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2010-01-29 第174回国会 参議院 本会議 第4号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十二年一月二十九日(金曜日) 午後三時三十一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第四号
平成
二十二年一月二十九日 午後三時三十分
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
江田五月
1
○
議長
(
江田五月
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から外交に関し、
財務大臣
から
財政
に関し、
菅国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
鳩山内閣総理大臣
。 〔
内閣総理大臣鳩山由紀夫
君登壇、拍手〕
鳩山由紀夫
2
○
内閣総理大臣
(
鳩山由紀夫
君)
いのち
を守りたい。
いのち
を守りたいと願うのです。生まれくる
いのち
、そして、育ち行く
いのち
を守りたい。 若い夫婦が
経済
的な
負担
を不安に思い、
子供
を持つことをあきらめてしまう、そんな
社会
を変えていきたい。
未来
を担う
子供たち
が自らの無限の
可能性
を自由に追求していける、そんな
社会
を築いていかなければなりません。 働く
いのち
を守りたい。
雇用
の確保は緊急の
課題
です。しかし、それに加えて、職を失った
方々
や様々な理由で
求職活動
を続けている
方々
が、人との
接点
を失わず、
共同体
の
一員
として
活動
していける
社会
をつくっていきたい。
経済活動
はもとより、
文化
、スポーツ、
ボランティア活動
などを通じてすべての人が
社会
との
接点
を持っている、そんな居場所と出番のある新しい
共同体
の
在り方
を考えていきたいと願います。 いついかなるときも
人間
を孤立させてはなりません。独り
暮らし
のお
年寄り
がだれにもみとられず孤独な死を迎える、そんな事件をなくしていかなければなりません。だれもが
地域
で孤立することなく
暮らし
ていける
社会
をつくっていかなければなりません。
世界
の
いのち
を守りたい。 これから生まれくる
子供たち
が成人になったときに、核の脅威が
歴史
の教科書の中で過去の教訓と化している、そんな
未来
をつくりたいと願います。
世界
中の
子供たち
が、飢餓や
感染症
、紛争や地雷によって
いのち
を奪われることのない
社会
をつくっていこうではありませんか。だれもが衛生的な水を飲むことができ、差別や偏見とは無縁に、
人権
が守られ基礎的な
教育
が受けられる、そんな
暮らし
を
国際社会
の
責任
としてすべての
子供たち
に保障していかなければなりません。 今回の
ハイチ地震
のような被害の拡大を国際的な協力で最小限に食い止め、新たな
感染症
の大流行を可能な限り抑え込むため、
いのち
を守るネットワークを、
アジア
、そして
世界
全体に張り巡らせていきたいと思います。
地球
の
いのち
を守りたい。 この宇宙が生成して百三十七億年、
地球
が誕生して四十六億年。その長い時間軸から見れば、
人類
が生まれ、そして
文明生活
を送れるようになった、いわゆる
人間圏
ができたこの一万年はごく短い時間にすぎません。しかし、この短時間の中で私
たち
は
地球
の時間を驚くべき速度で早送りして、
資源
を浪費し、
地球環境
を大きく破壊し、
生態系
にかつてない激変を加えています。約三千万とも言われる
地球
上の
生物種
のうち、現在年間約四万の種が絶滅していると推測されています。
現代
の
産業活動
や
生活スタイル
は、豊かさをもたらす一方で、確実に
人間
が現在のような
文明生活
を送れることができる
残り
時間を短くしていることに私
たち自身
が気付かなければなりません。 私
たち
の
英知
を総動員し、
地球
という
システム
と調和した
人間圏
はいかにあるべきか、
具体策
を講じていくことが必要です。少しでも
地球
の
残り
時間の減少を緩やかにするよう
社会
を挙げて取り組むこと、それが今を生きる私
たち
の
未来
への
責任
です。本年、
我が国
は
生物多様性条約締約国会議
の
議長国
を務めます。かけがえのない
地球
を
子供
や
孫たち
の世代に引き継ぐために、国境を越えて力を合わせなければなりません。 私は、このような思いから、
平成
二十二年度
予算
を「
いのち
を守る
予算
」と名付け、これを
日本
の新しい
在り方
への
第一歩
として、
国会議員
の
皆さん
、そしてすべての
国民
の
皆様
に提示し、活発な御
議論
をいただきたいと願っています。 私は、昨年末、インドを訪問した際、希望して、尊敬する
マハトマ・ガンジー師
の
慰霊碑
に献花させていただきました。
慰霊碑
には
ガンジー師
が八十数年前に記した七つの
社会的大罪
が刻まれています。
理念
なき
政治
、
労働
なき富、良心なき快楽、
人格
なき
教育
、
道徳
なき
商業
、
人間性
なき
科学
、そして犠牲なき宗教です。まさに今の
日本
と
世界
が抱える諸問題を鋭く言い当てているのではないでしょうか。 二十世紀の物質的な豊かさを支えてきた
経済
が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。
資本主義社会
を維持しつつ、行き過ぎた
道徳
なき
商業
、
労働
なき富をどのように制御していくべきなのか。
人間
が
人間
らしく幸福に生きていくために、どのような
経済
が、
政治
が、
社会
が、
教育
が望ましいのか。今、その
理念
が、哲学が問われています。 さらに、
日本
は、
アジア
の中で、
世界
の中で、
国際社会
の
一員
としてどのような国として歩んでいくべきなのか。
政権交代
を果たし、民主党、
社会
民主党、
国民新党
による
連立内閣
として初めての
予算
を提出するこの
国会
であるからこそ、あえて私の
政治理念
を
国会議員
の
皆さん
と
国民
の
皆様
に提起することからこの
演説
を始めたいと、
ガンジー廟
を前に私は決意いたしました。
経済
の
グローバル化
や
情報通信
の
高度化
とともに私
たち
の
生活
は日々便利になり、物質的には驚くほど豊かになりました。一方、一昨年の
金融危機
で直面したように、私
たち
が自らつくり出した
経済システム
を制御できない事態が発生しています。
経済
のしもべとして
人間
が存在するのではなく、
人間
の幸福を
実現
するための
経済
をつくり上げるのがこの
内閣
の使命です。 かつて
日本
の
企業風土
には
社会
への
貢献
を重視する
伝統
が色濃くありました。働く
人々
、
得意先
や
取引先
、
地域
との長期的な
信頼関係
に支えられ、百年以上の
歴史
を誇る
長寿企業
が約二万社を数えるのは、
日本
の
企業
が
社会
の中の
共同体
として確固たる地位を占めてきたことのあかしです。今こそ、
国際競争
を生き抜きつつも、
社会的存在
として
地域社会
にも
貢献
する
日本型企業モデル
を提案していかなければなりません。
ガンジー師
の
言葉
を借りれば、
商業
の
道徳
をはぐくみ、
労働
を伴う富を取り戻すための挑戦です。 人の幸福や
地域
の豊かさは、
企業
による
社会
的な
貢献
や
政治
の力だけで
実現
できるものではありません。 今、市民やNPOが、
教育
や
子育て
、
街づくり
、
介護
や福祉など身近な
課題
を解決するために活躍しています。昨年の
所信表明演説
で御紹介した
チョーク工場
の事例が多くの
方々
の共感を呼んだように、人を支えること、人の役に立つことは、それ自体が喜びとなり、
生きがい
ともなります。こうした
人々
の力を、私
たち
は新しい
公共
と呼び、この力を
支援
することによって、
自立
と共生を
基本
とする
人間
らしい
社会
を築き、
地域
の
きずな
を再生するとともに、肥大化した官をスリムにすることにつなげていきたいと考えます。 一昨日、「新しい
公共
」
円卓会議
の初会合を開催いたしました。この会合を通じて、新しい
公共
の考え方をより多くの方と共有するための対話を深めます。こうした
活動
を担う
組織
の
在り方
や
活動
を
支援
するための
寄附税制
の拡充を含め、これまで官が独占してきた領域を公に開き、新しい
公共
の担い手を拡大する
社会制度
の
在り方
について、五月を目途に具体的な提案をまとめてまいります。 新しい
公共
によって、いかなる国をつくろうとしているのか。 私は、
日本
を
世界
に誇る
文化
の国にしていきたいと考えます。ここで言う
文化
とは、狭く芸術その他の
文化活動
だけを指すのではなく、
国民
の
生活行動様式
や
経済
の
在り方
、さらには
価値観
を含む概念です。 厳しい
環境
、
エネルギー
、
食料制約
、
人類史上例
のない
少子高齢化
などの問題に直面する中で、様々な
文化
の架け橋として、また、唯一の
被爆国
として、さらには、
伝統文化
と
現代文明
の融和を最も進めている国の
一つ
として、
日本
は、
世界
に対して、この困難な
課題
が山積する時代に適合した、独自の
生活行動様式
や
経済制度
を提示していくべきだと考えます。 多くの国の
人々
が、一度でよいから
日本
を訪ねたい、できることなら
暮らし
たいとあこがれる、愛される、輝きのある国となること。異なる
