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藤原良信君 御
報告をいたします。第四班でございます。
資料では六十一ページからでございますので、御参照をお願いいたします。
椎名一保議員、井上哲士議員と私、
藤原良信の三名で訪問をいたしました。
訪問先は、ブラジル、パナマ、ペルーでございます。
まず、ブラジルから申し上げます。
最初に訪れたのがアマゾンのベレンでございます。ここでは、アマゾン
地域の農業研究を行っているブラジル農牧研究公社東部アマゾン農林研究センター、それからベレン市の日系の福祉団体が運営をいたしております老人ホーム、それから河川の水銀汚染対策に取り組む国立エバンドロ・シャーガス研究所などを訪問、
視察をいたしまして、
意見交換を行いました。また、ベレン近郊でございますが、トメアスにおいて日系団体が運営いたしておりますトメアス
日本語学校及びトメアス・ニッケイ学校、日系人を
中心に運営をしておりますトメアス総合農業協同組合ジュース工場を訪問をいたしまして、
視察をいたしました。また、
意見交換も行いました。
次に、同国の首都ブラジリアを訪れまして、
日本の衛星画像を使いましてアマゾン
地域の違法伐採の
監視を行っております環境再生可能天然資源院などを訪問、
視察をいたしまして、
意見交換を行いました。また、リベイロ・ブラジル
日本友好議員連盟の副会長さん、ファラーニ国際
協力庁長官等との
意見交換も行いました。さらに、ブラジリア近郊のイパミリでは、パイネイラス入植団地を訪れ、かつて農作不適地とされましたセラードの農業
開発協力事業の
現状を
視察をいたしました。
御案内のようにブラジルは、人口一億八千万人、GDP世界第十位、豊富な鉱物資源や森林資源、世界最大の食料生産能力などを有し、二十一
世紀の超大国となる可能性を秘めている国でございます。また、百五十万人の日系人やその周辺の膨大な親日層が存在をいたしておりまして、
日本に対する高い信頼感や広範な親日感情は貴重な
外交資産であることなどからも、同国と安定した
協力関係を維持していくことは大変重要であることであります。
その中で、日系人がこれまでブラジル社会や
日本・ブラジル
関係に貢献をしてきた功績は大きいものがございます。引き続き日系人社会の
支援を通じましてブラジルを
支援していくことも大変重要なことと考えたわけであります。
トメアス総合農業協同組合は日系人を
中心に運営をされておりまして、アマゾン産の熱帯果実を原料といたしましたジュース製造
事業は同組合の
中心事業でございます。これまで工場設備等の
整備に係る
支援を行いまして、同
事業は軌道に乗りつつございます。同組合は、JICAが行う国際
協力事業に長年にわたって貢献、
協力し、
途上国の人材
育成や社会発展に尽力した個人、団体の功績をたたえますJICA理事長表彰の今年度の受賞団体になりました。これは昨年訪問したものですから、そのときの、当年度の受賞団体になりました。同団体のような日系団体を
支援することは、同団体
関係者だけではなく、間接的には日系社会や周辺住民の生活
向上にもつながるものであると考えます。
また、セラード農業
開発協力事業は、ブラジルの食料増産と
地域開発の推進、世界の食料供給の増大への貢献を行い、加えて、
日本、ブラジル両国の経済交流を促進をいたしまして、友好
関係を一層強固にすることを
目的に、一九七九年から約二十年間、
技術協力と
資金協力を組み合わせ実施をされました。現在では外延的拡大と生産性の
向上に大きく貢献をし、牧草地を含む農地面積は四千五百万ヘクタールを超え、これは
日本の農地面積の約九・七倍に相当いたします。
この
事業は
日本の
ODAの成功事例であります。しかしながら、大豆について見ますと、ブラジルは
米国と並ぶ輸出大国となりましたが、ブラジル産の
日本への
輸入量は
輸入全体の一割前後です。当初の
目的の
