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2010-05-25 第174回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月二十五日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      川崎  稔君     小川 勝也君  五月二十四日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     川上 義博君  五月二十五日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     外山  斎君      川上 義博君     大塚 耕平君      市川 一朗君     中山 恭子君      岩城 光英君     丸川 珠代君      山本 香苗君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         河合 常則君     理 事                 芝  博一君                 柳澤 光美君                 泉  信也君                 古川 俊治君     委 員                 大塚 耕平君                 金子 恵美君                 川上 義博君                 工藤堅太郎君                 行田 邦子君                 外山  斎君                 姫井由美子君                 平野 達男君                 松井 孝治君                 秋元  司君                 岩城 光英君                 中山 恭子君                 丸川 珠代君                 山下 栄一君                 山本 香苗君                 小池 正勝君                 中川 義雄君                 糸数 慶子君    委員以外の議員        発議者      林  芳正君    国務大臣        国務大臣     仙谷 由人君    内閣官房長官        内閣官房長官  松井 孝治君    副大臣        内閣府副大臣   大島  敦君        防衛副大臣    榛葉賀津也君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        泉  健太君        総務大臣政務官  階   猛君    政府特別補佐人        人事院総裁    江利川 毅君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 秀行君    政府参考人        人事院事務総局        総括審議官    小林 廣之君        人事院事務総局        人材局長     菊地 敦子君    説明員        会計検査院事務        総局次長     河戸 光彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公聴会開会承認要求に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○国家公務員法等の一部を改正する法律案林芳  正君外三名発議) ○幹部国家公務員法案林芳正君外三名発議)     ─────────────
  2. 河合常則

    委員長河合常則君) ただいまから内閣委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、川崎稔君及び大塚耕平君が委員辞任され、その補欠として小川勝也君及び川上義博君が選任されました。     ─────────────
  3. 河合常則

    委員長河合常則君) 公聴会開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案閣法第三二号)、国家公務員法等の一部を改正する法律案(参第七号)及び幹部国家公務員法案審査のため、来る五月三十一日正午に公聴会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河合常則

    委員長河合常則君) 御異議なしと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 河合常則

    委員長河合常則君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 河合常則

    委員長河合常則君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員法等の一部を改正する法律案閣法第三二号)外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として人事院事務総局総括審議官小林廣之君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河合常則

    委員長河合常則君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 河合常則

    委員長河合常則君) 国家公務員法等の一部を改正する法律案閣法第三二号)、国家公務員法等の一部を改正する法律案(参第七号)及び幹部国家公務員法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 姫井由美子

    姫井由美子君 おはようございます。民主党姫井由美子と申します。  先日五月十九日の代表質問に引き続きまして本日もまた質問の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。  まず最初に、本会議での私の代表質問に対しまして原口大臣は、年間約二千五百人の退職勧奨基本的に取りやめ、自主的に退職した人に退職金を上乗せをする希望退職制度導入検討すると答弁されました。  しかし、民間企業希望退職実態を見ますと、辞めさせたい社員に希望退職に応じるよう説得するような実態が多く見られます。公務員希望退職制度導入しても、その運用次第では民間企業のような肩たたきが事実上残ってしまいます。どんな組織でも優秀な人材を残したいのは当然ですから多くは語りませんが、希望退職導入する場合には、希望退職に応じるよう説得するといったようなことが行われないよう注意しなければならないと思っております。  希望退職導入に当たって運用上どのようにされるのでしょうか、総務省にお伺いしたいと思います。
  10. 階猛

    大臣政務官階猛君) お答えいたします。  運用の問題を御指摘でございますが、そもそも希望退職制度というものは、任命権者があらかじめ設定した年齢や職務等の条件に合致し、職員が自発的に応募した場合に退職手当が優遇されるような制度というものを考えているところでございます。  その希望退職制度導入した場合の運用については、まだ制度設計自体これからですので考えてはございませんけれども、今おっしゃったような問題、私の認識では、どちらかというと、辞めさせたい人に希望退職に応じるよう仕向けるというよりは、辞めさせたくない人が申し込んできて、その人に残ってくれというようなことがむしろ一般的なのかなということを思っておりますけれども、いずれにしましても、運用面についての問題については、今後、委員の御指摘も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
  11. 姫井由美子

    姫井由美子君 総理は官を開くということで、今回も民間人材登用、これはつまりは民間システム導入だと思います。民間システム導入の際には、やっぱり民間企業での実態というものをちゃんと把握いたしまして、あしき実態は取り入れないよう、運用上これからも注意あるいは工夫をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、今回の改正案に対しましては自民党などから対案が出されております。これからはこの対案政府案とを整理しながら仙谷大臣に伺ってまいりたいと思います。  特に、この対案を出されたところからは、今回の閣法、つまり政府案が後退している、あるいは天下り容認法ではないかとか、いろいろと指摘もされています。しかし、詳細に検討してみますと、私は、総合的に判断すると後退はしていないと思っておりますし、これからの質問の中でそう思えている部分も訴えていきたいと思っておりますけれども、まず最初幹部職員の身分について比較してお伺いしたいと思います。  まず、幹部職員人事内閣一元管理についてですけれども政府案は、官民人材交流センターと再就職等監視委員会廃止し、民間人材登用・再就職適正化センターを設置することになっています。この対象となる公務員についてですが、幹部職員の範囲は、長官事務次官局長部長、これらに準ずる官職で政令で定める者となっていて、この点は両案で同じになっております。  しかし、対案では幹部職員特別職とすることになっています。これは、国家公務員制度改革基本法で、幹部職員に対する新たな制度を設けるものとするとなっていることに対応したものと思います。政府案では、一方、幹部職員一般職のままになっております。よくこの部分をもってこれでいいのかというような御意見があります。しかし、対案をずっと見てみますと、幹部職員を確かに特別職にはしておりますけれども一般職からの準用規定が多く、基本法趣旨に私は必ずしも沿っていないと思います。  一般職のままでも新しい幹部職人事システム導入に私は支障がないと思いますが、その点について仙谷大臣考えをお伺いしたいと思います。
  12. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) まず、基本法解釈といいましょうか理解でありますが、この基本法におきまして、幹部職員をいわゆる現在の国家公務員法あるいは国家公務員制度の下での特別職国家公務員にせよというふうに規定をされているわけではないということを、私どもはそう理解を、解釈をしております。基本法は、あくまでも幹部職員対象とした新たな制度を設けよと、こういうことを言っておるわけでございます。今回の法案では、このことも踏まえた上で、現行国家公務員法上の一般職国家公務員であるということを前提に、その中で幹部職員人事内閣が一元管理する、そのことによって幹部職員人事弾力化を図ると、そういう立て付けにしてございます。  具体的には、今回の法案におきましては、官邸主導適材適所人事を柔軟に行えるようにするために、事務次官級局長級部長級官職同一職制上の段階に属するとみなして、これら官職の間の異動転任とする幹部職員人事弾力化の仕組みを導入をしたところでございます。御指摘のように、幹部職員特別職としなくても任用弾力化は十分に可能であると考えております。  そして、この自民党、みんなの党の対案でございますが、これは私どもに言わしめれば、特別職というお名前を使っているわけでありますが、非常に多くの一般職国家公務員規定準用をしておりますので、少々その性格付けが分かりにくくなっている、もっと言えば私どもではちょっと理解し難い部分があるなと、こういうふうに考えているところでございます。  将来的に、いわゆる本格的な政治任用特別職公務員幹部職員についてはそのようなポジションを与えるかどうか、そういう位置付けをすべきかどうかというのは検討課題だとは思いますけれども、そのことによってもたらされるメリット、デメリットというのは、より深くといいましょうか、詳細に検討をすべきだろうというのが、我々が現時点での一般職国家公務員幹部職員という、何というんでしょうか、枠付けといいましょうか、そういう範疇、カテゴリーを設けたというふうに理解をしていただければ有り難いなと思っているところであります。
  13. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。私と同じ考えということで、特に対案そして政府案の検証という点で重要なのは、元々あります国家公務員制度改革基本法、これが基本ですので、これに対応しているかどうかだとは思いますけれども、対応しているようにしている点ではなくて、本当趣旨に沿っているか、あるいは総合的に考え基本方針にのっとっているかという部分まで私は深く掘り下げて検証していく必要があるかと思います。  同じようなところでよく問題に挙がりますのが事務次官についてです。対案では事務次官官職廃止することにしていますが、政府案では事務次官その他の幹部職員位置付け及び役割について検討することにしていますというところにとどまっております。  ただ一方、鳩山連立政権になりましてから、政権交代してすぐに、障害の大きかった事務次官会議をまず廃止いたしました。事務次官会議内閣意思一つで私は瞬間的に廃止にしたという点で非常に大きく評価もしているわけです。長い間、事務次官会議、この云々につきまして議論がありました。今回、事務次官廃止を打ち出したからといって、私はそれが政府案が後退していると直ちに批判するのはおかしいのではないかと思っております。  そこで、まず昨年事務次官会議廃止したことによりまして政治主導という面でどのような効果が出てきているのでしょうか。また、事務次官については今後検討を加えることになりますが、二十日の金子委員質問でも少しお答えいただいておりますけれども、原則的に廃止するという方向での検討でよろしいのでしょうか。以上、お伺いしたいと思います。
  14. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 政治主導確保法案というものがまだ衆議院に審議入りしたばかりでございますので、完璧な政治主導体制を私ども法制度上構築し得ているというふうには言えないのかも分かりません。ただ、民主党鳩山内閣における政治主導というのは、政策企画立案運営、そしてそのことに伴う各省庁間の調整というものを官邸主導で、あるいは政治家が、政務三役が主としてといいましょうか、政務三役がその調整も、あるいは企画立案、決定の最終判断権も持って行うということを何とかやり切ろうということで、そういうある種の職務を行っていた事務次官会議というものを廃止をしたということでございます。そこからは政務三役同士のといいましょうか、政務三役の力量ということになってくるんだろうなというふうに思っておりますが、従来の、要するにともすれば政治家がちょっと棚上げされて官僚ベース政策企画立案、それからその調整が行われるということはなくなっていると。そういう意味では政治主導体制が確立してきているというふうに私は考えております。  そうなりますと、事務次官一つの大きなお仕事であったその各省庁間の調整、あるいは事務次官会議調整をして閣議に上げていくというやり方を事務次官職務相当部分としておりました事務次官というのは一体全体何をするんだと、こういう話になるわけでありますが、ここは、こういう政治主導体制前提として幹部人事内閣一元化ができれば、その状況を踏まえて多分、各府省ガバナンスといいましょうか、マネジメントの在り方、ガバナンスマネジメントについて事務次官がどういう機能役割を果たすのかあるいは果たすべきなのかということについてこれから検討をしていかなければならないと思います。  そういう観点で、私どもが附則に書き込んで、各省の人事労務管理あるいは評価の問題含めて、事務次官機能というものがこれからは相当変わってくるというふうに考えているところでございますが、それも政務三役の役割設定との関係で変わってくると、こういうことも言えるかと、そういうふうに考えておるところであります。
  15. 姫井由美子

    姫井由美子君 今後の本当意味での改革に向けて第一歩であるということが分かりました。  そこで、現行国家公務員法では、本人の意に反して降任できる場合として四つがございます。まず一つが、人事評価又は勤務状況を示す事実に照らして勤務実績が良くない場合。二つ目が、心身故障のため職務遂行支障があり、又はこれに堪えない場合。三点目が、その他その官職に必要な適格性を欠く場合。最後の四番目が、官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合です。  私は、特にこの四つの中で勤務実績が良くない場合の降任というものに注目をしているわけですけれども、この降任のほかに免職という規定もあります。この降任免職というものは、これらの理由がありますけれども、実際どのような理由年間どのくらい行われているのでしょうか。今日は人事院の方に来ていただきましたので、お伺いしたいと思います。
  16. 菊地敦子

    政府参考人菊地敦子君) 国家公務員法は、成績主義の原則の下、職員が全体の奉仕者として情実に左右されず職務を行い、公務の適正かつ能率的運営を図ることができるよう、先生おっしゃいました七十八条の第一号、第二号、第三号、第四号を定めております。このうち勤務実績が良くない場合、あるいは心身故障のため仕事に堪えない場合、あるいは官職に必要な適格性を欠く場合という、こういう事由によります分限処分の数を郵政公社部分を除きまして過去五年申し上げますと、平成十七年度には二十七件、平成十八年度に十九件、平成十九年度に十六件、平成二十年度に十三件、平成二十一年度に十五件となっているところでございます。このうち降任は数が少のうございまして、十八年度、二十年度にそれぞれ一件あるところでございます。
  17. 姫井由美子

    姫井由美子君 今聞きますと、免職に比べて降任が非常に少ないという事実が分かってまいりましたが、この降任が少ない理由につきまして、今日は人事院総裁にも来ていただいておりますので、感想あるいは分析等を含めてお伺いしたいと思います。
  18. 江利川毅

    政府特別補佐人江利川毅君) 公務員は全体の奉仕者として仕事をするわけでありますから、しっかり仕事をしてもらうというのが基本でございます。そういう意味では、きちんと仕事をした人は評価する一方、仕事が不十分な人はそれなりの評価がまた行われなきゃいけません。また、人事は、一方で、公正に行われるということでございまして、先ほど申し上げたような法律規定に基づいて行われるということになっているわけでございます。  分限処分の場合には、処分として行う場合と話合いの中で本人が自発的に、例えば免職処分ではなくて辞任をするとか、あるいは降格などについても、あるいは配置換えなどにつきましても本人人事権者が相談をして納得ずくで動いていくというのも多々あるわけでございまして、そういう話合いの行われている中での数字だと思います。処分として行われるものは決して多くはないという感じがいたしております。
  19. 姫井由美子

    姫井由美子君 人事院総裁及び人事院につきましての質問はここだけですので、もしよかったら退席していただいても構いません。
  20. 河合常則

    委員長河合常則君) それでは、総裁、どうぞ。
  21. 姫井由美子

    姫井由美子君 それでは、実は次の質問のために今人事院にわざわざ来ていただきましてお伺いいたしました。現行制度にある降任あるいは免職のこの制度につきまして、実態としては、特に実際降任人事というものはほとんど行われていないということですよね。  そこで、この政府案にあります職制上の段階のみなし規定につきましてお伺いしたいと思いますが、政府案では、事務次官級局長級部長級官職職制上の段階同一とみなして、事務次官から局長部長へは転任扱いということで事実上の降任人事を行う場合の制約を少なくされております。一方で、対案の方は、幹部職職制上の段階局長級部長級の二段階とし、課長級までの特別降任もできるということで、非常にこれが進んでいると言われておりますけれども、ただ、今の話を聞きますと、降任ということは実態上ほとんど少ない。この両者の規定を読む限りでは、私は転任扱いとしている政府案の方がより弾力的に事実上の降任人事が行えるようにも思えるんですけれども降任人事というのは実際に発動すると心理的な抵抗もあるかと思います。  この転任扱い、これがどのような機動的な人事ができるのでしょうか、仙谷大臣にお伺いしたいと思います。
  22. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今回の法案におきましては、幹部職員ではあるけれども転任を受けてあるラインから外れるということは起こり得るというよりも、そういう柔軟化をもたらそうということがこの幹部職員内閣一元管理趣旨でございます。官邸主導適材適所人事を柔軟に行う、これを可能にするために今回の転任という概念を使っているといいましょうか、そういうことを考えているわけでございます。  それで、自民党、みんなの党さんの対案では特別降任という規定をお作りになって、行政遂行を最大限効果的に行う上で必要と判断するときには、本省の課長クラスまで幹部職員特別降任ができるというふうに書かれているわけでありますが、これまた今度は特別降任をどういう要件の下で具体的に行えるのかというのは現時点では明らかになっていないわけであります。  この転任についても、野党の皆さん方からは、これは恣意的に行使されるおそれがあるということが指摘をされるわけであります。あるいは、政治的に使われる可能性があるんじゃないかという御指摘もいただいているところでございます。しかし、特別降任ということになっても、それを、そういうそしりを免れる何か要件とか、あるいは具体的な行使の、そういう権限行使、特に人事権行使官邸主導で行おうとすれば、やはり特別降任の場合でも、どのような要件の下にだれがどういう判断をして行うのかという点は、やっぱり人事特有の問題があるわけでありますから、これを明確にしようとしても、これはそれほどアプリオリにそのことができるわけではないのではないかと私ども考えております。  できる限り私どもは、これをある種、総理大臣官房長官任命権者協議、これをどちらからでも、何というんですか、可能にすることによってチェックあるいはバランスが保たれる、そういう仕組み、さらには、幹部職員となる場合の適格性審査のところで、どなたがお考えになっても、ああ、この方は幹部職員としてやっていけるんだなと、そういう審査をパスするということがひとしくそういう評価を受けるんだなと、その中で幹部職員を柔軟に適材適所人事官邸主導で行うということをやらせるのは、どう考えてもこういう規定にするしかないのかなというのが私の政府案を作った理由でございますし、私はそういうふうに考えているところであります。
  23. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。大臣のお考えもよく分かりました。  課長級までの特別降任がいいのか、転任扱いの方がいいのか、どちらが進んでいる制度かどうか、ここだけで一概に判断するのは私は大変難しいかと思っております。  先ほど、大臣の答弁の中に、政府案転任という制度についても恣意的に使用されるのではないかという懸念がよく指摘されると言われましたけれども、恣意的に使われる懸念があるといえば、私は次に質問をいたします降給についての規定、この部分につきまして、対案では、内閣による行政遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断される場合は降給できる。そして対案は、給与という公務員生活にかかわることに対して、私は、この対案こそ恣意的に処分に流れる可能性が強いのではないかと思っております。一方、政府案では、降給については現行どおり人事院規則に定める場合にできるとしています。  この降給について言えば、本人に責任のある事由での降給の場合と、例えば行政遂行を効果的に行う理由での降給を行う場合と、これはそれぞれ分けて考えるべきではないかという意見もありますけれども、降給とは、先ほど言いましたように、給与という公務員生活にかかわることでもあります。  こういった、政府案対案とそれぞれ違うわけですけれども大臣の方に、あえてといいますか、現行案のままにした理由等を含めまして、この降給についての規定についてお伺いしたいと思います。
  24. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今の国公法は、降給というのは分限処分ということになっておりまして、人事院規則規定がされております。勤務成績の不良、心身故障適格性の欠如及び官制若しくは定員の改廃又は予算の減少による定数不足の場合、こう限定的にされておりまして、明らかにこれは不利益処分であるということでございます。  そこで、自民党、みんなの党の対案というのは、幹部職員については行政遂行を効果的に行うという理由で降給としておりますが、これは一体全体、分限処分の降給なのかどうか、あるいは分限処分とは違う降給なのかと。分限処分と違う不利益処分というのはどのような場合に科すことができるのかというふうに考えていきますと、なかなかこれは整合的な理由というのは出てこないのではないかと。  特に、内閣による行政遂行を最大限効果的に行う上で必要と判断した場合に降給をできるというのは、これまた、何というんですか、それほど内閣自身がせっぱ詰まった理由というか、そういうことではなくて、割と内閣の政治判断で効果的かどうかということでその不利益処分が特定のもし公務員に掛かるとすれば、それは少々、今の国家公務員法全体の論理とは整合性を欠くのではないかというふうに私ども考えております。なかなかこれは理屈付けが苦しいだろうなというふうに考えているところでございます。  今回の政府案におきましては、幹部職について、職制上の段階のみなし規定を入れることによりまして転任による弾力的な人事を可能としており、適材適所人事を行った結果として、転任後の官職に応じて事実上給与が下がるということはあり得るけれども、これは降給処分ではないということでございます。  いずれにしましても、分限処分であります降給につきましては、労働基本権の在り方や身分保障とも密接にかかわる問題でありますから、全体として整合的な検討が行われるべきものだと考えます。  ちなみに、これ、私の記憶の整理あるいは事実関係を詳しく調べなければならないわけでありますが、裁判所の場合、これ裁判長裁判官で、三人合議の裁判長であるかどうかというのは、これはある種の、何といいますか、補職というか転任というか、裁判官である身分というのは全く異動なくて、ある裁判所へ赴任したときに裁判長になるかどうかというのは全然別の問題だというふうになっております。  これ、裁判長になった場合には、多分そのことによって、何というんですか、昇給といいますか、結果として給与が上がると。裁判長裁判官が裁判長を離れて単なる裁判官になって一人で裁判をされるというような場合も多々見受けられますけれども、こういう場合は、多分そのことによって給与が事実上下がるんだろうと思うんですね。それとよく似たようなこと、よく似たというか、同じような人事権行使が霞が関の、つまり司法の場とは全然違うわけですが、霞が関の場でできるようにするということが私は内閣人事管理の一元化と、そこで柔軟な適材適所人事を行うということなんだなと、こういう理解をしておるところでございます。
  25. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  柔軟な人事管理、それが柔軟なこの降給あるいはいろんな制度にも反映されてくるかと思います。こういったいろいろな取組、この総合的な結果で、これからの国家公務員がまさに基本的に国民のための奉仕者である働きができるかというところを、常に大きな目標を念頭に置きながら細かい規定をこれから配置していくのではないかと思っております。  そしてまた、よく議論になるところですけれども、再就職あっせん禁止違反についてです。再就職あっせん禁止については、政府案は懲戒としている一方で、対案では二十万円以下の罰金としております。この再就職のあっせん禁止に違反した場合につきまして、この再就職のあっせんは一体だれがやるのか、個人がやるのか省庁全体なのか、なかなか私は特定が難しいかとは思いますけれども、しかし何らかのこの禁止をするための手段、手だてというものは必要だと思います。  ただ、再就職あっせん禁止に罰金という刑事罰を加えるというのは行き過ぎではないか、あるいは刑事罰を加えるほどに犯罪構成要件というものが明確にできるのかというような疑問もあります。  今回の政府案、懲戒処分とすることでも再就職のあっせん禁止は十分に効果があるとは思いますけれども大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  26. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私が弁護士の仕事を本格的に十九年間行って、刑事事件も随分行いました。そういう人生経験が相当色濃く反映し過ぎているのかも分かりませんけれども、私自身は、この公務員法の審議の中でもやたら刑事罰を科さないのはけしからぬ、けしからぬという論議が、特に今の野党の皆さん方から声高に叫ばれることに非常に違和感を感じますし、そういう刑罰をもって何かをしようとすることを主流とするような、警察国家のような、こういうことをあなた方は望んでいるんですかということを問いかけたくなるような、こういう衝動をなかなか抑え切れないんですね。  私は、刑罰をもってすべての世の中を律すると、刑罰の予防的効果といいましょうか、防止的効果をもってすべて人間の行為が正しくなるなどという、そういう幻想にとらわれてはいけないと。極論に聞こえるかも分かりませんが、なるべく刑罰が少なくて刑罰権を発動できない社会の方が望ましいわけであります。  そして、刑罰権の対象とする行為は、やっぱり倫理的にも極めて強く非難をされるべき行為であるとか、あるいは刑罰とのバランスが絶えず考えられなければいけないと。そして、公務員の世界に簡単に、またこれ公務員の強権、強権を持った司法官憲が絶えず踏み込む余地を与えるというのは果たしていいのかどうかなどという、こういう観点からも考えておかないといけない。  そしてもう一つは、この再就職のあっせん、天下りの問題というのは、従来はここまではというか、政権交代までは、言わばある種の、何というか、組織的行為として、余り望ましくはないけれども別に悪いことではないわなと、人の就職のお世話をする、あるいはこれによって人事の、何というんでしょうか、新陳代謝というか流動化を進めるためにこの天下りあっせんが必要だという前提で昨年の九月までは行われてきたということは、これは間違いがないわけですね。  そうすると、それに携わるポジションにある人がたまたま団体あるいは自らの所属する組織のために行っている行為で、個人的な利得のために、特段の個人的な利得のためにやっているわけではない。つまり、そこに職務との関係、職務の公正さを疑わせるような事柄が個人的な問題として強く出てくるような部分については現行国公法上もこれは刑事罰をもって非難の対象とされるわけでありますが、現時点で、ここまで我々があっせんを禁止をして、しかし違反をしたという場合もいろんなケースが私はあると思います。刑罰をもって非難をしなければいけないような部分もこれは全くないとは言えませんけれども現時点ではほとんどのケースが、一般的に天下りのあっせん禁止をした瞬間にほとんどの場合には個人的に刑罰をもって強権を発動して科さなければいけないというふうなケースというのはほとんどなくなるのではないかというふうに思っておりまして、懲戒処分で十分抑止効果があると私は思っているところでございまして、余り何でもかんでも犯罪とすればこういうことが収まるとか、犯罪とすれば留飲を下げるといいましょうか、何かそういう論理は私は余り、正しい民主主義社会にとっては、健全な民主主義社会にとっては望ましくないのではないかと、こういうふうに考えているところであります。
  27. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  国家公務員公務員というものは、先ほど人事院総裁も全体の奉仕者である、そういったやっぱり意思という、初心を持って自ら志願、志願といいますか、なっているわけですから、そういった元々の、法を守るという、あるいは倫理に基づいて国民のために仕事をするということが、本来あるいは現時点でも兼ね備えてそれを守っているということを、私たちはまず基本的にそれを信じて、その上での法規制をしていく必要があるのではないかと思っています。  そして、最初に言いましたように、個人的利益、利得があるかどうか分からない、これを、じゃ省益のため、もちろん省益よりも国益という国民のためを思ってするのが公務員ではありますけれども、じゃ省益がすべて悪いのかというものでもないかと思います。この部分はやはり非常に慎重に考えていっていただきたいと思います。  再就職あっせんは禁止していますけれども政府案では一方、再就職支援が行える場合というものを規定しております。例えば組織の改廃によって離職を余儀なくされる、こういった場合には再就職支援を行う。まさにこれは本人に何の責任もないわけですから、そういった場合まで再就職支援を行わないというのは離職する公務員生活考えた場合に行き過ぎではないかとも思います。そして、一方で、対案では再就職のあっせんは一切行わないこととなっています。  そこで、これも、これからのやっぱり民間の実態からしても、私は再就職、こういった組織の改廃による場合、本人に何ら責任がない場合、これも十分民間の実態からも検討していただいた結果だと思いますけれども、この再就職を支援することを入れられた、この理由とそれからどのような支援を行うのかといったことにつきましても仙谷大臣にお伺いしたいと思います。
  28. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 物事を分かりやすくするために、官民人材交流センターの各府省別あっせんというのがございます。今年の三月三十一日までにこの官民人材交流センターのあっせんで再就職をした人の数は四百八十三人でございました。そのうち、鳩山政権になってからのあっせんというのは社会保険庁職員の六十六人だけと、こういうことになります。  これは、取りも直さず、旧政権下でつくられた官民人材交流センターはむしろ再就職あっせんをすることが仕事でございました。つまり、組織の改廃等に、そういう理由がなくても、むしろ官民人材交流センターであっせんすることによってあっせんが合法化されるという、そういう制度でございまして、そのうち旧政権下で四百十七人ですか、があっせんを受けて再就職をしたと、こういうことになるわけですね。  鳩山政権になりましてからは、このあっせんを民間の整理解雇に当たる場合だけに限定をすると。その場合は、民間の使用者が負う義務と同じように、政府も、やはり組織の改廃によって整理解雇をしなければならない、そういう場合と同じような場合だと。そして、最後には分限免職ということに至るという場合には、これは使用者のある種の責任としての分限免職の回避の義務といいましょうか、回避の努力が必要であるということで、この部分についてのみ私どもは再就職支援をするということにしたわけでございます。  想定される支援といたしましては、支援対象職員の特性、再就職先の希望等を把握をしなければいけない、それから企業等からの求人も集めて、本人の能力、適性、希望に適合した再就職先候補を選定して本人に提示するということが考えられると思います。具体的には、この民間人材登用・再就職適正化センターというのができましたら、そこで更に検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  29. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございます。  今まで対案政府案、それぞれよく議論になる点を比較して伺ってまいりました。ともすれば、一切再就職のあっせんを行わない、あるいは行った場合には罰金、非常に厳しくて改革派というイメージを受けますけれども、実際それが適用できるかどうかという実際の面に直面した場合、あるいはそれが本来機能するかどうか、またそれをして本当意味での公務員改革になるのかどうかというところまで私は掘り下げた結果、決して政府案は後退しているわけではなく、そして対案が進んでいるわけでもないというふうに思えてなりません。  この政府案対案の比較の最後の質問になりますけれども人事管理についてです。  政府案では、人事現行どおり人事評価に基づき適正に行うとされています。そして、一方、対案では、幹部職員内閣との一体性の確保にも配慮して弾力的に行うとされています。もちろん、政府の方針に全く異論で、考え方が全く違う人でも人事評価に基づき適正に採用してしまうということは、この適正に行うという、現行どおりだからといってそういったことは私は考えられないと思います。  例えば、民間人の登用がこれから考えられておりますけれども人事評価のないケースもございます。今回のこの対案の、内閣との一体性の確保に配慮して幹部人事を行うということは、私は十分現行どおりの政府案でも可能だと思いますけれども、こういったいろんな問題が指摘されているこの点につきまして、仙谷大臣はどうお考えでしょうか。
  30. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いわゆる政治との応答性の問題というふうに考えられると思うんですが、つまり、その政権の持つコンセプトに中立性を持つ公務員が適切な距離を保ちながら政治あるいは政府に従うと、こういうことが官僚側に求められるということでありましょう。  したがって、一体性という用語を使うかどうか別にして、今回の政府の法案では、内閣提出の法案では、官邸主導適材適所人事配置を行うために、内閣総理大臣官房長官の側から任命権者に対して任免協議を求めることができる旨の規定を設けてございます。さらに任命権者の方からも内閣総理大臣官房長官協議した上でこの任免行為を行うと、権限の行使ができるという旨の規定を設けてございます。  このように、協議を双方からできるということで、内閣の重要政策を実現するために内閣全体の視点から適切な人材を登用する、そういう必要があると判断するときには内閣全体の視点から適材適所幹部人事を行っていく旨を法律上明確に規定をしてございまして、内閣主導といいましょうか、政治との応答性ということを強く意識してこの法案を記載してございますので、姫井議員のおっしゃるとおり、そのことは十二分に確保できると私は考えております。
  31. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  確かに内閣との一体性の確保にも配慮されて人事はするとは思います。しかし、これを余りにも明文化してしまいますと、基本的に人事の政治的中立性という部分からの整合性も考えられますので、私は、やはり弾力的にこの現行法どおりで意図ができるのであればあえてそれ以上踏み込む必要はないとも思っております。  こういって、今大臣の方から対案政府案、いろいろお伺いいたしまして、私は現時点で、これ改革の第一歩でもあります。十分に、まずはこれを早く成立させまして、そしてこの基本法に基づいた改革が踏み出せることが重要ではないかと思います。  それでは、対比ではない以外の質問について多少お伺いしたいと思います。  私が本会議での代表質問に際しまして、労働基本権、これは今回の改正法案のその次の段階になりますのでちょっとお答えにくかったかと思いますけれども仙谷大臣は、労使交渉における使用者機関の在り方について早急に具体的な検討を進め、労働組合の相手方当事者を確立するという方向を決めていくと答弁されました。基本的な方向はそうなのでしょう。  政府内に使用者側の当事者をつくる場合、どのような条件を備える必要があると今の段階ではお考えでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  32. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 組織形態は私まだイメージしておりませんが、少なくとも、民間の会社でいえば副社長か専務がまず労務担当、人事担当の責任者ということに、大概の会社はいらっしゃるということであります。そこで、その労働組合との関係を実務上処理していくのは、その下に普通の会社であれば総務部があって、その担当者がいると。さらには、大きい会社ですと出先の工場あるいは営業所というところがございますので、そこにも労務担当の工場長なのか工場次長なのか工場長次長なのかがいらっしゃって、そこにも総務課というふうな体制がつくられて、常時接触をし情報を得ながら、あるいは自ら、賃金に関することでありましたら、その地域の賃金水準や労働条件水準を日々調査をするというような仕事もされているようでありますが。  政府の方でこれを引き直して考えてみますと、やっぱり政務に携わる者、これ人事局長が副大臣級ということに今回の法律は立て付けてございますが、労働組合を相手方当事者とする当事者をつくろうとすれば、やっぱり政治判断とその責任を負う、大臣なのか副大臣なのかそこはよく分かりませんが、そういうクラスの者がまずいるという立て付けも必要でしょうし、先ほど申し上げました内閣官房でございますと、全体をちゃんと見るという、情報を収集し、あるいは調査をする機能が事務当局としても、内閣人事局長なのかあるいは別の格好になるのか分かりませんが、それは必要だろうと。それから、各省庁においても、そのようなマネジメントができる部署、これは先ほど問題になりましたけれども大臣の下で担当副大臣がそういう使命を受けるのか、あるいは事務次官がイギリスのようにそこは事務的な処理として行っていくのか。しかし、いずれにしても、このマネジメントも各省大臣が最終責任者であるということで、各省大臣と連携の下に当事者としての責務を果たしていくと、こういうことになるんだろうなと思います。  したがって、従来は余り、調査機能から始まる日々の労務管理人事管理の処理というものが、言わば人事異動といいましょうか、出世と、出世といいましょうか、昇任と降任といいましょうか、あるいは転勤、転任の関係はなさっていた部局はあるんでしょうけれども勤務条件部分についてはほとんど各省とも、あるいは政府全体としてもこれは人事院にお任せしておったわけでありますから、この部分を、官邸がというか、政治が責任を持つということになりますれば、それにふさわしい部局といいましょうか、そういう担当事務局も必要だし、それからその責任者が、政治責任者もちゃんと責任を持てる立場の者が位置付けられなければならない、そういうふうに考えているところでございます。
  33. 姫井由美子