文化
を理解し、尊重することを大切にしながら、
国際社会
から信頼され、
国民
が
日本
に生まれたことに誇りを感ずるような
文化
をはぐくんでいきたいのです。 新しい
未来
を切り開くとき、
基本
となるのは、人を育てる
教育
であり、
人間
の
可能性
を創造する
科学
です。
文化
の国、
人間
のための
経済
にとって必要なのは、単に数字で評価される
人格
なき
教育
や、結果的に
人類
の生存を脅かすような
人間性
なき
科学
ではありません。一人一人が
地域
という
共同体
、
日本
という
国家
、
地球
という
生命体
の
一員
として、より大きなものに
貢献
する、そんな
人格
を養う
教育
を目指すべきなのです。
科学
もまた、
人間
の
英知
を結集し、
人類
の生存にかかわる深刻な問題の解決や、
人間
のための
経済
に大きく
貢献
する、そんな
人間性
ある
科学
でなければなりません。疾病、
環境
・
エネルギー
、食料、水といった分野では、かつての
産業革命
にも匹敵する、しかし全く位相の異なる革新的な
技術
が必要です。その母となるのが
科学
です。 こうした
教育
や
科学
の役割をしっかりと見据え、真の
教育者
、
科学者
を更に増やし、また
社会
全体として
教育
と
科学
に大きな
資源
を振り向けてまいります。それこそが、私が申し上げ続けてきた
コンクリート
から人へという
言葉
の意味するところであります。 私は、来年度
予算
を
いのち
を守る
予算
に転換しました。
公共事業予算
を一八・三%削減すると同時に、
社会保障費
は九・八%増、
文教科学費
は五・二%増と大きくめり張りを付けた
予算編成
ができたことは、
国民
の
皆様
が選択された
政権交代
の成果であります。
所得制限
を設けず、月額一万三千円の
子ども手当
を創設します。
子育て
を
社会
全体で応援するための大きな
第一歩
です。また、すべての意志ある若者が
教育
を受けられるよう、高校の
実質無償化
を開始します。
国際人権規約
における
高等教育
の段階的な
無償化条項
についても、その
留保撤回
を具体的な
目標
とし、
教育
の格差をなくすための検討を進めます。さらに、
子ども
・
子育てビジョン
に基づき、新たな
目標
の下、
待機児童
の解消や
幼保一体化
による
保育サービス
の
充実
、
放課後児童対策
の拡充など、
子供
の
成長
を担う御家族の
負担
を
社会
全体で分かち合う
環境づくり
に取り組みます。
社会保障費
の抑制や
地域
の
医療現場
の軽視によって、
国民医療
は
崩壊寸前
です。これを立て直し、健康な
暮らし
を支える
医療
へと再生するため、
医師養成数
を増やし、
診療報酬
を十年ぶりにプラス改定します。乳幼児からお
年寄り
までだれもが安心して
医療
を受けられるよう、その配分も大胆に
見直し
、救急、産科、
小児科
などの
充実
を図ります。患者の
皆さん
の御
負担
が重い
肝炎治療
については、
助成対象
を拡大し、
自己負担限度額
を引き下げます。
健康寿命
を延ばすとの観点から、
統合医療
の積極的な推進について検討を進めます。 お
年寄り
が御
自身
の歩まれた人生を振り返りながら、安らぎの時間を過ごせる
環境
を整備することも重要です。年金をより確かなものとするため、来年度から二年間を
集中対応期間
として、
紙台帳
と
コンピューター記録
との
突き合わせ
を開始するなど、年金記録問題に
国家プロジェクト
として取り組みます。 働く
人々
の
いのち
を守り、
人間
を孤立させないために、まずは
雇用
を守ることが必要です。
雇用調整助成金
の
支給要件
を大幅に緩和し、
雇用
の維持に努力している
企業
への
支援
を強化しました。また、非
正規雇用
の
方々
の
セーフティーネット
を強化するため、
雇用保険
の対象を抜本的に拡充します。
労働
をコストや効率で、あるいは
生産過程
の歯車としかとらえず、
日本
の高い
技術力
の伝承をも損ないかねない
派遣労働
を抜本的に
見直し
、いわゆる
登録型派遣
や
製造業
への派遣を原則禁止します。さらに、働く意欲のある
方々
が
新規産業
にも生かせる新たな
技術
や能力を身に付けることを応援するため、
生活費支援
を含む恒久的な
求職者支援制度
を
平成
二十三年度に創設すべく準備を進めます。 若者、女性、
高齢者
、
チャレンジド
の
方々
など、すべての人が孤立することなく能力を生かし、
生きがい
や誇りを持って
社会
に参加できる
環境
を整えるため、就業の実態を丁寧に把握し、妨げとなっている
制度
や慣行の是正に取り組みます。
社会
のあらゆる面で
男女共同参画
を推進し、
チャレンジド
の
方々
が
共同体
の
一員
として生き生きと暮らせるよう、
障害者自立支援法
の廃止や
障害者権利条約
の批准などに向けた
改革
の
基本方針
を策定します。 また、
いのち
を守る
社会
の基盤として、
自殺対策
を強化するとともに、消防と
医療
の連携などにより、
救急救命体制
を
充実
させます。
住民
の
皆様
と一緒に犯罪が起こりにくい
社会
をつくり、
犯罪捜査
の
高度化
にも取り組んでいきます。 ピンチを
チャンス
ととらえるということがよく言われます。では、私
たち
が今直面している
危機
の本質とは何であり、それをどう変革していけばいいのでしょうか。 昨年末、私
たち
は新たな
成長戦略
の
基本方針
を発表しました。
鳩山内閣
における
成長
は、従来型の
規模
の
成長
だけを意味しません。
人間
は、成人して体の
成長
が止まっても、様々な苦難や逆境を乗り越えながら、
人格
的に
成長
を遂げていきます。私
たち
が目指す新たな
成長
も、
日本経済
の
質的脱皮
による
人間
のための、
いのち
のための
成長
でなくてはなりません。この
成長
を誘発する原動力が、
環境
・
エネルギー分野
と
医療
・
介護
・
健康分野
における
危機
なのです。 私は、すべての
主要国
による公平かつ実効性ある
国際的枠組み
の構築や意欲的な
目標
の合意を前提として、二〇二〇年に、
温室効果ガス
を一九九〇年比で二五%削減するとの
目標
を掲げました。大胆過ぎる
目標
だという御指摘もあります。しかし、この変革こそが、必ずや
日本
の
経済
の体質を変え、新しい需要を生み出す
チャンス
となるのです。
日本
の誇る
世界最高水準
の
環境技術
を
最大
限に活用した
グリーンイノベーション
を推進します。
地球温暖化対策基本法
を策定し、
環境
・
エネルギー関連規制
の
改革
と新
制度
の導入を加速するとともに、チャレンジ25によって低
炭素型社会
の
実現
に向けたあらゆる
政策
を総動員します。
医療
・
介護
・
健康産業
の
質的充実
は、
いのち
を守る
社会
をつくる一方、新たな
雇用
も創造します。
医療
・
介護技術
の
研究開発
や
事業創造
を
ライフイノベーション
として促進し、
利用者
が求める多様な
サービス
を提供するなど、
健康長寿社会
の
実現
に
貢献
します。 今後の
世界経済
における
我が国
の
活動
の場として、更に切り開いていくべき
フロンティア
は
アジア
です。
環境
問題、
都市化
、
少子高齢化
など、
日本
と共通の深刻な
課題
を抱える
アジア諸国
と、
日本
の知識や経験を共有し、共に
成長
することを目指します。
アジア
を単なる製品の
輸出先
ととらえるのではありません。
環境
を守り、安全を担保しつつ、高度な
技術
や
サービス
をパッケージにした新たな
システム
、例えば
スマートグリッド
や
大量輸送
、
高度情報通信システム
を共有し、
地域
全体で繁栄を分かち合います。それが、この
地域
に新たな需要を創出し、自律的な
経済成長
に
貢献
するのです。
アジア
の
方々
を中心に、もっと多くの
外国人
の
皆さん
に
日本
を訪問していただくことは、
経済成長
のみならず、幅広い
文化交流
や
友好関係
の土台を築くためにも重要です。
日本
の魅力を磨き上げ、
訪日外国人
を二〇二〇年までに二千五百万人、更に三千万人まで増やすことを
目標
に、総合的な
観光政策
を推進します。
アジア
、さらには
世界
との
交流
の拠点となる空港、港湾、
道路
など、真に必要な
インフラ整備
については、厳しい
財政事情
を踏まえ、民間の知恵と資金も活用し、戦略的に進めてまいります。 もう
一つ
の
成長
の新たな地平は、国内それぞれの
地域
です。 その
潜在力
にもかかわらず、長年にわたる
地域
の切捨て、さらに最近の不況の直撃にさらされた
地域経済
の疲弊は極限に達しています。まずは
景気対策
に万全を期し、今後の
経済
の変化にも臨機応変に対応できるよう、十一年ぶりに
地方交付税
を一・一兆円増と大幅に増額するほか、
地域経済
の
活性化
や
雇用機会
の創出などを目的とした二兆円
規模
の
景気対策枠
を新たに設けます。その上で、
地域
における
成長
の
フロンティア拡大
に向けた
支援
を行います。
我が国
の
農林水産業
を、生産から加工、流通まで一体的にとらえ、新たな
価値
を創出する六次
産業化
を進めることにより再生します。農家の
方々
、新たに農業に参入する
方々
には、
戸別所得補償制度
を
一つ
の飛躍のばねとして、農業の再生に果敢に挑戦していただきたい。
世界
に冠たる
日本
の
食文化
と高度な
農林水産技術
を組み合わせ、森林や
農山漁村
の魅力を生かした新たな
観光資源
、
産業資源
をつくり出すのです。
政府
としてそれをしっかりと応援しながら、
食料自給率
