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2010-03-11 第174回国会 参議院 厚生労働委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十二年三月十一日(木曜日) 午後零時十分開会 ─────────────
委員
の異動 三月八日
辞任
補欠選任
近藤
正道
君 又市
征治
君 三月九日
辞任
補欠選任
又市
征治
君
近藤
正道
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
柳田
稔君 理 事 小林 正夫君
津田弥太郎
君 森 ゆうこ君 衛藤 晟一君 山本 博司君 委 員
足立
信也
君 家西 悟君 梅村 聡君
島田智哉子君
下田 敦子君 辻 泰弘君
長浜
博行
君 森田 高君
石井
準一君
石井みどり
君 中村 博彦君 西島 英利君
南野知惠子
君 丸川 珠代君
木庭健太郎
君 小池 晃君
近藤
正道
君
国務大臣
厚生労働大臣
長妻 昭君 副
大臣
厚生労働
副
大臣
細川 律夫君
厚生労働
副
大臣
長浜
博行
君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官
山井 和則君
厚生労働大臣政
務官
足立
信也
君
事務局側
常任委員会専門
員 松田
茂敬
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
社会保障
及び
労働問題等
に関する
調査
(
厚生労働行政
の
基本施策
に関する件) (
平成
二十二年
度厚生労働省関係予算
に関する 件) ─────────────
柳田稔
1
○
委員長
(
柳田稔
君) ただいまから
厚生労働委員会
を開会いたします。
社会保障
及び
労働問題等
に関する
調査
を議題といたします。 まず、
厚生労働行政
の
基本施策
について、
厚生労働大臣
から
所信
を聴取いたします。長
妻厚生労働大臣
。
長妻昭
2
○
国務大臣
(長妻昭君)
厚生労働委員会開催
に当たって、私の
所信
を申し上げます。
委員各位
、そして
国民
の
皆様方
の御
理解
をいただきますようお願い申し上げます。
鳩山内閣
の命を守る
政治
の先には、
政治
が達成すべき大
目標
である飢餓のない
世界
平和の
実現
があります。その
実現
のために、
日本
は、
国際連携
を
強化
し、あらゆる
分野
で主体的に取り組まなければなりません。 しかし、
世界
に貢献するためには、まず
国内
の
基盤
を揺るぎないものにすることが重要です。 私は、
国内
の
基盤
を確立するための
最大
の
課題
の
一つ
が、直面する
少子高齢社会
とどう向き合うかということだと考えます。
先進国
で最も早く
少子高齢社会
に突入した
日本
が、
世界
のお手本となる持続可能な
社会モデル
を打ち立てることが目指すべき
ゴール
です。その
ゴール
は、
格差
が少なく、何歳になっても働きたい人が働くことができ、安心して
子供
が産め、
地域
で健康に長寿を迎えられる
社会
です。その前提として、新しい
成長戦略
で
経済
を安定
成長
させ、
負担
と
給付
の
関係
を明確にすることが不可欠です。 二〇〇九年には十五歳以上に占める
労働力人口
が戦後初めて六割を切りました。現在、毎日二千九百八十人が誕生し、誕生より多い三千百二十人がお亡くなりになっています。
人口
は、二〇〇五年に戦後初の減少に転じ、毎日百四十人ずつ
人口
が減少しています。
現状
のままでは、二〇五五年、今から四十五年後には、六十五歳以上の
高齢者
一人を
現役世代
一人が支える構図になり、
人口
も九千万人を切ります。現在は現役三人で一人の
高齢者
を支える
騎馬戦型
とすれば、四十五年後には一対一の肩車型になります。このままでは、
経済
や
社会保障
の
担い手
が不足し、国の
基盤
も揺るぎかねません。 今後、
少子高齢社会
における
厚生労働省
が担うべき
