中小企業の研究開発、農商工連携、地域資源の活用などによる新商品、新サービスの開発や国内外への販路の開拓などの支援を行うこととしております。  第三に、地域の中小企業が抱える具体的な課題に丁寧に対応し、経営力の向上を図るため、各都道府県の中小企業再生支援協議会を通じた企業再生支援強化、全国百か所の中小企業応援センターによる専門家派遣などを通じた経営支援などを行っていくつもりでございます。  また、これに加えまして、本年六月ごろには新成長戦略の全体像を完成させ、我が国全体として成長のフロンティアを拡大し、新たな需要と雇用をつくり出すべく内閣一体となって取り組んでいきたいと思っております。  なお、最賃については、先ほどの総理の御答弁のとおりでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
  22. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 松村議員にお答えいたします。  五十万社から二十万社という話は、先ほどもお答えをいたしましたけれども、百万円以上の売上げをしている業者の数が二十万社ということでございまして、ここから更にどれだけ減らすことになるのかということが大きな議論になると思っております。先ほど申し上げたように、三つの制約要因の中で公共投資を減らしていかざるを得ないということは委員も御理解をいただけることと思います。  しかし、それに代わって、民間の資金を導入をする中で必要なインフラ整備をやるというPFIやPPPの手法も積極的に取り入れたいと思っておりますし、また、住宅、不動産の活性化を今国土交通省としては一生懸命にやっております。建築基準法の運用改善、そして住宅版のエコポイントの導入、そして生前贈与の非課税枠の拡大、あらゆるメニューを投入をして民需をしっかりと拡大をしていくということもやっていきたいというふうに思っております。  また、そのあぶれる部分については、これは先ほどもお答えをいたしましたように、観光、農業、林業、そして雇用、そういったものへの転業支援というものも併せてしっかりやっていくということでございます。(拍手)    〔国務大臣亀井静香君登壇、拍手〕
  23. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) お答えをいたします。  我が国は、過去において韓半島に対して植民地的支配をやった歴史があります。そうした中で、人々に対して屈辱的な思いを抱かれる、そういうような状況をつくったことは事実でありますし、心ならずも我が国に多くの方々が移住をされてもこられました。しかし、そのことと参政権を付与するという問題は、私は別な問題であると、このように考えております。  議員も御承知のように、選挙は過熱をする場合もあります。参政権を付与をしたために、民族感情が刺激をされて対立が生まれてくるという、そういう危険性もないわけではありません。私は、参政権をと望まれる方は帰化をされると、そういうことで私は対応をしていただきたいと、このように考えております。  以上であります。(拍手)     ─────────────
  24. 江田五月

    ○議長(江田五月君) 鈴木陽悦君。    〔鈴木陽悦君登壇、拍手〕
  25. 鈴木陽悦

    ○鈴木陽悦君 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本の鈴木陽悦です。ただいま議題となりました平成二十二年度予算いのちを守る予算について、会派を代表して質問いたします。  私は、秋田県を選挙区にして、今から六年前に初めて本院に議席を得ることができました。秋田県は、国民の皆さん御存じのように、あきたこまちで知られる米どころでありますが、人口減少高齢化が進み、高齢化率は今では三〇%近くにも上り過疎化が進んでいる、これが現状であります。それだけに、私は当選以来、秋田の声の集配人を自称して、地方の切実な声を国政に届け、地域活性化を生涯の課題に据え、政治活動に取り組んできております。  平成十九年に民主党・新緑風会の会派に所属し、去年、民主党に入党いたしました。古くて新しいメンバーではありますが、今回このように代表質問の機会をいただきまして、誠に光栄です。会派の皆様に改めて御礼申し上げます。  さて、日本の民主主義の歴史の中でも画期的だと言える政権交代が去年夏の選挙によって実現いたしました。それから五か月、鳩山内閣が誕生してからわずか四か月半、この短期間で編成されたのがただいま議題となりました予算案であります。  鳩山内閣が高々と掲げられたコンクリートから人へ、この政治目標に沿って、予算案の中身は政権交代があってこそ初めて可能になったと言える内容であふれております。例えば、自民党政権時代には逆立ちをしてもできなかった、官僚やいわゆる族議員に全く依存せずに予算を組んだ点であります。そのことは、公共事業費を前年比一八・三%、約一兆三千億円削減して五兆七千七百億円とし、逆に社会保障費を九・八%増の二十七兆二千六百億円とした予算配分に象徴されております。  鳩山総理は、いのちを守る予算人間のための政治への転換を強調されました。その結果が、公共事業を減らして社会保障に手厚い予算となったわけであります。民主党が初めて組んだ予算案の特色は、自民党時代のような法人や企業を通じた間接支援ではなく、家計に直接支援するやり方に転換させたことに尽きると思います。  ほかにも、言わば政権交代の効用と言える予算措置が幾つもとられました。陣頭で指揮された鳩山総理は、予算編成後の記者会見で、財政規律を守るぎりぎりの線を確保することができた、今までのようなばらまき予算ではないと力強く断言、私も全く同感であります。  そこで、改めて鳩山総理に、今回の予算案の出来栄えを総括的に評価していただくとともに、どこがポイントなのか具体的にお示しをいただきたいと思います。  私は、地域活性化実現していくためには、政府が常に自治体の意向を勘案し、真摯に対応することが不可欠だと考えます。その意味で、民主党政権地域主権を大事にしていこうとする姿勢、一丁目一番地の位置付けに心強くしております。  今回の予算案では、地方自治体の自主財源となる地方交付税が一兆一千億円増加し、十六兆九千億円計上されました。十一年ぶりの増加であり、特に地方財政計画の目玉として約一兆円を地域活性化雇用等臨時特例費に充てて地方の単独事業財源としました。これは鳩山政権地域主権に懸ける意欲を表したものであり、高く評価いたします。秋田県のように財政難の市町村を多く抱える地方自治体は、有効な財源として活用することを期待しています。  そこで、鳩山総理と原口総務大臣にそれぞれ、今後、地域主権実現に向けてどのような取組を行うか、そのための財源の手当てをどうする考えなのか伺います。  次に、地域活性化についてお尋ねいたします。  我が国景気は、このところ全体として持ち直しの動きがあると言われますが、地方は依然として厳しい状況にあります。地方の疲弊は今に始まったことではなく、長らく構造的な問題とされてきました。大都市への人口集中が進む一方で、地方の中心市街地はシャッター通りと化すなど、深刻な状況に陥っております。  これまで地域活性化に向けた様々な施策が行われてきました。私も経済産業委員会の一員として、例えば中小企業地域資源活用促進法、農商工連携促進法、地域商店街活性化法など、新しい事業の創出や商店街の活性化に向けた取組を進めてきました。  しかしながら、せっかくの施策も地方の隅々まで周知されておらず、一定の効果はあるものの、残念ながら地域経済が活性化するという状態には至っておりません。まさに、菅大臣が述べられたプラン・ドゥー・チェック・アクションが求められます。私は、今こそ地方に元気を取り戻す地域経済の起爆剤となるような新しい産業を育成する必要があると考えます。  昨年十二月、鳩山内閣は新成長戦略、輝きのある日本へを閣議決定しました。我が国の明るい未来を予感させる新たな成長戦略を短期間のうちにまとめ上げたわけでありまして、大いに評価するものであります。  新成長戦略では、六つの戦略分野についての基本方針が示されています。その中でも私は、観光・地域資源、環境・エネルギー、医療介護・健康の三つ分野に注目しています。これらの分野地方にとって身近なテーマでありまして、かつ比較的取り組みやすいものであるため、これら戦略分野の産業を重点的に育成することにより地域経済の活性化につながるものと確信しております。  例えば、観光産業の育成を新成長戦略では、アジアを中心に訪日外国人を二〇二〇年初めまでに二千五百万人、将来的には三千万人まで伸ばすという目標を掲げていますが、観光立国を推進するに当たっては観光資源の連携が必要だと考えます。  地方には、自然、文化遺産など四季折々、多様で豊かな観光資源が存在しています。一つ一つの観光資源を整備し、観光客を増加させ、地方における需要を喚起する取組のみならず、各地域の観光資源を有機的に連携させることにより、更に大きな観光資源として発展させることができると考えられます。そして、特産物など豊かな地域資源も満ちあふれ、発展の可能性を秘めていますが、まだまだ十分に活用されていないのが現状です。  こうした地方の強みである地域資源を生かして、地方が自らの知恵と工夫で立ち上がり、自立できるような仕組みを構築する必要があります。地産地消という活動がありますが、私は、農林水産物を始め多様な地域資源、観光資源を地域が生かす、生まれると書く、もう一つの地産地生活動に結び付けていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。  地域の伝統的食文化を維持、継承し、地域への愛着につなげ、地域経済の活性化を図ることも重要です。  そこで、鳩山総理に伺います。今後、地方の活力を向上させ、地方から日本を元気にするために、新成長戦略基本方針に沿って、新政権ならではの抜本的な地域活性化策をどのように具体化していくのでしょうか、伺います。  そして、直嶋経済産業大臣には、成長戦略を通じ、どのように地域経済の活性化に向けて取り組んでいかれるおつもりか、具体的な方策や将来のビジョンについて伺います。  地域経済を支える中小企業から、急場をしのぐための金融対策も有り難いが、仕事がないのがきついといった声をよく耳にします。こうした中小企業の声に政府としてどのようにこたえていくのか、地域で厳しい状況にあえぐ方々の心に響くメッセージをお願いいたします。  夢と希望と安心、これを実感できる社会を構築する、特に地方において実感できるよう、新成長戦略に沿った取組を着実に推進していただきたいと思います。私も全力で取り組んでまいることを、誠に勝手ですが、この場をお借りして決意表明させていただきます。  さて、地方においては道路網の整備が生活路線の充実を図る上でも不可欠だと思います。識者の中には、費用対効果の高い施策の一つとして、昨日、全国三十七路線、五十の社会実験路線を発表しましたが、高速道路の無料化を挙げる方がいます。