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2010-05-31 第174回国会 参議院 内閣委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月三十一日(月曜日)    午後零時一分開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      礒崎 陽輔君     市川 一朗君  五月二十八日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     小川 勝也君      森 まさこ君     秋元  司君      山本 香苗君     木庭健太郎君  五月三十一日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     川合 孝典君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河合 常則君     理 事                 芝  博一君                 柳澤 光美君                 泉  信也君                 古川 俊治君     委 員                 大塚 耕平君                 金子 恵美君                 川合 孝典君                 行田 邦子君                 姫井由美子君                 平野 達男君                 平山  誠君                 秋元  司君                 岩城 光英君                 木庭健太郎君                 糸数 慶子君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    公述人        政策研究大学院        大学教授     飯尾  潤君        国際基督教大学        教養学部教授   西尾  隆君        東京大学大学院        教育学研究科教        授        山本  清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国家公務員法等の一部を改正する法律案林芳  正君外三名発議) ○幹部国家公務員法案林芳正君外三名発議)     ─────────────
  2. 河合常則

    委員長河合常則君) ただいまから内閣委員会公聴会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、礒崎陽輔君風間直樹君、森まさこ君及び山本香苗君が委員辞任され、その補欠として市川一朗君、秋元司君、木庭健太郎君及び川合孝典君が選任されました。     ─────────────
  3. 河合常則

    委員長河合常則君) 本日は、国家公務員法等の一部を改正する法律案閣法第三二号)、国家公務員法等の一部を改正する法律案(参第七号)及び幹部国家公務員法案、以上三案につきまして、政策研究大学院大学教授飯尾潤君、国際基督教大学教養学部教授西尾隆君及び東京大学大学院教育学研究科教授山本清君、以上三名の公述人の方から御意見をお伺いします。  この際、公述人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見をお聞かせをいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  それでは、会議の進め方について申し上げます。  まず、公述人の方からお一人十五分程度で順次御意見をお述べをいただき、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと思います。  御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。  なお、公述人質疑者ともに御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず飯尾公述人お願いをいたします。飯尾公述人
  4. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) 飯尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、今回の法案について私の考えているところを述べさせていただきたいと思います。  非常に印象的でありますことは、衆議院から参りました法律と参議院で出されました法律、極めてよく似ているということでございまして、基になった国家公務員基本法案与野党修正合意によって成立したというふうに理解しておりますけれども、その基本的な枠組みが維持されているというのは大変結構なことだと思っております。ただ、その中で幾らかの御意見の違いがあるんだろうというふうに理解しておりますので、まず、その共通のポイントについて考えるところ、少し違うところについて考えるところについて意見を述べさせていただきたいと思います。  国家公務員制度改革というのは極めて大きな改革でございますので、今回の法案は、どちらも非常にその一部、まあ一段階法律だというふうに理解しております。ただ、小さいように見えるけれども、極めて大きな一歩を踏み出すような内容ではないかというふうに理解をしております。  それは、長らく、例えば日本の場合は省庁縦割りが極めて強いというふうに言われますけれども、今回の法案では、幹部に限っておりますけれども、内閣一元化という方法の具体的な方向が出されているということは非常に重要なことだろうというふうに思っております。  それから、実は、こういう制度を導入するのに、ただ一元というだけではなくて、一元化することによって、これまであいまいであった問題に一定の何か解答があるというふうに思っております。  と申しますのは、実は日本国家公務員、とりわけ幹部についてどのような人事を行うのか。もちろん、一般職、これまで一般職でございましたので、成績主義あるいは能力主義ということは当然のことではあったわけでありますけれども、どちらかというと、どのような手順で任命するのかというのは任命権者にゆだねられている側面があったのに対して、ともすれば非常に政治的な恣意が入りやすい、そういう分野について、今回、例えば閣法を見ますと、内閣総理大臣と各大臣が協議するということ、これまでも実質的にはそのようなことが行われていたというふうに認識していますが、それが法律の中に書き込まれたということは、どちらかというと客観性を担保する点では意味があるのではないかと。任命権者が一方的にするのではなくて、総理大臣と相談をする、あるいは総理大臣補佐機構があるということは非常に大きなことではないかというふうに思っております。  どこの国でもそういうことでございますけれども、公務員人事公正中立で行われなければいけないことは当然ではありますけれども、幹部になってくると一定の政治的な応答性ということが求められることがあって、いわゆるメリットシステム政治的応答性のバランスをどのように取るのかと、非常に難しい問題がございますけれども、これについて少し、これまで法律が書いてこなかったことを扱うような、そういう仕組みができたことが良かった。  しかも、これまでですとポストごとにばらばらであったのに対して、幹部についてはいわゆる人材プールといいますか名簿を作ってその中から資格者を選ぶと。これまでですと、幹部に実は空きが出るということになると、だれかを当てはめないといけない。ややもすれば実は年次で自動的にどんどん充てるということであったんでしょうけれども、これからは幹部について一定資格審査するという、ある客観性担保のための手段が導入されている。もちろん、具体的なことは実はこれからどのように政令等でその中身を補っていくかに懸かっているわけですけれども、少なくともそういう形式が整ったということは非常に重要なことでありますし、あるいは公募制ということも実はできる仕組みになってきたと。  これまでも実は幹部について外から入れたことはないわけではありませんが、個別の協議ということでありますから、十分に能力ということを測ることは難しかったのに対して、名簿に登載するときに資格を、適格性審査をするということでありますから、そういう幅の、必要が出る前から候補者を選んでおいてそれで入れる仕組みということは、人材の交流については実は非常に大きな意味があるのではないかというふうに考えております。  ただ、その中でもう一つ次に問題になるというふうに考えますのは、人事柔軟性ということであります。この場合は、閣法の方は一般職だけれども少しほかの一般職とは違う扱いをするということでありますし、それに対する対案の方は特別職だけれども一般職に準ずるということで、まあ似てはおりますけれども、何か特別な扱いをするということになっているわけだと思います。  その場合、閣法の方、実は幹部公務員について職制同一段階とみなすということ、これ、非常にこれまでの考え方を大きく転換するというふうな考え方だろうと。人事幹部については弾力化するということでありましょう。これをどのように考えるかということであります。  一部の批判から考えると、非常に差のある職位同一職制と考えるということになると恣意的になるのではないかということを心配されるところであります。しかしながら、逆に言うとメリットもあるというふうに考えまして、その後でその心配をどのように除去すべきかという話をいたしますが、どういうことかと申しますと、実はこれまで日本国家公務員体制は、いわゆる法の建前と実際に行われていることに少しギャップがあったのではないかというふうに考えております。  と申しますのは、もちろん、御案内のように、国家公務員法制は、戦後導入されたときには、どちらかというとポストごと、例えば何々局長、何々審議官ということで実は身分保障していると。そういう建前でいくと、実は一度任命されると定年までずっと居続けるということは予想されるわけですが、ところが現実にはそうではなくて、毎年のように人事が行われる。なぜそのような人事をこの幹部公務員が受け入れているかといえば、生涯あるいは定年までは職の保障をすると。実は法の建前ポストごと保障しかしていないけれども、実質的には実は生涯にわたって定年までは雇うということを保障すると、こういう仕組みになっているわけですね。つまり、世界の公務員制を見ると、職位に対する保障キャリアに対する保障というのは両方あるわけですが、日本の場合は法の建前と実質が実は違っているという側面があったというふうに思います。  その矛盾をどのように解決するかということの答えの一つが恐らく、幹部について、これは管理職についてはどうするかを今後考えないといけませんが、私自身幹部に準じて少し違うものを考えるべきだというふうに考えておりますけれども、幹部について見ると、少し弾力化することによって、あるいは柔軟化することによってその問題を解こうとしているんではないかというふうに私自身は解釈しております。  どういうことかと申しますと、結局、これは閣法の方は一般職になっているわけですから、客観的根拠に基づいてその人事は行われる。しかしながら、幹部という場合は、実はそのときの政策課題とか、様々、政権のその課題に応じて能力というのは固定的ではない。  例えば、ある局長がいたときに、これまでの仕事、日常的な業務を差配するためには十分な能力を持っている、しかしながらある特定の法律改正案なんかを作らなければいけない、そうすると、ほかに幹部職の中により優れた人が、別にその本人が失敗したわけではなくて、本人能力がなくなったわけではないけれども、より優れた人が出てきたときには交代するということも一つ考え方であろうということになると、別に本人が失敗したわけではないけれども交代してもらおうというのも幹部の中では考えられる制度であろうと。  今回の提案されている制度というのは、そういうことを考えるということを一つ入れているのであろう。ですから、能力とか実績を評価するといっても、幹部については、それぞれのその政権あるいはその省の必要が変わってくるので相対化しようと。ですから、一般職の中ですから、原則は維持されているわけで、実は相対化しようという工夫の一つであろうというふうに考えております。  そこで、そのときの必要に応じて、これまでであると、実はそういうことが必要が出たときどういうことをしているかというと、幹部皆さんについてはやはり勇退を迫ったということになろうかと思います。  しかし、そのことをどう考えるかというと、これがいろいろ議論のあるところでありますけれども、いわゆる天下り問題ということはこのことと密接に関係していて、つまり、法律と実態がずれているところをどのように処理するかというと、天下りということがやっぱり必要になっていたと。つまり、天下り病理だと言われますけれども、実は生理と密接に関係していて、法律のすき間を埋めるためにやっぱり天下りは必要であったんだろうと思われます。  しかしながら、現在国民からの批判も強いし、各党ともに実はこのことをやめるということを考えると、病理を除去するためには生理の方も変えていかないといけないということになってくると、もう一つのこの問題、じゃどのように考えるかというと、幹部皆さんについては、これまでであったら勇退ということで官職辞めないといけないけれども、じゃほかのポジションでまた待機をしていただくということも考えられるだろう。  つまり、例えば局長をやった、あるいは事務次官になった人たちが、実は必要性が変わって、ほかの人が、もっと適当な人が出てきたということになると、これまででいうと辞めていただくということになったけれども、もう少しアドバイザー的なポジション、もちろん職務が違いますから給与は違うということに、下がることもあり得ると思いますけれども、そういうところでやはり待機するということを今回、ですから、一応職の保障はしていこうということはこの法律の中に残っていて、元々の法律でいうとその保障ができないということで、なかなか、辞めていただくと非常に気の毒なことになるということをカバーするという意味があるのであろうというふうに思われます。  そういう点でいうと、やっぱり勇退扱いが変わっていくというのは非常に大きな意味があって、天下りをやめようと思うと人事仕組みも少し変えていかないといけないということを私なんかは考えていて、今後どのように制度を運用するかによって非常に大きな違いは出ますけれども、そのための第一歩であろうというふうに私自身は考えております。  そう考えますと、今回内閣人事局が設置されるというふうに提案されておりますけれども、内閣人事局、今回、例えば改革基本法案に比べても最小限の実は構成になっております。ただ、私自身は、現段階においては最小限構成としている閣法考え方は悪くないのではないかというふうに思っております。と申しますのは、やはり幹部職についての改革を先に進めようと、こう考えますと、幹部について組織定員等の面倒を見るとするとごくごく少人数で恐らく足りるはずで、ほとんどその組織定員等、現在関係部局でやっている仕事というのは実は公務員全体を見ているわけでございますから、幹部だけ先行してあとはじっくり考えるということになってくると、やはり徐々に整備するというのが現実的ではないかというふうに私自身は感じております。  そういう点でいうと、給与定員管理というのは今回切り離すということでありますけれども、将来の課題としてはやはり給与定員在り方を見直していくべきだというふうに私は思っておりまして、人事でありますから、今回の法案は取りあえず幹部については柔軟化する。しかし、柔軟化してくると、その受皿となるポストが必要になってくる。行政改革関係してきますし、あるいは給与在り方も考え直すということは、やはりこの法案が通った後、次の法案で処理されるべきであろう。ただし、じゃ同時にそれが処理されるべきかというと、今回の例えば夏の人事で恐らく変わるのは一部であろうと考えると、恐らく一年、二年の猶予はあるんであろうなというふうに見ておりますけれども、そういうことを総合的に計画されて改革を進められるということが是非必要であろうというふうに思われます。  ただ、そういう点で考えると、実は今回は幹部について先行的にされるということでありますけれども、いわゆる管理職レベルの方あるいは一般職について、これ労働基本権の問題もあるかと思いますけれども、総合的に解決した上でやはり総合的な改革、これで公務員制度改革は終わってはならない、もちろん、基本法案ありますから終わるはずはないわけでありますから、続けて改革をされるべきだろうというふうに考えております。  そういう点でいうと、そういう総合的な改革は是非必要でありますけれども、例えば政府提出法案を見ても、修正をされているところを見ると、例えばこの法案、当初は三月に成立して四月から準備を進められるはずであったというふうに予定しておられるんでしょうけれども、既にもう二か月ほど遅れているということになると、改革基本法案の全体像をつくるためにもう少し改革のスピードを上げられる必要があるんではないかというふうに私自身は思っておりまして、この委員会でも議論をされている実はこの三つの法案でありますけれども、一と二、三は原則的に言うと非常に似ているということを考えると、やはりどこかで与野党歩み寄られて話を次の段階に向けて、いつ次の法案提出されるのか私詳しく承知しておりませんけれども、できるだけ早くそういう議論をする、あるいは法案が出る前でも委員会議論を積み重ねて、こういうことをやるべきだということであります。  つまり、政権交代ということが去年の秋に起こったわけですけれども、再びまた政権交代が起こる可能性は十分あるという状態の中であれば、やはり国家公務員は非常に長いキャリアの中で暮らしているとなると、だれが政権を取ってもやはり安定した制度で暮らすことは非常に重要でありまして、与野党合意の上でこういう改革はどんどん進められるということを期待したいと思っております。  私の意見は以上でございます。  ありがとうございました。
  5. 河合常則