のまずは五〇%までの引上げを目指します。
地域経済
を支える
中小企業
は
日本経済
の活力の源です。その
資金繰り対策
に万全を期するほか、
中小企業憲章
を策定し、意欲ある
中小企業
が
日本経済
の
成長
を支える展望を切り開いてまいります。 さらに、
地域
間の活発な
交流
に向け、
高速道路
の
無料化
については、来年度から
社会実験
を実施し、その影響を確認しながら段階的に進めてまいります。
地域
の
住民
の
生活
を支える
郵便局
の
基本
的な
サービス
が、
地域
を問わず一体的に利用できるよう
ユニバーサルサービス
を法的に担保するとともに、現在の
持ち株会社
・四
分社化体制
の
経営形態
を再編するなど、
郵政事業
の抜本的な
見直し
を行ってまいります。
地域
のことは、その
地域
に住む
住民
が
責任
を持って決める。この
地域主権
の
実現
は、単なる
制度
の
改革
ではありません。 今日の中央集権的な体質は、明治の富国強兵の国是の下に導入され、
戦時体制
の中で盤石に強化され、戦後の復興と
高度成長期
において因習化されたものです。
地域主権
の
実現
は、この
中央政府
と
関連公的法人
の
ピラミッド体系
を、自律的でフラットな
地域主権
型の構造に変革する、国の形の一大
改革
であり、
鳩山内閣
の
改革
の一丁目一番地であります。 今後、
地域主権戦略
の
工程表
に従い、
政治主導
で集中的かつ迅速に
改革
を進めます。その第一弾として、
地方
に対する不必要な義務付けや
枠付け
を
地方分権改革推進計画
に沿って一切廃止するとともに、
道路
や
河川等
の
維持管理費
に係る
直轄事業負担金制度
を廃止します。また、国と
地方
の関係を
上下関係
ではなく対等なものとするため、国と
地方
との協議の場を新たな法律によって設置をいたします。
地域主権
を支える財源についても、今後、
ひも付き補助金
の
一括交付金化
、
出先機関
の抜本的な
改革
などを含めた
地域主権戦略大綱
を策定いたします。 あわせて、緑の
分権改革
を推進するとともに、
情報通信技術
の徹底的な
利活用
によって
コンクリート
の道から光の道へと
発想転換
を図り、新しい時代にふさわしい
地域
の
きずな
の再生や
成長
の
基盤づくり
に取り組んでまいります。本年を
地域主権革命元年
とすべく、
内閣
の総力を挙げて
改革
を断行してまいります。 当面の
経済財政運営
の
最大
の
課題
は、
日本経済
を確かな
回復軌道
に乗せることです。決して景気の二番底には陥らせないとの決意の下、この度成立をした
事業規模
で約二十四兆円となる第二次
補正予算
とともに、当初
予算
としては過去
最大規模
となる
平成
二十二年度
予算
を編成いたしました。この二つの
予算
により、切れ目ない
景気対策
を実行するとともに、特にデフレの克服に向け、
日本
銀行と一体となって、より強力かつ総合的な
経済政策
を進めてまいります。
財政
の規律も
政治
が果たすべき重要な
責任
です。今回の
予算
においては、
目標
としていた
新規国債発行額
約四十四兆円以下という水準をおおむね達成することができました。
政権政策
を実行するために必要な約三兆円の財源も、
事業仕分
を反映した
既存予算
の削減や
公益法人
の
基金返納
などにより捻出できました。さらに将来を見据え、本年前半には、
複数年度
を視野に入れた
中期財政フレーム
を策定するとともに、中長期的な
財政規律
の
在り方
を含む
財政運営戦略
を策定し、
財政健全化
に向けた長く大きな道筋をお示しをいたします。 以上のような
政策
を実行するのが
政治
であり、
行政
です。
政府
が旧態依然たる分配型の
政治
を行う限り、
ガンジー師
の言う
理念
なき
政治
のままです。新たな
国づくり
に向け、
責任
ある
政治
を実践していかなければなりません。
事業仕分
や
子育て支援
の
在り方
については、御家庭や職場でも大きな話題となり、様々な
議論
がなされたことだと思います。私
たち
は、これまで
財務省主計局
の一室で
官僚たち
の手によって行われてきた
予算編成過程
の
議論
を、民間の第一線の
専門家
の参加を得て、
事業仕分
という公開の場で行いました。上から目線の発想で、つい身内をかばいがちだった従来型の
予算編成
を、
国民
の主体的な参加と
監視
の下で抜本的に変更できたのも、ひとえに
政権交代
のたまものであります。 戦後
行政
の大掃除は、しかし、まだ始まったばかりです。 今後も、様々な規制や
制度
の
在り方
を抜本的に
見直し
、
独立行政法人
や
公益法人
が本当に必要なのか、中抜きの構造で
無駄遣い
の温床となっていないか、
監視
が行き届かないまま垂れ流されてきた
特別会計
の
整理統合
も含め、
事業仕分
第二弾を実施いたします。これらすべてを聖域なく、
国民視線
で検証し、
一般会計
と
特別会計
を合わせた総
予算
を全面的に組み替えてまいります。
行政刷新会議
は法定化し、より強固な権限と
組織
によって
改革
を断行していきます。 同時に、
行政組織
や
国家公務員
の
在り方
を
見直し
、その意識を変えていくことも不可欠です。 省庁の
縦割り
を排し、
国家
的な視点から
予算
や税制の骨格などを編成する
国家戦略局
を設置するほか、
幹部人事
の
内閣
一元管理を
実現
するために
内閣人事局
を設置し、
官邸主導
で適材適所の人材を登用します。 こうした
改革
を断行するため、
政府
と与党が密接な連携と
役割分担
の下、
政府部内
における
国会議員
の占める職を
充実
強化するための
関連法案
を今
国会
に提出いたします。 さらに、今後、
国民
の視点に立って、いかなる
府省編成
が望ましいのか、その設置の
在り方
も含め、本年夏以降、私
自身
が主導して、抜本的な
見直し
に着手します。 税金の
無駄遣い
の
最大
の要因である
天下りあっせん
を根絶することはもちろん、
裏下り
とやゆされる事実上の
天下りあっせん慣行
にも
監視
の目を光らせて
国民
の疑念を解消します。同時に、
国家公務員
の
労働基本権
の
在り方
や、定年まで勤務できる
環境
の整備、
給与体系
を含めた
人件費
の
見直し
など、新たな
国家公務員制度改革
にも速やかに着手します。 こうした
改革
を行う上で、まず
国会議員
が自ら範を垂れる必要があります。
国会
における
議員定数
や歳費の
在り方
について、会派を超えて積極的な
見直し
の
議論
が行われることを強く期待します。
政治資金
の問題については、私
自身
の問題に関して、
国民
の
皆さん
に多大の御迷惑と御心配をお掛けしたことをここに改めておわびを申し上げます。御批判を真摯に受け止め、今後、
政治資金
の
在り方
が
国民
の
皆様
から見てより透明で信頼できるものとなるよう、
企業
・
団体献金
の取扱いを含め、開かれた
議論
を行ってまいります。
日本
は四方を豊かな実りの海に囲まれた
海洋国家
です。 古来より、
日本
は、大陸や朝鮮半島からこの海を渡った
人々
を通じて多様な
文化
や
技術
を吸収し、独自の
文化
と融合させて豊かな
文化
をはぐくんできました。漢字と仮名、公家と武家、神道と仏教、あるいは江戸と上方、東国の
金貨制
と西国の
銀貨制
といった複合的な
伝統
と慣習、
経済社会制度
を併存させてきたことは
日本
の
文化
の
一つ
の特徴です。近
現代
の
日本
も
和魂洋才
という
言葉
のとおり、東洋と西洋の
文化
を融合させ、
欧米先進国
への
キャッチアップ
を
実現
してまいりました。こうした
文化
の共存と融合こそが新たな
価値
を生み出す源泉であり、それを可能にする柔軟性こそが
日本
の強さであります。自然
環境
との共生の思想や、木石にも魂が宿るといった
伝統
的な
価値観
は大切にしつつも、新たな
文化交流
、その根幹となる人的
交流
に積極的に取り組み、架け橋としての
日本
、新しい
価値
や
文化
を生み出し、
世界
に発信する
日本
を目指していこうではありませんか。 昨年の
所信表明演説
で、私は、東
アジア
共同体
構想を提唱いたしました。
アジア
において、数千年にわたる
文化交流
の
歴史
を発展させ、
いのち
を守るための協力を深化させる
いのち
と
文化
の
共同体
を築き上げたい。そのような思いで提案したものです。 この構想の
実現
のためには、様々な分野で国と国との
信頼関係
を積み重ねていくことが必要です。断じて一部の国だけが集まった排他的な
共同体
や他の
地域
と対抗するための
経済
圏にしてはなりません。その意味で、揺るぎない日米同盟は、その重要性に変わりがないどころか、東
アジア
共同体
の形成の前提条件として欠くことができないものであります。北米や欧州との、そして域内の自由な貿易を拡大して急速な発展を遂げてきた東
アジア
地域
です。多角的な自由貿易体制の強化が第一の利益であることを確認しつつ、
地域
の
経済
協力を進める必要があります。初代常任議長を選出し、ますます統合を深化させる欧州連合とは、開かれた
共同体
の
在り方
を共に追求していきたいと思います。 東
アジア
共同体
の
実現
に向けての
具体策
として、特に強調したいのは、
いのち
を守るための協力、そして
文化
面での協力であります。 地震、台風、津波などの自然災害は、
アジア
の
人々
が直面している
最大
の脅威の
一つ
です。過去の教訓を正しく伝え、次の災害に備える防災
文化
を
日本
は培ってきました。これを
アジア
全域に普及させるため、
日本
の経験や知識を活用した人材育成に力を入れてまいります。