取組
を、
社会政策
、
自助
、
共助
、
公助
の四つに分けて説明します。 まず、
子ども手当
について説明します。
日本
が百人の国だとすると、直近の数字で約十四人が十五歳
未満
です。
日本
は
先進国
の中で、
子育て支援
に掛ける
予算
が
国内
総生産、GDPの比率で見ても最も少ない国の
一つ
です。
子ども手当
は、
子育て
を
社会
全体で支えるという発想に基づいています。 次代を担う
子供
の
育ち
を
支援
するため、
平成
二十二年度において、
中学校修了
までの
子供
につき、月額一万三千円の
子ども手当
を支給するための
法律案
を提出しました。
子ども手当
によって、結果として、少子化の流れを変え、
子供
の健やかな
育ち
の
確保
や
子供
の
貧困率
の
削減
などにつなげたいと考えています。
子育て政策
では、
現金支給
とともに、
保育所整備
などの
現物支給
、
仕事
と
生活
の調和である
ワーク
・
ライフ
・
バランス
の三者が適正に
整備
されなければなりません。 今後五年間で、
保育所
の
定員
を毎年五万人ずつ増やし、三歳
未満
の
人口
に占める
保育所定員
をこれまでの四人に一人から三人に一人に増強することを
目標
としました。
ワーク
・
ライフ
・
バランス
を
推進
するため、今年六月末から、
企業
に対して三歳までの
子供
を育てる
労働者対象
に短時間
勤務制度
を義務付けたり、男性の
育児休業
の取得を促進したりするなど
取組
を実施します。
国民
一人一人の
努力
、
自助
が重要であることは言うまでもありません。
自助
のための
就職
を
支援
すべく、働きたい
高齢者
、
高齢者
を支える
現役世代
、働きたい
母親等
を
対象
に
施策
を実施します。
日本
が百人の国だとすれば、約四十九人が
仕事
に就いていますが、約三人が
失業者
です。 今、
就職難
にもかかわらず、
介護
の
分野
は
有効求人倍率
が一・四倍と
人手不足
の状態が続いています。
介護分野
を始め、医師を
事務作業面
でサポートする
医療クラーク
などの
医療分野
にも
失業者
の
皆様
が移行できるよう取り組んでまいります。 特に、
介護職
の賃金を上げ魅力ある職種にするために、
政権交代
以降、
介護職員処遇改善交付金
の活用を強く呼びかけて、
事業所
の
申請率
を四八%から八〇%に引き上げました。昨年十二月には全国四百二十二か所で
介護事業所
と
求職者
の
面接会
である
介護就職デー
を実施し、約一万人の
求職者
の方が参加され、
参加者
一割強の千百八十三人が
介護職
への
就職
を決定しました。
雇用
を
確保
し、
介護
、
医療
を立て直すチャンスと位置付けて取り組んでまいります。 さらに、「働きながら資格をとる」
介護雇用プログラム
の創設や
休業手当等
を補助する
雇用調整助成金
の
要件緩和
を行ったほか、
新卒者支援
の
強化
、
重点分野雇用創造事業等
を実施します。 また、
子育て
中の
女性
の再
就職支援
を実施する
マザーズハローワーク事業
の拡充を始め、
若者
、
女性
、
高齢者
、
障害者等
の
方々
に対するきめ細やかな
就職支援
も実施します。
雇用保険
を受給できない
方々
に対する第二の
セーフティーネット
として、
無料
の
職業訓練
と、
訓練期間
中
生活費
を支給する
緊急人材育成支援事業
を開始しています。
平成
二十二年度は、
公共職業訓練
と併せて、前年度から五万人以上増やして三十万人を超える
離職者
の
方々
に対する
職業訓練
を実施してまいります。さらに、
平成
二十三年度から恒久的な
制度
として
求職者支援制度
を創設するよう取り組んでまいります。
雇用保険
について、非
正規労働者
に対する
適用基準
である六か月以上の
雇用見込み
を三十一日以上に緩和すること等を
内容
とする
改正法案
を提出しました。これにより新たに約二百五十五万人が
雇用保険
に加入できる
見込み
であり、
セーフティーネット
を
強化
します。 また、