    委員長河合常則君) ありがとうございました。  それでは次に、西尾公述人お願いをいたします。西尾公述人、どうぞ。
  6. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 国際基督教大学西尾隆でございます。私は行政学公共政策を専攻しておりまして、内外の公務員制度を中心に研究しております。  本日は、この公聴会意見陳述の機会を与えていただき、どうもありがとうございます。  現在審議中の政府提出国家公務員法改正案、それから野党の方からも法案が出ております、それについて思うところを述べさせていただきたいと思います。  順序としまして、最初に、少しこれまでの改革議論を振り返って、その文脈の中で今回の改正案がどういう意味を持つかについて考えたいと思います。次に、これ一番重要なポイントかと思いますが、幹部人事内閣一元管理という課題について、政府案野党案についての意見を述べたいと思います。それから、天下り規制についても意見を述べ、それ以外の論点についても短くコメントをさせていただければと存じます。  まず、この公務員制度改革議論というのは、官僚の不祥事が続出、続発しました一九九〇年代の半ば以降本格化しまして、二〇〇一年の末には公務員制度改革大綱閣議決定を見ておりますので、十年たった今なお足踏みをしているということには少々驚きを禁じ得ないところもございます。九七年に公務員制度調査会を設置し、行革会議をリードした橋本内閣から数えますと八つの内閣がこの課題に取り組みながら、国家公務員倫理法の制定以外には余り見るべき進展はなかったように思います。しかし、このことは、改革の副作用が個々の職員のパフォーマンスを下げたり、日常の行政運営に支障を来すことのリスクを考えて、政権が半ば本能的に慎重を期してこのテーマに取り組んできたということかもしれません。  公務員制度改革は、与野党間の対立というのはもちろんあるんですけれども、それ以上に政官の間の攻防が重要な軸になっていると思います。その意味で、与野党合意で成立しました二〇〇八年の国家公務員制度改革基本法は、真の議院内閣制を確立するための公務員制度を構想しておりまして、大きな前進でありました。その背後には、改革を求める世論の後押しがあったことも疑いないところであります。そういうわけで、この基本法合意を起点として、またこれまでの様々な議論の成果を生かして、できるところから一歩ずつ中長期的に、五年とか十年先を見据えながら改革を計画的に進めていくことが肝要かと思っております。  それで、法案の重要なポイントである幹部職員一元管理について意見を述べたいと思います。  戦前から日本官僚制問題点として、省庁間の割拠性調整機能の弱さというのがずっと指摘されてきておりますけれども、この幹部人事一元管理が実現しますと、この課題を克服する大きな一歩となると期待できます。私も学生時代にこういう一括採用一括管理というふうなことを聞きまして、空想だというふうに思っておりましたが、空想から科学への公務員制度の発達というふうなものが見えるような気がしてきました。  とはいえ、この幹部職員本籍地と言われる出身官庁との関係をどう断ち切ることができるかということがこれからの重要な課題ではないかなと思います。  ちょっと思い起こすのは、一九九六年に、当時の連立与党行革プロジェクトチームというところで省益の打破を掲げて、Ⅰ種試験合格者人事院かあるいは内閣に新設する人事室というところで一括して採用し、その後退職まで人事省庁間異動原則とするということを提案したことです。座長は枝野幸男氏でしたけれども、当時は一括採用一括管理という言い方をしておりました。  公務員の身分と帰属意識採用時の試験官庁によって決められる現行システムというのは、入口選別制というふうに呼ばれておりますが、天下りの慣行と相まって、職員行動様式省益主義に傾斜させてきたんではないかなと思います。入省時に、言わば君の人生預かった、それで職員の側も私もこの一身をささげますといったような、職員官庁の間の暗黙の長期契約、これが生きていると思うんですが、これに手を付けないままこのシステムの中で育った幹部一元管理を行っても、直ちに効果が上がるとは考えられません。  六百人程度と言われる、ある意味ではすべてのキャリア職員数からいえば少数の幹部職員一括管理からスタートするということは理解できますけれども、基本法で提案されております幹部候補育成課程の整備とともに、入口である採用時の一元化を近い将来の課題として是非検討していただきたいと思います。  次に、一元管理の前提として、この法案の三十四条に事務次官局長部長クラス同一職制上の段階に属するとみなすという規定がございます。これは、降格降任人事を容易にするための措置のようですけれども、やや無理があるのではないでしょうか。数百万円と言われる給与面での落差もさることながら、業務内容や責任の程度から見ても、次官と局長部長同一職制上の段階とは呼びにくいのではないかと思います。  確かに、内閣による自由度の高い幹部人事を行うためには、外部から、あるいは下から抜てきの必要が生じ、そうすると幹部降格も視野に入れるという考えなのかと理解はいたします。しかし、実際にどのようなケースで、またどのような程度の頻度でこの降任人事がなされるかを考えますと、大きな政策転換に伴う比較的まれなケースでなるように思います。としますと、この降格人事政治性とか恣意性が入らないよう明確な抑制的なルールを設けておいた方がよいと考えられます。  これと関連してですけれども、幹部職員にどんな仕事をこれから期待するのかということも重要な課題です。  イギリスでは、ブレア政権の下で特別顧問、スペシャルアドバイザーの制度が活用されまして、政策能力を買われて外部から政治任用が行われておりました。その結果、職業公務員幹部は政策立案よりも組織管理の役割に限定される、そういう傾向が見られたというふうに言われております。  そこで、日本の場合、内閣による幹部人事がどのような意図でなされるのかということを想定しているのか、政治的人事であってはなりませんけれども、その意図が新しい政策開発を目指すのか、それとも組織運営の刷新を目指すのか、確認をしておく必要があります。公務員制度人事も一種の行政運営のツールですので、人事それ自体がパフォーマンス的に目的化されることのないよう、この人事の目的意識を問いたいと思います。  野党からの対案では、幹部職員特別職とする、この点が注目されます。このことは、幹部職員大臣、副大臣、政務官などと同一のカテゴリーに入って、公務員法と人事院の制約から自由になることを意味します。次官職を特別職にするという考え方は国公法の成立時期にも出ていた考え方で、行政への民主的統制を強化するという意義はありました。その意味で、特別職というのは何か、政と官の境界をどこで引くかを明確にするその機会でもありますが、一気に局長部長、六百人強でしょうか、までを特別職とする必要については、私はちょっと疑問を感じております。事務次官のみを特別職とすることで内閣による主導は確保できるように思います。  それから、内閣人事局制度設計につきまして政府案野党案に違いがありますので、ちょっと意見を述べたいと思います。  野党案は、二〇〇九年に提出され廃案となった政府案と同様に、人事院、総務省などからの必要な機能の移管をするとしていますが、政府案ではそうした組織の再編を予定していません。  私の見方はややアンビバレントなんですが、第三者である人事院の級別定数と総務省の定員機能まで移管しますと、人事組織管理のチェック・アンド・バランスが崩れはしないかという危惧があります。他方、内閣が機動的に幹部人事を行うために、内閣人事局の下にこれらの機能を一元化した方がよいという考え方理解できます。  内閣による幹部人事一元化が進めば、同時にメリットシステムを堅持するために独立性の高い第三者機関の役割も大きくなります。とはいえ、人事院の級別定数がメリットシステムのかなめかどうかというのも疑問も残るところでございます。組織の再編については、イギリスが政権交代のたびに大規模な改革をやっておりますけれども、組織の単位などは一つのパーツだと思って内閣は自由に組み替えるという考え方は学んでもよいのではないでしょうか。  いずれにしても、幹部人事内閣一元化で一体何を実現したいのかという観点から議論を重ねる必要を感じます。  以上、一元化についての話がやや長くなりましたけれども、天下り規制についても短く意見を述べたいと思います。  この天下り問題の難しさは、再就職は当然の権利という職員側の見方と不公正で特権的だという国民からの見方との認識の深いクレバスにあります。  私は十年ほど前に、「天下り再考」という論考の中で、次のように天下りをちょっと定義してみました。これでも少し要約しているんですが、一方で縦割り型官庁人事慣行を前提とし、他方で官庁とその対象となる企業、団体との公式、非公式の関係を背景として、定年前に退職せざるを得ない幹部職員が所属官庁のあっせんにより再就職するところの、市民の目には不透明でアンフェアだと感じられる慣行ということかと思います。  したがって、天下り官庁組織の、飯尾先生が今言われたように、言わば生理に根差しておりまして、一気に根絶することは困難です。そこで、できるだけ透明度を高め、その実態から温床となっている無駄な組織や事業を整理し、公費支出の蛇口を絞り、より公正に人材の社会的活用が可能となるような工夫を重ねていくしかないと考えております。  今回の政府案では、これまで内閣府に置かれていた官民人材交流センターを民間人材登用・再就職適正化センターとしていますが、この名称で目指すところは明瞭でありません。これまでの経験から明らかなことは、例えば既に民間人となった官僚OBによるあっせんだということにして表面に現れない不公正な天下りが依然多数存在していることであります。むしろ、公益法人の事業仕分などによって天下りの問題があぶり出されており、こうした手法を組み合わせていくことも重要な手段だと思います。  天下りの最大の問題点は、公務員が見えないところで特権を享受しているという構造を人々に印象付け、国民全体の士気が低下することです。日本の将来は、公務員の士気にではなくて、国民の士気にこそ懸かっております。勤勉に働いて税金を納めている国民のやる気をそぐのに天下りほど悪影響のあるものはありません。  早期退職慣行を是正するために、総人件費の二割削減という民主党の目標が足かせになることも指摘しておきたいと思います。私は、多少コストが掛かり職員数と人件費の削減に逆行しても、天下りの計画的な抑制、削減の方が優先順位は高いと考えております。  最後に、本当に項目だけになりますが、公務員制度改革には次のようなテーマも併せて考える必要があるのではないかなと思っています。  一つは、先ほど採用時の入口改革について申したこととも関連しますが、若い職員の育成にもっと関心とコストを払う必要があります。鉄は熱いうちに打てと言いますけれども、組織内のOJT中心の育成だけでは省益重視の姿勢が染み付いてしまいます。公僕としての姿勢とか、政治の方針に従い政治主導を支える意欲とか、個々人の専門性を高めるために、公務研修の手法と内容には開発の余地がまだまだあるはずです。例えば、行政の無謬神話を超えていくために、過去の失敗事例の研究を本格的に行うことも有効だろうと思っております。  次に、私は、相互性、英語で言うとミューチュアリティーの支配というふうに呼びますけれども、同質集団で固まりがちの日本官庁組織を多文化化することがその活性化に結び付くように思っております。女性の比率を高め、民間人を増やし、場合によっては大学院生のインターンを呼び込むことで、一時的にパフォーマンスが落ちるように見えても、異質な要素の触媒的な効果によって、言わば和ではなく積の力が生まれると思います。  最後になりますが、二〇〇六年の行革促進法には反する意見ですが、日本公務員数はやや少な過ぎると思っております。国際比較のデータを見ても、この国の人口や課題の重さから見た日本公務員数は驚くほど少なく、このことからくるストレスが公務員の心と体をむしばむことが危惧されております。国民の合意が大前提ではございますけれども、政治が公務員の負担の重さについて真実を国民に伝える努力も必要ではないかと思う次第です。  以上でございます。
  7. 河合常則