流通面などで巨大な経済効果が見込めるとの理由からであります。例えば秋田県の場合、高速道路は三十四キロが未整備となっており、それが点在しているため道路網、いわゆるネットワークとはなっておらず、流通面での効果は疑問です。  今回の予算案では、道路予算は二五・一%減少し一兆二千四百六十四億円にとどまり、原則として国直轄・補助事業とも新規建設が取りやめられました。国土交通省が高速道路予算として六千億円を要求しましたが、財務省は費用が過大過ぎるとしてばっさりと削減して、一千億円に大幅減額しました。地方自治体の立場からすれば誠に残念でありますが、大局的に考え抜かれた上での措置であろうと思います。前原国土交通大臣、高速道路政策の今後をどう考えていらっしゃるのか、地方期待財源手当てをどのように折り合いを付けていかれるのか、見解を伺います。    〔議長退席、副議長着席〕  さて、マニフェストの中でパーフェクトに実現したのが農家への戸別所得補償制度導入でした。私が米どころの秋田の出身だから強調するわけではありませんが、農業はいつの時代でも国政の基本に位置付けられるべきだと考えます。しかし、これまでは猫の目農政とやゆされ、農家に犠牲を強いる政策が押し付けられてきました。  民主党マニフェストで農政の一大転換策として打ち出した農家への戸別所得補償制度は、農家の皆さんを直接支援しようというもので、大きな期待が寄せられています。予算案の中では満額回答され、農林水産省の要求どおり五千六百十八億円が計上されました。  平成二十二年度は、米を対象に全国一律で戸別所得補償が実施されることになりました。これは、国が定める生産数量目標に従う販売農家に対し、十アール当たり一万五千円を生産コストと販売価格の差額に当たる定額部分として支払うものです。豊作などで米価が大きく下落した場合、定額部分に変動部分を上乗せして赤字を補償することにしています。  ところで、我が秋田県では、生産数量目標の市町村配分をめぐり国と県の間で行き違いが起こりました。生産調整、いわゆる減反が未達成の三つの市と村、大潟村、能代市、潟上市、ここに県が独自にペナルティー、いわゆる配分格差を科して三分の一だけ解消する方針を決めたのに対しまして、国が待ったを掛けて既定方針どおりに全量解消にし、その分を他の市町村に割り振ったからであります。秋田県は、秋田を戸別所得補償の対象外にして交付金を下ろさないと国から示唆されたことを踏まえて渋々折れたというのが実情であります。  そこで、赤松農林水産大臣にお尋ねします。  戸別所得補償制度を今後も安定的に定着させることを願う立場から是非確認をしておきたいのですが、地方の減反の実情をどのようにお考えになったのか。地方の現場では、配分の数量を決めるのは自治業務なのに国が介入したのはおかしいとの批判とか、これまで減反に協力してきた農家と非協力の農家を同一に扱う配分格差の一気の解消は納得できないといった不満の声が上がったのをどう見ているでしょうか、率直な見解を伺います。  同時に、土地改良費の削減について伺います。  この事業は、自給率アップのための農地活用の基盤となる業務であり、担い手育成や耕作放棄地の防止に不可欠の事業です。今回の削減は、農業経営計画に変更を余儀なくさせ、農業県にとって痛手と言えるものであります。当然、非効率な事業見直した上で激変緩和の措置をとるお考えはないのか、今後の対応を伺います。さらに、自給率向上のため、今後どのような方策を考えているのかも併せてお聞かせください。  次に、少子高齢化対策について伺います。  我が国の少子高齢化先進国の中でも極めて急速に進んでおり、私の郷土秋田県の場合、全国でもトップクラスの高齢化率であるのは冒頭で紹介したとおりです。例えば、六十五歳以上の高齢者だけの世帯数は、去年七月現在で全世帯数の二割強に当たる約八万九千世帯あり、そのうち独り暮らしの世帯数は約四万七千世帯という実態であります。  予算案高齢者対策として目立つのは、食事サービス介護関連の施設について高齢者向けの賃貸住宅の整備支援する制度を創設した程度で、ほかは厚生労働省の予算の中に組み込まれております。対照的に、将来の担い手となる子供向けの施策は充実しました。とりわけ選挙公約の最大の目玉とされた子ども手当の創設は、中学卒業までの子供一人当たり月額二万六千円を一律に支給するものです。予算編成の過程では、支給に際し所得制限を付けるかどうかで議論になりましたが、当初の方針どおりに家計を支援する意味を込めて制限なしに落ち着きました。私は、この結果を高く評価いたします。  そこで、鳩山総理に伺います。少子高齢化対策では、今後どのような方面に力を入れていくのでしょうか。また、今後の取組についても見解を伺います。  一方、高校の授業料無償化については、私立高校の生徒の倍額支給基準が引き下げられたのを除けば、ほぼ公約どおりに実現しました。社会全体で教育を支えるとの理念に基づく教育投資は次代を担う人材の育成につながり、今後とも充実させていくべきだと考えます。今後の教育支援在り方についての考えを併せて伺います。  さて、予算案から浮かび上がるのは、我が国の財政が極めて厳しい局面に立たされているということであります。そのことは、新規の国債発行額が六十一年ぶりに税収を上回る事態に陥ったこと、国と地方の長期債務残高が九百兆円に迫り、国内総生産の二倍近くになろうとしているといった数字が雄弁に物語っております。まさに日本世界で例を見ない借金大国になっており、将来を担う孫子に赤字のツケ回しをしようとしているわけで危機的な状況と言えます。  マスコミでは、こうした我が国の財政状態を個人の家計に例えて、月給(税収)は四十八万円しかないのに、生活費(一般歳出)は六十八万円に膨らんだ。ローンの返済(国債費)が二十六万円と重くのしかかり、実家への仕送り(地方交付税など)、これも二十二万円も掛かるし、へそくり(特別会計などからの収入)を十二万円取り崩した。それでも足りず、新たな借金(新規国債)を月給以上の五十六万円つくってしまった。このため、積年の借金は年収五百七十六万円の十七年分に当たる九千八百万円に膨らんだと表現しております。鳩山総理、借金漬けの状態をいかにして脱却するのか、処方せんをお持ちなのかどうか、御見解をお述べください。  最後に、今、鳩山内閣三つのK、すなわち経済、基地、金の問題に直面しておりまして、うまく打開できなければ政権危機になるとの見方を各マスコミがしております。具体的には、鳩山総理小沢幹事長政治と金をめぐる問題を始め、沖縄普天間基地移設問題、デフレ不況の克服と景気回復のための経済政策であります。  私たち民主党は、内閣と党が一丸となってこれらに取り組むべきであることは言うまでもありません。国民の皆さんの熱い期待に支えられてせっかく成し遂げた政権交代を失敗させるわけにはいかないからであります。政権交代をしてよかったと国民に実感してもらう責務があるからです。確かに前途は多難ですが、日本丸のかじ取りの重責を果たしていく決意のほどを最後に鳩山総理に伺います。  私は、かつて政治家を目指したとき、農家のお年寄りから次のような話をされました。昔はみんな田んぼにはだしで入ったもんだ、そうすれば素足を通じて田んぼが、そろそろ水を張ってもいいよ、そろそろ苗を植えてもいいよと教えてくれる、長靴を履いていたんじゃ、そんな肌感覚が分からない、土との対話は肌なんだと教えてくれました。  これこそが、鳩山政権の目指す、肌感覚の分かる国民のための政治ではありませんか。疲弊した地方という毛細血管にまで血液を循環させる政権でなくてはなりません。改革には様々なハードルが待ち構えていますが、国民の皆さんとの肌感覚を共有しながら前進してまいりましょう。私も、微力でございますが、地に足をしっかりと付けて共に前進してまいります決意を述べて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  26. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 鈴木陽悦議員から、秋田の声の集配人というお立場からお人柄のにじみ出る御質問をいただきました。一つ一つお答えを申し上げたいと思います。  まず、二十二年度予算に関する御質問でございますが、確かに私どもには族議員というものがおりませんので、平成二十二年度予算におきましては予算の全面的な組替えが政治主導で行うことができた、そのように思っておりまして、めり張りを付ける予算案をつくらせていただいたと。一つは、公共事業費、先ほどもお話がありましたが、一八・三%減とする一方で、社会保障関係費は九・八%増、また文教科学振興費は五・二%増と、大変これは今までの政権では決してあり得なかったようなめり張りの付いた予算ができたと、そのように考えております。  また一方では、税収が大変に落ち込んでいるという厳しい財政事情の中で、子ども手当などのマニフェストにかかわる政策に関しては、必要な財源三兆円は国債発行によらないでつくり上げたということでございまして、事業仕分など歳出の削減などを行って確保したことでございまして、このような大変大胆な見直し、めり張りの付いた予算ができたということは、国民の皆さんのおかげで政権交代ができたそのおかげだと、改めて感謝を申し上げたいと思います。  地域主権についての御質問でございますが、地域主権実現はこの内閣の一丁目一番地だと、重ねて申し上げたいと思っております。すなわち、いわゆる補完性の原理に基づいて、地域のことは地域の皆さんでお決めになることができる、そういう国と地域在り方に大きく変えていきたいと、そのように思っておりまして、まずはその第一歩として、地域において不必要な義務付けあるいは枠付け、こういったものを一切廃止をする、やめるということ、さらには権限を地方に移転をさせ、ひも付きの補助金の一括交付金化などを行って財源を手当てをしてまいりたいと、地域主権に向けて工程表というものも用意させていただいて着実に地域主権を進めてまいりたいと考えております。  その地域活性化についてのお尋ねでございますが、まさに鈴木議員がお話をされましたように、地域の資源を地域で生かす、地産地消というと地域のものを地域で消費するという話でありますが、地域でむしろ生かすという意味での地産地生という活動、発想に対して共感を覚えるものでございます。いわゆる消費だけではなくて様々、例えばお話にありましたように、多様な地域資源あるいは観光資源というものを地域で生かすという取組政府としても支援をしてまいりたいと考えているところでございます。戸別所得補償制度あるいは六次産業化といったものも併せて進めていくことによって、地域活性化に十分に資する施策を行うことができると考えております。  地域活性化についての重ねての御質問でございましたが、これまでの国の地域振興策ということから考えると、選択と集中という視点がやはり欠けていたと申し上げなければなりません。日本中に同じような何とか銀座というようなものを造るような箱物偏重で、地域の個性を伸ばし自立を促してこなかったということを反省をしなければならないと思っておりまして、地方の中心市街地がシャッター通りになってしまっておりますことを考えれば、地域の経済が大変厳しい状況にある、地盤沈下が起きているということは否めない事実だと思っております。  