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2010-04-27 第174回国会 参議院 財政金融委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年四月二十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     富岡由紀夫君      大河原雅子君     川合 孝典君      大久保潔重君     尾立 源幸君  四月二十六日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     山本 香苗君  四月二十七日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     川崎  稔君      富岡由紀夫君     姫井由美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大石 正光君     理 事                 大久保 勉君                 藤田 幸久君                 円 より子君                 愛知 治郎君                 林  芳正君     委 員                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 川上 義博君                 川崎  稔君                 自見庄三郎君                 姫井由美子君                 前田 武志君                 水戸 将史君                 峰崎 直樹君                 尾辻 秀久君                 鴻池 祥肇君                 鶴保 庸介君                 中川 雅治君                 牧野たかお君                 白浜 一良君                 山本 香苗君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     菅  直人君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        財務大臣    峰崎 直樹君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        田村 謙治君        法務大臣政務官  中村 哲治君        財務大臣政務官  古本伸一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        大嶋 健一君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       林  幸宏君        経済産業大臣官        房商務流通審議        官        瀬戸比呂志君    参考人        株式会社東京証        券取引所グルー        プ取締役代表        執行役社長    斉藤  惇君        日本郵政株式会        社専務執行役   斎尾 親徳君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、植松恵美子君、大河原雅子君、大久保潔重君及び荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として尾立源幸君、川合孝典君、富岡由紀夫君及び山本香苗君が選任されました。     ─────────────
  3. 大石正光

    委員長大石正光君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融商品取引法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣参事官林幸宏君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 大石正光

    委員長大石正光君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融商品取引法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会参考人として株式会社東京証券取引所グループ取締役代表執行役社長斉藤惇君及び日本郵政株式会社専務執行役斎尾親徳君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 大石正光

    委員長大石正光君) 金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 風間直樹

    風間直樹君 よろしくお願いします。  今日の金商法につきましては、いろいろと質疑に先立って資料等も調べてみたんですけれども、おおむね法案の内容については評価も高いように考えているところでございます。そこで、今日、昨今非常に取り上げられることの多い日本国債、この発行残高の問題等含めて、この金商法に関する質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  去年の秋以降、日本国債CDS市場において急激に価格が変動したという事実がございました。これに伴って国債金利も時には上昇した局面もあったわけですが、幸い、このところは国債市場は安定を取り戻しつつあるように思われるところであります。  金融市場の動きと日本国債信認の問題、さらに日本財政再建成長との関係についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず最初のお尋ねですが、このCDS日本国債保有リスクヘッジ商品とも位置付けられているわけですけれども、市場参加者の中には、国債そのもの保有せずにCDS投機的売買によって収益を得ると、こういうことを目的にする方もいらっしゃるわけであります。過去の急激な値動きの中には、そうした投機的な売買によるものもあるのではないかと、こういう観測も聞かれております。  そこで、今回の金商法改正によって、CDSなどのデリバティブ商品取引実態当局が詳細に把握、分析することによって、実需による売買投機的売買をある程度判別することが可能なのかどうか、この点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  9. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) お答えいたします。  今般の金商法改正におきまして、取引情報の保存、保護義務を課すわけでございまして、どのような情報報告させるかというその中身につきまして、詳細につきましては、市場透明性向上観点ですとか、あるいは国際的な議論を踏まえて今後詰めていくことになるわけですけれども、現時点では、それぞれのデリバティブ取引取引高ですとか、あるいは相手方がだれかといったような情報を取得するということを想定をしております。  そのような報告金融庁が受けて、その取引情報分析をして、必要に応じて、金融機関に対して、金融機関リスク管理体制現状ですとか、あるいは今後の改善策等を聴取をするといったような対応も必要に応じて実施をするということを想定をしているわけでございまして、今申し上げたような対応、取組を通じて、店頭デリバティブ取引に係る平時の、日ごろのモニタリングを強化をするとともに、危機のときにおきましては迅速適切な対応を図るということでございますので、そこは委員問題意識を共有しているところでございます。
  10. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございます。  次に、税制税収観点からお尋ねをしたいと思います。  このCDS市場における過去の急激な値動きですが、日本財政が果たして持続していけるのかと、こういった懸念など、国債信認低下を手掛かりとする売買によるものであったとも考えられるわけです。これに関連して、金融市場財政再建成長戦略、この二つ関心を持って見守っていると思われるわけですが、財政再建成長のいずれの観点からも、税制在り方は非常に重要だと思われます。成長を犠牲にすることなく、むしろ今後の成長に資するような税制改革在り方、それから税収の使途、こういったものが真剣に検討されることが当局には求められるわけですが、この二点についてお考えお尋ねしたいと思います。
  11. 古本伸一郎

    大臣政務官古本伸一郎君) お答えいたします。  今、成長の足を引っ張ることのないような税制をという御指摘であろうかと承りましたが、御案内のとおり、菅大臣の下、いろんな議論を進めている中で、とりわけ、これまで税は負担という受け止めがこれはある中で、やはり社会全体で分かち合う考え方、あるいは未来への投資である、あるいはそれぞれの立場あるいは所得階層に応じた言わば共益費のような概念で少し考え方を転換できないだろうかということを、今議論を中で始めているところでございます。  その意味においては、どうしても過去、消費税増税をした機会、あるいは所得税を触ったとき、そういった時々に応じまして経済が動いた足跡がございます。しかしながら、消費税議論した際にも、そういったことが果たして増税による経済への言わばマイナスインパクトであったのか、あるいはそれ以外の外部要因もあったんではなかろうか、そういったことも含めた総合的な分析を慎重に進めているところでございまして、御指摘成長の足を引っ張るような税制があっては、これはならないわけであることは間違いありません。  加えて申し上げれば、租税特別措置で、逆にこれまで自民党政権時代から、様々な産業分野政策分野租税歳出を通じてまさに成長を国家として後押しをしてきた分野もございます。こういった分野も当然に今後とも必要な分野はあろうかと承知いたしておりますので、租税歳出との関係も含めて総合的に成長を後押しできる税制考えてまいりたいと、このように思っております。
  12. 風間直樹

    風間直樹君 昨年政権交代がありまして、税制改革民主党政権の下で手掛けたわけですが、事実上、今年の税制改正民主党政権としての言わば本格的な改正になるのではないかなと思っております。この点は政務官にもいろいろ今後の税制改正に懸ける意欲もおありだと思いますが、是非とも今お話しいただいたような方向性を踏まえて、実態を伴った税制改正を目指していただきたいとお願いをするところでございます。  三点目の質問ですが、最近、幸いにしてこのCDSを含む日本国債関連市場には安定化の兆しが見られるわけです。その要因として、ギリシャのように非常に国債市場が荒れている、こういった国の動向を含むグローバルな要因、特にヨーロッパではソブリンリスク等ささやかれておりますが、こういう動向日本国債市場動向の違いの中に日本独自の要因があるのかどうかということを考えるわけですが、この点についてはお考えはいかがでございましょうか。
  13. 古本伸一郎

    大臣政務官古本伸一郎君) 今、ギリシャ状況お話がございましたが、先週末もG7がございました、G20がございました。菅大臣出席をさせていただきましたが、ギリシャについても随分議論になったことは巷間報道されているとおりでございます。  あえて我が国との違いをというお尋ねでありましたけれども、少しギリシャのいわゆるファイナンス中身について、ちょっと今つぶさに手元に持っておりませんが、少なくとも日本に関して申し上げるならば、我が国の場合は国債保有していただいておる方が、つまりは債権者が国内の方々であるということが圧倒的です、約九五%。したがいまして、国債保有状況ということを考えれば、逆に言えば外国の方が持っておられるのは五%しかないという状況でございます。  こういった状況考えながら、果たしてああいった状況が率直に言って日本において起きた場合どうなるのかというようなことの想定もこれはしていかなければならないわけでありますけれども、単純に比較できる中身ではないと、そういうふうには思っております。
  14. 風間直樹

    風間直樹君 ありがとうございました。  この金商法改正に際しましては、今日御答弁いただきました内容をまた十分踏まえて今後の対応をしていただければ有り難いと思います。  続きまして、いわゆる日米密約問題にかかわる財務省の所管の部分について質問させていただきたいと思います。  政権交代しましてからこの密約に関する調査が進んだわけですが、四月でしたでしょうか、外務省財務省、それぞれ調査結果をまとめて報告をされました。私も元々は外交安全保障専門なものですから、この間の経緯、つぶさに追ってみたんですけれども、そんな中で、四月七日の毎日新聞の朝刊に、今日お手元配付記事が掲載をされました。財務省でも外務省でもこの密約の実際の調査をどういう過程で行っていただいたのかという話は、ドキュメント風にはなかなか漏れてこないわけでございまして、そういう意味ではこの毎日新聞記事というのは非常に関心を持って読んだわけでございます。ここには古本政務官調査の模様が詳細に書かれております。  ちょうどこの記事が掲載された二日後ですか、四月の九日、東京地裁がこの沖縄密約開示訴訟について判決を出したわけであります。恐らくこの判決というのは、この密約調査を進めた外務省財務省両省にとっても一種の衝撃的な判決ではなかったかなと。私も当日の判決の詳細を報じた夕刊の報道を見まして、非常に強いショックを受けました。  そのショックは何かというと、私は、外務省あるいは財務省、それぞれの御説明を聞いて、相当この調査に御努力をされたんだなという印象を持ったわけでございます。ところが、一方で、この東京地裁判決は、文書が存在しないというその存在しない証明をしなければ、当局がこの文書がないということを証明するには至らないと、かいつまんで言うとこういう判決だったわけであります。  私、実は衆議院外務委員会で開催されましたこの密約問題にかかわる参考人招致の際、傍聴に参りました。あの日は、外務省の東郷元局長、あるいは元衆議院議員森田一さん、それから西山太吉さん、それからやはり元外務省斉藤さんですか、こういった方々四名が証人でいらっしゃったわけですけれども、とりわけ西山さんの証言に強いインパクトを受けました。  西山さんの証言内容というのは、この密約の特に財務省にかかわる部分というのは、そもそも沖縄返還アメリカに求めた際、当時佐藤政権であります、このときに当時の米国政府には明確な三つ方針があったと。この方針に基づいて日米双方の間で、財務当局の間で文書が交わされて、そしてそれが今日に至るまで日米関係の中で生きているし、また大きな影響を与えていると、こういう趣旨でありました。  その三つ内容は何かというと、まず一つは、これはいずれも米国の当時の方針でありますが、米政府占領下沖縄に投下した資本、費用、これをすべて返還に伴って日本政府から回収すると、これが第一であります。第二は、返還に伴って米国政府は一ドルたりとも新たな出費はしないと。第三は、沖縄返還後、米政府沖縄占領中に日本政府から提供されていたと同様の日本政府による駐留米軍経費負担の新たな枠組みを設けると。この三つを当時の米国政府が大方針として掲げた上で日本政府との交渉に臨んだと。この米国政府方針はそのまま日本政府によって受け入れられて、そして関連する文書が作成されたと、これが西山さんのお話趣旨でありました。  今回財務省調査をしていただいた文書というのはこの三つにかかわるものであります。この配付資料にある毎日新聞記事にもありますように、古本政務官、職員を渡米させて、そしてアメリカ公文書館資料の山から現物の文書を入手したと、相当努力痕跡がここに記されているわけでございますが、政務官にちょっと率直にお伺いしたいんですが、これだけの資料探索努力をされて、そして東京地裁ではああいった判決が出たと。この判決についてはどのような印象感想、お考えをお持ちでしょうか。
  15. 古本伸一郎

    大臣政務官古本伸一郎君) 実は、本件判決を受けて、過般、四月二十二日付けで控訴の手続をいたしてございます。したがって、引き続き公判を維持していく、係争事案だというふうに思っておりますので、裁判中身については、これは司法にゆだねたいと、こういうことでありますけれども。  国側が被告になっている事案でありますので、率直な感想をというお尋ねをいただきましたけれども、少しそこの線引きを意識した上であえて申し上げれば、先ほど委員に少し振り返っていただいたようなことはほぼ事実に近い状況ではなかろうかと思っておりますので、一口で申し上げれば、現在存在しないと、発見できなかったと申し上げた文書について開示せよというのが一審における裁判長の判示でありますので、そのことについては率直に言って厳しい判決であったと、このように受け止めております。
  16. 風間直樹

    風間直樹君 私も、この財務省調査が出た後、財務省の方にちょっと説明をお願いしまして、米側では保管されている文書内容と、それからそれに応じる形で、当時、七〇年代の日本国政府が取った米国に対する新たなこの費用負担枠組みの中でどれだけの費用が出費された、その形跡、痕跡が今日残っているのかどうか、これを確認をいたしましたが、この痕跡確認できないということでありました。  今政務官もおっしゃいましたけれども、当時こういった密約があって、そして米政府のこの三大方針に基づいて当時の日本国政府費用負担をしたという事実はやはりうかがえるだろうと私も思います。ただ、問題は、そのことの確認を今日記録された文書を通して確認できないという、この点が非常に大きな問題だというふうに思うわけであります。  もう一つの問題は、この米国政府費用をある意味相殺するために、当時、米国FRBに、日銀ですか、これが勘定を設ける形でそこに一定額の資金を預金して、その利息を日本政府は受け取らないという形をもって費用を相殺する形を取ったと。ただ、驚くべくは、時が経過し、このことの勘定を設けているという事実が大蔵省財務省の中でも十分引き継がれないままに経過をし、そして世紀の変わり目のころにようやくこの勘定の存在が発見されて、そして今回の密約調査でその事実が明らかになったと、このことも非常に大きな問題だろうというふうに思うわけでございます。  この二つのことに対して、財務省として改めて今後に向けてどういった措置をとられたのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  17. 古本伸一郎

    大臣政務官古本伸一郎君) まず、事実関係ですが、いわゆる財政密約と呼ばれるものが存在したんだろうと、これは大臣も既に会見で申し上げておるとおりでございます。その際に、少し日米費用負担が、日本側に当時占領軍であったアメリカ側から駐留経費を幾ばくか負担をするという、その三つの言わばプリンシパルのようなものでしょうか、今委員から御紹介いただきました、特に三つ目駐留経費負担ということだと思うんですけれども、そういったものを相殺をするというふうな表現をいただいたかと承知しておりますけれども、その目的でこの無利子預金を認めたということの事実、確証を得るには至っていないんです。  むしろ、この無利子預金は、当時のアメリカ上院側に残っている外交資料国防資料関係調査したところ、これは原典によればウインドフォールと書いておったかと記憶していますが、棚ぼたというんでしょうか、つまり日本側は、当時、一九七二年の五月、沖縄返還に至った際に、それまで当時の沖縄県民沖縄の地で米ドルを使っていたわけですね、通貨は。これが当時一億ドル相当ございました。これを県内五か所に分けた交換所で、新たに言わば日銀輪転機で刷った新札を自衛艦に載せて警護しながら陸揚げし、それを県内五か所で交換したわけです。ですから、言わば印刷代だけですね、シニオリティーの話です。ですから、要はこれで得たお金というのは言わば日本側棚ぼたであるというふうにアメリカ側は表現していました。これはアメリカ分析です。  片や日本も、この当時、まだその後の貿易収支考えれば外貨が必要になる、より必要になる時代ではあったとはいえ、一億ドルという大変大きなキャッシュを日銀の金庫の中に置いておくわけにはいかないという中で、どうもFRB、要するにニューヨーク連銀のいわゆる口座に預けるという判断に至ったと。そのときに、実はアメリカ側は、ニクソン・ショック後の非常にファイナンスインバランスになりつつあるときに新規で一億ドルの言わば預金を預かるということは、これは債務が発生しますので、そういったことに伴う金利を払うぐらいなら、実は原典によれば、米側に残る原典によれば、そのお札は焼却処分してもらった方がいいぐらいだという記述も残っているやに聞いております。  したがって、互いにその一億ドルの行方をどうするかというぎりぎりの議論の中で恐らく無利子で預けるということに至ったということを推察するしかない今現状なんです。ですから、経費と相殺するということについては、ちょっと説明が長くなりましたが、確証が得られているわけではないんです。  他方、ホスト・ネーション・サポート源流になったんじゃなかろうかという原告団我部先生始めいろいろ言っておられることについては、少しそういったことの端緒になったんだろうということの裏を取れるに足る一部事実も財務省の中で確認作業はしてまいりましたので、三つの原則ですか、その部分については言わば当たっているところもあるんだろうなという感想は持っております。  そういう少し整理の前提に立って、結論であります。大変長くなりました。  そもそも、一九九九年のいわゆるこの無利子預金口座を解約するに至るまで、旧大蔵省の中において関係者一同、当時そういう判断をし、言わばそういう密約があったからこそ沖縄が返ってきたのかもしれないと思っています。そういう意味では、そのことを今、数十年たった私たちが批判するつもりは財務省としてもないんです。  しかしながら、そういった約束があったということが全く引き継がれていなかったということは誠に恥ずかしいことでありますし、ましてや、その一億ドルというのは沖縄県民の持っておられたドルと交換したお金でありますので、そのことの管理という意味においては、当時の担当者がどういう経緯でそのことを後任の方に引き継ぐことをはばかったのか、あるいはそれをあえてそうしたのか、その経緯の検証には至れなかったということでありますので、もちろん金輪際そういうことがないようにすると同時に、ある政策判断をして、そのことが国益にかなうと外交判断することもあると思うんです。そのことが何年かたってその役割を終えたときには、歴史の事実としてきちんと公開されるように、公文書館への文書の引継ぎ等々も含めて、完全保管等も含め、これはきちんとしていかなければならない、そのことが私たち行政側の国民に対する最大の説明責任だというふうに思っております。
  18. 風間直樹

    風間直樹君 今、調査の中でホスト・ネーション・サポートにつながっていく源流、その痕跡と思われる部分もあったというお話でございましたが、それは具体的にどういった痕跡だったか、お尋ねをしたいと思います。
  19. 古本伸一郎

    大臣政務官古本伸一郎君) 実は、沖縄返還に伴う返還協定の第七条に三億二千万ドルを超えるお金日米間には債権債務は発生しないという、三億二千万ドル以上であるという記述がございます。これを超えたお金があったんではなかろうかというのが原告団の御指摘一つにあります。ただ、これは、そのことがあったんだろうということが裁判請求内容ではありませんので、ちょっとそこは誤解のないように。あくまでも文書を開示してほしいということが原告団の請求でありましたけれども。  そのことをきちんと整理した上で申し上げれば、実は、いわゆるホスト・ネーション・サポート源流になったんだろうということで、具体的な数字でアメリカ側に残っている資料から六千五百万ドルという数字が出てまいります。あわせて、一千万ドルという数字も出てきます。これは六千五百万ドルがリロケーション費用、基地移転等に伴う費用という記載がございます。一千万ドルは労務費相当ということで出てまいります。こちらについては見当たりませんし、当時そういう事実はなかったんです。  他方、六千五百万ドルの基地移転のリロケーションにかかわる部分で申し上げれば、実は沖縄返還後五年間にわたりましてその六千五百万ドルを日本側はこれを負担するという記述米側資料で残っています。六千五百万ドルを当時のレートで計算しますと、約二百億円になろうかと思います。ですから、一年間で約四十億円、掛ける五年間でそういう費用日本側負担をするということを、アメリカ側が議会でそれを説明しているんですね。  さて、当時の防衛庁の歳出の実は支払伝票も一切を調べました。主計に残る資料はもちろんでありますけれども、防衛省側にも協力を求め調べたところ、実はある年において約三十八億円の歳出の支払を切っている事実が判明いたしました。ただ、そのことがその六千五百万ドルと見合いで払われたかどうかの裏付けは取りようがありません。なぜならば、そういった費用は一般予算の中に入り込んでいますので、一般会計の中で三十八億円を出しているという事実は判明したんですけれども、そのことがこの言わば密約と言われている約束に基づいて支払われたお金であるということは、点と点は線で結ばれていません。ここは誤解のないように。結ばれていないんですけれども、余りにも数字が近接いたしておりますので、恐らくこの数字がそういったものの一つにはなるんだろうというふうに理解をできないことはないと。  こういう整理の中で、少し菅大臣の談話の中でも、秘められた約束のいわゆる一つの中にこういったこともあったんだろうということで整理をいたしております。
  20. 風間直樹

    風間直樹君 克明な御答弁、ありがとうございます。  私もこの衆議院外務委員会参考人聴取を聞きまして、いわゆる西山事件以降、四十年近い年月が経過をしておりますが、外務委員会証言に立たれた四人の証人それぞれの胸の中に非常に重い感情が去来していることを痛切に感じたわけでございます。西山さんにせよ、琉球大の我部教授にせよ、この間の事情、今政務官から御答弁をいただいた部分、非常に克明に米側資料を調べていらっしゃって、それに基づいて西山さんも我部さんもそれぞれの推論をされております。私も政務官と同じ立場でして、当時沖縄返還に際しては、やはりこれは戦争に負けて取られた領土でありますから、それを平和的な手段で日本に復帰させるためにはやはり相当の交渉が必要だったんだろうと、その過程で派生してきた様々なものが密約という形になったんだという理解をしております。  たしか、当時佐藤政権で外務大臣をお務めになっていたのが愛知先生のおじいさんでいらっしゃったと思いますし、同じく佐藤政権財務大臣で、その後でしょうか、幹事長をお務めになったのが福田赳夫元総理でいらっしゃると思います。西山さんの書かれたものなどを拝見しますと、ポスト佐藤の政局の中で、非常にそういったポスト佐藤を目指す立場の方々にこの沖縄返還問題でのいろいろな思いもあり、それがこうした密約にも影響したという趣旨のことも書かれていらっしゃいます。  今回、東京地裁でこういう判決が出まして、西山さんを始め原告の皆さんの思いの一端が形になり解消されたわけでございますが、同時に、財務省においてこの文書調査に当たられた菅大臣古本政務官の御努力も私は非常に貴いものだというふうに思っております。ここで、政務官資料探査に当たられたことに心から敬意を表しまして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  21. 大久保勉

    大久保勉君 民主党の大久保勉です。  まず、亀井金融大臣に質問します。  店頭デリバティブ取引等の決済の安定性、透明性の向上のため、清算機関の利用の義務付けが今回の法律改正中身であります。しかし、日本CDS市場規模は全世界の中で約二%、またCDS等の店頭デリバティブ市場の育成や日本市場競争力の強化も考えるべきではないかと思います。また、金利スワップについては国内清算機関と外国清算機関のリンクによる清算が日本市場競争力の強化にもつながると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
  22. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) デリバティブ商品については、これを完璧に野放しの状態にしておくということは、我が国金融全体に対しても場合によっては不測の事態が生ずる危険性もあるわけでございまして、これについて一定の、金融庁としてそれをきっちりと監督指導できる、そういう状況をつくるということが必要であると考えてこの度の法律になったわけでありますけれども、これの難しさは、議員も御認識と思いますけれども、国際的な関係、これを抜きにして日本独自の規制その他を強化するわけにもいかない面もあるわけでありますので、そういう辺りをにらみながら、実効的なやり方はないかということでこの度の処置をとったわけでございます。  清算機関を設置をすることによって、このデリバティブ取引が今まで以上に安定的にこれが推移をしていく、国際社会との関係においてもうまく機能していくだろうと、このように考えておるわけであります。
  23. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。透明なマーケットをつくっていく、規制をすることも非常に重要ですが、やはり産業として育成していく、こういった観点からも必要じゃないかということで、次の質問に参ります。  金融庁は、これまで金融サービス立国論を主張されました。特に、前の山本金融担当大臣がかなり中心になりまして金融サービス立国論を展開されたと思いますが、亀井大臣になってどうもこの看板は下ろしたんじゃないかと、そういう批判もありますが、いかがでしょうか。
  24. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、我が国が、まあ金融立国という中身がどうなのかという議論はありますが、我が国がいわゆる金融によって富を得ていくという、そういうわけには私はやはりいかないだろうと。日本は基本的には物づくり国家であると、このように考えておるわけでありますけれども、やはり金融の果たす役割というのは極めて大きいものがあり、また金融取引の中で富が生まれていくという現実も否定もできないわけでありまして、それについてやはりきっちりとそういう中で日本が果実を得ていくことができれば私はそれもいいと。しかし、アメリカのようなああいう形で金融部門だけが肥大化して、それ自体が富を追求していくということが実体経済にまで悪い影響を与えるような事態が到来することは避けなければならない、このように考えております。
  25. 大久保勉

