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大島九州男君 私、資料を
提出させていただいておりますけれ
ども、その資料の一番後ろの新聞の、毎日新聞、二〇〇八年十二月二十五日のこの記事をちょっと見ていただきたいんですね。資料の一番下、最後のページです。
この「被害認定に喜び 少女両親「娘に伝えたい」」という、これはどういう
状況だったかということを簡単にお知らせをしますと、この被害に遭った少女は、まさに普通学級にいた女のお子さんで、特別
支援学校ができて、そこに行きなさいと。本人は泣いて嫌がったんだけれ
ども、市教委の執拗な勧誘を止めることができなかったと。そしてまた、療育の先生や校長、教頭からも特殊学級に行きなさいと勧められて、最後は転校して特殊学級に行く、これは特別
支援学校のことでしょうけれ
ども、そこに行くようになったと。最後はその子も両親も、すばらしい
教育をするということだからという不安と期待が入り交じった気持ちで転校をされた。そして、そこで起こったのは非常に悲しいわいせつな事件だったと。まさにそういったことが起こった。
これは非常に悲しい、本当にもう我々はいたたまれない事件なんですけれ
ども、やはり望んで自分が特別
支援学校へ行って、それはあってはいけないことですけれ
ども、それも望まないのに、行きたくないのに行かされてそういう目に遭ったなんというのは本当にもう不幸な話なんですね。これで裁判をして、無罪でその先生は刑事罰は受けなかったけれ
ども、民事の裁判をしたときに賠償
責任が認められて、六十万という金額ですけれ
ども、その賠償をしなさいと千葉県と浦安市に判決が下りたにもかかわらず、そういう県、市がまた控訴をしていると。
私、個人的な
思いからすれば、そういう行政がそういった弱い
立場の
子供が被害に遭ったことについて、障害児の言う証言は信憑性がないからということで裁判で争うこと自体、私としては許し難い行為であるし、今度、判決が二十四日に出るそうなんですけれ
ども、もしその判決がどういう形であれ、県や市が控訴をするなんていうのは到底あり得ないということだけ私の感想として申し添えたいと
思いますし、そして、このインクルーシブ
教育、やはり望む中で、
子供たちが、そして親が本当に望む
環境で
教育を受けられるという、その権利をしっかりと国として保障していただきたいと
思いますし、まさに市町村のレベルで、いろんな
学校側の都合、そういったものでその
思いが遂げられないようなことにならないような、そういう行政を進めていただきたいということを要望させていただいて、次へ行きます。
まず、次は、今回、学力の低下と、今まで学力テストをやられて、いろんな形で検証を
文科省もされたと思うんですけれ
ども、ちょっと本を持ってくるのを忘れちゃいましたが、学力の低下を検証した本があります。私が本当に昔から尊敬する学習塾の先生で、福岡県の英進館という塾の筒井先生という館長さんが、非常にこれを分かりやすくまとめてくれているんですけれ
ども。
まず、
子供たちの学力低下が問題となって、ゆとり
教育を始め、
教育施策をめぐる
議論が活発になったのは一九九八年のころだったと。この年、旧文部省が二〇〇二年から実施する新学習指導要領を発表して、教科書内容を三〇%以上も削減するという方針を打ち出した。これを
機会に、塾や
私学の教師を始め、一部の大学
教育関係者や学者の間でのみ語られていた学力低下が多くの人に認識されるようになったというんですね。
それで、まず問題が、この
子供たちの学力低下にその先生が気付いたのは問題が表面化するよりもずっと以前のことだったと。私も塾の先生でしたので、
生徒と接する中で、計算能力はもちろんのこと、思考力や語彙力、記述力などの学習に必要な様々な能力が次第に低下していくのを私も肌で感じておりました。それが単なる感覚ではなくて成績の低下として統計的に把握できたのは、この筒井先生は一九九五年のことだったというんですね。
その一九九四年から一九九六年にかけて、筒井先生の塾の中学三年生約二千五百名を対象に、数学、国語、英語、理科、
社会の五教科で同じ問題を使った三百点満点の学力テストを行って年ごとの成績を比較したところ、一年につき十点近く、約三%平均点が低下をしていたというんですね。当初はその年の塾生の学力が低いのかなと
心配しておりましたけれ
ども、ところが入試結果は前年度よりも格段に良くて、翌年も同様の結果となったので、外部の
生徒の学力はその筒井先生の塾以上に低下しているということが推測されたというんですね。その後、学力低下が各方面から報告されるようになって、更に確信を深めたと。
一九九五年ごろ、当時の中学三年生の夏期講習から入塾を希望する
