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礒崎陽輔君 私は、自由民主党を代表して、
独立行政法人通則法の一部を改正する
法律案に反対する立場から討論を行います。
独立行政法人
制度は、イギリスのエージェントを参考にしてつくられた
制度だと言われています。公共的な色彩の強い事務事業であるが、必ずしも国自らが実施する必要がないものについて、法人の自律的な運営にゆだねて事務事業の効率性を確保しようとするものでした。
しかしながら、その当初の目的が十分には
理解されず様々な弊害が生じていることが自民党政権時代からも明らかにされてきたところであります。随意契約の見直し、保有資産の見直し、給与水準の適正化、ガバナンスの在り方、情報公開や監査の在り方、事業
評価の在り方、関連企業への天下りの問題など多くの課題が
指摘されてきたところであります。
そのため、自民党は
与党時代に、これらの諸問題に対応するため
独立行政法人通則法一部改正案を提出したところですが、衆参ねじれ国会の下で継続審議が繰り返され、結局廃案となりました。今国会においても、
衆議院において
政府案に対する対案を提出しましたが、
政府・民主党を始めとする
与党が修正
協議に全く耳を貸さず、原案を押し通したことは御承知のとおりであります。
民主党は、昨年の総選挙のマニフェストにおいて、独立行政法人の在り方は全廃を含めて抜本的な見直しを進めると国民に約束したところであります。ところが、鳩山政権は、発足後第一番目に国会に提出した
法律案が独立行政法人地域医療機能推進機構法案であり、新たな独立行政法人を設置する法案であるという全くの矛盾に満ちた行動を取りました。
今国会における衆参両院の
委員会審査においても、独立行政法人を一体どうするのか全く
方針を明らかにしないという奇々怪々な姿勢を取り続けています。独立行政法人の事業仕分が行われましたが、
指摘された問題点は、
制度的なものなのか運用上のものなのか、極めてあいまいなまま具体的な説明がなされていません。
今国会に一部改正法案を提出している以上、独立行政法人
制度そのものに問題があるのか、
制度全体に問題はないが個々の仕組みの改善が必要なのか、
政府としては明確に考え方を明らかにする義務があると考えますが、全くそのような姿勢は見られません。ただただ
制度をゼロベースで見直し抜本的な改革を行うと呪文のような
答弁を繰り返すばかりであり、誠意が感じられません。法案を見ても、不要になった資金を国庫へ返納することだけしか規定されていません。
政府・民主党は、あれだけかつて独立行政法人
制度を批判していながら、どうしたことでしょうか。これでは、マニフェストの実現のための財源探しのための法案だと言われても仕方ありません。地域主権推進法案に続いて、またもやシャビーな法案の提案でした。
独立行政法人の運用について様々な問題があることは与野党一致しているところです。そうであれば、謙虚な修正
議論が必要であると考えます。
衆議院の審議の際とは異なり、既に独立行政法人に対する事業仕分も完了しています。修正
協議に応じないのは全く不可解としか言いようがありません。
以上のように、この法案の審議を通じて
政府の無
責任な姿勢が明らかにされてきました。我が党は、通則法の改正案を提出する以上、独立行政法人
制度全体を通ずるしっかりとした見直しが必要であると考えます。それに対して目を覆い付け焼き刃のような
部分的な改正を行うことは、国会として無
責任であると考えます。
よって、本案には反対であることを強く主張し、討論を終わります。