    委員長河合常則君) ありがとうございました。  次に、山本公述人お願いいたします。山本公述人
  8. 山本清

    公述人山本清君) 山本でございます。よろしくお願いいたします。  私は、元々といいましょうか、パブリックセクター全般のマネジメントでありますとか非営利組織の経営につきまして研究をしておりまして、国家公務員制度改革につきましても、もう少し広い視点から今日は意見を述べさせていただきたいというふうに考えております。  お手元にレジュメが配付されていると思いますものですから、それに基づきまして申し上げたいと思います。  最初に、公務員制度の今回の改革を考える場合の視点でございますが、ここには書いてございませんが、多分、恐らく二つの大きな流れがあるんだと思います。  一点は、やはり戦後、日本国憲法によって民主的な行政を行うということになっておったのでございますが、やはり官僚の役割というのが基本的に余り大きく変わってないのではないかということで、それについてのやはり政治主導の確立を今回明確にしようというのが大きな目的の一点としてあるのではないかと。  もう一点といたしましては、民主的統制という以外の面で、いわゆる官僚自身の機能低下が見受けられるのではないかと。いわゆる高度成長期等を支えておった官僚自身が、今のような不透明な時代にもういろいろな問題が、トラブルが起こっておる、それに対して官僚自身の見直しをやはり立法府においても制度設計を再構築すべきではないかという大きな流れの中で今回の改革がなされて、検討なされておるんだというふうに理解しております。  その中でも、とりわけ飯尾公述人のお話にもありましたとおり、国民とかあるいは社会に対する適応性ということも当然重要になってまいりますし、あるいはこの財政危機下における執行の効率化ということについても公務員制度改革を通じて貢献していくということが同時に要請されているというふうに思っております。  ただ、我々、公務員制度改革をとらまえる場合に、公務員というのは、確かに主要な人的資源の大きな、公務サービスの場合の大きな要素でございますが、やはり我々としては、国民あるいは社会に対してより効果的なあるいは効率的な行政サービスを提供する一つの資源の主要な機能としていわゆる人事管理あるいは公務員制度があるんだということでございますものですから、あくまでも今回のような公務員制度改革を考える場合におきましても、いわゆる目指すべき行政運営システムあるいは行政の経営システムがどういうものを目指しているのかということの中で整合性が取れているかどうかということがやはり大きなポイントになるだろうというふうに私は思っております。  とりわけ、我が国は議院内閣制でございますものですから、今回、政官関係ということで、行政府の中におきます国会議員と官僚との関係、これは幹部公務員幹部職員について新たな対案等も出ているわけでございますが、こういった行政府の中における政治家と官僚機構あるいは行政官との関係をより改善していくと同時に、やはり立法府と行政府の関係、いわゆる立法府が行政府をコントロールする場合においてどういった機能がこの公務員制度改革に伴って必要であるのかということについても、是非こういった場で御議論を賜りたいというふうに考えておる次第でございます。  現在のところ、公務についても民間的な発想なり思想をどんどん導入したらどうかということがいろいろ議論はされております。しかし、少し注意しなきゃいけない点といたしましては、やはり幹部職員の任用等においても重要な点になってまいりますが、公正でありますとか中立性ということは非常に大きな問題でありますし、公権力の行使を伴いますものですから、それに対する一種の担保といたしまして民主的統制をどういうふうにしていくかということを同時に忘れてはならないと思います。  ただ、世界的には、そうはいいながら、パブリックとプライベートセクターの境界をなるべくなくそう、そういったニュー・パブリック・マネジメントでありますとかガバナンス的な思想が非常に拡大しているということも事実でございます。こういった中で、我が国の行政システムあるいは公務員制度がどうやって進んでいくのかということを考えていく必要があるかと思います。  二ページ目の方に参らせていただきますが、今回の閣法あるいは衆法あるいはそれの改正等につきまして、我が国がどういう方向を目指しているのか、その政官関係について図で書いてございますが、上の方が政治家であって下の方が官僚というイメージで見ていただきたいと思います。上がAからBとかいうふうに変わっておりますのは、政権が交代した場合に官僚機構がどういうふうに変わっていくかということを示したわけでございます。  私が聞くところによりますと、今回の閣法なり衆法等の基本的な考え方といたしましては、英国的なモデルがかなり参照されているやに聞いておりますが、もし英国的なものをイメージするとなりますと、英国そのものは、政権が替わりましてもいわゆる幹部公務員も含めました公務員自身は替わらないと、すなわち、主人が替われば主人の好みに応じてある意味でエージェントの方もそれを支えていくということでございます。  したがって、そういうことからいきますと、政権への忠誠と中立性が非常に必要になってまいりますし、いわゆる都合が悪いことについてもやはり政権にとって言わないと、かえってその政権にとって足を引っ張るということになりますものですから、素直な助言を可能にするためにはやはり任命人事の中立性が非常に重要になってまいります。いつ降任になるかもしれないとか、あるいは免職になるかもしれないという状況においては政権に不利なことを、専門的な助言ということを申し述べることは非常に難しくなりますものですから、いわゆる政治家と官僚との関係においての適切な距離感というのをいかに確保するかというのが制度設計上において非常に重要なポイントになってまいるだろうというふうに思っております。  したがいまして、そこら辺をどういうふうに考えるかということでありましょうし、あるいは政治的応答性をということであれば、政治的任命職を非常に増やすということになりますし、米国とか独仏等のタイプになろうかと思います。  ただ、独仏等のいわゆるキャリア公務員といいましょうか上級公務員につきましては、かなり政治信条的に不一致の場合というのはやはり政治的忠誠心というのが欠ける場合がございますものですから、その場合に対応して、いわゆる政権与党等とイデオロギー等で大きく違う場合においては、いったん地方政府の方に入るであるとか、あるいは中央政府の中でも別のそういう企画とか立案部門以外のセクションに移ると、こういった一つの生活の知恵的な発想が同時に生涯職の場合でも担保されておるわけでございます。  したがって、それぞれの国はそれぞれの特質の中にあるものでございますから、もし日本が目指すのが英国的なものであるとすれば、それが何ゆえに機能しているのかということについて正確な理解が私は必要ではないかというふうに思っております。  そういう点からいきますと、日本の現在の官僚自身がどういうふうな状況にあるのかというのは、ごく最近村松岐夫先生が出版されました本の中から抜粋してまいりましたが、村松先生は、一九八〇年、一九九四年、二〇〇三年―二〇〇四年にかけまして三回にわたる、官僚だけではなくて政治家あるいは圧力団体等について調査をなさっておられます。  それから見ますと、ここに網掛けがしてございますとおり、官僚自身が、今後政治主導になるというような意見の順位が徐々に上がってきておりまして、少なくとも二〇〇三年から二〇〇四年にかけては第一順位が、官僚としては、今後は政治主導が、政治の影響力が強まって官僚の影響力が弱まるのではないかというふうな認識が一番多くなってございますものですから、官僚機構の方としても今回のような政治主導についての受入れ体制というのは整ってきている。そういう意味においては、今回の制度設計の検討時期というのはそれなりに適切な時期にあるのではないかというような感触は得られるわけでございます。  ただ、問題は、それを、どういうふうに政治主導を完結していくかということになろうかと思います。その点で私が考えますものでは、改革すべき事項のところに書いてございますが、やはり行政府内部での新しい政官関係の確立ということでございまして、とりわけ立法府との関係を含めました政治家と官僚の分担関係をどういうふうにしていくかということが、私はまだ改革基本法あるいは今回の三つの法律を読んでもなかなか見えないというのが正直なところでございます。とりわけ、今後、国際的な動向等を踏まえた迅速な意思決定とあるいは戦略的な決定をする場合のそういった専門性であるとか決断力等が政府全体の機能の中で担保されているかどうかということについてはかなり疑問点が残って、それを担保するような公務員制度改革が必要ではないかと思います。  とりわけ、中立性、公正性と専門性の確保というのは、これは官僚制のもう基本であるわけでございますが、私は官僚皆様ともお付き合いあるわけでございますが、やはり政策の立案、分析、助言の機能というのは私は正直言って低下しておると思います。そして、いわゆる調整型官僚と言われておった時代があったわけでございますが、非常に国会対応でありますとかいろいろな調整機能で日常的な活動のほとんどが取られて、肝心な政策の仕込みであるとかあるいは分析をしていくというのが低下しておって、その分析であるとかいうのがシンクタンク等の方に、丸投げとは言いませんが、かなりなっていって、それが、適切なシンクタンクが日本において育っておればいいんでございますが、日本においてはかなり中立的なシンクタンクというのが非常に少のうございますものですから、そういう点からいって、官僚のシンクタンク的機能がどんどん低下していった結果が国力の大きな減退につながっているのではないかというふうに考えておる次第でございます。  時間も参りましたので、三ページの方に移らせていただきます。  法律案へのコメントでございます。これは、三案、今日出ておりますが、三案についての包括的な私の意見でございます。  私は、目指すべき方向というのは、確かに今、政治家から場合によっては官僚に対する働きかけが全くゼロではないでしょうし、あるいは官僚側が政治家に対しての働きかけは依然として行っているということもあるかもしれませんが、そういった実態はやはり断ち切るべきであろうかと思います。  ただ、問題は、その政治的なネゴシエーションであるとか政治的な調整をやるということの機能をいわゆる幹部職員あるいは幹部公務員に担ってもらうことがいいかどうかということについては、私はやや疑問に思っております。むしろ、非常に政治的なことというのは、改革基本法にも書いてございますとおり、むしろ政務スタッフ等を活用した方がいいのではないかというふうに考えておるところでございます。その点を強調しておきたいと思います。  なおかつ、内閣人事局の役割でございますが、これは実際運用をどうするかによりまして、幹部公務員法案あるいは幹部職員法案あるいは閣法、どちらもどうなるかは不透明でございますが、やはり官僚機構が持っている専門的知識、助言というのを、忌憚のない意見を言うためには、それなりのバッファーといわゆる身分の保障ということが確保される必要があるということで、なるたけその人事については公平性、中立性が担保されるような措置がいずれにいたしましても必要ではないかというふうに思っております。  あと、大きな問題といたしましては、労働基本権の付与ということが大きな議論になろうかと思いますが、私は原則的には三権を付与すべきであろうというふうに思っておりますが、ただ同時に、現在も有しておりますような人事院の中立的、専門的機能をもっと活用した方がいいのではないかというふうに思っております。  なお、人件費の二割削減の問題でございますが、国家公務員、五兆円でありますとか、あるいはそういうお話が出ておりますが、国、これは独立行政法人も含めた連結ベースの人件費というのは十兆五千七百六十億円ぐらいございます。これを、企業会計ベースの業務コストは百五十二兆円でございますから、このベースでいきますと七%ぐらいになります。  それで、五兆円というのを一般会計と特別会計の純計の二百兆円で相当いたしますと二・五%ということでございますが、いずれにしても、公務員の人件費を、全体でこれぐらいの割合でございますから、これを削減することだけではとても現在の財政改革は達成できないわけでございまして、むしろ今必要なことは、人件費も含めた総コストの抑制が重要でありまして、人件費がたとえ二割減ったとしても物件費等が増えれば何にもならないわけでございますから、やはりむしろ、人件費の管理だけではなくて、そういった行政の執行コストをどうやって減らすかということの中で人件費改革を位置付ける必要があるのではないかというふうに思っております。  最後に、四ページ目の結論でございます。  これは読み上げさせていただきますが、世界各国の公務員制度改革、特に幹部公務員制度はいずれの国も改革を進めているが、いまだ成功と言えるものはないのが現状でございます。それは、生涯職制は適応性を欠き、職位制は集団性を欠く欠点があるためでございます。前者には絶えざる革新性と専門性の維持が必要でありますが、なかなか、生涯職になりますと安定志向になりますので、それは難しゅうございます。一方、後者には共通の公共価値観、いわゆるパブリックバリューと公務員としての集団意識の醸成が求められていますが、これもやはりポジションごとの、要するに職を充てるということでございますから、これは一体化がなかなか難しいということで、これらは各制度の基本理念と矛盾する側面がありまして、両者とも必ず正解がないわけでございますものですから、我が国における改革におきましてもやはり種々基本的な理念に立った試行錯誤の中で模倣から創造に進化させていただきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  9. 河合常則

