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山本博司君
委員派遣について御報告申し上げます。
去る十二月十四日及び十五日の二日間、広島県及び岡山県の
社会保障及び
労働問題等に関する実情を
調査してまいりました。
派遣委員は、
柳田委員長、森理事、津田理事、
足立委員、島田
委員、
長浜委員、
石井みどり委員及び私、
山本の八名でございます。また、現地にて姫井議員及び谷合議員が参加されました。
以下、その
概要を御報告いたします。
一日目は、広島県におきまして、県の関係者より、広島県における地域医療の現状と課題について概況
説明を聴取するとともに、医療関係者の方々から意見陳述が行われました。
広島県は、広大な過疎地を擁し、無医地区数が北海道に次いで全国で二番目に多いなど、医師不足は深刻であります。そこで、医師
確保対策や救急医療、がん対策などを盛り込んだ広島県地域医療再生計画を策定し、
事業を計画的に実施していくこととするとともに、広島県の大学、医師会、行政による広島県地域保健対策協議会の下で地域保健活動を県内全域で展開している等の
説明がありました。
また、国への提言として、地域の実情に応じた政策医療への取組が可能となるよう、全国一律となっている医療機関の指定要件や補助要件等の見直しが必要である等の意見が述べられました。
続いて、医療関係者の方々から意見陳述が行われました。
周産期医療については、広島大学大学院工藤教授から、広島県の妊産婦死亡率や周産期死亡率は全国平均より低いものの、人口当たりの医師数は多いとは言えず、産科医療資源の集約化・重点化を進めているが、七つの二次医療圏のうち二つで地域周産期母子医療センターがないことが問題である等の意見が述べられました。
救急医療については、広島大学大学院谷川教授から、中等症、重症の救急搬送件数が増加傾向にある中で、救急医療機関における診療中や処置困難を
理由とする受入れ困難事例が増加しており、医療
負担に見合う診療報酬体系の整備など地域救急体制のボトムアップが必要である等の意見が述べられました。
中山間地域医療については、安芸太田病院武澤院長及び庄原赤十字病院中島院長から、医師数の減少が深刻であるとともに、看護師も都市部に偏在して
確保が難しいこと、診療報酬上の各種加算・管理料の請求が困難であり赤字経営となる傾向にあること、都市部とへき地の違いを考慮した補助金や診療報酬の設定が課題であること、市の支援など行政や地域との関係が大事であること等の意見が述べられました。
有床診療所については、松村循環器・外科医院理事長から、経営
状況が厳しいことなどから有床診療所の数は減少しているが、これを再生して地域医療連携の拠点にするなど有効に活用すべきである等の意見が述べられました。
がん対策については、広島がんサポート佐々木理事から、医療コーディネーター育成や医療費
負担に対する助成が必要である等の意見が述べられました。
意見陳述後、産科医療補償制度に対する評価、ワクチン接種の在り方、高齢化と認知症を念頭に置いた精神科病床の維持、医師不足地域に対する医師派遣の在り方、補助金等によるへき地医療支援策、島嶼部における救急医療やドクターヘリ的
事業の現状、救急医療における後方支援システムの在り方、がん患者に対する財政的支援等について意見交換を行いました。
二日目は、岡山県におきまして、岡山労働局及び県の関係者より、岡山県下の
雇用失業情勢、
雇用対策等について概況
説明を聴取するとともに、労使関係者の方々から意見陳述が行われました。
岡山県内の
雇用情勢は、いわゆるリーマン・ショックを契機に一気に悪化し、
平成二十
年度に比べ二十一
年度上半期は、有効求人倍率が〇・五四倍と半減し、
雇用保険受給者実人員は月平均約一万五千人と五割増加しております。また、新規学卒者の
就職内定率も、十月末現在、高校で六三・五%、大学で四三・七%と、それぞれ前年同期より一〇ポイント以上下がっているとのことであります。
このような現状に対し、
雇用の維持・創出、職業紹介・
訓練、
失業者への生活支援を三本柱とする
雇用対策を実施しているとの
説明がありました。県が行っている
雇用対策は、緊急
雇用創出
事業及びふるさと
雇用再生特別
事業の両
事業で、三か年で約七千七百人の新規
雇用を計画しており、二十一
年度は十月末時点で進捗率が約八六%、新規
雇用者数が約二千人と、着実に進んでいるとのことであります。
また、県から国への提案として、今後とも引き続き切れ目のない対策を講ずること、
雇用創出関係
基金事業における
基金間の流用など地方の実情に即した弾力的運用、若年労働者
雇用対策の推進等の意見が述べられました。
続いて、労使関係者の方々から意見陳述が行われました。
日本労働組合総連合会岡山県連合会からは、新技術開発や人材育成に対する支援、失業したときのセーフティーネットの充実や、働くことの意義等
若年者に対する教育が必要である等の意見が述べられました。製造業の労働者派遣については、方向性としては原則廃止でよいが、熟練工や資格を要する分野まで禁止するのがよいのかどうか吟味が必要であるとの意見がありました。また、
雇用調整助成金については、その制度設計上、売上高の減少が労働投入量の減少に直結しないサービス業にとっては利用しにくい等の意見が述べられました。
岡山県経営者協会等の経営者団体からは、企業経営は中小企業を始めとして大変厳しい
状況にあること、若者の早期離職を防ぐためにインターンシップの受入れを支援する
事業を続けてほしいこと等の意見が述べられました。また、
雇用については、現在直面している課題への対応も必要であるが、少子高齢社会における中長期的な労働力不足への取組も重要であるとの意見がありました。
意見陳述後、
雇用創出関係
基金事業等の活用方策、サービス業の
雇用維持に対する支援の在り方、中小企業金融円滑化法への対応、ふるさと農業支援
事業等の取組、今後の人材育成策、下請等の中小企業の経営実態、労働者派遣制度の在り方等について意見交換を行いました。
最後に、今回の
委員派遣に当たりまして、広島県、岡山県及び意見陳述者の方々に特段の御配慮をいただきましたことを、この場をお借りして心から御礼を申し上げたいと存じます。
以上で
委員派遣の報告を終わります。