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2010-06-01 第174回国会 参議院 法務委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十二年六月一日(火曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
五月二十七日
辞任
補欠選任
友近
聡朗
君
前川
清成
君 森
まさこ
君
秋元
司君 五月二十八日
辞任
補欠選任
秋元
司君 森
まさこ
君 五月三十一日
辞任
補欠選任
千葉
景子
君
神本美恵子
君
前川
清成
君
松浦
大悟
君
福島みずほ
君
近藤
正道
君 六月一日
辞任
補欠選任
簗瀬 進君
川合
孝典
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
松 あきら君 理 事 今野 東君 松岡 徹君 森
まさこ
君 風間 昶君 委 員 石井 一君
神本美恵子
君
川合
孝典
君
中村
哲治
君 平田 健二君
松浦
大悟
君 浅野 勝人君 松村 龍二君
丸山
和也
君
仁比
聡平君
国務大臣
法務大臣
千葉
景子
君 副
大臣
法務
副
大臣
加藤 公一君
大臣政務官
法務大臣政務官
中村
哲治
君
事務局側
常任委員会専門
員 田村
公伸
君 ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
民事訴訟法
及び
民事保全法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
松あきら
1
○
委員長
(
松あき
ら君) ただいまから
法務委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告をいたします。 本日までに、友近
聡朗
君、
福島みずほ
さん、
千葉景子
さん及び
簗瀬進
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
松浦大悟
君、
近藤正道
君、
神本美恵子
さん及び
川合孝典
君が
選任
されました。 ─────────────
松あきら
2
○
委員長
(
松あき
ら君)
理事
の
補欠選任
についてお諮りをいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
理事
が一名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
委員長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松あきら
3
○
委員長
(
松あき
ら君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
森まさこ
さんを指名いたします。 ─────────────
松あきら
4
○
委員長
(
松あき
ら君)
民事訴訟法
及び
民事保全法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 本案の
趣旨説明
は既に聴取しておりますので、これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言願います。
森まさこ
5
○
森まさこ
君 おはようございます。
自民党
の
森まさこ
でございます。よろしくお願いいたします。 本日、初めに、先日、五月十四日の
決算委員会
で時間切れになってしまった件について、まず初めにお伺いをさせていただきます。
地方法務局
の
廃止
、
統合
についてですけれども、
福島
県の
二本松出張所
並びに
須賀川出張所
が、これが
郡山
と
福島
の
法務局
に
廃止
、
統合
される件でございます。これについて、
手続面
と
内容面
、両方とも疑問がございますので
質問
をします。 これは、一月の十二日、今年の一月に突然
福島地方法務局長
がこの
廃止
、
統合
の
対象
となる
二本松
市
安達地方
と
須賀川
市
石川地方
の
市町村
を訪れて、一方的に
説明
や相談もなく
廃止
、
統合
をすると、その期限が二十三年の三月だという、ほぼ一年後ということを通告しました。これに対して各
市町村
は、二月中に
電話等
で
問い合わせ
をしたり、それではらちが明かず三月になって
福島地方法務局
を訪問したりして、それでも課長、係長には会えたんですけれどもなかなか局長に会えないという中で、四月の二十日になって私のところに陳情にいらっしゃいました。そこで、私が
法務省
の方に
問い合わせ
をしましたら、八日後の四月二十八日に一年延期しますという
回答
が参りました。私は、これは一年延期をするという先送りでは解決できない問題だと思っております。 そこで、
法務大臣
の方に、この
廃止
、
統合
についてのまず一般的なお
考え
をお聞かせ願いたいと思います。
千葉景子
6
○
国務大臣
(
千葉景子
君) この
法務局
の
登記所
の
統廃合
という問題は、それぞれの
地域
の
皆さん
の
生活等
にかかわる、
権利義務関係
にもかかわることでございますので、
皆さん
からも
大変関心
を持っていただいているということでございます。 この
登記所
の
統廃合
につきましては、
利用者
である
国民
の
皆さん
の
利便
は十分に考慮しながら
行政
の
効率化
を図っていくということで、現在、
平成
七年に策定された
民事行政審議会
の
基準
にのっとって全国で
登記所
の
適正配置
を
実施
をしていると、こういう現状でございます。 具体的には、
原則
としては、
一つ
の
広域市町村圏
に
一つ
の
登記所
を設置する、
登記申請件数
が一万五千件
未満
の
登記所
又は
隣接登記所
への
所要
時間がおおむね三十分以内の
登記所
を
統合
するという
考え方
に、
基準
にのっとってこの
適正配置
を
実施
をしているということでございます。 ただ、
登記
につきましては、
登記
の
申請
とかあるいは
登記事項証明書等
の
送付請求
、こういうことが必要になりますが、オンラインやあるいは
郵送等
も可能でございますので、こういうことをできるだけ十分に活用をしていただきながらこの
適正配置
の推進を進めていくと、こういう形でございます。 しかし、
地域
の
皆さん
にとっては大変いろんな影響がございますので、そういう不便をお掛けしないように、あるいは
利便
を何とか維持をしていくというところは、これからも
努力
をして
代替サービス
などを充実をしていくということを
考え
ていかなければならないと、こう
考え
て進めているところでございます。
森まさこ
7
○
森まさこ
君
手続面
に関しては、今
大臣
が引用された、
平成
七年七月の
民事行政審議会
から
法務大臣
に提出された
適正配置
に関する
答申
の中でも、
登記所
の
適正配置
の
実施
に当たっては、
地域
の自然的地理的諸
条件
や社会的経済的諸
条件
などの
地域
の
実情
を十分留意するとともに、
地域住民
へは十分
説明
し、その
意見
をできるだけ尊重すべきというふうに記載をされております。
地域
の方でいろいろと
努力
をした中でなかなか
意見
が聞いていただけなくて私のところに来て、
国会議員
が
問い合わせ
たら一年延期しますという
回答
