○石田真敏君
自由民主党の石田真敏でございます。
私は、
自由民主党・
無所属の会を代表して、ただいま
議題となりました
地域主権改革関連二法案及び
地方自治法改正案について
質問をいたします。(
拍手)
質問に先立ちまして、このたび
家畜伝染病の
口蹄疫によって大きな被害を受けられた
皆様方に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
赤松農林水産大臣が、
宮崎県で
口蹄疫の
感染が
確認されていたにもかかわらず、先月末から九日間も外遊されたことについて、強い怒りを禁じ得ません。このことで初動がおくれたことは明らかであり、余りにもひどい危機管理意識の欠如、責任感の欠如であります。
私が市長時代に言われたことは、災害が起きたときには、まず第一に役所に行く、そして
対策本部を立ち上げる、そして
現場に出て
状況を把握するということでございます。決して、国の
対策責任者たる
大臣が長期外遊を強行するなどということは、考えられないことであります。決して容認することはできません。強く抗議をいたします。
また、本日の総務委員会での近藤昭一
委員長の
採決強行という暴挙に、強い怒りを禁じ得ません。修正協議の一方的打ち切り、与党による突然の修正案提出、与党修正案への
質問権剥奪、
質疑打ち切り動議の強引な
可決、本日の委員会運営は、だれが見ても数の力に頼った異常なものであります。
さらに、その上、地域主権三法の
趣旨説明、
質疑をこの時間に行うとは、与党の暴力的議会運営もここにきわまれりであります。
与党の猛省を切に願うとともに、総務
委員長近藤昭一君と
民主党筆頭理事福田昭夫君の自発的な辞任を強く求め、
質疑に入ります。
鳩山政権は、八ツ場ダム問題や普天間飛行場移設問題で地域住民を振り回し、子ども手当の拙速な
実施によって
地方自治体に過重な負担を押しつけてきました。そして、このたびの
口蹄疫への
対応によって、改革の一丁目一番地とされる地域主権は今や地に落ちました。
さらに、このたびの法案では、地域主権という言葉を定義づけることができず、ようやく
地域主権改革という言葉で定義づけています。地域主権という言葉が根本的な問題をはらんでいることの証左であります。
原口
大臣は、著書で、
地方分権と地域主権とは違うと述べておられますが、その著書での対談相手である神野直彦氏は、
地方分権という言葉を使われ、別のところでは、地域主権について、概念のあいまいな言葉は使うべきではないと言われております。
原口
大臣、
大臣が、定義もできず、概念もあいまいとされる言葉を多用されることは、無用の混乱や誤解を招くと懸念いたしますが、御所見をお伺いいたします。
同時に、鳩山政権において住民や市民という言葉が地域主権とともに多用されていることは、紛れもない事実であります。また、
地方政府基本法の制定が検討され、なれ親しんだ
都道府県や市町村あるいは
地方自治体ではなく、
地方政府という言葉が使われております。
国民ではなく、市民や住民というあいまいな表現と、地域主権や納税者主権、さらに
地方政府という鳩山政権の独特の言い回しが結びついたとき、国家主権の否定につながるのではないかと懸念されます。
先ごろ新聞に
掲載された拓殖大学の渡辺利夫学長の文章の一節では、次のように述べられています。現政権の、
民主党政権です、現政権の
政治家たちが抱く国家像は不鮮明のようでいて、多少とも遠目からこれを眺めれば、ポストモダニズムという危うい思想を現実化するための幾つかの提言から成り立っていることがわかる、
日本の近現代史においてまれなる国家解体の思想である、このように述べておられます。
そこで、お伺いいたします。
政府として、地域主権と法に定められた
国民主権、国家主権とについてどのように
認識されているのか、また、市民と
国民をどう定義され、どのように使い分けられているのか、お伺いをいたします。
さらに、原口
大臣、
大臣は、
平成十一年七月二十二日に衆議院本
会議で
採決された
内閣提出の国旗及び国歌に関する
法律案に反対されました。
大臣が所属していた
民主党は法案への党議拘束を外していました。そして、現在の
鳩山総理、平野
官房長官、さらに小沢幹事長らは
賛成されましたが、菅副総理、前原
大臣らとともに、原口
大臣は反対されました。いかなる
理由で法案に反対されたのか、お伺いをいたします。
次に、原口
大臣は、著書で、私はできる限り
内閣などに国という言葉は使いたくない、また、国という言葉には最初から抑圧がかかっています、中央
政府に対しては物を言うなという抑圧ですと述べられています。一体これらはどういう意味なのか、原口
大臣にお伺いをいたします。
さて、
内閣府設置法の一部改正により設置される地域主権戦略
会議についてお伺いいたします。
現在、既に閣議決定に基づいて
内閣府に地域主権戦略
会議が置かれ、六月の地域主権戦略大綱の策定に向け、検討を行っていると言われる中で、なぜこの時期に法定化が必要なのか、またこのことによってどう変わるのか、お伺いをいたします。
また、六月は目前であります。昨日、地域主権戦略大綱の骨子案試案が発表されましたが、主要な課題の具体的な内容については何ら触れられておりません。国の出先機関の廃止について、一括交付金化について、市町村への権限移譲について、そして義務づけについて、現
時点での議論の方向と
状況についてお伺いいたします。