派遣労働者
の
雇用
の安定のため、
登録型派遣
や
製造業務派遣
の
原則禁止等
を
内容
とする
法律案
を提出してまいります。
少子高齢社会
における、
保険制度
や
地域
、
NPO
などによる助け合いの
共助
について説明します。 まずは
年金
です。
日本
が百人の国としたら、約二十人が
老齢年金
を受給しています。
年金制度改革
については、
平成
二十五年に三
原則
に沿った新
制度
の法案を成立させるべく取り組みます。
原則
一は、若い人でも無理なく払える持続可能な
制度
。
原則
二は、転職をしても変わらない
一つ
の
制度
。
原則
三は、
最低保障機能
がある
制度
です。
雇用
の
流動化
など
時代
に合った、公平、透明で分かりやすい
年金制度
とするため、具体的な
制度設計
に向けた
検討
を進めてまいります。 消えた
年金
問題に関しては、
国家プロジェクト
と位置付け、二年間に集中して取り組み、
政権
一期四年の間にできる限りの
対策
を進めてまいります。 これまで、
記録統合
後の再
裁定申請
から
年金支払
までの
期間
の
短縮化
、
国民年金特殊台帳
と
コンピューター記録
の突き合わせ、迅速な
被害者救済
のための新たな
回復基準
の設定など、着実に進めてまいりました。現在、
記録
問題への
取組状況
について、毎週、数値を公表しているところです。
紙台帳
との
照合
について、昨年初めて
地方自治体
が保管する
国民年金
の
紙台帳
と
コンピューター記録
の
照合
の
サンプル調査
を実施したところ、一定の
割合
で不一致があり、中には
年金額
が年額十万円以上増額になる方もいらっしゃいました。 御
自身
で
記録
が抜けていることに気付いていない方が大勢いらっしゃいます。これまでの
記録
問題への
政府
の
取組
は、
記録
を皆に送付するから間違いがあったら言ってきなさいというものでした。確かに
記録
を送付して確認してもらうことは重要なことです。しかし同時に、
政府
が保管する
紙台帳
と
照合
して、
記録漏れ
に気付いていない方の
記録
を回復することも重要です。
申請主義
という名の下で
申請
を待つという待ちの姿勢だけでは不十分です。
平成
二十二年度、二十三年度の二年間で
優先順位
の高い
紙台帳
から
照合
を始め、
平成
二十五年度までの四年間ですべての
紙台帳
の
照合
をいたします。
年金通帳
に関しましては、まず現在の
パソコン
を使ったインターネットでの
記録確認
をより使いやすいものにして、
自宅
で
パソコン
が使えない方であっても、市役所や
郵便局
などに設置してある
パソコン
を使って、
補助員
の補助の下で
記録
を確認できるようにします。その上で、
年金通帳
の形式や
設計内容
について
国民
的な
調査
を実施し、
内容
を確定させた上で
年金通帳
を
実現
してまいります。 無
年金
問題につきましては、御
自身
を無
年金
と思っておられる方でも、サラリーマンの
配偶者
で昭和六十一年三月以前に任意加入しなかった
期間等
の
空期間
などを調べれば
受給者
となる
可能性
があります。このため、二十五年以上の
資格期間
を満たしていない六十三歳以上の約五十万人を
対象
として
注意喚起文書
を初めて発送するなど、
受給者
を増やす
努力
を実施しております。 また、無
年金
となる方の発生を予防するとともに、
高齢者
の
年金額
を充実させる観点から、
国民年金保険料
のさかのぼり
納付期間
を二年から十年に延長する等の
法律案
を提出したところです。
年金積立金
の
運用
につきましては、安全確実な
運用
、
業務
の
透明性
、
効率性
の向上を
内容
とする新たな
中期目標
を示したいと考えております。
日本
が百人の国としたら、一か月の間に約三十三人が
医療機関等
にかかっています。
後期高齢者医療制度
は、
政権
一期四年の中で廃止し、
高齢者
の
皆様
を始め、より分かりやすく信頼が得られる
制度
へ移行します。このため、昨年十一月に私の下に