一つでございます両国の経済交流を促進することにはそれほど貢献をしていないようです。その原因には、
米国等の穀物メジャーが流通を押さえたことと
日本の農林水産省の国内農家保護政策が挙げられます。
日本の
食料安全保障の
観点からも進められた
事業がその点においては十分な成果を上げていないことは残念であります。
事業実施に際しましては、
我が国への裨益ということも考慮すべき重要な
観点であると考えます。
また、環境面では、アマゾンの熱帯雨林を保全するため、森林再生と農業生産を両立する森林農法とも呼ばれますアグロフォレストリーの研究
協力や、違法伐採を早期に発見するために
日本の人工衛星画像を利用するプロジェクト、水俣病の知見を生かしました河川の水銀汚染対策など、
日本の技術が役立っていることを目の当たりにいたしました。地球環境問題がますます深刻になることが予想される中で、
日本の高い技術を今後とも
ODAを通じて生かすべきであると感じた次第でございます。
パナマについて申し上げます。
調査団は、パナマ市水産市場、孤児の扶養、教育、職業訓練等を実施しておりますシウダ・デル・ニーニョ養護施設及び同国唯一の商船乗組員の養成
機関であります国際海事
大学校を訪問、
現地を
視察いたしまして、
関係者との
意見交換を行いました。また、パナマ
政府の要人では、パレーラ国会議長等との
意見交換を行いました。
国際海事
大学校への
支援は、一九九三年から七年間にわたり技術
支援及び機材供与を行ったものでございます。プロジェクト終了の後も専門家やシニアボランティアの
派遣を継続してございます。現在もシニアボランティアの方が機材の保守点検指導等を行ってございます。このような教育
機関への
支援は、ここで学ぶすべての学生に
日本の
支援を継続的に知らしめる効果的なものがあると言えるものでございます。
また、今回は
事業の進捗
状況の
関係で
視察をいたしませんでしたけれども、同国の喫緊の
課題はパナマ市及びパナマ湾浄化
事業でございます。同
事業は、
平成十九年六月に契約に調印をいたしました限度額百九十四億円の
円借款でございます。パナマ首都圏におきましては、下水施設が
整備されておらず、一日当たり三十三万立方メートルの下水が未処理のまま市街地の河川及びパナマ湾に流入し、深刻な環境汚染をもたらしております。パナマ首都圏において、初めての本格的な下水処理システムを
整備することにより、汚染が著しいパナマ市及びパナマ湾の環境を
改善し、首都圏住民の生活・衛生環境の
改善を図ることを
目的としております。同
事業が成功しますれば、パナマ湾沿岸域は新たな商業
地域や観光
地域として生まれ変わる可能性もございます。衛生
分野への
支援は、
国連が掲げておりますミレニアム
開発目標の
一つでございます安全な飲料水及び基本的な衛生施設を継続的に利用できない人の割合を二〇一五年までに半減するに合致をいたしまして、ミレニアム
開発目標の達成にも貢献することにもなります。
また、首都パナマ市の交通渋滞も深刻な問題となっております。マルティネリ政権の重要公約の
一つでございますパナマ市での新都市交通システム導入について、近々にも
決定がなされると報道されており、
我が国がどのような
協力ができるのか、今後の
課題となってございます。
ペルーについて申し上げます。
調査団は、日系団体が運営をいたしております
日本ペルー文化会館、孤児に対する衣食住サービスや教育を提供しておりますエマヌエル孤児院、周辺の
貧困者に対し良質な医療を提供しております診療所、地震、津波の防災、減災の研究を行っている国立工科
大学日本・ペルー地震防災センター及びリマ首都圏の上下水道
整備事業などを訪問をし、
視察をいたしました。
関係者との
意見交換も行いました。
また、ペルー
政府の要人でございますアルバ・カストロ国会議長、ヤマシロ会長ほかペルー
日本友好議連の
メンバー、サルミエント住宅建設上下水道
大臣、スエマツ同副
大臣、パンド国際
