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2010-02-22 第174回国会 参議院 行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十二年二月二十二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         渡辺 孝男君     理 事         加藤 敏幸君     理 事         主濱  了君     理 事         前川 清成君     理 事         南野知惠子君     理 事         谷合 正明君                 岩本  司君                 川合 孝典君                 田名部匡省君             ツルネン マルテイ君                 白  眞勲君                 林 久美子君                 平山 幸司君                 藤原 良信君                 松岡  徹君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 愛知 治郎君                 秋元  司君                 浅野 勝人君                 岩城 光英君                 大江 康弘君                 岡田  広君                 小池 正勝君                 塚田 一郎君                 中川 義雄君                 中山 恭子君                 山内 俊夫君                 山下 芳生君                 渕上 貞雄君     ─────────────    委員異動  一月十八日     辞任         補欠選任      秋元  司君     中谷 智司君      小池 正勝君     土田 博和君  一月二十六日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     芝  博一君      中谷 智司君     広田  一君      林 久美子君     櫻井  充君      森田  高君     自見庄三郎君  一月二十七日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     林 久美子君      自見庄三郎君     森田  高君      芝  博一君     加藤 敏幸君      平山 幸司君     尾立 源幸君      広田  一君     中谷 智司君      中山 恭子君     橋本 聖子君  一月二十八日     辞任         補欠選任      川合 孝典君     平山 幸司君      土田 博和君     喜納 昌吉君      橋本 聖子君     中山 恭子君  一月二十九日     辞任         補欠選任      尾立 源幸君     川合 孝典君      喜納 昌吉君     土田 博和君  二月三日     辞任         補欠選任      白  眞勲君     風間 直樹君  二月四日     辞任         補欠選任      風間 直樹君     白  眞勲君  二月十九日     辞任         補欠選任      林 久美子君     植松恵美子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         渡辺 孝男君     理 事                 加藤 敏幸君                 主濱  了君                 藤原 良信君                 前川 清成君                 南野知惠子君                 谷合 正明君     委 員                 岩本  司君                 植松恵美子君                 川合 孝典君                 田名部匡省君             ツルネン マルテイ君                 土田 博和君                 中谷 智司君                 白  眞勲君                 平山 幸司君                 松岡  徹君                 森田  高君                 横峯 良郎君                 愛知 治郎君                 岩城 光英君                 大江 康弘君                 岡田  広君                 塚田 一郎君                 中川 義雄君                 中山 恭子君                 山内 俊夫君                 山下 芳生君                 渕上 貞雄君    事務局側        常任委員会専門        員        富山 哲雄君    参考人        元人事院総裁   中島 忠能君        成蹊大学法学部        教授       西村 美香君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政組織公務員制度公務員倫理在り方  のうち国家公務員制度改革について)     ─────────────
  2. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、秋元司君、小池正勝君及び林久美子君が委員辞任され、その補欠として中谷智司君、土田博和君及び植松恵美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 理事補欠選任を行います。  去る平成二十一年十二月三日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりましたので、本日、理事藤原良信君を指名いたします。  また、委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加藤敏幸君を指名いたします。     ─────────────
  5. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会参考人として元人事院総裁中島忠能君及び成蹊大学法学部教授西村美香君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は、行政組織公務員制度公務員倫理在り方のうち、国家公務員制度改革について参考人方々から意見を聴取した後、質疑を行います。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の調査に生かしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  議事の進め方でございますが、中島参考人西村参考人の順にお一人二十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、参考人委員とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず中島参考人にお願いいたします。中島参考人
  10. 中島忠能

    参考人中島忠能君) お手元に配ってあると思いますけれども、私の方は、政治主導の確立と公務員制度のあるべき姿ということで私の意見をまとめさせていただきました。  現在公務員制度改革が盛んに議論されておりますので、そういう題でお話しするのがお求めに応じているんじゃないかということで、こういうことにさせていただきたいと思います。  本日は、与えられている時間の制約もございますので、そこに書いてありますように、以下の五点に絞って私の意見を簡潔に申し上げさせていただきたいと思います。  第一点は、内閣による幹部公務員人事の一元化。第二点は、事務次官職務。第三点は、幹部公務員外部登用とそのための公務員法制。第四点は、天下り規制要請される三つ視点。そして第五点、一貫性のないキャリアシステム改革ということでございます。  まず、第一点の内閣による幹部公務員人事一元管理についてでございますが、今日、我が国が当面している内外の困難な課題に政府の総力を挙げて取り組んでいくためには、まず、前提として、各省庁割拠主義、すなわちセクショナリズムの弊害を是正するとともに、各省庁勤務する人材省庁の枠を超えて有効活用する必要がございます。幹部公務員人事一元管理はこの二つ目的達成のために有効であり、これによって省庁間の政策調整を成し遂げ、総合的な政策形成に資するものと考えます。  しかし、一元管理には留意すべき側面もございます。その一つとして、国家公務員制度改革基本法によりますと、官房長官適格性審査して候補者名簿を作成することになっておりますけれども、その補佐体制在り方審査体制の欠如も絡みまして、情実人事、スポイルズシステムの入り込む余地がないかどうかということでございます。やはり、情実人事を排除できるシステムイギリスの例などを参考にしながら検討していただいたらいかがかというふうに思います。  その二として、局長級以上の幹部職員外部から登用することを予定されておるようでございますけれども、その資質、能力等はもとより、その倫理性等についても検証するシステムをあらかじめつくっておくのが望ましいというふうに思います。イギリスフランスドイツではほとんど内部登用ですけれども、大部分外部登用アメリカでは上院承認を要することになっております。  なぜ私がここで以上二つのことに言及するかと申し上げれば、政治家の中には、幹部公務員を意のままに使い、所属政党選挙区の要請にこたえようと、その結果、公務公正性が失われるおそれがあるわけですけれども、そういう要請にこたえようとする誘惑に負けてしまう人もいると思うからでございます。  しかし、公務員憲法で規定されておりますように全体の奉仕者でございまして、公正な行政執行が期待されております。そのためには、公務員は政治的に中立身分保障も必要でございます。現行公務員法が、採用試験育成研修業務分限懲戒等基準の作成を内閣から独立した中立機関に付与して、中立的な公務員採用育成しようとしているのはそのためでございます。  なお、憲法十五条で言う公務員には国会議員も含まれていると考えられておりますけれども、それならば、国会議員にとっての全体の奉仕者性とはどういう意味なのかということを詰めた議論国会で行っていただければ有り難いと思います。この詰めた議論は、政官の役割分担を明確にするためにも是非必要だと考えております。  なお、人事行政中立公正性及び公務公正性確保重要性については、国会でも度々附帯決議がなされております。  次に、第二点の事務次官職務について考えてみたいと思います。  現在、事務次官職の廃止が議論されておりますが、それを結論付けるためには、事務次官に期待されている職務政治主導の下において必要かどうか、有益かどうかについて考えてみなければならないと思います。現在、各省庁ではそれぞれ実に多くの仕事処理していますけれども、私は、それらをその処理原理から見て二種類に分類できるのではないかと考えております。その一つは、できる限り民主制原理に基づいて、すなわち国民の要望をそんたくして処理することを原則とする仕事でございます。政策企画立案決定がその象徴的なものでございますけれども、この処理に当たりましては、大臣等は、事務次官がつくる支援体制の下で、職業公務員が収集し、蓄積している情報専門知識等を活用して責任を持って決定すべきでございます。主役はあくまでも大臣政治家でございます。  しかし、新政策立案に当たって前政権が実施してきた政策と食い違ってきた場合、その間を円滑に橋渡し調整できるのは省全体を見渡しながら前大臣補佐してきた事務次官ではないでしょうか。彼が長年培ってきた総合的な構想力人的ネットワーク情報収集力はこの場合にも有効に活用すべきだと思います。また、新大臣が新しい政策立案なさるときには、どの局のどの職員にどのポスト補佐させるのがよいかを全省庁的見地から定めることができるのも事務次官だと思います。  処理原理から考えてその二に分類できる仕事は、でき得る限りというか、原則として公正性原理に基づいて処理されるべきものがございます。許認可権の行使、補助金の交付、公共事業箇所付け各種契約事務等がその例です。これらの事務は、申請者申請団体がいずれの政党支持者であるかによって差別されてはならず、原則として職業公務員が全体の奉仕者として処理するのが妥当ではないかと考えます。  イギリスでも、大臣規範で、大臣国家公務員政治的中立性を尊重し、国家公務員国家公務員規範に抵触する行為を求めてはならないというふうに大臣規範に規定しております。これを受けまして、国家公務員規範では、公務員政党政治的考慮に基づいて行動したり、政党政治的目的のために公的な資源を使ってはならないと規定しております。運用上、大変参考になる規範だと思います。  とはいえ、省庁のすべての仕事最終責任者現行法上、大臣でございます。そこで、大臣はこれらの仕事実施基準案をできる限り詳細に定め、これを公表してパブリックコメントを求めた後、決定していただきます。運用を重ねるごとに実施基準を改定していけば職業公務員自由裁量の範囲を狭くすることができる、すなわち、大臣の公正な判断に基づいてお決めいただいた実施基準に基づいて処理することになるというふうに思います。  この基準に従って職業公務員仕事に従事するよう指導し、監督する責任者事務次官です。そして、もし執行過程において事務的処理に終わらず、政治的問題に発展するような環境変化があれば、事務次官大臣事情を報告し、その後の対処方針について大臣の指示を仰ぐというのがよいのではないかというふうに思います。  要は、やはり政治家皆さん方が省の業務の中に入り込むことをできるだけ少なくして、そして時間をつくって幹部公務員を相手にいろいろ議論していただいて政策判断基準を磨いていただくと、そのために事務次官を大いに活用されたらいかがかというふうに思います。  第三点の、幹部公務員外部登用とそのための公務員法制必要性についてでございます。  政権与党がマニフェストで国民に公約した政策を具体化するためには、政権与党と同一の価値観を持つ人材政府内に取り込みまして、政の考え、思いを職業公務員に浸透させまして、その橋渡し役を担わせる、そういう人材が必要というふうに考えます。ただ、それだけではありません。職業公務員が有していない特別な才能、斬新なアイデア、そして国民と同じ目線に立った執務姿勢国民への迅速な応対性というものを持っている人材外部から登用し、政策立案を効果的に進めたいと考えると、これはごく自然な考え方ではないかと思います。  しかし、留意していただきたい点も幾つかございます。まず、幹部公務員外部から政治登用する本家であるアメリカでは、政治任用者が転職するのが早く、平均在職年数が二年に満たないというふうに言われております。このため、手掛けていた仕事が中途半端になったり、予算も非効率に使われてしまう、そういうことが指摘されております。公務員としての使命感を持って勤務を始めたのかというふうに疑う人もアメリカではおるようでございます。我が国での在職年数を予想するのは早計でございますけれども、いかなるポストでいかなる職務を担当させるかは十分慎重に御検討なさるのがいいんじゃないかというふうに思います。  そこで、現在、かなりのポストについて政治任用を導入しようと考えておられるようでございますけれども、次の諸点については、あらかじめ法令等で定め、公表されると良い慣行が定着するのではないかと思います。  まず一つは、対象ポストとそのポストごとの数の上限、特別職一般職かの別。そして、執行事務に携わる場合はその旨。対象外ポスト、いわゆる政治任用対象外にしないというポストもはっきりさせておいた方がいいんじゃないかというふうに思います。③といたしまして、その任用手続。例えば、アメリカのように議会承認、あるいはドイツとかフランスのように中立独立機関審査と、そういうような手続を経るかどうかということもお考えいただいて決めていただいた方がいいと。それで、四番目は服務制度でございますけれども、守秘義務とか天下り規制とか兼業規制というものもはっきり一般法として法律で定めていただいた方がいい。分限懲戒等制度職業公務員との関係、特に職業公務員に対する指揮命令系統があるのかどうかということでございます。退職手当とか給与とか年金等についてもお定めいただいた方がいいというふうに思います。  なお、アメリカでは政治任用される総数というものが約三千人でございますけれども、そのうちスケジュールCと称されるグループに属する人が約半数、千五百人ぐらい在職しております。上院承認を経て任用される高級公務員補佐として任用されておるわけですけれども、主として、括弧内に書いてございますように、政策とか広報関係補佐業務、ホワイトハウスや議会との連絡関係、秘密を要する業務に従事しておるようでございます。しかし、近年、選挙協力者とか資金提供者等がこのグループCに属するものとして試験を通らずに任用されているということに留意していただきたいというふうに思います。  第四点として、天下り問題について申し上げさせていただきます。  天下り規制に係る制度在り方を考える場合には、三つ思想調整、調和を考慮に入れつつ結論を出すべきだと思います。  その思想の第一は、公務公正性確保です。改正後の新法にはこの視点が欠落しておりまして、現在、公務員在職中、特定企業に常々、特別な便宜を図り続け、退職後、当該企業の招きでそこへ天下りすることは自由になってしまっております。これでは、職業選択の自由は尊重されるでしょうけれども、公務公正性確保視点はどこにも見当たらないということになっております。心ある人たちの指摘によりまして、急いで内規を定めて対応しようとしておりますけれども、内規で規定すべきことではございません。ただ、現在、仄聞いたしますと、あっせんセンターというものを廃止するということでございますので、少し私の申し上げたことがずれているというふうに思います。  その思想の第二は、改正新法では、周辺事情調査せずに、アメリカ方式、すなわち事後行為規制方式採用したため、結果として職業選択の自由のみが尊重され、公務公正性確保はここでも侵されるのではないかと案ぜられます。  アメリカでは、なぜ事後行為規制方式採用しても公務公正性確保をめぐる議論が起きていないかということでございますけれども、その理由一つは、アメリカでは情報公開制度が徹底しておりまして、政府決定処分等については、プロセス全体がオープンにされておる、その決定はいかなる場合でも確たる合理的理由に基づいて行われている、恣意的決定が行われる余地が少ないということ。そして二番目として、日本の官庁文化とか風土等と異なっておりまして、内部通報ライバル企業等からの告発が予防的効果を発揮しておること、この二つが言われております。この二つによって、事後規制公務公正性確保できるというふうにアメリカでは自信を持っております。  その三は、退職公務員の生涯生活設計ということを可能とする視点がいずこにも見当たらないということです。  天下りを規制し、公務公正性確保した上で、退職公務員の生涯生活設計を図っていくことは極めて困難な作業です。定年延長前提とした退職管理計画の策定及び給与体系の見直し、そして年金制度調整等が考えられます。  その四は、現在、独立行政法人等役員につきましては、官僚の順送り人事を排し、真に有能な人材を広く各界から登用すべく公募方式選任しようとされておるようですけれども、能力検証公正性選任過程選任理由公開を進めるなど、役員選任透明化適正化に努めていただく必要があるというふうに思います。  その五として、キャリアシステム改革について一言申し上げさせていただきたいと思います。  二〇〇八年六月に施行されました国家公務員制度改革基本法を実施してキャリアシステム改革ができるかというふうに問われれば、私は自信を持ってイエスと言うことはできません。その主たる理由を簡潔に申し上げれば、以下の三つに尽きると思います。  その第一は、幹部候補生育成課程へエントリーし、そこを無事修了することが管理職員に登用されるためには決定的に有利な仕組みになっておるということです。特に、基本法によると管理職員には政策企画能力が求められており、他方、幹部職員育成課程では管理職員としてその職責を担うにふさわしい能力を総合的かつ計画的に育成する施策が整備されているからです。  だからこそ、育成課程への選抜方法というものが問題になってくるわけですけれども、その際注目していただきたい一は、政策企画立案に係る高い能力を有するかどうかを検証する総合職試験に合格した者が、政策企画立案能力育成する幹部候補育成課程にエントリーするに当たって有利な取扱いを受けるであろうことは容易に推測できます。  そして、しかも、次に、幹部職員育成課程対象者選定採用後二、三年後に本人希望人事評価に基づいて行うことを予定しています。総合職試験合格者本省勤務一般職試験合格者地方勤務がそれぞれ原則だと言われていることを併せて考えていただきたいというふうに思います。こういうことではⅠ種試験総合職試験と名称変更しただけじゃないかというふうに言われる、そういうふうに案ずるのは私一人ではないと思います。  これだけのことを申し上げて、以下のような運用をしていただきたいというふうに提案したいと思います。  その一は、育成課程への選定採用後七、八年後とすること。そしてその間に、一般職試験合格者希望する者には三、四年間の本省勤務の経験を与えること。その二は、育成課程への選定本人希望人事評価のみによって行うというふうにしておりますけれども、それらに加えまして、客観的な納得性のある能力検証結果というものを重視する方式というものを加えて総合判断して、だれを幹部候補育成課程に選抜するかということをお決めいただきたいと、そういう運用をお願いしたいと思います。  なお、最後に一言、公務員身分保障必要性について申し上げさせていただきます。  昔から洋の東西を問わず、職業公務員業務執行の公正性確保については、自身の倫理性の欠如によって、あるいは外部勢力の圧力によって脅かされることが度々ございました。そのため、職業公務員を全体の奉仕者と性格付け、彼らが行政執行するに当たっては、国民外部的要因によって差別することを禁ずると同時に、すべての国民を平等に取り扱うべきことを義務付けました。職業公務員がこの義務を守って公正に職務を執行するためには、自らを律することはもとより、外部勢力からの要請をお断りしなければならないことがございます。お断りしても、当該公務員の免職、降任、降格等は法律で定める正当な理由がない限り行うことができないというのが身分保障制度でございまして、これが公務の公正な執行を確保するためのとりででございます。  今回、新聞報道等によりますと、事務次官、局長、部長等を同格と位置付けまして、幹部公務員の降格を弾力的に行うことができるように公務員制度改革しようと考えておられます。その背景事情は、降格だけではなくして抜てきも柔軟に行えるようにすることだと言います。現在の分限根拠以外の根拠で降格できる道を新たに設けようとするのなら、明確な規定を設けるべきだと考えます。幅のある解釈が可能な漠然とした根拠規定が生まれたなら、政権によって、担当大臣によってどのように運用されるかが不安で、身分保障制度の意味がなくなってしまうことにもなりかねません。公務員の中には、降格を恐れて不公正な公務執行に応ずるかもしれません。したがって、どのような場合に降任、降格され得るのか、国会で十分に議論していただき、解釈に幅がないように明確な規定を設けるべきだと考えます。  また、抜てきを柔軟に行うために、事務次官、局長、部長を同格と位置付け、その間の配置換えを降格ではないとしたいのだというふうに思いますけれども、現在、次官と局長、次官と部長が同格ではないという認識は、法令に明確に定めてあることもありまして、単に公務の世界においてのみならず、かなり広く国民の間にも定着している常識ではないかと思います。これを今回、新たに一つの条文を設けて同格とするのは、少々荒っぽいと言われても仕方がないのではないかと心配します。それにしても、これを制度化して定着させるための公務員制度間の調整作業は容易ではないと思います。未整理のまま国会に提出されますと、答弁に窮することになりかねないというふうに思います。  以上で私の意見を終わります。貴重な時間をいただき、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
  11. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) ありがとうございました。  次に、西村参考人にお願いいたします。西村参考人
  12. 西村美香

