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国務大臣(菅直人君) いろんな言葉のレッテルというか、先ほど社会主義的ということも含めて、我々もよく選挙では、お互いにそういうことを使いましたので、別に使うことが悪いとまでは申し上げませんが、ただ、本当にかなり、私も多少長く愛知
議員よりは生きているので、長い間の議論を見ていると、さっき言われた社会主義的な政策なんというのも、まさかとは思ったんですけど、アメリカがGMを事実上国有化したわけですよ。
金融でもない製造業を国有化するなんというのは普通考えられないわけですよね。もちろん、今はJALの問題で、国有化ではありませんが、いろいろ動いています。
ですから、私は、少し昔の何かステレオタイプな区分というのではなくて、まさに今の時代に何が起きているかということをしっかりと認識する中で、是非愛知さんのように若い世代の皆さんは自由闊達な議論をしていただいて、余り古い言葉でレッテル張りをしてもちょっと
意味合いが違ってきているのではないかと思うんです。
その中でいえば、今の大きい
政府、小さい
政府という言葉もややそうです。かつて私があなたぐらいのときには、イギリスがいわゆるイギリス病と言われました。つまりは、福祉にたくさんお金を使って、揺りかごから墓場までだから、そこでお金が使われて長期低迷になったと。それで、サッチャー政権が現れて、そこをかなり切って元気にしました。しかし、最近は北欧の状態などは、逆にちゃんと福祉をきちんとやった方が景気も良くなるんだと、そういうモデルが幾つも出てきているし、ヨーロッパはどちらかといえばそういう考え方がかなり浸透してきています。
今、私たちが時々申し上げる例えば介護とか保育のような潜在的需要があるところに、それは公的な
資金かもしれません、税金かもしれません、そういうものを投じる方が雇用を生み出して、仕事を生み出して、ある
意味ではその人たちに所得も生み出して、そしてその人たちが税金も払うことになると。そうすると、それは保育所を増やすこと、介護にお金をたくさん使うことが大きな
政府という言い方をすればそうかもしれませんけれども、しかし、大きな
政府イコール経済成長のとどまったいわゆる低成長の重い
政府ということでは必ずしもないんですね。ですから、そういう点では、従来のような何かレッテルを単純に張る形ではないところで議論をしなきゃいけないんではないか。
あえてもう一つだけ申し上げますと、かつて
日本は
日本株式会社と言われました。これも私があなたか、もっと若いころですね。つまり、官僚と、ある
意味では企業と、ある
意味では政治家、当時自民党中心ですが政治家が、悪い面もあったかもしれませんが、いい
意味でもリンクして、どんどんいろんなことを政策的に実行していって
日本が高度成長を遂げた。その大きな力を外国は
日本の奇跡として、まさに
日本株式会社とまで言われたんです。しかし、今や
日本株式会社じゃなくて、韓国株式会社であり、中国株式会社であり、場合によったらアメリカも株式会社になって、
日本が逆に
日本国株式会社が崩壊しているというのが先ほどの
金融の問題でもそうなんです。
ですから、これも単純に社会主義とか云々ではなくて、やはり今の
状況の中で
日本がもう一度経済を立て直すには、ある
意味日本株式会社的なところも必要なものは復活させるということが必要だということで申し上げているので、単純に社会主義とか自由主義とかということではありません。
最後に、あえて言えば、この間の私は小泉・竹中路線は自由主義的ということで間違ったと思っていますから、そのことは私が第二の道ということでよく言いますけれども、つまりは自由主義でうまくいったんならいいんですけれども、結果として間違ったわけですから、
日本の経済は良くなっていません、あの五年間の中で良くなっていません、トータルして。ですから、そういうことをよく検証されて、これからの
方向性を大いに議論したいと思います。