○佐藤信秋君 せっかくの機会ですので、ある程度共通
認識といいますか、
データを用いながら多少の御議論をさせていただきたいと、こう思います。
先ほど大河原
委員から八ツ場の
お話がありました。利水に関してでしたですね。
資料の三を御覧いただくと、実は、日本の雨の降り方というのはだんだんだんだんと荒っぽくなってきている。
これは私が勝手に引いた線ではあるんですが、この上下の線は。二シグマで線を切ってみました、二シグマがいいかどうかというのは別の問題として。
分散が大きくなってきているんですね、雨は。例えば、年間大体百年で百ミリですから、一年に一ミリぐらい総平均が減ってきている、雨そのものは。これは気象庁の
データです。ばらつきが大体私はよく倍になったと、こう言うんですが、倍まで行かなくても五割増しから七割増しぐらいになっているんですね、
分散が。だから、こうやって開いてくる。
つまり、どういうことかというと、渇水の年と大雨の年と、あるいは渇水の町、
地域と大雨の
地域とが全く隣り合わせ、その度合いがだんだんひどくなってきている、こう御理解いただきたいと思う。四年ほど前ですかね、四年か五年前に、四国の早明浦
ダムがからからで渇水で大変だ、だけど台風が一個来たら満杯になってしまったと。渇水でなかったら、あふれているんですね。つまり、治水と利水は一緒に考えていかなきゃいけない。ますますそれが強くなってきた。こういう問題であるということを、今日は全体の
委嘱審査、全体の議論でありますので、こういう問題じゃないかなということを
データからは読み取れるということを
一つ。つまり、安心、安全のためにはどうすればいいのか、こうしたことをベースにしながら議論を是非していきたいと、こう思う次第であります。
そういう
状況の中で、実は
資料の四に公共投資の国際
比較を載せました。
前原大臣、以前に御質問されていましたですよね、日本は六%もあるじゃないかと、GDPに対して
政府固定資本形成、IGがでか過ぎると、こういう御議論でしたが、現状でいくと、これは
先ほどの
お話で予測はしていないということですから、大体三%切って、多分二・五前後ぐらいになりつつあると、こういうふうに理解すればいいのかなと思います。
この十年の間に実は社会資本なんかが
整備できているような国、ヨーロッパ、欧米が、対GDP比でいけばこんなふうに伸ばしているんですね、左の表のように。日本だけ半分にしちまったと、こういう状態であるんですね。それで、おおむねGDPに対するIGの比率というのは日本も各国横並びになってきてしまったと。それでいいかどうかというのは、
整備水準の問題をどう考えるかという問題とさっきの安心、安全みたいな議論、トータルでやっていかなきゃいけませんし、何よりもやっぱり激変していくと、激変したら
整備の方も進まない、管理も十分できない、それからその主にすべき
建設産業も足腰がへたっていく、
地方の暮らしと特に雇用が、さっき申し上げましたように、どうしようもなくなっていく、こういう問題だろうと。したがって、激変は余りしてはいけません、二割切るようなことはとてもとてもですよねと、こういうことを申し上げたいんですね。
四月号の文芸春秋に丹羽宇一郎さん、どちらかと言えば経済界の方ですから、伊藤忠の会長ですかね、経済界の方ですから、市場で頑張れと、こういう方ですが。文芸春秋には、公共投資、各国は二・五%前後だろうと、ただ雇用対策も併せてやっていると。日本の場合には、公共投資だけ切っていくものだから、雇用大丈夫かと。それから、やっぱり公共投資の経済を興す
効果、雇用の
効果ということを考えないといかぬのではないかと、こんな論文といいますか、が出ていますので、私、大江
先生の御指導をいただいて私が言っているだけではないということを御理解いただく
意味で、できればお読みいただいておけばと思います。
そこで、乗数
効果なんかの議論をちょっと見ておいていただいて、そこから先次に行きたいと思うんですが。
一時、公共投資もうさっぱり経済に
効果なくなったじゃないのと、こんな議論がありました。
内閣府のマクロ計算モデルで見ても、しかしながら、お
手元の
資料の五にお届けしましたように、名目GDPに対しては三年分でいけば一・七だと、こう言っているんですね、公共投資。所得税減税の方は〇・七とか〇・九とかいう数字ですよと。初年度はまた全然違いますが。そういう
意味で、経済を回す、雇用をしっかりと守るという
意味での公共投資の役割というのも是非御覧いただいておきたいと思うわけであります。
それでは、さっきも長安
政務官にちょっと
お答えいただきましたけれども、
建設産業の議論に戻ります。
こういう中で、経済を回す、
地方の雇用を支えるという
意味で、やっぱりやるべきことはきちっとやっていっていただかなくちゃということではありますが、
建設関係の技能労働者と申し上げればいいんでしょうかね、実はこの十年で賃金水準が物すごく下がったんですね。これは、お
手元に整理しましたのは設計上の労務単価というやつですけれども、設計上の労務単価で約三割下がっている。一見すると何とかなるかいなと、こういう感じなんですが、実は屋外の労働ですし、受注
産業ですから、建築土木も含めて大体どのぐらいの日数働けるんですかと聞くと、二百日から二百二十日なんですね。ということは、これ、大体四十代から五十代の人が中心ですから、今若者がなかなか入ってきてくれなくなっていますけれども、そういう
意味では、これに二百とか二百二十日掛けると、一家四人がなかなか暮らしていくのに大変な数字だというのはお分かりいただけると思います。これは設計上の労務単価なんですね、設計上。実際はそれぞればらついています。
そういう
意味で、技能労働者の賃金を、最低賃金を決めようかと、公契約法的に、公共調達自体は公契約法ということで決めたらどうかという
お話も民主党の中でもあるように伺っています。難しいのが幾つかありますので、これからいろいろ御議論しながらやっていきたいとは思うんですが、一番大切なことは、この水準ではとても若者は入ってこれません。一家四人の大黒柱が暮らしていくのは難しいですよ。二百日掛けていただくと分かるんですね、二百日掛けていただくと。
だから、どうやったらこれ上げれるんだろうと。例えば、公契約法的に賃金水準をこんな水準でどんとやってくださいというわけにもいきなりはなかなかいかないところがあるから、その辺、
先ほど長安
政務官に
お答えいただきましたけれども、ちょっとこれは多分いろんなことやらなきゃいけないので、
大臣の決意の問題として一言お願いしたいと思います。