    大久保勉君 分かりました。是非、金融担当大臣ということで、中小企業担当大臣とか物づくり担当大臣ではなくて金融担当大臣ということで、しっかり大臣の、アメリカとは違う、日本型の金融立国若しくは金融システムをつくってください。やはり、かなり中小企業からも評価が高いですし、先日は信用金庫等に行きましたところ、金融検査に関しても非常に現実的になってきたと。亀井大臣に対する評価は高いんです。ですから、是非、金融もすばらしくするということでお願いします。  続きまして、斉藤東証社長に来てもらいました。  東証は、欧米の取引所のみならず、アジアの取引所と競争しております。このままであれば、ニューヨーク、ロンドン、そしてシンガポール、香港、上海に大きく水を空けられるんじゃないかと、こういった危機感もあります。実は、今日たまたま読売新聞の一面を見ていましたら、堺屋太一さんの寄稿がありまして、日本が衰退する、中国に比べて相当衰退してくると。その中で、東証の取引も数分の一だと、こういった記述がありました。  こういった観点から、是非東証を強くしてもらいたいと思いますが、決意及びこういったことに関する御所見をお聞きしたいと思います。
  26. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) ありがとうございます。  先生おっしゃるとおり、特に、近ごろ中国を中心とするアジアの取引所の成長というのは非常に目をみはるものがありまして、平成元年、中国の三市場の時価総額を足したものは七兆円ぐらいで、東証は六百三十兆円ありました。今、この中国三市場を足しますと時価総額五百三十兆円になりまして、東証は三百兆円ということであります。この二十年間で大きな逆転現象が起きているということも否めないと思います。東証としては、当然ただ眺めているだけじゃなくて、幾つかの対策を打っております。  一つは、近ごろ発表になりましたように、一月四日からアローヘッドという新しいハイ・フリークエンシー・トレーディングのシステムを導入いたしまして、世界的な金を東京へ持ってくる準備をいたしました。加えて、オプションのシステムを新しく変えました。二つ目は、新興市場がやはりリスクマネーを取る市場というもので、提供してあげなきゃいけないという考えでロンドン・ストック・エクスチェンジと共同でAIMという市場をつくりまして、できれば将来、これはアジアの債券も上場できないかなと思っております。三番目は、当然、我々の市場の質の高さというものをアジアで訴えたいと。そういう意味では、コーポレートガバナンスの非常にしっかりした市場、ルールの透明性の非常に高い市場ということをつくろうとしております。  諸外国、非常に国を挙げてアジアの市場と一緒に繁栄しようということで、韓国辺りですと、韓国政府と取引所が一緒になりましてカンボジアに取引所を、韓国側が四五を持ってカンボジア側が五五を持つというような共同市場の育成だとか、そういうことも進んでおります。国に頼るわけではありませんけれども、やはり今までの不祥事とともに規制を強化してきたために、市場に新規上場等々が入りにくくなっているという面もありますので、この入口を少し緩和するということを一緒に、行政当局とも一緒にやらせていただきたいと思っております。  二点目は、やはり税等々の優遇策を打たないと、まともに香港、シンガポール、台湾も含め韓国と戦っておりますので、やはり世界の金、あるいは日本の企業が使いやすいように税等々の対策を御配慮いただければというふうに思っております。
  27. 大久保勉

    大久保勉君 斉藤社長になりまして、大分東証が変わったなという実感があります。大蔵省の子会社とか、大蔵省よりも役所的、役所よりも役所的、こういった批判がありましたが、これは質問通告していませんが、斉藤社長、自分が社長になって大分変わってきたよと、こういったことがありましたら、是非事例を言ってください。
  28. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 別に私だけで何もできるわけじゃありませんけれども、やはり各世界の取引所の社長というのは、いいか悪いかは別としまして、証券会社のトレーダー上がりがほとんどであります。つまり、全く利益水準をベースとして考えている。東証は、我々は自主規制機関も持っておりまして、これは世界で非常にユニークな存在でありますので、私は、世界の中では非常にバランスの取れた、レギュレーションと利益追求、両方をバランスよくやっている市場だと思っておりますので、この道で進めていきたいと思っております。
  29. 大久保勉

    大久保勉君 今日は菅財務大臣がいらしていませんが、是非、斉藤さんがもし退任されることがありましたら、次の社長さんがいわゆる役所から天下りすることがないようにくぎを刺したいと思いますが、議事録だけにしておきます。  次に、中村法務大臣政務官にいらしてもらいましたが、質問します。  千葉法務大臣が公開会社法制定に向けまして法制審に諮問しました。この法制審議会会社法制部会ではどのような点で議論をしているのか、若しくはどのような点で議論をしようとするのか、この点に関して質問したいと思います。
  30. 中村哲治

    大臣政務官(中村哲治君) 千葉法務大臣は、二月二十四日に開催された法制審議会において、会社法制の見直しに向けて諮問をいたしました。その内容である諮問第九十一号を読ませていただきます。「会社法制について、会社が社会的、経済的に重要な役割を果たしていることに照らして会社を取り巻く幅広い利害関係者からの一層の信頼を確保する観点から、企業統治の在り方や親子会社に関する規律等を見直す必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」。  したがって、法制審議会会社法制部会においては、企業統治の在り方や親子会社に関する規律の見直しが議論の中心になるものと考えております。
  31. 大久保勉

    大久保勉君 続きまして、法制審の委員会のメンバーに関して質問したいと思います。実務関係者、特に会社の利益関係者、ステークホルダー等網羅されているのか質問したいと思います。  また、機関投資家、個人投資家、証券会社、取引所、公認会計士、社外取締役の代表、こういった人が入って実務的な議論をしないと、会社法法制はいわゆる仏作って魂入れずと、こういうふうになってしまうと思います。この点に関してどういう改善がなされているんでしょうか。特に、法制審といいますのは東大の偉い学者が議論していたという伝統がありますが、この点に関してどういう改善がなされていますか。
  32. 中村哲治

    大臣政務官(中村哲治君) 会社は社会的、経済的に重要な役割を果たしているので、会社法制は会社を取り巻く幅広い利害関係者からの信頼を確保することが重要であるというのは、先ほど諮問の内容でお示しさせていただいたとおりでございます。  大久保委員が御指摘のあった問題意識は、法務省の政務三役、共有をしております。そのため、会社法制部会のメンバーについても、学界だけではなく、経済界、労働界、市場開設者、投資家等の幅広い層の方々が就任されることとなっております。したがって、各層の意見を幅広く聴取できる構成になっているものと考えております。
  33. 大久保勉

    大久保勉君 是非いろんな方の意見、特にポイントは、日本の会社は世界で活躍する、またそれを法制として応援する、そのことが日本成長戦略になると、こういった観点議論してもらえたら助かると思います。  続きまして、田村政務官に質問したいと思いますが、この公開会社法は金融庁にも関係すると思います。特に、今回の審議しております金融商品取引法、これにも関連すると思いますので質問しますが、金融庁では公開会社法に向けてどのような取組を現在しているのか質問します。
  34. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) お答えいたします。  金融庁としましても、上場会社等における健全なガバナンスを確保するということにつきましては、投資者保護あるいは市場の発展という観点からも大変重視をしているところでございまして、今までも様々な努力をしておりますけれども、今般のこの法制審の会社法制部会でも議論が始まるということに合わせまして、金融庁内でも議論を進めているところでございます。  例えば、コーポレート・ガバナンス連絡会議というものを設けまして、市場関係者、有識者の方々に集まっていただいて意見交換をすると、そういう場も設けまして、つい五日前、二十二日に第一回の会合を開催をいたしました。金融庁内でもしっかりと議論するとともに、大久保先生のような専門家の方々からもしっかりと御意見を伺って、その上で法制審でも積極的に意見を発していきたいと考えております。
  35. 大久保勉

    大久保勉君 ここで法務省と金融庁にそれぞれ質問しましたが、この公開会社法といいますのは非常に広い概念ですから、いわゆる縦割りではなかなかうまくいかないと、横ぐしを刺していく必要があると思います。  実は、三月十日に私は本会議で質問しまして、鳩山首相から、関係箇所がしっかりと連携を取ること、決して縦割りにならないことが大事だという答弁がありました。  そこで、現在、法務省及び金融庁はどのような連携を取っているのか、中村法務大臣政務官に質問したいと思います。
  36. 中村哲治

    大臣政務官(中村哲治君) 金融庁は株式の投資家の保護を図ることを重要な任務の一つとしており、会社法制に関係していると認識をしております。  先ほど田村政務官からおっしゃいましたように、金融庁でコーポレート・ガバナンス連絡会議というものをつくっていただいております。そこでの議論を基にして、金融庁担当者が法制審議会の会社法制部会にメンバーとして参加をし、そこでの議論も十分に反映していただくことになっていると認識をしておりますので、この法制審議会の部会においても審議、調査において説明、意見を述べる機会が保障されていて、十分な審議ができると考えております。
  37. 大久保勉

    大久保勉君 亀井金融大臣に質問したいと思いますが、この点、金融庁はどのようなことをやっているのか。つまり、公開会社法を縦割りにさせないということで金融庁としてどういうふうな積極的なことをやっているのか、質問したいと思います。
  38. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 議員御指摘のように、この会社法につきましては、金融庁といたしましてこれ無関心でおるわけにもいきませんし、むしろ、会社法の整備が金融行政上極めて重要だと考えております。  会社の存在というのは、議員が先ほど来御指摘のように、まさに社会的な存在でもあり、我が国経済にとって個々の会社の運営がどうなされておるかということが大変重要でありますので、金融庁の立場から、その会社経営の透明性、経理のある面での透明性、そういうものが確保されていくような、その視点からの法制審に対して今後も積極的な意見を述べていきたいと思いますので、また議員からもいろいろと御指導を賜りたいと、このように思います。
  39. 大久保勉

    大久保勉君 亀井大臣の発信力に大変期待しておりますから、是非ぐいぐいと引っ張ってください。  続きまして、斉藤東証社長に質問しますが、公開会社法というのは、一つ新しい概念を入れてほしいんです。つまり、日本の企業が世界で活躍できる。下手をしましたら、日本の企業は日本にいたらどうしても足かせがあって、例えばニューヨーク上場若しくは上海に行くと、本店も場合によってはニューヨークとか若しくは中国に行くと、こういったことになりましたら、日本自身がしぼんでいきます。  そういった観点から、是非優秀な企業は東証で上場すると、東証にいたらこれだけいいことがあると。こういったことを踏まえまして、東証の公開会社法に対する考え方又は東証の上場規則等に関しましても御意見がありましたら紹介してください。
  40. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 株主の企業価値向上を求めるそのエネルギーといいますか、そういう意欲を使って経済成長させる、そして国家国民の富をつくるというのが一つのサイクルだと思いますけれども、それがスムースに動くためにはコーポレートガバナンスというものが成長のキー、ドライバーになるというふうに思っております。  もう御案内のとおり、今、日本、東証の取引の七〇%近くが外国人によって取引されておりますので、当然、こういうルールというものは国際的なガバナンスルールにならなければいけないというふうに思っております。もちろん、株主主義といいますか、いわゆるシェアホルダー主義というのとステークホルダーとのバランスが大事かと思いまして、株主主義だけを、このグリーディーな株主の力だけを伸ばしても余り国家国民のためにはならない面もあるということで、市場の自由性とそれから秩序、倫理というもののバランスを求めた新しい会社法というものができたらいいのではないかというふうに考えております。
  41. 大久保勉

    大久保勉君 更に斉藤社長に質問したいと思いますが、東証は最近、独立役員という制度を導入しています。これは、一名独立役員を入れるということで、取締役か若しくは監査役どちらでもいいということなんですが、一名で十分なんでしょうか。場合によってはもっと多く、三分の一とか、こういう形で人数を増やしていかないと、一名では多勢に無勢でほとんど機能しないという意見もありますが、いかがでしょう。
  42. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生御案内のように、一名の、なおかつ独立役員と、取締役じゃなくて独立役員ということで決着しました。これは、昨年、役所と財界とのかなり激しいやり取りの中で着地点が独立役員一名、最低一名ということになりました。もちろん、このポストは非常に重要でありまして、我々が会社に求めていますのは少数株主を代表する独立役員ということを言っておりますので、もしこの指名された方がそういう行動を取らなかった場合、当然、株主総会において株主に厳しい糾弾を受けるだろうというふうに思っております。  そういうことでいくと、一人の独立役員でもある程度の効果はあると思いますが、先生御指摘のとおり、できればこれは監査役だけではなくて取締役も含めていくべきでしょうし、数も複数、三分の一ぐらいまではぎりぎりおられた方がやはりガバナンスとしての機能は高まるのではないかというふうに思っております。
  43. 大久保勉

    大久保勉君 ちょっと飛ばしまして、次は日本航空の問題に関して質問したいと思います。  こちらは配付資料なんですが、日本航空の純資産額の推移ということで、国土交通省からいただいた資料を見ながら質問します。  日本航空の純資産が会社更生法適用後、二〇〇九年三月決算期から約一兆円減少しております。総資産が一兆七千五百億、総売上げが一兆九千億の企業規模からすると、一兆円減価するというのは余りにも大きいと思います。少なくとも五千億円の価値の株式が紙くずになっています。これは、東証に上場していたものが五千億なくなったということです。  こういったことが繰り返されましたら、特に個人投資家、海外の投資家を中心に日本の株式市場の質が二流であるという国際的な烙印が押されるんじゃないかと私は懸念しておりますが、こういった危機感は斉藤社長はないんでしょうか。
  44. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 当然、こういう種類の窮境に陥るような会社というのはできるだけ少ない方がいいということでありますが、このJALのケースを見ますと、私も産業再生機構で支援をずっとやってきた経験もありますが、民事再生法ですとかそういうところへ持っていったときの資産の評価というのは時価会計の導入ですとか年金給付の現実の姿を出すということで、たしかこの一兆円近い差額のうち退職給付金の未払分というか未認識分を認識したという分が四千億ぐらいあったということと、飛んでいた飛行機あるいは退役する飛行機の評価損というのをあえて出したということで、この二つ足しただけで大体八千五百億ぐらいになりますので、普通の会計、いわゆるゴーイングコンサーンバリューの会計では、今、日本ではこういうものは査定をしない慣習がありますので、必ずしも何か慣習に違反したとかそういうことではなくて、使った会計のルールが少し違っているということによってこの差は出たんだと理解しております。
  45. 大久保勉

    大久保勉君 ということは、日本の会計ルールがこういったことを起こす原因になっているから日本金融制度がおかしいと、いわゆる金融庁の方がおかしいんじゃないかということで、亀井大臣、いかが思われますか。
  46. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 会計基準については、議員御承知のように、これは別に一律にそれを強制しておるわけでもございませんし、これ任意にそれぞれ各企業が採用もしておるわけでありますが、最近、国際会計基準を採用しておる大企業も特に国際取引の多いところについては多いわけでありますけれども、将来的にはこの国際的なそういう会計基準、アメリカと欧州とも違うわけでありますけれども、日本としてもそういうものに堪えるようなそうした会計基準、また企業の会計の実態ですね、実態をきちっと反映できるような会計基準にこれをしていくという必要が私はあると思います。  ただ単に国際会計基準を採用するとか、そういう他動的なといいますか、国際的な知恵を借りるだけじゃなくて、我が国の企業経営は我が国なりのやはり風土の中で経営をして、いろんな商慣行、いろんなものもあるわけでありますから、そういう中で本当の健全性をその企業が維持しておるかどうかがきっちりと測れるような企業会計の在り方と、こういうものを金融庁としては追求をしていきたいと、このように考えております。
  47. 大久保勉

    大久保勉君 精神は分かりましたが、非常に抽象的なので。  じゃ、斉藤社長に質問しますが、日本航空の場合は会計処理上問題なかったということなので。ところが、ということは、一兆円ですね、継続企業が急に破綻したら一兆円資産がなくなるのは普通であると。東証で数千の上場企業がありますが、こういったことは頻繁に起こっていて、それが日本の東証の上場企業の質という理解でよろしいですか。  全く会計制度、今の会計制度にのっとっているから日本航空は問題ないと、五千億も、場合によっては一兆円も時価総額が吹っ飛んでしまっても、それは東証の責任じゃないということですか。
  48. 斉藤惇

    参考人斉藤惇君) 先生御専門でよく御理解いただいていると思いますけれども、日本というか世界で一番話題になりますのは、退職給付債務確認というものが問題になります。  アメリカの企業であろうがどこの企業であろうが、全社員がある日一斉に退職した場合に積み重ねていた給付金でどれだけ賄えるのかというこれは問題でありまして、普通は退職する人は全社員の例えば数%ということで、退職給付の準備というのはそういうことでやっております。  ところが、これはアメリカでもどこでも、再生に入るだとか倒産という状況になりましたときには、これを一括して幾ら不足しているんだということを計算して出すためにこういうことができていると。これは何も東証のルールとか日本だけの問題でありませんで、これはもう世界的な同じ問題であります。この種のものは一時に一斉に発生するか徐々に発生するかという会計処理の問題であります。
  49. 大久保勉

    大久保勉君 実際は必ずしもそうじゃないと思います。  つまり、こういった債務の積立不足を開示する、若しくはその問題に関して十年間でそれを手当てをするとか、こういった制度ができていますが、日本の場合は不十分であるし、また金額の問題もあります。つまり、売上げが一兆七千億の会社で三千億もこういったことを許しているというのは私はどうかなと思いますし、この辺りは是非東証としても検討してもらいたいと思います。  更に大きな問題としましては、機材評価損です。元々機材の簿価が七千億から八千億というところに対して、急に五千億損失が出ると。これは五〇%ルールとか強制減価とかそういったこともなされてないし、極めておかしいと私は思いますが、これは田村政務官確認しますが、機材評価損五千億円の背景にはリース会計の不備があるんじゃないかと度々指摘されています。巨額の債務や評価損を隠すことが可能な日本のリース会計制度に不備があるのではないかと思います。特に、飛行機におけるリースに関してオフバランスになっていると、そういったことに対して何度も何度も専門家から指摘されているんです。  それで、これは会計上問題ないというのは粉飾決算を国がオーソライズする、承認していることじゃないですか、質問します。
  50. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) お答えいたします。  会計基準の策定はASBJが行っているわけでありますけれども、もう委員十分御案内と思いますが、二〇〇八年の四月一日以降に開始をする事業年度におきましては、オフバランス処理をすることをもう禁止をしてすべてオンバランス処理によるということにしたわけでありますけれども。  ただ、その二〇〇八年四月一日以前に契約をしていた所有権が移転しないファイナンスリースについては引き続きオフバランス処理をすることが認められているということではありますけれども、ただ、そのオフバランスの所有権が移転しないファイナンスリースにつきましても減損が生じた場合には減損処理が必要というふうにされておりますので、制度自体に不備があるというふうには考えておりません。
  51. 大久保勉

    大久保勉君 今回の金商法改正といいますのは、読み上げますよ、これは、透明な市場をつくるとか公正な市場をつくる、こういった観点から考えますと、事実だけ申し上げます、つまり、去年の三月の段階で二千億しか資産超過がなかった会社が一方で五千億の評価損を機材で持っていたと、これは健全と思いますか。それを表に開示されておりませんから、個人投資家はどうやってこんなことを知るんです。  つまり、これはもうばくちと一緒じゃないですか。たまたま日本航空の株を買った、あなたは損をしても当たり前と、運が悪かったんですねと、こういう賭博市場日本につくろうとしているんですか。田村政務官に質問します。
  52. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) 個別の事案についての評価自体は差し控えたいと思いますけれども、決して賭博市場をつくろうという意図はございませんし、先ほど基本的には不備がないというふうに考えているとは申し上げましたけれども、御専門になられる委員はもちろんのこと、国際会計基準の議論ですとか、それを踏まえて直すべきところはしっかりと直していきたいと考えております。
  53. 大久保勉

    大久保勉君 直すべきところは直すということは、つまり、だれが直すんですか、どうやって調べるんですか、これは証券等監視委員会に調べさせるんですか、質問します。田村政務官
  54. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) 失礼いたしました。  基本的に、先ほど申し上げましたように、会計基準を作りますのはASBJでございますので、金融庁が主体的にという話ではないわけでありますけれども、その問題点は指摘をしなければいけないと。  証券監視委員会に調べさせるかどうかというのは、個別の件については基本的にコメントは差し控えますけれども、そういう問題、そこは委員の意見をしっかりと踏まえて、今後もいろんな意味対応させていただきたいと思います。
  55. 大久保勉

    大久保勉君 与党質問ということでこの辺にしまして、では次に、このような粉飾の疑いの決算を承認した新日本監査法人の責任はないのか。特に、昨年の三月の有価証券報告書には事業継続に関する重大な懸念に対する記載もないんです。本来、五千億も評価損が機材にあると、さらには三千億のいわゆる退職債務積立不足がありましたら、事業に対する懸念があるはずなんですよね。  こういったことを会計法人に許した、会計法人を検査するのは金融庁ですね、このことに関して田村政務官に質問します。
  56. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) あくまで一般論でありますけれども、仮に開示企業が虚偽のある財務諸表を提出したことが明らかになって、さらに、監査人が故意又は過失によって虚偽のある財務書類を虚偽のないものと証明したことが明らかになった場合には当該監査人についても刑事、民事、行政上の責任を負うこととされているわけでございまして、ただ、本件、この個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、三月にも委員が大塚副大臣に御質問をなさって、副大臣も答えておりますけれども、基本的に、とにかく一般論としては投資家の疑義が生じることがあってはならないという観点から金融庁も適切に対応していきたいと考えています。
  57. 大久保勉