感染症
や疾病から
いのち
を守るためには機敏な対応と協力がかぎとなります。新型インフルエンザを始めとする様々な情報を各国が共有し、協力しながら対応できる体制を構築していきます。また、人道
支援
のため米国が中心となって実施しているパシフィック・パートナーシップに、今年から海上自衛隊の輸送艦を派遣し、太平洋・東南
アジア
地域
における
医療
支援
や人材
交流
に
貢献
してまいります。 昨年の十二月、私はインドネシアとインドを訪問してまいりました。 いずれの国でも
国民
間での
文化交流
事業を
活性化
させ、特に次世代を担う若者が国境を越えて
教育
、
文化
、ボランティアなどの面で
交流
を深めることに極めて大きな期待がありました。この期待にこたえるために、今後五年間に
アジア
各国を中心に十万人を超える青少年を
日本
に招くなど、
アジア
における人的
交流
を大幅に拡充するとともに、域内の各国言語・
文化
の
専門家
を相互に飛躍的に増加させることにより東
アジア
共同体
の中核を担える人材を育成してまいります。 APECの枠組みも、今年の議長として
充実
強化に努めてまいります。
経済
発展を基盤として、
文化
、
社会
の面でもお互いを尊重できる関係を築いていくため、新たな
成長戦略
の策定に向けて積極的な
議論
を導きます。 今年、日米安保条約の改定から五十年の節目を迎えました。この間、
世界
は、冷戦による東西の対立とその終えん、テロや
地域
紛争といった新たな脅威の顕在化など、大きく変化しました。激動の半世紀にあって、日米安保体制は質的には変化を遂げつつも、
我が国
の国防のみならず、
アジア
そして
世界
の平和と繁栄にとって欠くことのできない存在でありました。今後もその重要性が変わることはありません。 私とオバマ大統領は、日米安保条約改定五十周年を機に、日米同盟を二十一世紀にふさわしい形で深化させることを表明いたしました。今後、これまでの日米同盟の成果や
課題
を率直に語り合うとともに、幅広い協力を進め、重層的な同盟関係へと深化、発展させていきたいと思います。
我が国
が提出し、昨年十二月の国連総会において採択された核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意には、米国が初めて共同提案国として名を連ねました。本年は核セキュリティーサミットや核拡散防止条約運用検討
会議
が相次いで開催されます。核のない
世界
の
実現
に向け、日米が協調して取り組む意義は極めて大きいと考えます。 普天間基地移設問題については、米国との同盟関係を基軸にして、
我が国
そして
アジア
の平和を確保しながら、沖縄に暮らす
方々
の長年にわたる大変な御
負担
を少しでも軽くしていくためにどのような解決策が最善か、沖縄基地問題検討委員会で精力的に
議論
し、
政府
として本年五月末までに具体的な移設先を決定することといたします。 気候変動の問題については、
地球環境
問題と
エネルギー
安全保障とを一体的に解決するための
技術
協力や共同実証実験、研究者
交流
を日米で行うことを合意しています。
活動
の成果は当然
世界
に及びます。この分野の同盟を、そして日米同盟全体を、両国のみならず
アジア
太平洋
地域
、さらには
世界
の平和と繁栄に資するものとして更に発展させてまいります。
アジア
太平洋
地域
における
信頼関係
の輪を広げるため、日中間の戦略的互恵関係をより
充実
させてまいります。 日韓関係の、世紀をまたいだ大きな節目の今年、過去の負の
歴史
に目を背けることなく、これからの百年を見据え、真に
未来
志向の
友好関係
を強化してまいります。 ロシアとは、北方領土問題を解決すべく取り組むとともに、
アジア
太平洋
地域
におけるパートナーとして協力を強化してまいります。 北朝鮮の拉致、核、ミサイルといった諸問題を包括的に解決した上で、不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を
実現
する。これは、
アジア
太平洋
地域
の平和と安定のためにも重要な
課題
です。具体的な行動を北朝鮮から引き出すべく、六者会合を始め関係国と一層緊密に連携してまいります。拉致問題については、新たに設置した拉致問題対策本部の下、すべての拉致被害者の一日も早い帰国を
実現
すべく、
政府
の総力を挙げて
最大
限の努力を尽くしてまいります。 アフリカを始めとする発展途上国で飢餓や貧困にあえぐ
人々
、イラクやアフガニスタンで故郷に戻れない
生活
を余儀なくされる難民の
人々
、国際的テロで犠牲になった
人々
、自然災害で住む家を失った
人々
、こうした
人々
の
いのち
を救うために、
日本
に何ができるのか、そして何が求められているのか。今回の
ハイチ地震
の惨禍に対し、
我が国
は、国連ハイチ安定化ミッションへの自衛隊の派遣と約七千万ドルに上る緊急・復興
支援
を表明しました。
国際社会
の声なき声にも耳を澄まし、国連を始めとする国際機関や
主要国
と密接に連携し、困難の克服と復興を
支援
してまいります。
いのち
を守りたい。 私の友愛
政治
の中核を成す
理念
として、政権を担ってから、片時も忘れることなく思い、ますます強くしている決意です。 今月十七日、私は、阪神・淡路大震災の追悼式典に参列いたしました。十五年前の同じ日にこの
地域
を襲った地震は、尊い
いのち
、平穏な
暮らし
、美しい街並みを一瞬のうちに奪いました。 式典で、十六歳の息子さんを亡くされたお父様のお話を伺いました。 地震で、家が倒壊し、二階に寝ていた息子が瓦礫の下敷きになった。積み重なった瓦礫の下から、息子の足だけが見えていて、助けてくれというように、ベッドの横板をとん、とん、とんと叩く音がする。何度も何度も助け出そうと両足を引っ張るが、瓦礫の重さに動かせない。やがて、三十分ほどすると、音が聞こえなくなり、次第に足も冷たくなっていくわが子をどうすることもできなかった。「ごめんな。助けてやれなかったな。痛かったやろ、苦しかったやろな。ほんまにごめんな。」これが現実なのか、夢なのか、時間が止まりました。身体中の涙を全部流すかのように、毎日涙し、どこにも持って行きようのない怒りに、まるで胃液が身体を溶かしていくかのような、苦しい毎日が続きました。 息子さんが目の前で息絶えていくのをただ見ていることしかできない無念さや悲しみ、人の親なら、いや、
人間
ならだれでも分かります。災害列島と言われる
日本
の安全を確保する
責任
を負う者として、防災、そして少しでも被害を減らしていく減災に万全を期さねばならないと改めて痛感しました。 今、神戸の街には、あの悲しみ、苦しみを懸命に乗り越えて取り戻した活気があふれています。大惨事を克服するための
活動
は地震の直後から始められました。警察、消防、自衛隊による救助・救援
活動
に加え、家族や隣人と励まし合い、困難な避難
生活
を送りながら復興に取り組む
住民
の姿がありました。全国から多くのボランティアがリュックサックを背負って駆け付けました。復興に向けた機材や義援金が寄せられました。慈善のための
文化活動
が
人々
を勇気付けました。混乱した状況にあっても、略奪行為といったものはほとんどなかったと伺います。みんなで力を合わせ、人のため、
社会
のために努力したのです。 あの十五年前の不幸な震災が、しかし、
日本
の新しい
公共
の出発点だったかもしれません。 今、災害の中心地であった長田の街の一画には、
地域
のNPO法人の尽力で建てられた鉄人28号のモニュメントがその雄姿を見せ、観光名所、集客の拠点にさえなっています。
いのち
を守るための新しい
公共
は、この国だからこそ、
世界
に向けて誇りを持って発信できる。私はそう確信しています。 人の
いのち
を守る
政治
、この
理念
を実行に移すときです。
子供たち
に幸福な
社会
を、
未来
にかけがえのない
地球
を引き継いでいかねばなりません。
国民
の
皆様
、議員の
皆さん
、輝く
日本
を取り戻すため、共に努力してまいりましょう。 この
平成
二十二年を、
日本
の再出発の年にしていこうではありませんか。(拍手) ─────────────
江田五月
3
○
議長
(
江田五月
君) 岡田
外務大臣
。 〔
国務大臣
岡田克也君登壇、拍手〕
岡田克也
4
○
国務大臣
(岡田克也君) 第百七十四
国会
の開会に当たり、外交の
基本方針
について所信を申し述べます。 まず冒頭、さきにハイチで発生した地震において犠牲となった
方々
に心から哀悼の意を表するとともに、被災者の
方々
にお見舞いを申し上げます。
我が国
としては、これまでに国際緊急援助隊による
医療
活動
などの緊急
支援
を行っているほか、総額約七千万ドルに及ぶ緊急・復興
支援
や国連平和
維持
活動
、PKOへの
参加
意思も表明したところです。今後とも震災国としての経験と
技術
を生かし、ハイチの復旧復興に積極的に
貢献
してまいります。
国際社会
は、米国のオバマ大統領の登場を
一つ
のきっかけに、新たな協調の
時代
を迎えています。
日本
の平和と豊かさは、
世界
の平和と繁栄、そして、それを
実現
するための国際協調の中でこそ
実現
が可能です。 現実の
国際社会
の中で、私
たち
は様々な
課題
に直面しています。その解決に向けて、私
たち
は内向きになることなく、常に視野を
世界
に広げ、なすべきことをなし、自ら率先して国を開いていくことが必要です。
日本
が積極的に行動し、構想を示すこと、それによって
世界
の期待にこたえることが求められています。 昨年九月、私は
外務大臣
に就任するに当たり、
政権交代
という変化を大きな機会ととらえ、
国民