が来たということを私は大変残念に思っておりますので、どうぞ
大臣
が御指導をしていただいて、
地域
の
方々
とコミュニケーションを取っていただいてその
実情
を聞いていただくということを、まず
手続
的な面をお願いしたいと思います。 次に、
内容
なんですけれども、果たしてこれが
廃止
、
統合
に適しているかという点でございますが、確かにこれ
行政改革
というのは大事でございます。やはりこの
審議会
の
答申
の後に出されました
閣議決定
、
平成
八年の
閣議決定
の中でも、
行政改革プログラム
と題して簡素で効率的な
行政
の実現とうたわれておりますが、それと同時に、
国民
に対する質の高い
行政サービス
という要請についても書き込まれてございます。 それを受けて役人の
方々
が私に対して
説明
をしてくださったには、
閣議決定
があるから、
審議会
の
答申
があるからということでございましたけれども、よくよくこの
審議会
の
答申
の
基準
を見てみますと、
登記申請件数
が一万五千件
未満
であると、年にですね。それから、
隣接登記所
への
所要
時間がおおむね三十分以内ですという、
二つ
の
要件
のいずれかに該当する場合というふうになっております。 ところが、今回
統廃合
が予定されております
須賀川出張所
については、年に一万五千件以上の
登記事件数
がございますし、それから、三十分以内で新しく
統合先
となる
郡山
へ行ける
市町村
というのは非常に少のうございます。例えば
古殿
町などは一時間弱ぐらい
古殿
町の
中心
からも掛かるということで、また、もっと郡部の方に行くともっと時間が掛かるわけでございますので、この
二つ
の
要件
を満たしているかということさえも怪しいわけでございます。この辺もやはり
地域住民
の話を聞いてみないと、机上の計算では
基準
を満たしたことになってしまうのかもしれませんが、その辺を十分にお聞き取りを願いたいなと思っているわけでございます。 さらには、この
審議会
の
基準
については先ほどの
要件
だけ
法務省
が紙にまとめておりますが、初めは、私のところに
審議会
の
答申
、持ってきていただけませんでした。私の方で調べまして、
審議会
の
答申
の本文をよくよく読んでみますと、その
二つ
の
要件
を仮に満たした場合であっても、やはり
地域
の
住民
の
生活圏
の
状況
でありますとか、それから
交通
の便でありますとかいったことを配慮して決めるようにというふうになっております。この
地域
、特に
交通
の便が悪く、やはり
道路状況
も悪いということがございます。 それから、この
答申
が出されたのは
平成
七年と大分前でございますが、ここの
答申
の前文のところに書き込まれている
状況
として、
司法書士
や
土地家屋調査士
が市民の代行することが多くなってきたのでという
理由
が書き込まれているんです。 ところが、今
福島
県のこの
地域
では
司法書士
、
土地家屋調査士
さんに頼める場合というのが非常に少ない。地理的な
条件
が
一つ
、それからもう
一つ
は経済的な
条件
です。
企業
の
方々
も、今不景気でございますので
司法書士
さんに頼むと費用が掛かるということで、自分の
会社
の社員が
法務局
又は
出張所
に赴いてそういった実務をするという
状況
になっております。そういった前提からしてまた違っているという
状況
がございます。 また、
答申
の中には同じような
サービス
として
ハローワーク
や税務署が掲げられておりまして、それと同じような単位で
行政改革
を行っていくということが書いておりますが、実はこの
須賀川地方
は
ハローワーク
の
統合
は昨年見送られたという経緯がございます。これをやはり
須賀川
の
ハローワーク
を
郡山
に全部
統合
してしまうと
地域住民
の
利便性
を著しく害するということで、
須賀川
の
ハローワーク
は
大変規模
は小さくいたしました。そして、機械なども導入いたしましたけれども、全部
廃止
するということはなくしてやはり残して、
行政コスト
の削減もしながら
住民
の
利便性
にこたえていくと、そういう選択をいたしましたので、そういった例もやはり見ていただいて、
廃止
をするのに適当かどうかということを
考え
ていただきたいと思うのでございます。 また、
地域圏
を分割して、先ほどの
二本松
の方は
福島
と
郡山
に
二つ
に分ければいいではないかというようなことを役所の方で言っているようでございますが、この
二本松安達地方
は
一つ
のやはり
地域圏
として活動しておりますし、ほかの
行政サービス
もそこで一体としてなっている中、
法務局
の
サービス
だけ
二つ
に分けるということは、例えば
企業
を誘致するときに、
企業
さんが
法務局
を使うというそういう
利便性
の上でも支障が出てきますので、そういった
地域圏
のことについても御配慮をいただいて、もう一度これを見直しして、そして撤回をしていただきたいというふうに強く要望をいたします。
大臣
の御見解を最後にお聞かせいただければと思いますが。
千葉景子
8
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 先ほど、まず
手続
の問題も御
指摘
がございました。
手続
については、基本的に
関係市町村
、あるいは
関係
する
司法書士会
あるいは
土地家屋調査士会
、あるいはいろんな
関係者
、そういう
皆さん
に、約一年くらい先のことですね、
実施
は一年くらい先を
考え
つつ、一年前には案をお
示し
をし、
考え方
をお
示し
をし、
説明
をしながら御
意見
を
ちょうだい
をし、そして
適正配置
、納得をいただきながら進めているということでございます。 そういう
意味
では、突然ということはそこがスタートだということになろうかというふうに思います。こういう
手続
を進める中で、いろいろな
地域
の事情、あるいはその
基準
に当てはまるとしても、いろんな
生活圏
の問題等々も併せて協議をさせていただくというやり方をこの間進めていると承知をしております。 確かに、なかなか
距離
とかは難しいですね。おおよそその
中心地
とその
登記所
との
距離
、これが三十分以内というおおよそで
考え
ますので、広いエリアですと、この一番北側のところと
登記所
、あるいは一番南側のところと
登記所
と、こういうことを
考え
ると、必ずしもぴったりとその三十分というものに当てはまらない
部分
もあろうかというふうには思います。ただ、平均して
利便
を損ねないようにと、こういうことで進めさせていただいているということでございますし、御
指摘
がありましたように、場所によっては、例えば近い方の
登記所
、
二つ
ある近い方の
登記所
に
統合
すると、こういう、分けて別々に
統合
するということも全くないわけではないというふうに思います。 いずれにしても、今この問題につきましては、現地それぞれの
関係
の
皆さん
にお
示し
をし、
説明
をしているということでございますので、十分にその御
意見
を
ちょうだい
をしながら
手続
は進めてまいりたいというふうに
考え
ております。
森まさこ
9
○
森まさこ
君 是非よろしくお願いします。 次に、本
法案
の
質問
に入りますけれども、特に
消費者契約
の
部分
について
質問
をいたします。 前にも
委員会
で取り上げたことがある
事故
を例に取りますけれども、二〇〇〇年にオーストリアのカプルンでケーブルカーの