    大久保勉君 もうそろそろ時間が参りましたのでこれで終わりますが、金融商品取引法、これは資本市場をつかさどる法律でありますから、きっちり、今日議論した問題も踏まえまして、次の改正のときには是非カバーしてもらいたいなと思います。是非よろしくお願いします。このことを申し上げまして、終わります。
  58. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。民主党さんから拍手をいただきまして、済みません。よろしくお願いいたします。  先日の、今日は、委員会に引き続きまして、デフレについて大きな議論をしたいというふうに思いまして、菅大臣にもお越しをいただきました。  私自身、先日、八年前の議論を引っ張り出してきまして、デフレの主要な三要素ということで、内外価格差の問題、ニーズ、社会構造の変化の問題、あとは金融の問題ということで取り上げさせていただきましたが、特に、冒頭ですけれども、金融の問題について、このデフレの要因である金融問題を解決するために健全な金融市場をつくっていくということは必要不可欠だというふうに思っております。  その点でいいますと、今回の金商法の一部を改正する法律案なんですが、店頭デリバティブ取引等について清算機関の利用を義務付けることや、取引情報保存、報告の制度を創設、また、金融商品取引業者に対して連結規制及び監督を導入、連結財務健全性基準を課すための措置を講ずる等々、投資家保護を確保するため、また、金融システムの安定性、透明性の向上を図っていくと。これは、健全な金融市場を形成するためという目的でこのような措置を行うという認識を持っておるんですが、確認のために、まず亀井大臣にお伺いしたいと思います。その目的でよろしいんでしょうか。
  59. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 現下のデフレギャップを脱出する財政金融政策を実行していく上におきましても、やはり金融の安定、健全化というのは、これは前提でありますので、それについてきちっとした制度整備をしていきたい、その一環としてこの度法律を提案をいたしました。
  60. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  その点におきまして方向性は正しいと思っておりますし、だからこそ、我々も今回の改正に関して言えば賛成をしていきたいというふうに考えております。  では、それ以外に金融についてもいろいろ質問させていただきたかったんですが、特に大塚副大臣にも来ていただいて、大臣と質問をさせていただきたかったんですが、今日はちょっと日程の関係上来られないということで、後日また改めてその点は質問したいと思います。  では、デフレ対策についてなんですけれども、前向きな議論をしていきたいというふうに思いますが、まず菅大臣、先日の菅大臣の御答弁で、このデフレの要因に対する認識をお伺いをしたんですが、いろんな原因というのを聞いて研究はしているけれども、やはり一番の要因は土地バブルとその崩壊の影響が今日まで残っているだろうという御答弁をいただきましたが、ちょっと残念だなと思うとともに、これじゃちょっと心もとないなというふうに思いますので、しっかりと指摘をさせていただきたいと思います。  私の認識からすると、直接的なバブルの影響というのは、不良債権処理等々含めてその処理はもう既に終了しているというふうに考えているのが一つと、そもそも、この点が経済を冷え込まさせた、まあデフレの要因ということはあるんだろうけれども、解決方法には決してならないというのがもう一つ考え方であります。というのも、そもそもバブルを生んでしまったこと自体がやはりこれは問題だったのであって、それがはじけて元の形に戻ったというのは、これは必然でもありますし、その点がこれから対策を立てる上で主要な政策とはなり得ないというふうに私は考えております、一部にはなりますけれども。  ちなみに、我々の政権の下でも、その点をしっかりと考えた上で、実はもう様々な手を打ってきたんです。というのも、例えば不動産投資信託を活用するであるとか、不動産の流動性を確保するために様々な税制、法制を整備するとか、そういったことをやって、事実、数年前にミニバブルのような形で東京の一部、特に東京の、首都圏の一部でありますけれども功を奏したというのもありますが、結局、リーマン・ショック等で吹き飛んでしまった。この点については、やはりそういった過去の負の遺産の部分だけに着目しては何にも解決にならないと私は思うんですが、菅大臣の認識をまず聞かせていただきたいと思います。
  61. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 言うまでもありませんが、デフレというのは物価が継続して下落している状態を言うというふうに一般に言われておるわけです。もちろん、その原因についてはいろいろな要素が重なっていることは事実です。  私が申し上げたのは、先進国の中でこれほど、十年あるいは十年以上にわたってデフレないしはデフレ状況から脱却できていない先進国はほかに見当たりません。それで、そのいろいろ原因をいろんな方に聞くと、確かにいろんな原因は指摘をされるんですが、なぜ他の先進国ではそうなっていないのに日本だけがこれだけ長く続いているかと、それに対して説得力あるなかなか説明がないんです、率直に申し上げて。私なりにそのことをいろいろ考えました。  今、愛知さんは不良債権はもう処理が終わったというふうに言われました。確かに処理は終わったんです。しかし、その影響は残っているというのが私の見方です。どのくらい大きなバブルであり、どのくらいの大きなバブルの崩壊であったかということを改めて申し上げますと、大体、一九八九年当時、日本の地価総額は二千三、四百兆円ありました。株価は当時は三万八千円ぐらいでしたから、株価総額も約一千兆円近くありました。つまり、三千三百兆円ぐらいの土地、株の資産があったわけです。それが、その数年後にはほぼ半分、千五百兆円まで下がったんです。つまり、資産価値でいうと千五百兆減ったんですよ。つまり、いろんな財政支援とかいろんな財政出動といってもせいぜい数十兆単位です。つまり、千五百兆円のものがバブルの崩壊の段階でその前に比べて減ったものが、その影響が例えば個人の心理の中、企業の心理の中に残っている結果、他の先進国にはない状況が続いていると、このように私なりに分析したわけです。  これは多分、単純な意味の検証はなかなか難しいんだと思うんですが、私が申し上げたのは、そういう他の国々との比較の中での一つの背景と、そのバブルの崩壊がいかに日本の場合に、ほかの金融の場合は割と金融のバブルの崩壊、今回もそうですが、対応が的確だったこともあって各国その後遺症がやや早くなくなっていますけれども、日本の土地資産と株価の総額の千五百兆の下落の影響は、私は、国民の心理、企業の心理の中に強く残っていると。このバブルの状況というのはなかなか、心理の問題とも絡むものですから、そういった意味で申し上げているんです。  ですから、もちろん、もう少し短いタームで見たいろんな影響を言えと言われれば、それはそれで原因と言えることはあるかもしれませんが、前回申し上げたことを今指摘をされたので、そういった意味で申し上げたということです。
  62. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 おっしゃるとおりに、心理的な影響というのは確かにあると思います。バブルの経験をしたそのトラウマというか、あのときいい思いをして大失敗をしたそのトラウマというのが残っているのは、これは事実だとは思いますけれども、先ほど申し上げたとおりに、そもそもバブルというものはやはりバブルだったんですね。資産が大きく減ったというのはあったとしても、それはしっかりと清算をして切り替えていく必要があると思います。さらに、その過去のバブルの失敗だけではなくて、しっかりと社会構造の変化を成し遂げていかなければいけないということで、先日、内外価格差の問題であるとかニーズ、社会構造の変化という話をさせていただきました。  改めてこれに基づいて話をしたいと思うんですが、先日話したのは内外価格差の問題、ニーズの変化の問題、金融の問題という話をさせていただきましたが、それプラスアルファ、今はもっと要素があると思うんです。というのは、これもまた議論をさせていただきますが、現政権における成長戦略、やはりこれは足りないと私は考えています。また、年金や医療などの社会保障などへの不安ですね、不安要素があります。また、財政への不安もありますし、雇用に対する不安、これもありますから、しっかりと一つ一つ対応していかなければいけないというふうに考えております。  それで、整理をして、まず最初に内外価格差からお話をさせていただきたいと思ったんですが、御承知のとおりに、先日の議論もそうだったんですけれども、内外価格差自体は、これは先進国に付き物というか、必ず途上国等の安価な労働力を活用して物の値段が下がっていくという現象は起こり得ることですから、それ自体を完全に止めることはできないと思います。が、一方で、特に日本でも問題だったんですけれども、企業がその海外の安価な労働力を活用するために海外に流出をしてしまう、こっちの方が問題だと思うんですね。産業が空洞化してしまう。先ほど雇用と言いましたけれども、雇用の不安定化にもつながるんです。だからこそ、しっかりとこの点については対応しなくてはいけないというふうに考えております。  旧政権下において、この点については、企業の海外流出を止めようということで、その一環として例えば、まあ評判悪い話ではあったし、問題はあったと思うんですが、派遣法等の労働法制を整備をして、しっかりと安価な外国の労働力に対抗するために、日本でも企業がうまく雇用できるように、そういった労働力を使えるようにという法整備を進めてきました。  ただ、この点について言いますと、現政権においては正規雇用を増やすと。それはいいんですけれども、それプラスまた賃金も最低賃金を引き上げるなどのような改正に取り組むと聞いておりますが、うまくいけばいいんですけれども、これは企業にとってみればやはり負担を強いられることになりますし、先ほど言ったように、企業が海外に流出してしまう、それによってそもそもの雇用が減ってしまう、悪循環になるんじゃないかと私は考えていますが、その点の見解を伺いたいと思います。
  63. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 若干議論の組立てがちょっと見えないんですが、デフレということから今いろいろ説き起こされているんですが、まさにデフレの大きな原因が実は賃金の低下なんです。つまり、正規雇用に比べて、非正規雇用は一般的に賃金が相当低いんですね。ですから、逆に言うと、デフレの現実的な原因の相当の要素がいわゆる賃金の、特にこういう非正規雇用などが三分の一にもなる中で出てきた問題なんです。ですから、海外にいろいろ工場が移転するといった問題は、もちろんいろんな意味ではデフレにも影響しないとは言いませんが、今言われたことでいうと、逆にそれを止めようとしてと言われておりましたが、それを止めようとして非正規雇用の方を拡大したことが一方ではデフレの原因にもなっているんです。  ですから、余り一義的にこうだからこうということを、例えば今言われた海外に移転するのを止めようとしたからデフレが進んだという、そういう論理は、ちょっと私にはその論理の組立てがよく見えないので、ちょっと指摘させてもらいました。
  64. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 今の点では、非常に難しいのは確かにそのとおりであります。一方で、そうやって賃金を下げていけば物価も下がっていくからということはありましたけれども、それ以上にまず経済成長させていかなければいけない、そのためには日本の産業が空洞化してはならないということで今申し上げたんでありますので、菅大臣がおっしゃられるとおりに、一義的にすべての問題を一方向で解決できるという話ではないのはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、私の言った問題点というのは、正規雇用を増やして賃金を上げていくということをすると、まさに企業自体がダメージを受けて経済成長が難しくなっていくんじゃないかという問題が一つと、現実にも、私はよく最近見かけるんですけど、私の家の近所のコンビニエンスストアか何かで働いている方々、アルバイトで働いていると思うんですけれども、半分以上は中国の方なんですよね。そういう方がどんどん入ってきている。まあ内外価格差の問題というのはその点にも表れているんですけれども、そこは、雇用についてはしっかりと戦略を持って考えていかなければいけない。ただ正規雇用を増やせと言ったところで、その余力が企業側になければそれも実現できないということを指摘をさせていただきたいと思います。  次の問題について話をしたいんですが、ニーズの変化に対応するために、これも先日の議論菅大臣がおっしゃっていたんですが、官から民へということですね、それによって時代の変化に対応していこうという前政権からの考え方なんですけれども、この点については菅大臣も、私も長くそう思ってきましたし、今でも基本的にはその考え方は継続していますということでおっしゃっておられましたので、基本的には官から民へという流れは正しいという認識を持っておられると思うんですが、一方で、隣に亀井大臣もおられますけれども、この点についてもまた確認したかったんですが、郵政に象徴されるとおりに、官から民へと言いつつもちょっと逆行しているようなことをやっておられるんじゃないかというふうに見えるんですけれども、その点についての認識をお伺いしたいと思います。
  65. 大石正光

    委員長大石正光君) どちらですか。
  66. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 菅大臣に。どちらでも結構です。
  67. 大石正光

    委員長大石正光君) 亀井担当大臣
  68. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) じゃ、私が露払いでやります。  私は、先ほど来議論を聞いておりまして、愛知議員の基本的認識というのは私は間違ってないんじゃないかなという、前から思っておりますが。  基本は、私は、もう相当昔にさかのぼるんですよ。バブルが崩壊した後も、橋本総理は財務省に乗せられちゃって間違った財政経済運営に残念ながら走ってしまいまして、なので、気が付いてアナウンスなき政策転換を始められましたね、御承知のように。それを受けて小渕、森内閣で大転換をやった結果、経済がマイナス成長から議員御承知のプラス成長に転じたんですよ、二%成長までね。そうしたら、小泉総理が現れて、また元の財務省の手のひらに乗っかっちゃって、やってはならない財政金融政策を改革だと称するあらしの中でやった十年、それを継続して、あなたもおられ、私もおりましたけれども、私は抵抗勢力だって反対したんだけど聞いてもらえなかった。その結果として現在のような状況が私は起きているのは間違いないと思うんですよ。  菅大臣おっしゃいましたような、そうした大きなバブルの崩壊ということはありましたし、それの後遺症も引いておりますけれども、そういう状況を今も引きずっておるわけでありまして、今、菅大臣がこの十年来のなぜこうなったのかという病理を今一生懸命解剖しておられる。私は、菅大臣の今のその解剖される執刀の腕さばき、私はいいと思います。その結果、第三の道、言わば福祉経済的なものの中に新たな需要を見出していこうという一つの大きな柱に持っていきたい。また、税の使い方、税の使い方というものの中で、やはりこれが、この経済の活性化につながっていくものに重点的に税を使っていこうという整理をしておられるということは、私はこれは非常に正しい方向だと思っております。  それと同時に、同時に、菅大臣考えておられますけれども、この経済の活性化、産業振興、これを併せてやっぱりやっていかなければ、福祉経済というのは漢方薬のような残念ながら時間の掛かる話でもありますから、当面の激しいデフレギャップから脱却をするためのもう一つの処方せんというのが必要なんではないかなということで、財源との関係がありますから、菅大臣は大変今苦心をしておられると。私はまだ、どうすればいいか、打開策を直接は聞いておりませんけれども、今郵政の改革について触れられましたけれども、これはね、議員ね、私はあなたのような聡明な方であれば野党という立場を離れて、私は、しっかりと今我々のやっていることを御検討をいただきたいと思います。  そうじゃないんですよ。そうじゃなくて、民に任せると言われましたけれども、これは民営化されてどういう現象が起きていますか。民間の活力がそれによって生まれているかどうかという現実の問題があるんですね、残念ながら、今の郵政事業の実態というのが。また、集めた金がちゃんと産業資金に供給されていっているか、地域経済に使われていっているかという現実の問題があるんです。逆じゃないですかね、残念ながら。相変わらず運用についても国債運用中心に行ってしまっているという、相変わらず官なんですよ。そうではなくて、思い切ってそうした郵貯、簡保のそういう資金についても地域あるいは産業界に対して、これを日本郵政という民間会社ですね、三分の一は持ちますけれども、民間会社の運用についても自主的な判断をしながらやっていくと。かつての財投とか国債運用というような形で官に任せないで、日本郵政自身がそれをやっていこうという方向で今やっておるわけでありますからね。  また、御承知のように、限度額についても民間は青天井でしょう。まあちょっと、あんたも長々しゃべるんだから、おれにもちょっと言わせてよ。これも民間は、議員御承知のように青天井でしょう。それについて、やはり郵貯が生き生きとこの事業活動を展開をしていく場合に、やはり二千万円程度までそれを、縛りを解くということは、私どもは現実的なこれが方法であろうと。何もそのことが民から官に逆戻りすることではないと、このように考えておりますので、是非議員、今後の在り方中身について、そうした日本郵政が民間会社としての利点をどこまで発揮していけるかという今後の展開について是非御意見を私は法案審議とは別にいただければ、これを謙虚に日本郵政もこれを取り入れていくと思いますので、ちょっと長くなりましたけどね、よろしくお願いいたします。
  69. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  当然、私だけが一方的にしゃべるんじゃなくて、しっかりと前向きな議論をしようと思っていますので、国のために、それで意見が違うところは是々非々で、批判ももちろんしますけれども、アイデアも提示しますけれども、前向きな議論をしたいということで菅大臣にも来ていただいたんで、そのことは御理解をいただきたいと思います。  金融についてもちゃんと順序立てて今お話をしようと思っていたんで、ちょっと話を戻したいと思うんですが、一点だけ言いますと、先ほど橋本内閣という話もされましたが、バブルがはじけた後の処理ですね、やはりバブルですから、金融というのは大きな問題でしたけれども、その処理の仕方でいろいろ、そのときもかんかんがくがく、また小泉構造改革のときもかんかんがくがく、これは党内でもやっていましたから。  その議論なんですけれども、私なりの解釈は、同じようなことがアメリカでもイギリスでも実は昔にあって、アメリカのときはレーガンさんが、イギリスのときはサッチャーさんがそれに対応して改革をした。特に、アメリカ方式で金融改革はどういうことをやったかというと、三千数百人の金融マンというか関係者、エリートですね、その人たちみんな牢獄に入れて、しっかりと責任を取らせた上で資本を注入して金融機関を改善していったという手法を取った。イギリスの場合は、駄目な金融機関どんどんつぶしちゃったんですね。つぶして、国内の、それこそ女王陛下の持っている金融機関というのまでつぶして、海外の資本を導入して国内の経済を活性化させたという方法を取った。  ところが、日本の場合は、責任も取らせない、取ることももう時間が過ぎてしまったし、責任は取ることができないし、つぶすこともしないという中でどうやって金融を変えていくか。郵貯という大きな金融機関、組織があったので、マネーがあったので、それを民営化をして市場にその資金を出して、そして金融市場、健全な金融の競争の下の金融市場をつくっていこうという道を取った。  その点に関して私は賛同したし、今、官から民へが重要というか、その資金をしっかりと活用して健全な投資に向けさせるというのがやはり一番大事だと思っていますので、その方向性は多分同じだと今のお話だと考えておりますので、是非前向きに取り組んで、国債だけではなくてしっかりと市場に出せるような方法を取っていただきたいと思います。  金融についてはまた後で議論をさせていただきたかったんですが、ちょっと戻ります。  新たなニーズを生み出すためにどのような方式を取るかということで議論しようと思っていたんですが、旧政権下ではまさに、官から民へという話もありましたけれども、民間やその地域の活力を活用してそういったニーズの変化に対応していこうという方策を取ってまいりました。先日の議論は、菅大臣お話ですと、新たなニーズを生み出すために、基本的には税や財政出動をもってそういったニーズを、需要を生み出していくというお話をされていたと思います。  それについてお伺いをしたかったんですが、また一方で、その分野について幾つかお話をしていたんですね。議事録を見ますと、例えば特に介護とか保育のような潜在的需要に投資をしていくべきだというお話をされていたと思います。介護とか保育に対して税や財政出動でそこの需要を喚起していくということは、私自身は間違いじゃないと思っています、その方向性は間違いじゃないと思っています。  ただ一方で、おっしゃっていることはそのとおりなんですが、やっていることが違うことをやっているんじゃないかと思いますので改めて伺いますが、例えば医療について、またこれも評判が悪かったんですが、後期高齢者医療制度、これを廃止すると言っておりますが、逆に財源をしっかり確保した上でこういった制度、きっちりとした制度をつくっていくことが大事なんじゃないかと思いますし、先ほど言ったように介護のような潜在的需要に投資をしてそこを育てていくという考え方からすると、言っていることとやっていること違うんじゃないでしょうか。菅大臣の見解を伺いたいと思います。
  70. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) まあいろいろな観点を言われたのであれですが、ちょっと前に、先ほどのに戻りますと、官から民というのは、一般的に言うと官の社会よりも民の社会の方がより効率的であるだろうという期待の下に、非効率な官ではなくて、同じことが民間でやれるならできるだけ民間にと、そういう考え方は私も間違ってはいないと思います。  ただ、気を付けなければいけないのは、それじゃ本当に民間がそういう効率的で意欲的な行動を取れるのか、取っているのかということでいうと、最近の状況は、例えば海外に対するいろいろな、例えば原発の売り込みとか鉄道の売り込みなどで、そういう問題でのリスクを取った融資を民間金融機関に期待できるかといった場合になかなかできないと。逆に、官というか政府系金融機関がある程度やってくれれば付いていってもいいというような、そういう分野もあるわけでありまして、そういう点では、あくまで官から民というのは、民の方が活力があるという前提の中では私はそのとおりだと。しかし、現実になかなか現在の状況というのはそうでない分野もかなりあるわけでありまして、そういう点では、そういう現実の状況の中での判断は、単純に民であれば何でもいいということにはならないということは、これは言わざるを得ないんですね。  それから、今言われたその後のこともやや似ているんです。民間がどんどん消費し、どんどん企業が投資をしているときは、国は余り何もやらなくていいわけです。そこにはいわゆる需給のアンバランスもないわけですね、ギャップも。しかし、内需が出てこない、内需というか消費が出てこない、あるいは企業の設備投資が出てこない。金はあるけれどもお金が動かない。  デフレの原因というのは、原因、現象、いろいろな分析の仕方はありますけれども、例えば血液はたくさんあるけれどもその回りが悪いという状況が私は今の日本状況だと思うんです。血液がないんなら、これは出血状況ですから血液を増やさなきゃいけません。しかし、日本は血液そのものはあるわけです。しかし、それが回らないんですね。その回し方としてどうするのか。これまでは国債で、事実上市場からそういうお金国債で吸収して、つまり借りてきてそれを使っていたわけです、政府がですね。ある意味でこれも強制的な使い方なんです。しかし、国債で借りてきたのはかなりたまりましたから、今度はこちらの不安が高まっているわけです。  そういう中で、私は、じゃ使わないでいいのかと。政府が使わないでいると、民間に任せた形でいると、そこは亀井大臣と私はかなり共通なんですが、民間に任せていてよければいいんですが、今の状況は、任せていたんではお金が回らない、ますますデフレがひどくなる、経済成長がますます下手をしたらマイナスになる、そういう状況にある中では財政出動は必要だと。しかし、じゃそれを借金で賄い切れない、あるいはこれ以上賄うことは逆の意味でリスクが高まると考えた中では、場合によっては税制改正して、その中で正しい方向にそれを使うことで経済成長をもたらすことが必要ではないかと。  その場合に、確かに潜在的な需要が多い介護とか保育の分野に加えて、グリーンイノベーションという言い方をしておりますが、環境とかあるいはアジアのそういった新しい分野にある意味では技術や資本を投じることによって日本成長につなげていくと。そういう形が必要ではないかということを申し上げているんで、そこはそんなに愛知さんが考えておられることともそう違わないんではないかと。  後期高齢者医療の問題というのは、またちょっとこれなかなかややこしい制度ですので、これを一般化して今のような問題とどうつなげて考えていいのか分かりませんが、一般的に医療という分野でいえば、これはなかなか厄介な問題ですよ、実は率直に申し上げて。介護とかは混合介護というのが可能です。どういうことかといえば、お金持ちは多少高い値段でも介護施設に入ればいいわけです。医療の場合に、じゃお金持ちしかできない治療というものを認めていいのか悪いのかという議論がありまして、先日、尾辻議員もそんなの絶対認めたら駄目だということを強く言われておりましたけれども、この医療の在り方については、どちらかといえばやはり社会保険ないしは税でもってどこまできちんと見るのか。  特に後期高齢者医療の問題は、七十五歳という年齢で区分けをしたことが一種の年齢による差別につながってくる。簡単に言えば、もうあなた七十五歳まで生きたんだからそんなにたくさんの治療を受けなくてもいいんじゃないのというような扱いを、受けているとまでは言いませんが、少なくともそういう心配があるということで非常な反発があるわけでありまして、そこはそことして、もう一度制度の組み直しが必要だと、このように思っています。
  71. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございました。  基本的な総論的な考え方は全く同じだと思います。私自身も今のお話を聞いていて特に異論があるわけではありません。だから、介護とか保育などのような潜在的な需要に投資をするというのも必要だと思いますし、これ、後ほど議論をしようと思っていたんですが、新需要創造、これは何でしたっけ、新成長戦略、昨年出した、それも見させていただきましたし、第三の道として環境、健康、観光で百兆円超の需要を生み出していくと、こういった方向性については異論ないですし、私は間違いだとは思っておりません。  特に環境なんかは、私が初当選のときもそうだったんですけれども、環境産業の育成ということをずっと訴えて今に至っているわけですから是非やっていただきたいと思いますし、観光については、ちょっと個人的な話で恐縮なんですけれども、私の父も観光庁をつくって観光をどんどん活性化させろというのが最後の方というか、引退するまでライフワークのような形で一生懸命やっていましたので是非やっていただきたいと思うんですが、大事なのは、私が議論したかったのは、今の後期高齢者の医療制度も含めてやはり財源なんです、財源。税や財政出動をもってそういった潜在的な需要を喚起していくというのは正しいですけれども、ずっと悩んでいるのは、一番ポイントになっていくのはやっぱり財源なんです。  後期高齢者医療制度というのも、別にお年寄りの方々に早く死んでくれという話じゃ決してないんですよ、それは。長生きしてほしいし、安心してほしいためにしっかりとした医療制度、安心できる医療制度をつくった上で、それも財源を確保した上でやらなくちゃいけないということで苦肉の策として出てきた話ですから、財源さえ確保できれば全く問題はないと思いますし、どんどんやるべきだと思います。  ちなみに、公共事業なんかそうですけれども、あのときも議論していたんですが、私自身は単に減らせばいいという問題ではないと思っています。しっかりとした投資はやっぱりやっていくべきだと思いますけれども、財源の問題と使われ方の問題、物のつくり方の問題ということで見直しは必要だと思っているので、そこは冷静な議論をしなければいけないと思います。  ちなみに、今の医療制度について改めて伺いますが、先日の議論でもそうだったんですけれども、今事業仕分やっていますよね。やっていますけれども、あれで財源を確保するのは厳しいだろうという認識を持っておられるようですし、先日、私は古川副大臣議論をさせていただいたときに、これは予算確保のためにやっているわけじゃないと、財源確保のためではないですよということを明言されておりました。  無駄遣いを根絶して財源を生み出すということはもう論理的に破綻していると思うんですが、やはりどうやって財源を確保していくか、この点についてしっかりとしたビジョンを持ってやらなければ議論意味がなくなってしまいますので、その点についての菅大臣の見解を改めて伺いたいと思います。
  72. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 財源という言い方で一般的に言えば、二つしかないわけです。  一つは、今まで支出しているところで無駄なものとか非効率なものを変えて、そこからその部分の歳出を減らして、それを財源としてほかに回すと。今、事業仕分などで第二弾を枝野大臣のところでやっていただいていますが、これは主にそういうことについてやっているわけです。ですから、必ずしもそれこそ官でやる必要がないところ、あるいは非常に効率の悪いところ、あるいは無駄の多いところはいろいろ制度そのものを変えて、そういうところに投じられていた財政資金をそこに出すことをやめて、それをほかに振り向けるというやり方が一つです。  それからもう一つは、つまり、特に医療の問題なんかはそうなんですが、医療に係る費用というのは多くは医療保険、保険制度と税と個人負担で成り立っているわけです。  先ほどちょっと申し上げましたが、個人負担というのは一定率の個人負担もありますけれども、介護なんかでいえば、非常に、何といいましょうか、手厚いものについては個人の負担で有料の、有料というのはお金を払うですね、有料の施設に入る人はいると。しかし、最低限のものは介護保険で見ることができるというやり方もあるわけです。ただ、医療はそれがなかなか取り入れにくいところもあります。ですから、そういう意味では、その財源をどうやって確保するかといえば、税か社会保険か個人負担かになるわけです。そこをどのように仕組むかということなんですね。  医療については、やはりお金がある人は個人で出してもいいじゃないかという議論もあります。規制緩和と混合診療という考え方もあります。しかし、先ほど申し上げたように、これには相当議論があるんですね。逆に、お金がある人に少したくさん税金を払ってもらって、そして、もちろんほかの皆さんにも払ってもらうわけですが、そういう形で、社会保険プラスそういう税でもってそういうところに振り向けようという考え方も当然あり得るわけです。  ですから、私が申し上げているのは、そういったこともしっかり考えてやれば、これも同じなんですよ。よく負担負担と言いますけれども、医療費負担と言いますけれども、ある意味では、見ようによっては医療のサービスがよく、何といいますか、売れるということですね。医療サービスに対するニーズが高いということですから、ある意味でマーケットとしては有望だと、成長分野だということになるわけです。問題は、どういう形でそこにお金を使うことができるかという仕組みの問題で、それを考えるのはやはりまさに政治のもう一つの仕事だと。そういう意味で私は申し上げているつもりです。
  73. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 ありがとうございます。  その財源、社会保障全般をしっかりと議論していかなければいけないのはそのとおりでありますし、税について、これは財金ですから特にそうなんですけれども、これからも国民の皆さんにどうやって負担をしていただくかという議論は当たり前のようにしなくちゃいけないと思います。  ただ、今ので確認をしっかりしておきたかったんですが、枝野大臣の話はそうかもしれない、枝野大臣が正しいのかもしれないですけれども、少なくとも、改めて言いますと、その部下である古川副大臣が、事業仕分、ともすると予算、要はマニフェストを実行するための財源確保のためにやっているように、そういうふうに思われているところはありますが、決してそうではございませんというふうに明言していますから、事業仕分については財源確保ではないと。そこをちょっと見解違うんだったら改めて違う場所で問いただしていきたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、それだけで財源は確保できないと私は認識していますし、多分そうなんでしょう。だからこそ、消費税を含めてしっかりとした議論をしなければいけない、これは不可避だと思います。  逆に言うと、亀井大臣と、これもまた後日、大塚副大臣との間で議論をさせていただきたかったんですが、国債の引受けも含めて、それも財源確保のためだと思うんですけれども、そういった方向性がはっきり見えてこない。これが先ほど言ったような財政に対する不安を助長して、また財布のひもを国民は締めていく、マインドを冷え込まさせるという要因にもつながりますので、きっちりとした制度設計、考え方を持って制度設計をしていかなければいけないということを改めて指摘をさせていただきたいと思います。  今、菅大臣がおっしゃったとおりに、介護、医療等健康産業に関しては潜在的な需要はありますし、私は、投資してそこをしっかりと育てていくというのは正しいと、さっきから言っていますけれども、正しいと思います。一方で、もう一つ、保育に関しても、その潜在的需要を喚起していくというのは正しいと思います。  ただ、また改めて指摘をさせていただきますけれども、その保育環境を整備していくのは正しいんですが、今の民主党さんやっていることは、それとは言っていることとやっていること違うというふうに指摘をさせていただきたいと思います。子ども手当であります。  私は、あの子ども手当のような形であれだけの巨額の財政出動をするのであれば、保育の環境整備をした方がいいと思っていますから、財源も確保できない中であれをやることが逆にマイナスにつながるんじゃないか。しかも、子ども手当自体が潜在的需要に振り分けられるかといえば、そうはならないと私は考えていますので、まさに言っていることとやっていること、ちょっと矛盾しているんじゃないかと思いますけれども、菅大臣に改めて見解を伺いたいと思います。
  74. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 子ども手当についてはもう相当議論があり、法案も、おかげでといいましょうか、初年度のものについては成立をしております。  元々これの議論のスタートは、やはり今のような子供さんを産んで育てるのにかなり費用が掛かると、そういう中で少子化も非常に進んできていると。そういった意味で、必ずしも、経済政策的な要素も効果がプラスしてあるわけですけれども、元々の発想はやはりまさに子供を育てること、産んで育てることに対する支援として考えられたというふうに認識をしております。そういった意味で、諸外国に比べてこの水準が今まで非常に低かったわけでありますので、それを高めていこうということで、初年度月一万三千円ということでスタートしたわけです。  今後については、まだ最終的なところの議論はこれからでありますけれども、確かに、現金で更に追加的な給付を増やすのがいいのか、同じ費用であっても保育園を増やして、そしていわゆる待機児童がない状況をつくる方に優先的に振り向ければいいのかというのは、それは政策的判断として当然議論があっていい分野だと思っております。  ただ、今申し上げたように、元々の子ども手当の議論は、どちらかといえば子供を産み育てることに対する経済負担が、ある意味でそれを応援することで少子化対策にも資するという、プラスしてもちろん経済的な効果も消費の拡大といった形であるという、そういう位置付けで行われたわけでありまして、ですから、必ずしも間違っている間違っていないというところではないだろうと、今後の在り方については大いに議論すべきだと、こう思っています。
  75. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 絶対すべてが無駄に終わるという、駄目だという話ではないんですが、やはり決められた限りのある資源をどう分配してどこに投資をしていくかという話ですから、私自身は経済成長に、しっかり将来につながるような形で使うべきだというふうに申し上げているところです。  だからこそ、今、菅大臣がおっしゃられたとおりに、子ども手当自体が生活の支援の目的が一番主要な目的だというふうにおっしゃられましたけれども、私自身はまさに将来につながる、経済成長につながるものに最も最優先で投資をしていくべきだというふうに考えていますから、子ども手当ではなくてそういった保育の条件整備に使うべきだというふうに申し上げたところなんです。  先ほど経済成長戦略成長戦略がやはり足りないんじゃないかという話はしました、現政権において。経済成長戦略の欠如だということを言ったんですが、全くないというふうに言われると、それは違うとおっしゃられたと思うんですが、そういった矛盾点があったり、方向性が定まらない戦略というのはやはり意味がなくなってしまいますし、形としては不十分だと思います。だから迷走しているように思うし、一貫した政策、方向性というのは打ち出すべきだと私は思っています。  その点でいうと、やはり改めて言いますけれども、せっかく、介護、保育などの需要を喚起するためにという発想はいいんですが、子ども手当がそういった趣旨をないがしろにしてしまっているのも事実だと思います。その点は改めて指摘をさせていただき、また今後の議論をしっかりと、この場でもそうですし、政府の中でも一貫性を持った政策として議論をしていただきたいというふうに思います。  時間がなくなったので最後なんですけれども、亀井大臣に改めて認識の点だけお伺いをしたかったんですけれども。実は金融について、いろんな考え方、先ほどありましたけれども、バブルから立ち上がるためにもそうですし、デフレ脱却のためにも様々な施策を講じなくちゃいけないというのがあったんですが、金融機能の正常化、それと健全な市場の形成と活性化というのは必要なんですが、一方で金融緩和、もっと金融を緩和してお金を、先ほど菅大臣が血液という話をしましたけれども、血液をどんどん巡りを良くしなくちゃいけないというのはずっと議論をされておりました。  ただ、一方でずっと政策金利をゼロにしたり金融緩和策を取っていたんですけれども、それをやり尽くしてしまったおかげで、実は今回のリーマン・ショック想定外のところがすごく多かったんですが、あのときに、諸外国に比べてそういったサブプライムローンとかの投資は日本は極めて少なかったにもかかわらず経済的なダメージは一番大きかった、先進国の中で。  なぜかということを考えると、対抗措置というか、そのときの機動的な措置がとれなかったんです。アメリカはその時点で何%でしたっけ、正確なのを覚えていませんけれども、五%ぐらい政策金利もあったんですよね、それをゼロまで下げるという政策的な余裕があったんですけれども、日本はそもそもゼロに近かったんで、そこからまた新たな措置をとっていくことができなかった、結果として経済が大ダメージを受けてしまった。だからこそ、こういうことがあるからこそ私自身は、その前に政策金利上げられるときに上げておけという話を日銀さんとも議論をしていたんですけれども、こういった日銀金融政策全般について、その在り方についての見解を伺いたいと、亀井大臣の見解を伺いたいと思います。
  76. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、現下の状況においては、低金利政策、これはやむを得ないと思っておりますし、日銀がこの金融緩和において果たす役割というものを、大きなものがあると思います。  しかし、問題は、議員も御承知と思いますけれども、そうした金融面での努力だけでこのデフレギャップから脱出するかというと、私はそれはなかなか難しいと、それは限界があると。やはり、それは財政政策、経済政策、社会政策全般の思い切った大胆な出動がなければ、私はこれ以上金をじゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ低利で流してみたところで、これが実際には国民生活に機能するものとしてこれが動いていかないと。  こういう状況をどう打破するかを簡単に言うと、もう金を使おうという状況、これは設備投資を含めて、あるいは消費を含めて、いろんな形でそういう状況を、民間に任せておいてはこれがどうにもならぬときであれば、政府が支出によって刺激を与える、あるいはまた自らそうした内需を創出をしていく、政府支出そのものによって。これはもう当たり前のことなんです、これは。  財政経済運営なんというものは今始まったことじゃないんです、太古の昔からあるんですよ。江戸時代だって、平安だって、奈良時代だって、ずっとあることなんです。それを、小難しい理屈を並べてもっともらしいことをやっているうちに民の生活はだんだんと窮していっている、こんな愚かなことを私はやはりやるべきではないと。幸い、聡明な、先見性のある菅大臣がいらっしゃいますから、私は大いに期待をしておるわけであります。  以上。
  77. 愛知治郎

