○若泉
委員 民主党の若泉征三でございます。
本日は、釈迦に説法になるかもしれませんが、岡田
大臣に、外交についてのあり方と、また非核三原則に対しますことを御
質問し、そしてあと、私は町長を十六年務めておりますので、
地方行政ということで原口
大臣また
前原大臣にお聞きしたい。よろしくお願いを申し上げます。
一九八九年の十二月三日に、御存じのように米ソのデタント、力の均衡の崩壊、いわゆるマルタ会談でございますが、ゴルバチョフとブッシュの会談によって崩壊し、そして国際情勢は非常に幅広く多極化しまして、政治、経済、軍事、あらゆる面で多極化してきた。
そういうときに、私の恩師である故若泉敬京都産業大学教授がこのように話をいたしておりました。国家間の信頼関係をつくるのは、国家と国家のいろいろな、外交だけじゃなくて、一番大切なのは、人と人の信頼関係をいかにたくさんつくっていくかということが大事だというようなこと、これは当然のことだと思います。儀礼的な外交の
必要性もあるが、外交官があるいは
日本人の多くが個人的な友情関係を持つことが大切であると、常々私に申されておりました。
当時、若泉敬教授は、クリスマスのときにはクリスマスカードを毎年数百枚出してきて、そのつながりというもの、人間関係、信頼関係がずっと継続して続いてきたというようなことを言っております。もとより吉田茂元首相の門下生でありまして、きょう
加藤先生もいらっしゃいますが、池田内閣の宏池会、または佐藤内閣、福田内閣の外交ブレーンとして活躍をしてまいりました。
私はその当時町長をいたしておりましたが、私の町にも、マンスフィールド元駐日大使、そして歴史学者のアーノルド・トインビー、キッシンジャーが二回来られまして、イスラエルの大使ということでちょっとごまかされまして、私はイスラエルの大使さんだと思って御案内していましたが、実はキッシンジャーだった。こういう関係と、また、
世界各国から三十人か四十人が若泉敬氏を訪れ、ともに福井の片田舎を散策した覚えがございます。そういうことは今までの外交にやはり幾らかの
影響があったのではないか、このように私は若泉敬教授を評価しております。
そういう中で、後ほど御
質問申し上げますが、同時に、昨年、ダライ・ラマ氏と会う機会がございまして、ダライ・ラマ氏が私の
質問に
お答えされましたが、今、
日本は、
日本の国土の上に建物と人が立っているように見えます、もっともっと人と人の交流、特に語学が大切ですが、その交流がなければ
日本というものは
世界各国に
理解されないというようなことも言われました。まことに私は大切な言葉だ、こういうふうに思っています。外交というものはにわかづくりでは非常に困難であるということでございます。
総理
大臣が日米同盟を基軸に東
アジア共同体構想を提案されておりますが、私も賛同するものでございます。
世界の多極化に向かう構想の中で各国がリーダーシップを発揮するのは当然であり、総理も、気宇壮大なCO2二五%の
削減と同時に、東
アジア共同体の一極化の中でのリーダーシップをとっていこうという積極性のある外交が打ち出されたわけでございます。
先般、私も長城計画としまして中国へ行きまして、向こうの、中国の、いわゆる
日本の
外務省のようなところでございますが、そこを訪れまして
質問いたしましたときに、胡部長代理が言われました。ASEAN十カ国プラス三カ国、中国、韓国、
日本、これは六〇%のドル通貨を保有しておりますが、この三カ国が
中心に経済活動をする、そしてFTAもこの三カ国でやりたい、人的交流もやりたい、このように強調されておりました。非常にいい、いわゆる
日本の東
アジア共同体構想に共鳴するというような力強い
お話をいただきました。
そこで、御
質問を申し上げたいと思います。
実はここに、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」という、これは若泉敬氏が、ニクソン、佐藤栄作、キッシンジャー、若泉敬の、この本が出ているのは御存じだと思います。
何回か手紙が来ておりますが、この本を書いているときに私に本人の書いたこういう手紙が来ております。
平成六年十二月九日、若泉敬氏からの手紙ですが、
私は憂国の念に駆られながらわが国の歴史に遺す“証言”を為すための“義務”に吾が使命感を燃やし、著作の完成に心魂を傾けてきました。
先般公刊しました沖縄返還日米首脳外交の拙著「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」は静かな衝撃を内外に与え、アメリカ側でも反響は深く英訳の話が進みはじめました。
沖縄返還後、すべての活動を若泉敬氏はやめまして、十年の歳月をかけましてこの本を編集いたしました。このころ私に敬氏が申されたことは、有事の際には沖縄に核を持ち込む密約があった、事実だということ、これは本にも記してあります。沖縄の県民に再び悲惨な思いをさせるのは申しわけないということで、沖縄の慰霊塔の前で割腹自殺を図りました。
つまり、大事な極秘文書を暴露することが目的じゃないんです。佐藤栄作氏が非核三原則でノーベル平和賞をもらった、この事実に関して若泉敬氏は、
日本国の平和のアピールとして、長崎、広島を見てもそうでございますが、
一つの経験をもとに、大きな平和へのアピールはやはり非核三原則だという願いが込められたと思います。
そこで御
質問申し上げたいのは、非核三原則の堅持について、「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」で知られるこの若泉敬氏には、私は若いころからけいがいに接してまいりました、非核三原則は平和国家
日本の姿勢を対外的に示す上でも重要な
政策であると考えますが、
民主党政権において、非核三原則を堅持するとの
方針について、岡田
外務大臣の決意をお
伺いしたい、このように思います。お願いいたします。