    姫井由美子君 ありがとうございました。  最後の質問ですけれども、これは私が特に仙谷大臣意見を伺いたいと思いまして、質問させていただきます。  私は、代表質問の中で、これは菅財務大臣に、総人件費二割削減についてどのようなやり方でするのかとお伺いしたところ、地方分権の推進による地方移管という方法があるということを方法の一つで述べられました。そのときに野党席からのやじで、地方へ押し付けるのかというやじが飛んでまいりました。私は、二期八年間岡山県議会議員をしておりました。本省から部長や課長が来るんですね。その来た部長や課長によってその部署が活気付いたり、随分変わるものだなということをまざまざと見てまいりました。特に地域主権の時代には地方に優秀な人材が集まる必要もありますし、帰るのではなく、そこで骨をうずめるつもりで働く、将来的にはそこの首長を目指す、あるいはいろんな方法があるかと思いますけれども、私は地方移管が一概に押し付けとは思わないんですけれども仙谷大臣はどのようにお考えでしょうか。
  34. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 昨日も地域主権戦略会議が官邸で開かれました。まずは、義務付け・枠付けの撤廃をめぐって、現在、法律項目で、例の地方分権推進委員会でしたっけ、本部だったか、この勧告で俎上に上げられたものの約五〇%ぐらいを、これは政権交代の効果だと言われておりますが、三月段階から五月段階までにかけてようやく重い腰を上げつつあるというふうな、そういう効果が出てきて、約五〇%ぐらい法定条項で義務付け・枠付けを撤廃することやむなしという決断を中央省庁の方でしてきたというような報告もございました。  それから、一括補助金化をこういうふうにやろうということもございました。  それからもう一つは、国の出先機関の言わば見直しといいましょうか、要するに出先機関のうちもう地方に移管をできるものはそうしようということで、ここはなかなかこれからも難渋をしつつ議論を進めなければならないと思いますけれども、今回の新規採用問題でも、やっぱり国の治安にかかわるようなところの、これも出先機関と称して、どうやって新規採用人員を減らすのか、減らしてはまずいのかという、このことは治安関係職員等々については今回も問題が出てきたわけでございますが、それ以外の投資的な仕事をなさっているところは、これは地域主権という観点からいっても十二分に地方に移せる部分はあると。  そういたしますと、当然のことながら事業費を、当然これ公務員の人件費が含まれている場合もありますし、あるいは事業費プラス五%ぐらいが事務費だというふうに言われている部分もありますけれども、それをどのぐらい財源を付けてお渡しするのかということも、またこれからの話合いで問題になると思います。  ただ、その場合であっても、丸ごと今国で例えば三十人でやっている国道管理を県に移したときに果たして三十人なのかどうなのかと、十五人で済むんではないかというような御意見も知事さんからは出てきておりまして、そうなると、国で三十人分の少なくともその仕事を移せば三十人分の人員は減らすことができると。減らすのをどのように減らしていくのかというのは、これは新規採用を抑制するとか、あるいは自然減を何年間か以降掛けてやっていくとか、いろんなやり方があるんでしょう。そういたしますと、それは多分人件費としても二割に、そのことだけで二割に行くとは思いませんけれども、そういうことも含めて人件費の二割削減、四年間で二割削減ということの一つにしたいと思います。  先ほどから問題になっております地方との関係は、これはあくまでも、姫井議員がおっしゃるように、地域主権をどう我々がつくっていくのか、つまり補完性の原則から、どういう行政サービスとして、住民の前に立ち現れているものを、これを地域主権というか地方分権体制の中で地域住民がよく見える、そして地方の政府が自律的、自発的、自主的に決めていける体制にするのかという観点でこの地域主権戦略会議が精力的に今作業を行っておりますので、これでやっていくと。その結果として、国の人件費も、多分、事務の重複もなくなるわけでありますから、少なくなってくると、こういうふうに考えているところであります。
  35. 姫井由美子

    姫井由美子君 時間をわずかに残しましたけれども、私の質問は以上で終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  36. 行田邦子

    ○行田邦子君 民主党の行田邦子です。  私は、前半部分国家公務員の再就職関係についてお伺いをさせていただきます。  この改正法では、官民人材交流センター廃止して、新たに民間人材登用・再就職適正化センターを設置するということになっています。そして、そのセンターの下に再就職等監視・適正化委員会を、これまでの再就職等監視委員会から衣替えしてセンターの下に置く、そして監視機能を強化するということになっています。  そこで、お聞きしたいと思っておりますのが、この監視機能の強化という点ですけれども、具体的にどの点を強化するんでしょうか。
  37. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  行田議員御指摘の新設の再就職等監視・適正化委員会なんですけれども、二つの機能について加えております。一つは、再就職等規制の遵守に関する任命権者への指導、助言という機能、もう一つは、再就職等規制の適切な運用確保に必要な措置についての調査審議ということで機能が強化されておりまして、プラス、再就職等監視・適正化委員会の下に具体的にこの再就職等監視・適正化を行うための再就職等監察官を置いております。この再就職等監察官、非常勤の二十一名を二十八名、及び事務局の定員も十五から十七名、増員をして体制の強化を図ることとしております。  このうち、一点目述べました再就職等規制の遵守に関する任命権者への指導、助言なんですけれども、これは任命権者に対して再就職等規制の遵守のために必要な事項全般について行うことができるものでありまして、具体的には、例えば再就職等規制に関する職員への周知が不十分で、このまま放置しておくと規制違反行為が発生しかねない場合に任命権者に対し再就職等規制を周知徹底するよう指導、助言することや、個別案件について規制違反とまでは認められないが、脱法的な行為と見られる行為があったと認められる場合にその再発防止のために必要な事項を指導、助言することが想定をされております。  このような権限は、今回の法案により廃止する再就職等監視委員会の所掌事務にはなかったものでありまして、新委員会が違反行為に対する懲戒処分等の勧告に加え、規制の遵守のために必要な場合に任命権者に対し法令に基づく指導、助言を幅広く行うことにより、監視機能が十分に発揮されるものと考えております。  二点目の、先ほどの任命権者への指導、助言とともに、再就職等規制の適切な運用確保に必要な措置についての調査審議というのは、再就職等監視・適正化を行う上で、今後なんですけれども、例えば、関係各府省においてこの働きかけについての書類の取り方とか、どういうような体制を準備すべきかとか、個々の様々な調査、再就職を監視、適正化するに当たって見えてきた点につきまして、そのことについて、適切な運用確保について調査審議を行って、それをセンター本体に対し建議を行い、センターからこれは内閣総理大臣、中央人事行政機関たる内閣総理大臣に勧告を行うと、そのようなことも考えております。  以上です。
  38. 行田邦子

    ○行田邦子君 最初、この監視機能の強化、新設としては主に二点だったと思うんですけれども任命権者に対する指導、助言、それから適切な運用確保についての調査審議ということでお聞きしまして、これで本当に強化と言えるのかなと思ったんですが、今の御説明をお聞きしまして、これは監視機能が実質的にいかに機能するようにという観点で新設された機能だというふうに理解をいたしました。  これまでは、任命権者に対してはこの委員会というのは、前の委員会ですね、というのは、実際に規制違反行為があった場合に例えば懲戒処分等の措置をとるような勧告はできると。ただ、逆に規制違反行為がなければ何も指導、助言すらできなかったということであったかと思います。是非、この新しい再スタートする再就職等監視・適正化委員会が実質的に機能するようにお願いをしたいと思います。  それでは、これまでにも再就職等監視委員会というものがありました。そして、当然のことながら、その機能というものがありましたけれども、その持っている機能についての実績についてお聞きしたいと思います。  まず、どういった機能があったかといいますと、再就職等の規制、これは在職中の国家公務員が求職をしてはいけないという、これ禁止ですね。それから、再就職したOBから現職職員への様々な働きかけの禁止といったことがありますけれども、この禁止条項の例外承認というのを行うことができる、これが一つ既にあった機能かと思います。  そして、さらには、再就職等規制違反行為の疑いがある場合、委員会が自ら調査をする。それから、任命権者に対して調査を求めることができる。さらには、任命権者とそれから委員会とで共同して調査を行うことができる。さらには、その調査結果によっては懲戒処分等、先ほど申し上げましたけれども任命権者に対して勧告ができる。こういったことがこれまでも委員会機能としてあったかと思います。  そこで、お伺いしたいんですけれども、これまでの再就職等監視委員会、実際的にはいろいろ事情がありまして再就職等監視臨時担当室だったと思うんですけれども、この今申し上げた機能の実績についてどうだったのか、お聞かせいただけますか。
  39. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほども、十九年改正国公法による官民人材交流センターが一般的に再就職あっせんを四百十七名行ったというふうに申し上げましたが、この十九年改正国公法による再就職等監視委員会も各府省によるあっせんを承認をする権限を持っていたということでございまして、私どもが野党時代に問題にしたのは、むしろ退職勧奨と再就職のあっせんをこの再就職等監視委員会が承認をするというやり方で再就職のあっせん、天下りを合理化、正当化することになるんではないかということで、こんな監視委員会は要らないと、あってはむしろ有害無益であるということで、国会において同意人事をこれを承諾しなかったといいましょうか、同意をしなかったことによって再就職等監視委員会機能をしなかったわけであります。人的な構成ができずに機能ができなかったわけであります。  そこで、当時の政府としては、この総理大臣、中央行政機関の長たる内閣総理大臣の権限をこの再就職等監視委員会に委任をしておったわけですが、この委任をやめて逆流をさせて、もう一遍総理大臣のところにこの監視機能あるいはあっせんを承認する機能を取り戻して、その上でこの官民人材交流センターの、先ほど申し上げた四百十七人ですか、このあっせんを承認をしていたということが実態であろうと思います。  私どもは、結局、もし我々がこの再就職をきちっと監視するとすれば、その機能に特化した方がいいと、あっせんを承認する、これは極めて例外的な場合以外にはあり得てはならないと、こういう観点に立って、そういう、何というんですか、機能の根本的な転換を図ったのが我々が今度提起しておる再就職等監視委員会でございます。先ほど大島副大臣から監視機能の強化という点について具体的に申し上げたわけでありますが、そういう機能強化というのはそういう意味でございます。  私どもといたしますれば、この法案を速やかに成立させていただいて、監視機能を強化した新しい委員会を立ち上げて、中立公正、そして独立性のある監視委員会でこの再就職あっせんの監視を行う、このことが極めて重要であると、こういうふうに考えているところでございます。
  40. 行田邦子

    ○行田邦子君 これまでの経緯も御説明いただきました。ありがとうございます。  私の質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、もう一度お聞きしたいと思います。  これまでこの委員会に持たされていた機能として、様々な調査ができるという機能があったと思います。この調査の実績はあるのでしょうか。そしてまた、その調査によって、もし調査の実績があるとすると、調査の結果次第では任命権者に対して勧告もできることになっていますけれども、この実績があるかどうか、教えていただけますか。
  41. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  再就職等監視委員会は、調査実績も規制の例外承認届出の実績もございません。
  42. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。調査の実績、そして勧告の実績もないということでした。これからはしっかりと委員会機能して、本当意味での再就職等監視を行う、そして適正化に努める委員会となるべきだと思っております。  この調査についてお伺いをしたいと思います。  法律の方を見てみましたら、第百六条の六から九にかけてだと思うんですけれども職員又は職員であった者に再就職等規制違反行為を行った疑いがあると思料する場合、思料した場合というような書き方がされています。  ここでお聞きしたいんですけれども、その疑いがあると思われるような事実についてどのように情報を入手するのか、その情報源についてお聞きしたいと思います。
  43. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) この点につきましては、私も、内閣府副大臣として八か月を経過してきまして、この間いろいろと考えてまいりました、いろんな事案がございまして。各府省ごとにコンプライアンス、法令遵守のための公益通報システムを導入するということでいろいろと相談がございました。  今、各府省ごとでどういうようなこの公益通報の、もちろん内部の職員の皆さんからも含めての通報制度なんですけれども、どういうものがあるかということを調査をさせております。概略見てみると、ある省によっては、もう弁護士事務所に一次的な情報は職員の方あるいは外部の方から通報していただくと。ある役所については、それは職員の部隊が受けるんですよということになっていたりして、どういう窓口が一番その通報をしやすい窓口なのかなということを今考えておりまして、そうすると、各府省ごとのその公益通報の窓口を充実させることが必要であると思っております。  ですから、行田委員おっしゃるとおり、どうやってこの情報を今入手するかというのは、府省職員の皆様、職員からの内部通報的なもの、あるいは外部の者からの通報によるもの、これによって要は第一次的な調査が行われたり、もう一つは、マスコミとか各報道による、こういう事実があるという報道もあるかとは思います。ですから、ここの情報を広く取ることが必要だと思っておりまして、現状でも例えば職員の声、あるいは、これはハトミミというのかな、一般の方からも様々な情報が枝野大臣のところに上がってきていて、それを三役が全部目を通しておるところでもございます。  ですから、今先生がおっしゃったとおり、この再就職等規制違反に関する情報を入手できないと調査を行うことが困難になるのは御指摘のとおりでございまして、再就職等規制の実効性を確保するためには、違反行為の疑いがある事案についての情報を今述べましたように幅広く収集することが極めて重要だと認識をしております。そのためには、規制に違反する疑いのある再就職に関する情報を有している職員や関係者から調査のこれは端緒となる情報を入手することが必要であり、任命権者や監視機関において情報提供を求める通報窓口を整備し、その周知を図るとともに、内部通報者の保護に十全を期することが必要であると考えております。  ですから、今回のこの再就職等監視・適正化委員会の下にもこの窓口を設けて、幅広く一般国民の方あるいは職員の方からの声も、要はお寄せいただきたいということも考えております。このほか、任命権者や関係部局との連携による情報の入手、規制内容の周知等を通じた通報の奨励等により、幅広く情報源を確保し監視を行うことが必要であると考えております。  ですから、具体的には、今回の公務員制度改革検討に当たって、ある上場会社のホールディングカンパニーにヒアリングに伺ったときに、そこの会社には各ドアごとに大きなポスターが張ってありまして、要はセクハラとかパワハラとか、あるいは談合とか、そういうことに気付いたらここの弁護士事務所に電話してくださいということで、それをもう至るところに張ってあるわけです。それは職員の方も毎日見るわけですし、そこにいらっしゃる関係各会社の方も見て、そのことによって一次的な通報が行われると考えておりまして、そういうことを徹底して政府全体の法令遵守、コンプライアンスのレベルを上げていくことが必要だと考えております。
  44. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非、内部通報のその周知ということも行っていただきたいと思っておりますし、また委員会においては、情報を受動的に待つだけではなく積極的に取りに行くという姿勢も必要かと思います。  そして次に、再就職等の規制について伺います。まずは在職中の求職活動の規制、これは百六条の三でしょうか、に記されていることについて伺います。  再就職等の規制については、これ、平成十九年の国家公務員法の法改正に伴って平成二十年の十二月三十一日に施行されたと伺っておりますが、そのうち在職中の求職活動の規制、これがどういう規制かといいますと、職員が利害関係企業等に対して求職活動を行うことを禁止しているというものです。ただし、ここで委員会は例外の承認を行うことができるようになっております。  そこで、じゃその例外の承認がどういう基準によってなされるのか、政令の方を見てみました。政令の第八条、職員の退職管理に関する政令の第八条なんですけれども、ここには承認基準といたしまして、高度の専門的な知識経験を有する職員が利害関係企業等からの依頼を受けて再就職しようとする場合、また、一般に募集され、公正かつ適正な手続で選考される公募に応募する場合といったようなことも記されていました。ほかにも幾つかありましたけれども、この二つがちょっと気になりました。これは、文言どおり解釈すると抜け道にもなりかねないといったことが懸念されます。これについてどうお考えでしょうか。
  45. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 行田議員の御指摘というのは非常によく分かるところでございまして、求職活動規制の例外承認制度については、職員の退職管理に関する政令第八条の承認基準に規定する家業を継ぐ場合などの限定される場合について委員会が個別に承認の可否を判断するものであり、その際、ここのこの就職活動の承認基準の概要の一番最初に書いてあるんですけれども、公務の公正性を損ねるおそれがないと認められることが承認の要件となっておりまして、新委員会が厳格に制度運用することによって御指摘のような心配は軽減される、なくなるものと考えております。  承認基準を定める政令については、今後、制度運用状況も踏まえ、必要に応じて改正を行っていくことも必要だと考えておりまして、行田議員御指摘のとおり、ここの例外承認について、例外承認が例外ではなくなってしまって、承認するだけで抜け道になってしまうことがありますと、今回のこれは国会同意人事の五人の委員の皆様が就任していただくものですから、特にここの例外承認についてはしっかりと行ってもらうことが必要だと思っておりまして、その運用状況を見て、この政令についても検討を加える必要があれば検討を加えていきたいと考えております。
  46. 行田邦子

    ○行田邦子君 是非運用の厳格化をお願いしたいと思います。そしてまた、これまで例外承認というのは委員会でも実績がなかったわけですから、この新しい委員会機能して、そして必要に応じて政令の改正ということも検討が必要であればお願いしたいと思っております。  そして、もう一つの規制についてお伺いします。再就職者による依頼等働きかけの規制についてです。百六条の四です。  再就職者が離職前五年間に在籍した局等の役職員に対し契約等、離職前五年間職務に属する者に関して離職後二年間働きかけをすることが禁止されています。これは離職前にどういうポスト、官職に就いていたかによってより厳しくはなっていますけれども基本はこういうことだと思います。  ここでお伺いしたいんですけれども、この働きかけが行われた場合なんですが、職員は再就職等監察官に届出を行わなければいけないとなっていますけれども、この届出の実績はあるのでしょうか。
  47. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 行田議員御指摘国公法第百六条の四に違反する働きかけを受けた職員による届出の実績はございません。
  48. 行田邦子

    ○行田邦子君 届出の実績はないということですけれども、なかなかこの届出をするというのは難しいことなのかなとも思っていますし、またその規制にはやはり限界というものがあると思います。ですから、これからは働きかけ規制の監視を厳しく行っていただきたいと思っておりますし、また届出がしやすいようにと言っていいんでしょうか、そういった職場風土というのもつくっていただきたいというふうに思っております。逆に、そうすることによって、現職の職員の方もOBに対して、いや昔は甘かったけれども今は厳しいんですよというエクスキューズにもなるかなというふうに考えております。  ただ、そもそもOBがいるということ、そのこと自体がやはり現職の職員にとってはプレッシャーにもなるのではないかと思いますので、規制によって締め付けるというのはやはり限界があると思います。ですので、総合的に様々な方向から監視を厳格化せざるを得ないというふうに思っております。例えば今、再就職の届出というのを徹底させなければいけないと思っていますし、そして再就職者がいる団体に対してどういう契約がなされていて、そしてどういった補助金が交付されているのか、あるいは許認可がどうなっているのかといったこともきちんと調べていかなければいけないと思っております。  また、行政監視機能も強化しなければいけないと思っております。事業仕分だけではなく、国会審議でも厳しくチェックをする。そしてまた、これはかねてから言われていることだと思いますけれども、新たな行政監視機関ということを設置することも検討する必要があるのかなと思っております。そのことによって国家公務員の皆さんが恥を知るというか、こんなことをやっていると恥ずかしいぞと思うようなことも必要なのではないかというふうに思っております。  それでは、再就職等監察官についてお伺いします。  今後、常勤は一人、そして非常勤はこれまで二十一人だった方を二十八人に増員するという想定とお聞きしています。ただ、ちょっとここで思いますのが、この委員会本当にこれから実質的に機能しなければいけない委員会かと思いますが、常勤の数が一名ということで十分なのでしょうか。
  49. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) まずは常勤一名で予算的な制約、制約というわけじゃないんですけれども、まず常勤一名でしっかりやってもらうことが必要だと考えております。  再就職等監察官は、再就職等規制違反行為に関する調査の実施を行うことをその主たる業務としております。常勤の再就職等監察官の定員については一名でありますが、先ほど述べましたとおり、従来に比べて非常勤の監察官を二十一名から二十八名に増員しており、必要に応じて非常勤の監察官に調査案件を割り振ることで常勤の監察官の負担を軽減することが可能とも考えております。また、監察官を補助することとなる事務局職員の定員も十五名から十七名に増員し、監察官の職務を補佐する体制も強化しております。このようなことにより、常勤の監察官は一人ではありますが、監視が適切に行われる体制は整っているのかなと考えております。  以上です。
  50. 行田邦子