    ○愛知治郎君 時間が来ましたので質問はしませんけれども、しっかりと、私も他意があるわけではなくて、国のためにしっかりとした施策を打っていくべきだというふうに思って議論をさせていただきました。是非参考にしていただいて、しっかりとこれからの施策を講じていっていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  78. 大石正光

    委員長大石正光君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  79. 大石正光

    委員長大石正光君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、富岡由紀夫君が委員辞任され、その補欠として姫井由美子君が選任されました。     ─────────────
  80. 大石正光

    委員長大石正光君) 休憩前に引き続き、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 林芳正

    ○林芳正君 自民党の林芳正でございます。午前中に引き続きまして、法案審議並びに金融財政の件について御質問させていただきたいと思います。  まず、この法案でございますが、いただいた資料で清算機関の利用義務付けという項目がございます。これは確かに大変必要なことでございまして、諸外国でやっていることに後れを取らずにやっていくということが大変大事だと、こういうふうに思いますが。  このCDSの指標取引の方は、いただいた資料の中にどういうところにやっていただくかというところまで想定というのが入っておりましたが、一方で、我が国における取引規模が多額で、清算集中による決済リスクの減少が我が国市場の安定に必要と考えられる一定の取引という方につきましては、例えばこういうのがあるということが一つだけ、円金利スワップのプレーンバニラ型というのが書いてございますが、それ以外にもこの定義で大体どういうものが当てはまってくるのかということが、この円金利スワップのプレーンバニラというとちょっとアイスクリームみたいな感じがしますけれども、そういう非常に一般的なやつ以外にどういうようなことをこの時点で想定されておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  82. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 御質問にお答えいたします。  今委員が御指摘のありました円金利スワップ取引のうちのプレーンバニラ型というものに加えて、クレジット・デフォルト・スワップの指標取引のうち日本で既に大分定着をしておりますアイ・トラックス・ジャパンなども想定をしております。
  83. 林芳正

    ○林芳正君 今私が申し上げたのが、いただいた資料で、大塚副大臣がおっしゃったCDSの指標取引のアイ・トラックス・ジャパンを想定というのは、清算要件が我が国での企業の破綻要件と密接に関連している取引等の方の一例ということでございまして、当面はそっちを想定していると。  もう一つのカテゴリーの方はプレーンバニラ型を想定と書いてございますが、実はこちらの方は国際的に取引があるので、こっちの方の類型の取引については、国内清算機関、若しくは国内清算機関と外国清算機関の連携による方式、若しくは外国清算機関と、こちらの集中方式についてもオプションがいろいろあるものですから、こちらの方の類型で現段階でプレーンバニラの円金利スワップ以外に想定されておられるような取引があるのかなと思ってちょっとお聞きしたんですが、いかがですか。
  84. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) おっしゃるように、国内清算機関に義務付けることをしないカテゴリーのものについては、今は円金利スワップのプレーンバニラ型というものを念頭に置いております。
  85. 林芳正

    ○林芳正君 今のところその他の取引は想定しているものはないということでありますが、こういう条件に該当するというものであればそういう清算集中をやっていくということでございますけれども、例えば今副大臣おっしゃった円金利スワップのプレーンバニラですと、国内清算機関又は外国清算機関というのは比較的分かりやすいんですが、連携による方式といいますと、その連携の仕方とか、こっちの国内清算機関で向こうと連携できるところがあるのかなと、あるんだったらそこでやればいいのかなとか、いろんなことがいろいろ想定されるわけですが、例えば今想定されているプレーンバニラ型ですとどういうような集中機関をやっていかれようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  86. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 現在、日本では東京証券取引所とか東京金融取引所がこれからその分野で一定の役割を果たしていくことを想定をしております。ただ、それ以外でも、今後、清算機関として機能し得るような組織が参入してくる可能性はあると思います。また、既に米国で二社、ヨーロッパでは四社、そういった機関ができつつありますので、そうした先と連携をし得るような先というのが果たして国内でどういう先になるのか、まだ予断は許しません。  また、プレーンバニラ型という言葉が先ほどから御質問にもございましたし、私もお答えを申し上げたんですが、その反対語というか対の語として、先生御存じのとおりエキゾチック型というのがありまして、どういう商品が大量に取引されるようになるかによってどのような清算機関が実際に機能し得るようになるかということになってくると思いますので、現時点では何とも予測の付かない面もございますが、今回のこの法案のねらいとするところ、つまり市場の決済、未決済リスクを極力ネットアウトしていくという、そういう趣旨に沿った動きとなるように、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
  87. 林芳正

    ○林芳正君 是非、そういう原理原則を持って、しかし、どういう取引といいますか金融商品出てくるか、今のうちからあらかじめ想定して細かく決め過ぎるというのもまずいと思いますので、そういう方式でやっていただいたらというふうに思います。  そこで、今CDSの話が出ましたので、これは大臣でも副大臣でも結構でございますが、ちょっとこの法律というよりも、そもそも論、午前中にも風間先生でしたでしょうか、金融のあるべき姿みたいなお話大久保先生だったか、ちょっと忘れましたけれども、ございました。  このCDSというのは、クレジットリスクですね、この会社がつぶれるかもしれないということについて保険を掛けるということでございますから、これは信用保証の世界みたいなところが当然あって、こういうことは一切あっちゃいけないと言うつもりはないんですが、余りこれが出てきますと、そもそも、例えば社債にCDSを掛けるということになった場合に、社債を最初に買う人はもう保険さえ掛かれば、その会社の目論見書とか、この会社はどういうことをやっているかとか、そういうことを見て、社債の条件ですね、利率とか、そういうことを見て、じゃこの社債を買おうということを判断するのが基本だと思うんですけれども、CDSがどっと出てきて何でもカバーされていればもうそっちの方はいいんだということで、目をつぶってしまうということがそもそもいいのかなという気が最初からいたしておりまして、今こうやってCDS一つのきっかけになってああいうことが起こりましたから、CDS万能ということはもう世の中にないとは思いますけれども、今後、こういう新しい商品が出てくる場合に、元々あるべき姿をディストートしてしまうものというのは少し、そもそもあるべき姿を余りゆがめないところまででバランスを取るという考え方があるいは必要なのかなという気がいたしておりますが、そういうことについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  88. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 実務的な観点から私がお答えをさせていただきますが。  おっしゃるとおり、このクレジット・デフォルト・スワップというのは、そもそも、私、二〇〇一年からこの委員会に所属をさせていただいたときに、そのころは主に国の債務についてのクレジット・デフォルト・スワップしかなかったわけでありますが、最近はこれが企業のものが出てまいりまして、マーケットや商品の実情を知るということがなければこれ対処のしようがない世界でございます。クレジット・デフォルト・スワップのCDSというのも最近出ているという話もあります。  同様に、こういうヘッジを掛ける商品だけじゃなくて、元々の投資の原資になるファンドですね、ファンド・オブ・ファンズという言葉がありますが、ファンドに出資をするファンド、そしてファンド・オブ・ファンド・オブ・ファンドというのも最近出てきているという話もありますが、今先生御指摘のとおり、どこかで一定のディシプリンを掛けませんと、これはブッキング上の流動性というのは永遠に広がり続けるわけでありまして、これが実際にリーマン・ショックのときに、世界のGDPは実体経済が五千兆円であるにもかかわらず、金融取引は確認をできただけで一京五千兆円という三倍の流動性になっていたと言われている現象の根源にあるわけでございます。  したがって、今G20でいろいろ、菅大臣も御参加されて議論されている背景にある考え方は、やはり金融というのはいかにあるべきなのかという根源的な問題でありますので、そのことをしっかりキャッチアップをして、そしてあるべき姿を追求できるように、まず金融当局は実情を不断の調査によってフォローアップするということが何よりも大切だというふうに認識をしております。
  89. 林芳正

    ○林芳正君 亀井大臣もうなずいておられましたので同じお考えだろうなと、こういうふうに思いますが、まさに今、大塚副大臣おっしゃったように、実情をよく見て必要なことをやっていくという姿勢が非常に評価されるべきだと思うんですね。  私は、最初サラリーマンのスタートが商社でございましたので、為替の実需原則というのがなくなって、今実際の金融取引全体は三倍だとおっしゃいましたが、実需原則を外れてからもう何十倍、何百倍のことになって、本当にこれでいいのかなと。ただ、先物市場とか厚みがあるところによって不測の不利益を被らないようにするんだという説明を聞いて、無理やり、そういうものならしようがないなと納得した記憶がございますが。  やっぱり、今回のいろんなリーマン・ショックに至る経緯を見ても、クレジット・デフォルト・スワップをやると、またそれのCDSができるとか、ファンドのファンドのファンドができるということで、元々例えば家を建てるためにお金を借りている人と貸している人の直接の関係なら分かるわけですね、フェース・ツー・フェース、ヒューマン・ツー・ヒューマン。だけれども、その間に何人も入ってきて、この人たちみんな商売でやっていますから、それぞれコミッションをもらいながらやっているという中で、結局、最初と最後の借り手と貸し手の間にたくさんの人が介在してしまうことによって、結局ああいうプロシクリカルといいますか、市場が一方向へ動いたときにもう止まらなくなってしまったというのが今回の反省であるとしますと、やっぱりそういう新しい商品が出てきたときに、それぞれのものをきちっとそういう大きな津波になる前に予知をして、やっぱりそういうものの一部分にならないようにしていくということが大変大事だと思います。  今、G20のお話もありましたが、そういう御議論というのはG20のところでも行われているという理解でよろしゅうございましょうか。これは菅大臣、ちょっと通告はしておりませんでしたが、もし何か御存じなら御教示いただければというふうに思いますが。
  90. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今回、G7、G20と継続してワシントンで行われまして、本来はその中で、G7においても当初は三つ目の議題として金融規制改革が入っておりましたし、G20の方でもIMFからの一つ報告もいただくといったことになっておりました。  一部はやられましたけれども、相当の時間を特にG7の方はギリシャの問題に充てましてというか、これ、G7は今フリーディスカッションのような形式になっていまして、必ずしもセクションごとにきちんきちんと仕切らないで、議論が盛り上がったらそのまま続けるという形だったものですから、そういう形で、必ずしも今回この金融規制のことが細かくは、特にG7では議論されませんでした。ただ、IMFのといいましょうか、G20とその後のIMFのコミュニケの中で、これまでの議論がある程度取りまとめられた形で出ております。  今話題になりましたそのCDS等について、直接的な言い方ではありませんけれども、もうよく御存じのように、いわゆる過度のリスクテークを抑制するような形の規制が必要だという方向での議論は、先ほど申し上げたように若干今回の場では十分煮詰まったとまでは言えませんが、大きな課題として出されて、今後に引き続き議論をしていくということになったと理解しています。
  91. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 私の方からも事実関係だけ補足をさせていただきます。  昨年の九月のG20の首脳会合で次のように合意がされております。遅くとも二〇一二年末までに、標準化されたすべての店頭デリバティブ契約は、中央清算機関を通じて決済されるべきであると。こういう流れの中で、今、菅大臣お話しいただいたような現状議論の実情になっておりますが、ただいま申し上げました合意が確実に実行されるとなりますと、次の問題は、標準化された店頭デリバティブ契約とは何かということを今後常にウオッチをしていかないと、委員御下問の円金利スワップのプレーンバニラ、これは標準化されているわけでありますが、標準化されていないものはどんどんどんどん金融当局がフォローのできない姿になってまいりますので、その辺りの議論を引き続きG20のシェルパ会合などでしっかり詰めていくべきものというふうに思っております。
  92. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  菅大臣から御披露いただきましたように、過度のリスクを取らないということが方向性として出ていると。それから、今、大塚副大臣からも補足でお話がありましたように、集中決済機関、先ほど聞いたやつなんかの話もありますが、多分その集中決済機関で標準化したやつがきちっとネットアウトされて過度の大きな波にならないという方向が一つだと思いますが。  まさに菅大臣報告いただいた方の話はそれだけではなくて、やっぱり新しい商品がまだ標準化されて出てくる前の段階で、どういう金融商品でも自由だからいいんだというだけで出てきたものを標準化して集中清算というだけでなくて、そもそもこういうものが、午前中の亀井大臣の御答弁を聞いていても、やっぱり金融は手段であって、金融そのものが何か新しい商品で利益を生み出していくというのは若干ちょっと違うんではないかという観点からしますと、やっぱりそういう実物経済をいかに助けるか、いかに必要なところにお金を供給するかという手段であるという点からの、そもそもこういう商品っていいのかねというようなところも今おっしゃった中で検討していっていただきたいと思いますし、そのことをまさに踏まえた上で金融の世界の人が新しいものをイノベーティブにつくっていくと。金融だけがもうかって、ほかの人のところに損失が回るみたいなこと、本末転倒なことにならないようにしていただきたいと、このことをお願いをしておきたいと思います。  それで、G20、また今G7の御議論お話菅大臣からございましたので、ちょっと、一部話題になっております新しい税といいますか、IMFのタックスプロポーザルというのが出たということでございますので、このことについて少しお聞きをしておきたいと思います。  四月の十六日に発表されたというふうに承知しておりますが、二種類のタックスといいますか負担というものがIMFから提案をされておられるようでございます。一つ目はFSC、ファイナンシャル・スタビリティー・コントリビューションということで、バランスシートの残高に対して幾ばくかの率を掛けて将来の危機に対して積んでおくということ。それから二つ目はファイナンシャル・アクティビティーズ・タックスということで、利益や報酬に対して一定の率を掛けて課税をすると。日本金融機関で試算をしてみますと、大体一兆円ぐらいの課税額になるというようなのが民間の機関の試算で出ておりましたけれども。  カナダと日本は明確にこれは否定をしていただいているというようなことでございますが、まず、IMFでこのような提案というのがどういう形で、例えば今からこれを基にみんなで議論していこうとかいうような形で出たのか、今私が言ったのは報道とかから引いてきたものですので、実際そういう提案があったのかどうかも含めまして、菅大臣にお聞きしたいと思います。
  93. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 御質問のありましたFSC、日本語では金融安定負担金と訳すようですが、それやFAT、金融活動税といった金融機関によるコスト負担の方策に関しまして、金融機関の救済に要する財政負担が拡大する中で、公的救済を受けた金融機関の収益回復、巨額報酬の復活に欧米を中心にして世論が反発したことを背景に、昨年の九月のピッツバーグ・サミットで、IMFが具体的方策を検討し、本年六月のトロント・サミットに報告をするよう各国首脳からIMFに対して指示が出されていると、こういう状況がまず背景としてあります。  今般のG7会合では、IMFが中間報告を提出し、その中で、金融危機対応に伴うコストを金融機関負担する上での様々な選択肢を提示したところであります。具体的には、金融危機対応に係る費用の財源の確保及び金融機関の過度なリスクテークの抑制を目的として、一つとして、先ほど指摘のありました、すべての金融機関に対して一定の負担金を賦課し、徴収額を基金に積み立てる又は一般財源とするいわゆるFSC、金融安定負担金というやり方。第二には、金融機関の利益や報酬などに課税し、税収を一般財源とするFAT、いわゆる金融活動税などの選択肢が提示をされております。  G7では、IMFに対して、本年六月のトロント・サミットへの最終報告提出に向けて、各国の金融システムの違いを勘案しつつ、各々の国が取り得る幾つかの選択肢を更に検討するよう求めたところであります。なお、G7では、先ほど申し上げたように、財政健全化やギリシャ問題について主に議論したため、金融機関によるコスト負担の方策についてはその場では議論はされておりません。  我が国としては、将来起こり得る金融危機に責任を持って秩序立った対処を行うことができるよう、各国において危機時の破綻処理制度やコスト負担メカニズムを整備しておくこと、それ自体は望ましいという立場にあります。なお、そうはいっても我が国の場合は、九〇年代の金融危機の経験を踏まえて、金融危機に伴うコスト負担の制度を二〇〇一年に他の主要国に先駆けて整備をしているということはもう御承知のとおりであります。そういった意味で、我が国あるいは一部の国からは、それぞれの国の状況の差を、相違をきちんと踏まえた形で今後の提案も考えてほしいと、そういう趣旨のことは申し上げているところです。
  94. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございます。  今の菅大臣お話ですと、このFSCとFATは、幾つかの選択肢の中の一つですから両方一緒にやるということではないのかなというふうにお聞きをしましたが、いずれにしても、提案ですから、その辺、今からこれを受けられて、そうすると、トロント・サミットまでに皆さんこの提案を受けて自分の国にはこういうことがあるとか、こういう意見だというのを宿題としてもらっているということで、そういう御提案があったということでございましょうか。
  95. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 答弁の前に、先ほどちょっとG20とG7を少し言い間違ったということのようで、先ほどのIMFに対して今年六月のサミットへの最終報告提出というのはG20での話であります。  それで、今の御指摘は、今回、何か表には余り出さないことになっているのであれですが、IMFから中間報告をいただいております。それに対する更なる議論を、一部は実は、先ほど申し上げたように、G7では議論をする余裕が余りなかったんですけれども、例えば、IMFCの午前中の回に私は出たんですが、午後の回に日銀総裁と財務官が出られて、そういうところでもコミュニケが出されて、そういう総合した議論の中で言えば、この議論を踏まえて更に踏み込んだ提案をIMFに出してほしいという、そういう形でIMFにもう一度預けたというふうな理解をいたしております。
  96. 林芳正