    委員長河合常則君) ありがとうございました。  以上で公述人各位の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入らせていただきます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 民主党の柳澤光美でございます。  本日は、本当にお忙しい中を公述人皆さんには御出席いただきまして、本当に貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。時間の制限もありますけれども、何点かお伺いしたいと思いますので、是非また忌憚のない御意見をいただければと。  私は、公務員制度改革の目的は大きく今回二つあると思っておりまして、一つはこれまで縦割りで閉鎖的と言われた官僚組織を透明で効率的なものにすること、それからもう一つが有能で多様な人材を適切に登用することによって国民の期待に的確かつ迅速にこたえる体制を整えること、これが大きな目的で今動いているわけですが、そのためには長く政権交代が行われない中で続いてきた政と官のいびつな関係をまず見直そうと、そして国民から選ばれた政治家が官僚をコントロールする真の意味での政治主導を確立することが重要だというふうに私たちは考えています。  ですから私たちは、民主党が政権交代した後、直ちに百二十三年間も続いてきた事務次官会議をまず廃止をしました。そして、閣議そして閣僚委員会で実質的な政策決定を行う仕組みに改めました。また、各府省においても、大臣、副大臣、政務官から成る政務三役がチームとなって政策を協議、決定して、官僚はその指示を受けて個別の行政執行に当たるという仕組みを確立をして、今もう動かしています。  特に、私は、今回の政権交代で一番変わったのは、もちろん官僚皆さんの意識も事業仕分等で変わりつつありますが、本当に国会議員、いわゆる政治家が大きく変わったというのを肌身で感じています。特に政務三役になられた皆さんは、昨年から本当に休みも取れない、夜まで審議会議を続けるという中で、まだまだ慣れていない点はたくさんあって、御指摘もいただきますが、答弁もすべて政務三役が行うというところにこの日本の政治というのは今もう大きく変わり始めているというのを私自身は肌身で感じております。  それを前提に何点かお伺いしたいと思うんですが、まず最初に、今回の政府案で設置することとしているこの内閣人事局についてですが、関係機関からの機能移管が盛り込まれていないという理由で改革の後退だという御質問が随分続いておりまして、私は断じてそんなことはないというふうに考えております。改革の第一弾として、まず内閣人事局で官邸主導による幹部人事一元化を可能にした後、政治主導で更に検討を進めて、基本法に定める関係機関からの機能移転については労働基本権付与をセットで検討する、成案を得てから来年の通常国会に関連法案提出するという手続が私は必要だというふうに思っています。  これに対して、自民党さんやみんなの党さんが提出している対案は、労働基本権の付与について結論をあいまいにしたままで、総務省、人事院等から内閣人事局に機能移転を行うというふうにしていますが、それでは基本権の代償措置をどうするかという大問題が私は残ってきてしまうと。  ですから、機能移管の問題は労働基本権在り方とセットで検討をして結論を出す方がはるかに筋が通っているというふうに考えますが、公述人皆さんに率直な意見飯尾先生から順番にお伺いできればと思います。
  11. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) この考え方は、一般論からすると、改革の進め方はどのような、何を先にするかという問題でいろいろ考え方があるかと思いますけれども、現在出されている法案を見る限りでは、政府案についても、あるいは野党の自民党、みんなの党で出された法案についても、実は改革の全体像はまだ十分明らかになってないので、そういう点でいうと、私は機能移管は後でもよろしいというふうに思っております。  と申しますのは、今回の場合は幹部職について姿が明らかになっておりまして、そしてその組織定員とか、そもそも幹部職が本当にその労働基本権の対象になるような皆さんかどうかというと、私はやや疑問に思っておりますので、幹部職を一般の職員とは切り分けるということが今回の法案意味だとすると、組織定員とか給与の級別定数管理というのはほとんどは一般職員に関するものでありますから、組織的にはそれを扱っている方の数が多いと考えると後からでもよろしいのではないかというふうに私自身は考えております。
  12. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 既に私もさきの意見陳述でも述べたところもございますので、余り重複しないようにお話ししたいと思いますけれども。  人事院の第三者機関的なところというのは内閣に移さないということが大事だろうと思います。それから、総務省の定員管理というのも、やはり外からチェックすることに意味があるという意味では一緒にしない方がいいという考え方があると思いますので、今の法案の方が比べた場合にはややいいのではないかなというふうに思っております。  ただ、これは実は去年はかなりの紛争が報道されました。人事院総裁の反対意見など、いろんなところで報道されておりましたけれども、私は、先ほど言いました組織の再編というのを日本はもっと柔らかく考えた方がいいと思うんですね。移せるもの、機能として、例えば研修というふうなもの、これは例えばの話なんですけれども、それがどこにあってもそのユニットが、研修の担当の職員というのがいるならば、それがどこに置くということが、政府の中に置く、ほかの官庁に置く、内閣に置くというふうなことは自由にやってもいいのではないか。  イギリスの改革を見ていますと、職員人事というものには余り口を出さないけれども、その器のところにはかなり自由に動かすということで政治主導が担保されているというところもあると思いますので、その意味でちょっと相対立する意見が私の中にあるんですけれども、そんなふうに思っている次第です。
  13. 山本清

    公述人山本清君) 私、個人的には、改革の進め方の方法でございますから、どちらがいいという意見は特にないわけでございますが、ただ、今、西尾公述人のおっしゃったこととも関連するわけでございますが、これは中央省庁改革の場合でも、いわゆる省庁統合のときに大統合がいいのか個別でやった方がいいのかという、藤田先生のメモも残っておりますが、理論的に言えばこれはガバナンスを階層構造、いわゆる階統制にするのか、ネットワークでやるのか、マーケットでやるのかということでございますから、それぞれ今回のいわゆる内閣一元化の目的に沿ってこの三つのガバナンスのうちのどのツールが一番最適かということをもう少し理論的に詰めていかないと答えは実は申し上げられないということでございまして、改革のプロセスとしては二つのパターンがあるんだろうなということしか述べさせていただけない状況でございます。
  14. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございました。  次に、ちょっと幹部人事一元化人事の柔軟化について少しお知恵をお借りしたいというふうに思うんですが、この幹部人事の弾力化については、政治主導の確立のために能力のある幹部職員を適切に人事配置をするというのが一番大事になってきます。  政府案では、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一職制上の段階に属するとして、これによって適材適所に人事配置を柔軟に行うことが可能だというふうに私たちは考えておりまして、ただ一方で、大胆かつ柔軟な幹部人事が可能となる反面、幹部人事が情実や恣意に流れるのではないかという懸念を持たれる質問が多数出されておりまして、私もこの幹部職員人事の中立性と公正性を守るということは大変重要な課題だと考えますが、私は政府案仕組みの中でそれを担保することは十分できるというふうには思っておりますけれども、その際、特に留意すべき点はどんなところにあるのか、公述人皆さんに少しお知恵をいただければというふうに思っております。また順番にお聞かせいただければ。
  15. 河合常則

    委員長河合常則君) 飯尾先生から。
  16. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ええ。順番に。
  17. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) この問題は、やはり現実にやってみないと、いろんな問題が起こりますので、制度だけつくって済むという問題ではありません。ですから、担当される政治家の皆さん大臣、その他の皆さんの意識の改革も非常に重要でございます。  今回の例えば政府法案を見ますと、これは幹部といえども一般職の類型に属しておりますから、政治的な忠誠度とか好みで人事をすることはできない、もう任命された方をそういうことを理由に辞めさせたりすることはできないということでございます。しかしながら、本人納得の上で辞任されたときにはそれを幅広くできるということであります。そうすると、本人の納得を得るためには、勇退してくれと言うよりは、ほかのポストがあるからここに移ってくれと言う方がそれはやりやすいということ、柔軟化というのはそういう意味だろうと思いますが。  先ほど少し話をしかけたことでありますが、これまでは能力・実績主義でやるという建前ではございました。それは明示的にどのようにされるかということは法の担保が十分でなかったというふうに私自身は思っております。  ただ、今回の場合、各大臣内閣総理大臣が協議をしなければいけないということになりますので、とりわけ内閣総理大臣を補佐する内閣人事局は、客観的な能力を実証するそのデータに基づいて助言をするということが極めて重要になってきて、ですから、内閣人事局というのは政治的なやっぱりポジションではなくて、そこを担保するような、もちろん役所もそうでありますが、トップが政治家であってもよろしいわけですけれども、客観的なデータが処理できるような、そういう機関であるべきであって、その具体的な処理の仕方ですよね。その中でどのような人事記録を保持するのか、あるいは成績をどのように付けるのか。  実は、もう既に公務員の評価については試行が始まっておりますけれども、人事院等で始まっておりますけれども、それを内閣人事局はやはり十全に活用する必要があるし、そういうことが客観的に例証できるという措置をとるということ、これ、実はなかなか法律に書くことは、非常にこういうことは実は難しいことであります。実は政府案を見ても野党案を見ても、これなかなか書き切れることではないから双方一般職という言葉で示そうとしているわけですけれども、そういう具体的な制度をつくり込むことにやはり客観性を持って、しかしながらこういう必要があるからこれを柔軟にしたいということが説明できる実績を積み重ねるべきであろうというふうに私自身は考えております。
  18. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 内閣の主要メンバーが一体何をされようとしているのかということが非常に重要だろうと思います。  民主党はコンクリートから人へというので、これはいろんなところでいろんな政策に影響を及ぼして、政策転換のようなものとか今までやったことをやめるとか、そういうときに、今までの各官庁中心の人事で不都合なことが多分出てくるんだろうと思います。しかし、必ずしも一般的ではないんではないかなと思うわけですね。何をやりたいのかという政策問題に併せてその柔軟さというものが見えてくるだろうと思います。  これまでの能力評価というのは、長い時間を掛けて仕事ぶりを見ながら、人物を見ながら、これ、ピアレビューというふうに言いますが、同僚の評価というもので、意外とこれは信頼できるものもあったんではないかなと思います。これを完全に何か数値ベースのものにしてうまく働くというふうにも思いません。各官庁の中で候補者というものが複数出すことによって、政権がやりたいことに対してよりどちらがふさわしいかということを選ぶという辺りが妥当なところではないのかなというふうに思います。
  19. 山本清

    公述人山本清君) 私はちょっと実は悩んでおるんでございますが、いわゆる幹部候補者名簿が五百人とか六百人とか言われておりますものですから、その中でそれのデータベースがどういうふうになるのかどうかということと、その中から本当に一番適任者が民主的あるいは公正中立的に選ばれるのをどうするのかというのは、まさしく飯尾公述人の言葉にありますとおり運用に懸かっておるというふうに思っておりますが、ただ、それにいたしましてももう少し何が要求されている職務能力であるのかということについては、やはりなるべく情実的な要素が入らない専門性なりスキルをなるべく明確にしていく。もし英国等のことを参考になさるのであれば、資格要件等、やはりもう少しバイアスが掛からないいわゆる要件の付け方というのは可能でございます。  そういうことをやはり考えるべきだと思いますし、三層、三つの現在のクラスの方が、一方にプール制で幅広い人材プールであるということのメリットとデメリットは当然あるかと思いますが、ただ、事務次官等を廃止するかどうかは別にいたしまして、その幹部の中の要求されるスキルというのはやはり各層によって異なってまいろうと思いますものですから、それはやはり要件をその最終的な選考の中で明確にしていくということがどうやってなされるのか。そして、その中で政治的に、最終的な決断というのは今でも任命権者は政治家であるから同じだという意見もそのとおりでございますが、その選考過程においてなるたけ有識者であるとか公正的な手続が担保されるような仕組みを是非お願いしたいと思っております。
  20. 柳澤光美

