○小野寺五典君
自由民主党の小野寺五典です。
私は、
自由民主党・改革クラブを代表し、ただいま
議題となりました
政府案、自民
党案、公明
党案について、
政府並びに
提出者に質問を行います。(
拍手)
まず、私は、外務
大臣政務官、副
大臣時代に、
COP10、
COP13の二回の会合に出席をし、実際に
国際交渉を行った経験があります。
国際交渉を肌身で感じた経験から、この問題は速やかな具体的行動を起こすべきだと強く認識しています。そして、その具体的行動とは、中身のないスローガンではなく、地に足のついた対策の積み重ねにほかならないと確信をしております。
先週、総理とオバマ大統領との十分間の会談の模様が、日米のマスコミ各社より
報道されました。申し上げるのも残念ですが、酷評であります。日米
関係が
強化されるどころか、信頼
関係の喪失を内外に示す結果となってしまいました。私は、
日本国民の一人として、まことに残念でなりません。なぜこのような結果になってしまったのか、総理は原因をおわかりでしょうか。
我々は、
鳩山外交の欠点とは、美辞麗句を口にして注目を集めるが、中身が伴っていないので、結局、国際
社会の信用を失ってしまうことであると認識をしております。総理は、
普天間を初め、同じような過ちを繰り返されております。この
地球温暖化対策の問題も同じ轍を踏んでいないでしょうか。我々は、この問題が第二の
普天間になることを本気で心配しております。
総理は、昨年九月の国連
気候変動首脳会合において、すべての
主要国による公平かつ実効性ある国際的な
枠組みの
構築と意欲的な
目標の
合意を
前提として、
温室効果ガスを一九九〇年比二五%
削減するとしました。なるほど、会場では、
拍手は起こりました。総理はそれを称賛の
拍手と認識されたようですが、実は嘲笑、あざけ笑いの
拍手であったことも御存じではないんだと
思います。多くの国は、これはそれぞれの国から聞いております、自分の首を自分で絞めてしまった
日本の
総理大臣のスピーチに、嘲笑の意味を込めて
拍手をしたんです。
それでは、質問に入ります。
政府案では、
温室効果ガス二五%
削減目標は、
前提条件が成就したと認められる日以後の政令で定める日から施行されるとなっております。すべての
主要国というからには、中国、米国、ロシア、インドを含むことは当然であります。これらを含む
主要国が意欲的な
目標の
合意をすることが必要ですが、
政府のこれまでの答弁では、現在の米国、中国の
目標を十分とは評価しておりません。
まず、総理にお伺いします。
前提となる
主要国の範囲と意欲的な
目標の
合意とはどのような基準で判断をするのか、明確にお答えをください。
しかも、そもそも
前提条件つきの
法律などあり得るのでしょうか。先般、我が党の議員が質問主意書で
政府に確認したところ、
前提条件つきの
法律など例がないと、
政府の答弁でした。
法案では、中国、米国、ロシア、インドといった
主要国が意欲的な
目標に
合意しない、つまり、
主要国が何もしない場合、
日本も何もしなくていいことになります。結局、この
法案は見せかけだけの上げ底
法案ではないですか。総理、多くの
国民が納得するような答弁をお聞かせください。
同じ
中期目標二五%
削減でも、公明
党案は、
前提条件がないかわり、国際的動向、
科学的知見等を見て
中長期目標を見直しできるなど、より柔軟です。この条項を設けた意義を
提出者にお伺いしたいと
思います。
次に、
中期目標二五%のうち、
我が国が
国内で省エネなどの
努力を積み重ねて
削減する値、いわゆる真水の
削減分についてお伺いします。
二五%
削減目標のうちの真水の割合については、
国民生活や
国内経済に直結する問題でもあります。本来ならば、イの一番に
国民的
合意を得る必要があります。自公
政権では、当時の
麻生総理が、
国民各層の意見を聞き、複数のメニューを示し、
国民負担などを明らかにした上で
削減目標を公表しました。
国内削減分の割合が明確でない限り、具体的な
国内対策を積み上げることは困難です。二五%のうち、真水の
国内削減分と
海外の
排出枠購入分との割合についてお示しいただきたい。
一方、自民
党案では、
国際交渉に左右されることなく、真水の
目標、二〇〇五年比一五%
削減を
責任を持って取り組むと明記しておりますが、改めて、真水の
国内削減分を一五%としたことの意義について、
提出者の
説明を求めます。
次に、二五%
削減が
国民生活に与える
影響についてお伺いします。
小沢環境大臣試案は、
国内経済や
雇用に
プラスになる
モデルだけを
二つも紹介し、悪
影響が出るという
分析結果は
一つも紹介をしておりません。非常に恣意的です。二五%
削減が
国民生活や
企業の
経済活動、
雇用などにどのような
影響を与えるか、十分な
分析、検証は不可欠であるのに、このような
試案しか持たず、
法案を
提出された感覚が、私にははかりかねます。
鳩山総理にお伺いします。
なぜ、このような重要な試算、
見解が
環境大臣案という形なんでしょうか。なぜ、
経済産業大臣や
厚生労働大臣などとも
合意した、
政府としての
説明を出されないのでしょうか。
国民生活や
雇用、
産業競争力に及ぼす
影響について、
政府の統一
見解がないまま
国会で
審議をしろといっても、
審議のしようがありません。
雇用は大丈夫ですか、
産業競争力はどうなりますか、総理、明確にお答えください。
また、
企業が生産拠点を