高齢者医療制度改革会議
を設置し、
議論
を重ねているところです。今後、骨格を中間的なまとめとしてお示しします。 それに先立って、今年四月には、
差別的扱い
として批判があった
後期高齢者医療制度
の一環として七十五歳以上に適用された
診療報酬体系
を廃止します。 また、昨今の急激な
経済
の
悪化等
により、このままでは
協会けんぽ
や
国民健康保険
、
後期高齢者医療制度
において来年度以降の
保険料
の大幅な引上げが必要となります。このため、それぞれの
制度
における
保険料上昇
の
抑制措置
を
内容
とする
法律案
を提出したところであります。
医療
の立て直しは待ったなしです。来年度の
医学部定員
について、前年度に比べ三百六十人増員して過去
最大
の八千八百四十六人とするほか、
診療報酬改定
につきましては十年ぶりの
ネットプラス改定
としました。 特に
診療報酬本体
では、前回の
改定
の四倍以上である一・五五%の
プラス
としました。これは
国民
の安心する
医療
を
実現
するためであり、救急、産科、小児科、
外科等
の
医療
の再生や
病院
の
勤務医
の
負担軽減
を図るよう
改定
します。具体的に、例えば
救急医療
については、
診療所
と
病院
の連携を
強化
して
救急外来
をサポートするための
診療報酬
を新設します。また、
勤務医
の
事務負担軽減策
としては、
医療クラーク
の配備に対する
診療報酬
を手厚くします。 受けた
医療
の
明細
が分かる
診療明細書
を
原則
として
無料
発行するように
医療機関
に義務付けます。患者さんが治療の中身を
理解
しチェックするなど、
診療内容
や
医療費
の
透明性
を高めます。
新型インフルエンザ対策
につきましては、
流行状況
に応じた
対策
を実施してまいりました。現在、
患者数
はピークを超え減少しているものの、いつ再流行が起こるか分からず、また
病原性
が変化することもあり得ます。引き続き
国内
外の
状況
を注視します。
新型インフルエンザA
、H1N1と同程度の
病原性
を有する
新型インフルエンザ
の
ワクチン
を位置付けることなどを
内容
とする
予防接種法
の
改正法案
を提出してまいります。 今回のように
輸入ワクチン
に頼らざるを得ない事態とならないよう、
国内
において
細胞培養法
を開発し、全
国民分
の
新型インフルエンザワクチン
を約半年で生産可能にするために引き続き取り組みます。 また、
薬害肝炎
の反省に立ち、
医薬品等
による
健康被害
の再発を防止するとともに、
肝炎対策基本指針
の策定と実施に取り組んでまいります。
肝炎医療費
の
助成
について、
平成
二十二年度から
自己負担限度額
を
原則
一万円とし、
核酸アナログ製剤治療
を新たに
助成対象
に追加するなど
支援
を拡充し、あわせて、検査や
診療
についての
体制整備
、肝
疾患研究
の
強化
などに取り組みます。
臓器移植
につきましては、本年七月の円滑な施行に向けて準備を着実に進めます。
日本
が百人の国としたら、生涯で約四十五人が
がん
になっています。平均すれば一日で九百四十人が
がん
で亡くなっています。
がん対策
につきましては、検診を受けやすい
体制
の
整備
、
がん医療
に携わる
従事者
の養成など必要な
予算措置
を講じております。
難病対策
につきましては、
研究
を積極的に
推進
するとともに、安心して必要な
医療
を受けられるよう、
医療費助成
について、昨年十月より
対象疾患
を十一
疾患
追加し、五十六
疾患
としました。この他、
統合医療
について、
現状
を科学的に把握し、今後の
政策
について
検討
します。
日本
が百人の国としたら、約三人が
介護サービス
を受けています。
介護
については、さきに述べた
介護職員
の
待遇改善
に引き続き努めてまいります。同時に、
介護職員
の
負担増大
につながっている
介護保険
の
申請事務
などの煩雑さを解消します。 現在、
自宅
で六十歳以上の方が
介護
をしているいわゆる老老
介護
の
割合