    ○行田邦子君 非常勤の方が七名増員ということで、しっかりと常勤の監察官をサポートするということになると思います。  ただ、監察官は今回あえて国家公務員経験者を除外していると思います。監察官の方がしっかりと働いていただかないと、結局は事務局が実質全部やることになってしまうと思うんですね。この事務局というのは国家公務員の皆さんだと思いますので、これでは意味がなくなってしまうと。せっかく監察官を国家公務員経験者は除外している意味がなくなってしまうということにもなりかねませんので、ここはしっかりこの体制でまずは機能していただきたいと思っております。  そして、センターの方に戻ります、話を。センターの名称なんですけれども民間人材登用・再就職適正化センターという名前になっています。頭に民間人材登用というふうに付いていますけれども、これについて、民間人材登用について具体的にどういった業務を行うことになるのでしょうか。
  51. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをいたします。  民間からの人材登用を含め、官民の人材交流については、官民人材交流法に基づく民間企業との人事交流、任期付職員法に基づく採用、国家公務員法に基づく選考採用など、制度がこれは多岐にわたっており、また各府省がそれぞれ個別に採用を行っております。このため、交流の相手となる民間企業や公務で働くことを希望する民間人にとって窓口がどこか分かりにくくなっており、民間人材登用・再就職適正化センターにおいては、官民人材交流全般について官と民をつなぐ窓口的な業務を行うことを考えております。  具体的な業務としては、経済団体等と連携し官民人材交流に関心を持つ企業等の掘り起こしや企業等への情報提供を行うこと、各府省における民間からの採用情報を取りまとめホームページ等でこれは提供すること、公務で働く希望や意欲を持つ民間の人材について各府省への情報提供を行うことなどを考えているところでございます。  この官民人材交流については、一昨年の基本法の制定、基本法の議論の中でも官民の人材交流をより多くする必要があるという御指摘がされておりまして、そのことも踏まえて考えていきたいと考えております。
  52. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  民間からすると、各府省ごとの採用を行っているわけですので、それぞれにコンタクトを取らなければいけないというのは大変だと思います。そういった意味で、窓口の一本化というのは大変に重要なことだと思っております。  さて、その民間人材登用についてなんですけれども、今どの程度進んでいるのかを数字を見てみました。私が関心がありましたのは、民間から国への受入れ状況です。数字を見てみますと、民間から国への受入れについて主に二種類ありまして、期限付、一定期間国家公務員に受け入れるという形と、それから無期限といいますか、いわゆる中間採用、中途採用、二つがあると思います。  平成二十一年八月十五日現在では、期限付、一定期間の受入れという方が三千百人ぐらいでした。平成二十年、その一年前は二千七百人ぐらいということで、こちらは徐々に増えているようです、過去を見ても。  一方、中間採用、中途採用の方なんですけれども、これは平成二十一年八月十五日現在で千三十三人。その前の年の平成二十年は九百八十一人ということでした。更にその前は八百二十六人ということでした。国家公務員、大体この対象となっているのは三十万人だと思いますけれども、そのうち千人強というのは、これはどうとらえるかなんですけれども、私はこれは少ないなというふうに感じております。  この実績に対する評価、いかがでしょうか。
  53. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) おっしゃるとおりの人数でございます。  日本は、公務員の方々の処遇といいましょうか、勤務条件が果たしていいのかどうなのか、これは基準をどこに置くかということなんでありましょうが、やっぱりある種の専門職といいましょうか、専門的な技能をお持ちの方にとっては、処遇だけから見ると、公務員の方々の処遇というのは余りいいとは思われないということがあって、期限付である種のキャリアパスを得たいということで公務の世界に入ってこられる方もいらっしゃるとは思いますが、どうしてもしり込みをされる民間の方も多いと思います。  ただ、そうはいっても、こういう表現するとまた物議を醸すかも分かりませんが、よそ者、若者、ばか者と、こういう言い方があって、組織の活性化のためには、やっぱり違う、異なる文化といいましょうか、あるいは価値観、あるいは作法を持った方が入ってくることが大変重要だという話も、私もそのとおりだと思いまして、公務を活性化する、あるいは内向きにならないというようなこと、それから専門性を持った人材の確保と。特に、社会の動きといいましょうか変化が激しゅうございますんで、昨日まで専門性があると思われていた人も今日はもうほとんど専門性がないというようなこともございますので、その時代のスピードに合った専門性を持った人材の確保と。そして、何というんですか、余り世の中の常識と懸け離れた組織的な運営が行われないで、効果的、効率的な運営ができると。これは行政組織全般がそうでありますが、このためにはやっぱりもう少し積極的に活用をしていくことが重要だというふうに考えています。  特に、議員もそうでありましょうが、政治家皆さん方も一遍この世界へ飛び込むことのリスクというのは大変大きい。それから、何というか、苦界に身を沈めるような覚悟じゃないと選挙をできないと。選挙を経て、これで落選でもしようものなら、市民社会の方に帰っていくみたいな雰囲気が、なかなか今度はそこで職を得るのは難しいというようなこととよく似た雰囲気の話が民間の方々、特に定職を持ってある種の地位と影響力といいましょうか、そういう、持った民間の方々にとっては難しいのかなと。  こういうふうには思っておりますが、いずれにしても、これはもう少し、回転ドアというほどではありませんが、民間との行き来ができるような制度づくり、あるいは意識づくりといいましょうか、あるいは風土づくりといいましょうか、そういうことに私どもが取り組まなければいけないと、こういうことだと思っております。
  54. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  民間から人材を登用するその意義というのは、民間にいらした方の専門知識や経験を官の世界で生かすということがもちろんあるかと思いますけれども、先ほど大臣が御答弁いただいたように、民間から、言ってみれば官の世界からいったらよそ者ですね、が入ってくることによって、何というんですか、異なる風土や文化の人間が入ることによって組織が活性化する、また違った視点で物事が見れる、今まで内輪の人間だけでは分からなかった課題も見付かってくるといった利点があるかと思っております。そうした意味で、私はもう少し民間からの人材登用ということを行っていただきたいと思っております。  そして、できれば期限付ということではなくて、やっぱり無期限というか、中間採用ということを積極的に行っていただきたいと思っておりまして、やはり期限付の方だとどうしても、私も受入れ側としてかつて経験があるんですけれども、お客様になってしまう、組織の中で、ということもありますし、その組織の風土や文化を変えるところまでは至らないだろうというふうに思っておりますので、いわゆる中間採用、中途採用というものも積極的に行っていただきたいと思っております。  そしてまた、その際なんですけれども、私もこれはかつて二回転職していますので経験があるんですけれども、是非この中間採用というものを人事制度の中にしっかりと組み込んでいただきたいと思っております。待遇はもちろんのことなんですけれども、中間採用で採用された人間をどの官職あるいは俸給で始めるのかといったことの制度づくり、されていると思いますけど、ここもしっかり組み入れていただくだけではなくて、外から来た方への研修といったことも制度として組み入れていただきたいと思っております。なかなかやっぱり、民間の自由な世界からいきなり官に行くと、頭では分かっていても、実際やってみると分からないことも多い。官でしか通用しない言葉もあったり常識もあったりする。そういったことを勉強する研修ということもしっかりと組み入れていただくべきではないかなと思っております。  そしてまた、これは外から、民間からその人材を登用するということは、恐らく今いらっしゃる国家公務員の皆さんにとっては余り喜ばしいことではないのかなと思っていまして、喜ばしいことではないといいますか、敵が増えるという言い方もできると思うんですけれども、と思っています。ですので、ここは是非政治主導でしっかりとかじ取りをお願いしたいと思います。  次に、人事評価について伺いたいと思います。今日は階政務官にお越しいただいていますので、お聞きします。  今回の改正法では幹部職内閣一元管理が行われます。そこで、人事評価データというのが今後大変貴重なデータになると思うんですけれども、今現在、いわゆる幹部職事務次官級局長級部長級人事評価がどのように行われているかといいますと、部長級はその上の局長級評価をして、その更に上の事務次官調整すると。局長一つ上の事務次官評価をして大臣事務次官大臣評価をするということになっていると思います。  ただ、今後、幹部職というのは同一職制上の段階とみなされることになります。ちょっとここと矛盾しないかなというふうに思っておりまして、またその懸念としては、結局、幹部職事務次官局長部長級というのは同一職制上になるわけです。そうすると、例えば事務次官あるいは局長といった評価者にとっては、自分が評価するその被評価者がいつ自分のポストを脅かす存在になりかねない、取って代わるかもしれないと、今まで以上にそれはすごく頻繁に起こると思うんですね。そうすると、そういった状況で客観的な評価ができるのかどうかといった懸念があるんですけれども、いかがでしょうか。
  55. 階猛

    大臣政務官階猛君) 非常に鋭い御指摘だと思います。  確かに、自分の部下の評価をするときに、不当に低く評価して、そして上に上がってこれないようにするという懸念があるわけです。  今の評価者がどういうふうになっているかといいますと、先ほど委員も御指摘された部分を含むわけですが、各府省の長が総理大臣協議して定める人事評価実施規程というものに評価者というものが定められております。したがって、総務省としては、強制力はないわけですけれども、今申し上げた人事評価実施規程のイメージというものを各府省に示して、そしてなるべくそれが浸透されるようにしているところでございます。  御質問の、今までの評価者であると部下に対して不当な低い評価がなされる懸念があるんじゃないかという趣旨でございますけれども、その点については、今の評価者でも、例えば局長については事務次官が一次的には評価しますけれども大臣調整者として変な評価がされないかどうかチェックしていると。事務次官についてはそもそも大臣がチェックするということで、ちゃんと政治的な目は行き届いているということなんですが、問題になりますのは多分、部長、審議官クラスだと思います。ここは、現行だと評価者のレベルでも調整者のレベルでも政治家は関与しないというところでして、この辺が今後見直しの焦点になってくるかと思いますけれども、今委員が御指摘になった点も踏まえ、これから検討してまいりたいと思います。
  56. 行田邦子

    ○行田邦子君 今後、幹部職内閣一元管理に合わせて、必要に応じてこの評価システムといったことも検討を加えていただきたいと思っております。  そして、もう一つ人事評価についてですけれども、この新しいというか、人事評価システムは始まったばかりと聞いております。平成十九年の国家公務員法の改正に伴って始まりました。これからその運用実態を把握していく必要があると思うんですけれども、ここはしっかりと、どういう運用が各府省では行われているのかといった実態を是非担当である総務省さんで行っていただきたいと思っております。それによって制度改善につながっていくものと考えておりますけれども。  この制度運用のレビューについてなんですけれども、例えばですけれども、今、人事評価は絶対評価だというふうに聞いています。私はこれでいいと思うんですけれども、絶対評価であるべきだと思ってはいますけれども、そうはいっても、相対評価ではなくて絶対評価とはいっても、実際にじゃそれぞれの府省でどういう評価の結果になっているのかといった分布というのはやはり調べるべきではないかなと思っております。  そしてさらに、評価者が下した結果というのは原則開示となっているんですけれども、これはお聞きしますと、原則ということで、拒否することもできると。自分は自分がどう評価されたか知らなくていいですといったこともできるということだそうですので、ここは実際、じゃ運用上どうなるのか、開示状況ですね。  それからまた、評価者にとっても慣れないことだと思います、こういった人事評価をするというのは。実際にその評価を行ってみて、評価者からどうだったのかというフィードバックを得ることも必要だと思っていまして、そのことによってより適切な評価が行われるような評価者教育ということにも生かせると思っております。  といったことを考えているんですけれども、この人事制度運用のレビューについて、総務省ではどうお考えでしょうか。
  57. 階猛

    大臣政務官階猛君) これも大事な御指摘だと思います。  新しい人事評価制度導入するに当たりまして、総務省から各府省に対して通知というものを出していまして、その通知の名前は「人事評価の基準、方法等について」ということですけれども、その最後のところに「人事評価運用状況を適切に把握し、その運用について必要な改善に努めること。」ということを通知しております。  今現在、まだ最初人事評価の結果が、まだ能力評価については出ておりません。業績評価については三月末で一回目が終わったというところで、先般、古川委員からも、その業績評価の結果について分布状況を調べるべきではないかという御指摘もいただきました。まさにその運用実態を把握するという上で、分布の調査やあるいは委員が御指摘いただいた被評価者に対する開示がされたかどうかということの調査ということは当然やってしかるべきだろうと思いますので、そのような運用状況の適切な把握を通じて運用の改善に努めていただくよう、総務省としても引き続き各府省に指示をしてまいりたいと思います。
  58. 行田邦子

    ○行田邦子君 これから能力・業績評価主義ということが徹底されて行っていかれるものと考えております。その基礎となるのがやはり人事評価制度ですので、ここはしっかりと運用して、その後のレビューということを力を入れて行っていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、仙谷大臣に御意見をお伺いしたいと思います。この官僚組織というか行政組織の形について伺いたいと思います。  よくこうした議論の中で、ピラミッド型が良くないといった批判的な意見が聞かれるんですけれども、私自身は組織のピラミッド型というのは何も悪いことではないと思っておりまして、むしろこうした大きな組織また行政府においてはピラミッド型というのは適しているんではないかというふうに思っております。  ただ、問題は、このピラミッドが年次、入省年次と完全に今までリンクしているということに問題があるのかと思います。そしてまた、そのピラミッドを構成する構成要員というのがかなり固定化している、メンバーが固定化しているということ、そしてさらには、このピラミッドが各府省ごとにあって完全に独立しているといったことに問題があるんだと思っております。ピラミッド自体ということは、私は組織の在り方としてこれはむしろ適しているのではないかなというふうに考えております。  これからは、このピラミッドの年次、入省年次と完全にリンクしているということを変えていかなければいけないんだろうと思っていまして、それで先ほど人事評価制度についてもお伺いしました。人事評価制度にのっとって能力・業績評価主義に転換していく、そのことによって、同期が事務次官になったらどんどんどんどん外へ出なければいけない、天下りしなければいけない、再就職先を見付けなければいけないといったことも、こういった在り方も変わっていかなければいけないと思っております。  また、先ほどの民間の人材登用という話もさせていただきましたけれども、外から人材をもっと取り入れて新しい風を送るというか活性化をしなければいけないと、こうしたことも必要だと思います。外からというのは、民間だけではなくて府省間の異動異動と言っていいんでしょうか、府省間の異動ということも、これは幹部職の養成という意味合い以外でももっと流動的に行われるべきではないかなと思っています。  よく私、官僚の皆さんと接していて思うんですけれども、何かそれぞれの府省省庁ごとの暗黙の不可侵条約みたいなものがあるのかなというふうに思うほどがちがちと、組織が縦割りで流動性がないということを感じております。  この点について、非常に抽象的な質問で恐縮ですが、いかがでしょうか。
  59. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 何かをするために組織が動く、その場合の組織形態がどういうものでなければならないかというか、どういうものであるのが望ましいかというか、これはやっぱり古今東西かなりの難問で、試行錯誤しながらここまで来ているんだろうと思います。  ある種のピラミッドといいましょうか、段階的指揮命令、上からいうと指揮命令、下の方からいくと執行の現場とどうつながっているのかという問題なんだろうと思います。  しかし、ピラミッド型で行うのが、ある種の間違いチェックや、多様な価値観が吸い合わさってそこでコラボレートするのか統合されるのか、そういうことで政策というのはできてくるものでありましょうし、その政策の執行もある種の上から下へ指示を下ろすということで実行されるということになるんでありましょうが、余り重ねもちの段階が、ピラミッドの階段が多くなると非効率であるのと、意思疎通といいましょうか、情報が共有化されないというふうなことにもなる。  どの程度がいいのか。特に、この時代に合ったスピード感のある効率的な情報収集と、さらにそれをどのようにくみ上げて政策化するか、その政策化したものに例えば予算を付けて滞りなく現場まで届いて執行できるのかというのは、これは少々霞が関の皆さん方も工夫が要ると。  よく言われますけれども、十九個も二十個も稟議の判が必要なような組織というのは私はどこか間違っているというふうにいまだに考えております。ただ、三段階、四段階ぐらいの、特に地域の現場ということを考えると、そこからトップまで、その部門のトップ、今でいえばどうでしょう、霞が関でいえば局長ぐらいまで四個、五個ぐらいの階段を経て情報が上がってくるとかいうふうなピラミッド型の組織というのはまあやむを得ないというか、そのぐらいの方がいいのかなと思ったりします。  それともう一つは、アドホックなプロジェクトチームというか、チームの組み方がいつでもできるような、つまり、日本でいえば省庁間の壁みたいな話でありますが、これをやっぱり取っ払って仕事ができるような何か仕組みが必要なんだろうと思います。  上下の壁をどう壊すかというか、風通しを良くするかということと、横の壁をどういう場合に、どのようなリーダーシップの下にその壁を壊してチームをつくるのかという、この二つの問題あるわけでありますが、これはもう意識的に絶えず壁を壊しながら、しかし役割設定機能設定としては自分が指示、命令を聞く上位者といいましょうか、その人については敬意を払いながら、決まったことについては指示、命令をちゃんとこなしていくというふうな作風といいましょうか、そういうやり方がこれからは必要になってくると。  今は、やっぱりちょっとおっしゃるように縦割りの壁が強過ぎて、これは、よその省庁のことを手出ししない代わりに批判もしないと。相互批判がありませんから、みんなかばい合いというか見て見ぬふりを、無駄遣いであろうと余分な仕事であろうと、つくらなくてもいい仕事をつくっているなと思ってもそういうことを批判しないという構造の中でやられている部分が相当あると。  今度は、壁と壁の間のすき間には野球でいえばポテンヒットみたいなものがいっぱい落ちて、あっ、これはしまったと思いながらだれも知らぬ顔をして今度は責任を取らない、こういうことも今のところかなりあるなと私は見ておりますけれども、それ双方を是正していくというのは、一つはリーダーシップの問題、それから組織の臨機応変な組替えの問題というふうなことが、これは今の制度上でも政務三役の方で気が付いてそういうのを随時やっていけばできないわけではないわけでありますから、それは政治の力でできるだけ、何というんですか、決めるところから現場までの距離がそれほど多くないようなことを考える、それから横と横の関係を臨機応変に組み替えてチームをつくっていくというふうなことができればまあまあ何とかなるのかなと思ったりもしております。
  60. 行田邦子

    ○行田邦子君 ありがとうございます。  ピラミッドの縦長過ぎるというのは、やはりいろんな弊害があると思います。私も経験があるんですけれども、どんどんどんどん情報伝達ゲームで、全然実は最後違うことになってしまっていたりとか、あるいは、縦長過ぎると、組織が責任が明確にならない、所在が明確にならないといったこともあると思います。  また、先ほど、今大臣がおっしゃられた、横の関係ということも非常に重要だと思っていまして、人事交流だけではないと思うんですね、必要なのは。組織もその時々の政策課題に応じてもっと柔軟に組替えができるように、そうあるべきではないかと思っています。  組織の基本は縦のピラミッドでいいと思うんですけれども、ただそこで、例えば先ほど大臣がおっしゃった横のチームであったりとか、あるいは私が考えているのは斜めのチームというのも必要なのかなと思っています。  横のチームでいったらば、例えば電子政府なんかは横のチームで、これはもうすべての省庁に関連することですので横のチーム編成で取り組んでいくと。その中でだれかリーダーはもちろん必要ですけれども。あるいは、斜めでいったらば、例えば若年者雇用について、これは例えば厚労大臣がトップで、そして文部科学省の幹部職がいて、経済産業省の管理職がいてといった斜めチーム編成というのも、その時々の政策課題に応じて必要になってくるのではないかなと。また、組織というのはこういった組替えが柔軟に行われるべきではないのかなというふうに思っております。  この国家公務員法の審議を通じまして、私も、今のいわゆる人事行政どのようになっているのかということを勉強させていただきました。それでつくづく思うのは、本当人事行政機能というものが巧みに巧みに分散されているということが分かりました。これは人事という巨大な権力をあえて分散させているという知恵だったのかもしれません。そしてまた、労働基本権に制約があるといったことも大きな理由一つだと思っております。  この人事権力というか人事行政の分散というのは、これはもう年月を経てより強固なものになってがちがちに固まってしまっているというのが今の状況ではないかなと思っております。ですから、パズルに例えると、軽率にこのワンピースを取り出そうとするとがたがたに崩れてもう二度と同じ絵に戻らないような、それほど巧みにがちがちにパズルが組み込まれている状況だと思っております。  今やろうとしていらっしゃるのは、そのパズルを、軽率にワンピース取り出すともうがちゃがちゃになってしまうので、次にじゃどういう絵を描くのかという、その絵を描いていらっしゃる最中だと思っております。そして、その新しいパズルの組立てというのは、それはもう来年の通常国会で抜本的な改革法案を出していただくものと思っております。  そして、今回の法案というのは、そのパズルの一ピースたりとも外すことなくでき得る最大限のこととして、まずは幹部職の一元管理からやろうということだと思っております。逆に私は、ここからスタートしたということが、今の政府の本当に本気で国家公務員制度改革をやるんだという強い意思の表れというふうに感じております。ですから、この法案について私はもちろん賛成でございます。  最後は賛成討論みたいになってしまいましたけれども、これからこの国家公務員制度改革、第一歩踏み込まれるということでございますので、今後の制度運用に期待を申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  61. 河合常則

    委員長河合常則君) 午後一時に再開することとし、休憩をいたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  62. 河合常則

    委員長河合常則君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、小川勝也君、川上義博君及び市川一朗君が委員辞任され、その補欠として外山斎君、大塚耕平君及び中山恭子君が選任されました。     ─────────────
  63. 河合常則

    委員長河合常則君) 休憩前に引き続き、国家公務員法等の一部を改正する法律案閣法第三二号)外二案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 岩城光英

    岩城光英君 自由民主党岩城光英です。  先週の委員会で私と同郷の金子恵美委員質疑がございまして、冒頭の大臣とのやり取り、興味深く聞かせていただきました。政府の目指す社会像、そのために必要な国家公務員制度改革の在り方、全体像はいかがなものかという、そういったやり取りでございました。ちょっと関連することになるのかも分かりませんけれども、冒頭、大臣質問させていただきます。  何事によらず、大きな目標を立ててその目標に到達するためには、どんなことをどんな時期にどのように行うか、その工程を明確にすること、これが必要であると思います。会社であれば、十年後、二十年後にはこういう会社にしたいという経営者の構想があり、その目標に向かって年次計画を作成し、着実に実現に向かって社員一丸となって努力すると、そういったことでありましょうか。明治以来の国家公務員制度改革するというこの度の法案は、我が国の行く末を見据え、今何をなすべきかという大所高所からの観点に立つ必要があると考えております。  第二次大戦後を考えますと、財閥の解体、公職追放などが行われ、それまでの価値観が崩壊した占領下における日本の中で、官僚そして行政機構は温存され、日本の再建のために大きな力を尽くした、そういう側面は事実であると思います。そして、その機構を大きく改正しようとするに当たりまして、日本の将来像をどう示すのか、言わば国家ビジョンというものの中でこの国家公務員制度をどうとらえていくか、このことについてまず仙谷大臣の思い、御見解をお伺いいたします。
  65. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私どもは、従来の日本の議院内閣制といいましょうか、議会制民主主義と言われているこの統治の在り方が、実態的には、官僚主導あるいは官僚内閣制と言われるような実態であったというふうに考えておりまして、これを国民主権内閣、名実共に国民がその主権をしっかりと反映できる政治、あるいはそういう統治の在り方に変えていかなければならないというふうにまずは考えたところでございます。  よく言われますように、よらしむべし、知らしむべからずという明治、有司専制政府以降の、善きにつけあしきにつけ、そういう伝統の中で内閣制度運営をされてきたことを踏まえて、これを政治主導官邸主導あるいは国民主権内閣に変えるべしという思いでこれからもこの公務員制度改革にも取り組んでまいりたいと思います。  もう一点、私個人がつくづくこの数年考えておりますことは、今、岩城議員もおっしゃいましたけれども、民間は経営人材が、やはり日本は経営人材の養成に余り成功しなかったんではないかということが、ある種民間企業の元気のなさといいましょうか、この十数年の元気のなさを指摘する中から出てきております。今日も新聞見ておりましたら、やっぱり依然としてピーター・ドラッカーが売られていると。やっぱりドラッカーに学んで戦後日本の企業経営をなさった経営者は大変多かったわけでありますが、どうも依然としてドラッカーが重視されるということは、反対から言えばやはり経営人材が少なかったと。  それをある種国家経営というふうな観点に置き換えてみますと、やっぱり国家、あるいは政府、あるいは議会、政党というところを通じて、ガバナンスとかマネジメントとか、経営という観点からの発想でこれを動かす、そのために人材をどうつくり出していくのか、あるいはその人材をどう活用するのかといいましょうか運用するのかという観点は、政党自身を自ら振り返ってみても、やはり弱いというか心もとない状況があるのではないか。  それから、霞が関も、やっぱり年功序列と、長寿のためか、そのOBの方々のある種の残った影響力の下で、どうも現状維持的な空気の中で運営をされているんではないか。そこに縦割りの問題、それから無謬性の問題、昔からある、よらしむべし、知らしむべからずの閉鎖的な体制の問題とか、そういうのが覆いかぶさってどうにもこうにも、何というんですか、突破できない何かが、重いふたのようなものがこの日本全体の統治の形を覆っているといいましょうか、統治の姿になっているというふうに思いまして、これをやっぱり変えるのは相当思い切った発想の転換が必要なんだろうと。  発想の転換といいましても、自民党の長い間できなかったことの原因を探り、そしてその原因が分かればそこにメスを入れていくことで相当程度ある種の閉塞的な状況にある日本の統治といいましょうかガバナンスに風穴を開けられるんではないか、そこからしか始まらないと、そんなことを考えておるところでございます。  したがって、今回の幹部人事内閣一元化というのも、ほんの一部ではあるかも分かりませんが、そのガバナンスの在り方を変える、そして責任感といいましょうか責任性、それからその組織の持つミッションに基づいて活気のある集団を霞が関につくっていくということの第一弾がやっぱりこの幹部人事内閣一元化、あるいは柔軟な人事を通しての適材適所人事。私が常に表現させていただいておりますのは、クロスオーバー人事が行われれば、ということはその前提としては適切な人事評価がなければならないと思いますが、そういう人事の下にクロスオーバー人事が行われればこれは相当程度の活性化になるだろうと、こういうふうに考えているわけであります。  それから、続きましては、このマネジメントとかガバナンスということを考えますと、やはり労働組合、公務員労働者に対して基本権を与え、政府が責任を持ってマネジメントをするというその気構えと体制がなければマネジメントというのは成立しないだろうと、そういうふうに考えて、第二弾、そういう抜本的な改革に踏み込む、そういう決意であります。
  66. 岩城光英