協力庁長官等との
意見交換も行いました。
リマ首都圏の上下水道
整備事業のうち、リマ首都圏周辺居住域の衛生
改善事業は、雨の少ない乾季の水不足や急速な低所得者層の流入による居住域の生活環境の悪化、住民の健康及び衛生状態の
改善のため、浄水場及び上下水道網の
整備を行うもので、二〇〇〇年の九月から十一年にわたりまして総額二百四十九億円の
円借款でございます。しかし、契約の後に資機材の価格の上昇や価格変動、工事量の増加等によりまして、
事業費が当初見込みより大幅に増加をいたしまして、
事業実施のために追加的な
資金手当てが必要となり、ペルー側から工事費の増加分についての追加借款の要請が出ています。
昨年の十一月に
日本で行われました
日本・ペルー首脳会談におきまして、鳩山総理から同浄水場について
円借款により
協力していく旨の表明がございましたが、
日本・ペルー間の友好
関係、経済
関係等を考えれば早急に
対応すべきものであると言えます。
また、パンド国際
協力庁長官との
意見交換におきましては、今後
日本の
支援を期待する
分野といたしまして水
分野、環境、防災等を挙げられました。今回の
調査におきまして、地震防災や生活環境
改善などの更なる
支援が必要であると感じました。
ペルーも鉱物資源や農水産物資源に富む国でございます。日系人の活躍等により親日的な国でもございます。同国の安定的な発展は伝統的に友好
関係にある
我が国にとって重要な意義がございます。同国に対し引き続き
支援を行うことは、
我が国の国益にもかなうものであると考えます。
今回訪問をいたしました三か国に限らず、中南米は鉱物資源や農水産物資源に富む国が多く、他方で、依然として
地域間格差や所得格差の問題を抱えている国も少なくございません。また、親日的な国が多いことでも知られております。
これまでの
我が国がこの
地域で行った
ODAは成果を上げてございますが、これらの国々との経済
関係を更に強化することは
日本の国益にとっても大変重要であると考えます。
ODAの供与先として、地理的に遠く、またアフリカのように喫緊の
開発課題として注目されているわけでもない中南米でございますが、格差、
貧困や環境・気候変動といった
開発課題を多く抱えてございます。さらに、資源、日系社会の存在など、
我が国にとってこれからも重要な
地域であり続けると言えると思います。
特に、先月、東京で開催されました
アジア中南米
協力フォーラムでは、岡田グリーン・イニシアティブとして、
調査団が訪問、
視察をいたしました
我が国の衛星画像を
活用した熱帯雨林の違法伐採
監視プロジェクトやアグロフォレストリーの普及
支援について、地球の肺であります森林を守る環境
協力として今後一層
取組を強化するほか、中南米諸国における
貧困、格差などの社会問題に対処するため、保健・医療、
地方開発、インフラ等に関する
支援を実施していくことが表明をされました。
貧困対策や
日本の得意
分野であります環境・気候変動
分野における
支援を積極的に行うことで、
日本とこの
地域の新たな
協力関係を築くことが期待をされていると思います。
この場をお借りいたしまして、今回の
調査におきまして御
協力いただきました
視察先、在外公館、JICA事務所等の
関係者に心から
感謝申し上げたいと思います。
それから、
委員長に最後にお願いを申し上げたいと思いますが、ただいま各班の代表から、それぞれ
ODAの政策に対する貴重な御
意見、御提言がございましたが、参議院の公式な
派遣で私どもは
視察をさせていただきました、
調査をさせていただきました。今後の
ODAの政策にどうぞ反映をさせていただきたいと思います。
よって、
外務大臣並びに
関係大臣に対しまして、大いに、ただいま申し上げました御
報告事項、その
必要性について、
委員長からどうぞ御
対応をお願いを申し上げたいと思います。御見解をいただければ有り難いと思います。
以上で
報告といたします。