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国務大臣(
菅直人君) 大変私が話したいところのテーマを御
質問いただいて、大変ありがとうございます。
数年前、私は、
民主党の中で林業再生本部というのをつくりまして本部長を務めさせていただき、かなり国内を見てまいりました。それから、三年ほど前、ちょうど連休のときに、今農水の副
大臣やっている山田さんと、それから長野選出の篠原さんと三人でドイツの黒い森を一週間ほど視察をしてまいりました。
一つだけ特徴的なエピソードを申し上げると、あるドイツの林家で、うちから切り出した材木は
日本に輸出しているんですと言われて、びっくりしました。あんな重いものをそんなに給料も違わないドイツからなぜ
日本が輸入しているんだと、よほど特殊なものかと思ったら、
日本にはかまぼこというものがあるそうですねと、かまぼこ板とか卒塔婆とか、トウヒという木でしたが、白くてにおいのない木でした。
それが象徴的ですが、なぜ
日本の林業が自給率二割、逆に言うと八割の外材を買ってこなければいけない
状況にあるのか。木がないんなら、砂漠なら仕方ありません。木はあるわけです。
じゃ、なぜ木が出せないか。今までの林業の
予算、歴代かなり付いています。多くの場合、例えば間伐のために臨時的に補助金を出すわけですね。じゃ、どういう間伐をやっているか。いろんな林業組合にそのお金を配分して、その林業組合が事務
経費をかなり取った後、あとは日雇の労務者を雇って、背中にチェーンソーしょって山に入って切るわけです、これとこれとこれって。切った材木はどうするか。そのままです。出さないんです。出そうにも道がない、路網がない。
ですから、私
たちは、林業再生プランを立てたときに、やはりちゃんと路網を造らなきゃいけないと。つまり、スーパー林道のようなバスが通るような道じゃありません。せいぜい三・五メートルぐらいの土で、木か何かを入れて、そういう路網を造って、そこにハーベスター、多少大きめのブルドーザーみたいなものを入れて、それで切っていくと。これがドイツなどでもやられている、ごく普通にやられているやり方ですが、それによって十倍ぐらい実は効率が違います。
実は、それをやるためのもう
一つの条件は、これは御存じだと思いますが、今、
日本の林地を持っている人はそんなに千ヘクタールも持っている人は
本当にもう数少なくて、十ヘクタールとか二十ヘクタールとか、それをいかに集団化するか、団地化するかと。これで
比較的うまくいっているのは、京都にある日吉林業組合というところですが、そういう形で百ヘクタールぐらいの単位で道を入れていく、さらに地主さんに了解を取っていく、そういうことをやらなきゃいけません。
そこで、実はこの二次補正の段階からそういうことをやるために、林野庁あるいは農水省とも話をかなりして、今おっしゃった来年度
予算はかなり削減されたというふうに見ておられますが、実は、まず二十一年度の二次補正の中に、地域活性化・きめ細かな臨時交付金というのが五千億入っておりますが、これもそういうものに振り向けられますし、また、これは一次補正ですから麻生
政権時代ですが、同じく二十一年度の補正
予算に林業整備加速化ということで千二百億あります。それから、二十二年度
予算においても、農山漁村地域整備交付金というのが千五百億あります。
実は、余り裏話をしても恐縮ですが、二次補正のころに、もう少しその
予算を付けることも検討したんですけれ
ども、結局のところは従来型しか使うノウハウがないんですね。付ければ、さっき言ったように各林業組合に配って、半分ぐらいは事務
経費で取って、あとは一時的な切捨て間伐、これじゃほとんど
意味がない。もっと言えば、つまりは林業になっていないわけです。つまり、間伐という作業のための補助金であって、林業になってないんですね。
今回、二次補正でドイツからそういう、フォレスターと呼ばれるあそこには制度があるんですけれ
ども、森林管理官、学校もありますけれ
ども、そういう人を招いて、いろいろなところで地域でモデル実験をやると。そういう中から、今林野庁もやっと、林野庁も腰が重いんです、というよりも、林野庁
自身が、補助金があってだれかにその補助金をばらまいてやるのが仕事だと思って、林業を何とかしようなんということをここから先
考えてない役所でしたから、それを大分しりをたたいて、いや林業は今こそチャンスなんだと、今こそ林業が業として成り立つチャンスなんだということを言って、そういう前向きの計画をやっと立ててくれまして、いよいよ具体的に作業に入ることになっております。
ですから、関心を持っていただくのは有り難いんですが、
金額の多寡だけではなくて、そういう構造的な、まずは集団化して路網を造って、そしてハーベスターといったような機械を入れて、計画的に、いろいろ間伐をしたり、場合によったら植林をしたりということにつなげていく
予算になっているということを是非御理解をいただきたいと思います。