は六割近くに上っています。
介護施設
の
待機者
も増加しています。
施設介護
と
居宅介護
を
バランス
よく
整備
して、
高齢者
が住み慣れた
地域
で自らの希望に応じて
介護
を受ける
体制
をつくることが重要です。
介護施設
については、今後三年間で
定員
を十六万床増加させ、過去三年間の二倍のペースを保つように取り組みます。
訪問介護
に関しても
現行
の
利用者
百十五万人を増加させ、
訪問看護
の
体制整備
にも努めてまいります。
介護サービス
、
医療的ケア
、
生活支援サービス
、
高齢者用住まい
の
確保
を含めた多様な
サービス
を包括して提供する
地域包括ケアシステム
の構築に努めてまいります。
介護保険法
の
施行日
前に
特別養護老人ホーム
に入所していた方に対する
利用料等
の
負担軽減措置
を延長する
法律案
も提出しました。 二年後には
介護報酬
と
診療報酬
の
同時改定
を迎えます。
介護
と
医療
の
融合的改革
に向けて
取組
を始めます。 次に、
少子高齢社会
における
税金
で支える
公助
について説明します。 まずは、貧困の連鎖を断ち切ることが重要です。
生活保護
の
母子世帯
に支給する
母子加算
は来年度も継続支給することとして
予算案
を提出しました。さらに、一人
親家庭
の
自立
を促進するため、
児童扶養手当
について新たに
父子家庭
の父を
支給対象
に含める
法律案
を提出しました。 一昨年には、年末の
派遣
村が
社会
問題となりました。そこで、昨年末には、
全国ハローワーク
で
生活相談
にも乗るワンス
トップ
サービス
デーを開催し、六千三百三十名の方に
仕事
、
住まい
、
生活支援
の相談を実施しました。また、
地方自治体
にもお願いし、百九十四の
地方自治体
で
年末年始
の
生活総合相談
をしていただきました。 私も
年末年始
に公設一時
宿泊所
にお邪魔し、
利用者
の話を聞きました。どこにでもいる
若者
が公園で寝泊まりせざるを得ない、
努力
しても抜け出せない
現状
を目の当たりにしました。
人ごと
ではありません。もはや、かつての一億総中流の
日本
ではありません。 住む場所が不安定では
仕事
を探すこともできません。今後、
住まい
や
生活
にお困りの
求職者
の方を
年末年始
のみならず日常的に
支援
するため、新たに
ハローワーク
に二百六十三人の住居・
生活支援アドバイザー
を配備します。また、
地方自治体
を窓口として家賃を補助する
住宅手当
について、
就職活動
をしている場合、
支給期間
を
現行
の
最長
六か月から
最長
九か月に延長します。
生活保護
になる前の第二の
セーフティーネット
というべき
施策
を
整備
することが重要です。
日本
が百人の国としたら、約一人が
生活保護
を受けています。
生活保護
に関しては、依然として高い
保護率
が続いています。必要な方が適切に
保護
を受けられるようにします。
生活保護
を受けている方が働き
自立
するために、
地方自治体
に
就職活動
などをサポートする
就労支援員
を約二千五百人増員し、三千五十人配備するよう
予算措置
を講じております。 川に飛び込んだ際にけがをして首から下の大部分が動かなくなった青年に昨年十二月に会いました。懸命にリハビリを続ける姿が目に焼き付いています。
日本
が百人の国だとすれば、約六人が
障害者
です。
障害
のある方の
支援
につきましては、
障害者自立支援法
を廃止し、
制度
の谷間のない、
利用者
の
応能負担
を
基本
とする総合的な
制度
をつくることとしています。本年一月から、
障害当事者等
から成る障がい
者制度改革推進会議
において新
制度
の
検討
を開始しました。それに先駆けて、
平成
二十二年度
予算案
においては、低
所得者
の
障害福祉サービス等
の
利用者負担
を
無料
としています。 現在、
自殺者数
は十二年連続で三万人を超え、毎日約九十人の方が
自殺
しています。
日本
は
先進
七か国では唯一、十五歳から三十四歳までの
若者
の死因の
トップ
が