火災事故
が起きました。
福島
県の猪苗代町の
中学生
、
スキー合宿
に行った
中学生たち
を含む
日本人
十人が亡くなった、全体では百五十五人が亡くなったという大きな
鉄道火災死亡事故
でございます。 このように、
大臣
、
一般論
でお答えいただきたいんですけれども、
海外
で
鉄道事故
が起こったと、これが
鉄道乗車契約等
の
消費者契約
の
違反
ということが争点になり得る場合について、
海外
の
鉄道会社
、
事業者
に対して
日本人
が、
日本
に今
住所
を持っている者が
訴訟
を
提起
できるようになるというのが本
法律
だと思います。
消費者
、大変に弱い立場でございますから、
海外
で
訴訟
するのが大変な負担がございます。大変すばらしい
法案
だと思っていますが、過去の
事件
についての適用はどうなっているかということについてお伺いしたいと思います。
千葉景子
10
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 御
指摘
のように、
消費者
から
事業者
に対する
訴え
、
消費者契約
につきましては、
締結
時又は
訴え
の
提起
時に
消費者
の
住所
が
日本国内
にある場合には
日本
の
裁判所
に
提起
が可能だということでございますので、過去の
消費者契約違反
、こういうものであっても、
訴訟
を
提起
するときに
消費者
の
住所
が
日本
にございますれば
訴訟
を
提起
することは可能でございます。
森まさこ
11
○
森まさこ
君 ありがとうございます。 過去の
事件
であっても、
訴訟提起
時に
消費者
の
住所
が
日本
にあれば
訴訟
が
提起
できるということが確認できました。 このような
消費者契約
について、今までなかなか
日本
で
訴訟
を
提起
ができなかった
理由
の
一つ
に
管轄合意
というものがあると思います。
鉄道乗車契約
など
契約書
を結んだとき小さい字で書いてあって、そこには通常、
海外
での
消費者契約
の場合には、
当該海外
の
裁判所
で
訴訟
が
提起
することという
管轄合意
が
契約書
に書いてあるために、
消費者
はなかなか
日本
で
訴訟
を
提起
することが難しかったわけでございますが、今回そのことについて
特則
が設けられて、
消費者
も
日本
で
訴訟
を
提起
する場合が多くなったというふうに伺ったんですが、その点について教えていただければと思います。
千葉景子
12
○
国務大臣
(
千葉景子
君)
管轄
の
合意
についてでございますけれども、これは
事業者
と
消費者
、この間には
交渉力
とかあるいは
経済力
に
格差
がございますので、
消費者契約
に関する
紛争
を
対象
として、事前の
合意
、これは
原則
として
効力
は認めないということに本
法律案
ではさせていただいております。こういうことによって、無理やりというかなかなか
合意
を拒否できないと、こういうような形でなされた
契約締結
時の
管轄合意
には
効力
を生じないという形にしております。
森まさこ
13
○
森まさこ
君 時間が参りましたので、ほかにもいろいろ論点がございますが、とにかく
消費者
にとって
大変訴訟
を
提起
しやすくなったということで、この問題は従前より懸案であったものが、たしか
平成
二十年の
保岡法務大臣
のときだったと思いますが、
法制審議会
に諮問をして、そしてその結果
答申
が出てきて、今回この
法案
が提出されたということ、
消費者
のために大変良かったと評価をしております。是非また速やかな施行の方をお願いいたしまして、
質問
を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
丸山和也
14
○
丸山和也
君
自民党
の
丸山
でございます。
大臣
にお聞きしたいと思います。 今回の
民事訴訟法
及び
民事保全法
の
改正
につきまして、ある
意味
で非常に画期的であろうと思いますけれども、すばらしいという反面、非常によく分からない点もいっぱいありまして、特に
民事訴訟法
の
管轄
に関するいろんな、基本的に
管轄
の
定め
がこれまでなくて基本的には
裁判所
の
判断
にすべて任せられていた、基本的に条理というような
考え
で任せられていたところをある程度明確にされたんですけれども、何でもかんでも
管轄
を認めればいいというわけでもないわけでして、そこら辺が今回形の上では非常に広げられているんですけれども、実際どうなのかなというところ、運用上の問題がこれから出てくると思うんで、そういう点に若干配慮しながら幾つか御
質問
したいと思うんですけれども。 まず、
不法行為
に関する
訴え
の
管轄権
なんですけれども、これも、
改正案
に見ますと、
不法行為地
又は結果の
発生地
、いずれかであればいいという、こういうふうに、が
日本
であれば
日本
でできると、こういうことになっているんですけれども、ここで問題はやっぱり結果だと思うんですね、
損害
といいますか
被害
が
発生
した。例えば、
外国
で一番大きい、
交通事故
にしましょうか、
交通事故
での
被害
に遭ったと、こういう場合で
日本人
が
外国
で
外国人
によって
交通事故
の
被害
に遭ったような場合で、比較的軽微だと思って治療終わって帰ってきた。ところが、
日本
でやっぱり
予想外
の
後遺症
といいますか、出て、そういう
訴え
をしなきゃならぬと、
損害
が
発生
したような場合、これはどういうふうになるんでしょうか。単純な
質問
なんですけれども、お聞きしたいと思うんですけれども、
管轄権
に関して。
千葉景子
15
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 確かになかなかいろいろ個別
考え
てみますと難しいといいますか、どちらになるんだろうと分からないところがまだまだ多いようには思います。 今御
指摘
のような、
外国
で
交通事故
に遭ったと、そして
日本
に戻ってきて
後遺症
が思いも掛けず出てきたと、こういう場合で、これもなかなか
事案ごと
で分かりませんけれども、通常予見できるような結果の
発生
、
後遺症
というようなことであれば、
日本
の
裁判所
に
不法行為
に関する
訴え
を
提起
することができると、そう解されるものだと思います。
あと
、それが通常予見することができるかどうかという辺りは、最終的には
裁判所
の
判断
になるんだろうというふうに思いますけれども、そういうことはかなり
交通事故
のような場合には限られたケースなのではないかなというふうには推測をいたします。
丸山和也
16
○
丸山和也
君 すると、やっぱりこのただし書の
部分
が結構僕は現実問題として大きな問題になってくると思うんです。 これは結局、すると、取りあえず
管轄
を認めて、
あと訴訟
の中で
裁判所
が受理して、その中で、立証の中で
予見可能性
というところで
日本
の
裁判所
の中で争えると、こういう枠組みができたというふうに
考え
てよろしいわけですね。
千葉景子
17
○
国務大臣
(
千葉景子
君) はい、そのとおりだと思います。
丸山和也
18
○
丸山和也
君 時間が本当に限られているんで、
余り
深くは聞けないんですけれども、ちょっとこれに関するわけでは必ずしもないんですが、全般的に、今回、いわゆる
人事訴訟
とか
家事審判
とかいわゆる非
訟事件
に関しては、