    参考人西村美香君) 成蹊大学の西村と申します。  ちょっと、つたない話で、お聞きいただくの申し訳ないんですけれども、お付き合いいただきたいと思います。  私の報告内容につきましては、レジュメがお手元にあるかと思います。そちらの方を御参考になってお聞きいただきたいと思います。  限られた時間でございますので、公務員制度改革について三つの論点についてお話をしたいと思います。  まず、一点目です。  一の、どのような政治主導を実現したいのかという理想の下に、政策決定在り方から政官関係の再検討をしていただきたいということです。  これまで官僚支配がいけなかった、官僚主導がいけなかったとさんざん批判されてきましたが、私はそれだけではないというふうに思っています。これまで政治家と官僚と業界の間の関係がある意味閉ざされた空間をつくり、利益誘導や税金の無駄遣いを助長する仕組みになってきたことこそが最大の問題だというふうに思っています。ですから、政権に目指していただきたいのは、官僚、それから政治家、そして業界、国民との間に新しい関係をつくっていただきたいということです。そして、そうした新しい関係においてどのような政治主導をしていくのかということを示していただきたいと思っております。  公務員制度改革とのかかわりでいえば、政官関係の総論が大切になってきます。公務員制度改革は一九九〇年代から抜本的な再検討が行われてきて、総論も各論も出尽くしたと考えられている方も多いかもしれません。しかし、私は違うと思います。政治家と官僚の関係、すなわち政官関係については、公務員制度改革のかなめであるにもかかわらず、再検討が不十分なまま、言わば不明確なままに幹部職員一元管理採用試験制度の改編などといった各論に当たるような具体策ばかりが先に出てきているという印象を受けます。どのような政官関係を目指すのか、もう一度総論から議論し直すべきだと思います。  政官関係を見直すに当たってかぎとなるのは、政策決定過程をどう変えたいのかということです。民主党政権になって、各省庁では政務三役が政策決定において主導的役割を果たしているようですが、政務三役と官僚との協働関係は各省庁によってばらつきがあり、これといった望ましい形が示されていません。また、重要政策決定プロセスにおける官邸と各省庁との関係についても国民にはよく見えてきません。まずは、官邸の中で、官邸と各省庁間で、そして各省庁内でどのような決定過程を取りたいのか、そこにおける政治家と官僚の役割分担をどうしたいのかということを明確にするべきだと思います。  そうして再検討をして、理想とする政官関係を基に各論である内閣人事局、それから幹部職員の人事管理の在り方を検討するべきだと思います。  最もポイントとなってくるのは、幹部職員を今までのように資格任用のままにするのか、それとも政治任用あるいは自由任用にするのかということだと思います。  幹部職員を資格任用のままにするのであれば、政治的中立性原則を貫き、政治は安易に人事に介入すべきではなく、人事院のような中立人事行政機関の関与が必要となります。幹部職員の人事管理は政治からかなり自立性を持つことになりますので、政策決定過程においては、政治家の顔色をうかがわずに、それこそマニフェストに相反する提言すら行うこともできます。そのため、政治主導に当たっては官僚が抵抗勢力と感じられることもあるかもしれません。  一方、政治任用であれば、政治的中立性は必要なく、政権への忠誠心が求められ、政権と命運を共にするため、政権の意向に沿わない政策を提言しません。官僚の人事権も政治が持つことで政治主導は行いやすくなりますが、政治が道を誤れば、行政の専門家の立場からこれを止める勢力は政府内にほとんどなくなると思います。  今申し上げましたように、資格任用のままであれば、官僚は強いままだとか、一方、政治任用にしたら、政治家がともすれば道を外して利益誘導をやりやすくなってしまうのではないかといったデメリットも懸念されます。しかし、このデメリットは政府という閉じた中でだけ力関係を考えるから起こるのだと思います。  そういうことが起こらないようにするためには、私は、公務員制度改革だけでなく政策決定過程の透明化をお願いしたいと思います。これまでの政策決定過程は国民にとって大変分かりにくいものでした。そのことが官僚支配や利益誘導とやゆされる事態を生み出す温床になってきたと思います。  したがって、こうした問題をなくすために、政策決定過程をオープンにし、併せて公務員制度の人事管理の透明化にも取り組んでいくことが重要であると思います。公務員制度改革だけを切り出して取り組んでも効果は上がりません。行政全体の改革と連動してこそ信頼できる公務員制度の再構築につながると思います。  次に、論点の二つ目ですけれども、天下り問題については、一般国民との公平さということを念頭に広い視点から総合的な取組をお願いしたいと思います。  国民感情からも、そして私自身も天下りの廃止が望ましいと思っています。しかし、いきなり全面的に公務員の再就職を禁止するというやり方は、公務員の人事管理に大きな混乱を起こす危険があります。天下りをなくすためには総合的な取組を中長期的にやっていく必要がある、そのくらい難しい政策だということを十分に認識することが改革のスタート地点として大切だと思います。  次に、総合的に取り組んでほしいと申し上げましたが、総合的といってもどのように取り組むのかということですけれども、これについては天下りの問題点から対策を考えるべきだと思います。  私は、天下りの問題点は大きく分けて三つばかりあると思います。  まず一つ目は、一般国民の再就職に比べて優遇され過ぎているということです。これについては、再就職を組織的にあっせんすることや、現給保障、それから高い退職金、わたりといった慣行をすぐに廃止するのがよいと思います。  これまで各省庁では天下りも含めて人事ということが考えられてきましたけれども、やはり国民との関係で考えれば、退職とともに人事は切らなければいけないというふうに思います。しかし、その一方で、公務員の再就職を全面禁止するというのは行き過ぎだと思います。少子高齢化の時代でもあり、高齢者の雇用保障も重要です。求められているのは、高齢者にとって官民平等な労働市場の形成だと思います。現在、再雇用や再任用を除いてはそういった労働市場が確立しているとは言い難い状況です。ですから、政府はそうした高齢者の労働市場を積極的につくっていってもよいのではないかというふうに思っています。  官民人材交流センターは廃止されることになっているというふうに伺っております。確かに、公務員の再就職あっせんに重点が置かれるならば、官民公平とは言えず問題があると思います。しかし、名称どおりに官から民へ、民から官への両方向の人材交流の仲介を行うなら、官民平等な労働市場をつくることもできるのではないかと考えています。  今回、官民人材登用・再就職適正化センターというのが設けられるような話も伺っておりますが、こういったセンターがどのような働きをするのか注目したいと思っています。  それから、公務員に関しては、その職務の性質から、やはり再就職を無制限に認めることはできないのではないかというふうにも思っています。再就職については、問題を起こしそうなケースについては一定の制限をする、それから再就職後のロビー活動なども禁止していけるように制度的な監視体制を整える必要があると思います。再就職等監視・適正化委員会のような機関がつくられるようですけれども、こういった監視機関というのはやはり必要だと思います。  ただ、更に言うと、高齢になっても働き続けなければ生活できない、子供を高校や大学にやれないような社会というのはいかがなものかなというふうにも思います。官民平等な高齢者の労働市場を形成してくださいと申し上げたわけですけれども、それと同時に、きちんとした年金制度や教育支援など、少子高齢化政策の底上げを望みたいと思います。  それから、天下り問題の二つ目の問題点ですけれども、天下りを通して官民癒着を生みやすくしているということが非常に大きな問題だと思います。ただ、これについては、公務員制度改革だけでは対応できないと思います。むしろ、政策決定過程の改革こそが重要だと思います。先ほどの政官関係のところでも申し上げましたが、公務員制度改革は、単なる人事管理の改革ととらえてはいけないと思います。政策決定過程の改革と連動しなければ本当の問題は解決できないと思います。  では、どのように変えたらよいのかということですが、天下りに関しては二つのポイントがあると思います。  一つ目は、随意契約をやめて競争入札を徹底する、行政指導の在り方を透明性の高いものにする、そういったことを通して政策決定過程全体をオープンにして、癒着の余地をなくしていくということが大切だと思います。  それから、もう一つのポイントは、規制改革と地方分権によって中央集権、行政集権を是正して口利きの余地をなくすることです。  天下り三つ目の問題点ですけれども、税金が無駄遣いをされているというのも非常に国民の怒りを買っているところだと思います。これに対しては、大きく分けて二つの面から改革が必要だと思います。  一つは、政府の予算・財務管理を改革するということです。主なものとしては、会計検査の徹底や決算の重視による無駄遣いの摘発、是正、特別会計の改革、予算編成の改革などです。  それから、もう一つ重要な改革としては、各種の公的機関の改革です。無駄な特殊法人、認可法人、独立行政法人、公益法人などについては統廃合をきちんとするべきだと思います。その上で、残った公的法人の中の人事管理、財務管理の見直しを図り、適正化を図っていくべきだと思います。  無駄遣いできないような予算・財務管理になり、公的な機関もクリーンな団体になれば、私は元公務員の方が再就職することも構わないと思います。むしろ、キャリアからいってそうした公的団体のために役立つ方も多いと思います。ただ、今は無駄を省く改革が完全ではなく、国民の信頼が得られていないために、その公的機関への再就職なども悪くとらえがちだと思います。だからといって、今後、一切駄目だと決めてしまうのは早計だと思います。  最後に、現在の天下り禁止の政策について気になることをもう一つ申し上げます。  人件費の大幅削減と同時に取り組むのが困難だということです。  天下りを全面禁止してすべての公務員を定年まで働けるようにしようという政策が考えられていますが、これは単純に言って人件費を増加させます。その増加を抑制するために、年功序列的給与を見直し、能力・実績主義を徹底する方向で進んできていると思いますが、能力・実績主義的な人事管理が人件費削減につながる保証はありませんし、また、人件費削減を目標として能力・実績主義を徹底させようとすると矛盾が生じます。能力・実績主義の徹底で削減ができないということになると、結局は新規採用を抑制するしかなくなります。しかし、新規採用の抑制は中長期的に人事管理をゆがめることになります。  無駄をなくす努力を怠るべきではありませんが、公務員の再就職を一気に全面禁止するならば、それと同時に厳しい人件費削減を課するのは大変危険なことだと思います。  それから、三つ目の論点として、労働基本権問題について少し触れたいと思います。  労働基本権問題については、公務員の基本的人権の尊重と国民の理解との間でバランスを取ることが大切だと思います。  公務員の労働基本権問題は長らく討議をされてきておりますが、なかなか具体的な解決策が見えておりません。時として、コストベネフィットの観点からも検討しなければいけないということも言われておりますし、確かにそういう面もございますが、この問題については、あくまでも労働基本権が基本的人権であり、公務員に対してもできる限り保障するべきだというところを出発点にしなければいけないと思います。そして、その上でどういう仕組みをつくれば国民の理解を得られるかということを考えていくべきだと思います。  どういう形でつくれば国民の理解を得られるかということですけれども、そのためには、これまでの給与決定の歴史ということも十分に考慮した上で考えていくことが重要だと思います。何も外国と同じ制度である必要はなく、日本独自の労使関係をつくっていくべきだと思います。  これまで、日本は人事院勧告制度という日本独自の制度の下で比較的安定した労使関係を築いてきました。中立的第三者機関が入ることで給与削減がしにくいという批判もありましたが、一方で給与の大幅増というのを抑制し、給与水準に対してある程度の国民の納得も得られてきたと思います。かつて、労使の談合のような形で地方公務員給与が高騰したというような歴史もありました。そういうことを考えますと、労使交渉で給与条件あるいは勤務条件を決定するという制度に移行するにしても、国民に代わって一定の関与をするようなそうした第三者機関の関与を考えてもいいと思います。紛争がなくても最初から中立的第三者機関が関与するということになれば、これは日本独自の労使交渉制度になると思います。  しかし、公務員制度は、国によってその歴史も、取り巻く政治、経済、文化の状況も非常に異なります。労使交渉制度だけよそのどこかの国と全く同じ画一的な制度である必要はないと思います。最終的に大切なのは、国民に対して円滑な行政サービスが提供されるということです。労使交渉をいきなり導入して、もしそのことで混乱を生じてサービスの提供に支障が起きるということはあってはいけないと思います。また、もしそういう支障があれば、国民の理解もなかなか得られないと思います。国民の目はかなりシビアなところもございますので、基本的人権の尊重ということを中心に据えつつも、国民の理解が得られるような形で日本独自の労使交渉制度をつくっていくべきではないかというふうに思います。  もちろん、中立的な機関が関与するということになれば、これは国民の監視を肩代わりするというような役割も果たすと同時に、一定の保障にもなります。その辺りをどう考えるかというバランスの問題だと思います。  ちょっと時間が短くなりましたけれども、私から報告させていただきたいことは以上です。  御清聴ありがとうございました。
  13. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの意見の聴取は終了いたしました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 川合孝典

