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国務大臣(菅直人君) まあいろいろな
観点を言われたのであれですが、ちょっと前に、先ほどのに戻りますと、官から民というのは、一般的に言うと官の社会よりも民の社会の方がより効率的であるだろうという期待の下に、非効率な官ではなくて、同じことが民間でやれるならできるだけ民間にと、そういう
考え方は私も間違ってはいないと思います。
ただ、気を付けなければいけないのは、それじゃ本当に民間がそういう効率的で意欲的な行動を取れるのか、取っているのかということでいうと、最近の
状況は、例えば海外に対するいろいろな、例えば原発の売り込みとか鉄道の売り込みなどで、そういう問題でのリスクを取った融資を民間
金融機関に期待できるかといった場合になかなかできないと。逆に、官というか政府系
金融機関がある程度やってくれれば付いていってもいいというような、そういう
分野もあるわけでありまして、そういう点では、あくまで官から民というのは、民の方が活力があるという前提の中では私はそのとおりだと。しかし、現実になかなか現在の
状況というのはそうでない
分野もかなりあるわけでありまして、そういう点では、そういう現実の
状況の中での
判断は、単純に民であれば何でもいいということにはならないということは、これは言わざるを得ないんですね。
それから、今言われたその後のこともやや似ているんです。民間がどんどん消費し、どんどん企業が投資をしているときは、国は余り何もやらなくていいわけです。そこにはいわゆる需給のアンバランスもないわけですね、ギャップも。しかし、内需が出てこない、内需というか消費が出てこない、あるいは企業の設備投資が出てこない。金はあるけれども
お金が動かない。
デフレの原因というのは、原因、現象、いろいろな
分析の仕方はありますけれども、例えば血液はたくさんあるけれどもその回りが悪いという
状況が私は今の
日本の
状況だと思うんです。血液がないんなら、これは出血
状況ですから血液を増やさなきゃいけません。しかし、
日本は血液そのものはあるわけです。しかし、それが回らないんですね。その回し方としてどうするのか。これまでは
国債で、事実上
市場からそういう
お金を
国債で吸収して、つまり借りてきてそれを使っていたわけです、政府がですね。ある
意味でこれも強制的な使い方なんです。しかし、
国債で借りてきたのはかなりたまりましたから、今度はこちらの不安が高まっているわけです。
そういう中で、私は、じゃ使わないでいいのかと。政府が使わないでいると、民間に任せた形でいると、そこは亀井
大臣と私はかなり共通なんですが、民間に任せていてよければいいんですが、今の
状況は、任せていたんでは
お金が回らない、ますますデフレがひどくなる、
経済成長がますます下手をしたらマイナスになる、そういう
状況にある中では
財政出動は必要だと。しかし、じゃそれを借金で賄い切れない、あるいはこれ以上賄うことは逆の
意味でリスクが高まると
考えた中では、場合によっては
税制を
改正して、その中で正しい方向にそれを使うことで
経済の
成長をもたらすことが必要ではないかと。
その場合に、確かに潜在的な需要が多い介護とか保育の
分野に加えて、グリーンイノベーションという言い方をしておりますが、環境とかあるいはアジアのそういった新しい
分野にある
意味では技術や資本を投じることによって
日本の
成長につなげていくと。そういう形が必要ではないかということを申し上げているんで、そこはそんなに愛知さんが
考えておられることともそう違わないんではないかと。
後期高齢者医療の問題というのは、ま
たちょっとこれなかなかややこしい制度ですので、これを一般化して今のような問題とどうつなげて
考えていいのか分かりませんが、一般的に医療という
分野でいえば、これはなかなか厄介な問題ですよ、実は率直に申し上げて。介護とかは混合介護というのが可能です。どういうことかといえば、
お金持ちは多少高い値段でも介護施設に入ればいいわけです。医療の場合に、じゃ
お金持ちしかできない治療というものを認めていいのか悪いのかという
議論がありまして、先日、尾辻議員もそんなの絶対認めたら駄目だということを強く言われておりましたけれども、この医療の
在り方については、どちらかといえばやはり社会保険ないしは税でもってどこまできちんと見るのか。
特に後期高齢者医療の問題は、七十五歳という年齢で区分けをしたことが一種の年齢による差別につながってくる。簡単に言えば、もうあなた七十五歳まで生きたんだからそんなにたくさんの治療を受けなくてもいいんじゃないのというような扱いを、受けているとまでは言いませんが、少なくともそういう心配があるということで非常な反発があるわけでありまして、そこはそことして、もう一度制度の組み直しが必要だと、このように思っています。