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2010-05-11 第174回国会 参議院 国土交通委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      川崎  稔君     尾立 源幸君      平山 幸司君     下田 敦子君  四月二十八日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     川崎  稔君      大島九州男君     金子 洋一君      下田 敦子君     平山 幸司君      松野 信夫君     米長 晴信君  五月十日     辞任         補欠選任      金子 洋一君     平山  誠君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         椎名 一保君     理 事                 広田  一君                 室井 邦彦君                 佐藤 信秋君                 吉田 博美君                 草川 昭三君     委 員                 植松恵美子君                 川崎  稔君                 輿石  東君                 田名部匡省君                 羽田雄一郎君                 平山 幸司君                 平山  誠君                 藤本 祐司君                 山下八洲夫君                 米長 晴信君                 大江 康弘君                 岡田  広君                 荻原 健司君                 西田 実仁君                 山内 俊夫君                 渕上 貞雄君                 藤井 孝男君                 長谷川大紋君    国務大臣        国土交通大臣   前原 誠司君    副大臣        国土交通大臣  辻元 清美君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       三日月大造君        国土交通大臣政        務官       藤本 祐司君    事務局側        常任委員会専門        員        畠山  肇君    政府参考人        法務大臣官房審        議官       團藤 丈士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出、衆議院送  付)     ─────────────
  2. 椎名一保

    委員長椎名一保君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、松野信夫君及び大島九州男君が委員辞任され、補欠として米長晴信君及び平山誠君が選任されました。     ─────────────
  3. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会法務大臣官房審議官團藤丈士君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 室井邦彦

    室井邦彦君 おはようございます。民主党の室井邦彦でございます。  早速、この海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案質問をさせていただきます。  その前に、質問理由として申し上げたいことがございます。  もう御承知のとおり、この日本の国は、国連で認知をされている国が百九十二か国、その中で面積が六十一番目という順位であります、御承知のとおりでありますが、領海排他的経済水域、これは非常に順位が高くて、世界で第六位ということでありまして、無論、モンゴルとかスイス、こういう国は除外しても、百十八か国の中での六位というのは広大な水域を有するということでありまして、いろいろと日本島々日本の六千八百四十七ですか、島々から成り立っている日本の国のすべてが海域で四方八方を囲まれている。そういう環境の中で、輸出入貨物トン数ベース、これが何と九九・七%を海上輸送に頼っているといいますか、このような数値が出ております。さらに、これはもちろん日本の国の海洋国としての環境でありますが、また、それ以外に国民のライフラインを支えている、また、さらには漁業、海運、こういう経済活動にも非常に貢献をしているというか、そういう状況であります。  まさにレジャーもその一つでありまして、あらゆるそういう環境から考えますと、この海は将来とも永遠に美しい海でなくてはいけない、このようなことを私は思っておりますが、ここで、残念ながら、平成二十一年の油、また廃棄物、さらに有害液体物質、またさらには赤潮青潮等海洋汚染発生状況は五百十四件あったと言われて、確認されているだけで五百十四件ということであります。  そこで、最初の質問をさせていただきますが、この平成二十一年の海洋汚染現状についての説明を是非、まあその事故件数とか内容とか種類、いろいろとございますが、是非御説明お願いをしたいと、現状お願いしたいと思います。
  7. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 今御指摘日本海洋立国であるということをかんがみまして、周り海に囲まれておりますので、海洋汚染が一たび起こると大きな影響が出ると。  そして、今委員指摘の五百十四件、これは平成二十一年に確認されたものです。その内訳を申し上げますと、油の排出によるものが三百六十九件、廃棄物によるものが百四件、有害液体物質排出によるものが三件、赤潮青潮によるものが十四件、その他が二十四件となっております。  そして、この油の排出による汚染三百六十九件の中で排出源が判明したものが二百八十二件、そのうち船舶によるものは二百四十二件で八六%を占めております。また、その原因は、取扱不注意によるものが百二十件、全体の四二%、次いで海難によるものが四十七件、故意によるものが四十一件となっております。  外国船舶による海洋汚染発生確認件数は三十七件ございます。そして、油の排出によるものは三十四件ということになっております。
  8. 室井邦彦

    室井邦彦君 私がこの法案質問をするときに、いろいろと今現在、排他的経済水域の問題でありますが、これは調べますと、まあでたらめとは言わないんですが、これは質問じゃないんですけれども、私の所見なんですが、いいかげんな数字が非常に多いということ。  それは、一言申し上げたいことは、調べれば調べるほどおかしな具合になっておりまして、この排他的経済水域面積、また順位、これは各、いろんなデータ調査機関があります。一つは米国の国務省資料で、アメリカが一位で、面積は百六十二万平方キロメートルというふうに言われておりますが、もう一つホームページ百科事典、これで調べますと、これもアメリカが一位なんですが、その面積は、排他的経済水域面積が千百三十五万平方キロメートルと、全く数字が違っていると。  こういう点からしましても、この排他的経済水域の問題、特に私が興味のあるのは中国との尖閣諸島の問題、今中国万博でそっちに集中していますけれども、いずれこの万博が終わりますと、恐らく積極的、能動的にこの問題について押し切られるんじゃないのかな、押し切ってくるんじゃないのかなという私も非常に心配をしておりまして、こういう世界的に数字データが本当にいいかげんであるということに非常に海洋国日本として、これからどういう国策としてこの対応をしていかれるのかなと。  もう一つデータは、これも面白いデータでありまして、アメリカ国務省数値ではインドネシア世界で三番目になっておりまして、面積が五百四十一万平方キロメートルと、もう一つ調査データホームページ百科事典ではインドネシアは三位に入っていないと、こんな状況でありまして、この排他的経済水域、これは全くいいかげんな数字がそれぞれ国々で主張しているということで私は感じました。  まさに、もう一つ数字では、日本の国と中国との排他的経済水域が全く重なっている部分、もう日本の二百海里の計算でいきますと中国の沿岸まで重なっていくと、中国からしてみれば全く日本の沖縄近くまで領海として入っていると。結局、この間を分けていこうじゃないかという案があるようでありますけれども、これも今後、今申し上げましたように、万博が終わると恐らく中国は積極的にこういう問題に対して対応していくと思います。  どうか、前原大臣、これは国交省だけの問題じゃないと思いますので、ひとつこの問題については真剣に、後で後手後手にならないようにこちらから積極的に攻め込んでいくという、こういう戦略も必要ではないかなというふうに思いますので、是非その点は私の方から要望しておきますのでお願いをしたいと思います。日本の資源の将来にかかわってくると思いますので。  何か御所見があれば、おっしゃっていただければ結構ですけれども。
  9. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 室井委員にお答えをいたします。  今、中国では上海で万博が行われておられますけれども、そういった時期においても中国海洋調査、またデモンストレーションというのは非常に活発でございまして、外務省を通じて抗議をしているところでございます。  我々の主権というのは脅かされてはいけませんし、尖閣諸島というのは我が国固有領土でございます。我々としては、まだ中国とのいわゆる境界線が画定をいたしません、海の。そういう意味におきましては暫定的に中間線という立場を取っているわけでございますけれども、中国がその中間線という立場を取らない以上は我々も中間線という立場を取らずに、二百海里を引いて、そこから交渉をするという立場で今臨んでいるところでございますし、また沖ノ鳥島にいたしましても日本領土とは中国は認めておりませんので、これは後日この委員会でも御審議をいただくことになろうかと思いますけれども、低潮線等法案を御審議いただきましてしっかりと実効支配を高めていくということを行う中で、今室井委員のおっしゃった問題意識、全く共有をしておりますので、日本主権をしっかり守っていくための努力を政府全体として行ってまいりたいと、このように考えております。
  10. 室井邦彦

    室井邦彦君 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。  続いての質問でございますが、よくMARPOL条約という言葉が出てきます。私も勉強不足でよく理解をしていないんですけれども、MARPOL条約についての御説明、その中には、条約制定背景とか条約を提携している国々がどのような国々があるかということ、また条約内容などお聞かせをください、お願いいたします。
  11. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) MARPOL条約は、まず昭和四十八年、一九七三年に、現在は国際海事機関、IMOになっておりますが、その前身のIMCO、政府間海事協議機関で採択されたもので、約三十七年前からこの条約がございます。  背景には、大量の油などを船舶が海の上で流出した場合、非常に大きな被害になります。外国船が例えば日本近海でそういう事故を起こしたとき、日本にも影響が広がる。日本船籍世界中走っています。ですから、自分とこの領海だけではなくていろんなところにいろんな国の船が出入りする中で、やっぱり国際機関としてそういう油流出などについてきちんと制約、規制を掛けていかないと、放置してはいけないということで、きっかけは一九六七年に大量の油を流出したトリーキャニオン号事故というのがございました。これはたしかイギリスの船だったと思うんですが。その後、タンカーが大型化する、そしてさらにはケミカルタンカー、要するに化学物質などを運ぶタンカー等も出てきまして、油以外にも有害液体物質海上輸送の増大がこの三十年間どんどん進んできております。ですから、この海洋汚染防止に関する包括的な規制についての議論が行われ、これを規制していこうということになっております。トリーキャニオン号はリベリアの船籍でした、失礼いたしました。  この条約では、船舶からの油、有害液体物質廃棄物排出及び排気ガス放出規制等について包括的に定める国際条約と。そしてさらには、今この附属書というのがⅥまでございまして、今回、御審議いただいておりますⅠは百五十か国がこの附属書を締約しております。そして、Ⅵは五十九か国というようになっておりまして、ⅠからⅥまでそれぞれ国が一つ一つ判断して、そしてそれに入るか入らないかを決めていくという性質の条約でございます。
  12. 室井邦彦