の理解と信頼に基づく外交を
実現
していきたいと強調しました。このため私は、
一つ
一つ
の外交案件への対応に当たり、第一に現場を知ること、第二に常に原点に立ち返り
検討
すること、第三に分かりやすい
言葉
で
国民
の
皆さん
に伝えることという三つの原則を特に重んじてきました。 私は、さきの総選挙を戦い、全国を回る中で、新しい
政治
に対する
国民
の
皆さん
の強い期待を実感しました。今後とも全力で新しい外交に取り組む決意です。 以上申し上げた上で、本年、
日本
外交が取り組むべき
課題
として、第一に各国、
地域
との
関係
の強化、そして、第二に
地球
規模
の
課題
への取組、それぞれに対する
基本
的な考え方について
国民
の
皆様
に御説明します。 日米同盟は、
日本
外交の基軸であり、
日本
自身
の安全の基礎であり、
アジア
太平洋
地域
の
公共
財として、その平和と繁栄に大きく寄与しています。本年は、現行日米安保条約締結五十周年に当たります。私は、今月十二日にハワイで行ったクリントン国務長官との会談で、同盟
関係
を更に深化させていくための協議プロセスを開始することで合意しました。今後三十年から五十年先を見据えて、日米同盟が
日本
の安全、そして
アジア
太平洋と
地球
規模
の平和と繁栄のために果たす
役割
を日米両国で再確認する一年にしたいと考えています。その際、在日米軍が
日本
の安全を確保する抑止力として重要な
役割
を果たしていることについて
国民
の
皆さん
に率直に語り、その御理解を深めてまいりたいと思います。 普天間飛行場の移設については、日米合意の重みを十分認識した上で、米軍基地が果たしている
役割
、沖縄の
負担
軽減などの諸点を十分に勘案し、五月末までに
政府
として具体的な移設先を決定します。その上で、日米地位協定や在日米軍駐留経費
負担
の問題についても取り組んでいきます。 さきのクリントン国務長官との会談では、北朝鮮、ミャンマーといった
アジア
太平洋
地域
情勢のほか、アフガニスタン、イラン、核軍縮・不拡散といったグローバルな
課題
についても両国の協力を話し合いました。今後とも、このような幅広い問題について
連携
し、日米同盟を深化させてまいります。
アジア
太平洋
地域
における外交を積極的に
推進
し、この
地域
と一体で共に
成長
し、繁栄していくことを目指します。
日本
が有する
資金
、
技術
、知恵を活用し、
世界
の
成長
センターである
アジア
の発展を促し、その活力と
需要
を
日本
の
成長
につなげていきます。
基本
的
価値
を共有する隣国である韓国とは、
歴史
を直視した上で成熟したパートナーとしての
未来
志向の
関係
を強化してまいります。また、日韓
経済
連携
協定、EPA交渉の早期再開を目指します。 中国とは、戦略的互恵
関係
の内容を
充実
、具体化させるとともに、東シナ海における
資源
開発や食の安全などの両国間の懸案に取り組みます。国際的な地位を高める中国が、
地域
と
国際社会
においてより一層の透明性を持って
責任
ある
役割
を果たすことを期待します。 東南
アジア諸国
連合、ASEAN諸国との間では、統合に向けた域内の
連携
強化や格差是正を積極的に
支援
すると同時に、ASEAN
議長国
であるベトナムや、民主主義の普及など国際的な
課題
に積極的に取り組んでいるインドネシアなどとの二国間
関係
を強化してまいります。特にメコン
地域
とは、昨年十一月の首脳
会議
の成果を着実にフォローアップし、協力
関係
を深化させてまいります。ミャンマーにおいて開かれた公正な選挙が実施され、民主化プロセスが進むよう、同国との対話を強化してまいります。 オーストラリアは、
アジア
太平洋
地域
の戦略的パートナーであり、安全保障や
経済
関係
を始めとする様々な
分野
における
関係
を深化させてまいります。 インドとは、昨年末の鳩山総理の訪問の成果も踏まえ、安全保障や
経済
を始め幅広い
分野
で
連携
し、両国間の戦略的グローバルパートナーシップを発展させてまいります。 私
たち
の政権は、東
アジア
共同体
構想という長期的なビジョンを掲げています。具体的には、貿易・投資、金融、
環境
、
エネルギー
、開発、災害救援、
教育
、人の
交流
、
感染症
などの
分野
で開放的で透明性の高い
地域
協力を
推進
してまいります。 本年、
日本
は
アジア
太平洋
経済
協力
会議
、APECの
議長
を務めます。来年の
議長
である米国とも緊密に
連携
し、
アジア
太平洋
地域
の更なる繁栄に向け、新しい
時代
にふさわしいAPECを構想してまいります。 ロシアとの
関係
では、昨年末の私のロシア訪問も踏まえ、
政治
と
経済
を車の両輪のように前進させつつ、北方領土問題を最終的に解決して平和条約を締結するため、精力的に取り組みます。
アジア
太平洋
地域
におけるパートナーとして、新しい日ロ
関係
を構築してまいりたいと考えます。 北朝鮮については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、日朝平壌宣言に基づき不幸な過去を清算して、国交正常化を図る方針です。六者
会合
の早期再開と北朝鮮の核放棄に向けて
関係
国と緊密に
連携
しつつ、同時に、国連安全保障理事会決議に基づく措置や
日本
独自の措置を着実に実行してまいります。
日本
が主導して採択された国連安保理決議第一八七四号において求められる貨物検査を的確に実施できるよう、
政府
として
関連法案
の早期成立を期します。
基本
的
価値
を共有する欧州は、グローバルな
課題
への対応や、
政治
、
経済
いずれにおいても
日本
にとって重要なパートナーです。統合を深める欧州連合、EUや欧州各国との
連携
を深めるべく、外相間でも緊密に
連携
してまいります。
経済成長
を背景に中南米で
発言
力を増すブラジルやメキシコ、中東、中央
アジア
と
歴史
的、地理的
関係
の深いトルコなど、新興
経済
国との
連携
を強化します。 アフガニスタンとパキスタンの安定は、
国際社会
全体にとって最重要
課題
の
一つ
であり、私も自ら現地を訪問するなど、力を入れて取り組んでまいりました。アフガニスタンについては、今後とも
国際社会
と
連携
しつつ、アフガニスタン
自身
の治安
能力
の向上、元タリバーン兵士の再統合、同国の持続的、
自立
的発展のための
支援
を柱として、おおむね五年間で
最大
約五十億ドル程度までの
規模
の
支援
を行います。同時に、カルザイ大統領の新政権に対し、ガバナンスの向上及び汚職対策を強く求めてまいります。パキスタンについては、昨年の
支援
国会
合で約束した
最大
十億ドルの
支援
を迅速に実施してまいります。 イランについては、主要
関係
国と緊密に
連携
し、同国の原子力開発が平和目的に限定されるよう、核問題の外交的解決に努力してまいります。中東和平については、包括的和平が早期に
実現
するよう、和平交渉のための国際的努力を支持し、パレスチナ
支援
を含めて取り組んでまいります。
世界経済
危機
や気候変動はアフリカの
人々
に大きな影響をもたらしています。貧困やエイズ、結核、マラリアなどに苦しむアフリカの
人々
への
支援
は重要です。第四回アフリカ開発
会議
、TICADⅣの公約であるアフリカ向けODA倍増の
実現
に向け、必要な事業を着実に進め、アフリカの開発と
成長
を後押しすると同時に、貿易・投資の
分野
での協力を広げてまいります。 続いて、
地球
規模
の
課題
に対する積極的なリーダーシップの発揮について御説明します。 オバマ米国大統領のプラハ
演説
は、核軍縮に向けて
世界
の流れを大きく変えました。
日本
は、この流れをより確実なものにするために意味ある
役割
を果たさなければなりません。 本年は、核セキュリティーサミットや核不拡散条約、NPT運用
検討
会議
が予定され、核兵器のない
世界
に向けて重要な一年となります。米ロ両国による新たな核軍縮条約の早期締結を強く期待します。NPT運用
検討
会議
では、核軍縮、核不拡散、原子力の平和的利用それぞれの
分野
において前向きな合意を達成できるようリーダーシップを発揮します。 私は、核兵器のない
世界
を
実現
するための
第一歩
となる具体的な手段として、核兵器を持たない国に対する核兵器の使用を禁止すること、そして、核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定することといった考え方に注目しています。これらの点を含め、オーストラリアや米国など
関係
国とも
議論
を深めてまいります。 気候変動問題は
人類
にとっての
危機
であり、その解決は次の世代への
責任
です。昨年末の国連気候変動枠組条約第十五回締約
国会
議、COP15の結果は、主要排出国の国際的関与を得るなど一定の前進はありました。今後、これを踏まえ、COP16において公平かつ実効的な
国際的枠組み
を構築する新たな法的文書を採択するべく、米国、EU、国連などとも
連携
しながら、国際交渉を主導してまいります。鳩山イニシアティブに基づき、排出削減などの気候変動対策に取り組む途上国や気候変動の悪影響に対し脆弱な途上国に対する
支援
を行ってまいります。気候変動問題の解決に向けて、まさに
日本
の外交力が問われています。
世界経済
はいまだ回復の途上にあります。保護主義の台頭を防ぎつつ、
世界経済
の回復と持続的
成長
を確かなものとするため、他の主要
経済
国と
連携
して取り組んでまいります。
世界
貿易機関、WTOドーハ・ラウンド交渉や、インド、EUなどとのEPA交渉を
政治主導