    川合孝典君 民主党の川合孝典でございます。  当委員会においては初めて質問をさせていただきます。委員長並びに与野党委員の皆様にはどうぞよろしくお願い申し上げます。  じゃ、ここから先は座ってさせていただきます。  両参考人の皆様には大変示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございました。  私自身、この公務員制度改革議論、これまで行ってきたことを聞いておりまして、多少違和感というようなものも感じながらいろいろな議論を聞かせていただいておりました。それが何なのかということなんですが、そもそも公務員制度改革を行う最終的な目的というものが一体何なのかというところよりも、むしろその場その場で起こってきたキャリアシステムの問題ですとか、天下りをどうするのかといった、そういう個別事象に対する極めて対症療法的な議論というものが先行しているような気も正直言って私はしておりました。  本来、この公務員制度改革というのは、国民のためにどうあるべきなのかというこの原点に立ち返ってやはり考えていかなければならない。その上で、社会や経済の構造の変化に対応できる、より職務遂行能力の高い公務員をいかにして育成すべきなのかと、こういう観点が必要なのではないかなというふうに私自身は感じておるわけでございます。  そうした観点から、今日は少し私自身がこれまでのいろいろな議論の中で疑問に思っていたようなことも含めまして、少し両参考人のお知恵を拝借したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まずなんですけれども、中島参考人にお伺いしたいんですが、キャリアシステム関係で。現行のキャリアシステムについて、問題点として多くの方々が、採用の仕方ですね、採用時、この一回限りの試験結果のみが非常に重要視されていて、その結果だけがその後三十数年間の人事管理で特別扱いにつながっているというようなことについては公平性、それから納得性が得られないというような御指摘が多くあります。これ、中島参考人のお書きになられた文献の中にもこうした表記がございましたし、また先ほど御説明いただいた資料の中にもそういったことについての言及がなされておりました。  この場合に、選別方法、いわゆる採用時の公平公正な納得性のある方法ということについて言及される方は多いんですが、ではその公平な納得性のある方法というのは具体的にどういうものなのかということにつきまして、この具体的な選抜方法について、これまでの中島参考人の御経験から何かいいアイデアはおありになりますでしょうか。これをお教えいただきたいと思います。
  15. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 現在、法律に書いてありますのは、本人希望人事評価によって選抜すると、こういうふうに書いてありますから、それは非常に主観に支配されやすい方法ですね。その主観に支配されやすい方法で幹部候補育成課程にだれが選抜されるかということが決まるというのでは、公務組織の中で恐らく納得性が得られないだろうと。  公務組織の中で納得性が得られるのはどういう選抜方法をしたらいいかということなんですが、やはり客観性がある、そして納得性があるということが一番重要だろうと。そして、その客観性があり納得性があるのが何かというと、公務員採用試験じゃないですけれども、やはり試験の内容とか試験の方法というのは相当工夫すべきですけれども、やはりそういう試験をしてとにかく選抜していくということをやらなければ、人事評価本人希望だけでは、特に一般職から公務の世界に入ってきた方は納得しないだろうというふうに思います。  だから、今の採用試験というものを基にして、どのようにして公務経験を経てきた人たち能力を客観的に把握するか、検証するかということを考えなきゃならないだろうというふうに思います。
  16. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  続いて、中島参考人にもう一点お伺いしたいんですが、今御説明があったそういうことを実現していくために、今の枠組みの中でクリアしなければいけない課題というのはどういうものだととらえていらっしゃいますでしょうか。
  17. 中島忠能

    参考人中島忠能君) どういうような方に受験資格があるかということをまず決めなきゃなりませんですね。今度の新しい制度では、総合職試験とか一般職試験とか専門職試験という三つ試験方法、大学院から入ってくる方もおりますが、そういうような、それぞれ試験で入ってきた方が何年ぐらいの公務経験を経た後にそういう試験にチャレンジする資格があるかという、まず受験資格というのを決める必要があると思います。  それから、やはり試験の内容ですね。これは、いわゆるペーパーテストだけではなくして、しっかりした面接試験ということが必要だろうというふうに思います。現在の公務員採用試験の面接試験というのはそれほど力を入れる時間もございません、対象人数が多い関係でそういうことになっておりますけれども。今度は対象人数がかなり絞られてきますから、面接時間というものをできるだけ長く取って多角的にその人物の素質とか人格とか、そういうものを試していくべきだと、検証していくべきだというふうに思います。  その試験方法の具体的なやり方というのは、単に公務員だけで決めるんじゃなくして、やはり民間からもチャレンジしてくる人がおるでしょうから、そういう民間の人たちも入ってもらって特別な委員会をつくって、しっかり議論した後に決めていくべきだというふうに思います。  人事院の方ではそういう方面のかなりの専門家がおりますから、そういう人たちの知恵も借りるべきだというふうに思います。
  18. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  さらに、ちょっとこの点について御質問したいんですけれども、今、中島参考人のお話を伺っていてそのとおりだなというふうに私自身非常に納得したんですが、不勉強なので教えていただきたいんですけれども、人事院の元々の職務自体に採用試験企画立案、実施というようなことや任用に関する基準の設定、研修の企画といった、微にわたり細にわたり、いろいろなことをミッションとしてお持ちになられているという、今でもそうだという認識なんですが、そうした枠組みの中で、これまで今おっしゃったような改革というものができなかった理由というのが一体何なのかということについてお教えいただければと思います。
  19. 中島忠能

    参考人中島忠能君) かなり答え方が難しいんですけれども、やはりざっくばらんなことを申し上げますと、採用試験のときにかなり優秀な人間をたくさん採用していますから、余り選抜に苦労しなくたって、そのたくさん選抜した職員の中から本当に役に立つ人間をまた選抜することがかなりたやすいんですよね。  それで、その組織の需要というものを満たしていけるということで今までやってきましたけれども、やはりこれからは、そんなに優秀な人間がたくさん公務の方に応募してくれるかというような自信もございませんので、これからはかなり少数精鋭といいますか、少数の人間を採用して、それをしっかり検証して鍛えて、そして能力を検証して幹部に登用していくというシステムがつくられる必要があるだろうということでございまして、今まで各省の官房、秘書課長とか官房長というのは、かなり楽してその組織で役に立つ人間を選抜してきたということが言えるんじゃないかと思いますね。
  20. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございました。言いにくいことを言っていただきまして、ありがとうございました。  要するに、たくさん採って、その中から長い年月を掛けて選別していこうという、そういうことですよね。  ちょっと気になったのは、今お話しされていて、以前はたくさん集まったけれども、これからはたくさん集まらないということが公務員、いわゆる魅力がなくなってきているということだというふうに私自身も聞いておるんですけれども、実際、公務員のいわゆる採用の受験される方々の数というのは総数としても随分減ってきているというふうにも伺っておりますが、中島参考人の目から見て、それは相当深刻な状況でしょうか。
  21. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 私は、応募してくる総数が減ったということはそんなに深刻に受け止めていないんですよ。やはり、一般に大学入試のときでもそうですけれども、たくさん応募者がおる大学がいい受験者がとにかく殺到しているかといったら、そうじゃないんですね。本当にいい大学というのは割合少数激戦なんですよ。  だから、公務員の場合もそれと同じで、本当にとにかくそれぞれの大学でこれは優秀だと思うような人間が来ているかどうかということが問題なんで、私は長い間公務員の世界で仕事してきましたから、かなり有名な大学の法学部の先生存じ上げておりますけれども、そういう人たちに伺いますと、確かに、中島さん、質が落ちてきたよというふうにやっぱり言いますよね。それで、どこへ行っているんですかと言うと、やはり国際機関とか外資系企業とか、そういうことを言い出しておりますから、職業選択の幅が広くなったということも事実ですけれども、公務員の世界の評価というんですかね、一体、公務員になってどういう仕事がこれからできるんだろうかというところがよく見えないというふうに言っておると。  だから、私たちはかねがね政官関係というものを整理して公務員の役割というのをちゃんと大学生に示してやりたいという、そういう気持ちがあるんですけれども、大学の学生たちに、自分たちが入ったら公務の世界ではこういう仕事ができるんだ、こういう仕事をして社会貢献ができるんだ、生きがいがあるんだというところを見せてやる必要が今のところ一番大切だと思いますね。
  22. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございました。  優秀な公務員確保するということは、これは国民のためにということを、国家国民のためにという意味でいけば、我々も重く受け止めて、これから御指摘のあったようなことに対して議論を深めていかなければならないというふうには思っております。  次に、西村参考人にお伺いしたいと思いますが、同じくキャリアシステムに関してなんですが、参考人の書かれた文献の中に、現行のキャリアシステムにおける入口選別の問題点という点で、柔軟性のある基準で多様な人材を集めるのが今のシステムでは困難であるということを御指摘なさっておられますけれども、ちなみに西村参考人は、この多様な人材を集めるために枠組みをどのように変えるべきだとお考えになられているでしょうか。具体的に少し御説明いただければと思います。
  23. 西村美香

    参考人西村美香君) そんなに詳しいところまで考えて書いていなかったので今になって冷や汗を流しているところですけれども、二つばかり方法があると思います。  一つは、任用の多様化というのがもう既に進んできておりますけれども、様々な形の任用形態をつくって、一回の公務員試験に限らず必要に応じていろんな任用形態に応募していただく、公募をもっとやっていくというようなことが一つ挙げられると思います。  それからもう一つは、従来から行われております公務員試験ですね、こちらの方も、もう既に試験の内容についてはいろいろ工夫が行われているところですけれども、日々、行政に必要とされるような専門性は変わってきていると言われておりますので、そうした変化にもなるべくすぐにキャッチアップするような形で、試験の種類もいろいろ増やしていってもいいのかもしれないというふうに思っていますし、年齢についても、もう随分緩和されておりますけれども、それこそ年齢を問わず優秀な方はいつでも公務員として働いていただきたいという形で門戸を広げていくべきだと思います。
  24. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  その場合には、やはり一回だけの試験ではなくて、年次ごとで複数、何回も例えば試験をやるだとか、ポストで別に試験を設けるだとかって、いろいろなことも考えなければいけないんだろうなと思っておりますけれども、私自身も、御指摘のとおり今のやり方で、実際、勤務経験を経る中で人材というものが育ってくるという部分、この部分が余り制度の中に読み込まれていないなというふうには思っておりますので、これも重要なテーマとして受け止めておきたいというふうに思います。  続いて西村参考人にお教えいただきたいことがもう一点ございますが、これも参考人の資料の中で書かれていたんですけれども、現行のキャリアシステムの特徴として不完全な能力・実績主義であるということ、この点を挙げていらっしゃいました。ここで指摘しておられる能力、実績の勤務評定制度が活用、現在はされていないというふうに御指摘されているんですけれども、これ、せっかくの制度が活用されていない理由というのはなぜだというふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  25. 西村美香