    室井邦彦君 続いて関連なんですが、この海上輸送における外国船籍船舶数が年々増加をしていると。無論、増加をするということは外国船籍の船の事故増加していくということにつながるわけでありまして、その場合、今お聞きしました副大臣からの説明を、MARPOL条約を締結していない国、船舶、これは海防法が適用されるのかされないのか、この点を説明していただけないですか。
  13. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 外国船籍の船に関しましては、日本排他的経済水域に入ってくれば原則として海防法適用対象というようになります。また、MARPOL条約では、非締約国船舶であっても有利な取扱いにならないようにするという規定がございます。我が国は、MARPOL条約規定海防法関係法令に取り入れて、非締約国船舶にも締約国船舶と同様に適用していくというようにしております。
  14. 室井邦彦

    室井邦彦君 時間がございませんので、続いてどんどん質問させていただきます。  次の質問理由は、私はこのように思っているんですが、大型タンカーが入港できないという問題なんですが、その前に油流出事故による被害の大きさを考えたときに、この船舶間の積替えという危険性の高い行為を今行っていると、これについての厳しい規制を導入しようと、このような法改正であるわけでありますが、そこで質問したいところは、海上保安庁長官、どのような命令を出すといいますか、もちろん航行の安全とか海洋の保全、またいろんな状況があると思うんですが、どのような命令を出されるのか、またどのようなケースを想定してどのような命令を出せるのかという、この点についてお聞かせ願えませんか。
  15. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 今御指摘の、船舶間の油の積替えなどのときに流出などが想定される可能性が多いと。現状は、今この積替えは一部の港湾内に小規模なものが年間十数件程度というようになっております。  しかし、この油の積替え、いつどこで、今はそうだからといっていろんな外洋とか、それから台風が通過した後とか、様々な気象条件やそれから場所、そして、さらには船舶の動揺が非常に予想されるような状況での積替えとか、それからパイプが切断するような可能性がある場合とか、まあ海のことですからいろんなことが想定されます。その中で、海上保安庁長官措置命令を発出することができる場合というのは、客観的に見てそのような安全性に問題があるという状況船舶間の貨物油積替えを行おうとする船舶があるときには、ちょっと待てと、そして是正する。それから、さらに時期とか海域等、ほかの場所でやったらどうか、そしてちょっと時期今は悪いからずらせよとか、そういう船舶運用面にかかわる措置を講ずることを命じることができるというようになっております。
  16. 室井邦彦

    室井邦彦君 冒頭申し上げましたように、この質問をするときに、私はもちろん、委員先生方もこの参考資料というのは、これを参考にしながら、読まれて、どの質問をしよう、どうしようというふうにそれぞれ考えられると思うんですけれども、私は、この参考資料を読ませていただいて、こういうことが書いてあるんですよね。これ十二ページなんですけれども、参考資料の。黒四角というんですか、二番目のところなんですが、大型タンカーが入港できない場合は、そういう港があるというふうに書いてありまして、小型タンカーに積み替えて大きなタンカーに油を注油するというか流し込むというようなことは、ここに書いていなかったんですが。  ですから、私が申し上げたかったことは、質問の中で、港湾船舶への貨物油の積込み作業は、通常、港湾施設において行われているが、港湾の水深が浅い等の理由大型タンカーが入港できない場合、小型タンカー貨物油を沖合まで運び、そして、今副大臣がおっしゃったとおり、そういう作業を行うというふうにここに書いてありますので、私は、じゃ、日本の国、日本の港に大型タンカーが入れない港はどの港で幾つあるんでしょうかという質問をしようとしたんですよね。そうしたら、これはもう日本の問題じゃないと、ここの部分は。  そういうふうな、この資料、ここに、これは日本の問題ではないという文章はありませんが、これは日本の国内の問題ではないということで、調査室が、職員の方が一生懸命、国交省の提出された資料を基にこの文章を書かれたと。そして、今度は、じゃ、国交省に尋ねてみると、国交省職員の方が、これは調査室で用意したものだからちょっと詳しくは分からぬというようなことを言われまして、じゃ、何をどう信頼していいのか、どうしたらいいのか分からないと。  お互いがそのようなことで、国交省職員の方と調査室、こういう資料を、参考資料を作るときに、お互い意見交換というか情報交換がしっかりできた上でこういう資料を作成していただいているのか。その点が、質問の材料を探すのにここの部分で非常に、ちょっとここ不信をというか、感じたことがありまして、このことについてどうこうお答えしてほしいということじゃありません。今後、我々はこれを基礎にして質問をやはりしっかりしていかなくちゃいけませんので、いや、うちは知らぬ、ちょっと説明不足ではないかとか、いや、これは調査室やでとか、いや、それは聞いておりませんわとかやられると、ちょっと質問を突っ込んでいくのにどうしたらいいのか分からなくなると。  私はここで、日本の国に、くどいようでありますけれども、タンカーが入港できない港は幾つあるんですかということが聞きたかったんですけれども、これはもう日本関係ないと。日本の場合は大きなパイプを突っ込んで給油タンクに流し込むんだということでありますから、これは別に質問しても仕方ない、そういう油送とか、そういう油の積卸しはしていないということで。  そういうことがありましたので、ちょっと一言これは申し上げておかないかぬなと思ったもので、申し上げさせていただきました。コメントは結構です。ちょっと急がせていただきます。  続きまして、質問を十五用意しているんですけれども、まだ五問しか入っておりませんので、これはまずいなという思いが。前原大臣にすばらしい場面をつくっておるんですが、ちょっとその前に、これが言いにくいんですよね、万景峰号について。  このときにはもう皆さん方も、全国に放映されましたから、いろんなところ、場面を見られたと思います。このポートステートコントロールという、PSC、これについてちょっと私も学習したいと思っておりますので、これはどのような組織で、団体で、どのような内容なのか、簡単にちょっと説明いただけますか。
  17. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 概要を御説明いたします。  このポートステートコントロールは、海洋汚染防止条約、そして海上人命安全条約等国際条約に基づいて、寄港国当局日本に入ってくる船でしたら日本が入港中の外国船舶に立ち入り、国際基準に適合しているかどうかというようなことを確認することをポートステートコントロールと申します。  具体的には、国際条約で要求されている条約証書やマニュアルをきちんと備えているかとか、それから主要な構造、設備に欠陥がないかとか、さらには船員が十分な資格要件や機器の操作能力を有しているかなどについて確認を行い、そして欠陥が発見された場合には必要な改善や出港停止を命ずるというようなことを行います。
  18. 室井邦彦

    室井邦彦君 この資料を見ていますと、北海道とか、そうですね、北海道には、これは十三名とか、非常に人員が少ないんですよね。こういうことで本当に完璧なそういう仕事といいますか、対応できるのかどうか。九州でも十九名しかおられないですし、いろんなところを見ますと、こういう方々の人員が素人から見ましても非常に少ないような感じがいたしますし、また、これのMOUですか、パリMOUは一〇〇%を目標に頑張っておられるということも耳にいたしました。日本の国は七五から八〇程度ということを目標値に置いているというようなことを聞いておるんですが、その辺の説明我が国体制、今後の体制とか、いろいろとPSC監査官の人数とか、いろいろと人材養成のプログラムとか、いろいろとあると思うんですが、どのようにお考えで、どういう方針を取られていくのか、その部分を簡単にちょっとお聞かせ願えますか。
  19. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 今御指摘のように、北海道は十三名ということでしたけれども、現在は地方運輸局などに、四十三官署に百三十四名配置をしております。  ちょっと実績なんですけれども、昨年度は検査隻数が三千五百十一隻で処分の隻数が百九十二隻ということになっております。大体、毎年三千五百とか、それぐらいの船に立入りを行っております。  ただ、御指摘のように、日本周りを海に囲まれておりますので、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないということで、現在では船上訓練とか、あとアジア諸国、各国との連携もやっておりますので、そのような連携について強化をするとか、実施機関への、他国への派遣など、研修や、それから国際的な取組に従った行動が的確にできるように強化してまいりたいと思います。
  20. 室井邦彦