    ○林芳正君 そうすると、そこで、財務官なんかがお出になったその午後の会議で少し意見を言って、もう少し具体的にしてこいと、こういうふうになったということかなというふうにお聞きしましたが。  いずれにしても、これ、まさに菅大臣、今おっしゃっていただいたように、私も最初にこれ聞いたときに、FSCの方は預金保険そのものじゃないのかなと。要するに、保険料をたしか預金の残高か何かに掛けてお支払いただいていて、それを原資にして危機対応しようというのはやっているわけで、我々あれをつくったときに各国の例をかなり勉強しましたので、うちだけがああいうものを持っているというよりは、アメリカの例随分研究しましたし、北欧の例も随分見ましたので、今更IMFが預金保険とかなり内容が似ているようなこういうものを何か出してくるというのがちょっと違和感があって、預金保険機構がそもそも先進諸国でない国というのは余りないんではないのかなと、こういうふうに思いましたので、この御提案というのは、今ある現行の預金保険に更に加えてもう一段のものが必要だというような御提案なのか、そういうことがないところに、みんながお金を出し合っているIMFのお金をふだん備えていない国のために使ってしまうというのはいかがなものかという趣旨なのか、いろいろ考えるわけでございますが、その辺のIMFの真意みたいなものについて、もし、これは余り細かく御通告申し上げていなかったんで、それから余り外で言っちゃいかぬという話らしいんで、ここで全部つまびらかにおっしゃっていただく必要はないかもしれませんが、もしその辺り、まさに菅大臣おっしゃるように、預金保険機構、うちはあるんだということであれば、それとの整合性みたいなところは今の段階でどういうふうに受け止めたらいいのかにつきまして、コメントがあればいただきたいと思います。
  97. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 率直に申し上げて、ちょっと私も過去の経緯をある程度聞きながら今回の対応、会議に出て対応したわけですが、必ずしも今の御指摘のようなところまでの議論は、先ほど言ったような事情もあって、私がいる場での議論ではそこまでの具体的な話は出ておりません。  そういう意味で、それまでの報告や今後の議論の中で、今御指摘あったように、この二つの制度、私はこれらも、両方それぞれなのか、片方なのか、更にほかのやり方があるのか、あるいは特に世界の、G20ならG20が共通でやるべきことという形に位置付けられるのか、国によって選択性になるのか、そういったことについてはこれからの議論だと。  それから、時期的な問題も、多少の幅を持って実施をすると。私の理解では、今回のことに対しての事後的な対応であるということは、逆に言うと、将来また似たようなことが起きたときに対する対応という側面がかなりあるというふうに理解していまして、そういう意味では、今すぐ実施をするというよりも、一、二年の幅を置いて、次回、次回がない方がいいんですが、次回にもし同じような金融危機が生じたときに備えての対応と。  そんなことで、いずれにしても、今年六月のサミットでIMFの方から最終報告が出されると。それが一つの今後の方向を決めていく大きな要素になるだろうと思っています。
  98. 林芳正

    ○林芳正君 もう当たり前のことでありますが、課税自主権というのがありますので、我々が反対していてもIMFで決まったので突然何か銀行に税が掛かるなんてことはもうあり得ない話でございまして、まさに今、菅大臣おっしゃっていただいたように、決まった場合はどうするのか、みんなで国内法を手当てしてやるのか、選択性にするのか、いろんな議論は今からだと、こういうことでございました。  実は、私このことが少し気になったのは、峰崎大臣や皆さんと一緒に超党派で国際連帯税をやろうという議員連盟をやっておったものですから、これは、通貨取引を課税対象にして課税をして、その分でODAみたいなものに回せないのかという昔からある議論でございますが、かなりこの議論は進んできておりますので、むしろ、例えばイギリスのブラウン首相なんというのはそのことをかなりバックアップされているというふうに聞いておりますけれども、そういう、言わばファイナンシャル・トランザクション・タックスと言われているそうですが、FTTみたいな話が一方でありますので、一概にみんなで一緒になってやろうということを否定するというものではないわけですが、やはりこっちのFSC、FATになりますとかなり一般的な課税みたいになりますので、そこは非常に慎重に対応をしていただきたいというふうに思います。  今、菅大臣がおっしゃっていただいたように、日本もそういう立場を御表明いただいておりますし、カナダも反対だと、この案のとおりでは、ということをおっしゃったということですが、それ以外の、今ちょっと私触れましたイギリスやドイツ、フランス、それからアメリカはオバマ大統領が、こっちは何かFCRフィーという似たような感じですが、ファイナンシャル・クライシス・レスポンシビリティー・フィーというのをやっぱりやるんだというような提案されておられるということですが、この辺の今回のIMF提案に対する受け止め、反応というのがもしお分かりの範囲でございましたら御教示いただきたいと思います。
  99. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今最初に指摘のあったいわゆるトービン・タックス、トービン税等について、実はIMFの中間報告の中で若干触れられておりまして、トービン税のような金融取引への課税については、金融機関のリスクに応じた賦課に適さず、その負担の大部分が顧客に転嫁されるため適当ではないという、そういう趣旨のことがありまして、どちらかといえば、先ほど言われた二つのことの選択肢ないしはそれらの方を選択していくという、そういうことがこの中間報告の方で指摘をされております。  そういうことで、何度も申し上げて恐縮ですが、こういう中間報告等があって、そういうレベルの上に議論は進んでいますが、平場の議論では余り時間をこれに取らなかったものですから、私自身がそれ以上、各国のことも、カナダは確かに消極的というか割と冷静でありましたし、アメリカについても、ここは若干私の推測も含めて言えば、今回ゴールドマン・サックスをSECが訴えるとか、まあ多少国内政治のいろんな要素もあって、現在のオバマ大統領が、特に金融機関がまた再度大きな報酬を得ているというようなことに対する国民の反発等もあって、そういうことも念頭に少し積極的になっているのかなと。  ですから、そこは、原則的な考え方についてはまあ各国反対はいたしておりませんけれども、具体化する中では、それぞれの国の考え方がこれからもかなりの温度差のある中で出てきた中での取りまとめになるのではないかと、これは推測を含めてそんなふうな感じを持っております。
  100. 林芳正

    ○林芳正君 ありがとうございました。  そういう議論も含めて次の金融危機にどう対応するかみたいな議論、出口戦略みたいなものも出てきておるわけでございまして、もう最後、ちょっと残り少なくってまいりました。  亀井大臣に三年間の返済猶予みたいなことをやっていただいて、まあ危機対応だと思うんですね。ずっとこういうことが未来永劫続くということはなかなか考えられないわけでございますし、また、これは御意見違うかもしれませんが、郵貯、簡保の限度額のお話も、私が勝手に解釈しておりますのは、将来ちょっと国債の引受けみたいなものが不安になってきたときに、少しそういうものを用意をしておくというふうにとらえますと、これもまあ若干危機対応的な部分があるのかなと。  こういうふうに考えますと、やっぱり国際的に危機対応を今やっていると、しかし、いつまでも、こういうモードでないときに少しずつ出口戦略というものを中長期的に考えていかないと本当にモラルハザードが起きてくると。この兼ね合いが難しいと思いますが、その辺りにつきまして、亀井大臣、どういうふうに考えておられるか、最後にお聞きしたいと思います。
  101. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 昨年末成立しました法案は、来年三月までの時限立法にいたしております。なぜ時限立法にしたかと申し上げますと、現在のようなそうした状況がずっと続いていくということがあってはならないという、そういう私自身の考え方もあります。経済自体が、金融状況自体がノーマルに回転をしていかなければならない。残念ながら、今の状況においては金融機関のマターも本来の金融機関としてのそうした役割を残念ながら果たしていっていない。本来ならこういう法案は私は要らないと思っておるわけでありまして、残念ながら、政府が背中を押すといいますか、そういうことをやらざるを得ないということで時限立法ということにしたわけでありますので、もう来年の三月までには民間の金融機関が自主的に本来のあるべき姿で活動をしていただければいいと、このように期待をしておるわけであります。  また、郵貯の限度額の問題につきましては、私どもは、この郵貯の現在の地域社会、また国全体に対する役割が当初考えられたようなやはり役割を、民営化という大合唱の下で行われましたけれども、実態は、全然懸け離れた実態に私はなっておると思います、残念ながら。  そういう意味では、地域経済に対しての役割をきちっと果たしていく、あるいは国全体の経済に対する産業資金の供給、また国全体に対しての資金供給ができるというようなことも、これは日本郵政自体が自主的に判断をしてそうした対応がしていけるような、そうした事業体として私は今後きっちりとこの展開をしてもらいたいと、このように考えておりますので、あくまで日本郵政が民間企業としての自発性、自主性、そういうものを一つ金融機関として発揮してもらうことを期待しながらこの法律を作っておるわけであります。  ただ、一方、山間部、島嶼部まで含めてのユニバーサルサービス、一般の金融機関には課していないものを課しておるという状況もあるわけでありますので、一般の金融機関は青天井の限度額でありますから、そういう意味で二千万円に一応この際限度額を引き上げる。ただ、その後の状況を見まして、これを施行時において金融のそういうシフトの状況等を見ながら、そのときにまたもう一度判断をしたいと、こういうようなことを考えておるわけでございます。
  102. 林芳正

    ○林芳正君 終わります。
  103. 牧野たかお

    牧野たかお君 自民党の牧野でございます。  今、林委員が最後に質問をされたことで私はちょっとお願い的な質問になってしまいますけれども、金融円滑法が先ほど大臣がおっしゃったみたいに成立して、元々は中小零細企業向けで考えられたと思いますけれども、多くの個人が住宅ローンの返済に今活用しているというか、利用されているし、またそれを金融機関の方が対応してもらっているということで、私は、そういう意味では、そうやって認めちゃっていいのかどうか分かりませんが、効果は私はあると思っておりますけれども、個人的には。  それで、実は今年の三月三十日に全国的に寒冷の被害が農産物に出ました。これは幅広い範囲なんですけれども、とりわけ、自分のところで恐縮なんですが、静岡県はお茶の産地なんですけれども、余り言うと風評被害になっちゃっていけないのかもしれませんが、一万三千ヘクタールぐらい被害を受けました。  それで、これまず、私も知らなかったんですが、今度の金融円滑法というのは農家も対象になるということを事前に伺ったわけでありますけれども、これまでに、この三か月の間でそういう農家でこの金融円滑法の利用をしたというか、それを受けて金利の軽減だとか返済の繰延べをしたというのはどのぐらいあるか分かりますか。
  104. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 突然の御下問でございますので農家がどのくらいかということは分かりませんが、例えば主要九行の二月現在のお申し越しでも四万四千件の二兆二千億。これは中小企業ベースでありますので、その中には農業関係の事業者もいようかと思います。  ただ、先生御下問の農家ということになりますと、これは農協さんであるとかあるいは農中も含めて系統金融機関の方により多くがお申出になっていると思いますので、一度確認をしてみたいと思います。
  105. 牧野たかお

    牧野たかお君 私も全国的にどうなっているかというのは分かりませんが、私の周りでいうと、まあ静岡県でいいますと、今農家といっても共同でいろんな加工施設等を運営しているところがだんだん増えていると。集落営農だったり、またそういう共同化というのがどんどん進んできたものですから、それで必ずしも政府系の金融機関、また農協関係金融機関ばかりじゃなくて、一般の銀行から借りているところも結構あります。  ところが、こういう自然災害が起きてしまうと、毎年返済をしているのが、多分これは今年返済するのが大変になってしまうと。そしてまた、元々は結構高い金利で借りていた分もあるかと思いますし、それだって本当は一般の金融機関に対してのこういう制度を利用して活用してもらえばいいと思うんですが、実は私も知らなかったぐらいなんですが、ちょっと恥ずかしいですけれども、この金融円滑法というのはどうもみんな企業向けだと思っている人が多くて、あと個人は住宅ローンは途中でそれを認めたというふうに思っている人が多くて、これは要するに、そういう農業者には当てはまらないと思っているところが多いんじゃないかと思うんですよね。だから、先ほど大塚副大臣おっしゃったけれども、まだそういうことを知られていないから、私は、数字はもちろん今お分かりにならないんでしょうけれども、少ないんじゃないかと思うんですよ。  だから、一つは、柔軟な対応として、そういう農業者もこれは対象になりますよというのを広めてもらいたいというのが一点と、もう一つは、四月の二十日付けで、今月二十日付けで農林省が、政府系の金融機関と農協に対しては、要は返済を延ばしてあげるように配慮してくれとか、そういう通知を出したんですが、一般の金融機関向けには農水省ですので出していないんですよ。また、一般の金融機関は果たして農水省が通知を出しても言うことを聞くかどうかというと、これはちょっと疑問に思うところがあります。  ですので、亀井大臣に質問を兼ねてお願いするわけですけれども、そういう各金融機関、一般金融機関にも、こういう自然災害を受けたときに農家に対して返済の期限を延ばすとか金利を借換えで下げるとか、そういう指導を、普及と指導をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  106. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 今まで農家だけということで限定した形でのそういうことは御指摘を受けるまでやってはおりませんけれども、議員御指摘のように、そういうところまでやはり金融機関に対して注意を喚起してきちっと対応するように金融庁としてやりたいと、このように考えております。
  107. 牧野たかお

    牧野たかお君 非常に深刻な今事態になりつつあるかと思います。これは静岡県だけじゃなくて、野菜の生産地、また果樹の生産地、これから多分被害が、一か月ぐらい先に多分集計されて出てくるんでしょうけれども、そのときからといってもなかなか、そうすると空白が出ちゃうものですから、なるべく早くそういう迅速な対応をしていただきたいなというふうに思います。  じゃ、今度は金融商品取引について質問しますけれども、先ほど、午前中からいろいろ御質問があって、高度な質問を伺って、伺っていても若干ちんぷんかんぷんなところもあったんですが、私は基本的なことを聞きますけれども、この金融商品取引法というのは、資料を読ませていただいたり事前に説明をしていただいて、金融商品の取引に関する総合的なルールを決める法律だというふうに私は認識したんですけれども、この法律の対象となる金融商品というのが、先ほど林先生がおっしゃったみたいに、そこまで商品として作るものかというところまで本当に金融商品の幅が広がっているというふうに、そういう認識をいたしております。  最近ちょっと読んだ雑誌に載っていましたけれども、最近なんかラブホテルに投資するようなファンドも出ていて結構人気を博しているというんですが、そういうことまで金融商品にしちゃうというのはすごい商魂たくましいなと思うんですが、まず、この法律に定めている金融商品という定義というのはどの範囲まで言うんでしょうか。
  108. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 委員指摘のように、この法律は平成十八年に制定をされたわけでありますが、金融を利用される利用者保護の徹底を図るために、規制のすき間を埋める観点から幅広い金融商品取引を対象とするように制定をしたものであります。その際に、具体的には、金融商品の範囲に、従来からの株、社債等に加えまして、集団投資スキーム持分というものを定義として追加したところであります。  この集団投資スキーム持分は、出資対象事業を限定していないことから、株券等への投資以外の一般的な事業に投資するファンドの持分も金融商品としての規制の対象となるということでありまして、今委員が例示として出していただいたようなものがどのようなものかは分かりませんが、いずれにしても、幅広く投資家や利用者が安心して利用できるような金融の実情を生み出すための法律ということになっております。
  109. 牧野たかお

    牧野たかお君 原則的には何となく分かるんですが、例えば、金融商品という名前だったら要はどんなものでも金融商品にしていいということなんでしょうか。今の、要は規制がなくて、どんなものでも要するにお金を集めてどこかに投資するというものをつくれば、それを全部金融商品として認めちゃうということでいいんですか。
  110. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) いや、それはまさしく根源的な御質問でございまして、先ほどの林委員の御質問のときのやり取りとも関係してまいりますが、どこまでを金融商品と言うか、あるいは新たな金融商品としてどのようなものが生み出されるのか、これは日々刻々、まあ時代とともに変わっていくという側面が強くなっております。  例えば、最近非常に強く認識され始めたものとして排出権取引というものもあります。この排出権取引も、環境対策という分野からこの排出権取引を見る方にとっては、これは地球温暖化のための政策手段なんですけれども、これは、金融取引というサイドからこれを見る人たちにとっては、株や金などの裏付けのあるもの以上に無から有の金融資産を生む商品ですので、本当に定義の難しい商品であると思っております。  事ほどさように、すべての実物経済の裏側には金融取引が表裏一体でございます上に、今申し上げましたような実物経済と必ずしも連動していない金融商品もあり、そして林委員の御質問のときにありましたように、その金融商品のリスクをヘッジするための金融商品もあり、そのリスクを更にヘッジする金融商品もあるということになりますと、この金融商品取引法が時代とともにどこまでをターゲットにして利用者や投資家を守っていくのかということ自身が国会や行政における重要な検討テーマであるというふうに認識しております。
  111. 牧野たかお

    牧野たかお君 これは後で質問しようと思ったんですけど、要は金融商品の詐欺事件というのが今すごく増えているんですが、要するに、お金だけ集めてどこにも投資しないで、それをネズミ講のように回転させてまた新たな投資者を集めるというのは明らかに詐欺と分かるんですが、もうかるというか、もうかることは普通じゃあり得ないだろうというものに投資しても、これは金融商品として今のままだと成り立っちゃうわけですよね。  要するに、どこにも投資しないというのは、それは全くの投資じゃありませんので詐欺になると思うんだけれども、明らかにこれは絶対損をするだろうなというか、もうかるはずはないなという理屈的な話、要するにそこに必ず原資が減る部分はあっても増える部分はない、その途中の間で要するに元のお金は減っていく、何回も仲介があれば減っていくんだろうけれども、絶対これは回収できないという、元を回収できないという投資でも、今だったら金融商品として成り立つわけですか。
  112. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 議員の議論をお聞きしておりましても、結局、人間の欲望というのは際限がないし、これをどこまで国家が規制をしていけるのかという根源的な問題にまでこれは関係してくる問題だと私は思います。  こんなこと言えば乱暴ですけど、ある意味では自己責任、それをやっぱり前提にしないといけませんし、しかし、といって、やはり被害者を生まないためには、そうした商品の透明性、内容等についての開示等をきっちりとさせていくというようなことを含めて、金融機関がやはり投資家の保護という観点からあとう限りのことをやらにゃいかぬわけですが。  もう一つ厄介な問題は、日本だけがこの商品について厳しく規制をしても、これは国際性のある話でありますから、外国にまで及ぼすことができない中で我が国の中に被害者が生まれてくる危険性もあるわけでありますが、金融庁としては、そういう面であとう限り善意のやはり投資家、これを守っていくための処置を講じたいということで苦労をしておるわけであります。
  113. 牧野たかお