で加速化します。
グローバル化
が進む
国際社会
においては、飢餓や病気に苦しみ、
人間
としての尊厳を保てないような苦しい
生活
を営んでいる人が数多く存在しているという厳しい現実があります。同じ
人間
としての共感を持って、
人間
の安全保障の
実現
に向け、途上国の人づくり、
国づくり
を
支援
してまいります。極度の貧困と飢餓の撲滅、初等
教育
の完全普及、ジェンダーの平等の
推進
、乳幼児の死亡率削減、妊産婦の健康の改善、HIV、エイズやマラリアなどの蔓延防止などのミレニアム開発
目標
の達成に向けて、国際機関や非
政府
組織
、NGOとも
連携
しながら取り組んでまいります。 同時に、現在の開発援助について
国民
の共感が十分には得られていないとの認識の下、
政府
開発援助、ODAの
在り方
について本年夏までをめどに
基本
的な
見直し
を行います。それによって、
国民
の理解と支持の下、ODAをより戦略的かつ効果的に実施してまいります。
海洋国家
、貿易
国家
である
日本
にとって、海上航行の安全確保は極めて重要な
課題
です。自衛隊による海賊対処行動やソマリア及びその周辺国への
支援
は、
日本
国民
の生命及び財産の保護、海上輸送の安全確保の観点から重要な
役割
を果たしており、この
活動
を継続してまいります。 テロリズムは
我が国
国民
やその
経済活動
にとって脅威であり、その原因の
一つ
となっている貧困の問題や
国家
の再建
支援
に力を入れてまいります。イエメン、ソマリア、スーダンなどの平和と安定に
貢献
します。 国連平和
維持
活動
については、カンボジアや東ティモールなどでのすばらしい実績があるものの、最近の
日本
の
貢献
は十分な
水準
であるとは言えません。平和の
維持
及び構築に向け、より積極的な
役割
を果たすべく、冒頭述べましたハイチのミッションに加えて、更なる
貢献
について
検討
してまいります。
世界
は多極化しており、その中で、国際的な合意形成のメカニズムの再構築が必要です。
日本
として、これに積極的に関与します。 新興
経済
国を含む主要
経済
国から成るG20の存在感が高まっている一方で、G8も自由と民主主義という
基本
的
価値
を共有する主要先進国の集まりとして引き続き重要な
役割
を果たしています。これらの枠組みでの
議論
を通じ、
世界経済
やグローバルな問題について国際協調をリードします。
日本
は国連を重視し、積極的に活用し、その実効性と効率性を高めることに
貢献
してまいります。そのためにも、
日本
の常任理事国入りを含む安全保障理事会
改革
の早期
実現
に取り組みます。国際機関における邦人職員を増強し、人的
貢献
を高めます。 私は就任以来、
国民
の理解と信頼に支えられた外交の必要性を強調してまいりました。
国民
の理解と信頼があって初めて、外交は力強さを備えることができるのです。 私が
外務大臣
就任直後に、密約をめぐる問題について調査を命じたのもこのためです。外務省内の調査は既に終了し、現在、外部有識者による検証を行っています。なるべく早くその事実
関係
を明確にした上で、外交文書の公開ルールの
改革
も含め、
国民
の
皆さん
に御説明したいと考えています。 納税者の
視点
も重要です。このため、外務省所管の
独立行政法人
や
公益法人
の
改革
に取り組むとともに、
独立行政法人
評価委員会や外務人事審議会などの第三者機関が本来の
役割
を果たすことができるよう、その
在り方
を
検討
します。 このような自己
改革
の努力を行うことによって、
国民
の理解と信頼を得た上で、今まで述べてきた様々な
課題
に正面から取り組み、積極的な外交を展開してまいります。 私は、
日本
の総合的な外交力を高めたいと考えています。そのために、外交官が使命感を持って行動できるよう、外交実施体制を強化します。また、外交は
政府
だけで行うものではありません。COP15では、
政府
代表団にNGOのメンバーが加わりました。私は、広い意味での外交を
実現
するに当たり、NGO、
地方
自治体、
民間
企業
・団体、
文化交流
に携わる
人々
の
役割
に大きく期待をしています。
世界
の
人々
の平和で豊かな
生活
の
実現
のために、そして
日本
国民
が平和で豊かな
生活
を実感できるために、
国民
の理解と信頼に支えられた力強い外交が必要です。私は、国際協調の
時代
にあって、
人々
が希望を感じることができる
日本
外交を、
日本
国外務省の総力を挙げて展開していく決意です。 議員各位、そして
国民
の
皆さん
の御
支援
と御協力をお願いします。(拍手) ─────────────
江田五月
5
○
議長
(
江田五月
君) 菅
財務大臣
。 〔
国務大臣
菅直人君登壇、拍手〕
菅直人
6
○
国務大臣
(菅直人君)
平成
二十二年度
予算
の御審議に当たり、
財政
政策
等の
基本
的な考え方について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要を御説明申し上げます。 去る総選挙において
国民
の
皆様
から大いなる御支持を賜り、
鳩山内閣
が成立してから四か月が
たち
ました。今ここに新政権として最初の本
予算
を提出するに至りましたことに対し、御協力を賜りました
皆様
方に感謝の意を表すものであります。
我が国
が直面している状況は、経験したことのない困難なものであります。しかしながら、
国民
の
英知
を結集し、
政治
がリーダーシップを取ることで必ずや道は開けるものと確信しております。こうした認識の下、今後の
財政
政策
の運営に当たっては、以下に申し述べる
基本
的な考え方に立ち、
国民
生活
に安心と活力をもたらすべく取り組んでまいります。
我が国
経済
社会
は、欧米発の
金融危機
を端緒として
世界
的に
経済
構造
が変化しつつある中、人口減少と超高齢化の同時進行や
地球
温暖化といった長期的な取組を要する
課題
にも対応を迫られております。この難局を打開するためには、旧来型の
資源
配分を転換し、
経済
社会
の
構造
を変えることにより、新たな
経済成長
の機会を見出すことが不可欠です。 私は、これからの
経済成長
は、
公共
事業に頼るものでも行き過ぎた市場原理主義に訴えるものでもなく、知恵を使って新たな
雇用
、
需要
を生み出すという第三の道を進むべきであると考えます。こうした考え方に立ち、
政府
は、
平成
二十二年度
予算
について
資源
配分を大胆に
見直し
、
予算
の全面的な組替えを行いました。あわせて、昨年末、「新
成長戦略
(
基本方針
)」を決定したところであり、
政治
のリーダーシップの下、
資源
配分の選択と集中を進めてまいります。 健全な
財政
は、安定した
経済成長
を支えるために欠くことはできません。
我が国
財政
は、リーマン・ブラザーズ経営破綻後の
世界
的な
景気
後退を受けて税収が大きく減少する中、国、
地方
を合わせた長期債務残高が
平成
二十二年度末には八百六十二兆円に達すると見込まれるなど、極めて厳しい状況にあります。そうした中にあって、
財政規律
を
維持
し、
財政
に対する信認を確保することは、
社会
保障を始めとする
セーフティーネット
の
維持
、強化の裏打ちとなることを通じて将来に対する
国民
の安心につながるものであり、活力ある
経済
社会
の
基盤
となるものであります。 私は、
経済成長
との両立を図りつつ、
財政健全化
に取り組んでまいります。そのため、まず、
財政
の中身を転換いたします。選択と集中の考え方により、歳出全体を必要性の高い
分野
に重点的に配分いたします。同時に、
国民
の
皆様
が歳出の意義を自ら御判断いただけるよう、
予算
の執行を可能な限り公開するとともに、
予算
執行に係るチェック機能を更に強化いたします。
特別会計
や
独立行政法人
の事務事業等について、必要性、有効性、効率性の観点から、
財政
に対する
国民
の信頼向上のために
基本
に立ち返った
検討
を行うなど、更なる
見直し
にも取り組みます。 あわせて、
国家
戦略担当大臣を中心に、本年前半には、
複数年度
を視野に入れた
中期財政フレーム
を作成するとともに、中長期的な
財政規律
の
在り方
を含む
財政運営戦略
を策定し、
財政健全化
への道筋を示すこととしております。 現下の厳しい
経済
情勢の下、
景気
回復を確実なものにするため、
政府
は、
平成
二十一年度第二次
補正予算
と、これから御説明申し上げる
平成
二十二年度
予算
とを一体として切れ目なく執行してまいります。あわせて、デフレの克服に向けて、
日本
銀行と一体となり、強力かつ総合的な取組を行ってまいります。 以上の
基本
的な考え方を踏まえ編成した
平成
二十二年度
予算
は、
国民
生活
が第一、
コンクリート
から人への
理念
の下、
国民
生活
に安心と活力をもたらす施策を
充実
させた
いのち
を守るための
予算
であります。家計を直接応援し、
国民
の
生活
を守るため、マニフェストの
工程表
に掲げられた主要事項である
子ども手当
、
農業
の戸別所得補償、高校の
実質無償化
等の施策を実施することとしております。 一方、こうした新規施策を
実現
するに当たっては、
行政刷新会議
における
事業仕分
等を通じた
予算
の全面的な組替えや
公益法人
等の基金の返納等による歳入確保を図っており、国債増発に依存することなく、必要な
財源
を確保しております。 一般歳出は五十三兆四千五百四十二億円であります。前年度当初
予算
に比べ一兆七千二百三十三億円の増となっております。
地方
財政
については、国税及び
地方
