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富岡由紀夫君 ありがとうございます。
是非、税制改正のときに、そういう、今までの
考え方にとらわれない柔軟な発想で取り組む必要があると思います。今の雇用の刺激のための一五〇%経費の
計上とか、あと国内の産業空洞化を防ぐための、そういったところにもすごいインセンティブを与えるような対策とか、そういうのは税制、
金融面、いろんな面でやっぱり総合的にやらないと駄目だと思いますんで、その辺は是非よろしく
お願いしたいと思います。
あと、それと、さっき法人税の、いろんな法人の収益の上げている
実態を一部御紹介させていただきましたけれども、是非、税制改正やるときには、租税特別透明化法と同じように、これをやることによってだれが恩恵を受けるのかと、これをやることによってどれだけの人が喜ぶのかというところをやっぱり明確にする必要があると私は思っております。
これも
財政金融委員会で、もう
峰崎副
大臣には何度も
お話聞いていただいているかと思いますけれども、例えば、所得税、累進制をどんどんなだらかにしてきましたね、所得税の累進制を。例えば、
平成十一
年度の改正のときには、所得税の累進税率、高額所得者ですね、この五〇%適用のところとか四〇%適用のところがありました。それを一律三七%に下げたんです。それによって何人の人がその恩恵を受けたかということなんですね。
税率を下げて国民みんなが喜ぶんであればそれはいいんですけれども、実は、喜んだ人というのはごくごく一部の人なんです。五〇%の人が三七に下げられて、喜んだ人は
日本全体で八万人です、わずか八万人、〇・〇六%ですね、
日本全体の国民のうちの〇・〇六%。四〇%の人が三七%に下がったと、この人もわずか十九万人です、〇・一五%。要は、累進税率を下げたということで、あたかも国民みんなが所得税下がってよかったなというような新聞報道をこのときされたんです。ところが、その恩恵を得る人というのは、わずか八万人、そして十九万人、ごくごくわずかな人しかいないというのが
実態ですから、何のためにこれをやったのかと。
多分これは、そのときの
政府の税制諮問
会議か何かの、税調のメンバーが、多分大企業の幹部とか大金持ちの人が中心になって
議論したんでしょうね。そうすると、そういった自分たちに都合のいいような、多分そういう誘導になっちゃうわけです。それは当然だと思います。お金持ちの人は自分たちの所得税下がった方がいいわけですからそういう
議論になったと思いますけれども、そういうことをやっぱりしっかりと、このことによってだれがどれだけのメリットを受けるのかと、だれがメリットを受けて、だれが全く関係ないのかと、そこは明確にする必要があると思います。
あともう一つ、これも
平成十五
年度の相続税の改正のときに、相続税率が高額資産の相続税者に対する、七〇%から五〇%に下げられました。相続税が下がったということで、新聞、このときも大々的に報道をされましたけれども、それで恩恵にあずかった人はどれぐらいいるかというと、年間わずか五十人です。その七〇%から五〇%に相続税率を下げられて喜んだという人は、わずか年間五十人、もう
日本全体の〇・〇〇〇〇四%です。ですから、だれのためにこういうことをやっているのかということをしっかり
議論しないと私はいけないんだと思っております。ですから、今回法人税率を見直すときにもやっぱりそういったことも必要なのかなと思っております。
それとあと、是非、これはもう
財政金融委員会でいろいろといつも
議論になっておるんですけれども、大門さんなんかも
議論しておりますけれども、証券優遇税制ですね。申告納税者の所得税負担率、お金持ちになればなるほど所得税の税負担が少なくなってくるということがあります。これは、
原因としてはその証券優遇税制があるんだと思いますけれども、やっぱりそういったところも見直さないといけないのかなと思っております。
その証券優遇税制で、それこそ何十億円、何百億円という所得を上げている人はどれだけの人数がいるのかと。その人たちのために税率を下げているというようなことをやっているんじゃないかと。何やっているんだと。大多数の国民はほっぽかれて、一部の大金持ち、一部の大企業だけが恩恵を得るような税制改正、いろいろな制度改正、これが行われてきたのがこれまでの私は政治じゃないかなというふうに思っております。そこをやっぱり根本的に見直す必要が私はあると思っていますので、是非そこは、しっかりとまず統計的に足下をしっかり固めた上で
議論していただきたいというふうに思っております。
あともう一点、
金融資産を貯蓄から投資へという
議論が、これずっと
金融庁も今までの
政府も行っておりました。貯蓄から投資へというのを、まあそういうキャッチフレーズはいいんです、いいんですけれども、それによってだれがメリットを受けるかということなんですね。
投資市場、株式市場を活性化させるということは、直接
金融ですね、自分たちで資本調達ができるように、これはやりやすくなります。ですけど、それができる企業というのは上場企業ですね、
日本でわずか四千社しかないんです。さっき言った
日本の全体の二百六十万社ぐらいのうちの〇・一五%の企業です。
その企業は貯蓄から投資によって資本調達が自分たちがやりやすくなりますけれども、ほかの企業は全くそういうのは関係ないんです。
幾ら投資市場が活性化しても、自分たちで投資市場で資金調達できないということは余り関係ないんです。かえって、銀行に預金している部分が株式行っちゃいますから、銀行の預金が減っちゃえば銀行の融資ができなくなってきます。中小企業にとっては逆のマイナスの効果になっちゃうんですね、銀行の預金が減っちゃえば融資の部分が減りますから。要するに、その減った分がどこに行ったかというと、投資市場、株式市場に行って大企業が資金調達しやすくなるということですから、これもよく考える必要があると思います。
それで、よくこの貯蓄から投資へというときに、アメリカの例が出されております。アメリカは
金融資産の
割合が株式とか投資信託が高いと、だから
日本もそれに少し見習うべきだということで、もう少し貯金の比率を落として、株式投資、株式とか投資信託に上げなさいというよく
説明があるんですけれども、これもよく考える必要があると思います。
アメリカの
金融資産というのは、これはもう
日本に比べ物にならないぐらい偏りがあります。アメリカは、上位一%の人です、三億人のうちのわずか一%の人が、全体の四割の
金融資産を持っていますから。わずか一%ですよ、三億人の。三百万人の人が全体の
金融資産の四割を持っていると。上位五%まで入れると、七割です、七割。上位一〇%、一割の人が全体の八割を持っているということです。
だから、さっきの、
日本の大企業が非常に利益を上げているのと同じように、アメリカは個人のレベルでもごくごく大金持ちの人が莫大な資産を持っていて、一割の人が国全体の八割の
金融資産を持っているということです。ですから、一割の人は、みんなもうお金の投資にはたけた人ですから、そういった人たちがみんな株をやっているんです。だから、結果として、アメリカの
金融資産のうちの高い比率が株式に行っているということですから。アメリカのほとんどの、九割の人は、もう投資したくたってそもそもお金すら持っていないというのが
実態です。
ですから、そういうことをよく考えないで、アメリカ全体の
金融資産の比率が株式に、投資信託に高いから
日本もやるべきだという
議論は、私は単純にすべきじゃないというふうに思っております。その辺のよく構造とか
実態を調べた上で
議論しないと、おかしなことになっちゃうんじゃないかというふうに思っております。
非常に、ちょっと一方的に
お話しさせていただきましたけれども、是非その点についてまた御感想もしあれば
お願いしたいと思います。