自殺
となっており、深刻な
状況
です。
人口当たり
の
自殺率
も
先進
七か国中最悪で、イギリス、イタリアの三倍、アメリカ、カナダの二倍となっています。
自殺対策
に取り組む
NPO法人ライフリンク
の
報告書
にはこうあります。「
自殺
は、人の命に関わる極めて「個人的な問題」である。しかし同時に
自殺
は「
社会
的な問題」であり「
社会
構造的な問題」でもある」。より
実効性
の高い今後の
自殺対策
のため、
自殺
・
うつ病等対策プロジェクトチーム
を設置しました。
自殺
を食い止める
人材
の
育成
や
訪問支援
など、
地域
や
職場等
における
自殺対策
の一層の
推進
に努めてまいります。 また、
援護行政
につきましては、
戦没者
の
遺骨収集
や
慰霊事業
を始め、
支援策
をきめ細やかに実施してまいります。 憲法二十五条には「すべて
国民
は、健康で文化的な
最低限度
の
生活
を営む権利を有する。」と規定されております。しかし、実際には、具体的に
最低限度
の
生活
とは何かという
基準
、すなわち
ナショナルミニマム
が必ずしも明らかになっておらず、
検証
が必要です。
有識者
の御
協力
をいただき設置した
ナショナルミニマム研究会
を
中心
にその
基準
を確立してまいります。
経済成長
と
社会保障
は、一方を重視すれば他方が犠牲になるという
トレードオフ
の
関係
ととらえられがちです。
企業
や
地域社会
が
福祉
の
担い手
として機能していた
時代
から、
企業
における年功序列、
終身雇用
が崩れ、
地域
でも
単身世帯
が増加する等、地縁、血縁も薄れる
時代
には新しい
社会保障
の理念が求められています。
社会保障
を充実させることで
格差
が縮小し、
安心感
が生まれれば消費や
経済成長
にも
プラス
の影響が生まれる。
社会保障
が機会の平等を後押しして多くの人がチャレンジできる環境を
整備
すれば、広く
国民
全体の
能力
を生かすことができる。そんな
福祉施策
であるポジティブウエルフェアを拡充し、個人の有する
能力
や価値を
最大
限引き出して
経済成長
の
基盤づくり
を
支援
する。
経済成長
と
社会保障
は
トレードオフ
の
関係
ではなく、
共存共栄
の車の両輪としてとらえる
政策
を確立します。 これまで
社会保障
は
コスト
としてとらえられがちでしたが、
未来
への投資ととらえることが重要です。
医療
、
介護
については、今後、
高齢者
を
中心
に確実に需要の増大が見込まれ、大きな
成長
と
雇用
の創出が期待されます。今こそ、
政府
と市場の
役割分担
を見直しながら
成長モデル
を描くときです。 昨年末、
政府
が取りまとめた新
成長戦略
で、健康・
医療
・
介護分野
を
成長
を牽引する四本柱の
一つ
と位置付けました。今後、
厚生労働省
に設置した
医療
・
介護
・保育「
未来
への投資」
プロジェクトチーム
を
中心
に、今年六月の新
成長戦略
の
最終取りまとめ
に向けてその
具体化
を図ってまいります。 最後に、最も重要な財源問題です。持続可能で安心できる
社会モデル
というときに財源問題は避けて通れません。 まず重要なことは、
国民
の
皆様
に
自分たち
が支払った
税金
や
保険料
が全額無駄なく
社会保障
の
給付
に使われているという実感を持っていただくことです。その実感がなければ新たな御
負担
をお願いしても
理解
は得られません。
負担
と
給付
の
関係
を透明にして、中抜きや浪費をなくすのです。 このため、
厚生労働省
に事務次官が
トップ
となり責任を負う
コスト削減
・
業務改善プロジェクトチーム
を設置し、
天下り法人
や
内部留保率
が著しく高い
公益法人
に対する
補助金等
の
削減
を実施するなど、これまでの
予算
を見直しました。 調達を
一括購入
とするなど
行政経費
の節約や、役員の公募、
嘱託ポスト
の廃止など
独立行政法人
への
天下り廃止
や
浪費削減
にも取り組んでいます。引き続き、無駄がないかどうか徹底的に
省内事業仕分