国際管轄
については何も
定め
がないんですよね。特に取り上げてないんですが、実際、数からすると、やっぱりこの非
訟事件
に関する
国際
間のもめ事といいますか、が一番多いと思うんですね。これについては全く
議題
になってないんですけど、これは何か特別な意図があったんでしょうか、
余り通告
をしてませんでしたけれども。
千葉景子
19
○
国務大臣
(
千葉景子
君) これは、確かに
人事訴訟
あるいは
家事審判等
についてもかなり今
国際
的ないろんな問題が生じていると思いますので、
管轄権
を法整備する必要は私もあるんだろうというふうに思っております。ただ、
人事訴訟
の場合には、
家事審判手続等
、それから
国内法
の
内容等
とも
相当関係
をしてくるものですから、今回の
改正
の中ではこの
人事訴訟
については取り上げていないと、こういうことでございます。 今ちょうど
家事審判手続
については、
法制審議会
でその
手続
あるいは
現代語化
、こういうものを今検討していただいているということでございますので、こういうものが少しきちっと出そろって、そしてその上で、
国際
的な
法制
の違いとか、あるいは今の
国際
的な
事件
といいましょうか、そういうものの増加の
状況等
も踏まえて検討をする必要があるのではないかと
考え
ております。
丸山和也
20
○
丸山和也
君 次に、
国際裁判管轄
の
合意
についてお聞きしたいんですけれども、これは、
改正案
を見ますと、
当事者
は
三条
の七になっているんですけど、「
当事者
は、
合意
により、いずれの国の
裁判所
に
訴え
を
提起
することができるかについて
定め
ることができる。」と、極めてフラットに広く書かれているんですけど、これは
内容
はどういう
意味
なんでしょうかね。どういう
意味
なんでしょうかねということは、
合意管轄
の
定め
なんですけれども、いわゆる
専属
的に、これを
専属
的な
合意
と見るのか、単なる
合意管轄
の
定め
であって、これ自身は解釈にゆだねるのかと。例えば、ここでも起こせるけれどもこれには限らないんだという、いわゆる
専属
の
合意
なのかどうかについてはどのように解釈したらいいんでしょうか。
千葉景子
21
○
国務大臣
(
千葉景子
君) この
国際裁判管轄
についての
合意
ですけれども、これは基本的には
当事者
が
定め
ることができる、
専属
的に
定め
ることができると、
専属
的にというか、
当事者
も
定め
ることができると、こういう
趣旨
だというふうに解されると思います。 ただ、それについては、非常に
力関係
とかそういうものに
格差
があるという、例えば
消費者契約
、先ほど
森委員
からも御
質問
がありました
消費者契約
とか、あるいは
個別労働関係
にかかわる
民事紛争等
については
原則
としてその
効力
を
制限
をしていると、それ以外の経済的な
契約等
については
当事者
間で
合意
をすることができるという
考え方
でございます。
丸山和也
22
○
丸山和也
君 ちょっと
質問
があいまいだったので分かりにくかったかも分かりませんけれども、いわゆる
専属管轄
の
定め
が
法律
にある場合はそれが優先するわけですよね、この
合意管轄
よりも。それから、あるいはこの
合意管轄
の
定め
によって法定の
専属管轄
を排除することはできないと思うんですよね。そういう
意味
で、これは補完的な、
専属管轄
の
定め
がない場合にこれが
効力
を持つと、こういう
考え方
でよろしいんでしょうか。
千葉景子
23
○
国務大臣
(
千葉景子
君) これも
当事者
の
合意
の
内容
でもあろうというふうに思うんですけれども、
当事者
において
合意
による
管轄
を
専属
、ほかを排除するという形であるとすると
専属管轄
という、そういうことになるのだろうというふうに思いますが、先ほど言ったような
除外
、
効力
を
制限
をしている、例えばそれは
三条
の七第五項及び第六項で
個別労働関係
あるいは
消費者契約
、こういうものを
除外
をしておりますが、それ以外についてはその
合意
によって
専属
的な
管轄
を
定め
るということができると解することができるのではないでしょうか。
丸山和也
24
○
丸山和也
君 私もまあ断定的にはよく分からないんですけれども、そういう
意味
ではないんじゃないかなというふうにも思うんですが、例えば仲裁なんかの場合は、仲裁
合意
というのはそれですべて
管轄
が決まるんですけれども、この法の
趣旨
というのは、要するに
当事者
が各
法律
によって
専属管轄
を
定め
ている反しない範囲では自由に決めていいよと、そういう
意味
で、
専属
性を持たないという
考え
が
原則
じゃないかということと、それともう
一つ
、この
合意
の中で、例えば一方
当事者
だけの
管轄
を認める
合意
も認められるんでしょうかね。例えば、双方の
合意
なんですけれども、その一方
当事者
はここで
提起
することができるという
合意
ですね、一方の
合意
、これも認められるんじゃないかとこの条文から
考え
られるんですけれども、そういう解釈でよろしいでしょうか。
千葉景子
25
○
国務大臣
(
千葉景子
君) もう一度ちょっと私も整理をしながらあれをいたしますが、各制度、
法律
によって
管轄
が
定め
られている
専属管轄
をこの
合意
によって排除をするというものではない、ただ
合意
によって
定め
ることができると、こういうまず規定だということだというふうに思います。 それから、今御
指摘
のあったことについては、そのとおりでこの解釈をすることができるのではないかと思います。
丸山和也
26
○
丸山和也
君 では次に、保全命令
事件
に関する
国際裁判管轄
の
合意
について。 これも、かつて保全
事件
というのは
国際
的にはなかなかほとんど行われないというか、希有な例だったんですけれども、これ条文ができて一気にこれはできそうな感じにはなるんですけれども、この条文はあるんですけれども、例えば、本案の
管轄
はあると、しかし不動産が
日本国内
にないと、
外国
にあるとか、こういう場合になりますと、条文だけからいいますと、どうなっていたかな、十一条で、保全命令の申立ては、
日本
の
裁判所
に本案の
訴え
を
提起
することができるとき、又は仮に差し押さえるべき物又は係争物が
日本国内
にあるときに限り、することができると。ということは、仮差し物件が、
対象
物が
日本
にあるときはできるということと、ほかに、本案さえ
提起
できれば、仮差し、仮に差し押さえるものが
日本
になくても、例えば
外国
の不動産でもできるんだよという規定にも読めちゃうんですけどね、この条文からいくと。 しかし、実際に
外国
の不動産の仮差押えというのはできないわけですから、すると、これはどういう
意味
があるのかなと思うんですけれども、この点についてはどのように、矛盾を感じるんですけど、
考え
たらよろしいんでしょうか。
千葉景子
27
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 御
指摘
のとおりで、差し押さえるものが
日本
にないと、
外国
にあるというような場合には、確かに
日本国内
において保全執行の
手続
を取ることはできないと、現実にもできませんし、これが
原則
でございます。これは、もしそのようなことであれば、申立てを受けた
日本