    岩城光英君 この制度改革に向けた大臣の思いというのはお話をいただいたわけでありますけれども、実は先般、金子委員質疑の中で、大臣のお母様は学校の先生でいらしたというお話がございまして、それで、公務員の方々はいい人が多い、能力のある人が多い、そしてひたむきにまじめな人が多いというお話をされました。そのくだりの中で、まじめであることが犯罪であるかのようになった云々というお話がありましたね。全体の流れの中では分からないこともないんですけれども、私の父親も警察官だったものですから、そんなことでちょっとここが表現が気に掛かりますので、もし、こういう言い方なんだという、こういうことなんだということであれば、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  67. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 実はそういう面では親不孝にも母を批判する若き時代を私は送ったわけでありますが。というのは、私の母は歴史の教師でございました。戦前十五年間、高等女学校で歴史を教えたわけでありますが、そのときには多分、皇国史観、そして天皇絶対主義という国体論に基づく歴史を、世界史の教師ですから余り日本史のことはそれほど強烈に教えなかったかも分かりませんが、少なくともそれを否定しないで歴史の教師を続けたと。戦後はこれ、誠にその国体論というか皇国史観が否定をされて、それでもそのことに対して深刻な自己反省なく歴史の教師を続けたということに、私はこれは一つの犯罪に近いというふうに若いころは思っておりまして、そういう批判をしていたと。  つまり、やはり公務員の方々であろうとも、間違った方向性に関しては、なかなか職を賭してそれに抗議をしたり反逆をするということは難しいのかも分かりませんけれども、やはりあの戦争を私どもは、私は戦後生まれですから経験しておりませんけれども、ある種のやっぱり国民に対するこれは犯罪的な行為を、少なくとも日露戦争後十年ぐらいたってからの日本の行為というのはやっぱり間違いであったというふうに考えるべきだと私は思っております。
  68. 岩城光英

    岩城光英君 大臣の思いは分からないわけではないんです、先ほど申し上げましたとおり。ただ、犯罪という表現をされますと、どうも気に掛かる部分があるものですからお話をさせていただいただけでありますけれども、それは意見が異にしますので、思いとして承っておきます。  それで、国家がその広範な責務を果たすためには、全体の奉仕者として国家国民のために働く膨大かつ多様な人材を必要としております。それが国家公務員でありますし、そのために、これらの職員を分類し、任免し、服務規程を課し、待遇を図るなど、職員に関する一定の人事行政制度が設けられております。その国家公務員に求められるものは、困難で多くの仕事量をこなしていくための能力、公平公正な判断と、確実な情報に基づいて的確な判断を下せる識見、強い権力を持つ者が権力を濫用、私的利用しないための高い倫理観、そういったものであります。  昨晩もそうでしたけれども、夜遅く霞が関を通りかかるたびに、こうこうと明かりがともる様子を見まして、多くの公務員の皆様が連日深夜まで、土日も関係なく国家国民のために献身的に仕事をされている、そのことに私どもは頭の下がる思いです。  その一方で、三十万人の国家公務員の中のうち一部の不心得者が起こす不祥事が全体の公務員の悪者扱いにつながりまして、公務員へのバッシングも絶えません。大多数の国家公務員は倫理観も高く優秀であることは間違いなく、過剰な公務員バッシングは腹立たしいものがある場合もあります。そうして、いろいろと不祥事が続くんですけれども、やっぱりまた天下りやわたりに国民から厳しい批判、そういったことも受けることも事実です。  その原因として考えられますのは、一部の職員に、公衆に奉仕するという公僕としての倫理観、これが欠如しているのではないかということと、その確立したころは別途の仕組みであったはずの国家公務員制度が時間の経過とともに欠陥を生じているのではないか、こんな問題意識を持っております。長い年月を経過した制度制度疲労を起こし、改めるべきところが現れてくるものであると思わざるを得ません。  大臣は、先週も「坂の上の雲」のお話をされました。例え話をされましたけれども、鎖国の江戸時代が終えんを迎えまして、明治の国づくりのために優秀な当時の官吏が欧米の先進諸国に留学や視察に出かけ、様々な社会体制の仕組みを持ち帰りました。新しい日本をつくるという崇高な使命と責任感に満ちた当時の国家公務員と現在の国家公務員に果たして本質的な違いはあるものでしょうか。明治の動乱期、国家建設に携わった当時の官吏に今でも模範とするところがあるのではないかなと、こんなふうに思われるんですけれども大臣はいかがお考えになりますでしょうか。
  69. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私もよわい六十四になりまして、絶えず心しなければならないのは、やはり自分の辞めどきといいましょうか、そういうことなんだろうなと、今、林先生ともお話をしていたところでございます。  というのは、必ずしもこれ不祥事じゃないですね。今問題にされている指定職の天下りとか、何回もわたりにわたって九十何歳まで独法から公益法人の経験をしてついに辞めたというような話もございます。  この心理の裏側を揣摩憶測といいましょうか推測してみますと、やっぱりおれは偉いんだと、おれは社会に役に立つんだという意識がまずあって、こういう処遇を受ける、この程度の処遇を受けることは当たり前なんだというその意識も相当おありになると。後輩の役所の皆さん方も、あるいはそのOBの方々も何となくそれを認めていくという、ここは、これ不祥事と言えるのかどうか分からぬけれども、全体的には誠に、庶民感覚といいましょうか普通の人間の感覚から言えばおかしい。おかしいけれども許されるとすれば、その人が卓越したというか卓抜した何かを持っていらっしゃるからだと、こういうことになるわけでありますが、そんなことはもう現代においては多分あり得ないと。有害無益な存在なのに本人が気が付かないだけで、そういう、何というんですか、ちょっとした利益をむさぼるという、こういうことを許す体制というのは何なのかというふうに考えますと、私はやはり危機感の問題とか使命感の問題がやはりだんだん摩滅してくるというか麻痺してくるという人間に特有の現象と。  我々も楽をしたいとかいい思いしたいとかという気持ちは全くないわけじゃありませんから、だんだんだんだん自分のエネルギーというか活動量が衰えてくるときにそれを余り自覚しないで、むしろかえって重用されているように感じることをある種心地よく思うという、この傾向がやはり全体的な日本の現在置かれた状況、あるいはこれを危機と言うかどうかはまたそれぞれ違うんでしょうけれども、危機的な状況の中で、こういう無為徒食、何とかをむさぼるようなことをしていいのかという。若いとき、多分その方の三十代、四十代であればそういうことを真剣に考えて悩まれたと思うんですが、そろそろ七十を超え、八十を超えてもなおそんなことを考えられないで平然とそこに居座るという、ここがやっぱり最大の問題、あるいはこれを許すことが最大の問題だと私は思います。  民間の会社も、相談役が多いところは、そしてそれに車を付け、部屋を付け、秘書を付け、ゴルフ場の会員権を財産としてではなくてプレー券として渡し、使える料亭がここ、ここ、ここというふうにちゃんとセットをしてある、こういう会社はもうほぼ十年もたてばつぶれると、こうよく言われるわけでありますが、だけれども、これが銀行辺りでも、九八年のあの金融危機を目の前にするまでには整理できなかったという、この事実がやはりあるわけですね。  だから、やはり優秀な後輩諸君でも、日本は多少儒教的な影響も残っているのか、先輩の功労者をたたき切るということができない。これは、やはりOB、先輩の方が自らけじめを付けて、どこかで役割は終えたということでちゃんと身を処していかなければ、これは社会全体として、今私が申し上げたような、鈍麻したゆるゆるの状態が続いて、ゆでガエル状態になって、最後はその組織自体、構造自体がどこかでぱったりといく、こういうことになるんだろうと、私はそういうふうに最近物事を見ておりまして、どういうふうに見られているか、評価されているか、それから自分でそのことをどう評価するのかという、ここについては相当けじめの付いた、自らを客観化し相対化しなければいかぬなということを思っておりまして、組織のある種の責任付いている方々は必ずやっぱりそのことを自分の中で反すうしながらやっていかなきゃいかぬだろうなと、こう思っておるところであります。
  70. 岩城光英

    岩城光英君 政治主導ということが鳩山内閣発足から言われ続けてきております。しかしながら、その実態ですけれども、国民が理解できる方向に導いていくのではなく、別な方向とか勝手な方向に進んでいて、その時々に言い逃れをしている、そんな印象が受けられます。  例えば、宮崎の口蹄疫の問題、これも宮崎県のみならず全国の畜産農家、流通販売業者が不安のどん底に陥っておりますし、またそのおかげで、宮崎県中心に周辺の県のスポーツ大会とかイベント、こういったものも開催が断念せざるを得ない状況にもあります。  また、普天間の基地の移設の問題、これも地元沖縄を始め国内だけではなくアメリカやアジア諸国との信頼も損ねてしまっております。そのほか、子ども手当の問題は、現在、全国の自治体の窓口が混乱している実態もあるようであります。高速道路の料金の問題など、政府の対応の遅れや方向性の誤り、こういったものが枚挙にいとまがありません。  これらは皆、政治主導の名の下に進められた重要案件であります。現政権下で政治家が、本来実務に携わり、法律を作り、その実行に当たる官僚を正しく的確に主導しているのか、疑問が持たれているところであります。人に対して活用するという表現は余り好ましくありませんけれども、組織を活用しているのかどうかということになるんだと思うんです。  このような問題が、制度を論ずる前に、政治主導なるがゆえの行政側の指示待ち、あるいは政治の側が行政機構を生かし切れていないということから発生しているのではないかという指摘があるわけでありますけれども大臣の御見解をお伺いいたします。
  71. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今、沖縄の普天間問題や口蹄疫の問題を指摘されて、政治主導というのはうまく作動していないのではないかという御意見、御指摘がございました。  私自身も、私どもがいろんな批判をお受けするときに、これは当たらずといえども遠からずなのか、全くレッテル張りの無理やりの批判なのか、それをよく謙虚に見極めて、正しい御指摘ならば、それは自らの中で消化して自らを変えなければならない、あるいは教訓化するということが重要だというふうに思います。  ただ、翻って考えてみれば、例に出された二つの問題は、例えば農林水産省関連のいろいろな食物及び食材といいましょうか、あるいは動物に関する今までの問題、これはO157というのもあったしBSEというのもあったし、あるいは鳥インフルエンザというのもございました。いろいろありましたけれども、じゃ、その時点で、官僚主導と我々が言っている体制で、世の中のある種の御批判を受けないで、あるいはメディアの御批判を受けないで極めてスマートに極めてうまく処理したというふうな例があっただろうかというふうに考えると、それは我々も野党でありましたから不必要な批判したかも分かりませんが、それはそうではなかった。  やはりこの種のダメージコントロールの話は、今まで経験したことのないものを経験したときに、その先例に学びながら、あるいはこの時代的な環境の中でどういう対処をすればいいのかということを素早く決めるのは、やっぱり政治レベルで決めるしかないんだろうと私は思っております。  日本は、そういう意味で、安全保障の問題もこの種の政治的あるいは財政的な問題も含めて、総合的な判断をしなければならないダメージコントロールというふうなことに余り慣れてない平和ないい時代を送ってきたんだなと、改めてそういうふうに考えまして、ここはやはりこの種の経験を教訓化をして、あり得べき組織や体制をつくらなければならないと思います。  我々、あのときに見ましたのは、こういう災害的な事柄に対する危機管理のお手本として、アメリカのFEMAがやはりいいのではないかというふうな議論を随分、これは自然災害プラス人災みたいな話のときの話でありますが、やりました。ところが、例のカトリーナの台風が上がってきたときのFEMAの対処の仕方については、これは全く大失敗で、でたらめだったという評価が一方で行われているわけですね。  そうすると、これ、体制だけの話、組織だけの話ではなくて、やはりその時々の持っている、その地位に就いた人のもろもろの力がそこでうまく発揮されたかどうかということの問題なのかなという感じがいたしまして、このダメージコントロールについては改めて、その任に就く人も含めて、相当、何というんですか、考えなければいけない問題だなと、改めて、今回のこの先生御指摘の二つの事例も、私なんかは横から見るしかないわけでありますが、横から見ておりましてそういうふうに感じているところであります。
  72. 岩城光英

    岩城光英君 政務三役の方々それから役人の皆様方との間に意思の疎通が十二分に図れていないとか、それから官僚の士気が低下しているといった指摘がないわけでもありませんので、これから、今お話ありましたように、政治主導の下、適切、的確な行政の実務が行われることを期待したいと思います。  それで、法案のことですけれども、麻生内閣の下では、改革事項について何をいつまでに実現するかという全体像を明らかにした工程表、これを決めておりました。マニフェスト、これは民主党政治主導の名の下に掲げるにしきの御旗でありますけれども、この工程表はまさに何をいつまでに実現するといったマニフェストそのものであろうと思います。  衆議院質疑でも同様の指摘がされておりますけれども基本的なことですので、今回の政府案ではなぜこの工程表作らなかったのか、その御説明を願います。
  73. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 工程表というのが麻生内閣公務員制度改革基本法規定をされまして、国家公務員制度改革推進本部において決定をされたものがあったわけであります。ところが、これは、総選挙もあり、一年間でやるべきというふうにされておった幹部人事、あるいは基本法の次の段階での法案が出されることも遅れて、実質上この一年間を無駄にしてしまったということで、実質的にこの工程表に書かれた工程どおり進まないことは明らかになっておった状況を私どもが現政権で引き継いだと、こういうことになろうかと思います。  鳩山政権におきましては、全閣僚で国家公務員制度改革推進本部を構成をいたしまして、ここで今回の国公法等改正法案を決定をして、その際に、今後これに続く改革として、公務における適切なマネジメントを強化する観点から、使用者機関の在り方を含む公務員の労働基本権の在り方について検討を進める、独立行政法人や公益法人の改革も視野に入れつつ定年まで勤務できる環境の整備を進める、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革を加速していく必要がある、このために新たに設置する内閣人事局において政治主導によりこの改革を強力に進めていくと、こういうことを方針として決めまして、改革に取り組んできたところでございます。  基本法で定められた措置のうち、今回の法案で措置するもの以外で法制上の措置が必要なものにつきましては、基本法上、施行から三年以内の措置が義務付けられておりますので、来年の通常国会に法案提出をする必要があることは明らかでありまして、殊更この一年間の中を小刻みにして工程表を作る、そういう必要はむしろないというふうに考えて、来年度に成立をさせていただきたいと次期通常国会に提起をするということで、工程表を作らずとも作業は進行をすると。さらに、国民の皆さん方や国会の議員の方々にもそこは御理解をいただけるんではないかと、こういうふうに考えた次第でございます。
  74. 岩城光英

    岩城光英君 いろいろお話がありましたけれども、やっぱりこういうものを明確に進めていくということを明らかにする意味で、工程表というのは必要であろうと私は思っておりました。  さて、この委員会におきましては、政府案に加えまして対案も審議案件となっております。先日、対案の提案理由説明において秋元委員は、法案の概要を説明する前に、最近の国家公務員制度改革をめぐる経緯を丁寧に述べた上で、現在議題となっている政府案につきましては当時の与野党が一致して修正し成立させた基本法趣旨を反映していないと危惧を感じ対案を提出したのだという趣旨説明を丁寧に理路整然と述べておりました。  そこで、まず対案発議者にお伺いいたします。  対案において、人事院総務省などから内閣人事局へ必要な機能を移管することとしております。それぞれの機関から内閣人事局へ、どのような意図の下に、どういう機能を移管することとしているか、御説明をお願いいたします。
  75. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) お答え申し上げます。  人事局への機能移管でございますが、今お触れになりました与野党修正協議、当時の与野党でございますけれども、成立いたしました基本法では、幹部人事の一元管理、それから人事に係る機能の一元化と、この二つの役割規定して、この後者につきましては、総務省人事院その他の行政機関の機能内閣官房に移管するというふうに明記をしてございます。  この法案趣旨にのっとりまして、甘利大臣のときだったと思いますけれども、従来、政府内で分散をされておりました人事に係る様々な機能、すなわち人事院の級別定数機能ですとか総務省の機構定員の機能、財務省の給与機能ということでございますけれども、そういう分散されております機能を本来人事権者である閣僚たちが実質的に人事権行使できるようにということで集めようということをいたしたわけであります。  そういった目的のために、この基本法にありましたように、また甘利大臣のときに出した法案では、内閣人事局にこういう機能を統合しようということで、政府内の調整も経て出していたわけでございまして、基本的には我々が今回出させていただいております対案もそれと同等の中身にいたしたところでございます。
  76. 岩城光英

    岩城光英君 それでは、人事院の方にお伺いいたします。  今説明がありましたとおり、対案のうち人事院から内閣人事局への機能移管については麻生内閣が国会に提出した改正案とほとんど同じ内容であると、このように思われますけれども対案規定されております人事院から内閣人事局への機能移管について現時点でどう評価されるのか、お伺いいたします。
  77. 江利川毅

    政府特別補佐人江利川毅君) 現在の政府案は林先生からお話がありました中の幹部人事の一元管理を中心とした規定になっているわけでございまして、その次の段階改革を、先ほど仙谷大臣からもお話がありましたが、その次の段階考えるということになっているわけであります。それを議員立法の対案はある意味でまとめてやっていこうという意図の下に考えられているものというふうに理解をしております。  私は、この問題については二つの側面を踏まえて考えるべきだというふうに思っております。一つは、国家公務員制度改革基本法、それの要請しているものは何かというところが一点でございます。それからもう一つは憲法に由来する考え方。憲法十五条で公務員は全体の奉仕者というふうに言われておりますが、公務員の行う仕事というのはそういう観点に立って公正中立に行われなきゃなりませんし、また公務員人事は公正性の確保ということが必要でありまして、その機能人事院に担わされているわけでございます。また、労働基本権について公務員は制約されておりますが、その代償措置としてまたその人事院機能も付加されているわけでございます。  こういう、憲法が国家行政の在り方、公務員制度の在り方として規定している要請は何かと。その両方の観点からどういう制度の在り方を考えるのが適当かということが議論されるべきだというふうに思っているわけでございますが、この点については私は、私個人としましては更に十分吟味をしていく必要があるのではないかという認識でございます。
  78. 岩城光英

    岩城光英君 お立場上答弁に苦労されていらっしゃるようでありましたけれども。  対案発議者に再度お尋ねをいたします。政府案につきましては、この機能移管というのを、内閣人事局へ機能移管を盛り込んでいないことにつきましてはどのように評価されますか。
  79. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) 先ほど岩城先生から若干お触れになったところでございますが、今回の政府の法案では、当時の与野党で修正合意をいたしました基本法にも一部修正が加わっているというふうに承知をしております。すなわち、先ほど申し上げました基本法に書いてある二つのこと、一つ幹部人事の一元化、もう一つは、先ほど機能のお話を申し上げましたけれども人事に係る機能の一元化、この二つのことが旧法では十一条の一と二ということで書いてございます。この元の基本法では、この十一条におきまして、この一と二に書かれたこと、すなわち幹部人事の一元化とそれから人事機能の一元化、このことについては、四条一項の規定にかかわらず、これは先ほど大臣おっしゃった三年以内にやるということですが、にかかわらず、この法律の施行後一年以内を目途として講ずるものとすると、先にやるということを明記をさせていただきましたが、今回はこのところが改正になりまして、そこが削除になりまして、必要な法制上の措置を講ずるということで、年限が取り払われておるところでございます。  先ほど工程表のところでもお話がありましたけれども、我々の考え方としては、選挙等で遅れてはおりますけれども、この全体の施行に先立ってこの二つについてはなるべく早くやろうということで基本法の設計がなされている以上は、今回のこの段階での法案に当然この二つのことは盛り込まれるべきことであろうという考え方でございますので、したがって先ほど申し上げたような内容の対案を出させていただいたところでございますので、そういう意味では、今回は基本法の改正までされてそこの部分がないということについては、一緒に修正案を作った当事者としては大変、今の政府案は残念な状況であるというふうに申し上げたいと思います。
  80. 岩城光英

    岩城光英君 次は幹部職員人事弾力化についてお伺いいたしますけれども、鳩山総理は昨年の二月に、民主党の幹事長でありました当時ですけれども民主党政権での政府人事については、各省庁局長クラス以上に辞表を提出してもらい、民主党考えている政策遂行してくれるかどうか確かめたい、それくらい大胆なことをやらないと官僚の手のひらに乗ってしまう、こう述べておりました。結局そのようなことは実行できませんでしたけれども、政権を担う前であれ、権力の座に着こうとする者がこのようなことを一度口にすれば暗黙の圧力になってしまうのではないでしょうか。公平公正な立場の行政機構に対して恣意的な政治人事が行われないように十二分に注意を払わなければならないという思いを強くいたしております。  さて、政府案事務次官級局長級部長級同一職制上の段階に属するとみなした上で、これらの官職間の異動転任とするのには待遇に違いがあり過ぎるのではないかと、こんなふうにも思われますが、仙谷大臣は本会議で、給与の減額を伴う場合もあり得るが、一般職給与法の規定に基づき転任後の官職に応じて定められる号俸に給与が決定される結果であって、同一職制上の段階に属するとみなすことが合理性を欠くものとは考えていないと、こういう趣旨の答弁をなされていらっしゃいます。政府案が通れば、事務次官から部長への二段階降格でも転任となります。これまでより容易にできてしまうわけであります。そこで転任となった方の心中は察するに余りあるものがございます。  大臣、いわゆるみなし規定に合わせて激変緩和措置のようなものを講じるということについてはどうお考えでしょうか。あわせまして、このみなし規定に基づく転任が、幹部職員人事弾力化ということではなくて、早期退職勧奨一つの手段として使われる可能性があるのではないかと危惧をいたしておりますけれども、この辺のところにつきましてお考えをお示し願います。
  81. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) この転任規定行使された場合でありますが、これは転任後の官職職務と責任に応じた給与が、給与法、一般職職員給与に関する法律六条の二という規定だと思いますが、これによって決定されるものでありますので、特段の激変緩和措置が必要であるとは考えておりません。  なお、現行法におきましても、例えば事務次官から外局の長官への異動というものは転任でございまして、このような異動を行った場合、給与の減額が伴うわけでありますが、この場合にも特段の激変緩和措置を講じているものではないということでございます。  それから、早期退職勧奨一つの手段として使われる可能性があるのではないかと危惧をするということでありますが、そのような意図を持ってこのような異動が行われるということは考えておりません。  それから、もう一つ付け加えますと、私は先ほど裁判所の例を出させていただいたわけでありますが、やっぱりこの種のことにそろそろドライにというか慣れないと日本人は致し方ないのではないかというふうに思っております。  つまり、民間の会社であれば、もう今や社長が単なる取締役になって、あるいは子会社の社長に本社の副社長がなって、昔でいえば格落ちとか左遷とかいうことであっても、それはそれの役割として果たしてくると、そしてその業績いかんや会社の業績いかんによってまた本社の社長、会長に抜てきされるとか復帰するとか、そういうことはどうもこのごろは常態化しつつあるように私は思って見ておりまして、そういうある種のダイナミックな人事というものも行われる場合がある、そのぐらいの時代背景になってきたなと思っておりまして、この霞が関の人事もある種そういうことが起こってもドライに割り切って、その都度与えられた職務役割を果たしていただくと。そんなに、次官から局長になったとか、次官から部長になって恥と思わなければいいだけの話。つまり、そのことによって少々給与が落ちるわけでありますが、それはそれで責任の種類が違ってくるわけですから、まあそれはやむを得ないんじゃないかというふうに考える文化、風土が必要なんではないかと思っております。
  82. 岩城光英

    岩城光英君 ドライに割り切って考えろということでありましょうけれども、なかなかそれは難しいんじゃないかなと思っております。  では、ここで人事院総裁はお帰りになられて結構でございますので、委員長
  83. 河合常則

    委員長河合常則君) じゃ、どうぞお帰りください。
  84. 岩城光英

    岩城光英君 ここで対案発議者にお伺いいたしますけれども、この対案では、政府案にありますみなし規定を採用しない一方で、特別降任規定、これを設けておりますけれども、この規定を設けられました理由につきまして御説明を願います。
  85. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) 今大臣がおっしゃっていた基本的な考え方というのは理解をするところであります。発想を転換して能力主義できちっとやっていこう、基本的な方向は違っていないとは思うんですが、それを実際に今ある組織に当てはめていくときに、やはり徐々に理解を得ながらきちっとやっていくということが必要ではないかと我々考えておりまして、そういう意味では、民間と公務の世界というのは、先ほど大臣がちょっとおっしゃっておられたかもしれませんが、労働基本権の違いがございますので、本当にいい人事をしていただいてそういうことが起こる場合も当然あるわけでございますが、非常に乱暴な人事が行われた場合に、どうやってその仕事をしている人の方の救済が図れるか、またそういうことをきちっと担保するかということも考えながらやっていく必要があると、こういうことでございますので、我々は、そういう意味では、幹部全体を幹部職という言わば特別職位置付けた上で、一般職のその立場というのを少し変えた上で、その中でもさらに職制上の段階というのは、事務次官廃止しますから、事務次官局長というのが一くくり、それから部長級が一くくりで、この一くくりの下に行くときには転任ではなくてやはり降任だということで、特別降任というのを位置付けておるわけでございます。  当然、一般の降任に当たる、成績が不良であるとか、そういうことであれば降任になるわけですが、それに加えて、特別職にいたしました幹部職の場合は、更にこれに加えて特別降任ということをいたしまして、その要件は、内閣による行政遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するという要件を定めまして、これに客観的に該当するかということをきちっと手続をやっていただいた上でやっていくということを定めたところでございますので、転任になりますと、そういう降任という概念がなくなりますので、恣意的な運用というのがなかなか防げないんではないかなと、こういうふうに危惧をするところでありますので、我々の方ではそういうところをきちっと担保をさせていただいたということでございます。
  86. 岩城光英

