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内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 棚橋議員にお答えをいたします。
まず、今
国会の
採決に関する御質問がございました。
国会は、理事会、
委員会、本
会議、それぞれ、理事、
委員長、また
議長の采配のもとに、各党各会派によって
運営されるものだと承知をしております。したがいまして、
政府として、その
運営に干渉し、あるいは口出しをすることは、控えるべきものだと考えております。
したがって、強行
採決に関するお尋ねがありましたが、
法案、議案の
審議、
採決につきましては、どうぞ
国会で御
議論、御決定いただきたいと存じております。
それから、改正
法案による
派遣労働者の
雇用及び待遇の影響についての御質問がまずありました。
労働者派遣法の改正によって直ちに労働力の需要がなくなるわけではないが、
労働者の
雇用への影響というものが生じないよう、改正
法案では、
政府が職業紹介などの充実その他必要な
措置を講ずるように努めるとしているわけでございます。
また、改正
法案では、
派遣労働者の賃金などの決定に当たって、同種の
業務に従事する派遣先の
労働者との均衡を考慮することとしておりまして、待遇の改善が図れるものだ、そのように私どもは認識をしております。
子ども手当に関してお尋ねがございました。
この
財源についてということでございますが、
平成二十三年度以降の子ども手当の
財源については、予算編成過程において改めて検討していくことにしておるわけでありまして、基本的には、私どもは、
マニフェストどおりに
実施をしたい、そのように考えておりまして、その
財源の
確保のためには、より一層の、今まで以上の歳出の削減あるいは予算の
見直しが徹底して行われなければならないということでございまして、
枝野大臣の指導のもとで、その方向で、今、徹底して取り組んでいるところでもございます。
子ども手当の不正受給などの防止についてのお尋ねがございました。
子ども手当法の施行に当たっては、地方
公共団体に適正な認定を期するようお
願いするとともに、特に外国人の子供さん方が海外に居住する場合については、支給要件の確認の厳格化を図るために、いわゆる監護ということでありますが、少なくとも年に二回以上は子供との面会が行われていることを確認するなどを
内容とする通知を発出しているところでございます。
さらに、国としては、地方
公共団体からの相談窓口を設けるとともに、不正などに関する情報を収集して提供するなどの取り組みを行うことにしております。
また、子ども手当がその趣旨にのっとって適切に使用されるよう、広報を努めるように考えているところでございます。
それから、登録型派遣の原則禁止に伴う、例えば中小零細企業の廃業、企業の海外移転あるいは
労働者の失業などへの懸念についてのお尋ねがございました。
登録型派遣が原則禁止されても、禁止の対象とならないいわゆる常時
雇用の
労働者を派遣元がふやし、
派遣労働者を受け入れる中小零細企業へのニーズにこたえることで、企業の
事業運営に支障を来すことにはならない、そのように私どもは考えております。
また、物づくりを支える製造
業務への
労働者派遣の禁止についても、派遣先による直接
雇用や、あるいは禁止の例外とされている派遣元における常時
雇用される
労働者への転換により、対応が可能だと考えております。
また、製造業においては、
雇用者が一千万人おられるわけでありますが、そのうちの規制の対象が約二十万人にとどまることで、製造
業務派遣の原則禁止のみをもって企業が生産拠点を例えば海外に移転するということにはならないと認識をしております。
今回の改正によって
労働者が職を失うというようなことが決してあってはならない、そのように考えております。このために、
雇用に与える影響の大きい、例えば登録型派遣やあるいは製造
業務派遣の原則禁止については、施行日を三年後に設定し、その間に常時
雇用型の派遣
事業や短期
雇用の職業紹介
事業の普及を図ろうということにしているところでございます。
それから、登録型派遣の禁止による
効果についてのお尋ねがございました。
御指摘の四十四万人ほどの方々のうち何人の方が正社員や常時
雇用の