    牧野たかお君 私もそう思って質問をしているんですが、先にちょっと被害者の話、被害者というか、投資家保護というか消費者保護というか、今大臣おっしゃったみたいに、私も、大体訳が分からないような金融商品と言われるものに一般の人で投資している人たちはどういう人かなといつも思うんですが、それでもやっぱり中にはその中身について分からないまま判を押してしまうような高齢者の方もいらっしゃるから、これはそういう方たちは保護をしたり、また事件になるようなケースだったらそれを防止しなきゃいけないと思うんですけれども。  今回改正をしてどうなるかということなんですけれども、最近、新聞等によると、証券会社に上場していない未公開株をめぐって詐欺事件が頻発していて、一時期の振り込め詐欺が減った分だけこっちが増えているというのがありましたけれども、どうも手口も、最初何か未公開株の、ある株の名前があって、電話をしてきて、買いませんかじゃなくて、持っていたらこのぐらいで買いますので売ってくれませんかと言っておいてから別の人がまた電話をして買いませんかという話をするから、そういう被害に遭う人が増えているというふうに出ていましたけれども、今回、投資者保護という点では今回の改正というのは何らかの効果があるというふうにお思いなんですか。
  114. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 今回の法案の基本的な背景はこれまでるる議論になっているところでございますが、まず未決済残高のリスクをマーケット全体として減らすという意味においては、マーケット全体の安全性を高めるという意味では、もちろんマクロ的には投資家のためになる部分もございます。  さらには、様々な投資のビークルが破綻したときの対応として、信託を受任する機関を、行政側が破綻した後の新しい受託者を指名できる等々の幾つかの措置を講じておりますので、全体としては、マクロでもミクロでも投資家の保護に寄与する内容を含んでいるものというふうに理解をしております。
  115. 牧野たかお

    牧野たかお君 ちょっと私が質問が悪かったかもしれませんけれども、今私が伺ったのは、これ、要するに犯罪の話になっちゃうものですから、結局、本来この法律もそうですけれども、ちゃんとした登録をした業者が正規なちゃんとしたルールにのっとってそういう金融商品の販売、また金融商品を運用するということなんでしょうけれども、今私が申し上げたのは、どっちかというと、今いろんなところで起きている、登録していない、実体がないような悪質な業者というか、詐欺グループと言っちゃうと怒られるかもしれませんけれども、いろいろトラブルが起きたり、被害が起きたり、トラブルというのは、そこまで自分は投資して、約束をした覚えがないとか、ちゃんとあなたはしたとか、そういうトラブルでしょうけれども、実体がないようなものを扱っているような無登録の業者というのもかなり多いというふうに伺っておりますけれども、こういう人たちをどういうふうに排除していくおつもりなんでしょうか。
  116. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 先ほど今回の法案の観点から申し上げましたので、少し私のお答えがピントがずれていたかもしれませんが、先生が御下問の点につきましては、そもそも金融商品の取引法上、有価証券の販売等を行う業者は登録が義務付けられております。これに違反する無登録業者は刑事罰の対象となるわけでありますが、この無登録業者が関与する、例えば未公開株の今のこういう被害が増えているわけでありまして、この対策としては、当局としてできることはもちろん少しずつでもやっております。  それは、具体的には、例えば未公開株取引に関しては、三月十九日に被害の未然防止、被害の拡大防止、被害の回復に向けた取組の内容について公表をしたところであります。これは、もちろん周知徹底、そういう事件が起きていますよということを御理解いただくというのがまず基本中の基本ではありますが、被害の拡大防止に向けて、無登録業者等に対する裁判所の差止め命令の権限の活用に向けた制度整備をこれからするという取組であるとか、あるいは警察との連携強化といった取組を、これはこれからするというところも幾つもありますけれども、公表をしております。  さらには、被害の回復に向けた取組として、破産手続開始の申立て権限の対象を金融商品取引業者全般に拡大すると。つまり、何か事件にかかわっている事業者があることが認定をされて、しかし明らかに債務超過に陥っていて、ネズミ講的に増えていった顧客に対してちゃんと元本を返せないような状況にあるときに、被害拡大を防止するために破産手続開始の申立て権を行政側により広く持たせるとか、そういうことをいたしませんと先生の問題意識に沿うような対応にならないと思いますので、できる限り幅広くとは思っております。  ただ、その一方で、事業者からすると、非常に悪徳な事業者もいる一方で健全な事業者もいて、余り行政がすべての他の法律をオーバーライドするような強い権限を持ち過ぎると、それは事業者の創意工夫を阻害するのではないかという声も片方ではあるものですから、実態に即した対応をしっかりやっていくしかないという事案だというふうに思っております。
  117. 牧野たかお

    牧野たかお君 副大臣がおっしゃることもよく分かります。この間、やっぱりこの資料を読んでいるときに新聞の切り抜き等も読んだものですから、余り厳しくすると金融機関から反発が出ているというのが出ていましたけど、記事で。  ただ、私思うのは、無登録者自体が本当はあってはいけないというかあり得ない話なものですから、無登録ではなくて登録業者ですよというのを必ず、いろんな人を勧誘したり行くときに、登録業者しかこういう金融商品とかこういう未公開株とか扱えませんよというのを要するに周知徹底させるのが一番手っ取り早いというか、事件としての被害を私は防げる方法じゃないかと思いますので、その登録業者でしか金融商品を扱えませんよというのを、それを幅広く周知徹底をしてもらう方法をまず考えていただければいいんじゃないかと思いますので、また御検討をお願いいたします。  それでは、最初のうち頼んでおいて、あとまた意地悪な質問をするのもちょっと恐縮でございますけれども、郵政の改革法案骨子について幾つか質問させていただきたいと思いますけれども。  ゆうちょ銀行の預け入れの限度額を一千万円から二千万円に引き上げるということと、新規事業は従来の認可制から届出制に緩和する、そして親会社の日本郵政には政府が三分の一以上出資するというような骨子案がこの間発表されましたけれども、利用者というのは公的な保証があると思いますから、その預け入れをこれから上限額が上がれば増やそうとするのは、法案ができた場合は、法律として成立した場合は多分そういうことになるんだろうなと予想をいたします。  ところで、今そのゆうちょ銀行の口座数というのは一体幾つあるんでしょうか。
  118. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 口座数といたしましては、平成二十一年の三月末現在で三億二千万口座というふうに承知しております。
  119. 牧野たかお

    牧野たかお君 それで、三億二千万というと、日本の人口が一億二千八百万人ぐらいでしょうから三倍弱ぐらいの口座数があるかと思うんですけれども、要するに、当然三億二千万あるということは、同じ人が幾つも口座を持っているという計算しないと、そういうふうに思わないとこの数には行かないと思うんですが、このうち個人の貯金者でその上限の今一千万という口座を持っている人はどのぐらいいらっしゃるんですか。
  120. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 今手元に数字はございませんが、口座数では分かりませんが、百七十五兆の残高のうち一千万円超の残高の方々が一割ぐらい、その残高ベースでですね。ですので、口座数としてはちょっと分かりませんが、また可能な範囲で調べてお答えをいたしますが、残高ベースでは一千万円超、これは今一千万円までしか預けられないわけではなくて、一千万円以上になるとこれは利息が付かない形で置いておけるようになっておりますので、そのぐらいの金額の方々はそういうゾーンに存在しているということでございます。
  121. 牧野たかお

    牧野たかお君 なぜこういう質問をするかというと、それこそ郵貯の預け入れというのは、一番は、なぜそこに預けるかといえば、国民の皆さんが安心できるということが一番だと思うんですよね。  それで、過去、金利が高かったときがあって、私も実は地方にいたときに、議員やっていたときに郵政の関係の連盟があったものですから、私も、つくらされたと言うと怒られますけれども、つくりましたけれども。そういうとき、いろいろ懇談をやったものですから、いろいろ聞くと、家族名義、要するにそこの一家の生計を得ている人だけじゃなくて、お子さんだとか家族の名前で限度額まで、要するに、一千万なら三人お子さんがいれば三人分全部入れているような方もいらっしゃいました。そういう方もいるというふうにそのとき伺ったんですが。  今回、その一千万から二千万に限度額を上げるということでいうと、過去にそういう家族の名前で口座を作って上限額まで貯金している方というのも、私はかなり本当はいるんじゃないかと思うんですが、それを恐らくお調べになっていないと思うんですよね。  金融機関が反発が出ているのは、そのやっぱり上限額を上げれば、本当に郵貯の方に全部お金行っちゃうということを心配されていると思うんですよ。で、郵貯の方でも、金融機関のこと、民間の金融機関を圧迫してないよという一つの姿勢みたいなものとして、今の口座をもう一回、何というんでしょう、名寄せをした上で実態はどうだというのを調べ直されて、それで、ちゃんと収入を得て預ける方はそれでもちろんいいと思うんですが、家族の名義を使ってとにかく自分のお金も家族名義で上限額まで預けちゃうというのがないようにするというのも私は一つの姿勢ではないかと思うんですが、余計なお世話といえば余計なお世話かもしれませんが、そういうことを考えるおつもりはありませんか。
  122. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) いや、これは余計なお世話ではございませんで、大変重要な問題でありまして、二〇〇四年から五年にかけて行われた郵政国会の中でもその点は議論されたわけであります。  したがって、先生方が与党としてお作りになった法案が可決されて民営化をされて株式会社化をされたわけでありますが、そのときも株式会社として普通の銀行、しかも、ゆうちょ銀行は普通の銀行としてやっていく以上、民間銀行と同様に本人確認義務があるのでしっかりそれをやるべきだという議論が行われました。そして、あの平成十五年の一月、その議論に先立って本人確認法というものが施行されておりますので、実際、民営化された後のゆうちょ銀行もそのことをしっかり取り組もうとしているわけでありますが、実はそこから二つの問題があって、そのことをきっちり峻別して対応していくということが今の先生の問題意識にもおこたえをし、そして郵政も民間からの批判、懸念にこたえるためのポイントだと思っております。  その二つのことというのは、一つは、この本人確認法に基づいて、やはりやるべきことはしっかりやらなきゃいけない、新規のお客さんに対してはですね。ところが、これが余りに過度に、小規模郵便局などで、もう隣のおばあちゃんだと分かっている人にまで免許証を持っていらっしゃいとか、そういうことをやるということが一つの郵政民営化の光と影の影の部分として言われたわけでありますので、これは本人確認法できっちりやるにしても、常識の範囲でやればいいという部分もありますが、しかし民間金融機関になるので余りにルーズになってはいけない、しかし顧客がもう隣の人だと分かっているのにそこまでするのかという、この辺のバランスの問題が第一点であります。ただ、それは新規の話であって、過去分については、これは郵政は地道に取り組まなくてはいけない問題だと思っております。  私自身も、多分他界した母親が私の口座を何か作っていたような記憶がありますし、私自身も子供のころは近所の郵便局で自分のお年玉入れるために作った口座が何か閉じた記憶もありませんので、多分そのままになっているのが先ほどの三億のうちの幾つかに入っているわけですね。  したがって、この過去の分をきっちり名寄せをしていくということは、今後の経営陣の皆さんが民間金融界からやゆをされない状況を生み出すためにしっかりと取り組まなければいけない経営努力だというふうに思っておりますので、その点は、今回私どもがこれからお出しをさせていただく方針の法案でも、ゆうちょ銀行は引き続き銀行法に基づく銀行ということになっておりますので、しっかりとした対応を経営陣がしていくように促していきたいというふうに思っております。
  123. 牧野たかお

    牧野たかお君 今の副大臣のお答えは、多分、私が言わんとしていることをよく理解していただいていると思っています。私も出身がかなり山の方なものですから、特定郵便局がなくなってしまったら困るという住民の声はよく分かっていますし、そういうところで郵貯がどういうふうに勧誘をして、どういう方たちが貯金しているかも大体分かっているつもりで、だから余り言いづらいものですからこういう言い方をしているんですが。  結論から言うと、過去の部分も、いわゆる新規は確かにそのとおりなんですよね、ちゃんとルールにのっとって口座は開設されていると思いますけれども、過去の口座というのが限度額いっぱいまでを家族の名義で、一軒のうち、一軒のうちというか、その世帯主が利用しているところも実際は私は多いというふうに、断定すると問題がありますので、多いと思いますと言いますけど、ですので、そういったものをもう一回ちょっと整理しないと、やはりくどいですけれども、民間金融機関への圧迫ということではないんですよという意味で、その姿勢として整理をしていかないといけないんじゃないかということで今申し上げたところでございます。  最後に、いずれにしろ、私は郵貯の預かるお金というのはもっと増えていくと思うんですけれども、先ほどお話もありましたけれども、今八割が国債で運用されているわけですが、これが増えていった場合、国債以外でどんな運用をされようと考えていらっしゃるんですか。
  124. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) まさに御指摘の点が、集めたお金がちゃんと地域のため、日本経済のためにこれが使われていくということがなければ宝の持ち腐れになるわけでありますけれども、一番今大きな問題は運用する能力、ノウハウ、こういうものをどう身に付けていくかということであると思いますが、私は、やはり地域の第二地銀とか信金、信組辺りとやはりうまく協調をしながらやっていく。現に、私この間四国に参りましたら、愛媛銀行からも是非そういうことを一緒にタイアップして地域のためにやっていきたいというような話も具体的に私は聞きましたけれども、まさに今後、場合によったらモデルケースですね、各地域に、そういうものをつくっていくことも私は大事なのではないか。  ぱっと総花的にといいましても、そうはいきません。それは全体としての運用も、原口大臣がまた大きな構想もちょっと考えて発表もしておられますけれども、ただ国債の引受けをするというような、そういうことだけではなくて、もっと産業資金を、これを日本郵政自身が、国債を経由してじゃなくて、これをちゃんと国家のために使っていける。これはいろんなやり方があると思うんです、何も財投の復活というような形じゃなくてもですね、そういうこと。あるいは国際的にも、やはり膨大なこれ資金ですから、それを我が国のために、我が国の国民のために使っていく。世界が幸せにならないで日本だけが幸せになっていくことはできないわけでありますから、そういう観点から、日本郵政は本当に大変な意気込みを持って今この準備をしておりますので、議員からも是非具体的ないいノウハウ、知恵をいただければ本当に有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
  125. 牧野たかお

    牧野たかお君 終わります。     ─────────────
  126. 大石正光

    委員長大石正光君) この際、委員異動について御報告申し上げます。  本日、尾立源幸君が委員辞任され、その補欠として川崎稔君が選任されました。     ─────────────
  127. 白浜一良

    ○白浜一良君 今回の金取法の改正は、もう午前中から十分な審議がされていると思いますが、もとより昨年、一昨年ですか、リーマン・ブラザーズが破綻したと、世界的な金融危機がございまして、これではいけないということでG20でいわゆる合意形成をされた、その一端で国内手続、これはもう私が言うまでもございません。  ただこれ、ぶっちゃけて言いますと、大変難しいのは、資本主義社会ですから、これ。それで、資産とか資本というのは、いわゆる製造業に投資して、それで物がつくられて、それで売るという、そういう投資というのは比較的分かりやすいんですけれども、それ以上のお金があって、いわゆる金融派生商品というんですか、金融商品がいろいろ開発されるということ、ある意味で法律よりも実体経済の方が先行するわけですね。これは金融商品だけじゃございません。今のいわゆるネットの世界もそうなんですね。どんどん実態の方が先行して法律が追っ付いていかないという、こうなるわけで、そのいわゆる大きな破綻の現象というものが起こってしまったということで、さてどうするかということなんですね。  だけれども、実体経済の、金融業界の方から見れば、余り規制したら投資のうまみがなくなってしまうと、こういうふうにもなるわけで、ルーズにするとリスクが余りにも大きいという、それでさてどうするかと、こういう大きな現代社会の大きなテーマを持っている、その今回は一端の改正措置だと。当たり前の話なんですけれども、私はそう理解しておりますが。  そこで、いわゆるデリバティブ商品というのは店頭で相対取引なんで実態が分からないということで、今回の改正案の中でいわゆる金融スワップ取引とCDS取引というのを清算集中しようという、こういう趣旨でされる、これはいいことだと思うんですが、だけれども、国内のその清算機関というのは小さいわけですね、それだけ取引も小さいということなんですけれども。しかし、その中でいわゆる最低資本金規制というものをやろうと、こういうふうに伺っておりますが、これは政省令で決めると、こういうふうに伺っておりますが、何らかの考え方の基準みたいなものは既にお持ちなんでしょうか。
  128. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 基準というものは今現在ここでお示しできるようなところまでは至っておりませんので、政令の策定段階において検討させていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、例えば現行でも、金融商品取引所であれば最低資本金額は十億円、それから振替機関ですと五億円、あるいは決済を行っているという意味においては銀行も決済を行っているわけでありますが二十億円、こういう最低資本金額がありまして、この清算機関の資本金額を今後考える上で、その清算機関がどういう清算ルールに基づいて清算業務を行うかということとも恐らくこの最低資本金額の考え方は影響が出てくると思います。  と申しますのは、その清算の何か事故が起きたとき、そのときの事故に対する補償みたいなもの、これは別の全くその枠組みの中でプレーヤー同士が補い合うものだということであれば、これは清算機関のインフラとしての運営がきっちりやっていけることが担保される最低資本金額でいいわけでありますので、今申し上げましたような幾つかの考え方について整理をすると、おのずとどのくらいの金額かということが想定をできてくるものというふうに思っております。
  129. 白浜一良

    ○白浜一良君 分かります、考え方は分かりますけれども、いずれにしても、いわゆる取引そのものが日本においても拡大する可能性もあるわけで、そういう将来性も踏まえた上で適正規模というのはそれなりに設定されるべきだということだけ申し上げておきたいと思います。  それから、証券会社の連結規制ですね、これもやることになっているんですけれども、これはいわゆる総資産額を基準にされるんですか。
  130. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 総資産額も一つの基準として用いる方向で考えております。
  131. 白浜一良

    ○白浜一良君 総資産額もとおっしゃることは、ほかにもそういう基準があるんだということなんですか。
  132. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 連結規制の対象とする証券会社をどのような先とするかということでありますが、例えば総資産だけでなく、大規模、広範な取引を行っていると認められるという定性的な基準もございますので、それを定量的に表そうとすると総資産ということになってくると思います。  また、国際的に活動する大規模な証券会社を対象とするという、こういう定性的な考え方もありますので、いずれにしても、総資産というものがかなり重要な一つの基準になることは間違いないと思っております。
  133. 白浜一良

    ○白浜一良君 確かにいわゆる広がり、国際的な広がり、定性的なものも加味されるのは当然ですが、今おっしゃったように、総資産額とある意味でパラレルなこともあるわけで、一つの基軸になることは間違いないということですが、これもまだいわゆる具体的な数値というか規模を決めていらっしゃらないということですか。
  134. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) これも政令事項として今後決めさせていただきたいというふうには思っておりますが、前回か、あるいは衆議院の方でも答弁をさせていただいたかもしれませんが、例えば仮に総資産額の基準を一兆円と、グループ全体で一兆円というふうにした場合には、これは証券会社の会社の数でいうと五%程度になりますけれども、総資産額という単位で考えると大体九割程度をカバーすることになりますので、そういった実態も踏まえて、基準は政令で決めさせていただきたいと思っております。
  135. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、関連して、保険会社の場合は連結財務規制を考えていらっしゃって、これはソルベンシーマージンですよね。これはどういうお考えですか。
  136. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) おっしゃるように、保険会社の連結規制も今回導入をさせていただきます。その場合に、これまで単体のソルベンシーマージン基準だけでございましたが、今度は連結ベースでのソルベンシーマージン基準を検討をさせていただいております。これは、グループ全体の資本金、準備金等の合計額と、そしてグループ全体でのリスクの総量に基づいて計算をさせていただきますけれども、具体的な基準についてはやはり今後検討させていただきたいというふうに思っております。
  137. 白浜一良

    ○白浜一良君 私が今聞きましたのは、この法律が通って、それからいわゆる政省令で決められると、そういう建前になっていますからそれで結構なんですけれども、今日、これ法案の採決する予定になってございますね。明日、順当ならば本会議でこの法案が成立すると、こういう段階にもう来たわけでございまして、これ、実際いわゆる担当されている、商売されている方は、いつごろ決まるんだろうと興味を持っていらっしゃる。それは実務家はそうですよね、当然。そういうこともあって、いつごろまでにはきちっと決めますよというふうな目標設定すべきだと思うんですが、今の段階で言えるかどうか分かりませんけれども、いつごろまでにはきちっと決めますと、こういうことが大事だと思うんで、もし可能ならばお話しいただきたいと思います。
  138. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 法律の立て付けとしては公布から二年以内に決定をするということになっておりますので、その期間内に決めさせていただきますが、しかし、政令で基準を明らかにいたしますと、これはパブリックコメント等にもかけさせていただきますので、いつごろ政令をお出しすることができるか、広く関係者の皆さんにお知らせすることができるかについては、見通しが立ったところでできるだけアナウンスをしっかりさせていただきたいというふうに思っております。
  139. 白浜一良

    ○白浜一良君 野党時代の大塚先生だったらはっきりおっしゃったでしょうけどね。政府側に行っていらっしゃるからうかつなことは言えないということで、まあそれは当然かも分かりませんが、ある程度思い切って言うべきことは言った方がいいですよ。  二年以内に公布ということでございますけれども、もう法律ができたときから、ある程度この法律が閣議決定されたときから業界では準備しているわけでございまして、構えているわけですよ。用意ドンさえくれたら、ぼっとこう行くぞというものがあるわけで。慎重な答弁も結構でございますけれども、ちょっと寂しいなという感じがしたわけでございまして、大臣、おっしゃりませんよね、おっしゃりませんよね。
  140. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 御趣旨のことも踏まえまして、皆様方の期待に沿えるようにできるだけ早くやりたいと思っています。
  141. 白浜一良

    ○白浜一良君 はい、分かりました。  それから、金融業の世界では財務の健全性というもので定量的な基準を作っていらっしゃって、これは当たり前の話でございますが、銀行の場合は国際業務が、これはもう国際的なBIS規制ですから八%というふうになってございますし、保険会社の場合はソルベンシーマージンが二〇〇%ですか、証券会社が自己資本規制比率が一二〇%と、こういうふうになっているわけでございますが、かねてから、それぞれ業態別のこういう基準があるのはいいんですが、もう要するに、金融商品の多様性という面から見れば重なっている部分も随分あるわけで、一元的に監督できるようにした方がいいんじゃないかと。銀行法とか証券法とか、業態別の法律の体系になっていますね。それぞれ金融庁が監督しているんでしょうけど、いわゆる権限がそれぞれ個別になっているわけでございますから。これだけ多様化して関連性のある金融商品の世界になっていますから、法律を一本にせいとは申しませんけれども、こういう監督の一元化ということが大きなテーマで。これは審議会でも議論はされていると聞いていますが、こういう流れはどういうお考えなんでしょうかね。
  142. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) おっしゃるように、直接金融、間接金融分野、今まさに入り乱れてきておるわけでございますので、金融庁としましては、そうした分野、また先ほど来議論になっております新しい金融商品等もどんどん出てきているような形で金融分野がどんどん広がっておるわけでございますので、金融庁としては本当に苦労しているんですよ。これは人員だけじゃなくて、金融庁の場合は私みたいなアバウトじゃ務まりませんので、やっぱり能力的にも優れた職員をどう確保していくかというこの現実の問題なんです、これは。この法律の施行にいたしましても、そういうことを金融庁が能力をしっかりと身に付けていかなければ、うちの職員も、全然そんな商品見たことも聞いたこともない、扱ったこともない、そういう立場でもやっていくわけでございますから、金融庁の本当に仕事、形式的じゃなくて実質的にこれを効果を上げていくということは極めて大変なことだと、このように実感をしております。
  143. 白浜一良