    参考人西村美香君) これは実は公務員だけに限った話ではなく、民間においても勤務評価、勤務評定、人事評価というものはなかなか取り組みにくかったと思います。  一つの原因は、これは日本人仕事の仕方にあると思います。個別に一人だけで仕事が完結するのではなくチームワークを組んで仕事をするので、仕事がうまくいくときにはそのチームのメンバー、顔ぶれの良さもありますし、それからチームワークがうまく取れたということもあるでしょうし、それからある意味では運というのもあると思うんですね。  こういう言い方をするととてももういいかげんに聞こえるかもしれないんですけれども、あるプロジェクトについてこれまで十年近くずっと取り組んできた、最後の最後、仕上げのところで携わった人のところで結果が出てきたというときに、その結果をそのとき携わっていた人の評価にだけ反映するのかというようなことも日本人の感覚としてはなかなか合わないということもあって、お役所の中での仕事も大部屋主義と言われておりまして、やはり共同作業というのが中心になってきますので、あの人はできる人だよとか、あの人は頑張っているねとか、あの人だからこそできたねというような大ざっぱな評価というものは結構積み上がってきていて、それによって適材適所の人事が行われてきたとは思いますが、目に見える形で勤務評定の五段階の何だからというようなことはなかなかできなかったと思います。日本人仕事のやり方からいってなかなか難しかったということがあります。  それから、もう一つ言えるのは、民間企業でも、そうした評価が難しいと言われながらもいろいろ能力・実績主義的な改革を行ってきております。日本も、公務員制度もようやくそういった方向で改革が行われ、人事評価制度については中央省庁では昨年の十月ぐらいから行われて、この結果を基に活用ができるのが今年の十月ごろからだというふうな話を聞いているんですけれども、こうした人事評価制度がなかなか実現しなかった一つ理由は、民間以上に職務の分類とか、それから職務ごと、官職ごとの能力とか、そういうものの分類がきちんとしてこなかったということがあります。  私は以前、民間の方と人事評価の研究会に参加したことがあるんですけれども、民間の企業では能力・実績主義を入れるに当たって、もっと細かな職務の分類とかそういうことを徹底してやったというふうに聞いています。公務員制度においてはまだそういったことが徹底して行われていなかったので不十分な形での能力・実績主義になってきたと思いますが、この点については今後の改革次第でうまくいく可能性はあるかなというふうに期待しています。
  26. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  御指摘のとおり、いわゆる職務給主義の欧米と違って、職務要件が日本の場合にはあいまいな職能給制度を主体としておりますから、そういう意味では、御指摘のとおり勤務評価をどうするのかという基準設定というのが物すごく難しくなるんだろうなと。特に公務員のように非常に巨大な組織になりますと、それが大きくなればなるほど難しいんだろうなというふうに思いますが、この問題解決していくためにはきちんとここを整理しなければいけないという意味でいけば本当に大きな課題だな、私自身、今の話を聞いていて思いました。  ちなみに、さらに西村参考人に御質問なんですが、いわゆる勤務評価制度というものを導入するということは、ちょっとニッチな話になるんですが、集団的な労使関係からいわゆる個別的な労使関係に転換していくことに多分結果的につながっていくんだろうというのは民間の事例を見ていても容易に想像できるわけなんですけれども、そうなった場合に、労使のいわゆる力関係というものにも変化がやっぱり生じてくるんではないかなというふうに思っております。言い換えれば、これは個別的労使関係になるに従って労働者の交渉力は相対的に落ちてくるということになりますから、この場合に労使関係のバランスを維持するためにどういった方法が考えられるのかということについて少し御所見があればお伺いしたいと思います。
  27. 西村美香

    参考人西村美香君) 私は、二つぐらい方法として考えております。  一つは、評価基準を作るに当たって、これに関しては集団的に労使で徹底して話合いをすると、そして、いったん基準を作ってしまったらもう二度と変えられないというのではなくて、運用していくに当たって現場でも話合いを重ねて、お互いに、評価する側もされる側も納得できるような基準作りを心掛けていくということが一つあると思います。そうすることによって、その基準によって評価されても、依然として評価する側の方がやはりやや立場としては強くなると思うのですけれども、随分その力関係というのは対等になってくるのではないかなと思います。  それからもう一つは、やはりどうしても、個別的に評価して勤務条件まで変えていくということになると、納得がいかない処分を受けても泣き寝入りをしなければいけないということが一番懸念されるわけですけれども、こういう点については、中立的な第三者機関が不利益処分に関する不服申立てを受けるとか、そういう仲介者によって足りない部分を救済するという形が望ましいと思っています。
  28. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  現場で基準を作るということはこれは労使でと、労使で話し合って決めるというふうに理解したのでよろしいですか。
  29. 西村美香

    参考人西村美香君) 労使の話合いでなければ基準は決められないとまで言ってしまうと、こうなるとちょっと評価に当たって混乱ばかり起きて先へ進まないと思いますので、話合いを非常に重んじながら、最終的な決定はやはり政府側といいますか上司の側が決定を下すことになろうかと思います。  ただ、どういう基準を基に人事をやっているのかということは必要があれば国民にも公開されると、どういう公務員制度の運営をやっているかということに透明性はあるべきだと思っています。
  30. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございました。  時間がなくなってきたので次の質問に移りたいと思いますが、中島参考人、またよろしくお願いします。  今度は天下り関係について少しお伺いをしたいんですが、中島参考人の書かれた文書を読ませていただいている中で、退官後の再就職について、能力があり、しっかりとした倫理観を持っている公務員に対しては再就職の道を用意しても許されるのではないかといった趣旨の記載がなされておりました。私自身も、優秀な人材が高い志を持って国家国民のために働く、任務を遂行する、そのためには相応の身分保障、処遇と生活の保障が絶対不可欠だというのは私自身も実は思っておりますし、そういう意味では、現在の日本の公務員の処遇が生涯で見たときに欧米先進国と比較して特別にいいわけでもないという、こういう点についてもきちんと認識した上で議論をしなければいけないというふうに思っているんです。  とはいえ、問題が起こっている、天下り、わたりといった問題が起こっている、国民の合意が得られないという事実があることも、これも厳然たる事実でありますので、この天下り問題を解決するためには、そもそも何で天下りをしなければいけないのかというところ、そこにやっぱりメスを入れて根本的な解決を図る以外に私は方法はないというふうに思っているんです。  ここで質問なんですが、私は天下り問題の背景には、これまでの公務員のキャリアのシステムの中に働く意思と能力がある人が定年まで働き続けることができる環境を整備してこなかったことに、ここにあるんだろうというふうに私自身は総括をしておるんですけれども、この点について、中島参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
  31. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 委員のおっしゃるとおりだと思いますね。本当に優秀な人間をたくさん集めて採用しておきながら、途中で五十前後になるとどんどんどんどん退職させていくというのは人物経済的にも非常にもったいないですよね。やっぱりそれだけの人間というのは能力に応じて働かせるべきだと思います。  したがって、私もちょっと先ほどお話し申し上げた中に書いておきましたけれども、定年延長というものも視野に入れながら能力のある限りはとにかく公務の中で働かせると。しかし、西村委員が指摘されましたように、それでは人件費が増え過ぎるじゃないかという話にもなってきますから、公務員給与体系というのをそれと同時に根本的に見直すということをやっていかなければ国民は納得してくれないだろうということと、それともう一つ天下り問題についてせっかくでございますから申し上げますと、やっぱり今までは天下り先における役員の数が多過ぎますよ、団体でね。それが一つと、それともう一つは、やっぱり報酬の額ですよね、報酬の額が高過ぎる。そういうところをやっぱり改めて初めからきちんとやっておれば今のように天下りが徹底的にたたかれないと思うんですよね。天下りして、そしてなお公務の公正な執行を妨げるようなことをやる人間はもう論外ですけどね。  だから、やっぱり国民的な常識に従ってそこらはきちんと身を律していけば、もう少し変わった形で国民が理解してくれるんじゃないかと思いますけれども、ちょっと今の段階では、やっぱりそういうものを全部改めて、私が申し上げるように、能力があって倫理性のしっかりした人間は適当な再就職の場があってもいいじゃないかというふうに私は今でも考えています。
  32. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。率直な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  優秀な人材が新たな職場で活躍する機会はその行った先の組織のためにもなるということについて否定するものではないんですけれども、やはり私自身としては、民間にはできない仕事をやるために公務部門があって、そのために大学卒業した優秀な人材を何十年間にわたって鍛え続けてきている、その人たちの極めて高いスキルだとか経験だとかというものがどこで生かされるのかというと、やはり公務の部門でこそ最大限に生かされるはずじゃないかなというのは私自身は思っておりまして、やっぱりそういう意味では、公務部門の中できちんと勤め上げられる形というものをつくり上げさえすれば、そのことをきちんと保障するというシステムができれば安心して働いていただける環境になっていくんではないのかなというのが、正直言いまして私自身の思いとしてはあります。  もう時間がなくなってきましたので質問はこれで終わらせていただきたいと思いますが、人件費が増えるからという総額人件費の問題もありますけれども、結果的に天下り法人つくってそこのところで受皿にしてってやっていたら、見えないところで人件費が掛かっているというだけにもなりかねないという話でもありますので、やはりその辺のところ、これまで有効に機能してきたものが今後の変化の早い社会の中では対応し切れなくなってきている部分というのが多く出てきていると思っておりますので、是非とも、これから改革をしていく中で両参考人のいろいろまたお知恵を拝借できればというふうに思っております。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  33. 愛知治郎

    愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  中島西村参考人におかれましては、大変お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございます。また、大変高い見識の下、御意見をお述べいただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。限られた時間ではありますけれども、忌憚のない意見を、三十分ですか、私の時間ですけれども、お述べいただけたらというふうに思います。では、よろしくお願いいたします。  先ほど、川合委員から御指摘というか質問あったんですけれども、私も同様の問題意識があるので、重なりますけれども、最初にこの点から質問をさせていただきたいと思います。  能力・実績主義、それをどのように評価するという視点でお話をさせていただきたいと思います。  私自身が国会議員になりまして八年半ですか、もうすぐ九年になるんですけれども、最初当選して一年、二年ぐらいのときですかね、やはり天下りの問題等、公務員の問題がさんざん指摘をされていたときでもありましたので、公務員の方たちというのは、中央官僚の方はどういう方たちなのかということで、自分の目で見たいと思っていろんな方とお話をしました。  実は、いろんな方確かにいらっしゃったんですが、特に若手、三十代ですかね、同世代の方とお話をしたときに、大変優秀な方ではあったんですが、こういうふうに言っておられました。  我々の世代はもう天下りなんてあきらめていると、こういう御時世だからそういった状況にならないことは十分分かっているけれども、それはそういうつもりもないし、あっせんしてもらうつもりもないけれども、少なくとも志を持って我々は公務員になったんだと、だからこそ、すごく国のためにいいことをした、その点については評価は最低限してほしい、それだけあれば十分だという話をしていたのを聞いて、ああ、この国にも立派な人たちがいるんだな、捨てたものじゃないなというふうに思いました。  だからこそ、やはり頑張っている人たち、これ難しいのは分かっているんですが、頑張っている方たちに光を当ててしっかりと評価してあげなくちゃいけないという問題意識の下に、時の政権下において私も様々な提言をして、そして、そういった方々の評価をしてくれということで評価制度が始まったという経緯があるんですが、西村参考人がおっしゃっていたとおりに、これ評価するのは非常に難しいというのをつくづく今改めて思っているところなんですけれども。  例えば、民間の企業とは違いまして結果というのは出にくいですよね。営利企業であれば、営業であれば営業成績が上がるとか、商品開発であればいい商品を作ればそれはチームとしても個人としても認められると思うんですが、国、公の機関に関してはなかなかそれが認められない。  評価について、例えば、中島参考人もおっしゃっておられましたけれども、一方で、結果に対する評価もありますけれども、政治に対して忠実であらなければいけない。つまり、上司である政治家が指示したことをしっかり守って仕事をするかというのも一つの評価でしょうし、また中立性を確保してそれを実現していくのも評価だと思うんですけれども、この点についていろんな考え方があると思うんですが、両参考人に、どのような評価をするのがより望ましいか、お二人のそれぞれのお考えをお聞かせいただきたいと思います。  まず、中島参考人からよろしければお願いいたしたいと存じます。
  34. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 人間一人の評価というのは難しいですよね、これは。一年間評価しても、本当にその人間の能力とか資質が分かったかというふうに問われますと、分からないという方がむしろ多いですね。だから、評価をするときにはその評価の結果、Aという人はこの人物についてこういう評価をしたと。Bという今度評価者のときにはこういう評価をしたということで、評価の結果というものをまずとにかくきちんと蓄積しておいて、そして本当にその人間の能力を見るときには、今までの評価者がどういう評価をしているかと、どういう局面においてどういうことをこの人間がやったからこういうふうに評価しているかということを、やっぱり相当長い年数の結果を見ていただかなければその人間の評価というのは分からないと思うんですね。  だから、まず評価をする方はそういうような目で人間を評価していただきたいなと。特に、上位ポストになればなるほどそのことをよく心得て評価をしていただきたいなというふうに思います。  評価基準というのを作っております。そして、その評価基準に基づいて各省それぞれ評価をやってもらっていますけれども、あの評価基準で本当に全部評価できるのかというと、それはあの評価基準では分からない能力だってたくさんあるわけですよね。だから、私は、文字にできない才能とか資質というのはあるんだから、そういうものはきちんと欄外にでも書いておいて、その人間の能力というものを後任にとにかくきちんと伝えていってほしいなというふうに思います。  それが本当に私の申し上げたいことですけれども、やはり今、評価基準、評価制度というものがスタートしたところですから、その現在作っている評価基準というものをオープンにして、それですべての職員意見を言えるようなオープンな制度の下でやっておりますから、経験を重ねるごとに、いい評価基準を作って、その評価基準に基づいて昇進とかあるいは給与とか、そういう面に反映させていただきたいなというふうに思っております。  ただ、この評価制度の結果をそういうふうに活用することによって、日本の場合には、いろいろな方が言われますように、組織で組織の和を保ちながら仕事をしているわけですから、その組織の和が乱れるような、乱れるおそれがあるほど差別を最初から付けない方がいいと。やっぱりそこは、組織そのものの和というものをきちんと見ながら差を付けることを考えていかなきゃ、評価制度を導入したからかえって仕事力が落ちたということにもなりかねないから、その点はよく心得てほしいなというふうに思います。  専門的なことは、西村先生大分勉強しておられるようですから、西村先生の方からお願いしたいと思います。
  35. 西村美香