したがいまして、こういうものを解消していくために、まず一つは、これはNPOなどの新しい公共との連携の下で、特区制度などをうまく活用して、地方の創造力あるいは文化力といったもの、観光なども先ほどお話がありましたが、こういった芽を育てることなどを通じて、地域の資源を十分に活用した地域活性化というものを行うことが必要だと思っております。  また、どのようにということでございましたので、本年六月を目途に新成長戦略というものを取りまとめることといたしまして、もう内容は十分に御存じでありますのでここで改めて申し上げませんが、地域活性化のための施策に関して抜本的な改善を図ってまいります。  少子高齢化対策についてでございますが、少子化対策高齢化対策、今まで従来の政権、ややもするとやはり高齢化に対しては十分な手当てがあるけれども、少子化対策というものがかなり不十分であったということでございまして、そのことからかんがみて、我々は、やはり子育ちというものを社会支援をするための少子化対策というものに大きな力を与えることが大事だと、そのように考えておりまして、子ども手当あるいは高校の無償化というものを実現してまいりたいと考えております。  言うまでもありませんが、高齢化社会対策に対してはその重要性を十分に認識しておるわけでありまして、お年寄りの皆さん方が不安を感じているような医療と、あるいはぼろぼろにされてしまった年金記録問題を解消していく問題、年金の問題の抜本的な改革とか、あるいは介護の問題などにも充実強化に取り組んでいくことが重要であることは、これは論をまたないところでございます。  それから、今後の教育支援についてでございますが、平成二十二年度におきましては、今お話し申し上げましたように、高校の実質無償化というものを始め、かなり施策の充実を図ってまいりました。文教科学費、先ほど申し上げましたように五・二%増と増えたところでございまして、新しい未来を切り開くという意味におきまして基本となるのはまさに人を育てる教育であることでございまして、今後とも社会全体として教育に大きな資源を振り向けてまいりたいと思っております。  日本全体の借金についてのお尋ねがございました。  先ほど一般の御家庭の例でのお話もされたわけでございまして、まさに御指摘のとおり我が国の財政状況先進国の中で最悪の水準であると、残念ながらこれは事実だと思っております。  こういう中で、しかしながら財政規律をどのように守っていくかと。ぎりぎりのところで国債市場の信認を保たなければならないと思っておりまして、本年の前半には、複数年度を視野に入れたいわゆる中期財政フレームを策定をいたしますとともに、中長期的な財政規律の在り方を含みます財政運営戦略というものを策定してまいりたいと思っております。新政権は大変な多額な国債残高、債務というものを引き継いでスタートをしたわけでございますけれども、財政健全化に向けて大きな道筋を示してまいりたいと思います。  ただ、これはやはり長期的な視野に立ってみれば、これはいわゆる中央集権的な国の在り方からもう抜本的に地域主権の国家にする、国というものをできるだけ小さくして、地域で自主的にある意味での財源も見出していけるような地域主権国家にしていくことによって最終的な財政の健全化の道筋を付けることができる、私はそのように確信をしているところでございます。  最後に、国民との肌感覚を共有しながら改革に取り組む決意について述べよという話でございました。  鈴木議員がお話しされましたように、はだしで田んぼに入って大地を踏み締めていかないと土や水のぬくもりというものを感じることができない、息遣いというものもそこで初めて分かるんだという御指摘は、まさにそのとおりだと思っております。  新しい政権の最大の原動力は、まさに国民の皆さんのお力によって政権交代ができたわけでありますので、国民の皆さんのお声というものをとことん大事にする政権というものをいかにつくり上げていくかということだと思っております。したがいまして、できる限り現場に、国民の皆様方のところに足を運んでいきながら、生活の場あるいは生産の場の皆様方の御意見というものを徹底的に伺ってまいりたいと、耳を傾けてまいりたいと思っております。  マニフェストあるいは三党合意は、まさに生活の現場の真摯な声を受け止めてつくり上げたものだと、そのようにも考えておりまして、その意味において、まずは二十二年度の予算案の成立と着実な執行というものを行うことが大事でありまして、そのことによって日本丸のかじ取りの重責を果たしていきたい、そのように考えているところでございまして、国民の皆様方の御期待に、山積する課題に正面から挑戦をしながら解決をしてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。  残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)    〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
  27. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 鈴木議員にお答えいたします。  地域主権実現に向けた取組及びその財源手当てについてお尋ねがございました。  今日なし得ることに全力を注げ、まさに鈴木議員のこの座右の銘どおり、私たちは、鳩山総理の強力なリーダーシップの下で、今できることはすぐにやろうと地域主権を進めています。  例えば、義務付け、枠付けの撤廃、これは前原大臣や多くの大臣とも協議をして、例えば公営住宅の基準、これはもう地域で自ら決めるようにできました。国、地方協議の場、これは法制化していきますが、もう実質走っています。また、直轄事業負担金の撤廃、そして国の出先機関の原則廃止、こういったものをスピード感を持ってやっていきたいというふうに思っています。  また、その中で地域主権を支える財源についてでございますが、まさに鈴木議員がお話しになりましたように、一括交付金化に向けた作業、これ、前に進めています。また、来年度の予算案の中では、十一年ぶりと言われる一兆一千億の交付税の増額、これをやらせていただきました。  そして同時に、大事なことは、まさに鈴木議員がお話しになりましたように、秋田は本当に豊かなところであります。その地域にある資源、地域自らが自らの富を生み出す地域の創富力というふうに言っておりますが、私は緑の分権改革によってこの地域の創富力を高めてまいりたい。同時に、ブロードバンドを日本全国に引いて、そしてICTの情報通信技術による協働教育によって国民の生産性をはるかに上げていきたい、こういうことを考えております。  今後とも、地方が自由に使える財源充実強化に取り組んでまいりますので、御指導をよろしくお願いいたします。  以上、お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣直嶋正行君登壇、拍手〕
  28. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 私には二問ちょうだいしました。  まず、地域活性化の具体的な方策、将来ビジョンについてということでございます。  地域経済の活性化我が国経済が持続的な経済成長を図っていく上で不可欠であるというふうに思っています。それぞれの地域が持つ強みや特徴を生かして、そして国、地方自治体と産業界が力を合わせて、総力を挙げて地域経済の自律、再生、活性化に取り組んでいきたいと思っております。  具体的には、地方経済産業局もフルに活用させていただいて、地域の産業集積や地域資源といった、地域の強みを生かした今後の地域を支える成長産業群の創出を支援してまいりたいと思っています。  例えば、秋田県の例で申し上げますと、秋田の地域力を生かした非鉄金属リサイクル基盤の更なる高度化や関連中小企業の競争力の強化に向けて支援をしてまいりたいと思っております。また、農商工連携として、アジア等海外市場における販路開拓、植物工場など、先端技術の活用による農業の生産性向上などを推進してまいりたいと思っております。  今後、国と地域の連携を更に強化をして、地域経済の自律的発展のための環境整備に取り組んでいきたいと思っております。  それから二点目は、中小企業の仕事づくりについての質問でございます。  御指摘のように、中小企業への資金繰り対策だけではなく、仕事が行き届くための施策を進めることが重要だと思っております。まず、そのために、第一に経済全体をまず立て直すことでありまして、その結果として中小企業にも仕事が波及するような施策が必要であります。  先般の緊急経済対策では、例えば家電のエコポイント制度やエコカー補助金延長、さらに、新たに住宅版エコポイント制度の創設を行いました。また、中小企業に対する公的金融機関等の貸付金利の引下げも図ることといたしております。  二点目は、自ら需要を開拓する意欲のある中小企業を後押しするためのものでありまして、中小企業の研究開発や農商工連携の促進などの支援を行うこととしております。  これらの施策は、全国の中小企業の皆さんに御利用いただいて初めて効果が生まれるものであります。中小企業の皆さんが抱える悩みを少しでも解消し、支援策を有効に活用していただくため、資金繰り、経営支援雇用調整助成金など、中小企業のあらゆる相談に一か所でお答えするワンストップサービスデーを、昨年末に引き続き全都道府県において本年度末にも開催をしたいと思っております。年末のワンストップサービスデーにおいて、資金繰りのみではなく、例えば知的財産に関する問い合わせも大変たくさんございました。こういった経験も生かして、中小企業の立場に立った支援に全力を尽くしてまいりたいと思っております。  今後ともの御協力をお願い申し上げます。(拍手)    〔国務大臣前原誠司君登壇、拍手〕
  29. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 鈴木議員にお答えをいたします。  高速道路政策についてお尋ねがございました。  まずは、地域間交流の活性化に向けて、高速道路の原則無料化を段階的に進めていくことにしておりまして、まず六月から平成二十二年度、一千億円の予算の中で約千六百キロの無料化を実施して、その地域経済への効果等を検証をすることとしております。  また、いわゆるミッシングリンクの解消など、高速道路の早期整備について、地方より大きな要望をいただいているところでございますけれども、今後の高速道路の整備在り方につきましては、これまでの経緯、あるいは国民各位の全般的な御意見をしっかり伺いながら、必要な事業をできるだけ効率的に行っていくよう、平成二十三年度予算の概算要求まで抜本的な在り方見直しをしていきたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣赤松広隆君登壇、拍手〕