    室井邦彦君 時間がございませんので、最後になりますが、せっかく大臣の方に質問を三つほど用意していたんですけれども、最後にさせていただきます。  日ごろの前原大臣の精力的な行動は、私は非常に高く評価をさせていただいております。そこで、国土交通大臣として、この質問理由のところは幾つかあるんですが、私はこの部分で、大臣がもちろん、この世界状況で、低炭素の、また環境を非常に重要視した経済政策、またそういう考え方世界中が回っているわけですが、アメリカではやはり一番飛行機とか車よりも鉄道に非常に注目を浴びていると。そういう観点から前原大臣は、新幹線の売り込みとか、世界を相手にして、昔のエコノミックアニマルと、これは非常にいい表現で当初はされたんですよね、いつの間にか通訳の形が変わって、利己的なそういう日本人の営業方法に批判的な考え方が定着してしまったという。当初このエコノミックアニマルというのは、どこの国でしたかね、ちょっと忘れましたけれども、非常に日本のそういう積極的な、あのころは池田勇人さんがトランジスタを売り込みに行ったとか、そういう時代もあったんですよね。まさに今そういう環境において大臣行動されている。  そして、ここに、もう御承知のとおり、李明博、この方はもちろん積極的に取り組んで、世界中が注視していたアラブ首長国連邦、UAEの大型工事、原子力の、これが韓国が受注を成功したと。原発四基で四兆円だと。アメリカ、フランス、日本、ロシアに肩を並べてしまったと。この技術は韓国は日本から学んだと。こういう後手後手に回っておるという、非常に寂しい、そういう思いがあるわけであります。ですから、まさにどんどん積極的に、この韓国の大統領は六十八か九でありまして、年齢は前原さんが二十歳若いという、若さは力なりということがありますから、積極的に海外にどんどんトップセールスとして売り込みに行っていただきたい、そう思っております。  そこで、ちょっと時間がオーバーして申し訳ありませんが、この海洋我が国造船業界、また国際競争力、確保するために、特にこの環境技術において、国土省として、また大臣としてこれからどういうふうなかじ取りをしていこうとしておられるのか、是非所見をお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきます。
  21. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 我が国の造船業は長きにわたって世界のトップシェアを誇っておりましたけれども、しかし残念ながら、先ほど室井先生が言及されたように、今や韓国が一位と、そして中国にまで抜かれて今日本は三位ということでございます。韓国は船の買取りなんかをやっていて、これはOECDでも問題になっていると、こういうことでございますけれども、我々としては、国際競争をフェアにやる中で、しかし、これも室井委員が先ほど御指摘をされた環境面での優れた技術を生かした造船というものを売りに、しっかりとまた再びトップに返るように努力していかなくてはいけないと、このように思っております。  成長戦略会議の中でも、どのようにこれを、造船業を更に強くしていくかということを議論しておりまして、とにかくやはり技術だろうと。環境技術、そしてコスト面での競争力、こういったものをどのようにやっていくのかということについて、施策についてはまた早急に結論を得て、今委員のおっしゃったような他国に勝てるような我が国の造船あるいは他の製品、こういったものをしっかりと売り込んでいくように努力をしてまいりたいと考えております。
  22. 室井邦彦