    参考人西村美香君) 大変難しい問題で、どうお答えをしようかと迷っているところなんですけれども、一つは、評価というのは、先ほどからもお話ありますように、不完全なものであるという前提の上で運用していくことが重要だと思っています。数量化、客観化しにくい仕事が非常に多うございますし、基準を作ること自体、公務の場では至難の業と言われております。だからこそ、私は、いろいろ話合いを重ねて基準を長年にわたって作っていくべきだということを申し上げておりましたので、今私一人で、こういうふうにした方が望ましいというふうに結論まで出してしまえないのですが、抽象的なことにはなりますけれども、最終的には政策評価と連動するような人事評価制度であるのが望ましいというふうに思っています。  これはどういうことかというと、まず国民にとって大切なのは、どのような政策が行われるかということだと思うんですね。国民にとっていい政策が実施されているという実感がなければ公務員の評価にもつながりません。したがって、政策をより良いものにするためにはどうしたらいいのか。政策評価というのが既に行われていますが、更にそれをちょっとミクロなところまで掘り下げて、そうした政策評価を上げるためには一人一人が、あるいは各部署がどのような役割を果たしていったらいいのかという形でブレークダウンするような形で人事評価に結び付けていったらいいというふうに思っています。  人事評価の結果というのは、結果次第によっては公務員に非常にやる気を与えるものですけれども、そこだけでとどまっていては意味がないと思います。人事評価が上がり、それが政策全体の評価にも上がることによって、国民にとっても、ああ、いい仕事をしてくれているなというふうに思ってもらって、そして国民がいい仕事をしているなと思って公務員の評価を上げることが最終的には公務員のやる気を一段と引き上げることになると思っています。
  36. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。非常に、私自身言っていて、お答えしづらいだろうなと思いながら質問させていただいたんですが、非常にいろんな角度からお話をいただきました。  実は、もう一点、私自身問題意識を持っておりまして、それも両参考人にお伺いをしたかったんですが、実は今、最後に西村参考人政策評価と連動してしっかりとした人事の評価もしていくべきだという話をされましたが、この点についてなんですけれども、実は、役所側というか、組織の在り方としても少し分かりにくくなっているところがありまして、私は場合を分けるべきだと思っているんです。というのは、一つは、政策などの立案機能を持っている官僚機構と、官僚というか政府の組織ですね、と事務的な仕事を忠実にこなす、この二つの面をしっかりと分けるべきだと思っているんですね。  ところが、多分、アメリカのような国というのは、一般的な事務スタッフとそれから政策立案スタッフというのはしっかりと明確に区別をされていて、それなりの扱いの差別化も図られると思うんですが、日本の場合は全部一緒に評価をされている、これが一番の問題だと思うんですね。この点について、例えば事務方であれば、事務的評価であればしっかりとした公平性、中立性をどれだけ担保できるかが評価になってくるでしょうし、政治任用をされた方とか政策立案にかかわる方々というのは政策評価がそのまま人事に連動してくるような形にはなってくると思って、その二面はしっかり分けるべきだと思っているんですが、この点についての考え方を両参考人にまたお話しいただければと思います。
  37. 中島忠能

    参考人中島忠能君) それはなかなか難しいですね。難しいといいますのは、やはり今の政策とか行政執行の面を具体的に想像しますと、日本の場合には、例えて私はイギリスの例も挙げましたけれども、やはりイギリスの方は政治の方も公務員の方も一つの自制というか自律というのか、我々はこういうことを他にして迷惑を掛けたらいけないんだという自制心というのがそれぞれの側にあるじゃないですか。ところが、日本の場合にはそこまでまだ政官関係というのが成熟していないものですから、どちらかというとやっぱり政治家皆さん方から我々の方にかなり無理なことをよくおっしゃいます、その無理なことをおっしゃったことをとにかく相手を怒らせないように断り歩くというのが、やっぱり私なんかポストが上に上るに従ってかなり大きな比重を持って仕事としてのしかかってきましたよね。  だから、そういうものがある限りにおいては、下の方だってやっぱり私たちが見えないところでそういう苦労をしていると思うんですよ。だから、あの人間があのことについて十分に対応しなかったからということだけで本当に簡単に評価でマイナス付けていいのかというと、そうでもないような面があるだろうと、上から見て見えないところがあるだろうということがありますから、今の段階で政策立案する場合、あるいは立案された政策を実施する場合のことを念頭に置きながら評価をしていくということになると、かなり難しいなというふうに思います。  政官関係も大分日本でも議論されてまいりましたから、徐々に成熟するというか正常化される関係ができていくと思いますけれども、もうしばらく時間が必要かなというふうに思いますね。
  38. 西村美香

    参考人西村美香君) ちゃんとしたお答えになっているかどうか分からないんですけれども、政策評価、それから人事評価においても、政策企画立案とそれから執行に携わる場所とでは随分基準が変わってくると思います。どちらかというと、評価基準を割と客観的に立てやすいのは執行の分野だと思いますが、一方、企画立案の方は、ここが本当に基準を一番つくりにくいところだと思います。そして、御指摘のように、政治任用であるか資格任用であるかによって、おのずとこの企画立案部門の評価基準も変わってくると思います。
  39. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。参考にさせていただいて、これからまた議論をしていきたいというふうに思います。  ちょっと視点を変えてお伺いをしたかったんですけれども、一つ一ついろんな問題点があって、一つ一つの課題をしっかりと検討した上で改善をしていくということなんですけれども、その過渡期においてはやはりゆがみも生じてくるというふうに思います。  先ほど、多分西村参考人か、両参考人がおっしゃったかもしれないんですけれども、各論をかいつまんで全体的な制度設計ができない、これは委員が話したんですかね、ということだったんですが、いずれにせよ、そういった議論が錯綜して過渡期に混乱が生じているのは事実だと思うんですが、先ほど最初、冒頭申し上げたとおりに、若手の官僚と話をしている中で、私もこれはちょっとかわいそうだなと思っていたんですけれども、余りにも世代間、若手の方と相当キャリアを積まれている方たちとの不公平感というか、それが大き過ぎるんじゃないかと思っているんです。  実は、上の世代の方は、それこそ天下りじゃないですけれども、いろんな条件が非常に恵まれていた世代があって、今の若手は全くそういうことがないことに加えて正当な評価も得られない、非常にやりがいも失っているということがあるんですけれども、過渡期においてそれはしようがないと思うんですが、余りにも逆振れというかマイナスの評価が強くなってしまうことが多いんで、中島参考人は先ほど生涯生活設計という話をされたんですけれども、それも含めて、これは、若い世代の方たちがこれからどのようにやっていったらいいか、御感想というか御見解も含めて、また両参考人にその点について御意見を伺いたいと思います。
  40. 中島忠能

    参考人中島忠能君) この天下りの問題はいろいろ議論されておりまして、今非常に厳しい意見が強いんですけれども、やはり公務員になった人間というのは、社会的な貢献をしたいとか公のために仕事をしたいということを考えながら公務員になった人間が昔も今も変わらないほどたくさんおるんですよね。けれども、入って年を経るに従って、我々はとにかく民間ならこの程度の企業に入れたのにというような企業があるじゃないですか。そういう企業に就職した人間と会うたびに、自分たちのいろいろな面における処遇というものが少し劣っているということを非常に強く感ずるようになってきますから、そういう面においてやっぱり生涯生活設計というものが可能なようなことを考えてあげるというのが必要じゃないかと。  したがって、今の日本の幹部公務員の年金水準というのは、アメリカとかイギリスとかフランスとかドイツに比較しますともう半分以下ですよね。だから、その点は、そこまでとにかく年金が少なくて、そして東京で退職後生活できないような年金なら、こういうことを考えてあげなきゃならないんじゃないかということを国民が考えてくれるようになるまで我々は公正な公務執行に一生懸命取り組んでいかなきゃならないというふうな覚悟を持たなきゃなりませんけれども、また国会議員皆さん方からもそういうような目で見てほしいなという気持ちが私たちは非常に強いですよね。厳しく規制すれば国民から拍手喝采されるんだからできるだけ厳しくやってやろうということになると、徐々に公務員の世界から外に出ていく人間も増えていくだろうと。  先ほど申し上げましたように、アメリカの場合には、政治任用で入ってきた人たちというのは、やっぱりアメリカ公務員の世界の報酬が少ないものですから、民間の方の高い報酬を見てどんどん辞めていくと、政治任用で入ってきて。だから、一年九か月ぐらいでもう辞めていくというのが統計で出ていますけれども、そういうことではやっぱり重要な仕事国民のために本当に力入れてやれよというふうに言えるのかというと、ちょっと頭をかしげたくなるなというふうに思いますので、一つのことを厳しくおやりになるとともに、それがどういう影響をとにかく全体として与えるんだというところも見てほしいなというのが公務員のOBとして正直な所感ですね。
  41. 西村美香

    参考人西村美香君) 非常に難しい問題なんですけれども、やはり官僚の仕事の大切さ、やりがいについて、国民一般にも理解が得られるようにしていくことがまずは大事かと思います。今政治主導ということで、政治家が上で官僚は下というような、その方がいいんだというふうにも考えられつつありますけれども、私は政治家も官僚も役割が異なる対等な専門家として扱われるべきだと思います。また、そういう形でなければ優秀な人材が官僚を目指そうというふうにはならないと思っています。  両者の役割は、官僚は、様々な情報を集め、そして専門性に基づいて中長期的な立場からいろいろ検討した上で幅広い選択肢を示すということだと思います。そして政治家は、その選択肢の中から、やはり国民の要望というものをくみ上げつつ最終的な決定を下すということだと思います。両者、役割は違いますけれども、どちらが上でどちらが下ということでは決してないと、官僚がしっかりしていなければ国の将来が危ういというぐらいのことを国民にも理解を求めていけるようにする方がいいと思います。  それからもう一つは、やはり今のままでは若手の方たちも、公務員制度改革がどうなるか分からないし、将来どうなるか分からない、大変不安だと思います。早くにきちんとした改革の方向性を示して、それを実施していくということも将来の展望について予想を立てる上で非常に重要だと思いますし、それから、今のままでは自分の将来設計をある意味人事課に任せたままで、本当に改革によって自分は不運な目に遭うかもしれないという非常に他力本願な状態でございます。  ですから、これからは、ある意味では部内公募なども積極的に活用して、自分のやる気次第で自分のキャリアをある程度つくっていけるんだというふうにもしていくことが若手の人にとって希望を与えることになるのではないかと思います。
  42. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  時間も迫ってまいりましたので、最後にもう少し分かりやすい、はっきりとした質問をしたいと思うんですが、天下りについて、この是非ですね。  実は、一般的な国民の皆さんに話を聞きますと、天下り、そんなものは駄目だと、絶対悪だと、これは良くないということなので全廃してくれという意見をよく耳にします。多分ほとんどの方がそういう目で見ていると思いますが、こちら、中にいて議論をしてみますと、すべて一律に禁止するのはどうなのかという議論にもちろんなりますし、じゃ何を禁止すればいいのか。天下りのあっせんを禁止すればいいのか、管理をしていればいいのか、いろんな議論が錯綜していると思うんですが、そもそも論として、やはりここを明確にしなくちゃいけないというふうに思うんですね。  何が正しくて何が悪いのかということはみんな迷っていますし、御意見で結構ですので、この部分はしっかり駄目なら駄目だと、こういう部分までは認めていいだろうという御意見があればお聞かせ願いたいというふうに思います。両参考人にお願いします。
  43. 中島忠能

    参考人中島忠能君) もう私はかねがね言っているんですけど、先ほどもお答え申し上げましたけれども、能力があって倫理観のしっかりしている人間は、仕事ができる機会というものを与えられてもいいだろうというふうに今でも考えております。  ただ、今、民間企業に再就職することはちょっと後ほど述べることにいたしまして、準公務の世界に再就職することを考えた場合に、一つは、もう役員の数が多過ぎる、そして報酬の額が高過ぎる、そして報酬を除くその他の処遇というものも、もう少しとにかく周囲を見て考え直した方がいいというふうに考えているんです。そしてもちろん、とにかく元々自分が採用された省庁との関係で税金というか予算の無駄遣いというものを生じさせないように身を律するということが非常に重要だろうというふうに思います。  そして、民間に天下りするということを考えた場合に、私が最初に申し上げたペーパーの中にも書いておりましたけれども、一番とにかく天下り問題がそもそも出てきた原因というのは、在職中にしっかり特定の企業に目を付けて面倒を見ておいて、そして退職した後、その企業にすっと天下りすると。そうすると、天下りした後は、何もしなくたってもうその企業におればその企業は在職中の恩義を感じてきちんとした処遇をすると、それが本当はいけないんだということで天下り規制というのができたんですね。  ところが、それがとにかく今度の制度では抜け落ちていると僕は言うんですよ。だから、それが抜け落ちたことがすぐにはとにかく表に出ないでしょう。しかし出たときには、何だと、あんなに大騒ぎして公務員制度改革して天下りを規制したとかなんとか言っても、何だ、こんなことの抜け道があったんじゃないかと言われると駄目だから、そこはお直しなさいと僕は言うているんですよ。その点は非常に重要だと思いますね。  そして、民間に行った場合に、あっせんした省庁が、これはとにかくどの階級の人間だからどれくらいの処遇でお願いしますなんて言っているという話が新聞に出ていますよ。だから、そういうことが本当にあるのなら、それはもうとにかく天下りあっせんはもう駄目だと、こういうふうにおっしゃっているんですからそういうことがなくなると思うんですけれども、そういうことがないようにしなければ、民間に対する再就職というのも、民間の人間そのものがもうとにかく六十三歳で終わりだとか六十五歳で終わりだとかいう話が出ておりますから、民間の方からそういうことがもうとにかく内部通報されるようでは、更にまた公務員の再就職というものが厳しい批判にさらされるだろうと。  だから、民間に再就職する場合にも考え直すべきところがあるなというふうに思いますね。
  44. 西村美香