また、最も大事なことは、国と
地方の役割、すなわち国の形をどうするかであります。
このたびの
口蹄疫問題を見ても、あるいは大災害のときを
思い起こしても、国と
地方がお互い
協力し合いながら、大きな課題を乗り越えていく方策を十分に講じておかなければなりません。どの部分を国が担い、どの部分を
地方が担うのか、そのためにはどのような制度がいいのかが重要であります。
そこで、お伺いいたします。
国、
都道府県あるいは広域自治体、そして基礎自治体のあり方、役割分担についてどのような議論がなされているのか、
政府としてどのように考えられているのか、お伺いをいたします。
次に、現在設置されている戦略
会議の
地方団体
関係の構成員が、知事と政令市長あるいはその経験者、すなわち大都市に偏っている上に、
地方団体の代表としての位置づけでもないことに懸念を抱きます。
またメンバーも、まさしく原口
大臣が総務省顧問に落選中の議員を任命するなど恣意的な人選を行ったように、原口
大臣好みの恣意的な人選と言わざるを得ません。
法定化された場合の地域主権戦略
会議の有識者議員は、幅広く
地方の声を代弁できる議員とすべきであります。
政府の御所見をお伺いいたします。
原口
大臣の恣意的な人事は、これだけにとどまりません。
ことしの一月に総務省に設置された、総務
大臣みずからが
議長を務める
地方行財政
検討会議のメンバーは、これまた原口
大臣好みの有識者が多数含まれる恣意的な人選であります。この
会議では、
地方自治法の抜本的な見直しについて議論されていますが、地域主権戦略
会議同様、必ずしも
地方側を代表する選任になっていないことはまことに遺憾であります。
今後、国と
地方の対立の火種ともなりかねないだけに、再考を促したいと
思いますが、
大臣の御所見をお伺いいたします。
また、
地方政府基本法の制定を初め、
地方自治法の大幅な改正を予定しているにもかかわらず、通常とは異なり、
内閣総理大臣の諮問機関である
地方制度
調査会を設置せず、総務
大臣のもとにこの
地方行財政
検討会議を設置し、なおかつ恣意的な人選のもとで検討を行おうとしていることは、極めて不自然と言わざるを得ません。
なぜ重大な議論をこのような形で進めようとされるのか、
地方制度
調査会はどうされるのか、原口
大臣、そして平野
官房長官にお伺いをいたします。
次に、国と
地方の協議の場について
お尋ねいたします。
まず、国と
地方の協議の場では、
地方六団体の代表者が構成員となりますが、
内閣総理大臣は構成員に入っておりません。地域主権戦略
会議では
総理大臣が
議長を務めることとなっており、国と
地方の協議の場の
議長も
総理大臣にしてほしいと
地方側は強く要望してきました。しかし、
政府は、参議院の審議において、国と
地方の協議の場はかなりの頻度で開催するので
総理大臣を
議長にすることはできないと
説明しています。
平野
官房長官、
地域主権改革を改革の一丁目一番地だという意気込みが総理に本当にあるのであれば、みずから
議長を務めて精力的に議論することが当然であると
思いますが、御所見をお伺いいたします。
また、協議の
対象となる事項が幅広く掲げられていますが、実際、さまざまな案件をどのように議論するのですか。セレモニーの場やガス抜きの場になってしまわないか懸念されますが、そうしないための手だてについてお伺いをいたします。
さて、以上、地域主権戦略
会議、
地方行財政
検討会議、そして国と
地方の協議の場についてお伺いしてきましたが、この三つの
会議は、
地方のあり方を検討する点で目的が共通しています。それぞれの位置づけや相互の
関係についてどのように整理されているのか、
政府にお伺いいたします。
最後に、
地方自治法の一部改正について
お尋ねいたします。
地方議会の議員定数の法定上限の撤廃は、第二十九次
地方制度
調査会の答申を踏まえたものでありますが、法定上限の撤廃により、指標が失われることになり、現在、多くの
地方議会で
実施されている定数抑制の取り組みが鈍化する懸念が生じることはないのか。
また、他方、河村たかし名古屋市長が、突然に議員定数を半減するといった極端な主張をして、議会と対立しているように、法定上限の撤廃は、
地方議会を否定しかねない極端な政策を助長することにならないかとの懸念も生じますが、これらについて原口
大臣の御所見をお伺いいたします。
さて、国の運営は、幅広く、深い議論をした上で運営すべきであって、決して少数の
政治家の
思い込みやひとりよがりの誤った
政治主導で運営するべきものではありません。法案化のための事前の慎重な
調査と検討、国会での慎重な審議が求められます。
しかし、残念ながら、本日の放送法の改正にしても、事前に十分な議論のないままに法案化され、十分な審議のないまま、本日、強行
採決されました。まことに遺憾であります。
また、郵政改革法案も、従来の経緯を踏まえることなく、多数の反対
意見にも耳を傾けることなく法案が提出され、あろうことか、与党からは、もう既に強行
採決を示唆する
発言がなされました。横暴のきわみであります。
すべてが余りにも拙速であり、
日本の将来に大きな禍根を残す可能性が高いと言わざるを得ません。
鳩山
内閣、
民主党政権の稚拙で強引な政権運営に大きな警鐘を鳴らし、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣原口一博君
登壇〕