    ○白浜一良君 今大臣の答弁伺っていてふと思ったんですが、冒頭私が言いましたように、実体経済の方が先行しているんですね、商品開発というのは。役所が分かりませんわ、それは。やっぱりもうけになるもの、売りやすいもの、売れるものと、常にやっぱり開発していって、それは仕事ということですからね。  ですから、私、これは私の個人的な意見ですけど、本当にそういう商品開発するのが激しい、また多様化したそういう世界、デリバティブの世界を健全に監督されるお仕事なので、実際そういう仕事をされている方をヘッドハンティングして、今まででしたら審議会とかつくって御意見関係者から伺って、それで法律作ったり、そういういろいろなルールを作ったりという、従来のルールはそうですけど、私はアメリカがいいとは言いませんけれども、すべてアメリカがいいとは言いませんけれども、アメリカはそういう面ではもう実態の世界とそういう行政の世界が入り組んでいますよね、要するに。実際、ある面でそういうことが、金融庁なんかは大変難しいお仕事なんで、そういうこともあってもいいんじゃないかと、こういうふうに従来から思っていたんですけれども、今ふと大臣の答弁を聞いてそういうふうになおさら思ったんですが、何か御意見ございましたら。
  144. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) もうまさにおっしゃるとおりでして、これは金融庁にとっても喫緊の課題であります。予算上の人員増の処置をすれば済むという、そんな話ではございませんので。先日も東京証券取引所にもお伺いしたときも言ったんですけれども、そういう意味ではやっぱり官民交流、そういうことも思い切ってやらなければ、金融庁内部だけでそれを純粋培養的に養成していくということも現実において私は非常に難しいだろうと思うんです。  ただ、これは公務員制度が今いろいろと言われておりますけれども、そうした公務員制度との問題もございます。また、給与の問題もありますね、報酬の問題もあるわけでございまして、金融庁の職員にとってみれば目のくらむような収入を得ているそういうある意味では職場、職場の中に身を投じていってまた戻ってくるという、そういうことが本当に可能かなというようなことを私はふっと下世話にも感じるわけでもございますけれども、しかし、議員御指摘のように、この問題は避けて通ることはできないと、このように考えております。
  145. 白浜一良

    ○白浜一良君 多分、いわゆる金融業を担当されておる方が役所に来てもらって実際のそういう法律なりルールを作ってもらうというのは役に立つと思いますが、金融庁の役人がそういう世界へ入って仕事務まるかというと、これは逆はまた大変私は実際は難しかろうと思いますが、いずれにいたしましても、いろんなところの知恵を導入してしっかりやっていただきたいと思うわけでございます。  それから、ちょっとCDS議論を今日はずっとされていますが、ちょっとこのCDSについてお伺いしたいんですが。  ギリシャ財務破綻の危機ということで、大変EU全体が大変な中にあるわけでございます。これも考えたら、いわゆる国債のリスクということで、CDSが逆にマイナスに作用したということも一般的に言われているんですけれども、これなかなかCDS取引は相対がベースなので実態が分かりにくいということがあるんです。日本でも当然統計は取っていらっしゃるんですが、この辺の実態はどういうふうになってございますか。
  146. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) お答えいたします。  CDS取引の取引残高でございますけれども、二〇〇九年六月末におきまして、世界の取引残高は想定元本ベースで三十六兆ドル、そして日本の取引残高は八千八百七十二億ドルでございます。  また、CDS取引の取引主体及び取引目的でございますけれども、取引主体につきましては、金融機関や機関投資家、ヘッジファンド、事業会社といったところであると承知をしております。取引目的につきましては、自らの投資や融資の対象企業等について信用状況の変動等で生じ得るリスクのヘッジを目的に取引を行ういわゆるヘッジ取引、そしてCDS取引そのものを投資対象として利益を得ることを目的に取引を行ういわゆるトレーディング取引、あるいは証券化商品の組成を目的に取引を行うといったようなものがあるというふうに承知をしております。
  147. 白浜一良

    ○白浜一良君 日本は小さいからそれほど問題がないのかも分かりませんが、オバマ大統領が、アメリカ金融破綻がベースになったんでいろいろな先導してやっぱりそういう規制を作っていこうと呼びかけをされているわけでございます。どっちかいったら欧米の議論が主流になって、日本はそれほど、市場も小さいということもあろうかと思いますが、そんな進んではないんだろうと思うわけでございますが。欧米で、いわゆるアメリカとEUで議論してルールを作ってリードして日本も従わざるを得ないという、こういうことになっては必ずしも日本の国益にかなわないという面で、市場は小さいですけれども、私はやっぱり本来そういうCDSに対する規制ルールというものはどうあるべきかというのを日本としても積極的に検討されるべきだと、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  148. 田村謙治

    大臣政務官田村謙治君) 今委員がおっしゃいましたように、確かに日本の取引自体がまだ世界の中で小さいという状況ではありますけれども、そこは委員がおっしゃいますように、しっかりと金融庁、国内でも議論してまいりますし、あるいは今委員がおっしゃっておられました国際的な議論の場においてもしっかりと意見すべきところは意見をするというふうに積極的に参画をしてまいりたいと考えております。
  149. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣
  150. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) まさにおっしゃるとおりでありまして、世界的にこの分野においても破綻が起きたりいろいろな問題が起きた場合、その被害は我が国にも当然及んでくるわけでもありますので、もう取引量が少ないからという、そういうことで何にも遠慮をする必要は私はないと思います。我が国の立場においても大いに発信をしていく、そして世界の市場の中である意味では小なりといえどもあるべき健全な姿での取引をリードしていくというぐらいな気概を持っていくべきだと、このように思っています。
  151. 白浜一良

    ○白浜一良君 逆の意味で、CDSだけじゃなしに金融商品全般でそうでございますけれども、国際ルールは国際ルールで調整しなければならないこともあろうかと思うんですが、それぞれの国であってもいいんだという考えも一方であるわけですね。  亀井大臣は、何か記者会見で、日本には日本なりの事情があると、こういうことをおっしゃっているんですかね。こういう金融取引のルールに関する基本的な考え方ですが、国際的なルールはルールとして、それはそれとしても、各国個別のルールがあってもいいんだと、こういうふうにも発言されていると伺っているんですけれども、この点は。
  152. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は、どんなに国際的な商品であろうとも、国際的取引であろうとも、それがやはり行われているそれぞれの国における言わば文化的な風土、伝統、生活習慣、そういうものと無縁なことでは私はないであろうと思います。やはりその国の、また住んでいる人たちの幸せのためにそういう取引がなされていかなければならない。そういうためにこそその国の政府はあるわけでありますから、そういう視点からこういう問題についてもきっちりと対応していくべきだ、このように考えております。
  153. 白浜一良

    ○白浜一良君 おっしゃっているとおりで、国際的なルール作りは、これは資本とか金融というのは世界を駆け巡るわけですからね、それは当然そうなんですが、各国固有の文化なり伝統なりあるので、大臣おっしゃっているようにですね。  ただ、大事なことは、そういう各国個別の実情というのが世界的に孤立する理屈であってはいけないというか、これは大変大事なことでございまして、そういうことも踏まえてしっかり担当していただきたいと要望しておきたいと思います。  それで、財務大臣、今日は御出席いただいておりますので、今日も既にG20の先日の会合の話がございました。  ただ、昔、G7なりG8なり大蔵大臣日銀総裁と参加していたころは、大蔵省というのは財政金融も両方担当されていたわけですよね。その後のいわゆる議論経緯で財金分離ということで、大蔵省から財務省金融庁に、こういうふうに分かれたわけでございますが、G7なりG20なり財務大臣出席されているわけで、当然、日本金融行政も踏まえてこれ御参加されていると思うんですが、場合によっては金融担当大臣がいた方がいいなと、こういうふうに思われたことはございますか。
  154. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今回のG7も、さらにはG20もそうでありますが、それぞれ七か国あるいは二十か国の財務大臣と中央銀行総裁会議という位置付けになっております。  このG20、G7は、世界経済の見通し、それから金融規制改革、国際金融機関の改革等、幅広い国際経済問題について議論をする場であり、各国とも財務大臣と中央銀行総裁がメンバーとなっております。  金融規制改革などG20の重要な議題の一つでありますので、我が国の対処方針金融庁とよく協議をした上で決定しております。また、現地には金融庁幹部が同行するなど、金融庁との緊密な連携を取りつつG20の会議にも臨んでいるところであります。  なお、G20のメンバー国などで構成され、国際的な金融規制、監督の改革に向けた具体的検討を行っている金融安定理事会、FSBという会議には、我が国からは金融庁財務省、そして日銀がメンバーとして参加しており、金融規制に関する議論については金融庁が主たる参加者となっております。そういう意味で、金融庁とは常に連携し、あるいは金融庁が中心になった会議もありますので、こういう形で対応しているのが現実であります。  金融庁がおられた方がいいんじゃないかという感想を言えば、確かに金融という分野日銀も極めて中心的な役割でありますが、行政の、政府の方では金融庁も大きな役割がある。ただ、財政という点からいえば財務省が出ないわけにもいかないと。各国がそれぞれ二人のところに我が国だけそういう例外的な扱いということがあり得るのかどうかちょっと分かりませんが、現在のところはやっぱり各国と共通の形で、必要なところでは金融庁とも緊密に連絡するという形で対応していくということになっていますし、少なくとも当面はそういう形でやっていかなければならないと思っています。
  155. 白浜一良

    ○白浜一良君 国際会議ですから日本だけ特殊であることはできないわけで、ただ、この二月のG7は大塚副大臣が行かれたんですか。よく連携を取って対応していただきたいと思います。  それで、先日のG20の結果、いわゆる、これは大臣の発言ですかね、記者会見ですかね、財政再建に早急に取り組むのは難しいと。確かに、財政の健全化ということと、いわゆる内需拡大というか成長戦略というか、そういうものの関連性は大変難しいのは間違いございませんが、大変消極的な発言にこれは客観的にはなるわけでございまして。ですから、これ新聞報道ですよ、私が知ったのは。財務省の幹部が出口戦略は独り負けだと、こういうふうに言ったと、こういう報道をされているわけでございます。この辺が、国際会議では大変難しい今の政府の実情を踏まえなければならないし、かといって、余り踏まえ過ぎると、それが非常に思わぬそういう影響を与えてしまうと、こういうこともあろうかと思うんですが。  今回の、私どもは新聞報道を通してしか知りませんが、こういうふうに報道されているわけでございますが、大臣の所感をお聞きしたいと思います。
  156. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) どの場面の発言であったか、ちょっと私にもいろんな場面があったものですからあれですが、私が基本的に申し上げたのは、特に今回は直前のG7、そしてG20もそうですが、特にG7ではギリシャの問題がかなり議論の大半と言ってもいいぐらい占めました。そういう中で、私にも日本状況についても説明しろという議長からの指名がありましたので、まさにギリシャの今の事態を他山の石として、実は、たしか二月ですか、イカルイットのときもそういう議論がちょうど最初に出た時期でありましたので、そういう時期から財政再建に向けてのいろいろな議論の場を我が国の中でもつくって、これから六月の中期財政フレーム等に向けてやっていくことにしているという言い方で、決して消極的な意味で言ったのではありません。  ただ、出口の問題に関して言えば、つまりは、今の日本経済の回復の状況から、一般的に新興国はもう出口を、オーストラリアのようにもう出ちゃったというところもある。一般的にヨーロッパがやや遅い。その中間がアメリカという位置付けですが、日本はどうもヨーロッパと同じぐらい、かつ御承知のように大きな財政赤字を抱えていると。そういう中で、今すぐに、例えば、こういうことは日本では考えられませんが、国によっては金利の引上げとかいろんな措置に、出口に入っていこうとしているわけですが、そういうことについてすぐ取り組むということにはなかなかならないだろうという趣旨では申し上げました。  ですから、しかし同時に、先ほど申し上げたように、財政の厳しさは、そのギリシャのようなことに端的に言えばならないようにしっかりと中期的な再建計画、健全化の対応をしなきゃいけないと。常にその二つのことを念頭に置いて申し上げたところです。
  157. 白浜一良

    ○白浜一良君 財務大臣の苦渋というか、大変難しいお立場を表現されていると思うんですが、ただし、先日、ヨーロッパの格付会社のフィッチですかが日本国債は中期的に考えればもう格下げだと、こういう論評もされているわけでございまして、一方でどうしても出口というものを考えざるを得ないというか、一方で経済実態というのは悪いと、何とか手を打たなきゃならないと、財政出動も含めて考えざるを得ないという、この二つで苦しんでいらっしゃると思うんですが、このフィッチに影響される必要はないんですけれども、一方でそういう見方をされているというのも事実でございまして、この事実に関しましてどういう取組をしようと考えていらっしゃるか、もう一度確認したいと思います。
  158. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 幾つかの会社の格付について、いろいろまだ、格付そのものはこの数か月変わっておりませんが、多少ネガティブとかいろいろなコメントが付いているということはよく承知をしております。また、先ほどのギリシャの例でも、格付が下がるだけではなくて、非常に国債の借換えの金利が暴騰している中でユーロ諸国あるいはIMFが資金援助を数兆円規模で検討していると、そこまで追い込まれている事例が現実に動いているわけであります。  そういった意味では、私は、日本の置かれた状況は、もちろん幾つかの根本的な背景が違う、つまりは日本国債は大半を国内で消化されているという意味で根本的な構造は違いますけれども、しかし、だからといってこのまま更に残高がどんどんどんどん積み上がっていっていいということではないと、そういう認識を持っております。  そういう中で、これも何度かこの委員会でも申し上げましたが、六月には、これは国家戦略室、仙谷大臣のところを中心に中期財政フレームと、これは三年程度の枠組みですが、さらに十年程度の財政運営戦略というものを打ち出すことにいたしております。  それに並行して今現在私の方で少し進めているのは、この財政健全化と、さらには成長、社会保障というものをどういうふうに取り組んでいくのか、それの法律案を出すことができないかということで今与党内あるいは各関連の皆さんと調整をしているところであります。これは、林議員もおられますが、自民党の方で財政健全化責任法というのを参議院に出されているということも率直なところ一つのきっかけでありまして、つまり、今の財政のこの厳しさは、もうどちらの、だれの責任ということを言い合う段階じゃないというようなことは野党の皆さんからも言われておりますし、いずれにしても、今責任を持つ国会議員として、与野党の立場を超えてこの問題を共通の土俵で議論する上では国会で法案を出すという形が一番分かりやすい形ではないかということで今準備を進めているところです。  まだその最終的な調整ができるかどうか多少不確定なので確実なことが言えないのが残念でありますが、何とかそういう形も含めて、与野党共通のある意味での土俵の中で、本当のところ、どうしてこれから短期、中期、長期に今の状況から脱却できるか議論をして、方向性を見出していきたいと。もちろん、それがなければやらないということじゃなくて、政府自身としても、先ほど申し上げたように、六月には必ず中期財政フレームと財政の運営戦略の中で健全化の道筋は国民に提示したいと、こう考えております。
  159. 白浜一良

    ○白浜一良君 大臣おっしゃっているように、この日本財政現状というのは、もう与党、野党関係ないと思います。どういう政権ができても、これだけ国債を背負っているというのはこれはもう消せない事実でございまして、また、この国債の償還というのはそんな容易ならざる額に達しているわけでございまして、私はおっしゃるとおりだと思いますし、もし国会で議論するような法律を御提案いただけるんでしたら前向きに議論をしたいと思っていますが。  昨日、一年三か月ぶりですか、財政審をメンバー入れ替えて昨日行われたという報道をされておりましたけれども、こういう財政審を再開されたのもそういう大きな流れの一環だと、こういうふうに受け止めていいんでしょうか。
  160. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 財政審は元々予算の前にかなりの方向性を答申というか、されることに従来なっていたようでありますが、今回、政権交代があった関係で、今年度予算についてはそういう役割をお願いしないままになっておりました。  そこで、改めて財政審をお願いをするというときに、昨日開いたのはその中の分科会ではありますけれども、従来は例えば著名なジャーナリストの方とかあるいは作家の方とか、いろんな分野から委員が出られて、もちろん学者の方も大分おられましたけれども、そういう幅広い皆さんの意見を聴くという位置付けであったように思います。  今回は、それはそれでまた幅広い皆さんの意見を聴く場面も必要になるかとは思いますが、当面するこの財政状況の中では、専門家の皆さんに逆に専門的な知識を持った立場で議論をしていただこうということで、今回は専門家と言うにふさわしい大学の先生を中心にした方に絞らせていただきまして、吉川洋東大の先生に小委員会の方も座長をお願いいたしました。  そういう意味では、こういう状況だからそうしたという、そういう一対一対応ではありませんが、少なくとも今の大変厳しい財政状況に対して専門家としての知恵をお借りしたいという期待でお願いをしているところです。
  161. 白浜一良

    ○白浜一良君 私ども、この報道でしか知りませんが、今日の新聞見ますと、要するに、増税してもいわゆる経済成長、景気が良くなるんだということがコアの理屈として、それをどう現実的に肉付けするかということが大きなテーマになっているんだというようなちょっと報道ぶり、これは事実じゃないかもしれません、そういう報道ぶりになっているんですけれども、この辺に対する大臣の率直なお考えがございましたらお聞きしたいと思いますが。
  162. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) この財政審そのものがそういう、何といいましょうか、ことに絞って云々というのはちょっとマスコミの一つの見方だと思いますが、あえて申し上げれば、私がこの委員会あるいは他の委員会などで、あるいはそのほかの場でも申し上げているのは、端的に言えば、デフレ状況というのは個人の消費や企業に任せていたらなかなかそのお金が回らないと。  そうすると、それをある意味じゃ、強制的にという言葉はちょっと誤解を招きやすいですが、少なくとも自由に任せた中ではない形で回すには、結局は国債お金を借りて財政出動するか、それとも税金でお金を分担なり負担してもらって財政でそれを出動して何らかの形で使うかという二つしか選択肢はないわけでありまして、そういう中で私は、一番重要な観点は、どういうところに使うのかと。極端に言えば、まあ極端でもないかもしれませんが、増税してそのお金を借金返しに使えば、それは健全化という意味ではいいかもしれないけれども、経済にとっては少なくとも短期的にはデフレ的なことを助長することになるわけですから、私は、今の経済考えたときには、財政出動によって雇用なり仕事につながる分野に選択と集中で投じるべきだと。  そして、その財源をこれ以上国債で賄うことがいろんな意味で難しい状況であるとすれば、それは税制改正といったものも含めて検討すべきではないか。  それを逆の立場から言えば、増税をすれば景気は悪くなるというのがこれまでの一般的な認識にかなりあったし、特に政治家にとってはそれがざっくばらんに言えば選挙にマイナスだというようなこともあって、なかなか言いにくかったわけでありますが、逆に言うと、逆にデフレ状況であるからこそ、場合によっては税制改正によって得られた財源をそういう成長分野に思い切って投じるということが逆に経済にとってもプラスになるんではないかと。一概に税の負担があるいは分担が大きくなったら景気が悪くなるということではない選択もあり得るんではないかと。  こういうことをいろんな機会に申し上げてきたところもありますので、あるいはそういうことをつなげて報道がそういう報道をしているのかなと、こういうふうに思っております。
  163. 白浜一良

    ○白浜一良君 部分的には私もそう思います。どうしても財政健全化いうと増税どうするかという議論ばっかりでございまして、それがもう要するに、いわゆる実体経済成長戦略と相矛盾する概念としてどうしても分かりやすく取り上げられるんですが、実際の現実というのはもっと複雑に絡み合っているということで、私は、ですから大事なことは、総合的な政策をきちっとして政府として打ち出されることが中心だと思うわけです。    〔委員長退席、理事円より子君着席〕  そういう面で、これ日経新聞のコラムなんですけれども、大変大事だなと思ったのでちょっと紹介をさせていただきます。  政府は三つの面で迅速に対応する必要があると、こういうふうに、これは日経のコラムです。第一は、医療、介護、保育の分野で国内に潜在している需要を顕在化をさせるための思い切った規制緩和である、こうおっしゃっている。第二には、急速に拡大しつつある中国など新興国の内需を取り込むことにより、日本の輸出を大きく増加させるための強力な取組である、こうおっしゃっている。第三は、国民に根強い将来不安を解消するため、公的年金などの社会保障制度を抜本的に再構築することである。この三つをこの当面の緊急の大きなテーマとして訴えられているんですが、私もそうだなと。これ、体系的にやっぱり政策をぼんと国民に提示して議論しないと、なかなか、増税なのか、もう財政出動してそういう成長戦略なのか、そういう需要創出なのかと、こういう議論ばっかりになってしまいますが、骨太の体系的なこういう問題をぴしっと訴えられた方がいいんじゃないかと、それ以外にこの現状を克服する道はないと思うんですけれども、新聞に書かれていることを借りて私申し上げましたけれども、お考えがございましたら。
  164. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今の御指摘の日経のコラムについて、私たちも、私も極めて共通の認識を持っております。  その上で申し上げると、今、私はもう一つ経済財政担当という仕事もさせていただいておりまして、その中で今日は来ているわけですけれども、その立場もありまして、今成長戦略の肉付けをする中で、まさに今おっしゃった、どういう分野財政出動をすればどういう程度の雇用を生み出しどういう程度の成長を促すことができるか、そういうマクロ的な、マクロ経済的な観点から、個別の案件まではなかなか行きませんけれども、例えば、今言われたように医療、介護の分野とか、あるいは環境の分野とか、そういう分野ごとにどの程度の財政を投ずればどの程度の効果が出るかという、そういうものをしっかりと検討してみてくれということを指示しております。  あえて言えば、例えば来年度の予算を考えるときに、どちらに幾ら付けるというときに、一つ考え方の基準として、成長という観点から見たときに最もその成長が高くなり、それは結果として雇用も私は多くならなければいけないと思っておりますが、そういうものの判断基準としてなるような、単にマクロはマクロ、予算編成は予算編成というばらばらではなくて、そこに連動するような形を念頭に置いて成長戦略、それの効果をあらかじめ予想できるような検討を今指示をしている、そういうことでやっていければと思っております。
  165. 白浜一良

    ○白浜一良君 六月、中期目標を定められたらそれはそれで、まあ今御努力されているということですから、作り上げられたらまたそれなりに論評をさせていただきたいと思います。  最後に、亀井大臣、私が何回も取り上げていることなんですが、いわゆる銀行の預貸率が低いと。この九年度末の報告がございまして、信用金庫の預貸率は〇九年度末五四・七%、低いですね。だから、これ国債買うためにはいいかもしれませんけれども、本来、中小金融機関というのは地場産業を育てるためにあるべきでございまして、そういう面で、なかなか景気が良くないんで心配な融資はできないと。よく分かります。だけれども、本来、そういう地銀、第二地銀というのは、信用金庫もそうですし、信用組合もそうでございますが、やっぱり地場産業を育てるというのが大きな命題でございまして、むしろ、預金をどう確保するかというだけじゃなしに、そういう産業の育成という観点からもっと努力すべきだということを、金融庁も、監督するだけじゃなしに、そういう本来のそういう地域金融在り方という角度から私は督励していただきたいと。  余りに預貸率が低過ぎると思うわけでございまして、その辺の御努力と御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  166. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) もう議員御指摘のとおりであります。  御指摘状況は、今の日本経済実態を反映をしておる結果であります。ただ、金融庁金融機関に対してきっちりと中小企業、零細企業等含めて、あるいは大企業に対しても融資をしなさいと言いましても、ただ金貸すから使いなさいというわけにはいかぬわけでありまして、現実にニーズが起きていないという現象があるわけであります。  したがって、私は、もう昨年来、例のモラトリアム法案、通称、これを出したときから言っておりますけれども、金繰りだけをちゃんとする、金融機関が貸出しに対して努力をするというだけでは解決をしないと。資金需要をいかに出していくかということが今一番大事なことであって、先ほどから菅大臣の話を聞いておりまして、私はもう、自公政権が残念ながらこの十年間、力強い内需を出していく、経済を躍動させていくということができなかったわけでありますから、その原因は何かということを今、菅大臣という優れた医者が診断をして、そうしてどうすればいいのかということを考えておられる。私は、方向は正しいと思うんですよ。この過去の経験の中から、こうすれば内需が生まれてくるんだと、福祉経済の中からも生まれてくるんだという視点は私は正しいと思います。  ただ、菅大臣、私は、陳情にもなるんだけれども、私はもっとこの内閣は産業振興ということを強く言った方がいいと思う。内閣の発信の中から、大臣、あなたからも産業振興という言葉が出てこないから、したがって、福祉経済だけ言っていると何か漢方薬を使うということだけを言っているんじゃないかという、私は、そういう発信になっている。  一方では、やはり産業を振興していくということを力強くやっていく、そのため政府としては何をやればいいかと、私は、名医ですからちゃんと考えてくれておると、このように確信をしております。
  167. 白浜一良