    岩城光英君 ただいまの御説明をお伺いしまして、分かりやすい仕組みだなというふうに改めて感じた次第であります。  そこで、次に再就職の支援について何点かお尋ねをいたします。  新たに設置する民間人材登用・再就職適正化センターが、組織改廃で離職せざるを得ない職員に限って再就職のあっせんを行うことになります。本会議仙谷大臣は、分限免職回避の努力の一環としてセンターが再就職支援を行うことは国家公務員を特別扱いしているものではないというお話、答弁をされました。  しかし、整理解雇を行わざるを得ない場合というのは、恒常的に組織を整備しておかねばならないほど今後頻繁に果たして起きることなのでしょうか。かねてから民主党が主張してこられましたハローワークや民間の再就職支援会社の活用、あるいは国鉄のときのようにその都度特別の体制を万全に整えればこれは済む話ではないでしょうか。ハローワークも新しいセンターも行政機関であることには違いがありません。国民は、国家公務員の分限免職回避に限ってはハローワークではなく別の行政機関である新しいセンターが再就職支援をすると聞けば、やっぱり国家公務員は特別扱いと、こう受け取るのではないでしょうか。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、特別扱いしているわけではないとする理由、あわせて、恒常的にセンターの組織を整備しておかなければならない理由をお尋ねいたします。
  87. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 岩城議員も御承知のように、ハローワークというのは国民一般に就業の機会を確保することを目的とする公共職業紹介機関でございます。民間企業が整理解雇者を対象に、君、君、ハローワークへ行きたまえと、こういうことを言う場合には、それは解雇回避義務の履行と言うことはできないわけであります。政府においても、使用者として分限免職の回避の努力が求められておるわけでありまして、ハローワークを利用せよということでは必要な努力を行っているとは言えないと、こういうふうに法律的には評価されるというふうに思います。  次に、恒常的にこのセンターの組織を整備する理由はないと、こういう御指摘でありますが、従前の官民人材交流センターは、先ほども具体的な数字を示しましたけれども、むしろこれは再就職あっせんの承認機関だったと。私どもは、公務員職員の再就職あっせんはこれは禁止をすると、こういう全く逆のベクトルであります。  しかしながら、組織の改編等に伴う分限免職の回避努力については、これは政府としてもしなければならない。したがって、先生御指摘の民間の再就職支援会社を利用する場合であっても、例えば厚生労働省なら厚生労働省がこれらの会社に委託をして支援のために必要な人材情報の提供を行うということになれば、これはあっせん規制違反に当たるおそれが強いわけであります。したがって、むしろ民間の再就職支援会社に委託をしてあっせんあるいは情報提供を受ける、あるいは紹介を受けるというためにも、組織の改廃等の場合にだけはそういうことができると。再就職支援を行う、その再就職支援の中身の一つとして、やり方の一つとして民間の再就職支援会社を利用すると。  したがって、そういうことをするためにも法的な根拠が必要であると、こういうふうに考えておりまして、そういう場合にも、その都度法律改正を行うということであってはこれはまた時を失することになりますので、そういう都度迅速な対応が可能となるように、そういう組織の改廃等による場合にのみセンターが再就職援助業務を行うこととしていると、こういうことになると思います。  先ほど岩城議員がそういうケースというのは余り出てこないんではないかということをおっしゃったわけですが、確かに出てこないという幸せな状態が続くことを私も期待をいたしますけれども、何せ産業構造がこれだけ変わりますと、それに対応する公務員の職場といいましょうか、あるいは行政サービスそのものもやはり相当大きく変わらざるを得ないのではないかというのが一つです。それからもう一つは、変わらざるを得なくなるのではないかというのは、その行政サービスの種類、中身が変わらざるを得なくなるのではないかということと同時に、どこで行うか。  先ほどから申し上げておりますように、地域主権改革というような分権改革を行うとすれば、これは国が行うのか、都道府県なのか、市町村なのか、あるいは道州制というふうなことになるのかというふうな問題になりますので、私は、ここ数年は、組織の改廃ということは、頻繁に起こるかどうかは別にして、従来、戦後幸せな何十年の歴史の中で公務員の組織というものがビルド・アンド・ビルドで来たけれども、ほとんどスクラップ・アンド・ビルドのスクラップの方がなかったという、こういう幸せな時代ではなくなってきていると、そういう状況認識の下でおりますので、そのときにも備えてこういう恒常的な規定を作って、そういうことが起こった場合に迅速に対応するということが必要なのではないかと、こういうふうに考えているところであります。
  88. 岩城光英

    岩城光英君 対案発議者にお尋ねいたします。  対案では、新しいセンターは分限免職回避の再就職支援を行わない、こうしております。このような規定にした理由を御説明願うのと、あわせまして、センターによる再就職支援を行わないということであれば、職員の分限免職、これを回避するためにどのような手段を講ずることを想定されているのかお示し願います。
  89. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) 今大臣からも御答弁があったところでございますが、組織の改廃等による分限免職、要するに、組織の改廃があった場合に、即、分限免職になるわけではなくて、民間でいえば配置転換ということをやりまして、いろんなことをやった上で、それでもどうしても過員が生ずる、過員というのは過ぐる員でございますが、生ずる場合には、最後の手段として分限免職と。これが四号の考え方であろうと、こういうふうに思っておりますし、幸せな時代だったと大臣申されましたけれども、実は我々の時代にも、例えば農林統計ですとか北海道開発局の方というのはかなり人員を削減をさせていただいて、まず霞が関というか公務員の中で動いていただこうということで、いろんな別のところに配置転換をさせていただいたということもあったわけでございますので、このこと、すなわち組織の改廃をするということと、そのことの結果として分限免職本当に至るのかというところは分けて考える必要があると、こういうふうに思っておるわけでございます。  判例、通説を見ますと、整理解雇の四要件というのは、まず整理解雇の必要性が存在したかどうか、今申し上げたところでございますが。また使用者が整理解雇を回避するための経営努力、これはなかなか公務の世界では難しいことかもしれません。また、整理解雇基準が公正、合理的なものかどうか。そして、実施に当たって、労働者、労働組合と誠実に協議をしたかどうか。こういうことを踏まえながらやっていくべきであるということで、実際には、役員報酬を削減する等給与制度の抜本改革をするとか、外部のアウトプレースメント会社を活用する。また、国鉄の整理の際に設けられたように、大規模な整理解雇の場合は特別な組織を設ける。こういうふうなやり方で対応していくということがあり得べき姿であろうかと、こういうふうに思っておるわけでございますので、そういった意味では、我々の考え方は、恒常的なこういうセンターを四号分限のために設けるということは必要ないと、こういう判断をいたした次第でございます。  分限免職というのは過去どれぐらいあったかと、今、農林統計や北海道開発局のことも申し上げましたが、このときも配転でやっております。昭和三十九年より前の分限の人数は、人事院にお聞きしましたが資料がないということでございましたので、三十九年が分限免職六人でございます。四十年から平成二十年まではゼロでございます。そして、平成二十一年は社会保険庁関係で五百二十五人と、こういうことでございますので、大きな社会保険庁のような改革をするときというのは、先ほど申し上げました国鉄のようなケース、これは、そこに対応してそのためのものをつくると、こういう必要があると思いますが、一方で、継続的に毎年十人、二十人、三十人というような分限免職が出るということは余り想定ができないんではないかと。  一方で、今回政府が予定されておられますこの人材登用・再就職適正化センターの定員は三十六名というふうにお聞きしておりますので、三十六名の方が二十年に一回ぐらいあることのために、ずっとその日に備えてセミの幼虫のように地中で待っているということでは、これは仕分には耐えられないのではないかと、こういうふうに我々は思っておりますので、そういう意味では、今申し上げたような原則に基づいて、その都度必要な手段を取っていくと。それに至る過程で、なるべく努力をして分限免職が出ないように使用者としてやっていくと、これが基本的な考え方であろうと。それで我々の条文になっておるところでございます。
  90. 岩城光英

    岩城光英君 よく納得できました。  引き続き発議者にお伺いします。  対案におきましては、附則において給与体系の抜本改革について平成二十二年中に法制上の措置を講ずることとしております。この理由と、それから政府案給与体系の抜本改革について何ら触れていない、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  91. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) 申し上げましたように、幹部職のところは、特にこの幹部公務員法の方で別体系ということで特別職にいたしております。また、幹部職員給与退職手当につきましては、法施行後六か月以内に法制上の措置を講ずるというふうにしております。  そのときに、二つの原則でやっていこうということを既に書かさせていただいておりますが、一つ目は、任命権者行政遂行を最大限に効果的に行う観点から、弾力的に運用することのできる制度ということで、先ほどの特別降任規定にそろえた規定にしてございます。それから、民間における給与退職手当制度を参考にすることと、こういうことにしております。  また、一般職につきましても、能力・実績主義の徹底、また高齢職員給与の抑制等を図りましてより弾力的な降給等ができるように、これも民間の賃金の在り方を参考に本年中に抜本的な見直しを行って法制上の措置を講じると、こういうことにしておるところでございます。  政府案の感想を述べよということでございますが、大臣は、衆議院委員会であろうかと思われますが、労働基本権を与えた上で、労使交渉ができるようになってから給与削減の交渉をするというふうに答弁されておられるというふうに承知をしております。  これは、将来的にやっていく方向としてあるいはそういうこともあるのかなと、こういうふうに思いますけれども、例えば労働基本権を付与するという結果になったとして、これはいつの国会に出てくるのか、また、それから、その仕組みが始まったとして、実際に交渉して給与本当に削減できるのかどうか、また、そのことが実際にはいつから削減ができるのかということ、そのことを考えますと、やはり給与法というものをきちっと抜本的に見直すことによって法律的な手当てを今年中にやっていくということが必要だというふうに考えて、そういう条文を作らせていただいたところでございます。
  92. 岩城光英

    岩城光英君 ありがとうございました。  時間が迫っておりますので、次の質問に移ります。新規採用抑制方針についてであります。  先日、平成二十三年度の国家公務員の新規採用抑制の方針が閣議決定されました。一時は二十一年度の新規採用者数の半減を目指していた、このようにも伺っておりましたけれども、結果として、定年まで勤務することが想定される一般職国家公務員平成二十三年度の新規採用者数は平成二十一年度の六割程度にとどまっております。そこで、具体的にどのようなところをどの程度削減することになるのかお聞きいたします。  それから確認ですけれども平成二十三年度に採用する職員は、途中での肩たたきはなく定年まで勤務できると信じてよろしいのでしょうか。といいますのは、最近、民間企業で新規採用者が入社早々に、即戦力にならない、あるいは一か月で四つの資格を取るように言われて達成できず結局自主退職するなどの報道がなされておりました。新規採用者に余計な不安を与えないよう、明確な答弁をお願いいたします。
  93. 階猛

    大臣政務官階猛君) 新規採用抑制方針についてのお尋ねでございますが、具体的にどのような分野の採用をどの程度抑制するのかということについてお答えします。  まず、三つの類型に分けて考えて、原則的な方針を立てております。一つ目は、地方出先機関において勤務することを目的とする採用者、これについては二十一年度新規採用者の二割程度の採用としております。二つ目は、本省において企画立案に携わること等を目的とする採用者、これについては八割程度を採用することとしております。三つ目は、専門職種でその専門的な知識を生かして行政サービスを提供すること等を目的とする採用者、これについては五割程度を採用することとしております。  ただ、例外として、治安の最前線で国民の命を守る刑務官、海上保安官、入国警備官等々におきましては平成二十一年度と同数の新規採用ということにしておりまして、この部分も加味すれば五割程度の採用。また、先ほど委員も御指摘のとおり、今申し上げた治安の最前線の部分を加味しなければ二十一年度の六割程度ということになります。  それから、二つ目のお尋ねでございます。今度の新規採用者について、定年まで勤務することを予定しているということであれば肩たたきはしないはずだなと、そういうことでございます。もちろんでございまして、私ども基本法に基づいて定年まで勤務できる環境整備というものもこれから整備してまいりますので、それに基づきまして、今度の新規採用者につきましても、ちゃんと定年まで勤務できるような、そういう環境をつくってまいりたいと思います。
  94. 岩城光英

    岩城光英君 治安の関係というお話もありましたけれども、この新規採用抑制の六割程度という中には防衛省それから人事院と会計検査院が含まれていないんですね。そうですよね。  それで、それぞれ、防衛省それから人事院、会計検査院にお尋ねをいたしますけれども、二十三年度の新規採用者数の予定といいますか、要するに抑制する方針なのかそうでないのか、あるいは抑制するとすればどの程度の数字をお考えなのか、これをそれぞれお示しいただきたいと思います。
  95. 榛葉賀津也

    ○副大臣榛葉賀津也君) 岩城委員にお答え申し上げます。  五月二十一日の閣議決定でこの方針が示されたわけでございますが、その中で、委員御承知のとおり、特別職国家公務員のうち自衛官を除く防衛省の職員については一般職国家公務員に準じた取組をせよということでございます。  二十一年度ベースでの実績は六百六十人余りいるわけでございますが、これがどれだけ抑制できるか、今の段階で具体的な数はお答えすることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、防衛省といたしましてもこの抑制を進める必要性というものをしっかりと踏まえまして、適切に努力をしていきたいと思っております。  他方、先生御承知のとおり、国の平和と独立を守る実力組織である防衛省・自衛隊というものの中には、この一般職に準じる中には極めて特別な方々もいらっしゃいます。特に陸海空それぞれの自衛隊で勤務する事務官、これは現場の部隊と共に行動しますので、自衛隊の戦力組成の一部であるということを考えますと、ここはやっぱり守っていかなければいけない。加えて、各地方防衛局でございます。基地問題等でも大変苦労しているところでございますが、これは地方との二重行政の要素が全くないということ、それから、従来の行革の取組においてもこの点は我が国の存立にかかわる事務というふうに分類されております。  ただ、いずれにせよ、防衛省といたしましてもしっかりとこの問題に対応してまいりたいというふうに考えております。
  96. 小林廣之

    政府参考人小林廣之君) お答えいたします。  先般の新規採用の抑制の閣議決定におきましては、人事院につきましてはこれらの閣議決定に準じた取組を行うようにということで求められているところでございます。  人事院といたしましては、この閣議決定を踏まえまして、二十三年度の人事院職員の新規採用についても閣議決定の趣旨を踏まえた対応をするということにしているところでございます。  ちなみに、具体的に申し上げますと、二十一年度の新規採用数を基礎に閣議決定の方針に基づいて試算をいたしますと、二十三年度の一応上限値としましては十三人という数字が出てくるところでございます。
  97. 河戸光彦

    説明員(河戸光彦君) 会計検査院に対しましては、閣議決定に準じた取組を行うよう、五月二十一日付けで内閣より協力の御要請がございました。  会計検査院といたしましては、閣議決定に準じまして、基本的には各省と同様の考え方によりまして平成二十三年度の新規採用者数を抑制することとしております。  具体的な新規採用者数につきましては、閣議決定に準じて計算したもので、あくまでも現段階の数字でございますが、平成二十一年度の抑制対象の新規採用者数三十九人に対しまして、二十三年度は三十一人程度に抑制する予定でございます。
  98. 岩城光英

    岩城光英君 時間が参りますので最後の質問にいたします。  総務大臣が早期退職勧奨について基本的に廃止の方向で検討している、また、希望退職制度導入検討しており、それまでの経過措置として、各大臣の任命権の下、再就職のあっせんを一切行わない退職勧奨を行うという、こういうお話をされておりますけれども、これらの検討はいつまでに結論を得るつもりでいるのでしょうか、その見通しをお示し願います。
  99. 階猛

    大臣政務官階猛君) 今現在は過渡期ということで、あっせんを伴わない早期退職勧奨はしているわけでございますけれども、今後の方針としましては、今委員指摘になったとおり、希望退職制度導入し、希望退職制度導入された暁には、あっせんを伴わない退職勧奨についてもやめるということです。  それで、その導入時期につきましては、公務員制度改革全体の検討状況も踏まえつつ、今後決めさせていただくということにしております。
  100. 岩城光英

    岩城光英君 終わります。
  101. 秋元司

    ○秋元司君 自由民主党の秋元司でございます。  今日は、国家公務員制度改革、この法律についての質問をさせていただきたいと思います。  私も、今回政府が提出されました、国家公務員制度改革に関する、一部を改正する法律案、これにつきましては実は私自身も、余りにもこれまでの国家公務員制度改革という中においては、むしろ今回政府案は少し後退をしているんじゃないのかなという、そういった思いは全体として感じ取っております。そういった中で、今回、自民党と、そして参議院においては川田さんを含めた形で対案を出させていただいた提案者の一人でございますから、提案者の一人なので私は自民党案に対しては質問をできませんので、今日は大臣に改めていろんなことをお伺いをさせていただきたいと思います。  そもそもこの国家公務員制度改革、古くからはいろんな行革ということが議論されていたんですけれども、私の記憶に新しいところでは、やはり橋本内閣から本格的な議論がスタートして、そして現在の一府十二省というスタイルになり、そしてまた、三年前は安倍内閣におきまして、ここは本当公務員改革というのは私は大いに前進した改革案じゃなかったかと思います。といいますのは、明治以来ずっと続いてきた年功序列、これを改めて、能力・実績主義でもってしっかり公務員人事を行う、これは本当に画期的なものであったと思います。  このときの一つの議論の中で、当時民主党さんは野党の立場でございましたけれども、いろいろと議論をされた中の中心は、いわゆる天下り、そしてわたりというものを根絶するために、とにかく各省庁が行っていた様々な再就職のあっせんというものをなくすために、官民人材交流センター、そこに一本化をし、ここでもって再就職のあっせんをしようということの改革案でありましたけれども、これが非常に天下りバンクじゃないのかという御指摘をいただく中で、三年前のこの法案の審議ではここがずっとクローズアップされて、実はそれ以外は余り触れられない中に、あっさりと私が今画期的と申した能力・実績主義の人事慣行が通ったわけでありますけれども、そういった様々な議を経て今日、今政府案が出されたというふうに理解しております。  しかし、その前にも実は、言い忘れましたが、福田内閣におきましてもしっかり今度は基本法を作って、その改革にしっかり工程表を付ける、そういった思いでやってきた中に今日であろうと思いますが。  民主党さんも、先般行われました衆議院選挙においては、マニフェストにしっかり、この国家公務員制度改革基本法、これに基づいて新たな幹部職員制度や能力・実績主義に応じた処遇などを着実に実施する、そしてまた、定年まで働ける環境づくり又は国家公務員の天下りあっせんは全面的に撲滅をする、そしてまた、国家公務員、結果的に総人件費二割を削減する、そしてまた、公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉によって給与をしっかり組み立ててつくるという、これが民主党さんが先般の衆議院選挙に書かれたマニフェストでありますけれども、現在政権を取られて、大臣も改めて政府案として今回の改正案、御提出でございますが、今もってしてもこれまで民主党さんとして主張されたことをしっかり堅持していくというおつもりでいらっしゃいましょうか、お答えいただきたいと思います。
  102. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 粛々とそれを実現をしていくと、そういう基本的な立場の下に現実には着々と実現できつつあると、こういうふうに考えております。
  103. 秋元司

    ○秋元司君 着々とというのが多分、人によっていろんな解釈の方法があるかと思いますが、我々が少なくとも国会議員の立場で思う着々というのは、何といっても二年前に福田内閣で作ったこの国家公務員法の改正の基本法、これは別に我々自民党が与党ということで強引に押し通した法律じゃなくて、もう御案内のとおり、与野党の修正協議を経て成立した法律であって、むしろ我々サイドから見れば、大部分を当時の野党であった民主党さんの主張というものをじっくり組み入れる形でこの基本法を作ったというのは我々としては鮮明に記憶として残っているわけでありますけれども。  今回、当然その改正案も、我々の思いとしては、この基本法に基づいて法案を提出されたという理解をしたいわけでありますが、大臣の認識として、今回その基本法にのっとって今回の改正案を提出したという御認識はあられるか、お尋ね申し上げたいと思います。
  104. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) そのとおりでございます。
  105. 秋元司

    ○秋元司君 そういった多分答弁がなされるんじゃないかなと思っていますが、しかし、一つ一つ大臣、ひもといていくと、私はとてもそうとは思えない今回改正案の提出じゃなかろうかと思っているんです。  今回、この改正案の中では様々なポイントがあるでありましょう。まず、人事そして給与、そういったものをどう考えていくか。そして、この機能性というものをしっかりと発揮して、言ってみれば若手人材をしっかり登用し民間からもいろんな人を登用できるために、そしてまた当然内閣と一体性を持たせた、そういった政府の運営、これを目指すためにやはりこの幹部制度についても議論がありましょうし、いろんな様々な議論があることは当然でありますが。  いずれにしましても、この基本法では、まず、それぞれ政府の中でばらばらに存在している人事機能というものをやはり内閣の中に一本化していこうじゃないかというのが私はこの基本法に書かれた大きな流れだと思っておるんですけれども、残念ながら、今回、内閣人事局におきましては、特に人事に関する機能がとてもとても一元化されていると、私はそうは思えないんですけれども大臣、なぜ今回この人事機能については一元化されなかったのか、お答えいただきたいと思います。
  106. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 機能移管というのは、私も当然、この国家公務員制度改革推進本部の担当大臣になりまして、改めてそう感じます。  つまり、これ、日本の公務員人事にかかわる事柄が、人事院それから総務省それから内閣官房、そして今は内閣官房に事務局が置かれているわけでありますが、国家公務員制度改革推進本部事務局というのがございます。ある種、人事にかかわる部局が四つあるんですね。これが一元的に、政策企画立案であれ執行であれ、行われなければならないと。  それから、幹部人事の話もそうでありますし、先般の新人採用方針を確定するについても、やはり多分、これはある種の、何というんですか、他の省庁を言わば一段高いところから、調整をしながら一段高いところから決定をしていくという権限を持たないと、横並びで調整をしようとしてもなかなか決着が付かないということをほとほと思い知ったわけであります。  特に総務省の場合には、自らのうちに自治省という省庁、それから郵政関係という省庁を抱えておりますので、ここへ総務省人事・恩給局なり行管局が横ぐしを入れようと思っても、これは身内のところへ横ぐし入れるわけですから、なかなか痛いことをやらないというか、そういうことになるのか、あるいはなっているというふうに疑われかねないと。やはり継ぎはぎ継ぎはぎでやってきたこの人事担当部局の問題というのは、これをどうしても一元化しなければならないという思いはおっしゃるとおりであります。  ただ、次に問題になるのは人事院であります。これはある種の第三者独立性のある機関として位置付けられると思いますけれども、この機能のどの部分行政的な、公務員人事行政といいましょうか、にかかわる事柄でどの部分を一元化のところへ持ってくるのか、そして人事院にどのような機能を、役割を設定するのかということを整理しませんと、これは最も公務員人事問題、労働問題で重要な部分をある種この第三者機関に任せてありますので、こことの関係を調整しない限り、簡単に一元化とおっしゃっても、機能一元化ということで、法律に書けと言われれば書けますけれども実態的に実効のある働きをさせようと思えば、それはそうは問屋が卸さないという話になるんだろうというふうに考えておりますし、この法案を作るときにも考えました。そこは、順序を追って的確に一段一段上っていくしかこの種のものを処理することはできないということであります。  したがって、この国家公務員制度改革基本法の五条四項に書かれております機能のある種集中といいましょうか一元化の問題も、これはできることを的確に行っていくということがないと、これはむしろ失敗をするだろうというふうに問題を立てております。  したがって、この基本法に逆向きのベクトルとかそういうことを我々がやろうとしておるんであれば、今の野党の先生方のような、ある種のレッテルを張って批判をされるということについて、それが正当性を持つのかも分かりませんが、今のようなお話ではとてもとても我々がその批判を甘受するわけにはまいらないと、こういうふうに思っているところであります。  先ほども林議員の方から、みんなの党と自民党対案についてのお話ございましたけれども、この給与法の改定案を六か月以内に行うとおっしゃるんだけれども、これは一体全体人事院の代償措置あるいは人事院勧告抜きに給与法案というふうなものを国会に提出するということができるのかどうなのか。  そして、幹部人事幹部職員についての給与法、給与絡みの事柄を国会に提出できるというふうに問題を立てたときに、それじゃ、その他、その余の三十万人に近い、つまり二十九万七千人か二十九万九千七百人か分かりませんが、この公務員の方々の給与の体系と全く関係なしに、公務員幹部人事給与だけを給与法の改正案として、そして人事院の関与なく提出するというふうなことが今の法体系、法上できるのか。ここを私は伺いたいと思います。  我々は、それは多分今の制度上もできないだろうと。できないとすればできるようにしてからでないと、そういう給与法の改定案というか給与の改定は我々が国会に出すことはできないだろうと、こういう判断で現在のように一歩一歩やろうとしていると、こういうことであります。
  107. 秋元司

    ○秋元司君 言っている意味理解しますけれども給与法について、給与のことについては後でまた触れさせていただきますけれども。  そもそもの話として、じゃ、なぜ二年前、この国家公務員法改正の基本法というものを与野党で修正協議をし、そして具体的に一年以内に移管するということを、民主党さんもしっかりそれを分かった上で合意して、この法律を、基本法を作ったのか。大臣、そこをおっしゃるんだったら、当時、あのときに修正協議したときは全くこの給与のことについては念頭になかったということを自らお認めになるような発言でいらっしゃいますよ、今のことを言いますと。元々、そのことを踏まえた上で、とにかく機能を一元化するんだということで、そしてあの基本法を作ったわけじゃありませんか。それを堅持して今回この改正案というのが私は基本的な考え方であろうかと思っています。  実は、今回出されている改正案の中には、その基本法に触れている機能移管、一年以内というのが実は削除されている部分があるんですよね。その理由も今日問おうと思いましたけれども、多分今大臣が答弁いただいたことを理由に一年以内ということは一切今回改正案には触れないということであるのでしょう。  いずれにしましても、人事院の難しい問題というのもそれは理解をしますが、私はあえて今日は大臣にちょっとお伺いしたいのが、級別定数です。人事院の級別定数、このことについて少し認識をお伺いしたいと思うんですけれども大臣は事あるごとに人事院、これはいろんな答弁で、ある意味労働条件だから、これは労使関係であるので非常に難しいんだと、そして基本的には、人事院勤務条件というのは、とにかく人事院があることが労働基本権をある意味担保している形なんだよ、だからそこは労使交渉で決めていかなくちゃいけない話だからなかなか人事院機能移管は難しいという、そういった感覚の答弁が衆議院でもなされたと思っているんですけれども。  私は、今回のまさにこの人事院が持っている級別定数の機能移管については労働条件とは分離して考える問題だという私は認識を持っているんですけれども大臣、いかにお考えですか。
  108. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 法的な概念としては全く別ですよね。人事院が今担当しておりますこの級別定数を管理する、こういう機能は、ポストの重要度の格付を行うといった組織管理と密接に関連をした人事管理上に関する事項でありますけれども職員の昇格、給与制度上の級が上がること、昇格の可能性にかかわるために、結果としては勤務条件、つまり給与等に関連する側面を有するというふうに考えております。  また、級別定数の管理機能は、給与改善勧告や初任給、昇格、昇給等の基準設定等の人事院が担う給与に関する機能と一体的に担われている機能であると、こういうふうに考えております。これを部分的に移管するということが果たしてできるのか、いいのかと。公務員制度の抜本的な改革の中で人事院が担っている給与に関する機能全体の一体的な移管について検討をしなければならないのではないかと、その方が適切であろうというふうに考えているわけでございます。  だとすると、ここは当然のことながら、代償機能という公務員の最も根本的な機能にかかわる、直接、間接にかかわる、あるいは実態的にかかわるこの機能をなくしてもらうと、なくすることと同時並行的にこの一体的な移管ということがなされないとこれは制度運用上うまくいかないんじゃないかと。ということは、取りも直さず労働基本権を付与するという前提で抜本的な改革案を作らないとできないと、こういうことになる。  私はそういう論理立てで物事を考えてきておりまして、したがいまして、人事院等からの機能移管について抜本的な改革の中で検討するということを申し上げているわけであります。
  109. 秋元司