    室井邦彦君 終わります。
  23. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。  今日は、この海防法、略して海防法と言わせていただこうと思いますが、長い文章ですから、の質疑、基本的には、最初に立場を一言申し上げておきたいんですが、基本的には賛成です。賛成なんですが、CO2対策と一緒で、日本だけが一生懸命律儀にやり過ぎると、国際的な競争、国益というような面から、必ずしも善意で一生懸命走っていたらそれがプラスになるかどうかという点を注意しながら走っていく必要があるんだろうと思います。今、室井先生のお話にもありましたが、国際競争力、そういうことも考えながらその運用をきちっとしていく必要があるんだろう、こう思います。  そういう観点からいくと、最初に、これは法律ですよね。一回一回法律改正ということで批准しなければいけないのか。かなり技術的な問題もありますから、そういう意味では、もちろん法律の立て方が前から、最初からそういう形にしていますから、今回の改正そのものは法律改正、こういうことでいいんだと思いますが、日本の場合には法律改正、じゃ、ほかの国は国内法的にどういう整備をしているのか。批准という同じ意味であったとしても、その辺も多分きちっと調べながら、その強制力みたいなものをお互いに一定レベルに一緒ですよねというような確認も要るんだろうなというようなことも思っています。これは調べてくださいよと、こう言ってありますが、時間の掛かる話かもしれませんから、国交省じゃなくて外務省も調べなきゃいけないかもしれませんね。ですから、そこは調べるようにというお願いだけしておきます。  で、法律にする、この意義はどういうことでしょうというのを最初に、一番目に聞きたいんですが、これは副大臣でしょうかね。
  24. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) お答えいたします。  先ほどから申し上げているんですけれども、このMARPOL条約などを国内法上担保するという位置付けです。  この条約につきましては、非常に国際的にも海洋関係では重要な条約という位置付けになっておりまして、アジア諸国でも、附属書ⅠからⅥまでございますけれども、近隣諸国もほとんどこれにサインをしているということになっております。  その中で、特に技術的なことが多いという御指摘なんですが、どうしてもこの海洋汚染にかかわることは技術的な進歩によって改正がなされるとか、それから事故対策等の社会的要因、いろんな事故の形態がございますので、そういう観点からいろんな点で改正がこれからも必要になってくるのではないかと思っております。  ただ、やっぱり日本は海運国ですし、それから海に囲まれた海洋立国ですので、特にこの海洋汚染防止に関するような条約を厳格に守っていくということについては、国際的にも率先してこれをリードしていくということが日本の信用力にもつながるのではないかというようにも考えております。  ということで、今回この条約改正の内容をしっかりと法律に書き込ませていただいて対応させていただきたいということでございます。
  25. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこで、この前事務的に伺ったときに、ほかの国は、じゃ、どうやって批准しておるのか、担保しておるのかと。ここのところはまだちょっと十分調べ切っておりませんと言うので、私もすぐに調べろとは言いませんが、外国で各国がどういう形の批准というか国内法をどんな形で整備しておるのか。  多分いろいろレベルがあるんじゃないかと思います。これ、決めているのは、各数値自体はその条約で決まったとおりにやりますと、こう言っていますから、そうだとすると、法律で各国が後書きしてやっておるということなのかどうか。まあ、百か国もあるわけですからいろんな例があるとは思うんですが、日本だけが律儀にやっていますというので損しないようにと、こういう観点から、そういう意味では他国の、特に、以下ちょっと御質問申し上げたいんですが、NOx規制であるとか、そういうような問題について他国の足並みというのを見ながらこの運用をしていかなきゃいかぬだろう。  これは調査室が調べてくれた資料参考までにお出しさせていただいています。これは元々の調査室参考資料にあるわけですけれども、御覧いただくと、アメリカ、カナダはMARPOL条約Ⅳは批准していないと、こういうことなんですね。それから、一番最近のOPRC―HNS議定書、これも批准していませんと。批准しないときにどういうペナルティーがあるの、これは多分ないんですね。だから、どういうことを言っているかというと、例えばNOx規制、現行のNOx規制でも、大型タンカーが入ってきて、いやNOx規制クリアしていないから、あんた駄目よと、次の国内の港に行っちゃ駄目よと言ったって、行っちゃ駄目よで追い返した例は多分ないですよね。  つまり、ペナルティーという形では、強烈なものは用意はされていないし、そうかといって本当にやろうとしたら、これ非関税障壁じゃないですけど、海運の円滑化というのも大事な大前提だと思いますよね。そうすると、ペナルティーは掛けないけどちゃんとやってね、いや、あんた、やっていないのが来ちまった、駄目よ、これから次ちゃんとねと、こういうようなやり取りに多分なるだろうと。東京に入った、京浜に入ったタンカー、阪神に行きますと、行っちゃ駄目よと、こういうわけに多分いかない。  だとすると、足並みをそろえるということが大事だし、という部分を、是非この批准の問題、今までの問題も多分あるんだと思いますが、批准の問題と一緒によくよく目を光らせながらやるということを是非、大臣、一言お願いしたいと思います。
  26. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 今、佐藤委員がおっしゃったように、我が国だけ批准をして他国が批准をしていないことによって我が国の海運事業者のみが不利になるということはあってはいけないというのは委員指摘のとおりだと私どもも思っております。  今回、このMARPOL条約附属書Ⅰは、これ委員からの資料にもございますように、批准国が百五十か国ということで、それらの国の船腹量合計は世界の約九九%になっております。また、平成九年に新しく追加されました附属書Ⅵにつきましては、委員がお配りいただいた資料には、これ今年の一月三十一日現在でございますので五十八になっておりますが、現在は五十九か国が批准をしておりまして、その船腹量合計は世界の約八四%に上っております。したがいまして、このように世界の大部分船舶にこの条約規定が適用されることになっておりまして、締約国はその内容を遵守することが義務付けられているということでございます。  さらには、先ほど室井委員の御質問辻元大臣がお答えをいたしましたけれども、MARPOL条約では、締約国政府が管轄する港に非締約国船舶を含む外国船舶が入国した場合には、外国船舶監督、PSCを行いまして、非締約国船舶に対しましても条約規定をされている内容を要求することができるということになっておりまして、必要な場合には航行停止処分も行うことができる旨規定されております。したがって、我が国といたしましても、MARPOL条約規定を取り入れた海防法に基づいて、外国船舶PSCを実施しているところでございます。  こういったことを考えますと、我が国の海運事業者のみが不利になるような状況は生じないものと考えておりますし、またそのための努力を今後もさせていただきたいと考えております。
  27. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 生じないものというのは難しいので、運用の問題ですから、同じ批准するといっても、日本でも、大体十万隻ぐらいですかね、年間出入りする外国船舶、十万ぐらいですかね。それで検査できるのがまあ三千とか四千。こういう議論の中で、それぞれどのぐらい遵守義務を履行しているかを確認するか、あるいはさっき申し上げたように、遵守していないけれどどうするんだと、港に入れないよというようなことをどこまでできるかと。運用の問題がありますから、突出して日本だけがと、劣後してもいかぬでしょうし、出過ぎて厳しくし過ぎても、世界標準みたいな運用の問題からよくよく見ながらやっていかないかぬと、こういうことだと思っています。  その中で、これに関係するのは海運事業者だけではなくて、日本の場合には造船も、それから船主、荷主、たくさんのステークホルダーが関与はしているんですね。これは、条約そのものを決めようとするときまでにいろいろその議論はしましたと、こういうことなんですが、ステークホルダーとの意思疎通というのはこれまでも必要だし、これからも必要だ。たくさんいるんですね。海運事業者だけではない。  そうだとすると、その辺を、今まできちっとやってきましたよ、これからもやりますということを一言お願い申し上げたいと思うんですが。
  28. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) これは、今、佐藤先生がおっしゃったこと、大変重要なことでございまして、この条約改正の国際対応や法律改正におきましては、海運事業者等のステークホルダーとの意思疎通を図ってまいりました。数年にわたりましてこの条約改正の検討に当たりましては関係業界団体を含む我が国全体の意見を踏まえて対応しておりまして、規制内容は基本的に関係者の意見を十二分に踏まえたものとなっております。  したがいまして、船舶所有者の船舶運航者に対して大きな負担を求めて我が国海事産業の国際競争力を低下させるような過度な規制にはなっておりませんけれども、新たな規制内容につきましては、業界団体を通じて事業者の皆様方に事前に十分な周知を行い、対応に万全を期してまいりたいと考えております。  また今後も、今、次官経験者であられる佐藤先生からのお話もございましたけれども、引き続きしっかりとステークホルダー、利害関係者の皆さんと話をしながら、しっかり運用に万全を期していきたいと考えております。
  29. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 そこで、多少項目としてちょっと取り上げてみたいなと思ったのがNOx規制なんですね。二〇一一年からの新造船は今までのNOx規制の二〇%カットだ、二〇一六年から八〇%カットになるんですかね。  ここは、日本だけができる技術であれば一番いいんですが、一番いいんだけど、多分そうもいかぬだろうと。今、内燃機関でいうと韓国のシェアが五〇%ですかね。で、日本が三五、六%ぐらいですかね。それで、これ二〇%規制来年からやりますと。すると、船主が造船業者さんに頼むときに、元々船主がそういう規制の掛かっていない国から出すならば関係ありませんと、こうなるんでしょうけど、これに参加している国から出すというときに、相手先として一番安くてクリアができるようなところの造船会社に頼むだろうと。さっきの韓国一番という、造船そのものがですね、ということを考えると、日本の場合にはそれは十分対応できるのかという問題が出てくるんですね。  二〇一一年二〇%カット、二〇一六年八〇%カット、これ二〇一六年はまだ目標だと、こういうことのようでありますが、この辺の日本の国内造船技術の見通し、この辺はどうなっていますでしょうかね、副大臣ですか。
  30. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) 今、二段階、二〇%と八〇%という数字が出てまいりましたけれども、この二〇%については既存の技術で対応可能ではないかと考えております。これは、今回の条約改正に基づいて、日本だけではなく世界中のエンジンメーカーがやはりこの二〇という数字は気にせざるを得ないといいますか、この基準に合わせて対応したエンジンを生産していくという方向になるかと思っております。ですから、我が国だけが厳しい基準というよりも、世界中のメーカーも二〇はまずきちんと対応しなければいけない数字ではないかと思います。  八〇%については、二〇からいきなり八〇ですから、これについては三次規制ということになりますけれども、必ずしも現在これに対応できる技術が確立しているとは言えない状況ではないかと思っております。今後、ただまあ環境問題が非常にこれからの大きなテーマになりますので、技術開発を進めていくということで、平成二十四年から二十五年の間にIMOにおいてもこの規制については検討していくというように承知しております。  ですから、関係機関や関係企業の皆様の御意見も伺いながら、この三次規制の対応については、日本としてもどうしていくか、IMOとも足並みをそろえつつ、しかし関係業界の皆様の御意見も伺いつつ、これから検討してまいるというような状況かと思います。
  31. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 意地悪く考えますと、これの条約に加盟していない国から船主として発注して、それで二〇%でも八〇%でも私ら関係おまへんわとやっておいて、後で船籍を移すと、移さなくてもいいかもしれませんけれどもね。それが来たときに、いや、あんた守っていないじゃないかと言ったって、おれは非加盟国なんだと、船籍が。それで帰れとは言えないと、こういう状態があり得るということを私なんかはちょっと気になるわけですよ。そこのところは是非足並みそろえてという問題が一つ。悪知恵を働かせれば出てきますからね、これ。  それからもう一つは、八〇%カットの方は物すごく難しいと思います。日本の脱硝技術というのは多分世界で一番だと思うんです。  これは最近は余り問題にしませんが、自動車のトンネルなんかの脱硝、これ随分と技術開発しました。恐らくそれまでの規制の九〇%、いや規制のというか、九〇%カットとか、脱硝そのものが、脱硝装置そのものが、ぐらいの装置はできて使っています。コンパクトにすることが難しい。船に積み込んでコンパクトにすることが難しいんだと思います。  それから、これはお願いですが、一言でいいんです。八〇%に向けた技術開発という点について、造船会社任せにしていたらなかなかしんどい。先ほど国として技術を売り込むと、こういう話がありましたが、産と学と官とで一緒になって開発すると。今既存技術をコンパクト化するぐらいのところで本当にできるのかどうか私もよく分かりませんが、そこはやっぱり国交あるいは政府を挙げて技術開発を応援するという姿勢が必要なんじゃないかな。  大体、韓国と日本で、内燃機関の技術開発といいますか、船舶の機関の技術開発、こういう意味でいえば、どうも一けたぐらい違っている、掛けている費用が。だから、政府としてしっかりと、それぞれの造船会社任せにするんじゃなくて、今の技術開発の段階からしっかりとしたタイアップしながら開発を進める、これもまた一つ必要なことじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  32. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 委員承知のとおり、ある程度は今も行っておりますが、平成二十一年度が〇・九億円、今年度の予算が〇・八億円で、船舶からの環境負荷低減のための対応策ということで予算は付けてやっておりますけれども、じゃ果たしてそれで十分かと、そしてまた国際競争力の面でもっとバックアップすべきでないかという御指摘は、私は傾聴に値をする御意見だと思っております。更にこの点については今の御指摘も受けて前向きに検討させていただきたいと、このように考えております。
  33. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 これは国交予算と、こういう意味ではなくて、政府全体の中で科学技術開発予算、こういう形で取り組む。しかも、それはまあ民間会社だってちゃんと、それは自分たちの技術開発をちゃんとやってもらわなきゃいけません。ただ、個別にやるという問題なのか、コンソーシアムみたいなものをつくってみんなでやる、多分そっちの方がいいかなと思いますが、その辺の工夫を是非お願いしたいと思っています。  ここで問題になってくるのは、もう一つ、NOxとCO2のトレードオフの関係ですよね。ディーゼル機関、NOxを少なくしていこうとするとCO2が増えるというトレードオフの関係があるように聞いています。CO2の方はまだこれ規制値、明確に決めていないんですね。これから決めようと、こういうことのようですが。  二〇%カットのときには恐らくCO2の方が若干増えるような傾向で、しかしながらNOxの方は二〇%カット。世界的にはCO2がこれから、今問題になっているわけですが、これからもっとそうなってくると、八〇%カットなんてときにはCO2をどうするんですか、あるいはCO2そのものをまた一方で規制しようとすると随分ときつい、きちきち条件になっていく。その中で日本だけが、いや私頑張りますって、頑張るってだけ言ってみていてもしようがないので、今みたいな国挙げて一緒になって取り組むという。それから、世の中、国際的な動向を見ながら考えていかないと、二〇一六年だよということでひたすら走ろうとしたら待て待てと、こういう事態になりかねないということをあらかじめ是非お願いしておきたいと思うんです。  問題は、そうするとCO2はどうなるか、こういう議論なんですね。この辺はどうなっているんでしょう。
  34. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) この国際海運のCO2の規制に関する国際的な議論は、これはまたIMOを中心に進んでおります。京都議定書でも、この国際海運とそれから航空機、航空機の方がたくさんCO2を出しますけれども、議定書の第二条二項で、この二つについて抑制、削減を追求していくということが規定されました。それに従いまして、今技術的な手法とそれから経済的な手法、要するに技術的な手法は、燃費の規制や船の省エネ運航、これソーラー型の船なんかも今開発されてきていますけれども、様々な技術面、それから経済的な手法として、これ日本力入れているんですけれども、船舶の一層のCO2排出を削減するための燃料油課金制度、結局頑張ったところが得するような、そういう制度を国際的にできないかというように考えております。  それから、先ほどのトレードオフの関係は、確かに御指摘のとおりなんですね。これ、大気汚染物質を除去するということは、燃費との関係で悪くなりますので、効率が、CO2が出ると。これを両方解決するために、大気汚染物質などはフィルターなどでの除去ができないかということ、それからCO2の方は、船体の形とか様々な、総合的にCO2を除去するという、このセットで両立する方向を追求していくということになるかと思います。
  35. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 ということで、今京都議定書の話も出ましたが、本当に批准そのままでできているかというとできていないですわね。コストとの関係もあるんで、これもう理念だけで、これで何とかこっちの方向でって言っていても、具体的に本当にそれが実行可能かどうかと。実行したときに、いやそんなことよりはこっちの方がええって言ってほかの国が走っていたら、結局のところは日本の方が競争力もたなくなっちまう、こういう事態が十分考えられるんで、是非そこ気を付けてくださいと、こういう趣旨であります。  そういう意味で、今度は運用の問題として、いろんなその手引書みたいなのを備え付けておいてくださいねと、こういう議論もあって、それやり過ぎると、今度はまた、日本に行ったらうるさくてしようがないと。あるいは内航海運でもそうですよね。随分ときちきちやられて、その都度、あんた、来た船、港に戻れみたいな議論を、これは運用の問題ですよね。  そこの辺は適切な運用というのを十分いつも気を付けていただきたいなというふうに思うんですが、副大臣、いかがでしょう。
  36. 辻元清美