    ○柳澤光美君 ありがとうございます。  質問あったんですが時間がもう迫ってしまいまして、私は、もう一つ、今回一番国民が注目をして直してほしいと言われているのは天下りの問題だというふうに思っています。ですから、鳩山政権発足後は官民人材交流センターによる天下りあっせんはもう停止を即させていただいています。この後、民間人材登用・再就職適正化センターをつくって、組織の改廃等に伴う離職を余儀なくされた職員皆さんは別ですけれども、あっせんによる天下りは根絶する、もちろん裏下りに関してもきちんとしたチェックを掛ける、再就職等監視・適正委員会ができる、枠組みは私はできているというふうに思っています。  ただもう一つ、質問等で出ていますように、一方で、じゃ定年まで勤務できる環境の整備、そしてそれに伴う給与制度、この辺も大きな課題になってくる。私は実は民間の労働組合の出身でございまして、資格制度を入れる、それに伴う評価制度を変える、更に賃金制度を変えるというのはこれはかなり大変な問題でありまして、むしろ枠組みをつくって実際動かしていく中で一つ一つ解決していかざるを得ないだろうと。ですから、できるだけこの法案を早く通していただいて、できるだけもう早め早めに私は詰めさせていただきたいというふうに率直に感じております。  御意見いただくお時間が取れなくなりまして、大変申し訳ございません。今日は、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  最後に、済みません、一言。  私、私事でちょっと緊急の用事が出まして、途中ちょっと退席させていただくことになりますが、申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。  本日はありがとうございました。
  21. 古川俊治

    ○古川俊治君 それでは、自由民主党、古川俊治の方から三人の先生方に御意見を伺いたいと思います。  本当にお忙しい中、貴重な御意見をおっしゃっていただきにここに来ていただきました。本当にありがとうございました。  私は、一番今関心を持っていることは、この国家公務員改革というのは、もうこれ、山本先生ももう実直におっしゃいましたが、実は議院内閣制在り方と密接にかかわっているということでありまして、民主党さんの方がもう既に別に現在進めようとしている立法府と行政府の在り方関係議院内閣制の新しいスタイルということとかなり実を言うと密接に結び付いてきていて、流れから申し上げますと、私どもの旧政権のころも、実は小泉内閣のころからかなり日本の政体がイギリス型をモデルとして政治改革を行ってきたという歴史があるというふうに考えています。小選挙区制の導入ですとか、それが大体一つですし、様々な今まで政治改革も行われてきたわけなんですけれども。  そこにおきまして、やはりまず立法府と行政府の在り方、政治主導、これは非常に幅広い言葉だと思いますけれども、国会中心主義なのか、あるいは与党中心という意味、特に与党が内閣組織するわけですから、内閣がリードするのか、あるいは国会がリードするのか、この別の考え方。これは是非三人の先生方に、日本における二党、二大政党制がいいのかどうかもありますけれども、慣れてないまだ二大政党制で、こういった支持率が大きく揺れ動いている近年の状況も含めて、これからの日本にとってどういったスタイルがいいのかどうか。  それとともに、そうすると今度、官僚システムにつきましても、公正中立性ということが一つ要請される要素であり、もう一方が政治的な応答性というものがやはり要求されると。政治的応答性恣意が入らないようにするといっても、イコール、言ってみれば、その区分というのは現実には極めて難しいことでありまして、実際に政治的応答性を求めるということは政治的な恣意、これは恣意とは言わないまでも、見方によってはやはりそう映るわけですね。そういうふうなことになりますと、公務の中立性というところは幹部職員については要らないのか。行政の中立性、これは内閣については問わないのは当然のことでございますが、一般職である幹部公務員、今の政府案だとそうですけれども、そういった人たちまでこの公正性というものは要らなくなってくるのか。  こういった点について三人のちょっと考え方を、議院内閣制在り方、それから官僚の中立性の在り方という点について御意見を伺いたいと思います。
  22. 河合常則

    委員長河合常則君) 順番に。
  23. 古川俊治

    ○古川俊治君 順番に。
  24. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) 大変大きな御質問でございまして、幾らか私の専門に近いところでございますが、時間もありませんので非常に簡潔にお話をさせていただくと、やはりもう政権交代前から、もうこの二十年間、実は日本内閣制は大きく変わりつつあるというふうに思います。それは非常に権力分立を強調した在り方から、やはり責任ある、民主主義ということでやはり責任性を重視する方向に変わってきて、今お話のあった小泉内閣一つの試みであったというふうに思っております。  そういう流れがずっと進んでいる中で、一つ私が気になっておりますものは、イギリスモデルと言われますけれども、やはり国が違うものですから同じことはできないだろうというふうに思っております。イギリスは非常に国会、イギリスは実質的には一院制でございますので、国会と内閣関係は非常に融合しておりますけれども、逆に言うと、日本は二院制などを取っておりますので、同じことはまたできないというふうに考えておりまして、私自身は、国会内閣制か国会中心主義かどうかという問題については、衆議院内閣との融合はある程度進めるべきであり、参議院は幾らかチェック機能を果たすという、そういうことも非常に重要である。しかしながら、参議院のチェック機能が行き過ぎると、何か抵抗勢力と言われますから、物が進まなくなってくる。その辺の権限の再分配をどうするのかということを、これまで日本はややもすれば国会というと衆参の違いを全く考えないような議論が非常に多かったけれども、やはり衆参の役割の違いということを認識しながら、それぞれその目的に沿った役割を果たしていくという今組み直しをやっている過程であろうというふうに今考えます。  そういう点でいうと、政党制の在り方も、必ずしも二大政党制が望まれるというよりは、政権交代可能な政党政治であって、必ずしもすべての政党、選挙で二大政党制化することは好ましいというわけでは恐らくなく、衆議院で恐らく二大政党制が強まるということはあるかもしれませんが、参議院も同じように考える必要はないというふうに私自身は思っておりまして、その中でどのように合意形成をしていくのかというふうに私自身は考えております。  そういうことの中で、実は公務員の先ほど公正中立政治的応答性の問題ということを考えますと、やはり公務員といっても一色ではないということではないかというふうに考えておりまして、いわゆる幹部であっても、今度、今回の例えば政府提出法案でも、幹部職で今回内閣人事局が扱うべき官職とそうでないものは区別されております。  例えば法執行に当たるような職員は除かれておりますが、これは当然のことでございまして、そういう点でいうと、いわゆる幹部であっても今度の幹部職でないという扱いは適切だろうというふうに考えておりますが、さらに、じゃ今回の幹部職の中でも違いがないかというと、やはり少し違いがある部分についてはそれは配慮していかないといけないということは、今後、先ほど公述人の中からも出たことでありますが、それぞれの官職が何を求められていくのかということをきちんと定義して、非常に公正中立性を重視すべき官職と、どちらかというと応答性を強める。  しかし、これは非常に、法律に書くというよりは、もう少し具体的な側面を一本の法律で書き切ることはできず、しかも、その能力は何を求められているかということは、実は実務をやっていく、慣例を積み重ねる中で分かってくることだと。実はこれ、戦後、公務員制度改革の中で、国家公務員制度が新しくなったときに職階制を入れようとして、実はこの定義ができてから入れようとしたために全く法律が観念化されたという失敗もあるものですから、そういう点でいうと、やっぱり実務を積み重ねる中でそれを出さないと、初めに法律に書けないからこれ改革できないと言っているといつまでもできなかったということは、もう戦後起こったことでございます。その失敗を繰り返さないためには、やはりいろいろ注意をしながら好ましい役割を果たしていく。  これで最後にいたしますけれども、そういう点でいうと、公務員公正中立ということを担保するためには参議院の役割は極めて重要であるというふうに思っておりまして、参議院は衆議院よりも与野党対立が緩和された形で、やはり少し政党の党派対立を弱める形でそういうことを担保するという、そういうとりでになる必要があるというふうに私自身は思っております。  以上でございます。
  25. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 議院内閣制という問題、二〇〇八年の改革基本法で初めてこの言葉が法律に使われたということで、日本人がようやく一体何が議院内閣制かということに目覚めて、その実現に向けて今進んでいるところだろうと思います。  私は、二〇〇〇年から一年間イギリスに留学してきてまず思いましたのは、党大会というところで物すごい議論をします。一週間ぐらい朝から晩まで議論し続けるんではないでしょうか。ですから、いろんな意見が、もう現代は、社会、一つの党の中でもありますけれども、激しい議論の中でそれを集約して、結局、政権党の場合はそれが内閣に集約される、このプロセスが非常に重要なんではないかなというふうに思います。そこの議論が不十分だと、なかなか政党幹部、それが与党の場合は内閣の求心力、リーダーシップというものに結び付かないんではないかなということを感じました。それから、最終的に、そういう議論を重ね、意見が違うところは恐らくもう多数決で決める、どっちかに決めるというふうなことも、そういう手続的な問題もあると思います。  一方で、議院内閣制と国会ということなんですが、政治主導というのは私は内閣主導という理解をしておりますけれども、国会というのが、ここに建物はありますけれども、実は二つの院があり、それがいろんな意味で必ずしも連携を取って行政と相対峙しているわけではありません。それから、何といってもいろんな政党があるということで、国会がどう行政をコントロールするか、国会とは何かというと、意外と見えないところがあります。  それで、私は以前、この参議院でオンブズマンができないかという議論をやったことがあるんですが、やっぱりもう国会としてオンブズマンをつくる、これは、弾劾裁判所というのが国会の両院にまたがる制度としてありますが、そういう形でオンブズマンをつくって行政を監視する、これに国会の力を、何といいますか、監視という意味で、苦情処理という意味で結集するというふうなことも改めて考えていいんではないかなと思います。  それから、もう一つ人事あるいは公務員の中立性についてですね。  人事というのは、私も人事担当者にヒアリングを続けていたことがございますが、人事にエクスキューズなしということで、もうとにかくこの人をこういうところに決めたというと、もうなぜそうかということはだれにも言えない。そのことが、大体半分ずつ納得する、納得しないかと思われるかもしれないけれども、大体七割が不満なんだそうですね。三割は当然のことが起きたと思うということで、喜んでいる人はほとんどいないという、すごく難しいのが人事ですが、要するに、それは人事課長とか秘書課長という人がそういう信頼できる、課長の中でも最も信頼感のある人がやって初めて何とか収まっているというものですから、政治家がこの人事に介入するといろんな混乱が出てくることは間違いないと思います。  しかし、人事について、やはりそれで説明するということがなかなかこれ難しいですから、いろんな個人に関することを話さなくてはなりませんから、政治家が信頼されるということが、本当に人物をよく見て真剣勝負で人事をするということがこの内閣主導の人事の大きなポイントではないかなというふうに思っております。
  26. 山本清

    公述人山本清君) 国会と行政との関係あるいは内閣と国会との関係ということで、飯尾公述人あるいは西尾公述人のお話にもありましたとおり、確かに衆議院と参議院の役割は違うと思うんですが、私は、衆議院の中においてもやはり国会が果たすべき機能というのはあると思います、委員会等で。それは、内閣提案等についても民主的討議というのの場がやはり国会でございますから、その中で国会の調査的な機能をやはり十二分に使うということが必要であろうと思います。したがって、公務員制度改革をやるためには、立法府の調査研究機能といいましょうか、そちらをどういうふうに担保していくかということに実はとりわけ参議院の場合は懸かっていると思うんですね。ですから、そこら辺を是非御審議賜りたいと思っております。  それと、官僚の役割、政治との関係でございますけれども、英国の状況と日本の状況というのは明らかに違うわけでございますが、日本の今混乱が起こっているというのは、やはり長期政権の下においてかなり一体的な行動を行っておった、ところが、今後は二大政党制等が、政権交代があり得べきという状況でございますものですから、政策の代替案というのを出すのにやはりまだ慣れてない、そうすると、公務員に要求されるスキルというのは私はやっぱり違ってきていると思うんですね。  やはり法律を作る、それは当然必要だと思うんですが、飯尾先生も西尾先生も研究されておられますが、やはり公共政策の選択肢を合理的に出す、チョイスを出す、そしてそれのメリット、デメリットをきちんと説明できるということが国会審議の促進、あるいは内閣の決断においても重要であるわけでございますものですから、やはりそういう意味においては、また後ほど御議論があるのかもしれませんが、公務員試験制度採用試験制度においても、是非それを公務員制度改革の中で御議論を賜りたいと思っております。  以上でございます。
  27. 古川俊治