  30. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) 鈴木陽悦議員の御質問に、三問お答えを申し上げたいと思います。多少ちょっと時間が掛かるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。  まず、戸別所得補償制度について、大変な御評価をいただきました。  これは、実は、半年、一年前にこの制度を大変厳しく批判をしておりました全中を始め農業関係団体からも、すばらしい制度だということで今御評価をいただいていますし、自民党の政策責任者の方からも、まあ詳細なところではいろいろあるにしても、しかし基本的にはこの制度はいいということの評価もいただいているということで、その点について、是非、私どもは、こういう評価の中で、この制度鳩山内閣のまさに中心の政策として、モデル事業では今年ありますけれども、是非成功させたい、そのためには納得の上で皆さん方がこの制度に参加をしていただきたいというのがまず大原則であります。  もう中身については御存じですからくどくど言うつもりはありませんけれども、肝心なことは、肝心なことは、この事業は国の事業でやるということなんです、国の事業でやるということ。ですから、国が定めたそれぞれの基準に沿って、それを条件として参加をしていただかなければ、各県が勝手に条件やその入るための要件を設定してやるということにはなっていないということを是非御理解をいただきたいと思います。  それから、旧来の農政と一体どこが違うのか、自民党の農政とどこが違うのかとよく聞かれます。私は、一言で言えば、今までの農政が作らせない農政であったとしたら、今回の農政は作る農政、そういう農政の基本的な違いがあるんだということを申し上げております。  一つは、これまでのような生産調整について、強制力はありません、強制力はありません。この制度に参加したくなければ入らなくたっていいんです。入りたい人だけがどうぞ納得の上で自主的に入ってくださいというのがこの制度であります。  ですから、今、鈴木先生の地元の秋田の問題も出ましたけれども、秋田の皆さん方には、この制度の大原則は、ペナルティーは科さない、過去何をやってきた、過去協力してきた、してこない、そういうことは横に置いて、とにかくやりたい人が、農業に意欲を持つ人はすべてこれに参加をしてください、ただ条件は一つありますよ。必ず決めた生産数量目標だけは、これは新たに入ってくる人たちも含めて必ずきちっと守ってくださいということが条件になっているわけでございます。  有名なあの八郎潟のまさに国家事業として進めた八郎潟干拓、その中での大潟村のこの問題、この大潟村については、御存じのとおり、四十年間自民党の農政に反対して、裁判やって、逮捕までされて、そして一貫して減反に反対をしてきた人たちがいます。どちらがいいとか悪いとかではなくて、そういう歴史的な経過があります。しかし、こういう人たちも含めて、今度の制度、この制度に是非参加させてほしい、生産数量、昔でいう減反調整にも従うので、是非これに参加をさせてほしいということで、結果的には、約三百世帯ありますが、全員がこの制度に参加をするということを決めていただきました。  その結果、その結果、今まで減反に従わないわけですから、作り放題作っていたこの数量が約二十万俵、あの大潟村だけで二十万俵、もう減るんです。だから、需給が締まるんです。その結果、今まで減反政策に協力していただいた方も、あるいは協力してこなかった方も、共に納得の上で、納得の上でこれからの将来に夢と希望を持って頑張れる、そういう制度になったということを是非御理解をいただいていきたいと思います。  それから、一つだけ誤解があるといけませんので言っておきますが、地方協議会がいろいろ分担、その振り分けをするのに、国が口を出したろう、農水大臣が余分なこと言ったろうということがあろうと思いますが、私は易しく申し上げたのは、自分たちだけは六五%作りますよと、新規に来た君たちは三八%しか作っちゃいけません、それはないでしょうと、それはこの制度の趣旨に、大原則に反しますよと。ですから、しっかりと納得の上で、両方が納得する数量を決めてくださいということを申し上げて、結果的にはそういう中身になって、みんな納得して、そしてやろうと、参加しようということに合意をしたということを御承知おきをいただきたいと思います。  二つ目、土地改良の削減について申し上げます。  これはコンクリートから人への理念に立って、農業関係予算をむしろ農業を直接支援をする事業としてやっていこう、直接農業者に対して重点的に配分をしていこうということで決めたものでございます。  こうした農業関係予算の大転換の中で、いわゆる土地改良事業については予算額の厳しい縮減を図りまして、対前年度比で三六・九%ということに大幅にカットをいたしました。額にして二千百二十九億円でございます。この限られた予算の中では、最低限しなければならない食料の安定供給に不可欠な農業水利施設の更新、あるいは農地の排水対策に重点化をして使っていきたい、執行していきたい、あるいは事業効果が即効性があると見込まれる箇所に予算を重点的に配分をしていきたい、このように思っております。  今、新しく農水大臣になって感じますことは、ダムを造ったけれども水がたまらないダムだとか、あるいは水をためてもあっという間に漏れていくダム、そういういわゆる無駄な公共事業や、あるいは問題の多い公共事業がいかに今日まで多かったかということを、残念ですけれども、見る機会が多うございます。その結果、この度、農水省といたしましては、新規に農業ダムにつきましては今後造らないということも決めさせていただきました。他方、しかし、そうはいっても、それぞれ全国の地域には、公共事業イコール悪ではありません。本当に必要な公共事業もあるんです。  しかし、じゃ、それは今この削減された予算であとどうするのかということになるわけですから、それについては今期新たに、今年初めてでございますけれども、農山漁村地域振興交付金という一千五百億円、これを公共事業のためにということで農業土木用に確保をいたしました。ですから、各地方が必要なものがあればどんどん申請していただいて、この一千五百億円を活用をいただきたいと思います。  それからもう一つは、これは原口総務大臣の所管になりますけれども、地方が使いやすいお金ということで、地域活性化・きめ細かな臨時交付金五千億円ということで、これらについてもこうした事業の執行に使っていただこうということで、これも用意をさせていただいておりますので、今カットした分につきましては、これらの二つの交付金制度を使っていただければ本当に必要なものについては十分対応できるということをお話を申し上げておきたいと思います。  あと、自給率の向上については、これは前政権では四五%の自給率でありましたけれども、私どもは今度これを五〇%ということで設定をさせていただきます。具体的な方策につきましては、三月に決めます食料・農業・農村基本計画の中で明らかにしたいと思っておりますので、今日のところは詳細に触れることはやめたいと思っています。  なお、この食料自給率向上のためには、六次産業化の事業、生産、加工、流通、販売、これとの非常な大きな連関があるということだけ申し上げて、私からの答弁といたします。(拍手)     ─────────────
  31. 山東昭子

    ○副議長(山東昭子君) 亀井郁夫さん。    〔亀井郁夫君登壇、拍手〕
  32. 亀井郁夫

    ○亀井郁夫君 私は国民新党の亀井でございます。民主党・新緑風会・国民新・日本を代表して質問いたします。  本日、鳩山内閣総理大臣を始め閣僚の方々に質問の機会をいただきましたことは、先輩、同僚の皆様の御配慮によるものであり、誠に有り難く、感謝のほかありません。  鳩山総理に対し最初にお聞きしたいことは、我が国民新党にとって一丁目一番地の問題と言われる郵政改革の問題であります。  小泉元総理及び竹中元大臣の手により、明治より百三十余年築き上げられた郵政の全国ネットワークがずたずたに切り裂かれ、以前のように十分機能しなくなっております。  地方における従来の郵便局の役割は大変大きなものがあり、特にお年寄りなど郵便局周辺の人たちにとっては身近な大切な施設であり、生活の一部になっていたと言えます。しかし、三事業を分割し、郵便配達の人たちと疎遠な関係になり、郵便物を出すとき以外は何もお願いできないなど非常に不便になっており、また、郵便局長は何個ものカメラで動静が事細かにチェックされ自由に動き回れない有様で、人々とのきずなはぶっつりと切れてしまいました。米国にもねらわれていた郵便貯金や簡保の多額のお金は、さきの臨時国会で株式売却凍結法が成立したことにより一応守られましたが、郵便局の再編成はこれからであります。  郵便事業については全国民が重大な関心を寄せておりますので、今後どのような方向に衣替えしていくつもりか、総理の口から直接具体的に御説明いただき、国民、特に地方に住む多くのお年寄りの方々を安心させてほしいと思います。  次にお聞きしたいのは、地方経済の活性化であります。  小泉元総理の手で破壊された日本経済、特に地方経済は大変厳しい疲弊の状況にあります。健全な経営を続けていると思われていた中小企業が次々に姿を消していることは総理もよく御存じのことと思います。  第二次補正予算が通り、二十二年度本予算の審議が始まり、一日も早い成立が望まれます。外需に頼れない現状では内需の振興が重要なキーポイントになるかと思いますが、厳しい経済状況の中、コンクリートから人へのスローガンの下に大変苦労して編成された九十二兆円の予算でありますが、公共事業予算が大幅に削減されており、公共事業による内需の創出は大きく期待できません。外需が期待できない以上、内需を国の手で創出し、景気の回復を図るのが政府の当然の責任であります。  アメリカのオバマ大統領は、クリントン元大統領に倣い、債務国であるにもかかわらず、グリーンニューディールとして実に七十兆円の緊急予算を組み、しかも、そのうち七三%は政府投資で、政府の手で景気の回復を図り、現実に成果を得つつあります。しかも、同時に法人税と所得税を引き上げ、将来の税収の増加も考えております。総理は何によって景気の回復を図ろうとしておられるのか、御説明願いたいと存じます。  次に、昨年暮れの中小企業金融円滑化法により金融機関の対応も変わり、中小企業にとっては大きな支援になり、また、住宅ローンの返済に苦しむサラリーマンにとっても大変な援助になりましたが、しかし、これだけでは中小企業にとっては不十分であり、仕事の面において中小企業の活力の復活が必要であり、これをどのようにして実現すべきか、総理の御所見をお聞きしたいと思います。  次に、菅経済財政担当大臣にお聞きしたいのは、菅大臣は経済演説で、十年デフレを脱却し、名目国内総生産、GDPを二〇二〇年には六百五十兆円にすることを目標にすると述べられました。  