    ○副大臣辻元清美君) この運用の問題は、先ほどポートステートコントロールのこともございましたけれども、アジアはアジア、各国協力体制を取っておりますので、その運用面においてもきちんと基準を合わせていくと、近隣諸国、特にアジアとですね、ということはとても大事だと思っております。  今るる御指摘の点は、環境問題を取り扱うときに、大きな意味では経済成長と環境の両立をどうするか、国際競争力と環境の両立をどうするかということで、これ様々な国際会議で一番大きなテーマになる点だと思います。必ず、いろんな条約を作ったり、この温暖化の問題もそうですけれども、そこに入らない人たちが、抜け駆けというか、やっていくんじゃないかということで進まないというようなところがあちこちで見られています。  ただ一方、やはり環境技術を開発していくということは、これからの新しい国際競争力にもつながるということで、ヨーロッパ諸国なんかでは、かなりきつい環境基準を設けたことでその環境関係の産業が世界をリードしていくような国際競争力を持つという事例もありますので、やはりその辺をきちんと見極めながら、特に日本は、造船国家でした、戦後造船が引っ張ってきています。ですから、この海事、海洋という分野で新しい環境を加味した国際競争力を持てるように、これは国交省だけではなく経産省や政府、政権を挙げてやはり取り組んでいく一つの大きなテーマだと考えております。
  37. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 是非しっかりとお願いしたいと思うんですが、揺れ過ぎずにですね、右行き過ぎたり左行き過ぎたりすると実際の運用はなかなか厳しい、これはたくさんそういう例がありますので、是非中庸をきちっと行っていただくと、こういうことでお願いしたいと思います。  それをやっていく上では、検査体制あるいは事前の周知徹底、広報活動、こういうのが大事なことになると思いますので、特に検査官、たしか運輸局で、出先でも百四十人ぐらいですかね、ですから、そういう体制の強化というのも図りながらどこまでそうした運用ができるか、やれるか、やるか、こういうことを是非しっかりとお願いしたいと思います。右行き過ぎず左行き過ぎずですね。  時間がなくなりました。最後に、大臣、高速道路の無料化の話でいろいろ御議論があるようですね、私も新聞でしか見ておりませんが。高速道路を無料化すると、原則無料化するとおっしゃった。これはそのままおやりになるのか、原則無料化をおやりになるのか。それをやる場合にはどんなふうなロードマップというんでしょうかね、をお考えになっておられるのか。今回いろいろ御提案が、閣議の決定まではなさったようですが、そうしたことと無料化という、原則無料化という方向との関係、この辺はまた別途に法案で出てきたときにしっかりした御議論を多分皆さんがしたいと思っているんですが、その基本の部分として原則無料化、この方向できちっとやっていくんだということなのか。そして、今回用意されておられる法律の方が、それとの関係はどんなふうに理解をするということなのか、すればいいのか。あらかじめの話ではありますが、どうせそういうことがきちっと後またここで議論ということになろうかと思いますので、あらかじめ一言だけお伺いしておきたいと思います。
  38. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 我々は、高速道路の原則無料化、そして段階的に社会実験を行っていくということで、今回は六月から高速道路の約二〇%に当たります一千六百二十六キロメートルで無料化の実験を来年の三月末までやらせていただくと。そして、今国会に提案をさせていただいております利便増進事業、これは前政権でつくられたものでございますけれども、これについて少しスキームを変えて、しかし割引を行うということで上限制というものを設けさせていただいて、国会のお許しがいただければ、法案が通ればそれも来年の三月まで試行、試し行うということでやらせていただきたいと、このように考えております。  この段階的とか原則とか社会実験とかいうことは、他の交通機関とかあるいは環境影響とかどういう状況になるのかということを、やはり社会実験をやってからでないと、急に決めて、そしてやったらいろんな問題が起きたということではいけないだろうということでございまして、そういう意味では多方面、他の公共交通機関への目配り、環境あるいは渋滞、こういったものがどのように生まれるのか生まれないのかということを着実な社会実験、試行の中で確認をさせていただきながら原則高速道路の無料化というものを、最終形を決めていきたいと、このように考えております。
  39. 佐藤信秋

    ○佐藤信秋君 時間ですのでこれで終わりますが、その場合に一番大事なことになるのは財源どうするか、こういう議論です。ここはまた別途議論したいと思うんですが、財源問題逃げては駄目だと思いますので、よろしくお願いします。
  40. 草川昭三

    ○草川昭三君 公明党の草川であります。  まず、海防法の三十九条、四十一条で措置をされている油流出に対する汚染防止措置に不十分な点がありますので、二、三問題点をお伺いしたいと思います。    〔委員長退席、理事吉田博美君着席〕  まず第一に、船舶油流出事故を起こした場合の汚染防止措置は、まず排出をした油を積んでいるところの船舶の所有者が行うことになっています。同時に、海上保安庁長官は、船舶同士の衝突により油漏れが起きた場合、油漏れを起こしていない方の船舶にも汚染防止措置をとるように命令できることになっています。さらに、場合によっては海上保安庁長官が自ら汚染防止措置をとるのではないかと思いますが、この見解は間違っているのかないか、お答え願いたいと思います。
  41. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 草川先生にお答え申し上げます。  今おっしゃったように、海洋汚染防止法では、油の排出があった場合に必要となる防除措置について、原則として原因者の責任により行うということを三十九条で定めております。二隻の船舶が衝突をし、一方の船舶から油が排出した場合は、排出した船舶及び衝突した相手船舶等の排出の原因となった船舶の船長に対して防除のための応急措置の義務を課すとともに、今委員指摘のように、これらの船舶の所有者にこれに続く防除のための必要な措置を講じることを義務付けております。  さらに、これらの防除措置義務者が必要な措置を行わない場合には、海上保安庁長官措置を講じるべきことを命じることができるということにもしておりまして、更に加えて、初動のとき、また大規模流出事故が発生した場合には、海上保安庁においても関係行政機関や海上災害防止センターと連携して必要な防除措置等を実施するという形で定めさせていただいております。
  42. 草川昭三

    ○草川昭三君 そこで、今答弁がございました海上保安庁長官が行った汚染防止措置に掛かった費用の負担についてお伺いをしたいと思うんです。  この費用は、油を排出をした船舶の所有者が負担をすることに限定されておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  43. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 今おっしゃったとおり、海上保安庁が油を回収した場合の防除費用につきましては、一定の要件の下に原因者である油を排出した船舶の所有者に負担させることができるという形の条文を四十一条に定めております。そういう意味では、委員のとおり相違ございません。    〔理事吉田博美君退席、委員長着席〕
  44. 草川昭三

    ○草川昭三君 したがって、油漏れを起こしていない方の船舶事故原因があったとしても、海上保安庁長官からの費用の請求はできないということになります。例えば、停泊中の船舶が一方的に追突をされまして油漏れが起きた場合でも、追突をした船舶に対して海上保安庁長官は自ら負担をした費用の請求を行えないということになりますが、それでいいんですか。
  45. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 整理をさせていただければ、まず、海上保安庁が油を回収した場合の防除費用については、一定の要件の下に原因者である油を排出した船舶の所有者に負担させることができるということにしておりまして、そういうふうにした理由は、これらの油を排出してしまった船、原因はどうであれ、排出してしまった船、船舶というものについては、またその所有者というものについては、これらの方々が海洋汚染に対する危険性を与えつつ営利活動を営んでおられるものということでありまして、私法上の費用負担義務のいかんにかかわらず、公法上、公の法律上の費用負担義務者としては、油を排出した船舶及びその所有者に対して費用負担義務者と定めることが最も妥当であるというふうにしております。  ただし、その上で、この法律の四十一条になるんですけれども、油を排出した船舶の所有者に、衝突の相手船舶の所有者等の油の排出について責任ある者に対する費用負担の求償権、要は、その衝突した船の船舶の所有者等の油の排出について責任ある者に対する求償権を認めておりまして、これにより原因者間の負担の公平を図らせていただいております。
  46. 草川昭三

