○井戸
分科員 先般、この問題が報道されて直後だったと思うんですけれども、一月十二日の閣議後の記者会見で、
大臣は、このままでは問題ではないかと思っている、今の民法の中で、性同一性障害ということとは別に、一定の
解釈で認めている部分があるのに、片方だけを否定するということは、ちょっと無理があるという認識をしている、そういう意味では、
法整備が必要なのか、
解釈をもう一度整理し直すのか、できるだけ早く検討、
議論しなければならないと思っていると述べられております。
また、私と一緒の兵庫県選出の辻泰弘
参議院議員が、一月の二十七日の
参議院予算委員会で
質問されております。これに関して
大臣は、根底には生殖補助医療の問題、この問題をきっちりと整理していかなければならないということである、それから、性同一性障害の方の特例法、このときにもここまでのことは予想をされていなかったという面もあるので、今
法整備が必要なのか、あるいは何らかの
運用ができないものか、
政務三役のもとで今精力的に検討させていただいているということを御
答弁なさっています。
本当にこの問題というものは、性同一性障害にかかわらず、AIDのお子さんたちの問題ともかかわってまいります。
AIDは、非配偶者間の人工授精によって、実際の父親、生物学的な父親とは別に、
法律婚をしている不妊の男性の間のお子さんとして、嫡出子として今は戸籍を作成されているようなことになるんですけれども、AIDについては、一九四九年に日本では初めて行われていまして、以来六十年がたっていて、慶応
大学で初めてAIDが行われたんですけれども、慶応
大学だけでも一万人のお子さんたちがこのAIDで出生をしている。
逆に言えば、そのお子さんたちは、例えば自分がAID児だということに関しては、成人してから突然、やはり血液型だったりそういったことを調べたときに自分の父親じゃないということを知ったり、もしかして自分は不倫の子だったんじゃないかとか悩んだりとか、そういういろいろな問題があるんですね。しかしながら、六十年間これが実際には行われてまいったんですけれども、
法整備がなかなか進んでこなかったということは、私は非常に問題であると思っています。
資料の方で朝日
新聞さんの記事というものを
皆さんにお渡しをさせていただいているんですけれども、二〇〇三年に厚生科学審議会の報告が出て、同じ年に法制審議会の試案というものも出ているんですね。
これに関しては、性同一性障害の方たちもそうですけれども、当然、夫婦間で合意をしてAIDをやられるわけです。合意があった場合に関しては嫡出子として認めていこうという
方向性のものが出ているというふうに私は認識をしておりますけれども、そこからの
議論というのが頓挫をして、途中、代理出産をめぐりいろいろな
議論が行われたり、また二〇〇八年には日本学術
会議の報告書なんかも出ているんですけれども、そうした外側の
議論とは別に、法改正とか法の
立法という形での、この形は出なかったというのが非常に残念に思います。
諸外国を見ますと、例えばイギリスでは一九九〇年、ヒトの受精及び胚研究法というのが制定されて、これまで数度の改正をされていて、二〇〇八年には、例えばドナーで同じような形で生まれた兄弟を知ることもできるようになっています。ニュージーランドでも二〇〇四年に、スウェーデンでは一九八四年に人工授精法というものが制定され、二〇〇六年にはこれが廃止をされて、逆に、新しい遺伝子に関する統合法というものが施行されております。
なかなか進まなかった理由というか、この間、
大臣は積極的にこの問題について取り組まれていたのは存じ上げてはいるんですけれども、これからこの問題に関してどのようなタイムスケジュールで取り組んでいかれるお考えか、伺ってもよろしいでしょうか。