○三ッ矢憲生君
自由民主党の三ッ矢憲生でございます。
私は、
自由民主党・
無所属の会を代表して、ただいま
趣旨の
説明がありました
航空法の一部を
改正する
法律案について
質問いたします。(
拍手)
航空法の
質問に入ります前に、去る四月十三日、本
会議で
趣旨説明、
質疑の行われた高速自動車国道法及び道路整備事業に係る国の財政上の特別
措置に関する法律の一部を
改正する
法律案の取り扱いについてお伺いいたします。
この
法案は、既に国土交通
委員会に付託されているにもかかわらず、一カ月以上たった今も全く
審議が行われておりません。
政府・
与党からは一向に
審議促進の要請もなく、いわばたなざらし状態であります。
この
法案に関しては、
政府・
与党間できちんとした意見調整も行われないままに
国会に
提出されたと考えざるを得ませんが、今後、この
法案の取り扱いをどうするつもりなのか、
政府としては撤回も含めて
対応するのか、前原
大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。
それでは、
航空法について一問だけお伺いさせていただきます。
本
法案は、二〇〇六年ICAO
改正の実施に伴い、欧州、アジアでは既に新たな
制度が導入されており、全体の方向性、
趣旨は理解する一方、本
改正により、副操縦士養成の訓練期間が短縮されますが、
実態として安全性の確保、向上につながるものか、十分に
審議する必要性もあります。
航空機事故は、全体の六割以上が操縦士に起因しております。今回の法
改正により、訓練期間が短縮されますが、どのように安全性が向上するのか、また航空会社の経営にどのような効果をもたらすのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
さて、五月三日、輸送実績で世界第四位のユナイテッド航空と第六位のコンチネンタル航空が年内の合併を発表し、世界最大の航空会社誕生が報じられました。その背景には、格安航空会社の台頭等により、世界じゅうの航空会社が熾烈な競争を繰り広げている
実態があります。既に、メガキャリアも、合併やアライアンスの拡大強化によりコストを削減しなければ生き残れない時代に突入しており、
日本の航空産業も厳しい競争環境のもとに置かれております。
先日の国土交通省の成長戦略
会議の発表によれば、徹底的なオープンスカイの推進とありますが、本邦航空会社が世界で戦える競争環境を整備せずにオープンスカイを進めれば、コスト競争力の高いアジアの航空会社に需要が奪われ、
日本の航空産業は淘汰されてしまいます。
民主党政権の発足後は、羽田のハブ化、オープンスカイ推進といったかけ声は聞こえてきますが、その具体的な戦略、道筋は見えず、ともすれば、ハブ化とオープンスカイが、
手段ではなく、目的になっていることを危惧するものであります。
政府は、将来の航空産業のビジョンをどう描き、空港及び航空産業の競争力をどのように高めるのか、その道筋を示す必要があります。前原
大臣は、どのようにオープンスカイを進め、アライアンスと格安航空会社間で激化する国際競争の中、どのように競争環境を整備していこうとされているのか、明確にお答えいただきたいと思います。
ところで、
民主党政権発足後八カ月が経過し、
日本航空の再建問題では、多額の公的資金投入と借金棒引きがなされようとしていますが、今なお更生計画が定まっておりません。
そもそも、
日本航空の再建について本来
政府が果たす役割は、
日本航空のネットワーク全体を残すことではなく、離島路線や地方路線等の
国民の生活に大きく影響する路線を維持させることです。
日本航空が有する国際線の大部分は、他社が競合している路線であり、
日本航空の路線が大幅に縮小されても、競争原理は働き、代替
手段もあります。公的資金を最小化し、確実に再建させるため、税金投入が必要な路線を具体的に検証し、
国会、
国民に示すべきです。
しかしながら、
民主党政権は、
日本航空のネットワーク全体を残すのか、
国民生活に欠かせない国内路線を残すのか、
政府がどこまで関与するのか、十分な分析も
議論もしないまま、
国民のコンセンサスを得ずに進めたために、いまだ計画も決まらない迷走を続けており、この問題は極めて深刻だと考えます。
日本航空は、一月に経営破綻しましたが、現在の計画では、七千三百億円の債権カット、六千億円のつなぎ融資、三千億円の資本投入、合計で一兆六千三百億円という多額の公的資金の投入、かつ金融機関の借金肩がわりという事態を引き起こしています。そして、今なお、国内、国際合計二百路線以上のほとんどがリストラされないまま、毎日赤字を垂れ流しているんです。
一部には、国内に余計な空港をたくさんつくって、不採算路線を押しつけたことで
日本航空の経営が厳しくなったと言われております。しかし、実際には、一九九一年から十幾つの地方空港が開港していますが、
日本航空が就航しているのは、但馬空港ただ一つであります。不採算路線の中心は、収入の変動が大きい国際線が多く、アライアンスの波に乗りおくれた
日本航空の経営の
判断のおくれが破綻の主要因なのです。
その見方を誤れば、窮境原因の本質である甘えの体質、親方日の丸の体質は決して変わらず、確実な再建はできません。経営破綻の真の原因を放置したまま、路線削減等のリストラを中途半端にして更生計画を策定すれば、近い将来、
国民の税金が無駄になると申し上げておきます。
航空行政全般及び
日本航空の再建にかかわる諸問題について、その火元
責任が