    ○秋元司君 今大臣の御答弁の中でありましたけれども、そもそも級別定数はポストの格付だという、そういったお話もございましたが、これは民間企業でありましても、私は思うんですけれども基本的には、級別定数というのはそもそも組織編成私はそのものであるという認識であります。だから、申し上げたように、民間企業であったらこれは労使交渉の対象には本来なっていなくて、そしてこれは使用者側が決めていく話でありますから、私は級別定数の話とそして具体的な給料をどうこうするかという話とはやはりこれは分けて議論をするべき話であって、人事院そのものの、人事院が今有している機能である級別定数を決して今機能移管したとしても私は何も支障は来さず、まさに使用者側がまずポストというものをどう組織として考えるかと、この話でありますから、是非これは大臣、整理していただいて本来は臨んでいただく話ではないかということを私はあえて指摘をさせていただきたいと思います。  次に、幹部制度について少し触れさせていただきたいと思いますけれども、今回、政府案が提出されたこの幹部職制度、結局、新たな制度というものを設けることなくて、今までの従来の一般職公務員制度の枠内で今回の幹部職員制度を行うという形で改革案というのが提出されておりますけれども大臣、そもそもこの話というのは、冒頭から申し上げていますけれども基本法違反とはなりませんか、いかが思いますか。
  110. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 昨年政府から出された幹部人事に関する法案の枠組みでも一般職だったんじゃないんでしょうか。  つまり、幹部人事特別職にしなければ基本法違反になるのであれば、昨年政府が出されて廃案になった法案もこれは基本法違反になると、こういう理屈になるのではないかと私は考えておりまして、基本法においては幹部職員特別職としなければならない、あるいは特別職とするということが規定されているわけではないという理解であります。あくまでも幹部職員対象とした新たな制度を設けることとされておって、今回の法案ではこのことも踏まえて、一般職国家公務員であることを前提幹部職員人事内閣一元管理幹部職員人事弾力化の仕組みを立案をさせていただいたと。これが基本法に違反しているというふうには私は考えておりません。  先ほど申し上げましたように、平成二十一年度に自民党、公明党の連立政権下で提出された法案幹部職員一般職国家公務員というふうにされていたと。自民党さんからも対案の立案過程で我々のところに、これは単なる揣摩憶測に類する情報にすぎないのかも分かりませんが、自民党さんは別に特別職にしたいと、しなければいけないとは思っていなかったけれども、みんなの党の皆さん方が強硬にこれを主張し、そのことがなければ共同提案にならないということになったので、自民党さんもそれをおのみになって幹部職員特別職にしたというふうに聞いておりますけれども。  そういうことで、多分、これは絶対的な特別職にしなければいけないという話ではないというふうに考えております。
  111. 秋元司

    ○秋元司君 私が今この話をさせていただいたのは、過去これまでも、別に我々だけの主張じゃなくて、ある意味民主党の皆さんもこれまで、さきに、二十一年に提出された改正案のときには相当このことを強く主張されていたんですよ。  といいますのは、やっぱり一般職では限界があるんじゃないのか。この幹部職員というものを置いたときにおいては、元々この幹部職そのものを設ける理由としてはやはり内閣との一体性を持たせる、こういったことが主体でありましょうから、そういった人事を行うときに、もはや一般職では御案内のとおり能力・実績主義でもって測るという、こういった人事になっているわけでありますから、それが能力、実績があるにもかかわらず、場合によって内閣と一体性を持たれる人事をやったときに降任をしなければならないという、そういった場合が生じたときにはこれはなかなか現実問題として難しいのではないのかな。だからこそ、特別職というものをやはりつくって、別枠でもって人事体系を考えていく。だからこそ、こういった案というものを今回我々、自民党案としても提出をさせていただいたわけでありますけれども。  このことは我々が言っているわけじゃなくて、実は民主党さんもこれまでこのことを強く主張されていたという経緯があるんですけれども大臣、その辺はいかがお考えですか。
  112. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 一般的に、要するに会社、民間企業考えれば、次官あるいは局長、この辺りはどのアナロジーで語ればいいんだろうか。取締役なんだろうか、あるいは執行役員なんだろうか、あるいは取締役、執行役の付かない局長という名前もありましょうが、その下の執行を具体的に展開する部長さんとかなんとかというものなんだろうかと、そういう議論は私どももよくしました。  そしてまた、他方、韓国は既にポリティカルアポインティーの制度導入をしているということも聞いておりまして、先ほど、当時の鳩山幹事長がどこかでおっしゃった、政権交代したら局長から辞表を取るというふうな意味のことを言ったというお話がありましたが、もしそういう発言を当時、一年数か月前でしょうけれども、したとすれば、それはやはり実質的に我々は政権交代をした暁にはポリティカルアポインティー制度に類する運用をしたいという願望をお述べになったんだろうと思います。  今の段階でも、私は、どこかの時点で日本がそういうポリティカルアポインティーの制度導入すべき時期が来るあるいは来なければならない、あるいはそういう環境整備や条件整備が行われてポリティカルアポインティー制度が、今の局長全部とは言いませんけれども、やっぱり重要局長とそれから次官クラス、この辺は多分にその方がいいのかも分からぬなというその思いは頭の中にはあります。頭の中にはあります。  しかし、この政権を具体的に担当させていただいて、この間のやっぱりそれにはそれなりの外的な条件がないと、これは霞が関だけポリティカルアポインティーにしたぞ、さあ君たち来いよと言っても、これはちょっと、せっかくポリティカルアポインティーにしても結局はその実効性がないと。  つまり、外部のシンクタンクとかあるいは大学というのも役に立つかも分かりません。あるいは民間企業の取締役、執行役とか、そういう方々との、何というんですか、共通項、共有する部分と、さらにはその勤務条件というか処遇がある程度そろってくるのか。あるいは、そこはアメリカのように処遇が全く公務員になるときにはがた落ちになるけれども、それはそれでキャリアパスとしては非常にいいことなんだという精神、意識というか風土というか文化風土というか、何かそういうことまでが変わらないと、なかなかこれ法律だけ出してポリティカルアポインティー的制度導入したとしてもうまくいかないんではないかというのが今の実感で、実はどちらかというと私は野党時代はポリティカルアポインティー制度導入論に近い方でおりましたけれども、だけども、これ、日本というのはなかなか難しいなというのが今の実感でございます。
  113. 秋元司

    ○秋元司君 大臣、なかなか素直な御答弁をいただいてありがとうございます。  本当に難しい話でありましょう。本当にこのことを我々常に政治主導でやるだとか、アメリカの大統領制度にあって大統領制度を担う形での政治任用で役人任用をつくる、これは日本も目指していかなくちゃいけない一部分かもしれませんが、そうはいっても、これだけの今、国のシステムができ上がっている中でそう簡単にすべてをひっくり返すなんということは現実不可能な形であるんじゃないかと思います。  しかし、大臣、そのことをさんざんおっしゃっていたのは野党時代の民主党さんでありますから、それを訴えられて、我々、与党だった自民党に対しておまえたちはけしからぬと言って政権を取られたのが大臣なんですから、現実問題難しいよという本音の部分理解できますけれども、しかし言った言葉にはしっかり責任を持って断行してもらわなくちゃいけないんじゃないかなと、そのことはあえて申し上げさせていただきたいと思います。  それで、私が今質問をしたことに対して一つ答えていないことがあるんですよ。何かというと、先ほど申し上げたようにポリティカルアポインティー的みたいなことは難しいということはよく理解できるんですが、今回、そもそも幹部職、ここは先ほどお話あったように降任もあり、そして場合によっては若手の抜てき人事もあるんじゃないかということも言われている制度でありましょうけれども、一方で、一般職規定というのは先ほど申し上げた能力・実績主義でもって測ってくる制度であります。  具体的に申し上げますと、例えば今、これは例えばの例でありましょうからあれなんですけれども、普天間基地移設の問題で鳩山内閣が大きく揺れ動いたこの八か月間でありましたが、この安全保障又は基地問題に対して精通して、能力も実績もある幹部がいたとしますね。これは、いろんな様々なことを現場で経験したからこそ知識も豊富、省から見てもだれが見ても彼は優秀だと。しかし、彼の思いとしては、普天間基地移設の問題をこの辺野古沖に移転するのはこうするしかないという判断があり、しかし時の内閣としては辺野古以外、県外、国外に持っていかなくちゃいけないという内閣としての意思がある。  そういったときに、じゃその優秀であるかもしれないけれどもその幹部を使うのか使わないのかという議論になったときに、まさに今回この公務員制度改革の形でやれば、能力、実績はあるかもしれないけれども幹部職というものを特別職に設けていれば、政治任用としてその人間は使わずに、やはりある程度その内閣と一体性を持った、辺野古じゃない、国外・県外移設に視点を置いた、そういったことに賛同する、又はそういった政策目的を一緒にする幹部でもって構成して内閣としてその事務処理に当たる、こうしたいわけでありましょうけれども、先ほど申し上げた一般職の者であれば、能力、実績はだれが見ても適格性審査を通って優秀だということになったらば、その人間を実はなかなか外すというのは、降任させるというのは、本当法律上は、又は彼らの身分保障ということを考えれば非常に難しいんじゃないかと思うんですけれども、その辺どのようにこれ、役所として又は大臣として、このちぐはぐになった問題を整理されて運用されるようなおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  114. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 例えば、公務員制度改革で労働基本権を付与するという方向に私は反対だと、こういう人が公務員制度改革推進本部事務局長とか事務局次長にもしいらっしゃるとすれば、これはもう早くお引き取りをいただいて、それで労働基本権を付与する方向でちゃんと物事を組み立てられる人をそこに連れてくるということになりましょう。この公務員制度改革推進本部事務局は、言いますと、いろんな省庁から座布団持って来てもらっているわけですから、これは座布団共々お帰りいただくということで全然問題がないんだろうと思うんですね。  一つの省の中で、例えば外務省の中で、辺野古がどうのこうのとおっしゃいましたけれども、これをやるときには、例えば局長さんが辺野古を絶対守る論者で、もう少しアローアンスのある政策立案を例えばその時点での外務大臣がやろうとした場合には、それはやっぱりちょっと横へどいていただくとか、どこか大使に出ていただくとか、そういう人事をしなければしようがないんじゃないかと私は思います。  それで、大臣の要するに方向性あるいはどういう選択肢を外務大臣が持とうかとするのはそれは分かりませんけれども、それにかなうような審議官か何かをそれは局長に就けるか、あるいは審議官のままその人を活用するということをやらなければ、それは政治応答性の問題として、政治がこちらの方向に行くといって決めようとしたときに、いや、それは反対の方向でないといけませんというので一生懸命引っ張る人がおったんでは仕事にならないと。それが私は政治に対する応答性の問題だと、こういうふうに考えております。
  115. 秋元司

    ○秋元司君 いや、言葉で言うのは簡単でありますけれども本当に今の今回の政府案が仮に通ったとしたら、それで整合性は取れていくんですか。  私は、結果的には、制度的に難しいから、結局は最終的に行き着くところは、民間から登用はなかなか難しいよね、そして抜てき人事するといっても難しいよね、いわゆる幹部から外すということができないんじゃないかと私は大きな懸念を持っているんですけれども本当大臣、この法律が成立したときに運用段階で今大臣がおっしゃったようなことがしっかりできると確信できますか。
  116. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) それは任命権者大臣の力量の問題が一つ。それから、内閣官房官房長官総理大臣が自ら協議を求めて、君、君、これはちょっと替えた方がいいんじゃないのということを言えるかどうかの話ですよね。  今の、何というんですか、日本のキャリアの皆さん方を私自身が拝見しておって、昔はどういう人がおったのか分かりませんけれども、そんなにイデオロギーでこれでなきゃ駄目だという立脚点を持っていらっしゃる方々は、昔でいうイデオロギー的なですよ、方々は余りお見受けをしませんので、幅広い知識と経験でもって大臣なり政務三役と議論をしながら、その目指す方向を理解してそれなりの答えを持ってきてくれる能力がある方々ばかりと言うと言い過ぎになるかも分かりませんが、ほとんどが、特に課長さん以上になっていらっしゃる方々はそういう方々なのではないだろうかというふうに私は今見ておりまして、それは秋元議員が御心配なさるようなことはほとんど出てこない。  もしそういう逆のベクトルを持っていらっしゃる方で堂々と主張される方は、その方は当面そのラインから外れていただいて、来るべき政権交代の、つまり、次、政権交代どこにするか知りませんが、そういうときにあなたは重用される可能性があるんだから時節を待つようにという説得をするしかないんではないかと私は思っておりますが。
  117. 秋元司

    ○秋元司君 言っている意味理解はできますけれども、しかし実際問題、そういったことをしっかり判断して各大臣がやってきてくれれば、元々大臣というのは権限があるわけでありますよ、やろうと思えば何でもできる権限は持っているわけです。  しかし、残念ながら、その権限をしっかり正しい方向に向かって行使しているのか、それはイコール国家国民のために行使をしているのか、じゃ、過去これまで行使をしてきたかという議論になれば、それは我々自民党政権時代も反省しなくちゃいけないことは多々あると思いますけれども、必ずしもそれが正しい方向に、国家国民のためになる方にこれがしっかり人事も含めて行使をされてきたとは言い難く、結局はそれぞれ大臣仙谷大臣がどれぐらいの期間大臣やられるか私は存じ上げませんけれども、恐らく少なくとも事務次官というポストに就いている方よりは短い大臣生活であることは間違いないんで、そうなりますと、役所としてのこれまでの積み上げと、そして役所のこれまでのいろんな慣行に、大臣が自分が思う今内閣の一体性を持った政治ができないんじゃないのかなという、そういうこれまでの大きな懸念があって公務員制度改革をやってきて、そして今回この制度改正を行って内閣と一体性を持たせる、そのためにこの幹部の皆さんの降任もするという、そういったことまで来たわけでありますから。  私は、確かに、大臣の力量次第だという、そういった冒頭御答弁がありました。本当大臣が力量があれば私はできると思うんですけれども、それぞれその大臣に就かれる方はそれなりの見識を持った方で、それなりの見識を持った方だからこそ総理大臣が任命をして大臣にするんでしょうけれども、しかし、必ずしもそれが、その短期間の間ですべての能力が発揮されるかどうかという担保がないだけに、やはりここは内閣と一体性を持ったという、総理大臣の下に、内閣官房の下にすべて一元的に集中させて、そして内閣と一体性の持ったことを行う、私はこれが今この改革法が目指している本当の方向性じゃなかろうかということをあえて指摘をさせていただきたいと思います。  それで、先ほどちょっとキャリアというお話も出ましたので、一点ちょっとこれお伺いしてみたいんですけれども基本法では、幹部候補育成課程というのをちゃんと基本法には記載されていたんですけれども、今回の改正案ではこのことが触れられていないように思うんですが、この点、触れられなかった理由というのは何かあるんですか。特に通告していないから、分かる範囲で結構です。
  118. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 先生御指摘の幹部候補育成課程、基本法もしっかり読み込んでおりまして、幹部候補育成課程については、来年提出する法案、抜本的な法案についてしっかりと検討の上盛り込んでいきたいと考えております。  やはり幹部候補育成課程の、おととしのこの基本法は私たちの考え方も十分に反映されている法案でございまして、それも踏まえてしっかりとしたものを出していきたいと考えております。
  119. 秋元司

    ○秋元司君 本来はここで出していただきたかったですね、基本法の中にここまでしっかり明記されているわけでありますから。  そもそも、大臣は別として、大島副大臣もこれまで同じ若手として活躍されてこられて、そしてこの公務員制度改革、当初の基本法には相当熱を入れられて党内で頑張っていらっしゃったお一人じゃないかと思うんですが、今回のような改正案そのものが基本法と照らし合わせまして相当後退しているんじゃないか。今回、衆議院とかこれまでの全般の参議院での質問を聞いていますと、大体にして抜本改革で行うんだと言う。私は先送りしているような感覚にとらえられるんですけど、その点どうですか、若手副大臣として見識をお伺いしたいと思います。
  120. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 私もう五十歳を超えておりますので、若手と言われると、ちょうど先生とは十年、先ほど見ていましたら年が違うものですから、今五十三になりまして、ちょうどいいぐらいかなと思っています。  制度改革は、やはり私たちの党でも、四十歳、三十歳代の方々の意見と五十歳代の意見と、ある程度年を重ねられた議員の意見はそれぞれ違います。やはり若い方の意見は、できるだけ自分の能力を発揮したいという立場が非常に多いです。やはり私たちの党内で話していても、役所出身の若手の優秀な議員が非常に多いです、そういう方は、やはり抜てき人事で、より良い能力を発揮したいという意見が非常に多いことも確かです。五十歳ぐらいになってきますとそろそろ老後というのが見えてきますから、安定した生活というふうに多分考えるんでしょう。六十歳を超えるとまた自分の生き方というのが多分見詰め直すことになるかなと思っていまして、先生御指摘のとおり、今回の政府案が後退なのか抜本的な改革なのかという議論は、政府案の提出の過程でも大分御議論をされました。  今回、幹部人事についてはワンバスケット、一層、二層でも三層でもなく一層にするということについて、要は、二層ということを考えたときには逆に、いや、それは後退じゃないかとか、特例降任についても後退じゃないかとか、いろんな様々な意見があったことも確かです。それも踏まえながら、今回は一層ということで、一つのワンバスケットということで整えさせていただいて、転任という形を取って、時々の政権において一番ふさわしい方を要は任用できるようなシステムにしたことは、これはこれまでになかったことかなとは考えております。  ただ、これまでの様々な公務員制度改革に対する議論がございました。昨年の廃案になりました法案、その前の基本法、これまでの個々のその法案の積み上げがあって今のその公務員制度の議論ができているということも事実でございます。これも事実でございます。昨年の廃案になった法案も、それは一定の評価、各役所から各、何というのかな、機能をある程度集約するというところについては、それも私個人としては、当時の政治状況を踏まえればなかなかだなというところもございまして、あくまで、こういう公務員制度改革法案は、これまでの積み上げにのっとって今回も政府提出の法案を出させていただいて、今ここでの参議院そして衆議院の議論を踏まえて、今後抜本的な改革の議論を進めていきたいなと考えております。  先生御指摘の幹部候補の育成課程は、これについても様々な思いがあるものですから、これも議論をさせていただいて、詳細な制度設計をしていきたいなと考えております。
  121. 秋元司

    ○秋元司君 何も申し上げることはありませんが、とにかくしっかりやっていただきたい、その思いをしっかり遂行しながら。  でも、いずれにしましても、我々も政権を担当しているときは、その辺、本当、苦労しましたよ。といいますのは、なぜかというと、政権に着いた立場の人間は、やはり現実の問題として今足下をしっかりやらなくちゃいけない、しかし当然未来に向けたビジョンも示していかなきゃならない。野党としては、つい、その足下ぐらついていることをただ責めるだけという。実は、こういったことを繰り返す中で、この公務員制度改革というのは、これまで形式論にとらわれ、実質的に余り私は進んでこなかったというのが私の実際感想なんです。  しかし、これは自負するわけじゃありませんけれども、やっぱり安倍政権のときに年功序列から能力・実績主義になったというのは、これは本当に私はすごい改革だと思っているんですよ、残念ながら民主党さんからは賛成という結論は得ませんでしたけれどもね。  だから、是非そういった観点から、今回いろんな様々な歴史を経て今日皆さんが政権を担当され、そしてこの国家公務員制度改革について衆議院でも四十時間も議論をしてきて、いよいよ参議院に来ているわけですから、当然参議院としてもそれに相当する四十時間は各理事の皆さんはやっていこうという心意気で今審議されているんでありましょうから、是非お付き合いいただいて、しっかり与野党が議論して、できるならば私は、修正できるのであれば修正する、そういったことも私は必要なんじゃないかなということを、今ちょっとまだ締めじゃありませんけれども、申し上げさせていただきたいと思います。  次に、ちょっと給与制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。  冒頭、仙谷大臣からも、なかなかそう簡単にはこの給与抜本改革というのはすぐ進むもんじゃないよといういろいろとお話もいただきました。それ自身は、現実問題そうであるんだろうなということは理解はしますけれども、しかし、民主党さんもこれまで、とにかくマニフェストでも書かれているように、総人件費二割をしっかり削減するんだということを申されて今日、今の立場にいるわけでありますから、是非これは本当に取り組んでいただかないと、まず歳出削減ということにもなかなかつながっていかないでしょうし、トータル的に国民からなかなか理解されない、そういったことにつながっていくんじゃないかなと思っております。  この手段につきましては、大臣そのもの、大臣がこれまで、地方分権の推進に伴う地方移管だとか各種手当、退職金の水準見直し、又は定員の見直し、労使交渉を通じた給与改正などを行うということをおっしゃって、これがイコール人件費二割削減に持っていくんだというふうにおっしゃっていますが、やっぱり、私は再三申し上げますけれども、今回の政府案にはこの給与改正に一切手を触れていないし、そして労使関係ということもあるでしょうけれども、これは実際上来年にならなければなかなか結論は出ないということでありましょう。  結局、今回、この給与に関して言わせてもらえば、何も手も付かず、来年の新人採用、この抑制だけだと、そういった形になったこともありまして、給料の安い新人の採用数を抑制したところで大きな私は削減効果につながらない、そのように思うわけでありますけれども。  私は直接確認していないんですが、大臣は四年間でこれを実行するということをどこかで発言されていらっしゃるんですかね。もし仮にそれを、四年間でということを本当に行っていくんだったら当然それなりの計画というものを出していかなくちゃいけないんでありましょうけれども、そもそもこれ、いつから着手して、どういう段階を経て、本当に二割削減していくという思いでやられるのか。工程表も含めてどのように考えていらっしゃるか、あえてお伺いをしたいと思います。
  122. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 昨年ベースでの二割、一・一兆円の公務員の総人件費の削減、これを四年間でやるというのが昨年のマニフェストで記載したものでございます。今の時点からいえばほぼあと三年ということになりましょうが、この中で労働基本権を付与することを通じて労使交渉を行い、手当、給与、この改定を議題としなければこれもできないでしょうと、できないだろうというふうに考えております。退職金や定員の見直しということも当然であります。  それから、先ほども申し上げましたが、地域主権戦略会議、これも粛々と、あるいは着々と進んでおりますので、この中での分権推進に伴う地方移管というふうなことも相まって、そして残り三年の間に、現時点では、例えば去年度は一千数百億円の人件費の削減でございましたけれども、あと三年で一・一兆、一兆円を達成するように、これを実現をするという決意と、その方法でやらなければならないと思っているところでございます。
  123. 秋元司

    ○秋元司君 余り元気がある答弁じゃなかったなというそういう感想でありますけれども。  事あるごとに、この給与制度については、やっぱり労使関係ということを強く申されております。私のお隣に古川議員が、「自律的労使関係制度の措置に向けて」というこの分厚い冊子がございますけど、今回の法案ではなぜこの措置が間に合わなかったのか、私もちょっと今ふとこの冊子を見ながら思ったんですけれども。元々この労使関係制度検討というのは十二月に終わっているんですよね。ということだったら、私は間に合っているんじゃないのかなという気がしているんですが。  特に今回質問通告はしていませんけれども、済みません、隣にこの分厚い本が目に付きましたので、あえてお尋ね申し上げたいと思います。大体、政務三役というのはこの会議出席されたのかどうかのことも含めてお伺いをさせていただければ有り難いと思いますが、副大臣でも結構でございますよ。どなたでも結構です。
  124. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) こちらの「自律的労使関係制度の措置に向けて」ということで、鋭意各専門家の皆さんが検討をしていただいて、そして各論点について整理をしていただいたという理解でございます。  これは十二月の十五日に要は内容がまとまるということで、この内容については仙谷大臣の下にこの検討委員会の皆さんから届けられて受け取っております。  この会議について政務三役が出たかと言われますと、これ専門家の会議でございますので、専門家の皆さんの御議論にお任せしているところでございます。
  125. 秋元司