我が国の債務は総債務ではなく純債務で見れば三百二十兆円程度で欧州並みであり、加えて債務国のアメリカと異なり、二百五十兆円から三百兆円の対外債権を有する世界一の債権国であり、それらを日本国のために使い、政府が中心になり国内需要を引き出すべきであると思いますが、菅大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  再び鳩山総理大臣にお聞きしたいのは、教育の問題であります。  大変厳しい予算状況の中で教育予算を五・二八%微増させていることは評価できますが、まだまだ不十分であります。高校の実質無償化の実施は多額の資金を必要としますが、経済不振の中で確実に進展している所得格差の拡大が教育の格差拡大に連動しているだけに非常に意味のある措置であります。  また、教育の格差を防ぐには奨学資金制度拡充、特に返済不要の給付型の奨学資金を拡充していく必要があると思いますが、総理はいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。  教育の基本は、言うまでもなく徳育、知育、体育の三つの柱でありますが、親を大切にし、先生を敬う、人としての道を教える徳育、いわゆる道徳教育に対する取組は全く不十分であります。例えば、週一回の道徳の時間を設けるべく、昭和三十三年以来、学習指導要領には記載されながら全く守られず補習時間等に使われてきたのが実態であります。  私の郷里広島では、人権の時間とされていました。国旗の掲揚は今や定着し、議事堂にも掲揚されるようになりましたが、その内容を見ると、国旗日の丸の白は、我が国日本が第二次世界大戦で侵略戦争を展開し殺害した人たちの骨の白であり、赤は被害者の流した血の赤であり、国旗は忌み嫌う旗であると小学生に教えていました。  また、文部省と県の教育委員会は、卒業式などで国旗を掲揚し国歌を斉唱するようにと指示したのに、現場の強い反対に遭い、ほとんどの校長先生は板挟みとなり、多くの教育関係者が自らいのちを絶ちました。その中で、昨年末の全国高校駅伝で優勝した広島の世羅高校の当時の校長先生は、卒業式の前日、平成十一年二月二十八日、耐え切れず自らのいのちを絶ちました。  それまで、国旗・国歌は定着しているとして法制化を否定していた当時の小渕元総理も、これを契機に重い腰を上げ国旗・国歌法の制定に動き、平成十一年八月八日、ついに参議院を通過させ、国旗・国歌の法制化を実現いたしました。同時に、文部省は、広島県に対し是正指導を徹底し、それなりの成果を収め、今では落ち着いてまいることができました。  また、文部省としては、平成十三年、道徳の副読本、心のノートを作成、配付し、これを利用して人間としての生きる道を教えてまいりましたが、なぜか本年度より廃止することになりました。  総理大臣は、施政方針演説において、いのちを守りたい、子供いのちを守りたいと格調高くうたい上げられましたが、道徳教育についていかにお考えか、お伺いしたいと存じます。  いろいろとお尋ねしましたが、国民鳩山内閣に対する期待は非常に大きいものがありますので、自信を持って十分に頑張っていただくことをお願いし、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  33. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 国民新党の亀井郁夫議員に大変格調高い演説、御質問をいただきました。敬意を持って拝聴させていただいた次第でございます。  まずは、国民新党のいのちでございます郵政改革の方針についてのお尋ねがございました。  郵政改革につきましては、国民共有の財産でございます郵便局のネットワークを活用して、いわゆる郵便、そして郵貯、簡保、このサービスを全国あまねく、いわゆるユニバーサルサービスというんでしょうか、郵便局で一体的に利用できるようにするなどの郵政改革の基本方針を閣議決定したところでございます。この閣議決定に基づいて所要の法律案をこの通常国会に出させていただくことになっておりまして、是非、御審議をいただき、御協力を願えればと思っております。  私の選挙区も全国の中である意味で一番過疎の地域でございますだけに、この新しい制度の下で郵便局がどのような状況になっておるのか、大変厳しい状況であることをよく理解をしております。  一番大事なことは国民の皆様方の利便性ということだと思っておりまして、国民の皆様方のサービスというものが滞ってはいけないと。是非、郵便局の皆様方が、今まで以上に国民の皆様方に愛される存在としてサービスが行われるように全力を尽くして政府としても努力をしてまいりたい、そのことをお約束を申し上げたいと思います。  それから、景気回復の方法についてのお尋ねがございました。  幾つか方法があると思います。一つは、やはり内需を拡大をさせるということでございます。この内需の拡大の方策は、予算案の中にも盛り込ませていただいておりますが、例えば子ども手当などといったものも内需を拡大をして消費を刺激をして、そのことによって景気回復に導いていくということが一つあると思います。  もう一つは、これは成長戦略の中にも書かれているわけでありますが、ピンチをむしろチャンスに変えるんだということでございまして、健康という問題、あるいは環境というテーマでむしろ新たな技術というものを磨いていくということでございまして、そのことによって世界に、この健康あるいは環境においては世界一だという技術、科学という力を大いに発揮をさせていただいて経済というものを刺激をするということが大変重要だと、そのように思っております。  なお、アジア全体をある意味での内需というふうにとらえることも大変大事な視点だと考えておりまして、こういった取組を総動員させていただきながら、新たな分野で産業及び雇用というものを生み出して安定的な経済成長に資するように努力をしてまいりたいと思います。  中小企業の支援についてもお尋ねがございました。  もう議員御案内のとおり、中小企業、大変依然として厳しい経済環境に直面しているところでございます。  御指摘のとおりで、中小企業円滑化法を通させていただいたわけでありますが、それだけではなく、新たな中小企業への資金繰り対策、あるいは中小企業に仕事が行き届くような施策というものをやはり進めていくことも併せて大変大事だと、そのように思っておりまして、第一には、しかし経済全体が持ち直すことによって中小企業にも十分な仕事が波及していくということが何より大事だと思っておりまして、そのためにも、成立をいたしました第二次の補正予算、これをいかに早く執行するかということであろうかと思います。  また、第二に、自ら需要を開拓をしていくという意欲のある中小企業を背中を押すということが大事だと思っておりまして、ものづくり中小企業の研究開発とか、あるいは国内外への販路開拓などといった支援にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。  また、空き店舗などが地域において大変多いわけでありまして、商店街の空き店舗対策、そういったものを活用した新たな事業に対して政府支援をするという取組も強めてまいりたいと考えております。  奨学資金制度拡充についてのお尋ねがございました。  これは、家庭の環境にかかわらず、すべての意思のある高校生あるいは大学生が安心して勉学に打ち込んでいけるような社会をつくり上げていきたいと、そのような思いの下で努力をしたところでございまして、平成二十二年度の予算では高校の実質無償化というものをまず実現したい、その思いで必要な経費を計上したところでございます。  また、大学に行きたいという方々にも奨学金の拡充を図ってきたところでございます。いわゆる給付型の奨学金、海外ではむしろ奨学金といえば給付型であると、そのようなこともおっしゃるとおりでございまして、これは大変重要な課題だと思っております。財政の措置も必要だということでありますので今すぐにはということにはなっておりますが、更にこの問題も検討してまいりたいと思っております。  それから最後に、道徳教育についての御質問でございますが、まさに亀井議員演説そのものが大変国民の皆様方にとってこの道徳教育重要性を教えていただいたものだと、そのように思っておりまして、学校教育において社会性や思いやりなどの豊かな人間性をはぐくむ道徳教育充実していくことは大変大切であるということは当然認識をいたしております。  文部科学省が作成しております道徳教育、心のノートについて、これは学校地域実情などに応じた多様な道徳教育支援するという観点から、来年度からは、いわゆるウエブによる利用ということに変わったところでございます。ウエブ上に心のノートというものを作成させていただいて、それを是非自治体の皆様方にも活用していただきたい。そのウエブによることによって、むしろそれを活用していただくときの自由度が更に増えてくると、そのようにも思っておりまして、必要な支援をそのような活用していただく自治体には支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。  残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣菅直人君登壇、拍手〕
  34. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 亀井郁夫議員にお答えを申し上げます。  亀井議員からは、日本の純債務は欧州並みであって、また一方、大きな対外債権を持っているので、それを活用して需要拡大を図るべきではないかという御意見だと受け止めております。  また、国民新党あるいはその関係者の皆さんからは、内需創出国債百兆円構想などもお聞きをいたしておりまして、大変ある意味では魅力的な提案だと受け止めております。私も、デフレを脱却し、成長戦略に戻していくには需要の創出が最も重要であると、このように認識をしております。  ただ、現在の日本の財政状況は、先生御指摘のように、総債務が大きいばかりでなく、純債務の方も急激に悪化いたしておりまして、現在の内閣府の調査では、OECD諸国では最悪の水準に既に達しているという状況にあります。  そこで、財政に過大に依存しないで大きな需要を生み出す方策をまさに知恵を出し合ってつくることが必要で、その第一弾が昨年十二月三十日に発表いたしました新成長戦略基本方針であると、このように認識をいたしております。  もう具体的なことは余りくどくど申し上げませんが、先ほど総理からもありましたように、環境分野でのグリーンイノベーション、介護医療分野でのライフイノベーション、あるいはアジアの成長をいかに取り込んでいくか、こういったところに大いに知恵を出しながら、小さな財政支出でも大きな需要が生み出すような方向で努力をしたい、またいろいろとお知恵をお貸しいただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)     ─────────────
  35. 山東昭子