自民党政権時代にもあることは否定しません。しかし、今なお更生計画が固まらない現政権の
責任は極めて大きく、更生計画
提出が八月に延期され、行政の管理、
指導が機能していないと思われます。更生計画の策定が延びた原因及び行政
責任につき、菅
大臣並びに前原
大臣からの明確な答弁をお願いします。
そもそも、
政府が民間企業の経営に介入する場合は、出口戦略を
政府が明示するべきです。前原
大臣は、四月二十一日の国土交通
委員会の集中
審議で、業界全体の大きな方向性の中で、市場の公平な競争が担保されるように、航空会社間で首を絞め合うようなことがないように、そして
日本航空の二次破綻がないように路線の見直し、これらにしっかり関与したいと述べています。集中
審議から一カ月以上が経過し、前原
大臣は、国土交通行政の
責任者として、この答弁に即した出口戦略、
日本航空の事業規模をどう考えているのか、具体的に御答弁いただきたいと思います。
同時に、四月二十一日の集中
審議で峰崎財務副
大臣は、一月に入って機構の支援決定前に、おおよその出口戦略を持っておかないと、政策投資銀行のお金をどんな形で融資するにせよ、これは
国民の税金であるため、
責任を持って融資できる
状況にする必要があるという観点から、さまざまな意見を私
自身は提起したと答弁されました。また、一月十九日以降、本来ならば、もう少し深掘りした成長戦略、どうしたら生き残れるのかについて、方向性は出しておくべきだったと答弁されています。
国民の税金を預かる財務省として、現在、どのような方向性を出して、どう関与しているのか、また峰崎副
大臣と同様の認識で相違ないのか、菅
大臣に明確な答弁をお願いします。
現在、
日本航空の日々の運航は企業再生支援機構と政策投資銀行の二者によるつなぎ融資で継続され、また、九月末までにはメガバンクへの借りかえ、リファイナンスが必要であります。
前原
大臣は、四月二十一日に、民間の金融機関によるリファイナンスが確実に行われるような更生計画をしっかり立てていただくと
発言されました。これは、メガバンクが
政府保証なしにリファイナンスに応じなければ確実な更生計画とは言えないという
趣旨の
発言であります。あわせて、峰崎副
大臣は、
日本航空の確実な再建のために、民間銀行もリファイナンスに応じるような抜本的な更生計画の策定が必要不可欠と
判断していると答弁されています。
もしメガバンクがリファイナンスに応じなかった場合、政策投資銀行が言ってみれば肩がわりするあるいは
政府保証をつけるというようなことは、私はあり得ないと考えておりますが、菅
大臣も、峰崎副
大臣と同様に、九月末のリファイナンスで
政府保証のように肩がわりするようなことは一切なく、退路を断って、再建が確実な更生計画を策定するという見解に相違ないか、簡潔な御答弁をお願いします。
また、航空産業全体を発展させるために、市場の公平公正な競争環境確保も極めて大きな行政の役割であると考えます。
既に、二月に、前原
大臣の
発言や国交省の文書でも、公的資金をバックにした運賃の割引は競争環境をゆがめるとの通達が出されていますが、その対象となるバースデー割引やマイレージのキャンペーンは一つも取り下げられることなく今日に至っております。
前原
大臣は、さきの集中
審議で、
公平性が失われることがあってはならない、やはり何らかの
措置を考えないといけない問題だと答弁され、公平公正な競争環境の確保について、その重要性と問題意識があることを明確に答弁されています。以来、一カ月以上が経過しましたが、報道では、羽田の国際線発着枠を十月から
日本航空に二便付与するなど、リストラもせずに、新規路線、事業拡大を認める一貫性のない
対応が続いています。
いかなる業種も産業も、経営破綻した企業は、まずはリストラに専念し、黒字を確保することが経営の最優先課題であります。
多額の公的資金がつぎ込まれている中で、行政の側で具体的な対策が実行されなければ、市場はゆがめられてしまいます。公的資金を使った再建期間中の新規路線開設等、事業拡大の禁止、
株主優待券のさらなる発行やマイレージのキャンペーンを含め、公的資金をバックにした割引施策への制限、そして公的資金の最小化によるリスク回避と確実な再建のためにも、代替便のある国際事業の大幅な縮小と、新機材投資の抑制も踏まえた三千億の出資の減額、こういう具体的な政策を実行し、
政府が産業全体を健全に発展させる環境を整備すべきと考えます。
前原
大臣が
発言した、
公平性が失われない何らかの
措置とは、いつまでに何を実行されるのか、明確かつ具体的にお答えください。
最後になりますが、
日本航空の再建にかかわる問題は、昨年秋から、新聞、雑誌、テレビで多くの情報が流れているにもかかわらず、
国会には必要な情報開示が全くなされないまま現状に至っており、
国会軽視と言わざるを得ません。
これまで、一月十九日に発表された再生計画詳細の情報開示や、企業再生支援機構、
日本航空の
参考人招致を幾度となく申し入れたにもかかわらず、全く
対応されていない現状は、極めて遺憾であります。透明性、衡平性を重視すると言ったにもかかわらず、これまでの
民主党の
対応は不誠実かつ無
責任きわまりないものであり、
民主党の
議員の中にも、この問題に関してはおかしいと思っておられる方も必ずいるはずです。
公的資金の使途を明らかにする情報の透明性や
国会審議の充実は、
民主主義の原点です。一連の不誠実な
対応につき、強く改善を求めるとともに、この件に関して前原
大臣の見解をお伺いして、私からの
質問を終わります。(
拍手)
〔国務
大臣前原誠司君
登壇〕