    ○秋元司君 是非、特に労働基本権の問題が今回公務員制度改革を行う上で必要じゃないんじゃないのかということが大臣の答弁の中でも節々に出てきていたので、そこまで労働基本権のことを本当に議論していかなければならないのだったら、こういった会議にも積極的に出席してもらってしっかりそのやり取りを聞いてもらうというのも私は一つの方法じゃないかと思いますし、率直に、この報告書を受けて、大臣、このやり取り、御覧になってどのような御感想をお持ちですか。
  126. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 大変精力的に作業をしていただいているわけでありますが、この別添参考資料八ページというのを御覧いただくと分かると思いますが、二十一年の四月十日からワーキンググループの開催実績というのがございます。政権交代をしたのが九月十六日でございますから、出ろ出ろと言われても、九月三十日からしか我々はお呼びも掛からないと、こういうことでございますが、骨格の論点に付随する論点等についてという、要するに付随する話が十月から始まっているということで、もうほとんど骨格の話といいましょうか、重立ったところは我々が野党だった時代にほとんど終わっているわけですよね。そうすると、これは十二月の段階で報告書を、これ十二月十五日に私が受け取ったわけでございますが、これを受け取って参考にするしかないと、こういう経過だったんだろうなと思います。  さて、これを読んでどう思うかと言われましても、それはなかなか大変なことでありますが、ある種、両論併記としてお書きになっている部分が相当多いわけでありますから、これをどちらかに私どもが政治判断で取っていくということをすれば、ここまで整理をしていただいておれば、今後の作業としてはそうそう、何といいましょうか、判断としてはそんなに苦労しなくてもいいんではないかというのが私の感想です。  ただ、何分、戦後一貫してできなかった事柄をやるわけでありますから、これはそのプロセスとしてはなかなか量的には、何といいましょうか、作業量の多い作業になってくるだろうなという予感を私は持っております。  つまり、もっと言えば、今の公務員制度改革推進本部事務局でできるのか、あるいは、私ども今この三役で公務員制度改革法案の担当ということになっていますが、この作業、労働基本権付与の方向での新しい公務員労働法制を作ると、こういうときに事務局の質、量がこれで十分なのかどうなのか、あるいは政務三役としてもこの質、量で調整等々も含めてできるのかということは、この現在審議中の法案を通していただいてからちょっと立ち止まって考えて新たな体制を多分作っていくということがなければ、この諸課題を適切に処理といいましょうか対応できないだろうと。つまり、対応するためには少々体制のことも考えなければならないだろうと、こういうふうに私は思っているところでございます。
  127. 秋元司

    ○秋元司君 別に大臣の揚げ足を取るわけじゃないですけど、この今ワーキンググループの開催実績を私も改めて見ていますけれども、少なくとも九月十六日から大体この骨格の論点に付随する論点等についてということで、だあっとこの十一月十八日まで延べ七回ぐらいがしっかり行われているわけでありますね。そこは今まで第一回から十八回まで議論してきたことを多分総まとめにした整理がなされていると思うので、むしろこの後半、九月からにしっかり出席をしていただいて、少なくとも今政治主導ですべての各役所の運営を行っているというこの政務三役の皆さん、どなただかでもこれに出席してそれを感じ取っていただければ、今回のこの国家公務員法の改正に当たって、少なくとも労働基本権に対する付与の仕方、また公務員に対するこの労働基本権に対する付与の仕方というものがある程度皆さんの中でも確立され、今回懸念となっています内閣人事局への一元化という問題も私はスムーズにいったんじゃないのかなという私なりの勝手な感想を持っていますが、その辺いかがなんですか。
  128. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) それは誠に勝手な観測でございまして、現実に、当時のことを振り返ってみますと、このころは言わば私にとってみますれば、行政刷新会議を立ち上げ、さらには事業仕分をする作業というのが第一の任務でございまして、公務員制度改革については、今回はこういう第一段階をやろうという論議、そして公務員制度改革推進本部事務局をどう構成するかということを考え、大島副大臣とも相談しながら考えていた時期でございまして、とてもとてもこの公務員の自律的労使関係の確立といいましょうか、労働基本権を付与するという前提での中身の話、あるいは作業手順の話というふうなところに入っていく時間的な余裕が全くなかったというのが率直な感想でございます。
  129. 秋元司

    ○秋元司君 いや、多分そうなんでしょう。私もそれを思っているんですよ。事業仕分を一生懸命やっていらっしゃったので、まさにこの国家公務員制度改正に当たる議論が多分大臣としては時間がなくてできなかったというのが本音で、今回、本来基本法にのっとった形で本当はこの改正案を出してもらいたかったはずが、結局時間の問題と、御自分自身がほかの担当大臣をいろいろ兼務する中にできなかったからこそ、今回、我々としては一番大切と思っている国家公務員制度改革が、ある意味これは問題点を先送りする形で今回法案の提出に至っている、私はそのように解釈をさせていただいておりましたが、今の大臣の答弁を聞いて、なるほどそうであったんだなということを改めて再認識をさせていただいたところであります。  では、ちょっと次のテーマに移りますが、同じ給与制度の関係でございますけれども、今回、ある意味唯一、唯一と言っては弊害があるかもしれませんが、同じくこの二割人件費削減という流れの中で、高位の専門スタッフという言葉が出てきております。私自身はまだこの高位の専門スタッフなるものがどういったものなのか全くイメージが付かないんでありますけれども、実際問題どのような仕事をされるつもりなのか。そしてまた、行政機構内においてはどのように位置付け、また、今回この高位の専門スタッフについても人事院に様々な給料面を含めて検討させているという、そういったことが衆議院の、衆議院ですかね、どこかで私は耳にしたような気がするんですけれども、いつまでにその人事院からの検討、回答として上げさせるおつもりなのか、強いて言えば、これによって人件費の削減効果というのはどの程度上がってくるものなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  130. 階猛

    大臣政務官階猛君) 高位の専門スタッフ職制度について概要をお尋ねだったと思います。  まず、今回我々が検討している高位の専門スタッフ職というものは、従来から専門スタッフ職というのは課長級以下のものについてあったわけです。それとどう違うかということなんですが、既存の専門スタッフ職が課などに置かれて当該課などの所掌に関する政策についての企画立案等を支援するのに対しまして、今度の高位の専門スタッフ職は官房や局などに置かれ、部局横断的な重要な政策や局内の各課をまたがる重要な政策についての企画立案等を支援することを職務目的とするということです。具体的に申し上げますと、部局横断的な重要な政策基本的な法制について施行状況や諸外国の状況の調査研究、分析等を行うことにより改善方策に係る企画立案の支援などを行うことなどを想定しております。  この創設の時期でございますけれども、今、退職管理基本方針というものを総務省で原案を作って、各省で調整中でございます。その退職管理基本方針の中に専門スタッフ職制度のことについても書かせていただく予定です。これが、退職管理基本方針、閣議決定されますと人事院の方で検討していただくということになります。  人件費についてでございますが、個々の高位の専門スタッフ職の給与水準につきましては、今の幹部職の中の部長級よりは相当程度下がるということでございます。  以上です。
  131. 秋元司

    ○秋元司君 これもまたちょっと深くは存じ上げませんけれども、今、民主党内というか政府内で政治主導確立法案、これが今出されたんでしたっけ、もう出されたんですか、これに政務調査官という制度も何かあるように聞いておりますけれども、これと今回の高位専門スタッフ職とは全く重ならないんですか。
  132. 階猛

    大臣政務官階猛君) 端的に言いますと、高位の専門スタッフ職は一般職国家公務員であるのに対して、政治主導確立法案に言う政務調査官は特別職国家公務員でして、政務三役に対して、国会議員との連絡調整、政党との連絡調整、各府省政務三役間の連絡調整などの政務に関して必要な情報の提供その他の補助を行うというものですので、先ほど御説明しました高位の専門スタッフ職とは位置付け役割は異なるということでございます。
  133. 秋元司

    ○秋元司君 トータル的に人件費は少なくなるという、少なくなるというか、給与水準が下がるというお話でありましたけれども、私は役人じゃありませんから分かりませんが、ただ、ひたすら、たまたま事務次官であった方が高位専門スタッフ職に就いたとしたって、若手からすると、そういった偉い人が同じ役所内にいますと、自分たちが今の案として政策を実行したいという思いがあっても、先輩の皆さんからああだこうだと言われるとなかなか本当意味仕事がやりづらい環境にいて、言ってみれば、皆さんがおっしゃるいわゆる退職勧奨をなくすと、そのことによって、定年まで役所にいてもらう、これは一つの方法かもしれませんが、本当にそれで、ただ役所にぽんぽんぽんぽんぽんぽん、高位の専門スタッフがごろごろいて、役所として風通しがいい役所となっていくのかなという、そういう一抹の不安もあるんですけれども、その辺どのようにお考えですか。
  134. 階猛

    大臣政務官階猛君) 先輩がいつまでもいると若手が萎縮してしまうんじゃないかというような御趣旨だと思いますけれども、今までの役所というものは、よくPDCAサイクルと言いますけれども企画立案、実行、すなわちプランとドゥーですね、PとDのところについてはまあ一生懸命やっていたと。ところが、後半のC、A、チェック、アクションの部分についてはおざなりであったというところで、先ほど説明した高位の専門スタッフ職は、企画立案された政策の施行状況や諸外国の状況の調査、研究、分析等を行うことによって改善方策を企画立案していくということで、今までおざなりであったC、Aの部分を強化していくというものですので、決して若手の仕事を萎縮させるようなものではなくて、むしろ補完していくような、そういう積極的な役割を果たしていくものと考えております。
  135. 秋元司

    ○秋元司君 考えるのは簡単で、そして理論的に構築するのはだれでもできるんですが、世の中、人と人の人間関係で成り立っている社会でありますから、そこまでおっしゃるんだったら、それがスムーズにいくように是非行っていただければなと、そんな思いであります。  次に、テーマ移ります。ラスト三分でありますから、天下り、わたり、そしてまた裏下り、この問題について少しお伺いしたいと思いますけれども。  衆議院の審議過程の中においても、天下り、わたり、ここまではだれでも分かるんですが、裏下りという、ここの存在がまた大きくクローズアップされたと思いますが、これは再三再四いろんな、衆議院でも質問され、我々同僚議員からは徹底解明どうなんだというそういった御質問が多々飛んでいたと思いますが、今現在、この徹底解明ということについて実際行ったのか行っていないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  136. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 徹底解明を何について行ったのかということの意味がちょっと私には不明でございますが、ただ、裏下りがあるはずだと、退職勧奨をこんなに行って、拒否した人が二人しかいないんだから、ほかの人については裏下りがあるはずだと、こういう論理展開をされている向きがございます。  ところが、この千百三十八名、退職勧奨をしたことになっているわけですが、その約半分近くは社会保険庁の廃止に伴う分限免職を回避するために行った六百六十三人というのが含まれております。この方々については、相当部分は、当時の官民人材交流センターのあっせんもこれあり、再就職した方々とそのまま就職をされていない方ということになります。それから、もう一つ大きいのは法務省、三百二十九人に退職勧奨を行って、ここに拒否した人が二人おりますが、応諾して退職した方が三百二十七人ということでございまして、そして、私も、その法務省の場合、自後どういうところにお勤めなのかと、あるいは勤めていらっしゃらないのかということを見てみましたが、これはほぼ私の見る限り、ざっと見る限り、シビアな改めての調査が必要なケースは余りないんではないかということでございます。  そうだとすると、具体的な御指摘をいただいた上で、改めて、この法案を通していただいて、再就職監視委員会をプロフェッショナルにも参加していただいて確立をして、そこでもし指摘されるケースがおありになるとすれば、これをしっかりと調査していくと、こういうことが最も望ましい形ではないかと、こういうふうに思っております。
  137. 秋元司

    ○秋元司君 時間ですから終わりますけれども、そのまさに再就職監視委員会そのもの、これまで民主党さんは、我々与党時代に人事をお願いしましたけれども、結局同意人事に応じてくれず、いまだかつてもこの再就職監視委員会が空席のままであります。今現在、これが本当機能していたならば、私はこの裏下りの監視も実はできたんじゃないのかなという強い思いもございます。そういった観点から、法律が通るまでもまだ少し、数日時間があるようでありますから、是非この再就職等監視委員会、今現在、すぐにでも同意人事を決め、国会に提出していただいて、この委員会がしっかり機能するように、是非、仙谷大臣、リーダーシップを取ってやっていただくことを最後にお訴えして、質問を終わります。  以上です。     ─────────────
  138. 河合常則

    委員長河合常則君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山本香苗君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。     ─────────────
  139. 山下栄一

    山下栄一君 公明党の山下でございます。  限られた時間ですけれども質問させていただきたいと思います。  この前、本会議でも質問させていただいたんですけど、それを補充するような中身になると思いますけれども。特に今日は、再就職の問題の前に、幹部人事の一元化のところが中心になると思うんですけれども。  底流に流れる今回の国家公務員法等改正案は、政治主導の四文字だろうと、政治主導の観点でこの官僚内閣制を打破したいと、こういう強い思いがこもった私は法案提示だと思います。したがって、政治主導法案と言われる法律、そして国会法の一部改正、これは議院運営委員会かも分かりませんけど、この三つの法案は三点セットだなと、そういう観点でとらえる必要があると。したがって、法案もそういう審議の在り方が正しいのではないかと。ただ、今審議中のこの法律を先に出されて、後から出てきているという、ちょっと不幸なことになっているんじゃないかなと思いますけれども。  松井長官は、この平成十九年、もっと前からでしょうか、国家公務員法一部改正、ここで再就職の規定の大幅な、大幅と言ってもいいと思いますけど、規定の見直しがありました。業績評価の、人事院の、この二つを中心とする平成十九年の法改正。それから、二十年、おととしの基本法、これも全部かかわっておられたと思うんですけどね。  この六十一条の二のところですけれども幹部職員の任命等に関する特例という規定がございまして、六十条台に入っているわけですね。主語は総理大臣になっております。主語は総理大臣なんだけれども、六十一条の二の五項で、全部権限を官房長官に委任すると、こういうふうになっている。全体を見ましたら、総理大臣役割官房長官役割仙谷担当大臣役割とそれから公務員法所管の原口大臣役割と、今名前言うただけでも四人、総理を含め四人いらっしゃると思う。これがよく整理しにくい中身になっているなということを感じております。  そういうことを念頭に置いて、まず最初質問は、公務員法に内閣人事局の位置付けがないと。国家公務員法位置付けがなくて、内閣法に位置付けているわけですね。人事仕事をする人事行政の在り方が国家公務員法に書いてあるのではないかと。何でこんなことになっているのかなということは、今、先ほど冒頭申し上げたことに関連してくると思うんですけれどもね。  まず、なぜ内閣人事局は、元々は内閣府に内閣人事庁を置くという閣法を、議員立法で松井さんらが中心に人事庁をやめて人事局にして官房に持ってきた、この辺から物すごい分かりにくい法の構造になっているなと私は思うんですけれどもね。何でこの国家公務員法の中に、人事行政のずっと大事なことが国家公務員法の大きな位置付けやと思うんですね。せやのに、肝心の内閣人事局がそこに書いてない。ということはどういうことなのかなと。特に、十八条の中央人事行政機関たる総理大臣との関係がよく分からないと。松井長官にお願いしたいと思います。
  140. 松井孝治

    内閣官房長官松井孝治君) 山下先生、御専門で非常に制度にもお詳しいわけでございまして、いろいろと過去に委員としても御指導いただいておるわけでございますが。  今の山下先生の御質問自体が非常に専門的なものでございますので、どのようにお答えすべきかと思うんですが、ざっくり普通の専門用語を除いて言えば、やはり今回の法改正の中で人事局を位置付けるというのは、やはり基本的には幹部人事、企業や組織でいえば、幹部人事の一元化ということは社長室と役員室のようなところでしっかり見ていくと。ただ、人事部、労務部というようなものは、これは企業でもそうですが、一つの大きな部がある。ここは一般的な職員人事の在り方、ルール、評価の在り方、あるいは給与、処遇、その他含めてこれはいろんなところの各省庁にまたがっておるわけですが、そこの部分と、この法案の中で位置付けられているような中央省庁全体の幹部職員、これは企業でいうと役員クラスのような方々の選任の在り方、これが各省ごとにばらばらであるというのは、これはいわゆる人事管理制度ではなくて、人事の在り方をトップのリーダーの下で一元的に省庁の枠組みを超えて国全体としての適材適所の配置をしっかりとした能力評価とともに行うということで、内閣法の中の内閣官房における総合調整の一環として人事局を内閣官房に置いたというふうに私は理解をしてございます。当然、法案の担当は仙谷大臣ほかここにいらっしゃる方々でございますので。私の理解はそういうふうなことでございます。
  141. 山下栄一

    山下栄一君 済みません、ちょっと今日は官房長官本当はお聞きしたかったんですけれども対象じゃございませんので、副長官にお聞きしているわけですけれども。  ただ、今度の法律で、基本法に書いてあった事務局、国家公務員制度改革本部の事務局の規定がもう、代わりにあえて基本法を改正して、これはもう幹部人事だけじゃないんじゃないのかなと思うんですけれども内閣人事局の仕事幹部人事だけですかと。結局、公務員制度改革本部の事務局は内閣人事局が担うと、こういうことじゃないんですか。
  142. 松井孝治

    内閣官房長官松井孝治君) これも私の理解を述べさせていただきますと、大別ですよ、大別すると内閣人事局の機能って二つあります。一つは、その幹部人事総理のリーダーシップの下で一元化するという事務と、それからもう一つは、公務員制度改革というものを推進する。公務員制度改革自身は、先生非常によく御承知のように、総務省とか人事院とか中央人事行政機関が担っているものをある意味では政府全体の立場で推進する。これは従来、内閣官房公務員制度改革事務局という、事務室というところが担っていた部分、ここは引き続き内閣官房人事局が公務員制度改革、一巡するところまではしっかりやる。  今回の改革は、これは後ほど仙谷大臣から御答弁いただいた方がいい話だと思いますが、今回の改革がすべての終わりではないということを仙谷大臣もるる御答弁されているというふうに私認識しておりまして、そういう意味では、幹部人事の一元化、これは言ってみれば役員室、企業でいえば社長室のような機能はつくる。それともう一つは、社長室特命で、いろんな行政各部にまたがるような公務員制度改革は特命プロジェクトとしてそこが、新しい制度ができ上がるところまではここが責任を持ってやる。ただ、それができ上がれば、また新しい人事行政機関をどう再編するのかということが次の課題になってくると、そういう整理かなと思っております。
  143. 山下栄一

    山下栄一君 そういう整理なんでしょうけれども、まだ残っている基本法が、宿題として与えられている残りのやつも、先ほどの基本法基本権もそうかと思いますけれども基本的に事務局は内閣人事局で担うということだと思うんですね。  それで、この六十一条の二の総理大臣ですけれども、これはどの総理大臣かなと。要するに、本会議でも私申し上げたんですけれども国家公務員法の第二章にある中央人事行政機関というのは人事院総理大臣だと。人事院総理大臣だと。ところが、六十一条の二の総理大臣は中央人事行政機関と違うのと違うんかいなと。この辺がちょっとあいまいになっているなと。その辺どうですか。
  144. 松井孝治

    内閣官房長官松井孝治君) 私が答えるのが適切かどうか分かりませんが、流れでございますので私の理解を申し上げまして、それで、もし間違っていたら仙谷大臣あるいは大島副大臣、階政務官から御訂正をいただければいいのではないかと思うんですが。  内閣人事局が担う機能、あるいはそこを統括する立場としての内閣総理大臣というのは、いわゆる分担管理事務を担う、実施を担う内閣府の長としての内閣総理大臣ではないと私は理解をしております。したがって、先ほどから申し上げていますように、個別の人事管理についての制度を持っている実施事務の長であるところの、内閣府の長であるところの内閣総理大臣と、今回の人事局で、いわゆる内閣官房の総合調整、各省またがる総合調整事務の内閣官房の権限、権能をよりどころにした内閣人事局とは異なると。そこの二点が根本的に違う。それが、先ほどから私が申し上げていることを今委員に鋭く御指摘いただいた点ではないかと思います。
  145. 山下栄一

    山下栄一君 とにかく一元化をしたいと、各省庁任命権者が今まで人事権握っていたけれども、それを内閣に一元化するんだということが趣旨だと思うんですよ。ところが、この法律の中で総理大臣の影が薄いなと私は思うんですね。ところが、主語は総理大臣なんですよ、これ。ずっと総理大臣になって、五項になって突然、突然というか全部それは官房長官に委任すると。六十一条の二の五項はそうなっているわけですよ。それで、この特例の幹部人事の一元化を行うのは総理大臣に一応なっているのに、五項で官房長官に丸投げではないけれどもなっていると。  私は、総理大臣に三つの顔があると。だから、首長の総理大臣、閣議を主宰する首長の総理大臣がまずいらっしゃると。ところが、公務員法の中央人事行政機関の総理大臣というのは、これ内閣府の長でいいですよね、今うなずいておられますけれども内閣府の長の総理大臣がいらっしゃると。それを助けるのも官房長官だと。ところが、今書いてある六十一条の二のところは、今おっしゃったように、官房の分担管理の主任の大臣たる総理大臣だと。だから、何か三つの顔があって、そういう仕組みやと思うんですよ。  だから、国家公務員法上、中央人事行政機関と言っているのは人事院と、今までの経緯で、あれ途中から、たしか昭和四十年か何かに入った総理大臣というのはこれは内閣府、当時総理府、内閣府の総理大臣たる総理大臣が中央人事行政機関、それをサポートするのが今度は総務省だと。当時は総務庁の人事局か何か私は知りませんけれどもね。ところが、今度のやつは両方とも違うと。首長の総理大臣でもなければ、内閣府の中央人事行政機関ではない総理大臣だということやと思うんですね、六十一条の二の主語の総理大臣というのは。それは内閣官房の主任の大臣たる総理大臣だということだと思うんですよ、内閣法に基づいては。そうですね、多分、そうやと思いますけれどもね。だから、何か知らぬけれども総理大臣の影が薄くなるのかなと。  私は、この委員会も、だから私は今日、官房長官、来てもらいたかったんですけれども。もちろん仙谷担当大臣もいらっしゃる。仙谷担当大臣はだけれども無任所大臣ですからね。だから、取りあえず法律は通すまで責任あるんでしょうけれども法律通った後は、後は官房長官が官房の長官ですから、それで内閣人事局長の副長官等がそれを、政治家ですわね、内閣人事局長は、そこがやると思うが、官房でやると、それは。それはだから、内閣府の長の総理大臣総務省と連携を取ってやるやつとまた別の仕事だと、こういうことやと思うんですよ。  そういう構造になっているから、これは何で国家公務員法改正案のには、内閣人事局が国家公務員法に書いてないと。書いてない理屈は分かりますよ、内閣に設置すると、そう書いてあるんですけれどもね。ここに象徴的に表れているように、人事の一元化と言いながら、総理大臣の影が薄い。それは官房の主任の大臣総理大臣だからやと私は思うんです。中央人事行政機関の総理大臣じゃないと、そういう位置付けにしてしまったと。  だから、私は、何か一元化で責任あるように見えるけれども、一元化で責任が何か一本化されたように思うけれども総理大臣官房長官仙谷担当大臣と原口元々の法律の担当大臣役割が何かえらい不明確で、だれが結局この人事の責任を取るんですかと。一元化と言いながら、一元化になっていないのと違いますかと。四人の、総理を含めて大臣が何かいらっしゃって、それでだれが指揮執るんだと、これは。条文上は総理大臣という主語があるけれども官房長官に投げる、それは官房の長だからだと、こういうことやと思うんですよ。  ただ、官房長官というのは、内閣府の長の総理大臣をサポートするのも官房長官ですからね。そうじゃない、これはそうじゃなくて、官房の方に人事局を置くから、だから官房長官法律通った後は人事局長と一緒になってやっていくんやろうなと。ところが、もう一方では、公務員制度改革本部というのがある、これは内閣直属だと、その本部長総理大臣だと、こうまたなっていくんですけれどもね。くるくるくるくる回って、結局、一元化と言いながら、それで総合調整、総合調整じゃないですよ、これは、調整じゃなくてリーダーシップ取ってやらぬと一元化になりませんからね、調整するために協議もされるんでしょうけれども。  私は、だから、一元化と言いながら、この四人の大臣役割分担も不明確で、仙谷担当大臣も、法律通るまでは責任あるけれども、その後は何か知らぬけれどもちょっと撤退されるのかいなという、そんな感じがしましてね。一元化ということになっているんだけれども、何かはっきりしない仕組みの法の定立じゃないかと。仙谷大臣の御所見をお伺いしたい。
  146. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 誠にそのとおりだと私は理解をいたしております。  つまり、公務員制度改革担当大臣役割は、実はこの法案が成立した瞬間に、次の新しい法案企画立案、作成の仕事は私の仕事。それで事務局は、内閣官房の官房人事局の、まあ例えば一部、二部というふうに事務局ができれば、一部の方が、人事局の一部が幹部人事の一元化を担当し、適格性審査と、それからその幹部の名簿を作成する、その作業、そして任用についての情報をちゃんと官房長官、それから各省の大臣、それから総理大臣に上げていくと、こういう仕事なんだろうと思います。二部の方でこれから以降の公務員制度改革企画立案をする。今の立て付けだと、私はそちらの、公務員制度改革担当大臣という辞令が残れば、その仕事は、二部の方の仕事は残るけれども、一部の具体的な個別の任用等々については私は全く関与しないと、こういうことになろうかと思います。
  147. 山下栄一

    山下栄一君 私は、だから、委員長に御提案、ちょっと理事会で検討してもらいたいんですけれども。  もちろんそれは法律作るまではその担当大臣で、その役割で、それは私は一つ考え方だと思うんですけれども、できてしまうともうだれかに任せるみたいなことはちょっと分かりにくいなと。だから、もちろん担当大臣としてこの法案企画立案、そして審議に答えることは大事なんですけれども、やっぱり実際担う人がここにいらっしゃって、それでいろいろ意見を聞きながら、どうあるべきかと。内閣人事の一元化というのは、先ほどもおっしゃっていましたように、新しいこれは一つの試みですから、それが政権交代した一つ意味であろうということも思うんですよ。前の内閣もそういうことを考えたかも分かりませんけれども。だから、これはやっぱり、幹部職員人事も含めて、官僚内閣制を打破するんだという大きな理想を実現するために、やっぱりいろんな国会議員同士が知恵出し合って、与野党を超えてちゃんと議論する場がここだと思うんですね。  したがって、仙谷担当大臣が常時、これは分かります。しかし、もう忙しいかもしれないけれども官房長官もおらぬと、そこで人事やってちょうだいよって法律に書いてあるわけですからね、幹部人事は。それと、首相は常におられませんけれども原口大臣、この三人は指定大臣としてきちっとこの場におって、やっぱり議論を共有しながら、大きなお仕事をされようとしている、国権の最高機関で審議している、ふさわしい答弁の張り付けで、対応で臨まないとこれはちょっとやっぱりまずいんじゃないかなと。思いを共有しながらこの法案成立後の流れをつくっていくというそのためにも、官房長官と、公務員法の所管は原口大臣ですからね、そして仙谷担当大臣、三人がちゃんと張り付いてやるという、そういうやり方が正しいのではないかと、そんな意見が野党からもあったかも分かりませんけれども、そうなっていないので、改めまして委員長に御検討を御要請したいと思います。
  148. 河合常則

    委員長河合常則君) 山下先生の時間来ましたので。  それで、今の話は後刻理事会で協議させていただきます。よろしゅうございますか。  じゃ、松井官房副長官、どうぞ。
  149. 松井孝治