    ○副議長(山東昭子君) 市田忠義さん。    〔市田忠義君登壇、拍手〕
  36. 市田忠義

    ○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、鳩山総理に質問します。  まず、小沢民主党幹事長の政治資金疑惑についてであります。  総理施政方針演説ではこの問題に一切触れられませんでしたが、この問題が政治に突き付けているものは一体何だとお考えですか。  問われているのは、国民の税金で行われている公共事業を食い物にした疑惑にどう立ち向かうかであり、刑事訴追されるかどうかにかかわらず、政治が決して見逃してはならない問題であります。あなたは、刑事訴追を受けないなら何をやってもよいという立場なんでしょうか。そうでないなら、検察の捜査を見守るという傍観者的姿勢ではなく、政治的、道義的責任の有無を政治の場で解明するために、あなた自身が指導性を発揮すべきではありませんか。  経済危機からいかに国民の暮らしを守るかと、それが今政治に課せられた最も緊急の課題であります。総理いのちを守りたいと何度も繰り返されました。そこで伺います。総理自身がかつてはうば捨て山と言われていた後期高齢者医療制度について施政方針演説では一言も触れなかったのはなぜですか。あなたの言葉とは裏腹に、実際にいのちは一層脅かされています。  今、年金で暮らすお年寄りは、年金から、税金は言うに及ばず、介護保険料、国民健康保険料、七十五歳以上の方は後期高齢者医療保険料を差し引かれ、しかもその額は年々重くなります。総理は、お年寄りが安らぎの時間を過ごせる環境整備すると言われましたが、これが安らぎの時間を過ごせる環境ですか。後期高齢者医療制度の廃止の約束ばかりか、保険料の負担を増やさないという約束までほごにするのは絶対に許されません。答弁を求めます。  医療はどうか。相次ぐ医療費の窓口負担の拡大で、日本は今では現役世代三割、高齢者一割から三割という世界でも最も窓口負担の大きい異常な医療制度になってしまいました。その結果、医者にかかれないといういのちの不安が広がっています。日本医師会は窓口負担の軽減と子供医療費の無料化を提唱しましたが、今や高過ぎる窓口負担の軽減は圧倒的な国民の声であります。総理はその声にこたえるべきではありませんか。  労働者のいのち危機にさらしたのが一昨年暮れから荒れ狂った派遣切りでした。派遣切りの何が国民から厳しく批判されたのか。それは、日本を代表するトヨタやキヤノン、パナソニックといった大企業が、生きた人間を必要なときだけ安い給料でこき使って莫大な利益を上げ、後は物のように使い捨て、職場からも寮からも追い出して恥じないという横暴勝手な振る舞いでした。  政府は、製造業への派遣を原則禁止すると言いながら、常用型についてはその限りではないと言います。しかし、総理、常用型なら大企業の派遣切りは起きないのでしょうか。直接雇用している期間社員でさえ首切りが横行したのです。製造業への派遣を認める限り、それが何型であっても、必要なときに使い、要らなくなったら投げ捨てる大企業の横暴勝手を止めることはできません。製造業派遣の全面禁止へ決断を求めます。  農林漁業と農山漁村の再生は、日本国民の存亡が懸かった待ったなしの課題です。  自公政権の下、この十年間で農林水産予算は約一兆円削減され、国の予算に占める割合も毎年のように引き下げられ、昨年は四・九%になりました。ところが、鳩山内閣では更に四・六%に引き下げられました。これでは、戸別所得補償による農林水産業の再生など絵にかいたもちではありませんか。農業を国の基幹産業に位置付け、農林水産予算もそれにふさわしく抜本的に増額して、当面、米価下落の現状を改善するため、政府が生産費を基準とする買入れを行うことを求めます。畜産物価格や野菜、果実などについても、再生産が可能となるよう、必要な価格安定対策を講ずるべきではありませんか。  民主党はさきの総選挙で日米FTA交渉の促進を公約に掲げ、農業関係者から強い怒りを呼びました。交渉の相手、アメリカもオーストラリアも農業を除外したFTAなどあり得ないと再三言明しています。日豪EPA交渉をきっぱりと中止し、日米FTA交渉は断念すべきであります。総理答弁を求めます。  日本農業をここまで落ち込ませた最大の原因の一つ、歯止めのない輸入自由化路線を根本から改め、関税の維持強化を図ること、貿易拡大一辺倒のWTO農業協定を根本から見直し各国の食料主権を尊重する貿易ルールの確立を求めるものであります。  次に、普天間問題と日米関係についてであります。  普天間問題の原点は何か。普天間基地が造られた場所には、民家も役所も郵便局も墓地もありました。普天間だけではなく沖縄の米軍基地は、その多くが戦時国際法にも反して銃剣とブルドーザーで米軍に無法に強奪された土地であります。それを、別のものをよこさなかったら返さないという、こんな無理無体なことはないではありませんか。下地島だ、いや伊江島だ、徳之島だなどと言って、別の土地を差し出して返してもらおうという態度は余りにも無責任、卑屈な態度とは思いませんか。  政府答弁に詰まると、抑止力のためには仕方がないと言います。しかし、アメリカ自身、沖縄にいる海兵隊について、迅速に、どこへでも、どのような任務にも対応する能力を備えた遠征介入部隊と述べ、日本防衛のためとは一言も言ってはいません。あなたは侵略力ではないと昨日の衆議院本会議で言われましたが、年がら年中イラクやアフガニスタンに派遣されている侵略力そのものではありませんか。移設条件付きでなく、普天間基地の無条件撤去をアメリカに強く迫る決断をするべきであります。総理答弁を求めます。  今年は安保条約が改定されて五十年目の年であります。総理は日米同盟の深化などと言いますが、日米関係は一体どうなっているでしょうか。  まず、在日米軍の実態です。アメリカ本国では許されないことが日本では起きています。何といっても、人口密集地、宜野湾市のど真ん中に沖縄の普天間基地は居座っている。基地の周囲には学校や保育所、病院など公共施設がいっぱい。全国各地で低空飛行訓練も傍若無人にやられている。こんなことはアメリカ本国でも、野鳥に悪い影響を与えるとしてやられてはいません。日本国民はアメリカの野鳥以下なのかと、こんなことが日本で許される道理はないと思いますが、いかがですか。  日米地位協定はどうか。同じ敗戦国のドイツでは、日本と違って必要なときには米軍基地への立入りもできます。警察権の行使もできます。演習や訓練では事前の政府の承認も必要になります。なぜ日本ではそれができないのか。こんなことを今後も許すのですか。  そして、日本国憲法への介入であります。九条改定についての要求が、アメリカ政府高官からしばしば公然と出されています。憲法は日本の最高法規であって、それを変える権限を持っているのは日本国民だけではありませんか。今後、こういうことは決して許さないという決意を明確に示していただきたい。  安保条約のあるなしにかかわらず、少なくとも今述べた異常な関係は直ちに是正されるべきだと考えますが、いかがですか。  日本共産党は、こうした異常な日米関係をつくり出してきた安保条約を廃棄し、対等、平等の日米関係を築くために日米平和友好条約の締結を求めて質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  37. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 共産党の市田議員にお答えをいたします。  まず、小沢幹事長政治団体をめぐる問題でありますが、政治と金にかかわる疑惑については国民政治不信、大きな原因の一つでございます。疑惑を指摘された政治家は、やはり知る限り、できる限りの説明責任を果たしていくことが必要だと、そのように思います。  しかし、小沢幹事長政治団体をめぐる問題について申し上げれば、まさに検察捜査の途中であり、いまだに事実関係は解明をされておらないわけでございまして、同時に、御本人が潔白を主張しており、検察の捜査にも協力を表明し、事情聴取にも応じており、記者会見でも説明をいたしているところであります。したがいまして、今は検察捜査の進展による事実の解明を冷静に見守ることが最も大事なことだと、そのように考えております。  小沢幹事長の問題について更なる質問でありますが、御指摘の公共事業に関する報道につきましても、先ほどお答えいたしましたとおり、いまだ真偽は解明されておらないわけでありまして、行政の長として申し上げる段階にはないと認識しております。行政の長として検察が公正な捜査を行うことを信じており、繰り返しになりますけれども、検察捜査の進展を冷静に見守るということが総理としての立場である、そのように認識をいたしております。  後期高齢者医療制度についてのお尋ねでございます。  昨年の所信表明演説以来、度々申し上げておりますとおり、後期高齢者医療制度は廃止いたします。このため、高齢者医療制度改革会議を設置をして新たな制度の検討を進めているところでございまして、改革会議での議論を急いでもらいたいと思っています。今年の夏にはその骨格を中間的に明らかにしたいと考えております。  また、保険料についての御質問でありますが、来年度からの後期高齢者医療の保険料の引上げについてはできる限り抑制をしなければならないと、その措置を講じたいと思っておりまして、その結果、来年度における全国平均保険料の増加率約一四%、八千八百円ということでありますが、と見込まれておりましたけれども、それを大きく縮減いたしまして、現時点では三%前後に抑えることができると、そのように考えております。  後期高齢者医療制度の即時廃止、軽減についての御質問でありますが、この制度については、マニフェスト国民の皆様にお約束をいたしましたとおり、一期四年の中で必ず廃止をいたし、新しい制度への移行をいたします。来年度からの保険料についても、高齢者方々に十分配慮した水準に抑えることとしており、約束違反との御指摘は当たりません。  それから、医療費の窓口負担の軽減についてのお尋ねでございます。  現在の厳しい医療保険財政や経済情勢などを考えれば、国民皆保険制度はやはり維持しておかなければならないということになりまして、ある程度の窓口負担をお願いすることはやむを得ないと考えております。  ただし、医療を受ける機会が多い高齢者義務教育就学前の子供さん方には、負担軽減の観点からそれぞれ患者負担を一割、二割と下げているところでございまして、患者負担に一定の歯止めを掛ける高額療養費制度によって、さらに、重い病気にかかっても患者の皆様方に経済的な不安を生じさせないように配慮することも大事だと、そのようにも考えております。  いわゆる派遣切りへの対応と製造業業務派遣の禁止についてでございますが、労働者派遣制度の改正については、昨年末、労政審で派遣労働者の保護の観点から答申をまとめていただいたところでございます。  その答申によりますと、製造業の業務派遣について原則禁止するということにしておりますが、派遣元に常時雇用されている労働者を派遣する場合には、雇用の安定性が比較的高いというゆえをもって禁止の例外ということにしたわけでございます。  