の
裁判所
で保全命令の必要性の有無を
判断
をするということになるんだというふうに思います。 ただ、こういう例は多少
考え
得ることがございます。差し押さえるべきものは
日本国内
にはないんだけれども、保全執行は可能だと。例えば、
日本
船籍を有する船舶、これが
日本
の港には今いないんだけれども航行中であると、こういうような例だと
日本国内
において仮差押えの
登記
をするということは可能でございますので、こういう場合には、確かに国内には存在はしないんだけれども、保全はすることができるというケースもあろうかというふうに思っております。 そういう
意味
では、この規定ですけれども、仮に差し押さえるものがなくても、本案の
訴え
の
管轄権
が
日本
の
裁判所
にある場合には、
日本
の
裁判所
が
管轄権
を有することがあり得るよと、こういうことを規定をしていると、
意味
するということであろうかと思います。
丸山和也
28
○
丸山和也
君 すると、そういうケースで、先ほどのそういう船舶の例とか極めて限られた場合に可能性があるというふうに思われるんですけれども、仮にそうじゃなくても、
訴え
は自由ですから、実際に保全の申立てをしたような場合、これは
裁判所
の
判断
になると思うんで、
法務大臣
に直接お聞きするのも変なんですけれども、すると、
裁判所
としては保全
事件
を受け付けますよね、
日本
の本案の可能性があるということで、
管轄
はあると。すると、保全の必要性というところで、要するに差押えできないんだと、
外国
にあって執行もできないんだということで、必要性というところでそれを却下していくことになるんですかね。そこら辺についてどのように
大臣
としてはお
考え
ですか。
千葉景子
29
○
国務大臣
(
千葉景子
君) そうですね、多分、やはり
裁判所
としては必要性の
判断
の中で行われるのではないかと思います。私も
裁判所
でないので、ただ、これまでの保全の
手続
とか、あるいは多少なりとも経験から
考え
ると、そういうところで
判断
する、していただくことになるのではないかなというふうには思います。
丸山和也
30
○
丸山和也
君 というようなわけで、今回の法の
改正
は非常に、今まではほとんど
裁判所
の
判断
に任せられていた、条理とかいう一般的な
判断
に任せていたところを、大まかなところではメスを入れたというか、くいを打って方向性は
示し
て枠も非常に広げたと思うんですけれども、結構広げただけに難しい問題がいっぱい起こってくると思うんですね。 特に、先ほどの
森委員
からの
質問
もありましたけれども、やっぱり
日本人
が
日本国内
で
訴え
をできることが特に
消費者
の場合大きくなった分だけ、よく間接
管轄
という言葉で言われますけれども、
外国
で
日本
、特に
企業
辺りが
訴え
られる可能性というのは非常に高まってくる可能性もあると思うんですね。ですから、そこら辺の、どうなっていくのかと
考え
た場合、非常にこれは、
改正
はされて非常に良かったんだけれどもどういうふうになるのかなという、分からない点が
余り
にもたくさんあるんですね。ですから、先ほど言いました非
訟事件
なんかも含めて、やはり更に
改正
なり
定め
が必要になってくる場面もたくさんあると思うんですね。 ですから、
国際
私法、私法と公法の
関係
もかなりあいまいになってきている面はいっぱいあるんですけれども、特に
国際
関係
の私法でやっている
当事者
にとってはすばらしいし、しかしどうなるんだろうなという不安もいっぱいあるし、まだ分からない点がたくさんありますので、いろんなケースを特に検証しながら、是非あるべき方向に導いていただきたいと思いまして、それをお願いして私の
質問
を終わります。
風間昶
31
○風間昶君 公明党の風間ですけれども。 この
法案
は、先ほど来話題になっております
国際裁判管轄
についての規定を決められておりますが、
民事訴訟法
と
民事保全法
をどうして一緒にして
改正
になったのか、つまり何で単行法としてやらなかったのか。デメリットがあるからなんでしょうけれども、それを教えていただきたいというふうに思います。
千葉景子
32
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 今回の
法律
につきましては、単行の
法律
ではなくして、
民事訴訟法
、
民事保全法
の
改正
という形を取らせていただいております。 これは、
国際裁判管轄
、それと国内の土地
管轄
、これがいずれも
訴え
を
提起
する場所に関するものだということで共通をする、密接不可分にございますので、こういう
意味
では同一の法令において規定するということが利用する側にとっても便宜が図られるのではないかと、こういうことで、別建ての
法律
ではなくして、この国内の土地
管轄
などを規律をするこの
法律
の中に
国際裁判管轄
を盛り込むという形にさせていただいたということでございます。
風間昶
33
○風間昶君 ということは、デメリットはないということですか。
千葉景子
34
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 全くデメリットはないということはないと思います。まだこれが、先ほどお話がございましたように、個別の非常に問題についてすき間といいましょうか、そういう問題があるわけですし、それから
国際
関係
においても統一した
基準
というのが必ずしも今条約などで設けられておりませんので、そういう
意味
での解釈の幅等々、あるいは
外国
の裁判での解釈の仕方、こういうものとの違いとかも出てまいりますので、これだけで全くデメリットがないということではありませんが、逆に、これまで全く
基準
がなかったと。これについて一定の方向性、これを、
訴訟
を起こす方もこれならできるんだなということが分かるということになったそのメリットは大きいのではないかというふうに思っております。
風間昶
35
○風間昶君 分かりました。 諸
外国
の
管轄合意
条約の批准
状況
を見ると、二か国が加入すれば発効しますけれども、現在のところメキシコ一か国だけしか加入してない、将来的にどうなのかなと、批准、発効するめどが立っていないんじゃないかというふうに思われます。ただ、アメリカとEUが署名だけはしているということでありますけれども、今回のこの法
改正
で、我が国としてはこの条約に署名するための
条件
が整うことにはならないのかということを伺いたいんですけど、どうでしょうか。
千葉景子
36
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 我が国としてこのヘーグの
管轄合意
条約を
締結
するかどうかということになるわけですが、可能性、先ほど御
指摘
がありましたように、
締結
しているのがメキシコ一国と、米国とEUが署名をしているというまだ
状況
でございます。そういう中で、
国内法
との整合性とか、それからこういう世界的な
状況
、こういうことを
考え
ますと、いささかこの条約を
締結
するというなかなかところまでには、現状では至らないのではないかというふうに思っております。 また、この条約についても、
内容
的に
管轄権
の
合意
について現在の
国際
取引の実務に沿わない、そういう条項が散見をされるとか、あるいは
管轄合意
により選択された締約国の
裁判所