    参考人西村美香君) 私は天下りというのを特権的な再就職というふうに考えております。ですから、その特権的な再就職である天下りに関しては全廃が望ましいと思っていますが、私自身が今日の報告で申し上げたかったのは、そうではなくて普通の公正な再就職であれば、そういったものまで禁止するということはしなくてもいいのではないかということです。
  45. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  まだまだお伺いしたいことは物すごくたくさんあったんですけれども、時間も限られているのでこの辺にしたいと思いますが、いずれにいたしましても、この点はよくこれ、委員の皆さんいろんな立場がありますからいろんな議論をしておるんですが、立場を超えて、国益をしっかりと考えた上での議論にしないと、やはり国の在り方としてぶれが生じるというか、どちらに進んでいるのか分からなくなってしまいますし、国民の皆さんも不安を覚えることになると思いますので、できるだけ分かりやすく明確な基準を、考え方を持って議論すべき話だと思いますので、今後とも様々な機会にお二人の御意見を聞かせていただければと思います。  いずれにいたしましても、今日は非常に参考になりましたので、心から御礼を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  46. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合正明です。  まず冒頭に、本日は、中島参考人、また西村参考人、両参考人におかれましては、非常に示唆に富む御意見を賜りまして、心からお礼を申し上げます。私に与えられた時間は二十分でございますので、また端的に質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、中島参考人西村参考人、両人にお伺いいたしたいと思います。  まず、今、政治主導によります幹部職員人事の仕組みが導入されようとしておりますけれども、そもそも官僚内閣制からの脱却を図ろうとしているということであります。  その官僚内閣制がなぜ問題になるかという点の、まず国家公務員制度改革のこの本質というかそもそも論からだと思うんですけれども、まず確認させていただきたいのは、官僚内閣制がなぜ問題になるかといえば、それが主権者としての国民全体に奉仕する公務員により民主的で能率的な公務運営を実現するために大変な障害になっているからであると、まずこの出発点が、認識が何よりも重要になると思っておりますが、この点についてまずどう考えていらっしゃるのかという点。  引き続きまして、その官僚内閣制を生み出している原因は幾つかあると思うんですけれども、一つの本質的な理由としては、原因としてはキャリアシステムであろうと思っております。このキャリアシステムについて、例えば、これはもう我が国にしかない独自の人事管理であるとも指摘されております。  このキャリアシステムというのは、確認させていただくと、やっぱり採用時の一回限りの試験でその先がすべて決まってしまうという話と、もう一つは、同期がほぼ同時期に昇進していくという点、これが、さらに三点目には法的根拠のない人事慣行であるという、そういうところに大きな問題があろうかと思っております。  このキャリアシステムについて、例えば役所に民間から出向に来た方に話を聞いてみても、例えばⅠ種試験、Ⅱ種試験、今ありますけれども、Ⅱ種で採用されて働いている方にも非常に優秀な方はたくさんいる。一方で、Ⅰ種で採用されたとしても、必ずしも将来その職責に見合う能力があるかというとそうでもないと、いろんな現象が当然あると。これは一種のカースト制度じゃないかというふうに、民間から入ってきた人は特にそういうふうに指摘されているわけでありますけれども。  私は、天下りだとか省庁割拠主義だとか、またそれをなくすための幹部職員人事の一元化、事務次官職の廃止等、あらゆる公務員制度関係する問題が実はこのキャリアシステムに根っこから通じてきているのではないかなと思っております。参議院では、実はこのキャリアシステムの廃止については以前附帯決議まで付いているぐらいでありまして、そこで繰り返しますが、主権者としての国民全体に奉仕する公務員により民主的で能率的な公務運営を実現するためにはこのキャリアシステムの根本的廃罷が不可欠であると考えますけれども、この点について御意見を伺いたいと思います。  ですから、最初まずこの官僚内閣制の問題の本質についてという点と、さらにキャリアシステムの廃止について併せてお答えしていただければと思います。中島参考人の方から、じゃよろしくお願いします。
  47. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 官僚内閣制という言葉、恐らくジャーナリズムが作り出した言葉だと思いますけれども、内容は何かということなんですけれども、本来、選挙で選ばれた方が選挙民に対して責任を持って政策企画立案をすべきだ、政策決定をすべきだ、それでこそ責任が取れる民主政治だと、こういうような考え方が根底にありまして、そういう主権者に対する責任を取ることが、法的にそういうシステムができていない官僚が政策決定過程で前に出てきて正面の正座に座るというのはどういうことだ、間違っているじゃないか、民主的な統治システムの中ではもってのほかだと、こういうことで官僚内閣制というのが批判されるということだと思います。  それで、官僚内閣制というものをなくするためにはどうするんだという話が出てくるわけですけれども、これは官僚自身も自分の分をわきまえて仕事をしなきゃならないということなんですけれども、政治の方も、政治家皆さん方も、少なくとも政策についての価値判断基準というものをしっかり身に付けていただいて、官僚に対して指示をなさる、あるいは官僚が案を持ってきたときに政治家皆さん方がお持ちの価値判断基準に合っていない場合には拒否すると、やり直せというふうに命ずるという、そういうようなことが政治家皆さん方にも必要になってくるだろうということで、官僚の方にも政治家の方にもそれぞれ考えていただくべき問題があるんだというふうに私自身は見ておるんですけれども、その細かいというか細部の話はさておきまして、官僚内閣制というのはとにかく民主政治の原理原則からいってこれはもうなくさなきゃならないと、改めなきゃならない大原則だというふうに思います。  そして、先生が次いでおっしゃいましたキャリアシステムの話ですけれども、キャリアシステムというものが最初に問題になったきっかけというのは、今までお二人の方がお話しになりましたように、一回限りの試験で役人の勤務期間中のすべてが左右されるというのはおかしいじゃないかと。そのおかしいことをいつまでも続けておると、そのラインに乗っていない人たちは段々やる気を失っていって組織としての仕事力というものが低下していくじゃないか、そこに問題があるじゃないかと、こういうことでキャリアシステムというのが問題にされ出したんですけれども。  しかし、元々は、今委員がおっしゃいますように、このキャリアシステムというのは、根底においては、やっぱりそういうものが存続する限りにおいては天下り問題というものにも大きな影響を与えるし、そして特権性というような意識も芽生えてきて官僚内閣制につながっていくじゃないかという御指摘はそのとおりだと思います。しかし、官僚内閣制とかあるいは割拠制とか、そういうようなものは、それに対してそれぞれ対策を講じていかなきゃならないということも事実ですから、いろいろな問題が根底でつながっているということはよく分かりますけれども、それぞれ特別な対策が必要だということも忘れずに講じていかなきゃならないなというふうに思います。  ただ、最初に委員がおっしゃいましたように、官僚内閣制という言葉がもう使われなくなるように、少なくとも幹部公務員の諸君はきちんとした自分たちの役割というものを認識して、少なくとも政策決定面においては自分たちは補佐役なんだというその立場というものをわきまえながら仕事をする、発言をするということが必要だというふうに思います。
  48. 西村美香

    参考人西村美香君) まず、官僚内閣制についてですけれども、この言葉については、一面では本質を表しているとは思いますけれども、すべてではないというふうに思っています。  私は、一番問題なのは、政治家と官僚の役割分担が、長らく自民党が政権に着いてきた中で、長期政権の中で入り乱れてしまった、本来官僚がやるべき仕事のところに政治家が口を挟むようになり、本来政治家がやる仕事なのに官僚が口を挟むようになったと、こういう点が問題だと思っていますので、官僚内閣制だけでなく、ある意味、政治官僚制というか、どちらも問題があったというふうに思っています。  それから二つ目のキャリアシステムに関してですけれども、私はキャリアシステムその他の問題も含めて戦後の公務員制度の大問題に起因しているというふうに思います。その大問題というのは、日本の公務員制度は、戦後、制度運用が結構乖離してしまっていたということです。これはどうして生じてしまったかというと、公務員法が作られたときには職階制を基に任用や給与をつくっていくということだったわけですけれども、御存じのように職階制というのは実現しておりません。制度のところがあやふやなまま運用をしていったために戦前からの様々な慣行が残ってしまったんだと思っています。  キャリアシステムに関しても、よその国でも実は幹部職員を早くから選抜して養成するということはやっておりますけれども、日本のキャリアシステムの場合、そうではなく何か不合理な慣行に基づいていると思われるのは、こうした戦前からの慣行を断ち切ることができなかったところに問題があるのではないかと思っています。  ですから、解決策としては、もう一度公務員制度を土台からつくり直す、キャリア制度だけを着目するのではなく、まずは、職階制も廃止されてしまいましたけれども、その代わりになる職務の分類などをきちっと行って、職務の分類、能力の分類などを行って、これを任用や給与の基礎とすると、そういうところから積み上げて、それを元に幹部候補職員をどうするかというような仕組みをつくっていくべきではないかと思います。  そうすれば、慣行にとらわれずに優秀な人材を内部から登用する、あるいは場合によっては、基準が明確であれば外部から登用するということも可能になるのではないかと思います。
  49. 谷合正明

    谷合正明君 特に官僚内閣制という言葉を使ってしまいましたけれども、これは別に何も官僚だけの問題ではなくて政治の問題でもあるという指摘というのは、本当にこちら側も真剣に、真摯に受け止めなきゃいけない話だということを改めて認識をさせていただきました。  それでは次に、公務中立公正の確保についてお尋ねをしたいと思います。  やはり、もう一度話に戻りますが、幹部職員人事の仕組みですね、政治主導による幹部職員人事の仕組みを導入する場合、公務中立公正、政治的中立確保には配慮しなければならないんだと思っております。これを憲法十四条の法の下の平等の徹底が求められる現場職員の執行に対してまでこの政治の影響が及んでいくと、全体の奉仕者であることが確保できず、結果的に行政が著しくゆがむ結果となるというふうに、そういうふうに思っているわけであります。西村参考人は資格任用と政治任用のお話を比較されていろいろなお話を展開していただきましたけれども、まず、この政治主導による人事が行われる幹部職員の範囲、この幹部職員の範囲を限定し、それ以外の職員について適用される法制と別建てにするなど、公務中立公正を厳格に確保するための法的仕組みを整備することが重要ではないかなと思っておりますが、この点について中島参考人西村参考人にお伺いしたいと思います。  あわせて、人事行政の公正の観点ということでは、この人事院の内閣人事局への権限移管の問題も含めて、両参考人に御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  50. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 中立公正性公務中立公正性というんですか、公務員中立公正性公務執行の公正性確保というのは戦後の公務員制度の基本的な思想なんですね。これは公務員制度改革議論をするときには、しっかりこのことを議論して取り組んでいく必要があるだろうというふうに思います。ここ数年公務員制度改革議論が行われておりますけれども、この点についてのしっかりした議論が行われていないというふうに私は見ております。これは非常に憂うべきことだと思いますね。おっしゃるように、憲法の十四条で、全体の奉仕者だというふうに、公務員は全体の奉仕者だと、こういうふうになっておるわけですが、全体の奉仕者というのは、国民が自民党の支持者であっても民主党の支持者であっても共産党の支持者であっても、みんなとにかく公平に公務の執行の恩恵を受けなきゃならないという思想でございますから、その行政執行をする公務員というのは政治的に中立でなきゃならないと、ここから来ておるわけですが。  だから、公務員採用するときにも、私が最初に申し上げましたように、情実人事とかあるいはスポイルズシステムというものが入ってくるということは、結果として公務の公正執行というもの、公務員中立性というものを損なうことになるから、その点はよく気を付けていただきたいなということを申し上げたんですけれども、採用をするときにもそういうような色の付いた人間を採用しなくて、専ら能力採用するようにしましょう、育てるときにも、採用した人間を育てるときにも公正中立な立場で仕事ができるような人間を育てましょうと、こういうことに実はなっておりまして、そういう仕事というのは内閣から独立した機関に与えようじゃないかというのが今の公務員制度の基本的な仕組みでございますから、これは憲法でいう全体の奉仕者性というものを行政の中で貫いていくためには、このことはきっちり議論して守っていただかなければ、戦後の民主的な公務員制度の土台が崩れてしまうというふうに私は危機感を持っております。したがって、そこはいい御指摘をいただいたなというふうに思います。  そこで、その公務の公正な執行というものを確保するときに心配なのはというか問題なのは、幹部公務員の人事というものについてどういう仕組みをしたらいいのかということを御提起なさったんだと今聞いておりました。  私の聞き方が間違っておればまた訂正していただきたいんですけれども、幹部公務員の人事の仕組みをつくるときに、幹部公務員というものを二つに分けて、政治家がイニシアチブを取って任用する公務員の範囲とそうでない範囲というものを分けたらどうだと、こういうようなお話だったというふうに思うんですけれども、私は、それはかなり難しい話だなと。むしろアメリカ方式の方がいいんじゃないかというふうに思いますね。  アメリカはどういうことをやっているかというと、政治が主導権を持って幹部公務員の任用に携わったときには、そういうことで入ってきた方にはこういう仕事を担当させないという制度をやっている。例えて言いますと、捜査に関することとか税金に関することとか、あるいは契約に関することとか、そういうような仕事は専ら職業公務員にさせるべきだということで、政治が主導権を持って任用した人にはそういうことはさせないというような方式を取っておるようです。したがいまして、幹部公務員の人事のポストの半分ぐらいはもうとにかくそういうことで専ら職業公務員ポストだというふうになっておるようですけれども、むしろそちらの、どのポストに就けないという方がやり方としていいのかなというふうに思います。  私が作りましたペーパーの中で、お渡しした四ページで、下から十行目辺りに対象外ポストというふうに②のところに書いておりますけれども、対象外ポストというのは、政治任用で入ってきた方たちが任用できない、就けない、就くことができないポストというものもはっきりさせておいた方がいいと。捜査に関するポストとか税に関するポストというと、みんな、ああ、それはそうだよというふうにおっしゃいますから余り問題ないんですけど、それ以外にもやっぱりあると思うんですね。だから、そういうのをはっきりさせておいた方がいいだろうというのが私の意見です。  それから、人事行政公正性確保というのは、今おっしゃいましたように、幹部公務員の人事について、例えて言いますと、今の仕組みというのは、幹部公務員の候補者の名簿を官房長官がお作りになって、そのお作りになった幹部候補職員候補者名簿から主任大臣が任命するということになっておるんですけれども、イギリスなんかは、その名簿を作るのをとにかく外部委員会に作らせておるというような仕組みで、かなりそこの任命までの過程において余りとにかく一方に偏った考え方だけで幹部公務員選任されないような工夫を凝らしておるというようなことで、もう少しいろいろな国のやり方の中で参考になるものもあるから、そこらを見て御検討いただいた方がいいんじゃないかというのが私の意見でございます。
  51. 西村美香