    ○古川俊治君 時間の関係で余り質問数も多くできないと認識しております。重要な問題としまして、やはりこれから給与の方がどうしても今回、両案がありますが、いずれの法案についても給与の上下ということがかなり前提とされているという状況でありますね。もちろん、民間においても最近は能力主義、実績主義ということで、今までのような日本の慣例的な固定給というのが昇給していくというシステムなくなりましたけれども、それがだんだん人間関係が悪くなることによってチームとしてのパフォーマンスを阻害しているという意見も出てきております。  そういった中で、今回の法案にとっては、まさに人事についてもあるんですね。だから、幾ら実績が上がるということよりも、人事イコール給与となりまして、かつ給与がかなり違うということが、例えばこれから先本当にこのシステムが動いてくると、それぞれの政治課題に応じてスタッフが入れ替わるというような事態も想定されるんですね。そうすると、もちろん公務員の士気にも影響しますし、あるいは公務員自体の考え方、これからの公務執行における自分の基軸というものも変わってくるんじゃないか、そういう気がするんですが、その辺につきまして危険性がないのか、あるいは何かメリットが考えられるか、それについてちょっと御意見を伺いたいと思っています。給与の問題から今度考えてください。
  28. 河合常則

    委員長河合常則君) 三人ともに。
  29. 古川俊治

    ○古川俊治君 三人ともです、はい。
  30. 河合常則

    委員長河合常則君) 飯尾先生から。
  31. 古川俊治

    ○古川俊治君 はい。
  32. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) これは、先ほど来、大変難しい問題でございます。改革途中でございますから、全くどちらの方向に向かっても危険がないのかといえば、それは危険はあるのでしょうけれども、どのようにしてそれを、危険を除いていくかというと、やはりこれは改革を着実に進めていくことで、最初に青写真ができるとすべてこれでやってしまう、押し通すということはやはり危ないんだろうというふうに思いまして、そういう点では、幹部から徐々に進めていって、それで一般の皆さんは、逆に言うと、しかし、幹部のところは差が大きいから実は問題が集約的に現れるわけです。  ただ、先ほど御説明しましたように、給与のことを考えると、日本公務員の場合は天下りとセットになっていたことをそれとセットにせずに考えるというところに大変難しい問題がございます。そういう点では、やはり実は現実的にそんなにこれまでのような頻繁な人事はこれからはだんだんできにくくなってくるだろうというふうに考えるわけですね。しかし、それを当事者の納得を得ながら新しい給与制度に移行するということが恐らく必要になってくるということでいうと、やはり日本人事の特徴で言えるのは一斉に人事を定期的にするということでありますけれども、幹部についてはこれまでのように一斉にどんどんどんどん替わるということが、ある人は長くいるしある人は短いということは起こらざるを得ないということを恐らく一度柔軟化の中でポストに合わせて、人に合わせてやっていくということだろうというふうに私自身は思っておりまして、そういう点でいうと、すぐにできることではありませんけれども、幹部についてはやはり一般の職員とは違う給与制度を少し考えていくべきだろうなと。しかし、これは一挙に新しい制度に移るべきではなくて、現状を前提にして徐々に移行するべきだというふうに私自身は思っております。  以上でございます。
  33. 西尾隆

    公述人西尾隆君) ちょっと比較の対象として適当かどうか分かりませんが、サッチャー政権のときに公務員改革をいろいろやった中に、給与にも手を付けました。イギリスと日本と少し似ていると思うんですが、その差がイギリスの方が激しいんですが、トップクラスの官僚というのは同じレベルの民間と比べるとやや低めである、それから下のレベルの公務員というのは同じような仕事をやっているのと比べるとやや多めにもらっているという実態があって、サッチャーが手を付けたのは数が多くて組合活動もやっている下の方の公務員給与をカットしたけれども、日本でいうキャリア官僚のところには手を付けなかったというのがあって、それはやはりそのことの危険というものをよく認識していたんではないかなと思います。  日本は、いつか人事院が年金について各国の比較をして、非常に良くないということが出ていました。余りそれが世の中に流れませんでしたけれども、この天下りとの関係というのは、給与の問題もありますし年金の問題もあって、できればフェアに透明に公正にするためには、少しお金を積んでキャリア公務員天下りとかいろいろな不正をしなくていいような状況を整えることではないかと思いますが、それが難しいですから非常に難しいということを思っておりまして、私に残念ながらいい知恵がないのが今の状況でございます。
  34. 山本清

    公述人山本清君) 今、両公述人がおっしゃったとおりでございまして、これは当該職に就いたときだけの給与等で考えるべきものではございませんでして、全体を通じてということでございます。ただ同時に、政府案にいたしましても衆法案にいたしましても、これ公募制度ということもあるわけでございます。公募した場合と各省におられた方の場合において給与格差を設けるかどうかということをどう考えるかということにもまた依存すると思っております。  いずれにいたしましても、これは衆議院の議事録にも残っておりますが、いわゆる基本給以外の職務手当的なことで担保したらどうかという提案もあったようでございますが、現実的には、私は、どういう運用をしたとしても降任的な事例というのは多分数少ないだろうと現実には推測をしております。  であれば、やはり年金制度等でもし頑張るとするのであれば、今の二割削減ということもございますものですから、公募した場合においてはかなり高い給料を保障するということにおいて、全般的にはむしろ幹部候補者級の方についても給与自身をやはり下げた対応ということで、ある意味では下にそろえるというようなこともあって、事後的に非常に顕著な功績を上げた場合にはエキストラで賞与等で反映するというようなことが考えていいのではないかというように思っております。
  35. 河合常則

    委員長河合常則君) 時間が来たのですが、一つだけ。
  36. 古川俊治

    ○古川俊治君 はい、短く一つだけ。  ありがとうございました。  このほかにも聞きたいことはあったんですけれども、一言だけ、私の友人も出まして随分官僚になったんですが、私自身は、大学卒あるいは高校卒のその時点で一生公務員原則的にやれかそうじゃないのかというような選択を迫るようなシステムというのはどうなのかなという気がしておりますので、その意見だけ申し上げて、ここで質問を終わりたいと思います。
  37. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎と申します。  三人の公述人皆様方、本当に先ほどから貴重な意見をいただいておりまして、心から感謝申し上げたいと思います。  私から率直に何点かお尋ねをしたいと思っております。  先ほども柳澤委員、与党でありながら、政府案においては恣意的登用、情実人事が懸念されるというようなことを率直に申されておりました。そういった懸念も現実的に法案を見るとないわけではないんであって、そうであるならば、本当に公務員公正中立性というものを制度的に担保をどのようにしていけばいいのかという点について御三人からお聞きしたいのと同時に、この公正中立性という問題を考えたときに、やっぱり一つ、今回の法案の一番の中核が、内閣人事局の役割というか、この創設が一番のポイントにもなっているわけですが、私どもはそういう一つの観点から、政府案では内閣官房に内閣人事局を設置というふうになっておりますが、公明党としては、内閣官房でなくこれを内閣府に設置するというのも一つ在り方ではないかということで、そういう修正の案を出させていただいておるところでございまして、したがって、この内閣人事局はどうあるべきかという点、その役割についても、中立性の問題と併せて、御三人の方から御意見をお伺いできればと思います。
  38. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) もう先ほど来何回か述べておりますけれども、公務員人事公正中立性を非常に重視しなければいけない、それだけではちょっと済まないので、幹部については少しほかの制度をつくるということですが、大前提といたしますと、現行法制においてもその保護は十分でない。逆に言うと、現行法制の中でも非常に恣意的な人事のことは実は危惧される。逆に言うと、今の政権のように政務三役主導ということになってきますと、実は大臣恣意的な人事ということは現行法制が非常に防ぐことはできないというふうに私も思っておりまして、そういう点でいうと、政府提出法案は少なくとも協議ということを義務付けておりますものですから、他人の目が入るという点でいうと、大臣だけが何か思い込んでするということを防ぐ仕組みが入っているという点でいうと、先ほどお話をしておりますように、内閣総理大臣を補佐する内閣人事局の役割は極めて重要になるということでございます。  そこで、次の御質問の内閣人事局どこに置くべきかということでございますが、ただ、ほかの人事についてはともかく、幹部ということを考えると、やはり内閣官房みたいなものがよろしいのでは。なぜかというと、幹部についてのやや秘書室的な機能でございますものですから、やはり手元に置いて小さな規模でやっていく方がよろしいのではないかと。内閣府に属するということになると、ややもう少し大きなものも置くようになる。私自身、これ政府はどのようにお考えかよく分かりませんが、労働基本権等の問題を解決すると、一般職員についても処理をする機関、使用者機関的なものはやはり内閣府に置くべきだろうと考えておりまして、私自身はそういうふうに公務員全体を管理する機関と幹部というのを分けた方がいいんじゃないかというふうに考えておりまして、今回出ております幹部についての機関は内閣官房に置くし、公務員一般を所管するところは内閣府に置くというのが私自身は好ましいのではないかなと思っている観点からしますと、幹部に限ってみるとやはり内閣官房に置いて、内閣官房ってやはり余り大きな規模を置くべき組織ではありませんものですから、現状、少し幾つかのもの、大きくなり過ぎている側面もあるように思いますので、やはり厳選して置くということが必要ではないかというふうに私自身は思っております。
  39. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 人事行政の一元化をした方がいいというのは観念ではありますけれども、諸外国を見て、いろんなところが担当していることは少なくありません。そういう意味で、今回、幹部人事内閣官房に置く、これは、官房長官を中心に人事を行うというのは、やはり政策を進めていく上でのかなめになる人事を担当するのが内閣官房に置くというのは私は自然なんではないかなと思います。それ以外に、海外でメリットボードとかメリットシステムを担当する委員会のようなものをそれ以外のところに置いたり、日本人事院というのがありますし、使用者側に相当する元総務庁人事局とか、そのこと自体は、連携が取れてそれぞれ役割分担があればそれはさほど問題ではないんではないかなと思っております。  私は、この内閣官房の今度の人事局がどんなふうな働きをするのか、本当にむしろこちらが伺いたいことばかりですね。適格性審査というのは本当にどういう形でするかですね。  実質的に、人事というのは、もう長い間知っている、各官庁でその人物をもう知り抜いているというふうなところに、依存という言葉は余り良くないかもしれませんが、その知恵を使うのはある意味で自然なことではないかと思いますので、その中のリストからできるだけ客観的な文書化したものを求めて、その中で、限定された範囲で判断しなければ、とてもではないですけれども、六百人の官僚を少数の政治家でやるというのは難しいのではないかなと思っております。
  40. 山本清