が出した判決の承認、執行について、この規定なども包含をされているんですけれども、これがまた我が国の
民事訴訟法
の規定と異なるという
部分
もあったりいたしますので、今の
状況
の中で直ちにこの条約を
締結
する、署名をするというには至らない、こんな
実情
でございます。
風間昶
37
○風間昶君 非常に寒い答弁でしたけれども、そうすると、批准に向けた取組というのは不断にこれからやっていかなきゃならないと思うんですけれども、その意思は当然おありになるんでしょうねと伺いたいんですが、どうでしょうか。
千葉景子
38
○
国務大臣
(
千葉景子
君) これは
国際
的に統一した取決めあるいは条約によって共通な基盤ができるということは大変大事なことですので、全く意思がないなぞという、そういうことではございませんが、ただ、今申し上げましたような現状からいうと、
締結
の各国の
状況
も考慮をしながら慎重に検討を続けていくということになろうかと思います。
風間昶
39
○風間昶君 包括的な
国際
条約の
締結
については非常に困難な
状況
だということは
大臣
から今御答弁ありましたけど、そうすると、法執行の実効性高めていくためには、近隣諸国や経済連携の多い国で二国間条約を
考え
る必要があるんじゃないかというふうに思いますが、その
部分
については御検討されていらっしゃいますでしょうか。
千葉景子
40
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 今御
指摘
のあるように、全体として包括的な条約がなかなか難しい。そうなりますと、二国間条約という形でできる限り取引の安定を図っていくあるいは法的な安定を図っていくというのは大事なことだというふうに思っております。 今回、この
法律案
については、そういう
意味
では、各国の
国内法
とかあるいはEUの域内で適用されているブリュッセル条約等の
内容
を参考にして
法律
を
定め
させていただいたということでございますので、二国間の条約なくてもこの
法律
によって、今申し上げましたようにEU等なりあるいはかなり近い各国とは共通な基盤ができたものではないかというふうに思っております。 ただ、更に二国間条約を作っていくということは大事なことでもございますので、それぞれの
法制
などを十分に勘案しながら今後検討していく必要があるのではないかというふうに思います。 これも決して否定的に
考え
ることではなくて、いろんな
条件
整備、こういうことが必要になってこようかというふうに思います。
風間昶
41
○風間昶君 この
法律案
による
改正
対象
は基本的に財産
関係
ですよね。だけど、
国際裁判管轄
で問題になるものとしては、私はむしろ数の上では人事とか
家事審判
の方が多いような気がしてならないんですよね。この人事
関係
の
事件
の方が財産
事件
の方よりも絶対数は多いと思うんですけれども、そのことについては御承知していらっしゃると思いますけれども、実際には実数としてどうなっているのか、教えてくれますか。
千葉景子
42
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 私も、是非これは分かればきちっと把握をしておきたいものだというふうに思いますが、実際には統計資料というのがございませんで、なかなか把握が今できていないという
状況
でございます。 やっぱりどういう切り分けで、財産的な
訴え
なのかあるいは人事に関する
訴え
なのかというところ、どこで線引きをするかというようなこともあり、なかなかこの統計というのが取られていないというふうに私も承知をいたしております。何か工夫をして、実際どのくらいの
訴訟
があるのか、把握を私も
努力
をさせていただきたいというふうに思っております。かなり増えているということは予測をされるんですが、統計がないというのが
実情
でございます。
風間昶
43
○風間昶君 これは、いや、それは政府は難しいでしょうけれども、
裁判所
は押さえているんじゃないかと私は思うんですけれども。そこはやっぱりもうちょっと、恐らく、推測で物を言うのは確かじゃないからあれだけれども、絶対僕は人事
関係
の方が多いと思っているんです、案件は。であるならば、やはりその実数のつかみぐらいはやっておかないと、将来問題が起こってくるんじゃないかと思います。後から要するに立法化せざるを得ない
状況
になって、いや、こんなはずじゃなかったということが、ほぞをかまないようにしてもらいたいし、なおかつ、そのことを視野に入れるとやっぱり立法化も検討しなきゃならないんじゃないかというふうに思っておるんですが、今回
対象
外にしているようですから、このこともまた
大臣
に問えば決意発表みたいな答弁になると思うんですけれども、お願いします。
千葉景子
44
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 先ほども御答弁申し上げましたが、人事
関係
の問題については多分、私も推測で物を言うわけにはまいりませんが、かなり増えている、あるいはなかなか表に出なくてもそういうトラブルが増えたりしているということが予測をされます。 そういう
意味
では、この人事
関係
の
訴訟
についての
国際管轄
、これも整備をしていく必要があるだろうというふうに思いますので、今、国内の
家事審判
法等の整備の
状況等
も併せつつ、是非今後前向きに検討をしていきたいものだというふうに思います。
風間昶
45
○風間昶君 是非、
大臣
を続けていかれようという意思があるならやっていただかないと、これは
国民
の側からすると、
国民
目線でと言っている
大臣
からすればやっていただきたいというふうに思います。 それから次に、第
三条
の五の三項で規定されている知的財産権に関する
訴え
で、著作権は
対象
外になっていますよね。しかし、この著作権については現在
国際
競争力が期待されて、特にその保護育成の必要が唱えられているコンテンツ産業では非常に重要な知的財産権であります。そういう
意味
で、産業政策的な観点からは
法務省
の所管になるかどうか分かりませんが、私は特許権などと同列に扱ってもいいのではないかというふうに思っております。このことに関する基本的な
考え方
はどうなのか、また、
対象
外にしたのは、不得意なのかどうか知りませんけれども、どうなのか、伺いたいと思います。
千葉景子
46
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 今回の
法律
、第
三条
の五第三項では、設定の登録によって
発生
する知的財産権のみを
対象
にしているということでございます。 この
趣旨
は、特許権等の設定の登録により
発生
する知財、こういうものは、その存否とかあるいは
効力
の
判断
にかなり技術的、専門的な
判断
を要すると。それから、各国でも
行政
処分により付与されることが多いわけでございます。そういう
意味
では、その存否とか
効力
に関する
訴え
については登録国の
裁判所
に任せるのが相当であろうと、こういう
考え方
でございます。 これに対して、著作権のような、一定の
要件
を満たすと設定の登録とかを必要とせずに
発生
する知財については、
行政
処分によって付与されるという形ではございません。そういう
意味
では、
日本
で登録された著作権の存否とか
効力
に関する
訴え
についての
管轄権
を必ずしも
日本
の
裁判所
に
専属
