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国務大臣(
前原誠司君) ただいま議題となりました
国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ
我が国が実施する
貨物検査等に関する
特別措置法案及び
特定船舶の
入港の
禁止に関する
特別措置法第五条第一項の
規定に基づき、
特定船舶の
入港禁止の実施につき承認を求めるの件につきまして、提案理由及びその内容の概要を御
説明いたします。
まず、
国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ
我が国が実施する
貨物検査等に関する
特別措置法案につきまして申し上げます。
昨年五月二十五日、
北朝鮮は核実験を実施しました。
北朝鮮による核実験の実施発表はこれで二度目であります。
北朝鮮による核実験は、
北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイル能力を増強させていることと併せて考えれば、国際社会の平和及び安全に対する脅威であり、その脅威は近隣の
我が国にとって特に顕著であります。こうした
我が国の安全保障に対する挑戦は、断じて容認できるものではありません。
国際連合安全保障
理事会が決議第千八百七十四号を全会一致で採択し、こうした
北朝鮮の一連の行為を強く非難するとともに、
北朝鮮及び各国がとるべき追加的な措置を決定したことを評価いたします。決議の採択に当たり米国、
韓国等の
関係国と緊密に
連携し、協議に積極的に参画をした
我が国には、この決議を実効あらしめるよう適切な対応を早急に行う責務があります。
この
法律案は、
国際連合安全保障理事会決議第千七百十八号が、核関連、弾道ミサイル関連その他の大量破壊兵器関連の物資、武器その他の物資の
北朝鮮への輸出及び
北朝鮮からの輸入の
禁止を決定し、さらに、同
理事会決議第千八百七十四号が当該
禁止の措置を強化するとともに、国際連合加盟国に対し当該
禁止の措置の厳格な履行の
確保を
目的とした貨物についての検査等の実施の要請をしていることを踏まえ、
我が国が特別の措置として実施する
北朝鮮特定貨物の検査等の行政上の措置について定めることにより、
北朝鮮の一連の行為をめぐる同
理事会決議による当該
禁止の措置の実効性を
確保するとともに、
我が国を含む国際社会の平和及び安全に対する脅威の除去に資することを
目的として
提出するものであります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明申し上げます。
第一に、
北朝鮮を仕向地又は仕出し地とする貨物のうち、
国際連合安全保障理事会決議第千七百十八号等により
北朝鮮への輸出の
禁止、及び
北朝鮮からの輸入の
禁止が決定された核関連、ミサイル関連その他の大量破壊兵器関連の物資、武器その他の物資であって政令で定めるものを
北朝鮮特定貨物と定義しております。
第二に、
海上保安庁長官又は税関長は、
船舶が
北朝鮮特定貨物を積載している等と認めるに足りる相当な理由があるときは、
海上保安官又は税関職員に検査をさせることができることとしております。
第三に、
海上保安庁長官又は税関長は、検査の結果、
北朝鮮特定貨物があることを
確認したとき等において、
海上保安庁長官にあっては当該
船舶の船長等に対し、また、税関長にあってはその所有者又は占有者に対し、その
提出を命ずることができることとしております。
第四に、
海上保安庁長官又は税関長は、
提出を受けた
北朝鮮特定貨物を保管しなければならないこととするとともに、
提出貨物の公告、返還、売却及び廃棄について定めております。
第五に、
海上保安庁長官は、一定の事由があるときは、当該
船舶の船長等に対し、当該
船舶をその
指定する港等の検査等に適した場所に回航すべきことを命ずることができることとしております。
第六に、外国の当局による公
海上の
日本船舶に対する検査について
我が国が同意をしないときは、
国土交通大臣は、当該
日本船舶の船長等に対し、
我が国又は外国の当局による検査を受けるために当該
日本船舶をその
指定する港に回航すべきことを命ずることとしております。
第七に、公海にある
外国船舶に対する検査、
提出命令及び回航命令は、それぞれ旗国の同意がなければこれをすることはできないものとしております。
第八に、
関係行政機関の協力について定めております。
第九に、内水等における検査を忌避等した者並びに
提出命令及び回航命令に従わなかった者には罰則を科すこととしております。
なお、この
法律案は、さきに述べた
北朝鮮の一連の行為をめぐる現下の情勢に対応して実施する特別の措置を定めるものであり、
国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号の関連
部分が効力を失ったときは、別に定める
法律によって廃止することとなります。
次に、
特定船舶の
入港の
禁止に関する
特別措置法第五条第一項の
規定に基づき、
特定船舶の
入港禁止の実施につき承認を求めるの件につきまして申し上げます。
我が国は、
平成十八年十月九日の
北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする
我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、本年四月十三日までの間、
北朝鮮船籍のすべての
船舶の
入港を
禁止する措置を実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する
北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障
理事会等における国際社会の動き等その後の
我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、
特定船舶の
入港の
禁止に関する
特別措置法第三条第三項の
規定による
平成二十二年四月九日の閣議決定に基づき、引き続き
北朝鮮船籍のすべての
船舶の
入港を
禁止する措置を実施しました。これについて、同法第五条第一項の
規定に基づいて国会の承認を求めるものであります。
以上が本件を提案する理由であります。
次に、本件の内容について、その概要を御
説明いたします。
本件は、同法第三条第三項の
規定による
平成二十二年四月九日の閣議決定に基づき、
平成十八年十月十四日より本年四月十三日までの期間にわたる
北朝鮮船籍のすべての
船舶の本邦の港への
入港禁止の実施を決定した従前の閣議決定を変更し、
平成二十三年四月十三日までの一年間にわたり、引き続き、
北朝鮮船籍のすべての
船舶の本邦の港への
入港禁止を実施することについて、同法第五条第一項の
規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。
以上が、
国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ
我が国が実施する
貨物検査等に関する
特別措置法案及び
特定船舶の
入港の
禁止に関する
特別措置法第五条第一項の
規定に基づき、
特定船舶の
入港禁止の実施につき承認を求めるの件の提案理由及びその内容の概要であります。
以上二件、何とぞよろしく御
審議のほど
お願い申し上げます。