海外に移すようになると、
国内の生産
活動は縮小し、
雇用にも甚大な
影響を及ぼすことになることは明白です。この
試案には、この
影響について考慮されていませんが、これはわざとでしょうか。
分析して盛り込まなかったのか、そもそも
分析しなかったのか、総理、お答えください。
さらに、この
試案のように、
CO2
排出を
削減すれば
雇用も
GDPも
プラスになるという都合のいい
モデルは、
世界のどこにもないように思われるのですが、どこか私の知らない国の
モデルであるのでしょうか。ほかにも例があるのであれば、どの国の
モデルなのか、総理、教えてください。
次に、双方の
法案にある具体的
施策についてお伺いします。
まず、自民
党案の低
炭素社会づくり特別行動期間について伺います。
自民
党案では、
社会変革への取り組みを加速させるため、
法律の施行後十年間を低
炭素社会づくり特別行動期間と位置づけ、広範な分野に集中的に対策を講じていくこととしておりますが、あえて十年という期間を区切ったねらいについて、
提出者に
説明を願います。
また、
政府案では、
法案提出の最終段階になって、
国内排出量取引制度の肝でもあります
温室効果ガス排出量の限度を定める方式について、総量規制でありますキャップ・アンド・トレードを
基本としつつ、効率を考慮する原単位方式についても
検討を行うと併記しました。
これは、
民主党のマニフェストとも、
小沢大臣所信とも違う形になっています。まだ
環境大臣と
経済産業大臣の考えがばらばらなため、このような併論となっていったのでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
次に、原子力に係る
施策についてお伺いします。
自民
党案では、原子力発電は、発電の過程で
CO2を
排出しないことから、安全確保を
前提に、原子力発電施設の設備の利用率の向上、新設、増設の
促進、核燃料サイクルの確立、高速増殖炉サイクルの早期実用化を目指すことなどを
法案に明記し、原子力発電の推進を明確に打ち出しております。
それに対して、
政府案では、
国民の理解と信頼を得て推進するものとするという玉虫色の表現にとどまっております。
私は、原子力
政策でも、
普天間のように、閣内や連立与党内がまとまらなくなる、このことを心配しています。
そこで、福島
大臣に確認します。
政府は、先般、我が党議員からの質問主意書に対し、核燃料サイクルを含む原子力の利用を着実に推進していくことが内閣の一致した方針であると答弁をしています。この答弁は、内閣として出されました。福島
大臣も同様の考えと存じますが、再度確認をさせてください。
また、私は、この温暖化対策を実行するに当たっては、
政府答弁のとおり、原子力の役割は不可欠と
思います。今後の原子力発電施設の増設、新設についての
見解についても、福島
大臣にお伺いしたいと思っております。
さて、これまでさまざま申しました。私は、この問題が
普天間にダブって仕方がありません。総理の発言から端を発し、
根拠も試算もない。
政府がその中身の穴埋めのために四苦八苦をしております。そして、閣内でも統一した
見解がつくれない。連立与党内でも、例えば原子力に対する根本的な考え方に大きな隔たりがある。このような状態で、本当に実効ある対策がとれるのでしょうか。スローガンだけで結局
実現できなかったら、
日本は
世界の物笑いになってしまいます。また
国民に恥をかかせることになります。
先ほどから、この問題を第二の
普天間と申しております。本当の
普天間問題も、今、非常に重要な局面にあります。総理も先週帰国されたばかりなので、この問題も手短にお伺いしたいと
思います。
まず、先週の訪米について、ワシントン・ポストのコラムにおいて、
鳩山総理は、最大の敗者、哀れでますますいかれたと評されましたが、なぜだと思われますか、お尋ねいたします。
次に、首脳会談で、オバマ大統領に五月末までに決着との方針を伝えられたそうですが、その
約束を守る
姿勢は今でも変わっておりませんか。
さらに、移設の現行案では、二〇一四年までに代替施設を完成し、
普天間飛行場が返還されることとなっていましたが、総理の腹案でも、二〇一四年の
普天間返還に変わりはないのですか。
十八日に徳之島で島民の半数以上が集まった移設反対の集会がありました。総理は、これを
一つの民意だと軽く流されました。
参加された
皆さんの
思いをどう受けとめますか、お答えください。そして、総理の腹案の中には、まだ徳之島移設案が入っているのですか、これもお答えください。
最後に、これはイエス、ノーでお答えください。総理が常々おっしゃる五月末の決着、連立与党三党の
合意、地元受け入れ同意、米国との
合意、この三点です。
これをすべて五月末に決着することが
実現しなかった場合、私は、総理は辞任すべきだと
思います。辞任されるおつもりがありますか、イエスかノーかで、はい、いいえでも結構です、お答えください。答えが不十分な場合は、再質問を行います。
以上、
普天間問題でも、我々は地道に
一つ一つの
合意形成に
努力を惜しみませんでした。この温暖化問題においても、見せかけだけの中身のない
政府案ではなく、我々の案である、
環境と
経済がともに両立する低
炭素社会づくりこそが真に
実現可能な対策であることを申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔内閣
総理大臣鳩山由紀夫君
登壇〕