    ○草川昭三君 今負担の公平を図っておるという答弁ですけれども、ここでちょっと大臣にお伺いしますが、追突をして油漏れの原因をつくった船舶は海上保安庁からのいわゆる費用の請求書が届かないということになっているんですね、今のお話も。そこで、そういうことならば、事故の原因や自分の過失が確定をしない段階で海面のクリーニングなどの作業を行うと、結果的には余分な費用を掛けてしまうおそれがあり、損をするかもしれないという考え方が当然出てくるわけでございまして、汚染防止措置をとらない、まあサボるということが結果として出てきておるんではないだろうか。  海防法三十九条で規定をした油漏れの原因となった行為をした者、例えば衝突して相手船を破損をさせて油漏れの原因をつくった船舶に対して海上保安庁長官汚染防止措置命令をしても、命令の履行を担保する措置がないのは私は甚だ問題だと思うんですが、その点いかがでしょうか。油による環境破壊を一日も早く解消するために努力をすべき段階で事故の当事者が何もしないで済んでしまうということでは、本来の海防法の趣旨に反することになると私は考えます。  これは一つの例ですけれども、衝突をされ油漏れを起こした船舶の代理人が相手船、相手の船側に連絡をしても電話すら取らないというのが今の現状になっているんです。油防除義務のある者の義務が履行されるよう、何らかの措置をとるべきと考えますが、大臣の見解はどうでしょう。
  47. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 草川委員にお答えいたします。  海洋汚染防止法では、油を排出した船舶の所有者だけでなく、衝突した相手船舶等の排出の原因となる行為をした者側にも油防除措置の義務を課しておりまして、海上保安庁は当該義務が適切に履行されるよう、これらの者に対して指導を行ってきているところでございます。また、当該指導に従わないなど防除措置義務者が防除措置を講じていないと認める場合におきましては、海上保安庁長官海洋汚染防止法に基づき必要な措置を講ずるよう命令できることとなっております。  海洋汚染防止のためには、衝突した相手船舶をも含む油排出の原因者が法に定められた防除義務を着実に実施していくことが極めて重要であると考えておりますので、今後ともこうした指導や法に基づく命令を適切に運用していきたいと考えております。
  48. 草川昭三

    ○草川昭三君 是非、現場の実情ということをよく把握をしておいていただいて、まあ私はそういう立場に立って質問をしておるんですけれども、海上保安庁の指導をお願いを申し上げたいと思うんです。  平成九年の七月二日、アラブ首長国連邦から京浜川崎シーバースに向かっていた原油タンカー、ダイヤモンドグレース号が東京湾内の浅瀬に接触をし、船底に亀裂が入り、原油が流出する事故がありました。幸い、この事故では流出をした油の量が当初の予想よりもはるかに少なかったために大きな被害は生じませんでした。しかし、今後、万一、東京湾で大量の油流出事故が起きれば、東京湾全体が封鎖状態となり、多くの船舶がくぎ付けにされ、東京湾横断道路の通行止めや、千葉、東京、神奈川の沿岸部の施設なども汚染の損害を被ることも考えられます。  東京湾においてタンカー等の大型船が座礁若しくは衝突事故を起こし大量の油が流出した場合に備え、あらかじめの対策を準備しておくことが大切だと思うんですが、どういう対処をしておみえになるのか、お答えを願いたいと思います。
  49. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 今委員がおっしゃったように、そうした大規模な油の流出事故がまず起こらないようにするという対策が大切だと思いますので、そういったふくそう海域等々を航行する油を積んだ船舶の安全対策、これは海上交通センターも含めてしっかりと航行管理をするといったことが大切だと思いますし、万が一そうした大規模な油流出事故が発生した場合には、原因者が必要な防除措置を速やかに講じることができるように指導するとともに、海上保安庁としても、国や地方の関係行政機関ですとか海上災害防止センターなどと連携して必要な防除措置が実施できるようにするという体制を取らせていただいております。  具体的に申し上げれば、まず早く油の回収を実施するということが必要なものですから、油防除資機材を、オイルフェンスですとか油処理剤ですとか、そういったものを全国に配備するとともに、そういったものの使い方も含めて平素から訓練を実施しながら油流出事故への対応能力を高める、また関係機関と連携がいつでも図れるようにするといった体制を構築させていただいております。
  50. 草川昭三

    ○草川昭三君 海防法四十条のことでお伺いをしたいと思うんですが、平成十八年の法改正で、海防法四十条による、海上保安庁長官は、船舶の沈没や乗揚げで環境に著しい障害を及ぼした場合に当該船舶の撤去を命令することになりました。  四十条に基づく撤去命令はこれまでに何件発生していますか、お答え願いたいと思います。
  51. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 今委員が御指摘のとおり、第四十条を平成十八年の海防法の改正時に改正を行いまして、船舶の沈没若しくは乗揚げに起因して海洋汚染された場合に、海洋汚染防止のための必要な措置を講ずべきことを命ずることができるということを定めさせていただいているんですけれども、これまでに、その改正以降一件の撤去命令を発出しております。平成十九年四月に発生いたしましたジェーン号、これは宮城、福島県境付近の陸岸で起こった事故に対して撤去命令を発出しております。
  52. 草川昭三

    ○草川昭三君 今答弁がありました十九年の四月のジェーン号の事故でございますが、これはその後の経過を見てみますと、保険金を超えたために弁護士への報酬は支払われていませんし、漁業補償も全然行われていません。事故の事実関係についてどのように把握をしているのか、お答え願いたいと思います。
  53. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 今ございましたジェーン号の事故は、これは平成十九年四月の十七日に水深五メートルの宮城、福島県境沖にジェーン号が乗揚げをし、立ち往生してしまったということでして、海洋汚染防止法第四十条に基づいて、平成十九年五月の七日、この船主に対して船体の撤去命令を発出いたしました。その後、PI保険、保険会社の方で、これはプロテクション・アンド・インデミニティー、要は保護と補償、賠償を行う船主責任保険の方でこの油及び貨物の抜取り又は船外撤去に関しまして、そういったサルベージ会社等々との契約を締結しながら、五月二十一日、作業の開始を行っております。  かなりの時間、期間を要しておるんですが、順次撤去が行われ、最新の情報では、平成二十二年、ですから今年の二月の時点でこの船体がほぼ撤去が済み、要はもう水面上のものはすべて撤去できて水面下に残るのみという形まで撤去が進んでおるという状態でして、今年の三月二十五日、関係自治体ですとか漁業協同組合が参加する形で関係者連絡調整会議というものを開催いたしまして、海洋環境の保全に著しい障害を及ぼす状況にないといったことまで一応確認できる状況まで至っております。
  54. 草川昭三

    ○草川昭三君 要するに、船体をスクラップで売却をするところまでようやく来たというわけですけれども、先ほど触れましたように、保険金額が大変オーバーをしたものですから対処できないという現状を私は強く訴えたいと思うんです。  そこで、法務省に今日はお見えになっておられると思うのでお伺いしたいんですが、船主責任制限法、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律があるわけです。我が国は千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約を改正する千九百九十六年の議定書を承認しています。海運業には古くから船主の損害賠償責任を制限する制度が認められており、各国の制限を統一することを目指すのがこの条約であったと思います。  この議定書の基になった一九七六年の条約の中に、沈没したり乗り上げた場合の船舶の引揚げや除去並びに流出をした油の除去作業などの債権を制限することができるということが定められていますが、日本はこの部分については条約規定に基づいて留保しております。損害賠償責任を制限しないという立場を取っています。これは私は支持をすることでございますけれども、条約に伴う国内法として船主責任制限法をそのことによって制定をしておりますけれども、ここでも難破船の処理費用、油漏れの清掃費用は制限債権から除外をしています。  そこで、伺いますが、一般船舶から流出をした燃料油による汚染が生じた場合において、船舶所有者等が支出をした油処理剤の散布や油の抜取り等による費用は、船主責任制限法では責任制限の対象とされないということになると思うんですが、それでいいのか悪いのか、お答えを願いたいと思います。
  55. 團藤丈士

    政府参考人團藤丈士君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点は委員指摘のとおりでございます。すなわち、船主責任制限法第三条第一項第五号は、船舶所有者等が、損害防止措置に関する債権について、同法の定めるところにより、その責任を制限することができると定めてはおりますが、その一方で、当該船舶所有者等との契約に基づく報酬及び費用に関する債権につきましては、同項第五号の制限債権から除外をいたしております。  したがいまして、損害防止措置に関する債権のうち、実際に損害防止措置を講じた業者等が契約に基づいて船舶所有者等に対して有する報酬や費用に関する債権につきましては、責任制限の対象とすることはできないということになってございます。
  56. 草川昭三