    公述人山本清君) 公正中立性の担保というのも、当然その話も後で申し上げたいと思うんですが、日本の置かれている状況からいえば、やはり本当に有能な方に幹部職員になっていただくという必要が一番重要であるわけです。したがって、公募というのも当然ありということでございますが、公募が積極的になされるようにするためには、やはりその資格要件と申しましょうか、要求されるスキルなり能力、何を目指すのかということを、いわゆる任用期間等をやはりもう限定して、三年間なら三年間の間に何ができるのかということをより具体化するということがやはり私は必要だろうと思います。  ですから、それを達成できなければ別にペナルティーを与えるということではなくて、先ほど申し上げましたように、それを達成すればエキストラの報酬を与えるということのプラスのインセンティブ、いわゆるマイナスのインセンティブは別に付与する必要はないと思うんですが、そういうことがまずもって必要だろうと思います。そうでないと、既存の官僚機構の中で最適任を選ぶということだけでは、これからの時代にはとても政治主導に対して対応できないのではないかというふうな危惧感を持っております。  それで、公正中立性の担保の問題と内閣人事局の役割というのはこれは一体的なものでございまして、最終的に局長が政治家がおやりになってもそれはいいのかもしれませんが、その選考プロセスの中で選考委員会等の決定を尊重されるというようなことが是非お願いしたいと思っております。  それは現在でも、独法の理事長なり役員の選考過程においてはそういう考え方が現在の政権与党においても準用されているというふうに聞いておりますものですから、是非そのプロセスを担保をしていただくことが必要であって、それが不透明なままで最終的な、かなり政治的な当然要素も必要だからということだけで最終的な、現在と同じ、そういう意味においては飯尾公述人がおっしゃるような、若干のそういうバイアスが入れたままということにならないようにお願いしたいと思っております。
  41. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回、政府案では、先ほどから御指摘があっているとおり、次官、局長部長同一の職階にあるとみなされることになるわけでございます。ただ、今回は、これも先ほどの御指摘あっているとおり、公務員給与法の改正盛り込まれませんから、給与の格付の問題とか指揮命令の系統の問題であるとか、業務上の権限に上下関係が残ったまま結局これが行われようとしているわけであって、これに対していろんな意見あるんですけれども、こういうふうな、一方を改正しないでそれだけやってしまうと、公務の職階制というものの破壊、秩序というのを破壊することになるんじゃないかとか、法的権限そのものもおかしくしてしまうんじゃないかという御指摘も聞くことがあるんですが、これについてはどんなふうにお三方はお考えになるかなと、こう思いまして、これについての御意見と。  もう一つは、やはり政府案では、例えば次官から部長へ事実上降格ですけれども、これは転任というふうに言っているわけですね。ただ、こうした事実上の、ある意味では転任と言われたって降格人事ですよね、そういう人事の公正性というのが、政府案一生懸命見るんですけれども、やっぱり私は不透明だと思うんですよね。したがって、この点をどんなふうにして克服をしていけばいいのかと、これも御意見があれば。  以上二点について、御三人から。
  42. 河合常則

    委員長河合常則君) 三人の方。
  43. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 はい。一応お聞きしておきたいと思います。
  44. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) 今のお話で、確かに同一職制上にみなすということですが、次官、局長部長とストレートになっているポジションばかりではありませんで、どちらかというとスタッフ的なポジションもございます。そういう点でいうと、そこの指揮命令関係は現状においてもそんなに明確ということではないものですから、そこについてはやはり、替わってもらうときにはそれは納得のできるポストということでありますから、最初から次官が部長にということを想定するわけではなくて、やっぱりできるだけ近いところで回していくということは基本になりましょうけれども、ただ、先ほど来お話をしていますように、現在、勇退ということをやっているということになると、自分も勇退を受け入れようということであると、別に次官級の給与から部長級の給与に変わっても、自分もそろそろアドバイザーになろうということは一つの選択肢でございまして、そのことをやはりこれ、なかなか最初から予定してこれをつくっていくのも難しいものですから、一挙にポストをたくさんつくって待っているというよりは、必要に応じて少しずつポストの種類を変えていくと。  そういう点でいうと、やはり行政の簡素化みたいに、今まで何か同じように、やや日本人事はライン重視、本当は審議官とか参事官というのは必ずしもラインでないはずだけれども、ラインで使ってしまっておる部分があるので、そうではなくて、本来のスタッフ的な、アドバイザー的な役割に戻すということも含めて変えていくということはこの新しい制度を動かすためには必要だろうというふうに私自身は思っております。
  45. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 降格ということはこれまで官庁ではめったにないというか、タブーに近いものではなかったかと思います。今回、これを容易にする一つの条件整備をしたというところかなというふうに思います。それは外から局長クラスに人を呼んでくるとかあるいは下から抜てきするということが前提となっているのかと思いますが、言わばこれは伝家の宝刀のようなもので、余り使わない方がいいのではないかなということを思います。  ちょっと私事で恐縮ですが、私、今教養学部長というのをやっておりますが、大学では学部長になってまた平に戻るということは何てことはないというか、むしろ喜ばしいことなんですけれども、やっぱりそれは官庁組織、ハイアラーキーの中では耐え難い屈辱であるということは多少とも想像できます。そういうことをやってまで実現しようとすることはよほどのことではないかなと思うんですね。  むしろ、下の方で、部長に上げたけれども、実はやってみないと分からないわけですね。課長になるとき、部長になるとき、局長になる、それぞれの、なって初めて無能をさらすといいますか、それまで政策能力があってばりばりやっていたけれども、人の、人望がないとか使い方が下手だとかというふうなことが露呈したときに下げるとすると、私は、部長局長クラスになるとまあ大体衆目の一致する能力が証明されていて、むしろ部長から課長に下げるということはあり得るのかな。そうすると、これは難しいですね。そこら辺のことをどれだけリアリティーを持ってこの提案がされているのか、私もちょっと疑問を感じているという、そういう感想でございます。
  46. 山本清

    公述人山本清君) 私も関心を持って諸外国の事例等も見ておりますが、もし事務次官がCOOとか、財務省のこの前の改革プランですとCMOですか、そういうような執行の最高責任者的な存在であるとすれば、その方が下位の職位にもし降任されるということがあれば、それは自己否定になりますからもう辞めざるを得ないと、実態上、そう思うわけですよね、その機能をもし担われてそれなりの処遇を受けておられるとすればですね。それは、ですから、事実上は多分、もしそうなればもうお辞めになるほかないと思っております。  むしろ問題は、連続性の問題で、管理職といわゆる幹部職員ですか、これとの連続性の問題で、公務員全体についてこういう処遇をすることが、いわゆる一定の層はそのまま管理職の方から幹部職員の方に昇任されるわけでございますから、その場合に公務員の全体的な士気感あるいはモチベーションあるいは公正性、中立性にどういうインパクトがあるのかということは、これは冷静に考える必要があるというふうに私は思っております。
  47. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一点御三人に御意見として最後にお伺いしておきたいんですけれども、それは西尾公述人もさっきおっしゃっておりましたが、公務員の専門性の向上という問題なんです。  つまり、何を申し上げたいかというと、定員とか給与の削減のみ焦点を置くような改革をやっていれば、それは逆に行政コストに関して言うならば低下をもたらすという結果になるんだろうと私どもも思っております。まさに公務員の専門性を向上させることによって行政を効率化させる、信頼を確保するということが一番重要な課題なんだろうと私どもも思っておりますし。  そうなると、今回、公務員、こういう形でいろいろ改正をやるわけですけれども、公務員の専門性を向上するという仕組みをどのように構築していけばいいのかというようなことについて、御三人からそれぞれ簡潔に御意見をいただいて、終わりたいと思います。
  48. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) 簡潔にということでございますからあれでございますが、先ほどお話をしていますように、このように幹部人事をやや柔軟化するとなると、やっぱり職務の条件を決めていくということが大切だということは今我々も言っていることでございます。その中で、やはりこの省のポストにはこういう能力が必要だということが蓄積されてくる。それが、じゃその専門能力を、あのポストに就くためにはこういう能力を付けなければいけないというところで、これまでのように順繰りに年次で上がってくるというよりは、これ実は専門性を高めざるを得ないということになることが期待されますし、そのように運営すべきだというふうに思っております。
  49. 西尾隆

    公述人西尾隆君) アメリカの行政学会、これは実務家もたくさん参加している大きな学会なんですが、そこの倫理コードというのがありまして、そこに各プロフェッショナルとしての行政官の責任として、学会に出るなどして常にその分野の最先端の知識にキャッチアップすべきであるということが倫理として書いてあるわけですね。  ですから、日本キャリア官僚は海外の留学の機会がありますが、意外とそれ以外は自分のスキルをアップするというか、学会に出て新しい最先端の知識を知るという機会が限定されているのではないかなというふうに思いまして、そういう意味で、研修のことを言いましたのは、何か講話を聞くというよりも、本当に自分の意欲に応じてスキルアップできる、そういう機会を提供することが重要ではないかなと思っております。
  50. 山本清

    公述人山本清君) 二点ございまして、いわゆる政治主導の下における、要求される専門的な助言・分析機能ですね、これについては政策研究大学院大学とか海外の大学院等においての研修等が有効であろうと思うんですが、同時に、日本公務員でかなり一番欧米等と劣っておりますのは、いわゆるマネジメント能力ですね、マネジメント能力がやはりないんです。例えば、公共調達等においても日本はいろいろ問題を抱えておりまして、それについてはやはり官民共通の土俵的なところもございますものですから、そういう一定資格を取るとか、国際的に通用するようなそういうマネジメントの考え方を習得することが重要であって、そういう資格要件等を少なくとも管理職等の登用の一つの条件にするということも一案ではないかというふうに思っております。
  51. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ありがとうございます。
  52. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。  先ほどから大変貴重な御意見を拝聴いたしておりますが、最後の今日私質問になっておりまして、お伺いしたいことは二点ほどもう既に御答弁もございました。  今回の政府案での、内閣主導による適材適所の人材を登用するための幹部職員人事内閣一元化する、その管理に対することとこの弾力的な人事を行うことができるということに対する公述人皆さん恣意的な人事が行われる懸念についてお伺いしようと思ったんですが、先ほど質問がございましたので、私、天下りについてお伺いしたいと思っています。  政府案では、この天下りや裏下りの根絶のために再就職等規制違反行為を監視する再就職等監視・適正化委員会を新設することとしていますが、この再就職等監視・適正化委員会は、現存の再就職等監視委員会の監視機能を強化したものであり、任命権者に対して規制の遵守に関する指導やその助言を行うこと、再就職等規制等の適切な運用確保に必要な措置について調査審議を行うことが新しい機能として追加されています。  そこで、これらの機能の新設によって、天下りや裏下りの実効性のある監視がどうすれば可能になるというふうにお考えでしょうか。公述人皆さんのそれぞれの御意見をお伺いいたします。
  53. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) このことについてはこれまで余り触れませんでしたけれども、やはりこの天下りの問題は、先ほど来強調しましたのは人事の方で、天下りを必要としないような人事制度を徐々に確立すべきだと、これが大本でございます。  その上で、もう一つ必要なことは、日常のやっぱり行政の中で、例えば契約その他で不公正なことが起こらないということもそちらのことが必要で、そういうことを総合的に監視していくということをやはり考えていかないといけないとなると、今回の委員会、これも実は先ほど来の話で、一つの規制をすれば実は別の裏道が見付かるみたいなことがしばしばこれまでも起こってきたわけでございますので、何か再就職そのときだけではなくて、その後の行動についても監督していくという機能を持っていくということは非常に重要なことだろうというふうに私自身は思っております。
  54. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 天下りについての改革がどのくらい進展しているのか、なかなか難しいんですが、私、十年前にちょっと天下りのいろんなところに行って資料を集めたりして調べて思いましたのは、そのころと比べて驚くほど透明度が高まっています。人事院が発表する幹部人事天下り白書と呼ばれていたものぐらいだったわけですね。特殊法人についてどのぐらい天下っているのかというのは、特殊法人の方に聞いて、特殊法人の組合が用意していた資料がありました。それと比べると、もう格段に幹部以外の天下りが明らかになり、それから特殊法人、独立行政法人、さらに公益法人についても、仕分の中で、こんなものがあるのかということを国民は知るようになりました。それで非常に怒りがますます高まっているというところがございます。  私は、何か制裁をするというよりも、これ、透明度を上げるのですごくもう改革は進むのではないかなという気持ちもありまして、この調子で、事業仕分というのはいろいろ賛否両論はあるかもしれませんけれども、一つの透明度を上げると。ねらい撃ち的なところは問題かもしれませんが、それが全体に及べば、フェアにいろんなところが透明度を上げるということで改善していくんではないかなと思うんですね。  例えですけれども、大きな家を動かしますと、そこには湿気があって、虫がいろいろいますが、日の光を浴びると、そのあやしい水分が蒸発して、虫もしかるべきところに行くといいますか、というふうなことが、結果的に見ると、この透明化、情報公開制度が浸透していることなど、メディアがずっと監視していることがこれを改善して、そうすると、国民の中にも寛容の目も少し出てきたりして落ち着くところに落ち着くんではないかなと期待しております。  すべての組織は、もうこれはどんな、少々小さいところでもそうですが、何か遊びとかゆとりのようなものがないと、この人ちょっと仕事に向かないという、自治体なんかそういう知恵がいろいろ蓄積しているところもあって、会社もそうですね、一切の天下り根絶、政治的な決断の表明としては結構なんですけれども、根絶はできないんじゃないかなというふうにも思っております。
  55. 山本清