派遣労働者になれるかは、その時々の景気あるいは
雇用情勢にもよるため、十分には、当然、正確な値としてはまだ出しているわけではありません。しかしながら、派遣先に存在する労働力需要がなくなるわけではありません。したがって、安定的な
雇用に移行されることが期待をされるわけでございます。
このため、
派遣労働者を直接
雇用する
事業主に対する助成
制度の活用などによって、
派遣労働者の安定
雇用に向けた環境整備に努める所存でございます。
それから、登録型派遣の原則禁止の施行時期についてのお尋ねがございました。
法改正によって
労働者が職を失うことがないように、改正
法案におきましては、登録型派遣の原則禁止の施行日は三年以内の政令で定める日に設定をし、その間に、先ほど申し上げましたように、常時
雇用型の派遣
事業やあるいは短期
雇用の職業紹介の普及を図ることとしているわけでございます。
また、
法案が成立をした後、実態調査を行った上で、労働政策
審議会で
審議をし、登録型派遣のうち、比較的問題が少なく
労働者のニーズもある
業務につきましては、さらに二年後までの政令で定める日までの間、禁止の適用を猶予することといたしているわけでございます。
それから、
日本経済と労働需給の
運営についての御質問がございました。
景気は着実に持ち直してきている、そのような認識ではございますが、しかしながら、まだまだ、自律性には乏しい、失業率が高水準にあることは、御案内のとおりでございます。基本的には、まだ厳しい状況から抜け出してはいないということでございます。
したがいまして、
政府は、こうした状況に対処するために、まずは緊急経済対策を打ったわけでありますが、
平成二十二年度予算に盛り込まれた諸施策を一体として切れ目なく
推進することによって、
雇用を下支えすると同時に、景気回復への道筋を確かなものにしてまいりたいと考えております。
中長期的に申し上げれば、新成長戦略というものをつくることになっておりまして、この
推進を通じて成長のフロンティアをさらに拡大する、例えばアジアにまで拡大をしていくというようなことで、新たな需要と
雇用を創造していくことにしております。
また、現在、新成長戦略の枠組みの中で
雇用・人材戦略を策定しているところでございまして、若者、女性、さらには高齢者の方々などの労働市場への参加や人材育成などの課題にも取り組んでまいりたいと考えております。
それから、GDPの成長率の積算根拠についてのお尋ねがございました。
新成長戦略の基本方針においては、環境や健康分野などにおいて我が国の強みを発揮するということが大事でありますが、すなわち、観光あるいはアジアとの連携
強化、こういったものを通じてフロンティアを開拓する、さらに、これらを支える基盤としての科学技術や人材の
強化を柱としているところでございます。
これによりまして、中長期的には、他の先進国と同程度の経済成長をすることが可能ではないか。すなわち、二〇二〇年までに平均で名目三%、実質で二%を上回る成長を達成することは十分可能な目標だと考えております。
この目標というのは、見通しというよりは、そのような目標に向けて政策を確実に実行していくという、私どもの
政権の、
政府の決意を表明したものであるということを御理解
願いたいと存じます。
デフレの脱却、物価上昇率の
実現についてのお尋ねがございました。
GDP名目三%、実質二%成長は、見通しというよりは、今申し上げましたように、そのような目標に向けての政策を確実に実行していくという決意を表明したものでございます。
そのためにも、
政府としては、二十二年度予算の円滑な執行と、新成長戦略、これを確実に
推進していくことが大変重要であると考えておりますし、さらに、当面の最重要課題でありますデフレの克服に向けては、早期のプラスの物価上昇率
実現に向けて、日銀と一体となって、できるだけ早い時期にそのような
実現に向けて取り組むこととしているわけでございます。
最後に、子ども手当、さらには派遣法関係の通知についてのお尋ねがありました。
御指摘の通知は、それぞれの法律を踏まえ、その運用に関して、
内閣の一員であります厚生労働
大臣の権限に基づいて、担当部局長などが責任を持って発出しているものでございます。
以上であります。(
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