    ○草川昭三君 今、明確な答弁があったわけですが、それがこれから非常に問題になってくることだと思うんです。  そこで、これは、私、質問ではありませんけれども、私が申し上げる現状大臣としてどのように把握をしておみえになるのかということをお伺いしたいと思うんです。  一つ目は、今法務省から答弁があったように、従来、我が国は、一般船舶が油漏れを起こし、海面に油が広がり、海底に重油が沈殿した場合、責任制限を掛けずに当該船舶側に油の清掃をやらせてきました。時間がたって汚染範囲が広がれば広がるほど費用がかさみますから、船舶側も一生懸命海面や海底のクリーニングをやってきたわけです。オイルフェンスを設置したり、これは費用がかなり掛かるわけですが、ひしゃくですくったり、マットに染み込ませたりをして油を除去する、その後陸上に運んで産業廃棄物として処理をしてきたわけですが、おびただしい数のマットを処分するには莫大な費用が掛かっています。事故の規模にもよりますけれども、十億、二十億という単位になっておるのではないかと聞いておりますが。  ところが、この平成十六年に油濁法、船舶油濁損害賠償補償法が改正されまして、それまでタンカーだけを対象にしていたこの法律に、油濁法に一般船舶という四文字が加わりまして、一般船舶から流出をした燃料油によって損害を生じた場合にも損害賠償責任の範囲を制限することができるというように変わったわけです。すると、油漏れを起こした船舶側が打って変わって責任限度額の範囲内でやればいいという不誠実な考え方が目立ってきておりまして、従来に比べ海面や海底のクリーニングを一生懸命やらなくなってきておるんではないだろうかと聞くわけです。  ちなみに、油濁法の改正は平成十六年行いましたが、その翌年の平成十七年に法務省の船主責任制限法の改正がありましたが、一般船舶から流出をした燃料油による汚染は責任制限の対象にしないという従来の立場を変えませんでした。これをどう思うかということですね。  二つ目は、船舶油流出事故を起こした場合、いわゆるPI保険でてん補されることになりますが、油濁法第三十九条の五の三項によれば、船骸、船の抜け殻ですね、船骸撤去が生じた場合のPI保険の金額は物損のみの場合の船主責任制限額になっています。また、油濁事故が発生した場合の損害については、人損を含む場合の船主責任制限額になっています。しかし、大量の油が流出した場合には、当然この程度の金額では収まり付かないことになります。  私は、そもそも海面、海上の油による汚染や海底に沈んだ重油などといった環境損害については責任制限ができないのではないかと私は考えておるんですが、この際、大臣は私の今のこの意見についてどのように思われるのか、お答え願いたいと思います。
  57. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) まず一点目でございますけれども、平成十六年の船舶油濁損害賠償補償法の改正では、一般船舶から油流出について無過失責任を課して保険の加入を義務化したところでありますけれども、船舶所有者等の責任制限については船主責任制限法によることとしておりまして、従前とは変わる内容になっておりません。いずれにしても、油を流出させた船舶所有者等に適切に対応していただきたいと考えております。  二つ目のことでございますが、これは先生おっしゃるとおりでございまして、例えば平成二十年の三月に明石沖で発生した明石海峡船舶衝突事故、沈没事故におきましては、流出燃料油におきまして船主責任制限額を大きく上回る漁業被害が発生をしたとされております。船主責任制限額が約二億円に対しまして被害額は約五十億円と、こういうことでございます。  このため、一般船舶船舶燃料油被害への対応策について検討会を設置をいたしまして、今その対応策について検討しているところでございます。平成二十一年秋以降、これまで二回開催をしているわけでございます。この検討に当たりましては、船舶世界海域を対象に活動しておりまして、その活動に伴う補償については国際的な枠組みが基礎となることから、主要国における対応等国際動向にも配慮をしつつ、責任制限を超える事故発生状況、それから補償費用をだれが負担すべきか、補償の具体的仕組みをどのように構築するかなどの課題について今検討を行っているところでございまして、この検討結果を踏まえ適切に委員が御指摘いただいたような問題点に対処していきたいと、このように考えております。
  58. 草川昭三

    ○草川昭三君 是非、その検討会が深みのある議論として成果のあるように期待をしたいと思います。  最後になりますけれども、平成十六年の油濁法改正により、外国船舶我が国への入港条件としてPI保険加入を義務付けたことは、私は大変いいことではなかったかと思います。ところが、脱法行為とも言うべき手法がまかり通っている例がありますので、問題提起をしたいと思います。  便宜国であるモンゴルやカンボジアなどの船籍の船は実際はロシア船や中国船である場合が多いのですけれども、このような船の中にはPI保険会社として余り実績のない保険組合と契約をし、日本領海内に船がいるときだけ保険が発動するという誠に奇妙な保険契約を締結し、入港をしている場合があります。さらに、油濁損害等、船骸、船の残った亡きがらですが、船骸撤去費用だけを補てん、てん補している例が見受けられます。このような変則的なPI保険でも我が国への入港が認められるということはいささか問題があると私は思います。  現に平成十七年に北海道で、このような変則的な保険条件の下で加入をしてきたロシア船が日本の漁船と衝突をし、日本の漁船員が死亡するという事故がありました。日本側はほとんど損害賠償金を回収することができなかったと聞いています。  このような事態を防止するためにも、PI保険の加入の義務付けをするということがあるならば、死亡事故なども補てん対象とするように、あるべきPI保険に加入をさせることが必要だ、義務付けをすることが筋であると思いますが、いかがですか。この点を質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) ありがとうございます。今日、草川委員から非常に重要な点の御指摘をいただいたと思います。  まず、そういう油濁をもたらすような事故を起こさないための措置を万全に講じること、さらには、それが起こった場合に拡大が、広がらないようにするために、被害を最小限に食い止めるための早急でかつ適切な対応が取れるように海上保安庁を中心にしっかりと整えること、さらには、そうしたことによってもたらされる被害に対して保険も含めてきちんとした制度を構築をすることによって、そういう保険も含めてきちんとした措置が講じられている船舶のみ航行していただけるようなそういう環境を整えていくこと、さらには、先ほど佐藤委員から御指摘のあった、過度にそのことの規制を強化するが余り競争力をそぐことがないようにということも片や一方で見ておくこと、それらのことを是非、先ほど大臣から答弁のありました昨年設置いたしました検討会で、今どういう実態にあり、今後どのような対策を講じていくことが必要なのか、適切なのかといったことも含めてしっかりと検討してまいりたいというふうに思いますので、今後また更に深めてまいりたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  60. 草川昭三