税の税収の落ち込みに対し適切な補てん措置を講じております。その際、
地方
における歳出
改革
を継続しつつ、
地方
公共
団体が
雇用
情勢等を踏まえた当面の
地域
活性化
に向けた施策等を円滑に実施できるよう、
地方交付税
を一兆四千八百五十億円加算しております。この結果、
地方交付税
交付金等について、前年度当初
予算
と比べ九千四十四億円増加し、過去最高の
水準
の十七兆四千七百七十七億円となっており、
地方
に
最大
限配慮しております。これらに国債費二十兆六千四百九十一億円等を合わせた
一般会計
総額は、前年度当初
予算
と比べ三兆七千五百十二億円増加の九十二兆二千九百九十二億円としております。 一方、歳入については、租税等の収入は、現下の
経済
状況を踏まえ、前年度当初
予算
と比べ、八兆七千七十億円減少の三十七兆三千九百六十億円を見込んでおります。その他の収入は、特例的な
財政
投融資
特別会計
財政
融資
資金
勘定からの受入れ四兆七千五百四十一億円及び外国為替
資金
特別会計
からの受入れ二兆八千五百七億円を含め、十兆六千二億円を見込んでおります。 以上のように、税収が大幅に減少する中、歳出歳入両面において
最大
限の努力を行った結果、
新規国債発行額
については四十四兆三千三十億円となっております。 主要な経費について申し述べます。
社会
保障
関係
費については、
子ども手当
の支給や、
医療
、
介護
の
再生
等の
実現
を図ります。
診療報酬
本体については十年
ぶり
の大幅プラス改定を
実現
するとともに、
地域
の中核的な病院に重点化し、
救急
、産科、
小児科
、外科等の
充実
を図るため、従来以上に
診療報酬
の配分を大幅に
見直し
ます。また、肝炎対策の
充実
、障害者の
利用者
負担
の軽減、
生活
保護の母子加算の継続、児童扶養手当の父子家庭への支給
拡大
等を行うこととしております。この結果、
社会
保障
関係
費は、前年度当初
予算
と比べて約一割増となり、一般歳出に占める割合は五割を超えることとなっております。 文教及び
科学
振興費については、高校の
実質無償化
を
実現
するなど、
教育
の振興を図るとともに、
科学
技術
分野
については、基礎研究や最先端研究の
支援
等の重点化を行っております。 防衛
関係
費については、弾道ミサイル攻撃への対応など各種事態への対応
能力
の確保等を図る一方、コスト縮減への取組など経費の合理化、効率化を行っております。
公共
事業
関係
費については、
コンクリート
から人への
理念
を踏まえ、大
規模
な
公共
事業について、
国民
にとって本当に必要なものかどうか根本から見直すとともに、羽田空港等の
国際競争
力の強化のために真に必要な
インフラ整備
や、
国民
生活
の安全、安心の確保に必要な
分野
に重点化するなど、事業の効率性、必要性を踏まえた厳しい優先順位付けを行っております。あわせて、
地方
公共
団体が
地域
のニーズに合った
社会
資本
整備
を行うための新たな交付金を創設いたします。
経済
協力費については、事業の
見直し
を行い、めり張りを強化しつつ、国際的な評価の
対象
となるODA全体の事業量の確保を図っております。
中小企業
対策費については、
中小企業
の
活性化
を図るため、
中小企業
の
資金
調達の円滑化、仕事をつくるための
研究開発
、下請取引の適正化に関する施策等に重点化を行っております。
エネルギー
対策費については、
特別会計
の歳出総額を抑制するとともに、低炭素
社会
実現
のための施策等について重点化を行っております。 農林水産
関係
予算
については、
戸別所得補償制度
のモデル対策に重点配分を実施し、意欲のある農家が水田
農業
を継続することができる
環境
を整え、
我が国
の安定的な
食料
供給体制の構築と水田の有効活用等を図ることとしております。 治安
関係
予算
については、治安関連職員の増員を始め、安全で安心して暮らせる
社会
の
実現
に向けた重点化を行っております。 公務員の
人件費
については、国、
地方
を通じて、定員純減や給与改定による給与の減額等を的確に
予算
に反映することとしており、
国家公務員
の
人件費
については、前年度当初
予算
と比べ千四百億円の減少となる五兆千七百九十五億円としております。 また、
景気対策
に万全を期すため、一兆円の
経済
危機
対応・
地域
活性化
予備費及び限度額一兆円の非特定議決国庫債務
負担
行為を合わせ、二兆円
規模
の
財政
上の措置を講じることとしております。
平成
二十二年度
財政
投融資計画については、現下の
経済
情勢等を踏まえ、
企業
金融
支援
や
地方
公共
団体を中心に必要な
資金
需要
に的確に対応するため、前年度当初計画と比べ一五・七%増となる十八兆三千五百六十九億円としております。 借換債及び財投債を含む国債発行総額については、百六十二兆四千百三十九億円と、昨年度に引き続いて対前年度比増額となりました。国債残高が多額に上る中、
財政規律
を
維持
して、市場の信認を確保するとともに、市場との緊密な対話に基づき、そのニーズ、動向等を踏まえた発行を行うなど、国債
管理
政策
を適切に運営してまいります。
税制
改正について申し述べます。 新政権の下、
税制
については、
政府
と与党に二元化していた従来の
税制
調査会を一元化して、
政治
家をメンバーとする新たな
税制
調査会を
設置
し、まず、
税制
改正プロセスを透明で
国民
に分かりやすいものとしました。 今後、
税制
調査会において、
税制
抜本
改革
実現
に向けての具体的ビジョンについて幅広く
検討
を進め、歳出歳入一体の
改革
が
実現
できるよう取り組んでまいります。その際には、番号
制度
といった府省横断的な
課題
についても、
国家
戦略室と
連携
しつつ
検討
を進めていく方針です。
平成
二十二年度
税制
改正においては、公平、透明、納得の原則の下、
税制
全般にわたる
改革
の
第一歩
を踏み出しました。具体的には、控除から手当へ等の観点からの扶養控除の
見直し
、
国民
の健康の観点を明確にしたたばこ税の税率の引上げ、新しい
公共
を支える市民公益
税制
の
拡充
、暫定税率などの燃料及び車体課税の
見直し
、いわゆる一人オーナー会社課税
制度
の廃止、納税者の
視点
に立った租税特別措置等の
見直し
その他の各般の税目にわたる所要の措置を一体として講じることとしております。 最後に、
世界経済
の回復と発展に向けた取組等について申し述べます。 昨年十一月に開催された二十か国
財務大臣
・中央銀行総裁
会議
においては、
世界経済
と金融
システム
の健全性を回復するための
政策
を継続することに合意する一方、
経済
協力への新しいアプローチを強調するため、強固で持続可能かつ均衡ある
成長
のための枠組みを立ち上げ、各国の
政策
を相互に評価するための新しい協議プロセスを開始したところであります。
我が国
は、自らの
金融危機
の経験も踏まえ、新しい
世界経済
・金融に対応した枠組みづくりの
議論
に積極的に参画するとともに、
景気
回復を確かなものとし、
世界経済
に
貢献
してまいります。 また、
世界経済
が
危機
を乗り越え持続的な発展を遂げるためには、各国が保護主義に陥らず、自由貿易を
推進
していくことが重要です。WTOドーハ・ラウンド交渉の進展に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。 加えて、
成長
著しい
アジア
経済
の活力を適切に取り込むことは、新
成長戦略
の柱の
一つ
であります。引き続き、
アジア諸国
との間の
地域
金融協力の促進やEPAの
推進
等に積極的に取り組んでまいります。 以上、
財政
政策
等の
基本
的な考え方と
平成
二十二年度
予算
の大要について御説明申し上げました。
国民
生活
に安心と活力をもたらすための施策が来年度当初から直ちに実施されるためには、
平成
二十二年度
予算
を今年度内に成立させることが必要不可欠であります。
関係
法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
江田五月
7
○
議長
(
江田五月
君)
菅国務大臣
。 〔
国務大臣
菅直人君登壇、拍手〕
菅直人
8
○
国務大臣
(菅直人君)
経済
財政
政策
を担当する
内閣
府特命大臣として、所信を申し述べます。 我々は、今年を
日本経済
の大きな節目の年にしなければなりません。 翻ってみると、
我が国
の
経済
規模
が自由
世界
で第二位と認識されたのは、昭和四十三年、鳩山総理や私どもの世代がまだ学生だったころであり、当時だれもが誇らしげな気持ちを持ち、伸び行く
日本
に大きな
可能性
を見出したことを覚えております。 そして、約四十年たった今年、
我が国
はGDP第二位の地位を中国に譲る
可能性
もあります。かつての高度
成長
の時期を経て、
少子高齢化
や
グローバル化
の進展など
経済
社会
構造
は大きく変化しました。九〇年代初頭のバブル崩壊以降、
日本経済
は、総じて見れば力強さに欠け、長期の低迷を余儀なくされたこともあり、将来の
成長
に対する悲観的な見方も見受けられます。 しかし、我々はそうした悲観論には立ちません。
日本
は、多くの勤勉な
国民
を有しており、
環境
を始め様々な
分野
で
世界
に
誇り
得る強みを持っています。そうした
潜在力
の発揮を図る
成長戦略
を
推進
することにより、
日本経済
は新たな
成長
を
実現
することができると考えています。 一方、我々は単純な楽観論にもくみしません。これまでの間、多くの
成長戦略
が策定されてきましたが、