    ○白浜一良君 終わります。
  168. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門でございます。  今回の法案は、一定の利用者保護、規制強化ということで賛成でございます。  何点かに絞って質問をいたします。  デリバティブの先物オプション、スワップ等は私もこの委員会で取り上げてきましたけれども、特に店頭取引で大変リスクが高くなっているわけでございます。  参考までに資料を一枚お配りいたしましたけれども、金利スワップ取引について言えば、どれだけ被害があるかという点で、三井住友銀行ですね、これ、私、この委員会で何回も取り上げました。中小企業に対して優越的地位を濫用して販売をしたという事件でございます。  これは、二〇〇五年、二〇〇六年辺りだったと思いますが、公正取引委員会金融庁から行政処分を受けました。この問題の途中でこの三井住友銀行の調査をするということだったんですが、いいかげんな調査だということも国会で、この場で取り上げさせていただいて、結局、今現在出てきたのがこの対応状況という資料でございます。  数字は一々申し上げませんが、相当の大銀行がこれだけの優越的地位の濫用、法的責任の懸念のある事案を抱えるということで被害を発生させたわけでございますので、今後とも、このデリバティブに関して言えば、中小企業を守るルールをきちっと作っていかなければならないというふうに思うところでございます。  その上で、今日取り上げたいのは、デリバティブの中でも金融市場と商品市場の垣根を越えて、そういう商品が今増えております。政府の方針としても、これは自公政権のときからそうですけれども、金融市場と商品市場の垣根を取っ払っていくといいますか一体化する方針で、そういう流れで来ているところでございます。その上で、この規制とかあるいは監督の在り方をきちっと考える必要があると思っております。  このデリバティブ取引でいいますと、法律上は金融デリバティブに分類されない分野もございます。例えば、商品先物など商品デリバティブを組み込んだETFですね、上場投資信託などでございまして、これは原油とか貴金属などの先物取引を組み込んだETFというのが、この間、東証や大阪の大証で上場しております。  これらは法律上は投資信託法に基づく投資信託ということになるわけでございますけれども、大塚副大臣にお聞きいたしますが、こういうデリバティブを組み込んだ投資信託の不招請勧誘禁止については今後どうなっていくのか、教えてもらえますか。
  169. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 御指摘の点については、今年の一月の二十一日に公表いたしました「金融・資本市場に係る制度整備について」という金融庁の対外公表資料の中で、本年前半をめどに結論を得るように検討を進めるというふうに明示をさせていただきました。  今御指摘のありましたような商品も含めて、市場関係者や利用者と意見交換を行い、検討を進めている最中でございます。
  170. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、中小企業に対する押し付け販売等で問題になっておりますので、この不招請勧誘を導入するという点で検討を進めてもらいたいというふうに思います。  もう一つは、今地方銀行でこういう商品デリバティブ取引の開始あるいは取扱商品を増やすという動きが活発化しております。実際に商品を売っているのは野村証券とか三井住友海上火災なんですけれども、銀行はその手数料を稼ぐという点で取扱いを広げているところでございます。  この商品デリバティブについては、昨年のこの委員会でもいろいろ議論になりましたけど、商品取引所法改正との関係がこの委員会でも議論になりましたけれども、そのときの不招請勧誘の禁止どうするかということで、これは附帯決議で決議をされました。これは経産省の方の委員会でございますけれども、この中で、一般個人に対しては、すべての店頭取引と初期の投資以上の損失が発生する可能性のある取引所取引については不招請勧誘禁止とすることが附帯決議でされているわけで、これは内閣府令になるということですけれども、今年のですかね、夏までに内閣府令策定して、パブリックコメントにかけて来年の一月をめどに施行するという流れのようでございます。  経済産業省、来ていただいて、お聞きしたいのは、この商品デリバティブにおいても、個人の方はこうやって附帯決議に入って流れができていますけど、中小企業もやはりこの間被害を受けていますので守る必要があると思うんですが、この商品デリバティブの不招請勧誘禁止、中小企業の方はどういうふうになっているんでしょうか。
  171. 瀬戸比呂志

    政府参考人瀬戸比呂志君) 商品先物取引の勧誘におきまして、優越的地位の濫用などによりまして、中小企業が自らの事業との関連が薄く十分な知識もないままデリバティブ商品を押売されるような、そういう行為がなされるということがあるとすれば、これは独占禁止法違反であることはもとよりですが、商品先物取引上も問題であるというふうに考えております。  今御指摘のありました不招請勧誘の禁止規定ですが、来年の一月の施行を目指して準備中でございます。現在、具体的な不招請勧誘禁止の対象となる取引についての政令指定の検討中の段階でございますが、いずれにしましても、この優越的地位の濫用などによる勧誘行為ということになりますと、これはそもそも現行の法律の二百十五条の適合性の原則、すなわち顧客の知識、経験、財産の状況及び商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って委託者の保護に欠けるおそれがないように受託業務を営まなければならない、この規定に抵触するおそれがあるというふうに考えられます。    〔理事円より子君退席、委員長着席〕  我が省といたしましては、中小企業に対して優越的な地位を濫用した不適切な勧誘が行われていないか注視をしてまいりますし、またそのような勧誘が行われているという場合には、法律に基づきまして適切に対処してまいる所存でございます。
  172. 大門実紀史

    大門実紀史君 それはそれで結構なんですけど、私がお聞きしたのは、不招請勧誘、商品デリバティブの中小企業に対する不招請勧誘の禁止、これがどうなるのかということで、恐らく今は検討材料に入っていないと思うんですけど。  もちろん、おっしゃったとおり、優越的地位でいきますと適合性の原則からいろいろあるんですけれども、不招請勧誘の禁止を中小企業にというところでは今後どうなりそうかというか、検討していただけないかということなんですが、いかがでしょうか。
  173. 瀬戸比呂志

    政府参考人瀬戸比呂志君) お答え申し上げます。  今お話のありましたとおり、この不招請勧誘の対象につきましては、国会審議あるいは附帯決議の経緯の中では、主に個人投資家の保護ということで議論されてきたことは確かでございます。  中小企業を相手方とする取引につきましては、今後、勧誘についてのトラブルが生じた場合などにきちんとそういうものを踏まえて対応する必要があるというふうに考えます。
  174. 大門実紀史

    大門実紀史君 是非、中小企業への不招請勧誘禁止も早急に検討を具体化してほしいなというふうにお願いをしておきたいと思います。  銀行がこういうデリバティブを中小企業に販売する場合は、特にまた優越的地位の濫用がないかということですね。特に融資先への販売が一番問題になるわけです、押し付け販売がですね。この間取り上げてきたみずほの通貨オプションも、三井住友の金利スワップもみんな融資先、借り手の中小企業に押し付け販売をした例でございます。  商品デリバティブの話に戻りますけれども、この商品デリバティブの不招請勧誘の禁止というのは、法律的には経済産業省の方になるのはそのとおりでございますけれども、ただ、実際は、この商品デリバティブが銀行による販売が行われたときに、先ほど申し上げました金融庁も無関係ではありませんし、優越的地位の濫用等が心配になるわけです。  この点、金融庁としてはどういうふうに対処されるのか、お答えいただければと思います。
  175. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 金融機関が本来の業務、といいましてもいろいろとそれに関連する業務も多方面にわたってきておりますけれども、議員が御指摘のように、優越的な立場を使ってそうしたお客に対して商品を販売をするというような場合については、私は、銀行のモラルとして、そういう点は厳しく自らを戒めながらそういうことについてはやっていただきたいと、このように指導をいたしてまいります。厳しく指導してまいります。
  176. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) 若干事実関係の補足をさせていただきます。  大臣の今の御方針の下、四月十六日に既に監督指針を改正いたしまして、デリバティブ取引販売に際して取り組むべき事項について新たな記述を行ったところでございます。  具体的には、融資取引に影響を及ぼすのではないかと顧客が懸念する可能性があることを前提に、しっかりそうした取引の懸念を解消するための説明を行うことということに加え、幾つかの点があるんですが、そのうち最も重要なことは、経営者自身の取引意思の確認を行うことということをはっきりさせております。  私も、この委員会で大門委員と同様にこの問題は取り上げさせていただいたんですが、こういうデリバティブ取引のみならず、融資そのものも果たして契約者の意思で行われているかどうかという、その意思の確認をするということを契約書のひな形にしっかり入れるべきであるということは、今この職責をお預かりしてからも役所の中でそういう方向で進めるように指示をしておりますので、また、金融界もそういう流れを受けて、最近の金融機関の契約書のひな形にはそのような傾向が出始めているという報告も受けましたので、このデリバティブ取引についても、今の大臣の御方針、そして大門委員の御指摘に沿うように、被害者ができるならば皆無になるように、しっかりと対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  177. 大門実紀史

    大門実紀史君 よろしくお願いいたします。  次に、金融商品の販売にも関連するんですけれども、日本郵政の問題を取り上げたいというふうに思います。  この間の予算委員会財政金融委員会で、日本郵政、ゆうちょ銀行、郵便局会社が契約社員の方に販売のノルマを与えて、達成できなければ首にするというようなひどい事例を取り上げて、四十六人実際に首を切られましたので、その是正、撤回も含めて求めたところ、この間、日本郵政の方から私に連絡があって、大臣の御指示もあったようですので、ノルマ未達成で首を切るというようなことはもう是正、そういう雇用契約は直しましたということと、四十六人も、御本人が希望すれば採用の方向で考えたいというふうな返事がございました。  本社の方は誠実な対応をしてくれたと思うんですけれども、実際には現場の各支社、各局の認識というか対応がちょっと遅れておりまして、この間、このことは具体的に指摘をさせてもらって、新たに迅速にフォローするということになっております。いずれにせよ、国会の質疑とか大臣が答弁されたことをもっと現場に早くきちっと伝えてもらいたいなということをまず指摘しておきたいと思います。  そのときに、契約社員だけではなくて、日本郵政全体に蔓延している過度の行き過ぎたノルマ主義ということも指摘をいたしました。特に、日本郵政、郵便局の場合はお年寄りが預金者、利用者に多いわけですから、そういう方々にリスクの説明も十分しないで投資信託とか変額年金保険を売れ売れということで言う点も是正すべきだと。これも亀井大臣はそのときに、大臣のところにもたくさんファクスが来ていて、齋藤社長にも抜本的にきちっと対応するようお願いをしているということで、きちっとやると亀井大臣は確信しているという明快な御答弁をいただいたところでございます。  これもちょっと、大臣とこの私のやり取りというか、国会の質疑が現場でどうなっているかというのが先ほどの例も含めて大変気になったところでございますが、こういう大臣の御答弁を受けて、その後、この過度の行き過ぎたノルマ主義に対してどういうふうに現場に指示されたのか、事務方の方でちょっと教えてもらえますか。
  178. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) ただいま御指摘のありましたノルマ主義につきましては、先般御指摘もありましたので、私どもとしても常に配意をしているところでございます。  ただ、今日も御指摘ありましたけれども、まだまだ不十分というところもありますので、引き続き徹底してまいりたいというふうに思っております。
  179. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本郵政という、郵便局は、やっぱり西川さんのときにかなりもうカルチャーがおかしくなったと私は思っております。現場のモラルがかなり低下して、もうけ主義といいますか成績主義になってしまったなと思っているところですけれども、その点でいきますと、二〇〇九年の十二月に金融庁日本郵政に業務改善命令を出しております。どういう内容か、簡潔に教えてください。
  180. 大塚耕平

    ○副大臣(大塚耕平君) お答え申し上げます。  ゆうちょ銀行の銀行代理業者及びかんぽ生命の保険募集人である郵便局会社において、昨年の四月以降、社員による多額の横領が三件発覚し、同社の法令等遵守にかかわる経営姿勢及び内部管理体制に重大な問題があると認められたところでございます。したがって、銀行法第五十二条及び保険業法第三百六十条の規定に基づき業務改善命令を発出いたしました。
  181. 大門実紀史

    大門実紀史君 その業務改善命令のとき私も驚きましたけど、本当に郵便局の中がなあなあの世界になっているといいますか、その中で横領とかいうことが生まれているということでございます。いかにモラルが低下しているかですけど、今日は、そのモラルの低下の甚だしい例として新たな実例を取り上げたいというふうに思います。  資料の二枚目にございますが、これは愛知県名古屋市の中川郵便局の、勤務時間中の正式な販売会議で配られた資料でございます。これぱっと見ても、この中川局の人間だけに分かる隠語といいますか隠し言葉だらけでよく分からないところがございます。ちょっと一つ一つ聞いていきますので一つ一つ答えてもらえればと思いますが、まずこれは、販売戦略会議、責任と目標の必達、計画推進でそれぞれの金融商品の販売額があって、一番下にございますが、バーツからの脱却とあります。これはどういう意味なんでしょうか。
  182. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 今朝ほど先生から指摘を受けまして、支社、郵便局に確認をいたしました。  具体的に罰金とは書いておりませんけれども、目標が達成できなかった場合については資金を供出すると、こういう意味のようでございます。
  183. 大門実紀史

    大門実紀史君 こちらが調べたところ、そういうことなんですけれども、バーツというのは罰のことですね。具体的には罰金を意味するそうでございます。販売目標が達成できなければ罰金を取るという制度でございます。これはまた金額を表しまして、一バーツが一円ということで、タイのレートとは違うんですけれども。  それで、バーツからの脱却というのは、罰金を取られる人間にはならないようにしようという意味なんですね。そういう、抜け出そうという意味でございます。この中川郵便局だけではないと思いますけれども、特にこの郵便局では、ノルマを達成できない人間から罰金を取るということをやってきたということでございます。  三枚目の資料ですね。これは、二月期販売会議のこれレジュメでございます。今年の二月一日ですね。  この会議のこのレジュメの作成者はだれか、御存じですか。
  184. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) お客さまサービス部長だと思います。
  185. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうですね、お客さまサービス部長の服部さんという方でございます。  この中身も非常に気になるところいっぱいあるんですけれども、このインセンティブ、真ん中の方にですね、上はずっと達成しよう、達成しようとあるんですけれども、インセンティブ(ビクトリー賞)というのがあります。下の方に局・部長賞というのがあります。これは、逆に言えば罰金じゃなくて報奨金だというふうに思いますけれども、このお金はどこから出ているか、調べていただけましたか。
  186. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) これは支社からでございます。支社からです。
  187. 大門実紀史

    大門実紀史君 このお金は支社から出ていると。これは監督指針で、金融商品、リスクのある金融商品の販売のときに給与とか報奨金とかと連動させてはいけないというのを御存じなかったのかと。監督指針に触れますので、そういうことをやっていたということでございます。  もう一つは、この真ん中の方に、その他(イベント)というのがございます。中部地域(保険)懇親会、中川郵便局士気高揚会というのがあります。これは飲み会ですね。この飲み会の費用はどこから出ているか、御存じですか。
  188. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) これは、先ほど申し上げましたインセンティブのお金をプールして使っているということでございます。
  189. 大門実紀史

    大門実紀史君 それは虚偽の報告ですね。これは罰金、さっき言ったみんなから集めた罰金です。みんなから集めた罰金で飲み会をやっております。それ、虚偽の報告でございます。もちろん、そこに若干支社からのお金入るかも分かりませんが、基本的には、何のために罰金を集めるかというと、結局は飲み会をやるためです、飲み会をやるため。  それが後で出てきますので申し上げますと、その下の方にPSというのがございますね、虎える獲物は交際費どおり、約十三万リラ。このリラという意味は御存じですか。
  190. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) これも確認いたしましたけれども、これも円という意味です。ですから、十三万円という意味でございます。  これ、先ほど飲食費に使ったという話でありますけれども、先ほどの罰金といいますか、バーツというのは、実は三万円ぐらいプールされたようでありますけれども、これは、簡保の目標を達成したときの旅行の飲食代に充てたというふうに聞いております。一般的にはそのようには使っていないということでございます。
  191. 大門実紀史

    大門実紀史君 そうしたら、全部調べ直していただかないと。国会に対して私は調べて今日教えてくれということで、虚偽の報告をしておりますね。首飛びますよ、国会に対してうそついたら。  その三万というのは、わずかな短い間のことだけで、ずっとこれやってきているんです。申し上げますけど、この虎える獲物は交際費十三万円というのは、これは、これは罰金を集めて十三万円になったという意味なんですよ。そうなんですよ。  で、リラとバーツの違いは何かというと、バーツというのはみんなが払うときの罰金のバーツなんですよ。リラというのは集めた方の円のお金の言い方なんですよ。したがって、罰金みんなから取って交際費を作っているんです、裏金を作っているわけです。そういうことで飲み会をやっているわけで、その飲み会も、この部長さんの取り巻き中心にやっているわけですね。  今日の朝、ちょっと急に、私も昨日の夜資料手に入ったもので、調べてほしいということで十分調べられなかったかも分かりませんけど、その三万円だけですとか何かというのは全部うそでございますので、国会にうそつくなということでございます。後でちょっときちっとしてもらいたいと思いますが。  先ほど言われましたのが三枚目、資料四のところですね。この資料四のところにあります国際ボランティア期間というのは何ですか。
  192. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) これは、先ほど申し上げましたように、目標が達成ができなかった場合には罰金といいますか資金を供出するという期間をこういうボランティア期間というふうにして、こういうイベントをやったというふうに聞いております。
  193. 大門実紀史

    大門実紀史君 普通、販売促進で頑張ろうと言えば、堂々と名前を使えばいいんですよ。なぜこういう隠語を使うかですね。何が国際ボランティアなのかと。こういう隠語を使って罰金を取って裏金をつくって、局長も一緒だったかどうか知りませんが、部長が自分の取り巻きと、時にはいろんな人を連れていくかも分かりませんが、飲み代に使っているという話ですね、基本は。しかも、先ほど言った三万、四万というのはこの期間だけ、残ったのは四万です。その前からやっておりますので、全部調べてもらいたいですね、幾ら今まで集めたのかということも。  この中に書いてありますけれども、三日間連続業績がゼロだったら千円取る、専任でやっている人は千円取るとか兼務でやっている人は五百円取るとか。いつも短冊が、多分局の中に成績の上がらない人は短冊を掛けられているんだと思いますけれども、これだとまた千円取ると。こうやって千円、五百円、千円、五百円ということでずっと取っていくわけですね。かなりの金額になりますですけれども。  この清算は、下の方に書いてありますけれども、国際社会情勢によって、またボスの気持ちによって変動すると。勝手にいろいろ状況によって判断するということでございます。一番下に書いてあります、第一回国際ボランティア伊豆大会とございますけれども、これは何かというと職員旅行です。伊豆の温泉へ行ってばか騒ぎをやったわけですね。こういうところに、目標が達成できなかった人たちから千円、千円とか、今回千円、千円と、こうやって集めていって、そういうお金で飲み食いをしたり、温泉旅行行ったりその宴会費用にしたりということをやってきたわけでございます。  ちょっと亀井大臣も驚かれていたかも分かりませんけれども、答えていますから事実の資料でございますね、実際の資料でございますけれども、ノルマ未達成の人からお金を集めて、部長の取り巻きを中心に飲み会の費用に使う、温泉旅行の宴会費用に使う。こういうことは民間でも余りやらないですけれども、ちょっと異様な話だと思うんですが、大臣ちょっと、いかが思われますか。
  194. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 私は実態を正確に掌握しておるわけではありませんけれども、議員の御質問の内容なり、また参考人お話等を聞いていまして、参考人、いじましいことをしちゃ駄目です。やはり職員は利益を上げるための道具じゃない。成績が上がるときもあれば、上がらないときもある。やはり高いモラルの下で一生懸命頑張っていく、そのためにはどうすればいいか。  私は、罰金を取って、もしそれが事実なら、それでみんなが慰労会に使うなんという、こんないじましいことをやったら絶対に士気は上がりませんよ。むしろ、長期的に見れば業績は下がっていきます。そうじゃなくて、もう実際、経費の中から時々職員を慰労してやると、成績を上げた人に対する報奨金ということでもいいけれども、それはプラスのお金の中から士気を高揚していくということをやらなければ、罰金を取りながら仕事をやるみたいな話は私は聞くに堪えない、もし本当なら。そういう職場は私は変えていただきたいと。とにかく自主的に頑張っていって、その成果はみんなでその成果を受けるという、そういうことで私は是非やっていただきたい。  ただ、議員ね、悪気で私はやっておるんではないと思います。やはり悪気じゃなくて、みんなが成果を上げていくにはどういうインセンティブを与えればいいかという幹部が浅知恵でやったことだと、このように思いますが、これは私は反省をしてもらいたいと、このように思います。
  195. 大門実紀史

    大門実紀史君 大臣おっしゃるとおりでございます。ただ、悪気か浅知恵かとなるんですけれども、やはり慣れてきちゃうと、そのお金を部長の取り巻きだけで飲みに行こう、使っちゃおうと、悪くなっちゃうんですよね。これがさっき言った横領とか何かに全部共通する、私物化といいますか、その局は自分のものだという中で起きていることなんですね。  ですから、頑張ろうと最初は思って、そのやり方としてとんでもないやり方やったんですけれども、最初は悪気がなかったかも分かりませんけれども、やっぱりこういうことはもう本当に悪いことになって悪事につながりますので、やっぱり厳しくしていただかなきゃならないというのと、もう大臣おっしゃったとおり、逆ですよね。成績の上がらないような人がいたら上司が自分の自腹を切って飲みに連れていってやるのが普通なのに、そんな人から金取り上げて自分たちが飲んでいると、本当にモラルの低下だと思います。この私は横領事件のことと、今回これの訴えが来て、これは中川局だけではないんじゃないかと、いろんな形でいろんなこういうモラルの低下、局の私物化、もう自分たちの世界だけでやっちゃおうというのが蔓延しているような気がして、心配でならないわけでございます。  幾つかきちっと指摘しておきたいと思いますが、大臣ちょっと言われて間違っているのかなと思うのは、頑張ったら報奨金あげてというのは、それは一般論ではよくある例ですけれども、金融商品の販売ではそういうことはやっちゃいけないということになっていますので、リスクのある場合は、これはやっちゃいけないということでございます。  それと、これ、労働問題としても私問題だと思うんですけれども、販売目標を達成しなかったら罰金を取るというのは賃金が減るということになります。そして、なおかつ就業規則に多分書けないからこうやってインフォーマルでやっていると思うんですけれども、就業規則に書いていないのに賃金を奪っちゃうということですね。逆に言うと、就業規則違反をしているわけですね。これは労働基準法からも問題だと。こんなことも分からないのかと、浅知恵どころか、かなりもう狂っちゃっているというふうに思いますね。あとは、さっき言った報奨金も問題だと思います。幾ら支社からのお金でも問題だと。あと、裏金をつくって飲み食いというのがさっき言ったもうこの土壌ですよね。やっぱりこういうことであおってあおってやっていって被害が出ると、特におじいちゃん、おばあちゃん、お年寄りにこういうリスクの危ないものでも売っちゃえ売っちゃえとなっちゃうというところがありますので、大きな問題だと思います。  これは、斎尾さん、斎尾さんは郵便局会社の副社長でもあるわけですね。是非、もう大臣からは強くおしかりもございましたから、すぐにここをやめさせるのは当たり前ですけれども、ちょっとほかで起きていないかも含めて、徹底したこういうモラルの低下と何か変なことやっていないかという調査、それと、大臣の今日の御答弁とかを議事録でちゃんともう現場にそのまま配るとか、そういうことを徹底してほしいと思いますが、いかがですか。
  196. 斎尾親徳

    参考人斎尾親徳君) 今日の御指摘を踏まえて、個別の局の問題につきましてはもう早速、例えば返金あるいは処分の検討も含めまして適切に対応したいと思っています。ほかの局でもこのようなことのないように指導してまいりたいというふうに思っています。
  197. 大門実紀史

    大門実紀史君 もう質問をすることはこれで終わりましたけれども、とにかく今回の法案だけではなくって、いろんなことをやらないと契約者、利用者は守れないということで引き続き御努力をお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  198. 大石正光

    委員長大石正光君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  金融商品取引法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 大石正光

    委員長大石正光君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 大石正光

    委員長大石正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会