    ○草川昭三君 終わります。
  61. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党の渕上貞雄でございます。  救命艇に積み込む海水脱塩装置についてお尋ねをいたします。  この問題については、一九九七年、国際運輸労連がIMOに対して手動式救命造水器の救命艇への強制搭載を提案をしております。全日本海員組合も、乗務員の命の問題であるとして強制搭載の運動や労使交渉で搭載拡大のために取り組んでおりまして、一定の成果を得ているところであります。  社民党も、当時、土井たか子党首が社会主義インターの会合において搭載の積極化を求めております。  衆議院運輸委員会で秋葉忠利議員の質問に対して藤井運輸大臣、SOLAS条約改正を日本が積極的に推進、努力する旨を答弁をしております。  九八年には、日本はSOLAS条約の改正提案をIMO事務に提出をしておりますし、これらの問題についても、国際運輸労連も日本条約改正提案に賛成する趣旨の文書を提案をしております。九九年三月の参議院交通・情報通信委員会における私の質問に対して、当時、海事局長は、条約改正に最大限努力すると答弁をしているところであります。  そこで、日本政府条約改正の提案の内容と、IMOにおける審議検討の結果について教えていただきたいと思います。
  62. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 渕上先生、ありがとうございます。  今御質問のとおり、海上人命安全条約という条約に、遭難されたり漂流されたりした場合でも貴重な人命が失われることがないように、一つ、救命艇等には三日分の飲料水を搭載することが必要なんですけれども、そのうち二日分を船主の判断により海水脱塩装置で代替することができること、すなわち海水を真水に変える装置を搭載することによって、三日分ではなくて、二日分はその装置で代替することができますよということを定めていると同時に、救命艇には雨水収集装置、雨を収集する装置を備え付けることが必要なんですけれども、追加でこれも海水脱塩装置の搭載をしてもよいことという形で定められております。  それを、平成十年十二月に、先生方の御指摘もあり、第七十回海上安全委員会に対して我が国から、救命艇等に海水脱塩装置を搭載することを義務付けるべきではないかという条約改正の提案をいたしました。各国に対して、漂流した場合でも水が飲めるように海水脱塩装置の搭載の必要性を説明をいたしましたが、かつ各国に対して条約改正の支持の要請をいたしたところなんですけれども、実はこういった海水脱塩装置があれば人命が助かったと見込まれる事例が世界的に極めて少なかったこと、さらに遭難したときに自動的に信号を発信することによって、そういった装置を搭載することを義務付けすることによって、これは海上遭難安全システムというものなんですけれども、その稼働によって長期間の漂流に至らないような措置ができるようになり、そういった理由から海水脱塩装置の搭載の義務付けは合意されておりません、現時点において。  代わりに、いろんな粗悪な装置を排除しなければならないといったことまでは合意することになり、海水脱塩装置の性能基準というものについては、平成十四年五月の第七十五回の海上安全委員会において作成するにまで現時点においては至っております。
  63. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 条約の改正が進んでいないということは分かりましたけれども、やはり我が国条約改正の提案を行ったわけでありますから、その理由は、今答弁いただいたようなことで行ったわけで、今後の条約の改定の見通しについてはどのようになっておるのか、お伺いいたします。
  64. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) いずれにいたしましても、長期間漂流をされたり遭難したりするような事態が起こらないこと、かつ起こったとしても貴重な人命が失われないという形の措置なり装置が万全であることといったことが必要だと考えておりまして、仮に救命艇等で長期間漂流するという不幸な事態が発生したとしても、海水脱塩装置が飲料水の確保に対して有効であるという、こういうことについては、私たち、その有効性については現時点でも変わっていないと、国としての立場は持たせていただいております。  しかしながら、それを義務付けるということよりも、海上遭難安全システム、GMDSSといったものの実施に伴って、救命艇等で長期間漂流するような事態が発生する蓋然性が増加しているとは言い難い、言い切れないというのが現状ですので、国際海事機関、IMOでも更に議論をし続けていくということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  65. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今も答弁ありましたように、その必要性については変わっていないと思うんでありますので、引き続き条約改正について努力をすべきではないかと思います。今言われたような装置をつくれば万全だというふうに言われましたけれども、必ずしもその装置万全では私はないのではないかと。遭難が起きるような海というのは荒れているわけでありますから、荒れているときにその装置が十分に作動するかどうか、そしてまたキャッチするかどうかというようなことも考えますと、やはり引き続きこの海水脱塩装置の搭載について努力すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  66. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 繰り返しになって恐縮なんですけれども、まず第一に、救命艇等であれ救命ボートであれ、長期間漂流するような事態に陥ることを極力少なくすること、そのための対策を国際海事機関で合意に基づきしっかりと行っていくことが重要だというふうに考えておりまして、現在では船舶が遭難した際に自動的に信号を発信する等の装置の搭載を含む、先ほど申し上げました海上遭難安全システム、GMDSS、このシステムがあり、さらにそのシステムを、先生もおっしゃったようにまだ不十分なところも多いものですから、改善するための検討が開始される予定ですので、この検討の中で私たちも長期間漂流をするという不幸な事態が少なくなるような対策ができるような議論にしっかりと参画をしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 SOLAS条約では、救命いかだとか救命艇については飲料水を積み込むということが義務化されており、それから雨水を集めるための装置を備えるということについても決められております。一方で、海水から真水をつくる、しかも手動式で簡単に作業ができる、それほど重さもないというものについては任意事項とされているわけでございます。  漂流の問題については、先ほども答弁がございましたけれども、やはり命をいかにして大事にしていくかということを考えますと、旧運輸省監修の「生き抜くために」、水について特に重要であるとして、くどいようですが、水だけで四十日は生きられます、海水や尿は決して飲んではいけません、雨水は最大限利用しましょう、それから漂流後二十四時間は水を飲む必要はありません、救命用の水がある場合は三分の一は最後まで保管をしましょう、集めた雨水はせいぜい二日ほどしか飲めませんと記述をされておるわけでございまして、手動式救命造水器が求められているわけでございます。  先ほどいろいろ、船舶の設備にかかわって救命艇に積み込む一人当たりの水の量なども変化をしておるところでございますけれども、国土交通省としては、判断があれば手動式の救命造水器の救命艇、救命いかだへの強制搭載はできると考えるところでありますので、その点では、生命を大事にするという観点から考えても、その必要性から義務付けを真剣にやはり考えていくべきではないかと考えるんですが、その点はいかがでございましょうか。
  68. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 私もるる答弁を申し上げたように、技術の進歩で海上遭難安全システムが導入されたことによって、長期間漂流するような事態が発生する可能性というのは以前よりも少なくなってきていると承知をしています。ただ、委員が御指摘のように、貴重な船員を、我が国にとって貴重な船員を不幸な事態によって失うということがないように、万が一長期間漂流するような事態に陥ったとしても、雨水を飲む若しくは海水を真水に変えて飲む装置によってしっかりと人命を守ることができる、そういう取組が必要だということについては認識をしっかりと共有したいというふうに思います。  したがって、IMOの議論の動向もしっかりと見ながら、かつ、これ義務付けということになりますと費用も発生してくることになるものですから、関係者の意見もしっかりと伺いながら真剣に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 この問題は、先ほども申し上げましたが、命と安全の問題でありますので、万が一の命の綱である手動式救命造水器の義務化についてはやはり考えるべきではないかと思うんですが、要望しておきますよ、十分に御検討いただきたい。その上で、当時、通達を出して取り付けるように指示をしているんですが、その実態については余り十分把握をされておらないようでありますから、そういうことなども含めて、どうかひとつ政務三役の間で十分御検討いただきたいと要望しておきたいと思います。それはもう要望ですから、結構でございます。  それから、海事にかかわる環境施策についてお伺いをいたしますが、地球温暖化が国際的に問題となる中、船舶から排出されるCO2についてやNOx、SOx等の削減強化が検討されているところですが、船舶からの排出ガス規制実施については多くの技術的課題も残されておりますが、逆に日本の先進技術を改めて注目をされているところであり、またチャンスでもあるわけですから、技術開発の現状と対応の見込みについてお尋ねをいたします。
  70. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 渕上先生、ありがとうございます。是非、先ほどの海水脱塩装置についてもどういう対策が取り得るのかということについて、長年この問題に取り組んでいただいている先生の御意見を踏まえてしっかりと対応を検討してまいりたいというふうに思います。  その上で、船舶からのCO2の抑制、削減対策に対して、やはり世界有数の造船国である我が国の造船業の技術力を生かすべきではないかという御主張はまさにそのとおりでありまして、先ほど前原大臣そして辻元大臣からも答弁させていただいたとおり、特に喫緊の課題であります国際海運の分野でCO2の排出量の大幅削減を推進するために、我が国の造船業の技術力を原動力として、かつそれを我が国海事産業の国際競争力の一層の向上をそのことによって図ることができるという観点から、海洋環境イニシアチブというものをつくりまして、民間事業者が行う革新的な船舶の省エネルギー技術の開発に対して、これは補助率三分の一なんですけれども、補助をさせていただいております。  例えば、摩擦抵抗を少なくする船体ですとか、プロペラの開発ですとか、そういった、よりCO2の排出を少なくする、そういった航行ができる船舶の開発に対して国としても支援をさせていただいておりますが、さらに、このイニシアチブの効果がどうなのかということも検証しながら、そして、これまで支援してきたことの成果がこれから得られるという段階に入ってまいりますので、その動向も見ながら、更に我が国の力を高めるべく努力をさせていただきたいというふうに思います。
  71. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今も報告がございましたように、海外を行き来するコンテナ船やタンカー、それから客船の外航航路が排出する二酸化炭素、CO2は世界排出量の二・七%に当たり、ドイツの一国分に当たるとも言われておるわけでございます。そこで、今後我が国もIMOに対しCO2削減に活用するための仕組みをやはり提案をしていくべきではないかというふうに考えるわけです。  したがいまして、我が国の提案内容と今後の見通しを明らかにしていただきたいし、同時に、時間もございませんので、大臣に対して、海事にかかわる環境施策について、とりわけIMOに対して日本が積極的に提案をし実現の方向へ向かうことを評価をするわけでございますが、引き続き環境面でのリーダーシップを発揮を求めたいと思いますが、同時に前の質問と、最後大臣に決意をお伺いをして私の質問を終わります。
  72. 三日月大造

    大臣政務官三日月大造君) 前段の国際海運におけるCO2の抑制、削減対策に対する取組なんですけれども、御案内のとおり、京都議定書において、国際海運から排出される二酸化炭素については国際海事機関、IMOにおいてその排出削減対策を検討することと規定をされておりまして、現在そのIMOにおいては、技術的手法と経済的手法の両面から検討がされております。  技術的手法は、先ほども申し上げましたように、新造船の、新しい造船の燃費規制ですとか省エネ運航の在り方等を定めることとしておりますし、経済的手法では、努力をした人がより高い効果が得られるという視点も加えた燃料油課金制度、そういうものを議論、今されておりまして、それに向けた条約案ですとか燃料油課金制度の具体案を我が国はIMOに対して提案をさせていただいておりますので、引き続きその主導的立場で検討に参画をしてまいりたいと思いますし、早ければ来年七月に開催されます第六十二回海洋環境保護委員会、これはMEPC62での採択の可能性が新造船の燃費規制に関する条約案に対してある可能性もありますので、こういったスケジュールを視野に入れながら更に加速をさせてまいりたいというふうに考えております。
  73. 前原誠司

    国務大臣前原誠司君) 渕上委員にお答えいたします。  委員も御承知のとおり、国ごとを縦とすると船の世界でのNOx排出対策あるいはCO2の対策というのは横になるわけでございまして、IMOが中心になってこれをやっていかなくてはいけませんし、この規制については今までも日本は積極的に参画をしておりますし、これからも積極的に議論を主導していきたいと考えております。それが日本のいわゆる海運業界あるいは海事産業の競争力強化につながると、こういった観点で今後もしっかりと委員指摘のとおり努力をさせていただきたいと考えております。
  74. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  75. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  76. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 椎名一保

    委員長椎名一保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十四分散会