生徒はどういう形で入れるかというと、部活などでクラス編成テストを受けられないような場合は通知表の三以上の成績であれば入塾を許可しますよという目安をつくっていたというんですね。しかし、この条件をクリアして入塾した中学三年生、三以上ですからね、三Xマイナス十八イコールゼロというような暗算でもできるような方程式が解けないような
子供たちが現れてきたというんですよ。
公立中学ではそこそこの良い成績を収めているという
子供たちにこのような様子が見られたころ、確実に学力低下は進んでいるということを確信したというんですよ。しかも、これは冒頭に述べた学習指導要領の三〇%削減が行われる以前の話なんですね。以前の現象です。
実際、学力はそのころよりも更に低下をしていまして、文章題が解けない
生徒がたくさん出てきたと。例えば、これ簡単に、四百円持って買物に出かけてX円のノートを三冊買おうとしたら五十円足りなかったと、こういう方程式を作ることすらできない
子供たちが増えてきた。図形の証明問題には歯が立たない
生徒も急増し、必要な基本知識や思考力と練習量の不足によって、反復練習をしないという、そういう
子供たちがたくさん増えてきたというようなことで、今の教科書、その当時の教科書でいくと証明の練習問題は三十年前に比べて七〇%も削減をされていたというんですね。
また資料を見ていただきたいんですけれ
ども、一番最初の朝日新聞の資料です。算数の学力大幅ダウン。この資料、二〇〇二年に東京大学
学校臨床総合研究
教育研究センターが関東地方の小学生約六千二百人を対象に、二十年前と同じ問題を用いて算数のテストを行って正答率を比較調査した結果を報じる記事なんです。すべての学年で二十年前の成績を下回っていることが分かります。正答率の落ち込みが最も大きかったのは三年生で、一七・六ポイントも下がっています。また、五年生、六年生の成績もそれぞれ一六・二ポイント、一〇・五ポイントと大きく下降しているんですね。
そして、次めくっていただいて、ここには図表一の三と書いてあります。この図表一の三は、一九九五年と九九年に、これは河合塾が自塾の浪人生を対象に同一問題のテストを行って成績を比較調査した結果です。わずか五年で各教科におけるほとんどの成績層で学力が大幅に低下しているのが分かります。特に中位層、下位層の数学の成績低下は顕著で、理系の場合は中位層で一五・三ポイント、下位層で一五・六ポイント、文系は中位層で一九・〇ポイント、下位層で一六・七ポイントも正答率が低下をしております。小中
学校時代の学力低下は
高校にも確実に引き継がれているということが、これを推察される資料として御提示をしております。テストを受けた浪人生の多くは十九歳であったということを仮に仮定すると、一九九五年のテストを受けたグループは一九八三年から一九九一年にかけて、一九九九年のグループは一九八七年から一九九五年にかけて小中
学校に在籍をして学んだことになるんです。
一九八九年に発表された第二期のゆとり
教育カリキュラムが実際に施行されたのは一九九二、三年ごろですから、辛うじて難を逃れた一九九五年グループに対して、一九九九年グループの
子供たちは内容削減が更に進んだ教科書で中学時代に学んだことになるんです。そうすると、一九九〇年グループの成績が一九九五年グループと比べて、たった四年間で大きく低下をしているのを見ると、
子供たちの学力が学習指導要領と教科内容にどれほど影響を受けたかという証明になっているというふうに考えております。
そして、図表の一の四ですね。この図表の一の四は東京理科大学の澤田利夫教授らが行った中学生の学力調査のうち、正答率の低下が大きかった問題です。特に文章題の正答率低下は大きく、一九七五年の七七・一%に対し二〇〇〇年は二六・一ポイントも低下をしております。これはさきにも述べたその
子供たちの傾向と完全に一致をしますが、計算力だけでなく、式を組み立てるために必要な読解力や論理的思考も更に低下をしているんだということなんですね。
ちなみに、ここの一の四の計算を見ていただいても分かるように、この式の計算なんですけれ
ども、式の計算と下の六分の五Xイコール三十という方程式のこの根本的な問題の解き方の違いでよく勘違いするのは、分数があると式の計算をこれ通分してやらなきゃいけないのを全部掛けて分母払っちゃって式の計算をしてしまうという、そういう陥りやすい間違いをよくやったりするんですが。
こういう事象を見て、
文科省がやっているこの学力テスト、この先生は非常に論理的に分析をして低下しているということを証明してきたんですが、今まで
文科省がやった学力テスト、三年でどういうふうな結果を出してどういう見解を持っているのか、まさしくそういった検証ができたかどうか、ちょっとそれをお聞かせいただきたいと
思います。