    参考人西村美香君) 幹部職員とそれ以下の職員を別建てにしてはどうかというお話ですけれども、確かに局長以上の幹部職員については人事上何らかの特別な仕組み、配慮があってもいいかなというふうには感じています。それをどんな仕組みにするのかという方法については、非常に大ざっぱではありますけれども、先ほど来から申し上げております、政治任用にするか資格任用にするか、それからもう一つ、開放型にするか閉鎖型にするかという選択肢があると思います。  一橋の田中秀明先生はこういった観点から四つに分類をされているんですけれども、政治任用でかつ閉鎖型というのがフランスドイツで、元々官僚として資格任用で入ってきた人たちがそのまま政治任用されるという仕組みです。それから、資格任用だけれども開放型になっている国として有名なのがオーストラリアやニュージーランドなんですけれども、特にオーストラリアなどについては資格任用でありながら非常に政治化が進んでいるとも言われています。  政治任用についても開放型、閉鎖型、それから資格任用についても開放型、閉鎖型、合計四つぐらいのパターンがあるわけですけれども、それのどれにするかについては、先ほど来から申し上げておりますように、政策決定において政治と行政をどのような協力関係に立たせるかという点から、どれが日本に望ましいかというのを選んでいくべきだと思います。これ、せんじ詰めれば日本の統治構造にとってどのタイプが望ましいかというところまで行き着く非常に難しい問題であるとは思います。  それから、政治的中立性については、もう一言申し上げますと、政治任用の場合には現政権への忠誠というのが求められますので、余り中立ということではなく、どちらかというと公正さぐらいしか求められないと思いますが、資格任用に関しては、これも実は政治性が全くないというわけではなくて、学者の間ではどの政権にも忠誠心を持って仕えるということが中立性、公正性というふうに考えられています。  そして、内閣人事局と人事院の役割、どのようにしたらいいかということですけれども、私は、政治任用というふうにするならば、その人事権については内閣人事局がいろいろなことを決めてもいいのではないかと思っています。ただ、倫理問題とかそういうものについては、これ、資格任用であれ政治任用であれ同一である方が望ましい、そういう規則もあると思いますので、この点については人事院のようなところが関与することはあるかなというふうには思いますが、基本的には内閣人事局の権限になるかと思います。  一方、資格任用のままにとどめるということになりますと、これはやはり政権に左右されないということが非常に重要になってきますので、人事院が様々な規則を定めて、それが守られているかどうかを保障していくということが必要になると思います。よその国でも、幹部職員、資格任用のままに置いている場合には、やはり中立的な行政機関というところが人事の運用に当たって役割を果たしております。  以上です。
  52. 谷合正明

    谷合正明君 ありがとうございました。
  53. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  まず、お二人にお伺いしたいと思います、基本的な問題ですけれども。  戦後の公務員制度は、戦前の公務員が天皇の官吏と位置付けられていたことへの反省の上に、憲法十五条、すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないということが規定されてスタートをしたと思っております。公務員制度改革に当たっては、この全体の奉仕者という意味を深くとらえることを常に基本にすべきではないかと私は考えるんですが、まずこの基本的な認識について、中島参考人西村参考人からそれぞれ伺えればと思います。
  54. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 全体の奉仕者というのは、国民主権の公務員制度というものから見た場合の概念ですね。だから、公務員選定し、罷免するのは、国民固有の権利であるというふうに書いてありますけれども、その公務員選定するのは国民固有の権利であって、その国民はすべての国民なんですよ。とにかく、その国民が社民党の支持者であっても自民党の支持者であっても民主党の支持者であっても、すべての国民の選ぶ権利を持っているのがとにかく公務員だと、こうなっておるから、その公務員制度の面から見た全体の奉仕者性ということですから、お尋ねの件に申し上げますと、すべての国民の全体の奉仕者でなきゃならないということですね。だから、相手の思想、信条によって差別するようなことであってはならないということでしょうね。
  55. 西村美香

    参考人西村美香君) 私も、全体の奉仕者を深くとらえるというところが公務員制度改革にとっては非常に重要であるというふうに思っております。全体の奉仕者ということは公務員の倫理の中心であり、そういう誇りを持っていただくことが非常に大切だというふうに思いますし、公務員制度改革が全体の奉仕者として公務員がいかんなく力を発揮できる方向で進められているというふうなメッセージを国民に送らなければ、いつまでたっても公務員に対するバッシングというのはなくならないと思いますし、国民にとって公務員制度改革は他人事と思われてしまいがちだと思います。
  56. 山下芳生

    山下芳生君 そういう全体の奉仕者として公務員が住民や国民の目線に立って積極的に働くことが大事ではないかと思います。  その上で、私は、公務員の皆さんが机上で仕事をするのではなくて現場に立つこと、現場の空気を吸うこと、それがすごく大事ではないかなと思っておりまして、これは私の経験になりますけれども、私、初当選が一九九五年、阪神・淡路大震災の年でして、このときも戦後未曾有の大災害にどう政治が、行政が対応するか求められましたけれども、私たちが現場に行って、こういうことが起こっているよということを国会やいろんな場所で問題提起したときにも、総務省のキャリアの官僚の皆さんの中には、自らやっぱり現場の最前線に行かれていて、私たちの問題提起を機敏にとらえてそれを行政の新しい政策に反映させるということをやっていただいた方がありました。  ですから、やっぱり全体の奉仕者たる公務員の活動スタイルとして、常に国民のそばに立つ、現場に立つ、空気を吸う、非常に大事ではないかなと感じたんですが、中島参考人西村参考人、いかがでございましょうか。
  57. 中島忠能

    参考人中島忠能君) おっしゃるとおりだと思いますね。特に災害対応なんというのはそういうことが非常に重要だし、常にそういう感性を持って公務員職務に従事すべきだというふうに思いますね。
  58. 西村美香

    参考人西村美香君) 私も、現場の空気を吸うこと、現場の感覚を持って仕事をすることというのはとても大切なことだと思います。  それと同時に、そういった空気を吸いながらも、一歩引いて、大局的な立場からどうやって政策を立てていくか、そういうような視点も持っていただきたいなというふうに思っております。
  59. 山下芳生

    山下芳生君 続いて、中島参考人に伺いたいと思います。  公務員には全体の奉仕者として政治的中立性が必要なんだという御提起でした。その政治的中立性を守るために勤務条件を法律で定め、解雇や降格などに要件を課すなど厳格な身分保障が定められていると思います。そのことによって不当な政治的圧力、干渉を排除して、国民の立場に立って働けるようにしているんだと思います。  今検討されている閣議決定された法案を見ますと、私も、まず幹部職員からこの制約を掘り崩して、政権党の意のままに公務員に対する管理統制や支配を強化することになりはしないか、物言えぬ公務員づくりになるのではないかと、この点から非常に危惧を私もしておりますが、もう少しその辺りの、中島参考人の先ほどのペーパーを見せていただきますと、幹部公務員一元管理については有効であるという面と、留意しなければならないと、こう両方書かれてあるんですが、私はむしろ危惧をするものなんですが、その辺りいかがでしょうか。
  60. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 一元管理というのは、日本の今の公務組織の中においてはセクショナリズムが強過ぎるとか、人事を省庁の枠を超えて自由に活用できないとか、いろいろなことが指摘されておりますから、そういうことを解決するためには一元管理というのはそれなりにやはり有効な施策だと思います。恐らく一元管理することによってそういう面は弊害が除かれていくと思いますけれども、一元管理することによってその人事に政党の思惑が入るということがちょっと危惧されるということを申し上げたわけです。  したがいまして、イギリスの例なんかを参考にしてお考えいただきたいということをこのペーパーの中にも書いておいたんですが、イギリスの場合には、元々政治が職業公務員の人事に関与しないという慣例ができ上がっているんですね。だから、幹部公務員の人事について非常に公正な人事ができるように仕組みがつくってあるから、その仕組みというのは単に一つ二つじゃなしに、そういう仕組みがつくってあるから、そこを詳細に調べて、それをとにかく参考にして公正な人事ができるようにお考えくださいねと、そうするとプラスの面だけが生きてきますからと、そういう思いで書いたんですけれどもね。
  61. 山下芳生

    山下芳生君 次に、天下りについて、これも中島参考人に伺いたいと思いますが、先ほど、とにかく官僚のOBを天下り先企業が来てくれるだけでもうずっと給料も払いますよと、これでいいんだろうかという御指摘でしたけれども、私はそれに加えて、ただ単に来てもらって給料を払っているだけではなくて、大きな弊害があるなというふうに思っております。  ある大手ゼネコンの課長経験者が、ある本に、ゼネコンの不正の根は官民癒着にあるとして、次のように告発をされております。私はこれらのOBすべてが談合にかかわっていると断言できると、企業が官庁などからOBを採るのは何も永年国家のために尽くしてきた官庁OBの老後の面倒を見ようという慈善事業のためではない、OBに高い給料を払ってもなお十分なお釣りが来るから採っているのだという御指摘、告発ですね。  そういう企業の側にとっては、官庁OBを採ることによってその企業の利益にもう莫大な貢献をしてくれる、その期待を持って受け入れるんだという証言だと思いますが、これは税金の無駄遣い、行政の不公正の温床になっているという点で看過できないと思っているんですが、その天下りの弊害について、この点からはいかがでしょうか。
  62. 中島忠能

    参考人中島忠能君) そういうようなこともあったんでしょうね。私は最近のことはよく存じませんけれども、そういうことがあったから、昔の建設省ですか、昔の建設省は幹部をそういうゼネコンに天下りさせないという慣行をおしきになって、長い間建設省の幹部職員がゼネコンに天下りしていない期間がございました。現在はどうなっているかはよく存じませんけれども、そういうことがあったことはあったんでしょうね、きっと。そういうことを建設省がおやりになったから。  ただ、私は、少し情報は少ないかも分かりませんけれども、そういうのが頻繁に行われているということじゃないとは思うんですね。天下りしたOBに対して現役がいつまでも支配されているということはないと思うんですね。だから、最初民主党がお出しになった法案の中に、今、天下りしてから、二年間は駄目ですよ、退職前五年間に関係のある企業には二年間駄目ですよというのがありますけれども、それを二年じゃなしに五年にするという案をお出しになったのかな。そして、五年間というのをもう少し長くする案をお出しになったのは、方向としてはそういう方向じゃないかなと思ってあのとき見ておったんですけれども。  ゼネコンの人にも話を聞いてみますと、やっぱり建設省とか運輸省にはいい技官がおるんだということを言うんですよね、間違いなくそう言うんですよ。それで、大学の技術関係の先生に聞きますと、技術屋、例えば土木の技術屋で一番優秀なのはやっぱり建設省に行くというんですよ。間違いないです。それは委員も聞いてみられたらいいですよ。行くと。そしてその次にどこへ行くかというと、清水建設とか鹿島建設だと、こういうふうに言いますから、一番いい技術陣が集まっているのがやっぱり建設省だと思いますね。だから、そこから人材を採りたいというふうな誘惑はあるんでしょう。  しかし、私が申し上げたように、退職後それは十年たってもOBの言うことを現役が聞いてそういう不正なことをやるかといったら、そうじゃないんじゃないかなという気がしますね。そういう感じがするということです。
  63. 山下芳生

    山下芳生君 中島参考人は、先ほど、今度の改革には天下りの抜け道があるというふうに、こうおっしゃいましたけれども、それはどういう抜け道なのか、もう少し詳しくお聞かせいただけますか。
  64. 中島忠能

    参考人中島忠能君) それは、申し上げたように、自分が在職中にとにかくしっかり面倒を見ておる企業に退職後あっせんじゃなくしてその企業の招きで天下りする道というのはふさがれていないと言うんですよ。それは抜け道だと言うんですよ。
  65. 山下芳生

    山下芳生君 西村参考人に伺いたいと思います。  参考人は、先ほどの御発言の中で、労働基本権は基本的人権として公務員にも最大限保障するべきであるということから出発すべきなんだというふうにおっしゃられましたけれども、その理由と背景、もう少し詳しく聞かせていただけますでしょうか。
  66. 西村美香

    参考人西村美香君) 理由と背景というよりも、もう基本的人権であるから最大限保障するのは、そういう方向を取るべきではないかなというふうに思っておりましたし、判例としても、まだそこまで余り踏み込んでいるようではないようですけれども、ただ、やはり基本的人権は余りやみくもに制限していいとは、司法の方も判断していると思います。
  67. 山下芳生

    山下芳生君 ごもっともだと思います。やはり、憲法が民間労働者であれ公務員であれ労働基本権を保障すべきだというふうに位置付けておりますので、まさに基本的人権としてとらえて出発するというのはそのとおりだと思います。  同時に、憲法公務員を全体の奉仕者と規定をしておりますように、その事業と職務が公共性を持つ、公的性格を持つということ、それからまた、賃金原資が税金など公的資金であるということから、民間労働者と異なる特質を持っていることにも配慮をしなければならない面があるのではないかと思っておりまして、そういう点では独自のルールも必要ではないかと思っております。  ただ、その上に立っても、公務員労働者に労働基本権が保障されるということにどういう意義があるのかということを私なりに考えると、公務員というのはやはり国民の権利を尊重する立場で仕事をしなければならない、先ほどの震災の被災者の権利をどう保障するのかというようなことを考える立場にあるべき人だと思います。そのためには、自らの人権が保障され、人権を理解することが不可欠だと思います。愛情たっぷりに育てられた子供は愛情を知ると言いますけれども、やはり人権をしっかりと保障された公務員でこそ国民の人権に敏感になれるのではないかというふうに思うんですが、その点、西村参考人、いかがでしょうか。
  68. 西村美香