させるということは必要ではないのではないかということで、区分けをしたというのがこの立法の際の
趣旨
でございます。
風間昶
47
○風間昶君 もう
一つ
、
三条
の九について、現行法では
国際裁判管轄
に関する規定はないため、特段の事情ということで、
当事者
間の衡平、裁判の適正、迅速という観点から、私、よく分からないんですけれども、素人で、利益衡量に重きを置いて
裁判所
の裁量で決められておりますよね。 それで、そのことで
訴訟
が却下されるケースがありましたけれども、今回の法
改正
でも、
三条
の九で、特別の事情により
訴え
の却下という項目が規定されておりまして、結局、そうなると従来どおり
訴訟
を起こせないことがあり得るんじゃないかというふうに思うんですけれども、ここはどうなんですか。何だかうやむやにしてまたいるんでないかという気がしてならないんですけれども。
千葉景子
48
○
国務大臣
(
千葉景子
君) これも
委員
が御
指摘
をされるところは私も同感の
部分
はあるんですが、ただ、今回この
法律
を作ることによって、これまでは個々の
訴え
ごとに
判断
をするということがやっぱり類型ごとにおおよそ方向は
定め
られたということで、ぐずぐずにということには私はならないのだろうというふうに思います。 ただ、そうはいっても、個々の様々な事例によってやはり
関係
する証拠、例えば
日本
の
裁判所
が
管轄権
を有するけれども証拠はもうほとんど
外国
にあるというようなことも想定はされるわけでございます。そういうときに、
日本
の
裁判所
が
管轄権
を持つというよりはこれを
外国
の裁判で行った方が適切だという、そんなケースもあるだろうと。こういうことを
考え
ながら、例外的に
訴え
を却下することができるということにしているものでございますので、これが、安易にこの規定が使われるということになっては私も法の
趣旨
を逸脱をするというふうに思いますが、今のような、
あと
どんな事例がというのはなかなか個々には分からないのですが、そういうケースもあるだろうと、そういう際には却下をすることができると、そういう余地も残したということと私は理解をし、そしてこの
法律
を
提起
をさせていただいたということでございます。
風間昶
49
○風間昶君 終わります。
仁比聡平
50
○
仁比
聡平君
日本
共産党の
仁比
聡平でございます。
大臣
、御苦労さまです。この
法案
は、我が党、賛成をさせていただきます。
国際
社会における我が国のありようを
考え
るときに、
国際
人権条約の水準に照らして著しく不十分な我が国の現状を速やかに正すことが私は
千葉
大臣
に期待されていると思います。 そこで、この際、改めて聞いておきたいと思うんですが、まず選択的夫婦別姓などの家族法
改正
の問題について、九七年以降毎年、私どもも野党時代の民主党の
皆さん
とも共に共同提案を続けてきたわけですけれども、ところが、その実現を言わば公約をされた政権が成立したこの通常国会においてその
法案
がないという
状況
について、女性NGOの中からも逆さまの
状況
ではないかと、そうした厳しい声も上がりつつあるわけですが、この問題について
大臣
が今後どのように進めていこうと
考え
ていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
千葉景子
51
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 大変厳しい御
指摘
をいただきました。 私も、
国際
的な様々な条約等に照らして、そして
国際
的な要請にも照らして、民法等の
改正
、是非実現をすべき課題だというふうに
考え
ておりますし、これまでも取り組んでまいりました。今もその意思は全く変わるものではございません。 そういう
意味
では、様々な御
意見
があることも確かでございます。そういうところにも十分納得をいただき、そしてこれからも
説明
もさせていただきながら、この
法案
が早期に国会で御議論をいただくことができますように私もこれからも
努力
を続けていきたいと、これが今の私の決意でございます。
仁比聡平
52
○
仁比
聡平君 取調べ全過程の可視化についてはいかがでしょうか。
千葉景子
53
○
国務大臣
(
千葉景子
君) これも、取調べの可視化については、民主党、そして今回、私も是非実現をすべき大きな課題だということで取組をスタートをさせていただいているところでございます。既にこれについては、実現の方向を見
定め
ながら、今省内で勉強会を続けているという
状況
でございます。是非、これもその取りまとめを着実に進めることによりまして、実現に向けて
努力
を継続をしていきたいというふうに
考え
ております。
仁比聡平
54
○
仁比
聡平君 勉強は制度の速やかな具体化、実現のためのものだと、
大臣
、決意をして臨んでいらっしゃると思いますので、その見通しが全く立たないというのでは政権全体の真剣さが疑われてしまうことになると思います。是非、引き続き実現に向けて全力を尽くしていただきたいと要望を申し上げておきたいと思います。 そうした中で、
国民
の人権擁護と権利実現を担う法曹の養成の問題について少しお尋ねをしたいと思います。 司法修習生への給費制度は、資力に乏しくとも法曹資格取得の道を開いて、高度の専門性を持つ多様な法曹を養成して
国民
の権利実現に貢献をしてきたわけでございます。 我が党は、
平成
十六年に、この給費制を貸与制に変えるというその
法案
には断固として反対を申し上げました。この十一月に、今年十一月に貸与制の導入が予定をされているわけですが、現状でも、例えば日弁連の調査によりますと、修習生の五三%に上る多数の
方々
が、平均で三百十八万円、最高では千二百万円という多額の負債を抱えて、加えて、弁護士登録後も収入の保障がない、あるいは収入が決まらないなどの
理由
で弁護士登録をしない
方々
も増えているということです。 こうした
状況
は、
平成
十六年の法
改正
の当時には全く想定をされていなかったのではないか。
平成
十六年の当時に、この給費制を貸与制にという議論を
法務省
でも、あるいはこの国会でもしているわけですけれども、そのときにこんな事態を想定をしていましたかと、
大臣
、いかがでしょう。
千葉景子
55
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 私も改めて司
法制
度改革、それからとりわけて今御
指摘
のある給費制から貸与制への転換と、こういうときの議論等を振り返ってみるわけでございますけれども、私は全く予測をされなかったということはないだろうというふうに思います。 その当時も、逆に言えば資力の十分でない人でも法曹になる道を閉ざしてはならないということで、逆に奨学金であるとか、あるいは教育ローンとか、あるいは授業料免除制度等の支援制度を十分に整備して活用しなければいけないというふうにむしろ盛り込まれているわけですので、決して予測がされていなかったというわけではないかというふうに思います。ただ、その額がかなり大きくなっているという現状、これは私もなかなか本当に厳しいところがあるなというふうに思います。 それから、弁護士登録をしない方が増えているという
実情
、就職先がなかなかないということも、これは多少予測はしていなかったことではないかなというふうに思うんですね。というのは、そのときにはやはり司法の法曹需要、これがこれから社会の中で大変大きく伸びていくんだと、こういう