を実行してまいります。
役所文化
を変える第一歩としては、昨年十月から
職員
の
人事評価基準
を変えました。特に、「
コスト意識
・
ムダ排除
」や「
制度改善
に当たってのアフター
サービス
の考え方の導入」、「
国民
の生命・財産にかかわる事案の
情報収集
・公開」の視点に着目した
業務目標
を
職員
に立ててもらい、業績を評価することとしました。さらに、本年一月から
外部有識者
から成る
人事評価検討プロジェクトチーム
を立ち上げ、昨年十月に実施した
人事評価基準
の
検証
や
改善
、あるべき
人物像
について
議論
を始めています。 私が
厚生労働省
に参りまして五か月、六か月がたちました。多くの直面する
課題
に取り組むとともに、国家百年の計に立ち、五十年後、百年後により良い
社会
を残したいという強い思いを持っています。
国民
の
皆様
から預かった
税金
や
保険料
を現在と
未来
のために無駄なく有効に使うことで、
生活者
の立場に立つ信用できる
厚生労働行政
をつくり上げてまいります。
柳田委員長
を始め
委員
の
皆様
、
国民
の
皆様
に一層の御
理解
と御
協力
を賜りますようお願い申し上げます。 ありがとうございました。
柳田稔
3
○
委員長
(
柳田稔
君) 次に、
平成
二十二年
度厚生労働省関係予算
について、
厚生労働
副
大臣
から説明を聴取いたします。細川
厚生労働
副
大臣
。
細川律夫
4
○副
大臣
(細川律夫君)
厚生労働
副
大臣
の細川でございます。
長浜
副
大臣
並びに
足立
、山井両政
務官
とともに長妻
大臣
を支え、
柳田委員長
を始め
委員各位
の御
理解
と御
協力
を得ながら
厚生労働行政
の
推進
に邁進してまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。 お手元の資料に基づきまして、
平成
二十二年
度厚生労働省関係予算
案の概要について御説明申し上げます。 まず、
平成
二十二年度
厚生労働省
所管一般会計の
予算
規模は、総額は二十七兆五千五百六十一億円、対前年度二兆三千九百九十二億円、九・五%の増加となっております。 これは、これまでの
予算
を徹底的に見直し、無駄を
削減
するとともに、マニフェストの
実現
に向けて必要な経費を新たに計上したものであります。 次に、
予算
の主要
施策
について御説明申し上げます。 第一は、五ページから九ページにかけての、安心して
子育て
ができる環境
整備
であります。 次代の
社会
を担う
子供
一人一人の
育ち
を
社会
全体で応援するため、
子ども手当
の創設、
父子家庭
への
児童扶養手当
の支給、
保育所
待機児童の解消に向けた
取組
など、総合的な
子育て支援
施策
を
推進
してまいります。 第二は、十ページから十一ページにかけての、信頼できる
年金制度
に向けてであります。 公的
年金制度
は
国民
の老後の安定した
生活
を支える
セーフティーネット
であり、
年金
記録
問題について解決に向けた
取組
を着実に進めてまいります。このため、
年金
記録
問題への対応を
国家プロジェクト
と位置付け、
平成
二十二年度から集中的に取り組むとともに、二度とこうした問題を起こさない
体制整備
を図ってまいります。 第三は、十二ページから十九ページにかけての、厳しい
経済
環境の下における
雇用
・
生活
安定の
確保
であります。 現下の
雇用
情勢は依然として厳しい
状況
にあり、緊急
雇用
対策
や明日の安心と
成長
のための緊急
経済
対策
の
推進
に全力を挙げるとともに、
雇用
の
セーフティーネット
の
整備
を
推進
するため、労働者の
雇用
の維持、再
就職支援
、
貧困
・困窮者
支援
、
派遣労働者
等非
正規労働者
への総合的
対策
を
強化
してまいります。 また、
若者
、
女性
、
高齢者
、
障害者等
の就業
実現
、
仕事
と
生活
との両立
支援
及び
地域
雇用
対策
など、ニーズに応じたきめ細やかな
支援策
