○草川昭三君 今、明確な答弁があったわけですが、それがこれから非常に問題になってくることだと思うんです。
そこで、これは、私、
質問ではありませんけれども、私が申し上げる
現状を
大臣としてどのように把握をしておみえになるのかということをお伺いしたいと思うんです。
一つ目は、今法務省から答弁があったように、従来、
我が国は、一般
船舶が油漏れを起こし、海面に油が広がり、海底に重油が沈殿した場合、責任制限を掛けずに当該
船舶側に油の清掃をやらせてきました。時間がたって
汚染範囲が広がれば広がるほど費用がかさみますから、
船舶側も一生懸命海面や海底のクリーニングをやってきたわけです。オイルフェンスを設置したり、これは費用がかなり掛かるわけですが、ひしゃくですくったり、マットに染み込ませたりをして油を除去する、その後陸上に運んで産業
廃棄物として処理をしてきたわけですが、おびただしい数のマットを処分するには莫大な費用が掛かっています。
事故の規模にもよりますけれども、十億、二十億という単位になっておるのではないかと聞いておりますが。
ところが、この
平成十六年に油濁法、
船舶油濁損害賠償補償法が改正されまして、それまで
タンカーだけを対象にしていたこの法律に、油濁法に一般
船舶という四文字が加わりまして、一般
船舶から
流出をした燃料油によって損害を生じた場合にも損害賠償責任の範囲を制限することができるというように変わったわけです。すると、油漏れを起こした
船舶側が打って変わって責任限度額の範囲内でやればいいという不誠実な
考え方が目立ってきておりまして、従来に比べ海面や海底のクリーニングを一生懸命やらなくなってきておるんではないだろうかと聞くわけです。
ちなみに、油濁法の改正は
平成十六年行いましたが、その翌年の
平成十七年に法務省の船主責任制限法の改正がありましたが、一般
船舶から
流出をした燃料油による
汚染は責任制限の対象にしないという従来の
立場を変えませんでした。これをどう思うかということですね。
二つ目は、
船舶が
油流出事故を起こした場合、いわゆるPI保険でてん補されることになりますが、油濁法第三十九条の五の三項によれば、船骸、船の抜け殻ですね、船骸撤去が生じた場合のPI保険の金額は物損のみの場合の船主責任制限額になっています。また、油濁
事故が発生した場合の損害については、人損を含む場合の船主責任制限額になっています。しかし、大量の油が
流出した場合には、当然この
程度の金額では収まり付かないことになります。
私は、そもそも海面、海上の油による
汚染や海底に沈んだ重油などといった
環境損害については責任制限ができないのではないかと私は考えておるんですが、この際、
大臣は私の今のこの意見についてどのように思われるのか、お答え願いたいと思います。