    参考人西村美香君) 私もまさに同感でして、公務員仕事というのは、ある行政法の先生に伺ったところ、やはり基本的人権にかかわる仕事をしているというのが公務と民間の仕事の一番大きく異なるところだと。もちろん民間の仕事でも基本的人権にかかわる仕事もありますけれども、公務というのは本当にこれがきちっと適正に行われなければ国民の健康とか生命にもかかわってくると、非常に重要な仕事であるというふうに伺っておりまして、だからこそ、そうした方たちに人権感覚というものを持っていただくためにも自らも基本的人権を保障されていることはとても大切だと思います。
  69. 山下芳生

    山下芳生君 その点でいいますと、今、国でも地方でも公務員の非正規化というのが非常に広がっておりまして、官製ワーキングプアということが言われております。これは、今私が申し上げた、また西村参考人からもお答えいただいたことから見て、非常にゆゆしき問題ではないかなと思っているんですが、この点、いかがですか。
  70. 西村美香

    参考人西村美香君) 私ももう非常に大きな問題だと思っておりますし、私がこれまで地方公務員制度に関する研究会に幾つか参加させていただきましたけれども、臨時・非常勤職員の問題というのはこれまでも常に大きな問題としてここ十年ぐらい取り上げられてきました。ですが、やはりつい最近でいうと総人件費改革というものがある中で、なかなか定員にカウントするような形でこうした方たちを定員内に入れていくということができず、かつ、この方たちの首を切るということをしてしまうと、その方たちに対しても申し訳ないことですけれども、公共サービスが維持できないというようなこともありますので、何とか必要なサービスには税金を使うことを国民にも住民にも理解していただけるような、そういう給与政策とか人事制度を行っていかなければいけないなというふうに思っております。
  71. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。
  72. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 社会民主党の渕上でございます。  今日はお二人の参考人の方、大変御苦労さんでございました。  まず、中島参考人にお伺いをいたしますが、私、今度の政権交代によって三つのことが問題だったなと思っているのは、一つは、情報公開の遅れというものが明らかになってきたこと、二つ目は、基本的な人権に対する我が国の政治の在り方、ありよう、対応の仕方というのがやはり問題だったなと、それから三つ目は、地方分権、今は地方主権と言っていますけれども、そこの自立性の遅れというものが我が国の政治というものを大きくやはりゆがめてきておったのではないかという認識を今度政権交代を通して私は思ったところでございます。  したがって、そういう視点に立って質問をしたいと思うんですが、まず、政治と公務員行政の組織、それから公務員倫理在り方問題というのは密接不可分の関係に常に私はあると思うんです。今日まで長く日本の政治を担ってきた政治というものの結果、政治と行政と官のトライアングルと言われる癒着構造というものがしっかりでき上がってきた。そのことがやはり何を物語るかといえば、政治の閉塞性を私は生んだのではないかと、このように思っております。  そのときに、公務員方々企画立案決定までやる、それまではよしとして、今やはりその後をどのように政策立案をし、決定をし、施行をしてきた結果、後の評価というものをめぐって今政治の場でいろんな問題が出されておるわけですが、その評価の在り方責任の問題点について、やはり評価と責任のところが少し遅れておることが公務員に対する不信になってきたり政治に対する不信になってきたりしてきているのではないかと思うんでありますが、その点、中島参考人はどのようにお考えでございましょうか、御質問申し上げます。
  73. 中島忠能

    参考人中島忠能君) なかなか難しい質問ですね。  政治が政策決定されると、その決定した政策に基づいて行政がそれを執行すると、その結果の評価というものが必ずしも国民の方に明示されていないと、だから国民は満足していないんじゃないかと、こういうような話のようですけれども、それは、そういうふうに言われればそういうことなのかなと思いますけれども、それをとにかく実現していくためには、かなり大変ですね、それは。  おっしゃっていることはごもっともだと思いますけれども、そういう方向への努力というのは一体どういうプロセスを経て、どういうことを講じてできるんかなということを考えてみますと、直ちにいい答弁を申し上げるほど私は知恵がないですな。まあそういうことでしょうかね。  まあ今は委員の方が何か御意見があるかも分かりませんから。
  74. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 やはり長い長い歴史があるわけですから、その中で生まれてきたものを一刀両断にすぱっと断ち切ろうというのはなかなか難しい問題かもしれませんが、やはり常にそこに目を光らせていくという監視体制というものを政治がきちっとやってこなかったところが問題かもしれませんが、それは私どもは私どもとして反省をしているところです。  そこで、やはりそういう体制を生んできたところで今行政に問われている象徴的な問題が天下りの問題だろうというふうに思います。なぜ天下りが問題になる、同時に片一方では官と民の交流ということが言われる。そのときに、なぜ官と民の交流ができないのか、できない理由はどの辺にあったのか、これから先の官と民の交流というのは活発になるのかどうか、その点、中島先生、いかがでございましょうか。
  75. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 私が元職でよく答弁をさせていただいたんですけれども、官民交流法というのを作りましたですね。そのときに同じような話がございまして、官民交流じゃなしに、恐らく官から民に行く交流というのはそれなりに進むだろうけれども、民から官に来る交流というものはそんなにとにかくうまくいかないんじゃないかという話がございました。それは複数の政党からそういう話をいただいたように思います。それはやっぱり公務員の世界の閉鎖性というのがあるんじゃないかというふうに思うんです。  官民交流をなぜやるのかというと、これは、民の方の知恵をお借りするんだとか、民の方の価値観を官に導入して、霞が関の常識は国民の不常識だというような、そういうことを言われないようにするんだというようなことで官民交流と言われたんですけれども、肝心かなめの官の方が、先ほどのキャリアシステムじゃないですけれども、一つのとにかくシステムができ上がっているわけです。すぐそこに民から来た人がすっと入っていけるかというと、やっぱり入っていけないんですよね。受け入れないんですよ。だから、官民交流というのは現在でもうまくいってないということになるんですけれども、民間から来る人はどちらかというと、官の方でそういう政策企画立案の本流に入らずに、それに役に立つ技術をとにかく提供しているということなんですな。だから、やっぱり官民交流というのはなかなか難しいなと。  しかし、これからキャリアシステムをとにかく是正していこうじゃないかと、できるだけ、今でいうⅠ種試験、今度のいう総合職試験に合格した人間だけではなくして、一般職試験から入った方も、民間から入ってきた方も幹部の道を開いていこうじゃないかという少し閉鎖性に穴を開ける、そういうことをやっていくと民間の方も、交流した結果、官の本流の方で仕事をしていただくような雰囲気が出てくるんじゃないかというふうに思いますね。  徐々にそういう環境をつくっていく、そして民から官においでになる方も徐々に増やしていくということに努めていく必要があるんじゃないでしょうか。
  76. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 私は、民の側にも問題があると思いますね。その企業で優秀な方を次の指導者にしようと思っている民間企業は、官には私出さないと思いますよ。そうすると、出ていく人たち、これは失礼な話になるかもしれませんが、その企業の中でちょっと横に置かれたような人たちを出していこうとする傾向が民の側にもあったんじゃないかと。それで、出ていった先は官僚組織で、がっちりでき上がった組織の上に乗ってもそううまくいかない。  恐らくそういうのが相まってなかなか官民の交流ができないと思うんですが、そこはやはり、どうですかね、中島参考人、もう少し我が国システムを変えていくようなことというのを、それは身分でするのか、賃金でするのか、何でするのかいろいろあると思うんですが、その点は、よりより交流を活発にするにはどのようにしたらいいと思っていますか。
  77. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 委員からそういうこと言われると、民の方はますます一流の人間出さなくなりますがね。  だから、それはやっぱりお互いさんだから、官の方もとにかく今までのような閉鎖性というものを是正していって、そして民からおいでになった優秀な方は政策企画立案の作業に携わっていただきますよと、そして、こういうふうに現にほかの企業から来た方が仕事をしておられますという実態を見せなきゃ、今委員が御心配になられるような企業の方から一流の人間を出さないということにつながっていくんでしょうね。  だから、官の方も少し胸襟を開いて民の方の人間を受け入れていくと、そして官の考え方を変えていくということに努めていく必要があるんで、お互いにそこはやっぱり認識しながら進めていくということに努める必要があるんでしょうかね。
  78. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 天下り問題でやはり年齢の問題なんかも先ほど議論になっていましたけれども、いわゆる、余り天下り禁止のことを声高にだあっと言っていったら、結果的には官僚の方々はどこかで自分の就職先をつくろうとする、結果として独立行政法人なるものがたくさんできてくる、それが今問題になっている。こういうことを生みやすいことになると思うんですが、その点の解消はどのようにやれば一番いいと思っていますか、中島先生。
  79. 中島忠能

    参考人中島忠能君) 僕はちょっとこのペーパーの中でもお書きしたんですけれども、独立行政法人とか認可法人とか公益法人に対する再就職についてできるだけ民間から採ろうじゃないかと、公募方式で進めておられますね。おられますけれども、確かに民間から来られる方で有能な、公務員の世界に入ってこられてもその分野について見識を持っておられる方もいらっしゃるでしょう。いらっしゃいますけれども、この分野の仕事というのは経験がなければ恐らくできないんじゃないか、理事長とか総裁になっていただいても、下から教えてもらってやっと分かるような、そういう仕事じゃないかというところでも、公務員の経歴があると駄目だというふうなことを言われるらしいんですよ、後輩から聞きますとね。  だから、そこはやっぱり能力本位で経歴を問わないと、本当に能力があるんなら能力があるところで使うということをやっていただかなければ、この問題というのはやっぱり解決しないし、そういう団体が本当に国民の生活を守っていく、向上させていくために必要だということで存続させておるんでしょうから、そこで立派な仕事をしていただくためにはそういう能力本位の選任というものをやってくださいということを私は申し上げたんですよ。  だから、それはやっぱり余り、先生の方はどういう方針か存じませんけれども、やっぱり官僚をそんなにとにかく排除していくというようなことじゃなしに、能力を見て、とにかく使える者は使えるよという姿勢に転換していただきたいなと思いますね。
  80. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 ありがとうございました。  では次に、西村参考人にお伺いいたしますが、一番最初にお話しになった、政治家、官僚、業界というのは、今まで通常、政策企画立案、法案決定までいろいろ、立案まではかなり参加をしておったと思うんです。そこの中に新たな国民関係と。新たな国民関係というのを私たちはまずはどのように理解をすればいいのか。  例えば、政策をつくるに当たって、立案段階に参加することを言っているのか、決定段階に参加をすることを言っているのか、ただ意見だけ述べろと言っているのか。どういうようなこの新しい政官と国民との関係というものをここの中では想像されておるのか、どういうふうに私は理解をすればいいのか、お伺いいたします。
  81. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 渕上委員、指名の後に質問をしていただきたいと思います。  それでは、西村参考人
  82. 西村美香

    参考人西村美香君) 国民との関係ですけれども、基本は情報公開になると思います。どういうことが、どういう政策がどのように検討され、決定されたかという過程も含めて国民に明らかにするということが一番重要だと思っていますし、そうして公開された情報を基に現在あるようなパブリックコメントという形で積極的に国民意見を言うということもあると思います。  決定に関しては、これはもう選挙によって政治家を選んでいるわけですから、国会議員の先生方に決定いただくのが一番だと私は思っております。
  83. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 それは今まで、従来やられていたことじゃないでしょうかね。ですから、新しい国民との関係という、その新しいというのはどこら辺が、どこら辺りを新しく改革しようとしておられるのか。
  84. 西村美香

    参考人西村美香君) 情報公開制度も既にありますし、いろんな情報公開されておりますけれども、それが、その情報公開によってどの程度政策決定のプロセスが国民に理解されているか、どの程度政策の意義が理解されているかというと、まだまだ国民が理解しやすいような公開にはなっていないと思います。  と同時に、パブリックコメント制度もずっと何年も施行されておりますけれども、関心がわかないからこそ余りパブリックコメントの場に参加してくる国民も少ないというふうに思っていますので、もっと分かりやすい情報を提供することによって国民が積極的に参加したい気持ちになると、そういうのを新しい関係だと思っています。
  85. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 先ほども同僚議員の方から質問があっておりましたけれども、基本的な人権のところの遅れのところで、やはり公務員に団結権、団体交渉権、争議権というものが完全に保障できていない。その結果、いわゆる行政の中における労働組合としての内部のチェック機能の役割を果たすべき機能というものが阻害されておるところにやはり私は大きな問題があるのではないかと思っているんですが、その点はやはり積極的にそういう労働三権を与えた上で、それから先、やはりもう少し発展した労使関係というものを近代的な国家として考えるべきではないかと思うんですが、なぜ我が国公務員に対してこのような基本権を与えないと、どのような認識でございましょうかね。
  86. 西村美香

    参考人西村美香君) それは、制度的なことを言うと、戦後改革の中でそういう制度ができて、それが定着してしまったと。労働組合の方は納得をされていなかったかもしれないんですけれども、国民は比較的それで納得をしていたというのが大きな原因じゃないかなというふうに思います。
  87. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 その点、中島先生、いかがでしょうか。
  88. 中島忠能

    参考人中島忠能君) やっぱり、戦後の歴史をずっと見てみますと、私は労働組合側が失敗したんだと思いますよ。というのは、なぜ今の制度になったかというと、終戦直後の二・一ストというので国民生活が麻痺するというふうに危機感を感じたんですね。それで、とにかく労働三権というものが制約されることになったと。それで、最近でいいますと、やっぱり国労のスト権ストというのが非常に脅威を与えたと。だから、国民的な常識に基づいて労働組合が今まで行動してきたかというと、そうじゃないというふうに私思いますね。  だから、そこを労働組合側の方もきちんと反省をしてこれから取り組んでいただかなければいい労使慣行はできないと思う。ずばりと言いますと私はそういう感じを持っていますけれどもね。
  89. 渕上貞雄

    渕上貞雄君 終わります。
  90. 渡辺孝男

    委員長渡辺孝男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、両参考人に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十四分散会