考え方
がございました。これが現実化、なかなか顕在化しているというふうには言えないのではないかと。ただ、民間とか公官庁などで確かに少しずつ増加はしておりますけれども、その増加というのは非常に少ない、こういう現状があると、こういうことで、こういうところをより一層増やしていく。 そして、基本的な
考え方
としては、法曹が社会のいろんな
部分
で社会を担い、そして公正なリーガルマインドを持ったそういう者が社会で活躍をすると、こういうことが大きな理念だったので、そこがなかなか進んでいないという現状はあると思いますし、そこまで進まないかなというのはちょっと予測に反している
部分
もあるかというふうに思います。 こういう
実情
の下でこの給費制、そして貸与制の問題も
考え
ていかなければならないというふうに思います。
仁比聡平
56
○
仁比
聡平君 支援制度の議論が
改正
時にあったというのはそれはそのとおりだと思うんですけれども、ただ、ロースクールの学費やその間の生活費などが大変な負担になって、志を貫いて法曹資格を取得をしても、実際に現今の大変深刻な就職難とまで言われる事態の下でその借財を返すことすらままならないと。やっぱりこの法曹志望者の
皆さん
の現状をしっかりとリアルに見た見直しが私は必要だと思うんです。 衆参の当時の附帯決議においては、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることのないよう、また経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、
関係
機関と十分な協議を行うことと明記をされているわけです。 まさにこの
関係
機関との協議を真摯に行うべきときなのではないかと思いますが、
大臣
、いかがでしょう。
千葉景子
57
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 今、御承知のとおり、この法曹養成については、給費制、貸与制という、これに特化をするという、そういうことではございませんけれども、法曹養成に対する検証作業をさせていただいているという
実情
でございます。
法務省
と文科省、それぞれ副
大臣
をキャップにいたしまして検証作業を進めていると。もうできるだけ速やかにその検証の結果、問題点、こういうものを整理をさせていただいて、そして、これをさらに、大きないろんな多角的な
皆さん
の
意見
をいただきつつ方向性を
定め
ると、こういう取組につなげていかなければいけないと
考え
ているところでございます。 そういう中で、法曹の人口の在り方あるいは法科大学院の在り方等も含めて、今後そこの中で、じゃ法曹人口との
関係
で給費制あるいは貸与制、どう位置付けるべきかと、こういうことも併せて検討をしていくものではないだろうかというふうに私は認識をいたしております。
仁比聡平
58
○
仁比
聡平君 もう
一つ
数字を伺いますけれども、こうした下で、近年、法曹志願者が減少していると言われているわけです。
平成
二十二年の大学入試センター法科大学院適性試験の志願者数は何人でしょうか。
千葉景子
59
○
国務大臣
(
千葉景子
君) この法科大学院の適性試験ですね、志願者数、これ、大学入試センターと日弁連
法務
研究財団と両方でやっておりますが、大学入試センターの志願者数は八千六百五十人というふうに、二十二年度ですね、承知をしております。また、日弁連の方では七千八百十九人という数字でございます。
仁比聡平
60
○
仁比
聡平君 その八千六百五十人という数字は、
平成
十五年の三万九千三百五十人と比べますとわずか二二%、約五分の一に急減しているわけです。昨年との対比でいいましても一五・九%減っているわけですね。この
理由
についてはもちろんよく検証も必要かもしれませんけれども、経済的な
理由
で法曹への道を断念する人が増えてしまうということになれば、これは我が国の司法の質と社会正義の実現が損なわれてしまうということになります。 私は給費制を維持すべきだと思います。先ほど
大臣
、検証というお話があったんですけれども、今年の十一月に貸与制へ移行するという、このことが法文に規定をされているわけで、これ、私ども国会も、速やかに協議を深めて、この十一月条項を削除するということを各党よく議論をするという、そうした場を是非つくっていくべきではないかと、これは御提案を
皆さん
にしておきたいと思うんですけれども、少なくとも
大臣
、修習終了者の抱えている借財だとか、あるいは就職
状況
だとか、こうした法曹養成の現場をめぐる現状を検証して、その結論がしっかりと見通せるまではこの貸与制の
実施
は凍結する、現行の給費制を維持すると、そういう方向で検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
千葉景子
61
○
国務大臣
(
千葉景子
君) 今、
実情
については、大変深刻というか、大変負担が大きい
実情
があるということは私も承知をいたしております。 ただ、これは
法律
として成立をしていただいて、ようやく、ようやくというか、施行するという段階に至っているわけでございますので、今の施行前に凍結をするということを決めるということは適切ではないというふうに思います。 ただ、今
委員
も御
提起
をされておりましたように、これは国会の場でも大いに議論をいただいて、確かにこれ、法曹人口の拡大ということと相まってこの貸与制という議論も出てまいりました。そして、
国民
の確かに権利義務を守っていく、そういう大変重い仕事に就いていただくということでございますけれども、これ反面、
国民
の負担の下で行われると、給費制ということになりますと、
国民
のそれは税金負担をお願いをするという側面もあるわけですので、十分に、この辺は
国民
的にそしてまた納得をいただいて、そして議論を進めていく必要があるのではないかというふうに思います。
仁比聡平
62
○
仁比
聡平君 そもそも法曹資格は、法曹資格者の利益だとかビジネスの手段ではなくて、権利実現の担い手という高い公共性、倫理、使命を持つものだと思います。 今の
大臣
の御答弁は、言わば国会の側にボールを投げておられるようにも私受け止めました。
法律
で決めてあることですから、国会でしっかりと議論をして、この給費制の維持のために是非力を尽くして、
国民
のための司法が本当に実現をしていくようなそういう時代を御一緒につくっていきたいということを呼びかけまして、
質問
を終わります。
松あきら
63
○
委員長
(
松あき
ら君) 他に御発言もないようですから、本案に対する
質疑
は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御
意見
もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
民事訴訟法
及び
民事保全法
の一部を
改正
する
法律案
に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
松あきら
64
○
委員長
(
松あき
ら君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
松あきら
65
○
委員長
(
松あき
ら君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十六分散会