    内閣官房長官松井孝治君) 委員会運営のことを政府側がとやかく言うことは一切あってはならないと思います。ただ、私も委員として過去の法案審議にもかかわっておりましたので、私も野党の理事として同じようなことを言いましたが、過去の公務員制度改革でも担当大臣が御出席をされて、人事担当の各大臣は御出席に至らなかったという経緯はございました。ただ、委員会運営の在り方について政府がどうこう言うことはございません。  それからもう一つだけ、今日、非常に技術的なことも含めて御議論いただきましたが、大事なことは、中央人事行政機関という名前は立派なものが従来から内閣総理大臣とか人事院があったわけですし、それの補助機関としての総務大臣があったわけでありますが、しかし、現実にはそこの中央人事行政機関というのが本当意味での各省横断的な中央人事行政というのをやっていたかというと、私は本当意味での各省縦割りの壁というのは全く打破できていなかったと思います。したがって、そこは、一段高い内閣官房の総合調整の権限を淵源にした人事局で幹部の一元管理というものを実現するというのが今回の法案趣旨であるというふうに、私が申し上げるのも変ですが、申し上げておきたいと思います。     ─────────────
  150. 河合常則

    委員長河合常則君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、岩城光英君が委員辞任され、その補欠として丸川珠代君が選任されました。     ─────────────
  151. 小池正勝

    ○小池正勝君 前回に引き続いて、また政府案対案との違いというところについて幾つか御質問をまずさせていただきたいと、こう思っております。  まずは、午前中も御議論がありましたが、事務次官についての考え方についてお伺いをいたします。  これは、政府案には事務次官は残っていて、対案の方には事務次官がなくなっているわけでありますけれども事務次官というと、公務員の皆さんでは、まさに、事務次官レースを目指して一生懸命努力しているというか、出世競争を行っている、そういうあこがれのポストなんだろうと思うんですね。  そのためにお役人の皆さんは、省益優先といいますか、国益のことよりも省の権限を少しでも増やすということが出世競争につながるやに思う人が多くて、したがって、縦割り行政と言われることの悪弊といいますか、の原因にもなっていると、私は一因にもなっていると、こう思うのでありますが、それもこれも事務次官の出世競争というか出世レースと、こういう話なんだろうと思うんですが。  そこで、午前中の御議論では、まず事務次官会議廃止になりましたと。で、仙谷大臣さんの御答弁では、したがって、省間、省庁省庁調整はもう事務次官には期待されていないんだと、こういうお話がございました。  そうなってくると、今現にある事務次官さんに期待されているお仕事というのは一体どんなことを期待されておられるのか。そして、仙谷大臣も、いずれかは事務次官というのは廃止したらどうかということをたしかおっしゃったと記憶しておるのでありますが、どういう状況になればこの事務次官というのを廃止するというお考えなのか、その二点をまず大臣にお伺いしたいと思います。
  152. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 各省、具体的に事務次官あるいは当然官房長の職務、それから役割設定、定義付けみたいなことが行われつつあるように思います。  多分、これは省名審議官、財務省でいえば今度は財務官というふうな立場の方もいらっしゃるわけで、それから、各省は、特に九八年行政改革によって統合された省庁は、結局、運輸省の次官に匹敵する人が国交省の中で省名審議官で残るというふうな構造になっておって、実際問題として、次官の職務内容をどう位置付けるのかというのはこれからの話なんだろうと思っております。  特にマネジメントというかガバナンスの問題としては、これ次官が何をどこまでやるのかと、各省庁生い立ちも違えば、何か人間関係も違うんで、今改めて定義付けしつつあるようでありますが、私はそういう作業を自主的に行うことは悪いことではないと。それを一括して取りまとめて、内閣全体として次官というものを再定義できるのかできないのか。できない場合には、これはまた別の格好にしなければいけないと。  それから、内閣府の場合は、お気付きでありましょうが、これ一体全体、今の内閣府の構造を、一人の事務次官がいらっしゃるんだけど、どこまでマネジメントガバナンスするのかできるのか、この体制についても改めて考え直すというか、見直すことが多分必要になってきているんだろうなと、そういうふうに私は思っておりまして、先ほど、具体的な問題としては違った問題提起、違った問題でありましたけれども、実は山下議員の問題提起も、この内閣府と旧総理府の所掌事務を整理統合をしないままここへ来て、今度は内閣官房の新たな職務をつくることが更に混乱を呼ぶんではないかと、こういう趣旨だったんじゃないかと私聞きましたけれども、まさにそれは実は事務次官職務内容とも深く関係しているといえば深く関係しておるんではないかと。  そんなことを考えながら、附則に書かれたとおり、事務次官役割位置付けについてもこれから検討をしていかなければならないと思っております。
  153. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうすると、今の段階では、例えば各省調整みたいな話はなくなったけれども、何を期待して、これから事務次官に何を期待するかということは具体的なイメージはまだお持ちではないと、こういうことなんでしょうか。
  154. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 私どもから見ておりましても、各局調整を、局間調整事務次官が主導権を持って握ってなさっているところもある。それから、もう少しガバナンス全体を見られているところもある。これは人によるのか省庁によるのか分かりません。それから、ようやくにして、ある省とある省の統合されて一つのかもいに入っていて省名審議官と次官がいらっしゃるのが、かなり調整をしながら人事をなさりつつあるようなところもあるというようなことで、やっぱり各省ごとに相当色合いが違うなと見ておりまして、その辺を法制度的、一義的に確定していくのは、もう少しそういう角度から、そういう切り口から事情をよく調べたり聞いたりしていかないと、なかなか事務次官一般論というのができにくくなっておるんではないかという、そういう感じも持っております。
  155. 小池正勝

    ○小池正勝君 それでは、林対案提出者さんにお伺いしますが、今の仙谷大臣のお話、事務次官についての御認識を伺ったわけですが、対案の方は事務次官廃止と、こうなっておるわけですけれども、そのお考えを伺いたいと思います。
  156. 林芳正

    委員以外の議員(林芳正君) 我々の対案では事務次官廃止。これは、国家行政組織法と内閣府設置法の改正、また省名審議官もそれぞれの省の設置法で改正する、さらには、外局の長官、警察庁ですとか金融庁等は局長級にする、こういうことでございます。  仙谷大臣がおっしゃっていることは分かるような気もするんですが、しかし、法律の議論でございますので、今私が申し上げました行政組織法、内閣府設置法等に事務次官というのはどういう仕事をする人かということは一応書いてあるわけでございますから、そういうことを見て、そして、今のお話であれば、実際に運用的にはどういうことをやっているかという御研究はあるかもしれませんけれども、しかしこの問題は、実は多分、大臣政務次官のころから大臣、副大臣政務官と変わりました。大臣以外のこういう方々というのが大臣のスタッフなのかラインなのか、この問題が副大臣が入ったときからラインになったわけです。ということは、実は官僚機構という三角形の頂点に事務次官がいるわけですが、三角形の上に一人大臣がいるのならあるかもしれないけれども、三角形の上にもう一つ政務三役という今三段階でございますので、三角形が乗りますと非常にバランス悪いですね。  ですから、やっぱり三角形というものがトップに来るのであれば、下は台形でなくてはいけないであろうと。その方がしっかりと政治主導というのはできるであろうと。副大臣政務官が手分けをして、例えば局の担当を決めるですとか、そこがしっかりと台形の上に座って、しっかりと実務を担当していらっしゃる官僚の皆さんを政治主導でやっていく、こういう考えがやっぱり必要なんではないかと、こういうふうに思うわけでございまして、ある意味では長い間の宿題でもあったと。  ですから、我々は今回、そういう考え方もあって思い切って事務次官また省名審議官それから外局の長官というのをまず廃止をして、そしてさらに、こういう幹部ポストについては整理をするというふうにいたしたところでございます。  そういう中で、例えば財務官みたいな国際交渉のために必要であるということが客観的にあれば、それはその整理の中で再び位置付けていくということは当然あるわけでございますけれども政治主導と、政務三役が上に乗っかるということであれば、原則やはりそういう考え方が必要であろうということでこういう条文を置かせていただいたということでございます。
  157. 小池正勝

    ○小池正勝君 政治主導というお話からすれば、今の三角形の上に三角形があるというのはよく分かるお話でございまして、確かに先ほど仙谷大臣がおっしゃった、局間の調整をしているでないかと、これはまさに政務三役にやってもらえばいいだけのことで、別に事務次官にやってもらう必要もないと思うんですが、いかがでしょうか。
  158. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 政務三役も、それ、やることは全然悪くないんでありましょうが、政務三役がやらないで事務次官がやっているという趣旨で申し上げたわけではありません。政務三役の指示の下に次官が各局間の調整をやっているという、事業官庁系の割と古い役所はそういうのがお得意のようでございますので、大変よくやっていらっしゃるところもあるなと思って私は見ております。
  159. 小池正勝

    ○小池正勝君 もう時間も、これで十分も過ぎましたので。  それでは、事務次官のお話はまた引き続きやらせてもらうとしまして、次は任用のお話を少しお伺いしたいんですが、今回の政府の案では、次官、局長、審議官というのが同じような、同格という位置付けになっておられて、そこに名簿を作って、その名簿の中から事務次官も審議官もと、こういう任用をするんだろうと思うんですが。  考えてみますと、事務次官というのは年収どのぐらいあるかというと、たしか年収二千二、三百万あるんだろうと思うんですよね。審議官というと、たしか年収は千五、六百万ではなかったかと思うんですね。もし私の記憶が間違っていたら直していただきたいんですが、そうとすると、それが全く同格という話になるんだろうかと。  そこで、まずお伺いしたいのは、その審議官も事務次官局長もという中でだれを、その名簿に載った人はだれを任用してもいいわけですから、すると千五百万の人と二千三百万の人、言ってみれば恣意的に運用されるんではないかと、任用がですね。まさにその恣意性、恣意的であってはならないというのはみんな同じに決まっていますけれども、では恣意性をどうやって排除していくのかと、その点についてはどうお考えになっていますか。
  160. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、この恣意性をどうやって排除するかというのが一番難しいところだと考えております。  先ほど申し上げましたとおり、社会経済の変化に対応して複雑多様化する行政課題に迅速かつ的確に対応するためには、幹部職員について官邸主導適材適所人事配置を柔軟に行っていくことが必要であるという認識に立っておりまして、このために今回の法案において、幹部職人事を弾力的に行うことを実質的に可能にするために、事務次官級局長級部長級官職同一上の職制上の段階に属するものとみなした上で、幹部候補者名簿について、幅広い人材プールとするため、府省横断的に一つ作成するとしております。  幹部候補者名簿に記載されている者の中から個々の官職任用するに当たっては、任用しようとする官職についての適性を判断して行うこととされており、その判断に当たっては、人事評価等に基づき、個々の官職ごとに求められる専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われる必要があり、これに反する恣意的な人事は許されないと考えております。先ほど申し上げましたこの人事評価等に基づき、個々の官職ごとに求められる専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われるということでございます。  また、幹部職員の任免については、これまでも御答弁しておりますけれども内閣総理大臣及び内閣官房長官との協議が必要になっており、複数の視点からのチェックが働く仕組みとなっております。  このように適正に幹部職員人事が行われるように配慮しているところでございます。
  161. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、複数の人がチェックする、それから人事評価をしっかりやる、だからというお話ですけれども、そもそも客観的な基準というのはお作りになるんですか。
  162. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 客観的な基準というよりも、個々の六百の官職があって、それについての専門的な知識、技術、経験ですから、その個々の官職に求められる能力というのはあるかと思います。その能力を人事評価に基づいて的確に判断をして配剤をしていくということになると考えております。
  163. 小池正勝

    ○小池正勝君 そうしますと、今のお話は、客観的基準というのは基本的には、ざっくりしたものは作るにしても詳細には作らないという御趣旨をおっしゃっているんだろうと思うんですが、そうなりますと、複数の人がチェックするからいいでないかと。その複数チェックする人というのは全部政治家ですよね。同じ政党の政治家ですよね。政治介入という話になりませんか。
  164. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 政治応答性と専門性の議論かと思うんです。  これまでですと、やはり政治応答性、官僚主導ということが多分前の基本法のときには言われておりまして、その官僚主導から政治主導に要は変えていくと。その文脈の中で、やはりこの六百人の優秀な方の配剤については、人事評価に基づいて、任命権者そして総理官房長官協議をしながら決めていくということにさせていただいております。
  165. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今の小池議員の政治介入という用語そのものがまさにこの公務員人事問題の一番肝を表していると思うんですね。  つまり、公務員人事というのは自律的な、何か清らかな人事が行われる体があって、体というかそういう有機体が例えばあって、そこに政治が介入してはならないという、こういう論理が元々あるわけですね。こうなってくると、政治応答性というふうに言われている、あるいは政治に従う、あるいは政治に沿って公務員としての本分を尽くすというふうな話と、介入、不介入、非介入みたいな議論とは、どこで交わってどう擦れ違うのかという、この非常に難しい議論に私はなってくるんだろうと思います。  つまり、大臣なり政治家任用権なり任免権なり人事権が、これは形式的なものであって、実質的にこれを運用行使してはならないということを言うのか、いや、形式的にも実質的にもやっぱり任命権、運用権というのは各大臣にもあるし、幹部については、今度の我々の法案のように、総理大臣官房長官の要するに協議権といいましょうか、あるいは協議を促す権限もあるんだと、そこでチェックもしながらその内閣政策遂行のために人事柔軟化してやると、それが政治応答性なんだというふうに考えるか、まさにもう考え方の問題だと私は思います。  介入を許さじという考え方は、それは先輩に仕切られた、OBに仕切られた、あるいは年功序列で自動的に、政治が一切くちばしを入れないで清らかに年功序列が、どこで振り落としていくのか分かりませんけれども、同期同年次の人がある時期からどんどんどんどん振り落とされて、ある時期には二年に一人の次官が生まれているという予定調和的なことを言うわけですけれども、それは実はそうではなくて、どこかで暗黙の意思が働いてそうなってきたというだけの私は話だと思いまして、これは何かある意味で硬直性と停滞性の象徴であるとも言えなくもないと、こういうふうに思います。
  166. 小池正勝

    ○小池正勝君 今のお話は、そうすると、大臣、役人は、まず政治的中立というのはどうお考えになるんですか、公務員について。今の大臣のお話は、政治的応答性が優先するんだと、こういうことをおっしゃっているわけですね。したがって、政治的中立よりも応答性の方が大事だということをおっしゃっているんですか。
  167. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 政治的な中立性というような絶対的なものが本来的に私はあり得ないと本当は思っているんですね。だけれども、それは公務員である限り、まあ政治的中立性というふうにおっしゃってもいいんだけれども、やっぱり政権と適切な距離を緊張感のある関係で持つべきだというふうには思っております。そのことが政治的中立性というふうに呼ばれるんであれば、それはそれでいいのではないかと。  中立という言葉は、党派的な意味での中立性というのはなければ困るというふうに思いますが、その彼のポジションが政治性を持つかどうかという意味において中立であるかどうかなんということは、ほとんどナンセンスな概念だと私は思っております。政治的な価値判断をした瞬間に、それは本来的な意味での政治的な中立性というのは、中立とかなんとかというのは成り立たないと思っています。そして、ある政策判断をするとすれば、それは政治的にもある種の価値判断をしていることであって、別に中立でも何でもないと私は思っているということであります。
  168. 河合常則

    委員長河合常則君) 済みません、話は佳境でございますが、時間が来ているんですけれども。そうしたら、この次にしてください、この次に。よろしいですか。
  169. 小池正勝

    ○小池正勝君 大事なお話をされましたけれども、では次回にやらせてもらいます。
  170. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 無所属の糸数です。  前回に引き続き、裏下りの問題についてお伺いいたします。  仙谷大臣は、裏下りをなくすにはその事例を調査、勧告していくことを繰り返し、そのことによる国民の認識と公務員の自覚こそが重要だと、その趣旨の答弁をされました。  そこでお伺いいたします。その裏下りをなくす役割を担う再就職等監視・適正化委員会の権限ですが、再就職等監視・適正化委員会は裏下り事例のその監視を行うためにどのような権限を持っているのでしょうか。衆議院委員会におきまして、再就職等監視・適正化委員会は、証人喚問、書類の提出要求、そして調査対象である役職員への質問、立入検査といった調査権限を持っているといった内容の答弁をされていらっしゃいますが、この点について御確認をお伺いいたします。
  171. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 仙谷大臣への質問なんですけれども、確認ということで、私、大島の方から確認をさせてください。  再就職等監視・適正化委員会は、再就職等規制違反行為の調査のために、必要な場合には民間の方も対象となり得る書類の提出要求権や証人喚問の権限などが認められております。これに対して虚偽の陳述や正当な理由のない提出拒否等を行った場合については刑事罰、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金が措置をされております。  このように、事実関係を解明するため、必要な書類や証言を確保するための間接的強制力を持った調査権限を活用しつつ、規制違反の疑いのある事案の事実関係の解明を行っていくこととなります。
  172. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次いで、再就職等監視・適正化委員会の監視体制についてお伺いいたします。  再就職等監視・適正化委員会は、証人喚問、書類の提出要求、そして調査対象の役職員への質問、立入検査等の調査権限を用いて監視を行うということになります。再就職等監視・適正化委員会がこのような権限を用いて適切に監視を行うことができれば、裏下り問題の解決も図ることができるのではないかというふうに考えます。  しかし、本当に再就職等監視・適正化委員会に裏下りの監視が可能なのか、疑問がございます。本法案が成立し施行されれば、天下りあっせんが全面的に禁止されます。それに伴い、天下りのその裏ルートである裏下りの件数が増加することは容易に想像ができますが、また、再就職等監視・適正化委員会による監視の目をくぐるため、手口の巧妙化も予想されます。  前回の質問では再就職等監視・適正化委員会の規模について伺いましたが、この人員で裏下りを含めた再就職等規制違反の行為の監視を行うことが本当にできるのかどうか、大臣の御見解を伺います。
  173. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) この再就職等監視・適正化委員会自身は、監察官というのが常勤で一人いらっしゃいますし、事務局の体制を、これを増員をいたしております。体制強化を図っております。  我々は、この再就職等監視・適正化委員会自身の委員の任命権あるいは監察官の任命権を現時点で持っていないわけでありますが、これは官房長官人事だということになろうかと思いますけれども、そこにはこういうプロフェッショナルをちゃんと配置した方がいいですよということは、これからもし法案が成立した場合には進言をするつもりでございます。  調査のプロフェッショナルを数多くそこに配置するというふうなことを通じて、あとは、これは今日も問題になりましたが、公益通報的な通報というふうな事実関係の通報等が必要です。それから、国民の皆さん方も、余り何でもかんでも告発みたいなことというのはそんなにいいことなのかどうなのかというのはもう一つ問題でありますが、しかしこの再就職、要するに裏下りとか言われるものについては、やっぱり現場からの声とか、あるいはそこに出入りする業者さんといいましょうか、そういう人の声が寄せられることが端緒になって、そして調査権を発動すると、こういう仕掛けといいましょうか流れになっていくんだろうと思いますので、これは是非そういうことの情報提供が必要だと思います。  幸い、昨日ですか、のテレビを拝見しておりましても、公益法人改革等々の問題について事業仕分が行われて、ここでの、ある種の天下りといいましょうか指定席に行かれた方々のお姿も映っておりまして、やっぱり国民の関心は、ああ、そんなところにまでこういうことが行われていたのかという関心が非常に盛り上がっておりますので、そういうところからの、業界関係者とか国民お一人お一人の情報がしっかり寄せられれば、この再就職等監視・適正化委員会が厳正に厳格な監視行動を行うというふうな体制は取れると思うし、そのように私ども人事を進めていくつもりでございます。
  174. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 天下り問題を解決するためには、裏下りに対しても再就職等監視・適正化委員会の監視機能が有効に機能することが非常に重要であります。再就職等監視・適正化委員会が実効性のある機関となるように、大臣には、今御答弁もございましたけれども、人員の確保等にしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、定年まで働くことのできる環境づくりについてお伺いいたします。  民主党はマニフェストに、「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。」と明記しています。定年まで働くことができる環境づくりは、天下りの問題を解決するためには欠くことのできない非常に重要な要素であるというふうに考えます。  では、どのようにしたら定年まで働ける環境を構築していけるかということです。多くの民間企業では定年延長を機に役職定年制が導入され、取組が進んでいます。国家公務員幹部職員においても希望する全員が定年まで働くことのできる環境をつくるため様々な方法を検討してほしいというふうに思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  175. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 先ほどここでも高位スタッフの話とかが出ておりました。  これは、当然のことながら、ラインからは離れるけれどもスタッフとして残って仕事をすると。ただし、その場合の給与は、今のように右肩上がりで、一回ある職階、職級に行けば下がることはないという、こういう前提ではない給与体系をつくらないと、民間並みのようにある種の定年まで働ける、あるいはある年次以降は違う給与体系の中で働けるというふうには私はできないのではないかということも考えておりまして、そういう民間の、特に大きな会社でありますが、そういう人事体系をやはり参考にしながら、改めて定年まで働けるそういう環境整備をしなければいけないなと、そういうふうに考えているところでございます。
  176. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 天下りの問題を解決するためのその両輪となるのが、再就職等監視・適正化委員会による監視の強化と、定年まで働くことのできる環境づくりであるというふうに思います。この二つがバランスよく機能し、天下りの問題が解決できるように今後とも頑張っていただきたいということを強く要望いたします。  次に、幹部職員人事内閣一元管理についてお伺いしたいと思います。  初めにお伺いしたいのは、適格性審査についてです。この適格性審査がどういうものか余りイメージがわかないのですが、本法案では、内閣人事管理機能の強化を図るため、幹部職員人事の一元管理に関する規定として適格性審査や幹部候補者名簿、それらを創設していくということになっています。  そこで、まずその適格性審査とはどのような審査なのか、審査の内容と具体的な審査方法をお示しいただきたいと思います。
  177. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) お答えをさせていただきます。  適格性審査は、部長級以上の幹部職職務遂行する上で共通に必要とされる能力の有無を判断としておりまして、これはなかなか漠然としていると思います。漠然とこういうような考え方をしております。  この適格性審査については、例えば人事評価職務履歴等に関する書類や面接の結果等を基に、必要に応じ民間有識者等から意見等も伺いながら審査を行うことを想定しておりまして、一つ部長級以上の幹部職職務遂行する上での必要とされる能力について、人事評価あるいは職務履歴、面接を含めて、これから民間有識者の意見を伺って審査を行うことを想定をしております。  以上でございます。
  178. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、公平そして中立な審査を行うための具体的な方法についてでありますが、内閣による幹部職員人事の一元管理は、運用次第では、先ほどもありましたが、政治家による恣意的な人事になりかねないとの指摘もございます。  幹部職員人事の公正、そして中立性を確保するためにどのような仕組みで適格性審査を行うのか、改めてお聞かせください。
  179. 大島敦

    ○副大臣(大島敦君) 先生おっしゃるとおり、私もずっと勤め人をしておりまして、人事の公平性というのが大きく職員のやる気を左右するということはよく承知をしておりまして、適格性審査は、部長級幹部職職務遂行する上で必要とされる能力の有無を判断するということは、先ほど述べたとおりでございます。  この適格性審査基本的な進め方は、民間有識者の意見をこれから聞きながら行うことにしております。また、具体的な審査については、これについても先ほど述べましたように、人事評価とか職務履歴等に対する書類や面接の結果を基に、必要に応じて民間有識者等からの意見も伺って審査を行うと。これによりまして客観的かつ公正な実施の確保に努めてまいりたいと考えておりまして、この適格性審査を公平に行うことについては、今の点を留意しながら詳細な制度設計は行っていきたいと考えております。
  180. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 次に、標準職務遂行能力についてでありますが、幹部職員人事の公正そして中立性を確保するために、適格性審査において政治家の関与は排除し、民間有識者等の意見も踏まえて仕組みを整えていくということであり、この点は評価できます。  しかし、審査の仕組みが整えられても、審査の基準が明確でなければ公正中立な審査を行うことができないのではないかというふうに危惧します。  適格性審査は、幹部職に係る標準職務遂行能力の有無を判断するための審査ということになります。つまり、標準職務遂行能力が適格性審査の基準であり、公正中立な審査を行うためにはこの標準職務遂行能力を明確に定める必要があると思います。  現行の標準職務遂行能力としては、事務次官で大局的な視野と将来的な展望に立って所管の行政を推進することができる等の例が挙げられますが、今の例から分かるように、現行の標準職務遂行能力は非常に抽象的な表現で定められており、適格性審査を公平そして中立に行っていく基準になり得ないのではないかというふうに懸念いたしますが、現行よりも具体的な標準職務遂行能力を定める必要があると考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。
  181. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 大変難しい論点を御指摘をいただいております。  しかし、基準というのはこういう書き方しかできないのかなと。私はここで他との比較において、他、つまり部長級局長級、それから次官級ですか、そういう書き方で特にというのが付いてくるかどうか、著しくというのが付けるかどうかというのは、その程度の違いで部長局長と次官の違いを書き分けるというやり方ですね。これ多分、裁判でいえば、控訴理由と最高裁への上告理由の違いが、破棄されなければ著しく正義に反する場合、そういう場合と、破棄されなければという部分がないとか、まあその程度で、結局はそれはその時点での、裁判だったら裁判官、それから人事であれば、そういう基準を持ちながらもそれを判断する人のその時点での心証形成に結局はなってくる部分人事の場合でも適格性審査の場合でもあるんだろうなと思いながら、さあどこまで具体的な、何というのかしら、能力評価の基準を書けるのかということでございますが、何というかしら、具体化して、幹部の適格性審査の基準の文言というか、ですから、具体化すればするほどいいというものでもないのかなと思ったり、やっぱりもう少し、幹部と非幹部を分ける境界でありますから、何か明確に書くことができるのかなと。  そこは、現在の標準職務遂行能力ですか、これの書き方も参考にしながら、あるいは、私、いつもまあまあ良くできているなと思って見ているこの人事院がおつくりになった、これは職業公務員の育成という、公務研修・人材育成に関する研究会というのを昨年つくって昨年の二月に出された報告書ですが、裏からいうと、こういう幹部職員が必要だと、そういうものに養成をしていきたいということは人事院がお考えになって、人事院主宰の有識者の方々の報告書で出ておりますので、こういうことも参考に、改めてこの標準職務遂行能力を具体的に記述をするようにこれからの人事局担当者に我々の方から進言をするつもりでございます。
  182. 河合常則

    委員長河合常則君) 糸数慶子君、時間が来ていますから、もう一問に。よろしゅうございますか。
  183. 糸数慶子

    ○糸数慶子君 時間もありませんので、改めてまた次回にお伺いをしたいと思います。  ありがとうございました。
  184. 河合常則

    委員長河合常則君) 御苦労さまでございました。  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十分散会