我が国
経済
を持続的な
成長
経路に復帰させることはできず、国の債務が積み上がることになりました。
鳩山内閣
においては、政権発足以来、
経済
財政
政策
の大
改革
に取り組んできたところであり、
政治
の強力なリーダーシップの下で、既成概念にとらわれることなく、
課題
の克服に取り組むことによって初めて成果を上げることができるものと確信しています。
経済
の現状については、
景気
は最悪期を脱し、持ち直してきているものの、自律性に乏しく、失業率は高
水準
にあるなど、依然として厳しい状況にあります。また、
景気
実感に近い名目
成長
率のマイナスが続いております。今後は、海外
経済
の改善などを背景に
景気
の持ち直し傾向が続くことが期待されますが、その一方で、
雇用
情勢の一層の悪化や海外
景気
の下振れ懸念、デフレの影響など、
景気
を下押しするリスクが存在しております。こうした状況の下、当面の
課題
と中長期の
課題
への取組について、以下、順次申し述べてまいります。 まず、
我が国
経済
の当面の
課題
は、
雇用
を確保しつつ、確実な
景気
回復とデフレの克服を図ることです。 このため、昨年十二月に、
雇用
、
環境
、
景気
を主な柱とする、事業費二十四兆円程度、国費七兆円程度の明日の安心と
成長
のための緊急
経済
対策を取りまとめました。本
経済
対策は、活用できる
財源
を
最大
限に活用し、有効性を十分吟味し策定したものです。現下の厳しい
経済
・
雇用
情勢への緊急対応と、将来につながる
成長
への布石を打つとの
視点
に基づき、
雇用調整助成金
の要件緩和や住宅版エコポイント
制度
の創設など、緊急性が高く、
経済
、
雇用
への効果や二酸化炭素削減効果において即効性の高い施策を最優先いたしました。また、
制度
、
規制
等のルールの変更や
国民
一人一人の積極的な
参加
により、できる限り
財政
に依存せず、知恵を生かして、
国民
潜在力
が発揮されることを重視し、
幼保一体化
を含めた保育
分野
や
環境
・
エネルギー分野
の
改革
などを進めることとしております。
経済
対策は、着実に実行されて初めて効果を発揮することは言うまでもありません。このため、本
経済
対策の効果的、効率的な執行を図る観点から、PDCA、すなわち、プラン・ドゥー・チェック・アクションのサイクルに立脚した施策の進捗
管理
を徹底する体制をつくりました。本体制の下で必要な取組を迅速かつ着実に実行することで、
暮らし
の再建、低炭素
社会
への転換、
医療
等の
生活
の安心確保、
地方
の活力の回復などを
実現
してまいります。 また、本
経済
対策に伴う
平成
二十一年度第二次
補正予算
及び
平成
二十二年度
予算
を一体として執行することなどにより、切れ目のない
経済財政運営
を行ってまいります。 さらに、今後の
経済財政運営
に当たっては、
国民
の
暮らし
に直結する名目の
経済
指標を重視するとともに、デフレの克服に向けて
日本
銀行と一体となって強力かつ総合的な取組を行ってまいります。
日本
銀行に対しては、こうした
政府
の取組と整合的なものとなるよう、
政府
と緊密な情報交換、
連携
を保ちつつ、適切かつ機動的な金融
政策
の運営によって
経済
を下支えするよう期待します。 これらを踏まえ、先般閣議決定した
政府
経済
見通しでは、
平成
二十二年度の
我が国
経済
は、実質
経済成長
率が一・四%程度と三年
ぶり
のプラス
成長
となり、名目
経済成長
率も〇・四%程度のプラスに転じるものと見込んでおります。 厳しい
経済
情勢の中、特に
雇用
の確保は喫緊の
課題
であり、
国民
生活
の安心の
基盤
であります。緊急
経済
対策においても、
雇用
対策は重要な柱であり、新卒者
支援
の強化、貧困・困窮者
支援
の強化、
雇用
創造の
拡充
等の施策を着実に実施してまいります。 このうち、今春以降、厳しい求人情勢が見込まれる新卒予定の学生生徒への
支援
については、求人・求職、内定関連情報の公表前倒しや
経済
団体等に対する新規学校卒業者の採用に関する要請等を行ってまいりました。今後とも、学生生徒の就職
支援
を強化し、第二のロストジェネレーションをつくらないよう取り組んでまいります。 また、求職中の方や住居、
生活
にお困りの方を
支援
するため、自治体の協力の下、全国でのワンストップ
サービス
デーの実施や年末年始の
生活
総合相談等の取組を進めてまいりました。私も、これらの現場を視察し、厳しい
雇用
情勢を実感するとともに、
支援
策が十分な効果を上げるよう努めてまいりました。これらの取組を踏まえ、非正規
労働
者等への職業訓練やその間の
生活
保障を行うトランポリン型の第二の
セーフティーネット
の構築を進めてまいります。 こうした当面の
課題
への取組と同時に、中長期の
課題
に対しても取組を進めていく必要があります。すなわち、持続的な
経済成長
を
実現
する
成長戦略
を
推進
するとともに、
財政健全化
を図るための
具体策
と道筋を明確にすることです。
我が国
経済
を持続的な
成長
経路へと移行させるため、昨年末に、中長期的な
経済成長
の姿を示した「新
成長戦略
(
基本方針
) 輝きのある
日本
へ」を取りまとめました。 本
基本方針
は、
環境
や
健康分野
における
我が国
の強みの発揮、観光や
アジア
との
連携
強化など
フロンティア
の開拓、
成長
を支えるプラットフォームとしての
科学
・
技術
や
雇用
・人材の強化等を通じて、輝きのある
日本
の
実現
を目指すものです。 この策定に当たっては、過去の
成長戦略
が必ずしも効果を上げなかった理由を踏まえ、
政治
の強力なリーダーシップ、
経済政策
の明確なビジョン、そして
経済政策
の方向性の転換を重視しました。新
成長戦略
は、従来の
公共
事業や
財政
支出頼みの言わば第一の道でも行き過ぎた市場原理主義に基づく第二の道でもない、新たに
需要
、
雇用
をつくり出すという第三の道の考え方に立っています。 本
基本方針
では、
グリーンイノベーション
、
ライフイノベーション
、
アジア
、観光・
地域
、
科学
・
技術
、
雇用
・人材の六つの戦略
分野
を柱に掲げ、二〇二〇年までに達成すべき
目標
として主な施策の方向性を明確にしています。また、
地球
温暖化対策、
少子高齢化
対策という
国民
生活
の
課題
に正面から向き合い、
世界
に先駆けて
課題
を解決する
課題
解決型
国家
を目指します。
アジア
の
一員
として
アジア
全体の活力ある発展を促し、
アジア
とともに生きる国を
実現
します。 新
成長戦略
の
実現
に向けて求められることは、
財政
に過度に依存することではなく、市場創造型のルールの改善と
支援
のベストミックスを追求していくことです。 また、本
基本方針
には、二〇二〇年度までの平均で名目三%、実質二%を上回る
成長
、二〇二〇年度における名目国内総
生産
を六百五十兆円程度にすることを目指すこと、失業率について中期的に三%台への低下を目指すことを明記しました。これは、このような
目標
に向けて
政策
を確実に実行していくとの決意を表明したものであります。 今後、本
基本方針
に沿って、施策の追加、具体化を行い、
政府
として本年六月をめどに肉付けした新
成長戦略
を策定いたします。その際には、本年中に実行すべき事項、今後四年間程度で実施すべき事項、二〇二〇年までに
実現
すべき成果
目標
を明示した
工程表
を併せて策定することとしております。加えて、各
政策
の達成状況を評価、検証してまいります。
鳩山内閣
は、過去のしがらみにとらわれることなく、利害団体の既得権や省庁の
縦割り
の弊害にメスを入れ、真に必要なものへの選択と集中を
実現
し、これまで
実現
されなかった
国民
のニーズにこたえてまいります。 また、
未来
に向けて、
国民
が安心して
生活
できる
社会
保障の
整備
と新たな
経済成長
への投資を行うため、
財政
の健全化は不可欠の前提です。 そのため、
平成
二十二年度
予算
においては、歳出を質的に大きく変え、また国債発行を市場の理解が得られるよう約四十四兆円に抑えました。今後は、
国家
戦略担当大臣を中心に、慎重な
経済
見通しに基づく中長期的な
財政規律
の
在り方
を含む
財政運営戦略
を策定するとともに、
中期財政フレーム
を本年前半に策定し、実質的な
複数年度
予算編成
を
実現
してまいります。国と
地方
の
財政
関係
についても整合性を確保し、全体として
財政
の持続
可能性
の確立を図ってまいります。 戦後これまで幾多の困難を克服してきた
我が国
が、現在の困難を克服する力を有していることは間違いありません。これまで欠けていたもの、そして今必要とされているのは
政治
的リーダーシップであります。
経済
危機
の中で
鳩山内閣
の誕生は、過去の呪縛を断ち切り、真に
国民
のための
経済
の
実現
に向けてかじを切る大きな
チャンス
でもあるのです。試練に直面している今こそ、経世済民の原点に立ち返り、
経済
財政
政策
を大転換し、
生活
の安心と真の豊かさを取り戻すべく、以上申し上げた
政策
を全力で進めてまいります。
国民
の
皆様
、議員各位の
皆様
の御理解と御協力をお願いし、所信の表明といたします。(拍手)
江田五月
9
○
議長
(
江田五月
君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
江田五月
10
○
議長
(
江田五月
君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十三分散会