を強力に進めてまいります。 第四に、二十ページから二十四ページにかけての、質の高い
医療
サービス
の
実現
であります。
診療報酬
について十年ぶりに
ネットプラス改定
を行うとともに、
医療
保険の厳しい財政
状況
にかんがみ、各
医療
保険制度
において
保険料
の上昇を抑制するための必要な措置を講ずることにより、
国民
皆
保険制度
を守ってまいります。 また、
救急医療
、周産期
医療
の
体制整備
、医師等の
人材
確保
、
地域
における
医療
連携
体制
の
強化
などを通じ、
地域
医療
の
課題
を解決し、
国民
に質の高い
医療
サービス
を提供してまいります。 第五は、二十五ページから三十一ページにかけての、健康で安心できる
生活
の
確保
であります。
新型インフルエンザ対策
における
医療
提供
体制
の構築、肝炎など
患者
の
負担
が重い疾病等についての
支援策
の拡充、
がん
等の
生活
習慣病や難病などの各種疾病
対策
を進めるとともに、感染症に対する健康危機管理の
強化
、薬害再発防止のため、医薬品、
医療
機器の安全
対策
を
強化
し、有効で安全な医薬品、
医療
機器を迅速に提供するための
対策
を
推進
してまいります。 また、輸入食品の安全
対策
、残留農薬、食品添加物、容器包装等の安全性の
確保
など食品安全
対策
を
推進
してまいります。 第六は、三十二ページから三十五ページにかけての、
障害者
支援
の総合的な
推進
であります。
障害
のある方が当たり前に
地域
で暮らし、
地域
の一員として共に
生活
できる
社会
を
実現
するため、障がい者
制度
改革
推進
本部等における各種の
制度
改革の一環として、
障害者
福祉
制度
を
制度
の谷間がなく、
利用者
の
応能負担
を
基本
とする
制度
に抜本的に見直していくことと併せて、新たな
制度
ができるまでの間においても
障害福祉サービス等
の
利用者負担
について更なる軽減を図ってまいります。 また、良質な
障害
福祉
サービス
の
確保
や
地域
生活支援
事業の着実な実施を図るとともに、精神保健
医療
福祉
や発達
障害者等
の
支援
を
推進
してまいります。 第七は、三十六ページから三十八ページにかけての、良質な
介護サービス
の
確保
であります。 良質な
介護サービス
の
確保
のため、安心で安定的な
介護保険
制度
運営の
確保
を図るとともに、
地域
包括ケアを提供できる
体制
等の
整備
を進めてまいります。 第八は、三十九ページから四十一ページにかけての、安心して働くことのできる環境
整備
であります。
国民
が将来に希望を持って安心して働くことのできる
社会
を
実現
するため、最低賃金の引上げの
検討
や労働災害の防止、労働者の心身の健康
確保
のための
対策
等を実施してまいります。 第九は、四十二ページから四十四ページにかけての、暮らしの安心
確保
であります。 景気の急速な後退に伴う
格差
の拡大傾向、若年
失業者
の
増大
等を背景に高まっている
生活
不安を解消し、すべての
社会保障
制度
における最後の
セーフティーネット
である
生活保護
制度
等の
社会保障
機能
強化
を図ってまいります。また、
自殺対策
については、
地域
での効果的な
取組
等を進めてまいります。 以上のほか、四十五ページから四十八ページにあるように、
世界
保健機関や国際労働機関等を通じた国際
協力
の
推進
、外国人
労働問題等
への適切な対応、戦傷病者、
戦没者
遺族、中国残留邦人の援護、原爆被爆者
対策
等の諸
施策
を
推進
してまいります。 以上、主な
内容
について御説明いたしましたが、お手元の資料のうち、一般会計
予算案
の主要経費別内訳及び特別会計
予算案
の概要につきましては説明を省略させていただきます。 どうぞよろしくお願い申し上げます。
柳田稔
5
○
委員長
(
柳田稔
君) 以上で
所信
及び
予算
の説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十一分散会