また、派遣先は労働者派遣契約の中途解除を行う場合に派遣元に賠償を行うなど、派遣労働者の雇用の安定のための責任強化をするということともされているわけでございます。派遣元に賠償を行うということでございます。  いずれにせよ、答申の内容は公労使が一致した結論でありますので、この答申に基づいてこの通常国会に法案を提出したい、そのように考えております。  平成二十二年度の農林水産予算についてでございますが、コンクリートから人へという理念に基づいて既存予算について徹底的な見直しを行ったところでありまして、公共事業予算の縮減など、予算の効率化、重点化を実施をしてまいりました。  その一方で、しかし、意欲ある農家の皆さん方の事業の継続あるいは創意工夫ある取組を促したいと思っておりまして、その意味でも、戸別所得補償制度というものを導入をし、農業者を直接支援する事業に重点的な財源を配分したというわけでございまして、農林水産行政を全く新しい段階に導く私は歴史的な意義を持つものだと、そのように考えております。  政府買入れについての御質問でございますが、食糧法における国産米の政府買入れは、不作などに備えた備蓄運営を図るためのものに限定されておりまして、需給調整のために政府が買い入れるという制度にはなっておりません。しかし、我が国の農業を立て直し、農村地域の再生を図る観点から、意欲あるすべての農家の皆さんに農業の継続と創意工夫ある取組を促すために戸別所得補償制度導入することにしたわけでございまして、二十二年度に実施するこの米のモデル事業においては、全国平均の販売価格と生産費の差額を基本とした交付単価を設定をして農家を支援するということにいたしたわけでございます。  畜産物や野菜、果実などの価格安定対策についてでございますが、畜産物や野菜などは、地域農業の基幹作物として極めて重要な役割を果たしていると、そのように考えております。したがって、価格安定対策を始めとする各般の施策を講じているところでございますが、今般は米の戸別所得補償モデル事業というものを実施しますが、その状況を踏まえて本格的な実施や拡大する対象品目などを検討を進めてまいりたいと思っておりまして、野菜や果実などの新たな支援策を検討してまいりたいと思っております。  それから、日豪のEPAあるいは日米のFTAなどについての御質問でございましたが、私どもは、やはり国際環境の中で日米、日豪を含むFTAなどの国際交渉については、貿易・投資を自由化するという観点からは前向きに推進していくべきものだと、そのように考えております。  ただ、その際に、食の安全・安定供給というものは守らなきゃなりませんし、食料自給率の向上に資さなければなりません。国内農業・農村の振興を損なわないようにして行っていくということでございます。  食料の貿易ルールについての御質問でございますが、食料の貿易ルールについては、現在、WTOの農業交渉などにおいて議論が行われているところでございまして、各国の農業が共に発展するという多様な農業の共存を基本理念とする貿易ルールを確立を目指して、積極的に取り組んでいきたいと考えております。  それから、普天間の話でございますが、代替施設の可否に関するお尋ねでございます。  例えば、普天間の飛行場については、昭和二十年に米軍によって民有地を含む土地が接収をされ造られたものであることは承知をしております。一方で、しかし、沖縄に存在しております米軍を含む在日米軍の抑止力というものは、我が国安全保障に関しましてやはり不可欠だという認識を持たなければなりません。したがって、普天間飛行場の一日も早い返還を実現するためには、代替施設なき返還というものは現実的には不可能だと、そのように考えておりまして、この問題については、負担軽減を願う沖縄県民の気持ちを大事にしながら、今申し上げたような安全保障上の観点も踏まえて検討してまいります。  海兵隊についてのお尋ねでございますが、沖縄における海兵隊は、その高い機動性あるいは即応能力によって、すなわち我が国への侵略、もしこういうことがある場合に、それを未然に防ぐという意味での抑止力として機能していると、そのように思っておりまして、したがって侵略力という御指摘は当たりません。  普天間の飛行場の移設に関する御質問でございますが、普天間飛行場の移設問題に関しては、安保の観点、日米合意、連立政権政策合意、こういったものを踏まえて検討しているところです。地元の理解を得ながら、米国ともすり合わせを行って理解を求めて、政府として本年の五月末までに具体的な移設先を必ず決定をいたします。  在日米軍基地の状況訓練についてでございますが、在日米軍基地は在日米軍が抑止力を発揮する基盤の一つであります。また、在日米軍が低空飛行訓練を含む各種の訓練我が国において実施することは、まだこれは必要だと、そのように認識しております。  低空飛行訓練については、やはり米側に対して、日米合同委員会の合意に沿って安全面に最大限の考慮を払うということとともに、さらに地元の皆様方に与える影響を最小限にとどめるように引き続き求めてまいりたいと考えております。  日米地位協定についてのお尋ねでありますが、これは米軍が傍若無人に振る舞うことを許しているという指摘は当たらないと考えておりまして、そもそも日米地位協定と第三国間の協定とを単純に比較することはなかなか難しいと思っております。  日米の地位協定については、これまでも運用の改善などに取り組んでいるところでありますが、今後とも日米同盟を更に深化させるよう努めていく中で、他の喫緊の課題の進展や三党連立の政策合意も踏まえていく中で対応を検討してまいりたいと思います。  それから、憲法と日米同盟についての御質問でございます。  アメリカが我が国に対して憲法第九条の改正を表で要求しているという認識は持っておりません。御承知のような決意をアメリカに示す考えはありません。いずれにしても、我が国の憲法改正の手続は明確でありまして、我が国が自主的に判断をする事項であります。  日米の同盟についての最後の御質問でありますが、日米の安保を廃棄するという考えは、私どもとしては受け入れられません。日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化をしてまいりたいと考えております。  以上です。(拍手)     ─────────────
  38. 山東昭子

    ○副議長(山東昭子君) 山内徳信さん。    〔山内徳信君登壇、拍手〕
  39. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、社民党・護憲連合を代表いたしまして質問をいたします。沖縄出身の山内徳信でございます。  最初に、いのちを守る行政について質問をいたします。  かつて大英帝国の植民地にあったインドを不服従の闘いを通して独立に導いたマハトマ・ガンジーは、理想なき政治は罪悪であると喝破いたしました。  総理施政方針演説の中で、いのちを守りたいという、いのち行政を特筆強調されました。それは、総理政治哲学、政治理念がにじみ出ておると私は受け止めております。いのちを守りたいという新しい時代への新鮮な息吹に満ちあふれ、二〇一〇年度予算いのちを守る予算と名付けられました。主人公である国民に温かい新しいいのちの風を吹かせるものであります。生命の危機と生活に困窮している民衆にとって、いのちを守りたいという総理演説は希望を与えるものでありました。国民いのちの尊厳さを守る生命行政の先頭に立つ揺るぎない鳩山総理決意を受け、以下、質問をいたします。  長妻厚労大臣にお伺いいたします。  労働者の人権と生活権が無視され、働く者のいのちがぼろぎれのごとく切り捨てられてきましたが、雇用の安定なくして経済、社会の安定はありません。抜本的な改革が必要であります。担当大臣の決意を伺いたいと思います。  次に、福島少子化担当大臣にお伺いいたします。  日本の将来を担うのは子供たちであり若者であります。少子化問題、認可外保育所の問題や障害者施策の問題などについてどのように対応をされますか、お伺いいたします。  次に、鳩山総理にお伺いいたします。  深刻な地球温暖化問題を含む地球のいのちをどのように守っていかれますか。その道筋をお伺いいたします。  次に、普天間問題について質問をいたします。  鳩山新政権の最大の外交課題は普天間問題であります。民主主義社会にあって、政権が替われば政策に変更が生ずるのは当然であります。それにもかかわらず、アメリカ政府は鳩山新政権に対し、普天間は辺野古が最善だ、日米合意を守れ、辺野古がなければ普天間返還はないと、こういうふうに新政権に圧力を掛け続けていることは常軌を逸しておると多くの国民と県民は考えております。総理はどのように受け止めておられますか、お伺いいたします。  この際申し上げますが、沖縄の人々の人権も、アメリカの人々の人権も、日本本土の人々の人権も全く同じ人権です。人権に上下なく等しく扱われるのが人権宣言や憲法の精神であります。総理いのちと人権を大事にするという立場から、いつまでも沖縄の人々の人権を無視し、基地問題の苦悩を押し付けていいのでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。  アメリカの強引な日米合意の実施要求の裏には、普天間にはない軍港建設計画があり、弾薬庫があり、オスプレーの配備が計画されております。最大の魅力は日本政府の膨大な国家予算で、米軍の使用する基地が陸を削り、海を埋めて、二十一世紀型の最新鋭の基地を夢見ているのであります。  政府予算国民の血税であります。国民は黙ってそれを認めることはいたしません。この際、新政権として辺野古新基地建設計画を白紙に戻すべきであるというのが県民の声であります。アメリカ政府に提案し、交渉するよう要求いたします。総理の御答弁を求めます。  次に、普天間飛行場危険性の除去の一義的責任はアメリカにあるのです。戦後六十五年間、強制的に土地を接収し、飛行場を造り、使い続けてきました。爆音被害と死の恐怖を与え続けてきたのは基地運用者であるアメリカ軍なのです。危険性の除去のため、米軍と真剣に交渉すべきであります。同時に、日米安保の負担は全国民がひとしく負担すべきであると思います。総理の認識をお伺いいたします。  辺野古新基地建設計画に沖縄県民が反対している理由をアメリカ政府日本国民も知るべきであります。辺野古の海は亜熱帯のジュゴンのすむ豊かな海です。美しい豊かなサンゴの海、いのちはぐくむ海なのです。いのちはぐくむ海を十トントラック五百二十五万台の土砂、海砂で埋めるという計画なのです。アメリカ政府は、アメリカ本国ではそのような自然環境の破壊や海洋汚染、生態系の破壊につながる計画は政府が認めないのであります。アメリカで認められないことをなぜ日本政府を始め沖縄県に、名護市民に対し無理難題を押し付けてくるのであろうか。  二十一世紀は環境の世紀です。環境を守り、生物多様性の豊かな海を守ることが文化であり文明であります。自然環境を守る立場にある小沢環境大臣の認識をお伺いいたします。  