    公述人山本清君) 今、西尾公述人がおっしゃったことともかなり同意する点はございますが、こういった立法府の場あるいは政治的な発言としては当然こういうスタンスを示す必要があると思います。  理論的に全くゼロにできるかというと、確かに西尾公述人がおっしゃったようなところが残ると思うんですが、やはりもう少し天下りで考えなきゃいけない点は、いわゆる幹部職員以外の方についても、技術系職員あるいはほかの事務系の職員、一般的な職員についてもかなり定年前に実は退職されて、それによって組織の活力が保たれたり、あるいは別のマイナスの要因が現実に出ているということですね。  したがって、省庁のあっせんは当然禁止しなきゃいけないわけなんですが、天下りを厳しく監視するだけでは実は問題の解決にならないということで、今日、レジュメの三ページ目のところに少し書かせていただきましたが、基本的には、ただ公務、公務といっても、その公務、例えば調達の業務というのは、先ほど申しましたように、調達の業務というのは、やはり同じこういう机とかいすとかを購入するということについてはパブリックであろうがプライベートであろうが共通する部分なんでございますね。したがって、そういう領域もあるものですから、そういう部門はやはり専門的なスキルをアップすることによって汎用的なスキルを形成していただいて、場合によっては自主的に早期に退職していただくということも当然組み入れないと、やはりトータルなパッケージの中で解決を図っていくということだろうと思います。  それと、今まではやはりお金であるとか権限であるとかあるいは規制とセットで民間企業等に、あるいは特殊法人あるいは公益法人等に再就職されたということが国民的な反発を買っていたわけでございますから、それを廃止するにはやはり、いわゆる四十ぐらいまではそういう天下りなんて自分はやりたくない、やるべきじゃないという公務員が大半なんですね。それはもう調査でも表れているわけです。そうすると、その方がどうして五十ぐらいになるとそういう考え方になってくるのかということをやはり考えることが一番重要な問題だろうというふうに思っております。
  56. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  今いろいろ御答弁ございましたように、やはりこの天下りの問題など、公益法人の事業仕分などによってあぶり出されたような状況で、国民の中にもかなり現実的なところは見られるような状況であったと思います。透明化すること、そしてこういう手法をいろいろ組み合わせていくということも大事だというふうに思いますが、ただ、やっぱり天下りやそれから裏下り、この根絶のために欠くことのできない重要な要素が、定年まで働くことのできる環境づくりがやはり大事だと思うんですが、そこで定年まで働くことのできる環境づくりをどのように実現していくべきか、またそれぞれお伺いしたいと思います。
  57. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) これは天下りも、先ほどから出ていますように、幹部だけではない問題でございます。まず幹部を例に挙げると、やはりこれまでのように一方的に年次を基にしながら上の方に上がっていって保障する、更にそれを組織活性化するためには交代してもらわないといけないということをやっている限り天下りをなくすことはできないわけですね。そういう点でいうと、能力主義にも応じてある程度プールの中で、年次逆転もともかくあるし。  それから、先ほどどなたかからか出た中で、事務次官までした人がじゃ本当に職にとどまれるだろうかということを、お話が出たんですが、私は、恐らく二年前でしょうか、この委員会に呼ばれたときに、元総務事務次官をされた方が参考人で出ておられたと思いますが、いや、事務次官を辞めてから後進の指導に給料安くてもいいけど当たりたいと思ったという話もあります。そういう点でいうと、指揮命令系統というのはいろいろでございまして、教育的な職に就いて、自分の長い経験を生かしながら、しかし給料は部長級かもしれませんが、そういう給料をもらいながらやっていくということもやっぱり一つでございます。  そういう点でいうと、公務をピラミッド型だけでとらえるんじゃなくて、様々な専門性、人生の様々な場面で様々な能力の発揮の仕方があるということ、先ほど大学の例も出ましたけれども、ラインで上に行くだけが偉いわけではなくて、様々な局面、様々な役割を果たすんだということが生涯にわたって公務に尽くすということを可能にしていくので、やはり余りに何かラインのポストの上を目指すというだけを考えていたらなかなかこの問題は解決しないところがあって、そういう点では、先ほどの専門性を生かすということも関係しますけれども、複線の人事ということもあるし、あるいはあるところまでラインでトップを極めても別のところにまた居場所があるというふうなタイプのポストの配置をすることによってこれを防ぐこと、これは一般の職員、上の方でなくても、下位の職であっても考えられることではないかというふうに私自身は思っております。
  58. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 定年まで働く、定年までずっと公務員をしたい人というのは少なくないと思うんですね。それが五十前半で今までは辞めてきたわけで、その権利はできるだけこれからは保障するようにするといいと思うんですが。  一方で、世の中の、海外からの流れでもありますけれども、民間は既に、入った会社でずっと定年を迎えるということはむしろ珍しい現象になりました。公務員試験を突破するというのはかなりの能力のある人ですから、いろんな形で民間で活動できますので、何か結局役所の中で競争に敗れて外に行ったというんじゃなくて、そういう価値観がもうどんどん海外のように、イン・アンド・アウターという言い方がありますが、役所に出たり入ったりするような、そういうことが定着すればこの問題というものは解決するんではないかなという気もいたします。  それで、飯尾先生が今言われた事務次官考え方ですか、事務次官をやってまたどこかで後進のために安い給料でも働くというのはこれすばらしいことで、私は多少今の官庁の秩序を前提として話しましたが、もういろんな多様な価値観が出てきているんではないかなと思います。  キャリア官僚というのは非常に多忙ですから、人生が官庁そのもの、官庁がこれ人生すべて、ここが世界、我々から見れば組織図の中の一つの箱のようなものですが、それがもう世界のようになっていることを、是非、もっといろんな世界があることを経験できるような生活、ライフスタイルになると考え方もまた官庁の秩序も変わってくるのではないかなと、そういうふうに期待しております。
  59. 山本清

    公述人山本清君) ちょっと少し違った観点から議論を進めたいと思っておりますが、六十歳なり六十五歳に延びるかもしれませんが、定年まで働けるような環境をつくっていくというのはこれは重要だと思うんでございますが、公務全体の効率性とか効果性ということを考えた場合に、現実に若干関係がある職として見ておりますと、やはり公務員の方、今技術革新も非常に進んでおりますし、国際化の波も来ておりますから、五十歳から六十歳の人材を、別に定年制延長はいいと思うんですが、それをやはり人材として活用していくということを同時に考えないといけない。  実は各省庁の研修も、実は五十歳以降というのはまさしく、まあ言葉は悪いんですが、天下り、再就職対策等にもうほとんど割かれておって、五十歳の人材を有効に活用するという視点が少ないんですね、自治体も含めて。むしろ重要なのは、四十五歳以上の人材をいかに激動する社会に対応するようなスキルに追い付くように再トレーニングしていくかということなんです。それが伴わないと、国民も、公務員だけ六十歳とか六十五歳までぬくぬくとやっているのかというやはり批判がありますから、そこに対応していくためのそういう意味でもマネジメント能力というのはやはり幹部の方も育成していただきたいというふうに思っております。
  60. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  今いろいろお伺いしたわけですが、やはり国家公務員制度改革の目的は国民本位の行政を実現することにあるというふうに思います。そのためには、やはりやる気と活力と能力のある国家公務員が国民のために生き生きと働くことができるような環境をつくり、活力のある霞が関を実現することは欠かせないのではないかというふうに思いますが、時間も余りありませんので、活気のある霞が関を実現するために、今までもお答えになったと思いますが、何が本当に必要であるのか、それぞれお伺いしたいと思います。
  61. 飯尾潤

    公述人飯尾潤君) これまでここでは、法案が出ておりますので、制度のこと、議論が中心ですが、一番活気をもたらすことは、やはり国民から尊敬されるということだろうと思います。  政治主導ということで、実は、方針は政治が、政治家の方、大臣、その他が出されるのかもしれませんが、専門能力で補佐をするということはまた別の価値がある。だから、これまでは自分が決めているから偉いというふうにお役人は思っていたかもしれませんが、有能な助言をするということはすばらしいことであるということを、実績を見せてそれで国民の尊敬を勝ち得る、それでやる気を出す、やっぱりそういう事例をつくらないと、これまでは何か混然一体、役所と混然一体として何の仕事をしているか分からないけどあれが良くないとかいう話になってしまう。やはり公務員仕事というのは何かということをここで再定義して、それで実績を上げるとやはり世の中から評価されるということが今必要なんではないかと。そのためには、やはり公務員それから国会議員の皆さん双方が新しい役割の分担を考えるということは非常に重要ではないかというふうに私は思っております。
  62. 西尾隆

    公述人西尾隆君) 活気ある官庁公務員、それからあるいは町、地域とか、どこでも、大学でもそうですけど、それは非常に大事なことで、なかなかこの知恵がすぐには見付かりにくいんだと思いますが、例えば、二〇〇八年の公務員制度改革基本法の中に誇りという言葉が書いてありまして、誇りを持てるかどうかって非常に違うと思うんですね。何か誇りが持てないと、それはどんな仕事でもそうで、教師でも本当に、機械的な仕事もそうですけれども、誇りが持てなくなると活気もなくなる、パフォーマンスも下がる、能率も下がるということがあって、これが、どうすればこの誇りを持てるのかというのは、私もちょっと考えてみました。  それで、官僚にちょっと幾つか聞いたことがあるんですが、そうすると、もちろん自分自身意味を見出すということも大事だけど、ある程度尊敬、何というか、敬意を表されないと難しいということを、そういうものだということをはっきり言っていました。その人は、官僚を辞めて、ちょっと今物を書いたりされている人なんですけれども。ちょっと今の官庁ではそのことが感じにくい。半分自分の責任、半分外界だとすると、誇りを感じにくい環境というのがあるだろうと思いますね。それに政治家が加担しないようにすること、大事じゃないかなというふうに思います。
  63. 山本清

    公述人山本清君) 政治家の皆様官僚の専門性なり機能を信頼して、一定の職能を任して信頼する、お互いに信頼し合うということがやはり一応一番重要だというふうに思っておりますが。  はっきり言って今の官僚機構の方は、士気は今のところやっぱり上がってないと思いますね。ただ、認知欲求をどういうふうに満たすかというのが、昔のような官僚が主導権を取るような格好でまた復活してもらっては困るわけでございますから、お互いにやはり信任し合うという、政治家と官僚の信任関係というのはどうつくっていくのかということで、場合によってはお互いによく話し合うということがやっぱり一番重要ではないかというふうに思っております。
  64. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 ありがとうございました。  私、最近よくフィンランドの方に行くチャンスがあるんですけれども、フィンランドでは大学院を卒業した若い人たちのもうほとんどが学校の先生になりたいと、大変尊敬されて使命感を持って働いていらっしゃるということで、ほとんどが先生になりたいという希望を持っていらっしゃると。でも、大体その全員が先生になるわけにはいかずに、いろんな仕事へ就くということを言っていましたけれども。  やっぱり日本でも、先ほど先生方から御教示いただきましたように、国民からまず尊敬される、そして誇りを持って仕事をしていくという意味では、やはり公務員官僚も政治家も同じような目線で、国民から尊敬されるような状況で仕事をしていかなければいけないというふうに思います。  そういう意味でも、やはりこの国家公務員制度改革の目的、これ何といっても国民本位の行政を実現することにありますので、今日いただきましたいろんな御意見伺いまして、またこれから、明日、あさってとこの委員会、いろいろ質問続いていくんですけれども、是非とも今日いただきましたお話を受けて、今後ともまた生かしていきたいというふうに思いました。  ありがとうございました。
  65. 河合常則

    委員長河合常則君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了させていただきます。  公述人の先生方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして有益な御意見をお述べいただきました。誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  これをもちまして公聴会を散会いたします。    午後二時五分散会