日米合意によって進められてきた辺野古新基地建設計画は事実上破綻していると県民は考えております。  その理由の一つは、沖縄県内の政治状況の変化、県議会選挙の結果、去る衆議院議員選挙の結果であります。二つ目は、名護市長選挙の結果、民意によって辺野古新基地建設計画は拒否されたことであります。三つ目は、鳩山総理の目指す県外・国外移設は総理の信念であり、妥当性のあるものであります。したがって、普天間飛行場の即時閉鎖、返還を外交交渉にのせ、市民の生命と財産、安全を守るという立場から取り組んでいただきたい。  新政権として、普天間の閉鎖、返還を米側に要求する時期になっております。内閣一体となって進めることが喫緊の課題であります。沖縄県民は総理の強い信念を信じております。総理、あなたは主権国家日本総理大臣です。宜野湾市民のいのちを守るため、普天間飛行場の閉鎖、返還を外交交渉にのせることを県民は期待しております。その解決に全力を尽くしていただきたいと思います。十三年掛かってできなかったその外交問題を新政権は県民の期待にこたえる形で実現をしていただきたいと思います。  最後に、岡田外務大臣は、二月一日、都内での記者会見で、ほかに選択肢がなければ今のままということもあり得ると述べ、協議の行方次第では継続使用の可能性に言及されました。これは、アメリカの居座り論と同じ発想で、こういう後ろ向きの発言は、苦しみ続けてきた沖縄県民を愚弄し、宜野湾市民を恐怖から救うものではありません。普天間には戻れないという総理方針を支えるのが閣僚ではありませんか。改めて、総理の鳩山政権のこの問題についての基本的認識をお伺いいたします。  以上で私の質問は終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕
  40. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 山内議員にお答えをいたします。  まず、地球のいのちへの対応についてのお尋ねがございました。  地球の長いいのちに比べて、まだ人類の歴史は大変わずかなものでございます。しかしながら、このわずかな長さの人間が、現在、大変資源を浪費をし、地球環境を破壊をし、生態系をかつてない激変を加えてしまったと、この文明社会在り方というものをいま一度根本から見詰め直す必要があると、地球のいのちを守ることが今を生きる私たちの大変大きな未来への責任だと、そのように認識をしております。  そのような思いの下で、まずは地球環境問題への断固とした対応を日本政府として取っていきたいと考えておりますし、また、今年行われます生物多様性条約というのでありますが、その会議をリードしていきたいとも思っております。  また、深刻な水資源問題というものも世界の大変大きな環境の問題でございまして、こういった地球規模の問題、課題に対して日本の技術あるいは知見、これを世界に展開をしていきながら、さらには途上国をリードをしていくということも含めて世界全体で取組を大いに行ってまいりたいと、日本としてその責めを果たしてまいりたいと思っております。  それから、山内議員から普天間の飛行場の移設問題について、まず一点目として、アメリカ政府我が国を恫喝し圧力を掛けていることについてどう受け止めるか、二つ目として、いつまでも沖縄県民は人権を無視され、基地問題で苦しまれなければならないのかと、それから三つ目として、辺野古への移設を白紙に戻すのが沖縄県民の考えであり、そのようにアメリカ政府に提案、交渉すべきではないか、四つ目として、危険性の除去のために米軍と真剣に交渉するべきであり、日米安保の負担は全国民がひとしく負担すべきではないか、さらには、県外、国外への具体的取組内閣一体となって進めるべきではないかなどのお尋ねがございました。それに対して、恐縮ですが一括してお答えを申し上げたいと思っております。  国土の面積でいえば〇・六%という小さな沖縄県の中に、全国の約七四%の在日米軍基地が集中しているということであります。したがいまして、負担の軽減を図っていくということ、さらに危険性の除去、様々な騒音の除去など、沖縄県民の切実な思いであることは十分に認識をしなければならないことだと思っておりまして、その解決には国民の皆様方がひとしくこのことを理解をしながら協力をしていくことが大事だと、そのように思っております。  このような観点の中で、特に普天間の飛行場の移設問題につきましては、人権の問題もまさにあるわけでありまして、沖縄に暮らしておられる方々の長年にわたります大変な御負担を少しでも軽くしていかなければいけないと、そのためにはどのような解決策が望ましいかと、最善であるかということ、現下の国際的な情勢、あるいは安全保障上の問題からしっかりと取り組んでいくことが大変重要だと認識をしております。  現在、平野官房長官をヘッドといたします沖縄基地問題検討委員会におきまして、まずは特定の前提を置かない、いわゆるあらゆるオプションというものをゼロベースで幅広く検討しているところではあります。今申し上げましたように、沖縄の県民の皆様方のお気持ちというものを十分に理解していく中でこのようなゼロベースで検討しているところでございますが、一方でアメリカの理解も求めていかなければなりませんし、最終的に五月の末までに国が責任を持って解決をする、そのことを国民の皆様方にも約束をいたしたわけでありますので、必ずその約束を果たしてまいりたい、そのように思っております。  一方で、アメリカが恫喝とかあるいは圧力を掛けているという言い方はやや言い過ぎかなとも、そのようにも考えておりまして、米国とも基本的にしっかりと交渉というか、すり合わせをしていきながら、最終的に必ず理解を求めてまいりたい、そのように思っております。五月末までに必ず結論を出します。是非、山内議員にも大いに加わっていただいて、その解決に御協力を願えればと思います。  普天間の飛行場の固定化についての岡田外務大臣の発言に対するお尋ねがありました。  普天間の飛行場の危険性考えれば一刻も早くこれを移設をするべきであると、移設先を探さなきゃいけない、そのことから普天間の問題が起きたわけでございまして、したがいまして普天間の飛行場が固定化をするということは何としても避けていかなければなりません。その思いを持ちながら、沖縄の基地問題検討委員会で普天間の移設先を検討しているのでございまして、最終的にまた元に戻ってくるというようなことはしないという決意の下で議論をしていることは、私の方からも申し上げることができると思います。  残余の質問に関しましては、関係大臣から答弁させます。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣長妻昭君登壇、拍手〕
  41. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 山内議員から雇用の安定化への抜本的改革についてお尋ねがありました。  御指摘のように、前政権雇用の規制緩和は余りにも行き過ぎました。日雇派遣に象徴される労働を軽んじる仕組みは長続きするわけがありません。  今回、国会へ提出予定の労働者派遣法の改正については、労働側、経営側による精力的な御議論をいただいて、一致した結論が出ました。具体的には、登録型派遣の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす制度の創設など、派遣労働者保護のための今までにない内容を盛り込んでおります。  また、雇用保険の適用基準を雇用見込み六か月以上から三十一日以上に緩和する法律案を今国会に提出したところであります。この措置により、新たに二百五十五万人の方が新たに雇用保険の対象者になる見込みです。今後とも、非正規労働者に対するセーフティーネット機能強化をするため全力で取り組んでまいります。(拍手)    〔国務大臣福島みずほ君登壇、拍手〕
  42. 福島みずほ

    国務大臣(福島みずほ君) 少子化の問題、認可外保育施設の問題についてお尋ねがありました。  この度、子供子育てを応援する社会に向けて、子ども・子育てビジョンを策定しました。今回のビジョンは、子供が主人公であるとして、これまでの少子化対策から子ども・子育て支援へと転換し、社会全体で子育てを支え、個人の希望を実現することを目指しております。保育サービス等の基盤整備については、今後五年間で毎年五万人程度の保育サービス拡充を行い、三歳未満児の三人に一人が保育サービスを受けられるようにすることなどを目標としています。  沖縄については、アメリカの占領が長かったため、その歴史的経緯から認可外保育施設が多いという現状等にかんがみ、地元の意向も踏まえ、認可化を促進するため県に設置した基金の一層の活用を図れるよう、例えば認可外保育施設を認可化するために必要な施設改善費の補助上限額を七百万円から三千万円に引き上げるなど、先般その内容を見直したところです。今後、スタディーチームをつくり、沖縄県、沖縄振興、そして少子化担当で、沖縄の保育園の改善のために、子供たちを応援するために全力でやってまいります。  障害者施策についてお尋ねがありました。  障害者の権利に関する条約の締結に必要な国内法の整備を始めとする障害者に係る制度の集中的な改革を行うため、昨年十二月に、閣議決定により、障がい者制度改革推進本部を内閣に設置し、一回目の会合を開催をいたしました。  同本部の下で、十四名の障害のある方々や障害者団体関係者、十一名の有識者の委員で構成される障がい者制度改革推進会議を開催し、今までに二回議論を行いました。この会議では、障害者基本法の抜本改正、障害者差別禁止法、障害者総合福祉法、教育雇用、障害の表記の在り方などについて議論を行います。  当面、これらの課題について、今年の夏ごろまでをめどに中間的な取りまとめを行っていただいた上で、障害者制度改革の基本的な方針を閣議決定をしたいと考えております。そして、必要に応じてヒアリングを行うなど様々な方法で幅広く御意見をいただきながら、全国の障害のある方々のお声を集めて、そして、この内閣で障害者施策が本当に進んだと言われるために全力を尽くしてやってまいります。  以上です。(拍手)    〔国務大臣小沢鋭仁君登壇、拍手〕
  43. 小沢鋭仁

    国務大臣小沢鋭仁君) 山内議員にお答えを申し上げます。  辺野古を含む沖縄東部沿岸は、ジュゴンやサンゴが生息する豊かな自然環境であることは十分承知をしております。お問い合わせの普天間飛行場の移設については、先ほど来お話があるとおり、今、沖縄基地問題検討委員会においてゼロベースで検討を行っているところでございます。  この問題につきましては、環境大臣としては法に基づいて意見を述べる権限あるいは場面は直接ございません。しかし、内閣の一員として自然環境の保全の観点から注視をしていく所存でございます。  以上です。(拍手)
  44. 山東昭子

    ○副議長(山東昭子君) これをもって質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会