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国務大臣(
仙谷由人君) 高木美智代議員から御質問をいただきました。九問あったと思います。
まずは、
早期退職勧奨についてのお尋ねでございます。
鳩山内閣におきましては、
天下り、わたりの
あっせんを
根絶することとしておりまして、
あっせんを伴う退職勧奨は、組織の改廃等に伴い離職せざるを得ない場合を除いて、既に禁止をしています。
天下りあっせんの
根絶とあわせて、
公務員が
天下りをせず定年まで勤務できる環境を
整備するなど、
公務員制度の抜本的
改革についても検討しているところでございます。
その際、職員の
やる気を生み出していくために、横異動により、
ポストをあけてもらって
人事を活性化していくことにも留意することが必要と考えております。
次に、定年まで働ける環境
整備と
国家公務員の総人件費二割削減についての御質問でございました。
鳩山内閣におきましては、
天下り、わたりの
あっせんを
根絶するとともに、あわせて、
公務員が
天下りをせずに定年まで勤務できる環境を
整備するなど、
公務員制度の抜本
改革についても検討しているところであります。
その際には、総人件費の抑制を念頭に置きつつ、その具体的なあり方を検討することといたしております。
また、
国家公務員の総人件費を二割削減という目標につきましては、地方分権推進に伴う地方移管、各種手当、退職金等の水準や定員の
見直し、労使交渉を通じた
給与改定など、さまざまな手法により、四年間かけて達成するよう努力することといたしております。
具体的な削減の方法及びスケジュールにつきましては、今後検討することといたしております。
次に、
天下り根絶における事前規制について、また、
天下り根絶のための実効性の担保についてお尋ねがございました。
今回の
国家公務員法改正
法案におきましては、
官民人材交流センターを
廃止して、同
センターが行ってきた一般的な離職者に対する再就職の援助は一切行わないことといたしておりまして、これによって、問題とされる退職
公務員の再就職の
あっせんをめぐる状況は大幅に変化することになります。
また、新たに設ける再
就職等監視・
適正化委員会におきましては、規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、
監視機能をも
強化することといたしております。
こうしたことから、問題のある再就職の
適正化を図るためには、まずは、現在施行されている
あっせん規制等の違反または脱法的な
行為を厳格に
監視し、規制の実効性を高めることが肝要であると考えております。
なお、再
就職あっせん規制違反
行為については、職員が職務上不正な
行為をすること等に関して営利企業等の地位につかせることを要求するなどの一定の
天下りあっせん行為については、既に
刑事罰が設けられております。
刑事罰の範囲の拡大については、罰則以外の手段をもって本当に対応することができないのか、問題となる
あっせんの抑制に真に不可欠で適切な
措置なのかといった点を、規制の運用状況も踏まえて十二分に検討して、慎重に対応する必要があるものと考えております。
続きまして、
民間人材登用・再
就職適正化センターの
設置についてのお尋ねがございました。
官民人材交流センターが、勧奨退職者を含めて広く一般の職員を再
就職あっせんの
対象としていたのに対しまして、
民間人材登用・再
就職適正化センターは、組織の改廃等により離職せざるを得ない職員に限定して再
就職あっせんを行うことといたしております。
このように、
民間人材登用・再
就職適正化センターが再
就職あっせんを行うのは、極めて例外的な、やむを得ない場合でございまして、今回の
法案により、
天下りあっせんの
根絶を図ることができると考えております。
続きまして、再
就職等監視・
適正化委員会を新設する
趣旨についてのお尋ねがございました。
同委員会は、同委員会が
承認した場合には、再
就職あっせん規制の例外として、現職職員のみならずOBの
あっせんが可能となるという、いわば
天下りあっせんの
根絶に逆行する権限が付与されていたことが大きな問題であったというふうに考えております。
民主党が、野党の時代に、そのような仕組みには到底賛成ができなかったということでございます。
一方で、再
就職等規制違反行為を
第三者機関が厳格に
監視すること自体は必要であると考えておりまして、十九年の
民主党法案で、
国家公務員倫理
審査会に規制違反
行為の
監視を行わせることとしていたのは、このような考え方に基づくものでございました。
現
内閣においては、
天下りあっせんは認めないことを方針としており、今回新設しようとしております再
就職等監視・
適正化委員会は、この方針のもと、
天下りあっせんを
承認する
機能は認めておりません。また、規制の遵守に関する指導助言の権限を付与する等、
監視機能の
強化も図っているものでありまして、規制の
監視等を行う
第三者機関として、適切なものであると考えております。
国家公務員倫理
審査会との関係でございますが、
国家公務員倫理
審査会は、一般的な倫理規程違反あるいは倫理法違反に係る懲戒処分をするというふうな
審査会であるというふうに考えておりまして、私どもが今、
天下り根絶という閣議決定をしておりますことから、これに反する
行為はもちろん
国家公務員倫理法にも反するとも考えられますけれども、特段に再
就職あっせん等違反に係る事項について取り扱うこととしたのが今度の再
就職等監視委員会、こういうふうに考えていただければよかろうかと考えております。
続きまして、退職
公務員による再
就職あっせん行為の規制についてのお尋ねでございました。
府省庁による
あっせんの有無にかかわらず、特定の民間企業、団体等との癒着や
行政の無駄などの原因となるような職員の再就職につきましては、
国民の厳しい批判があるというふうに考えておりまして、
政府としても、そのような再就職は問題であると考えております。
また、
府省庁による
あっせんの事実は確認されていないものの、事実上の
天下りあっせん慣行があるのではないかとの疑念を抱かせるような退職した
公務員の再就職についても、厳格な
監視を行い、
国民の疑念を払拭する必要があると考えております。
今回の
法案では、退職
公務員の再
就職あっせんを一律に禁止する
措置はとっておりませんが、
官民人材交流センターを
廃止し、一般的な離職者に対する再就職の援助は行わないこととすることで、
公務員の再就職に関する状況が大きく変化をします。規制違反
行為に対して、懲戒処分等の
措置を
任命権者に勧告する権限に加えて、規制の遵守に関する指導助言の権限を新たに再
就職等監視・
適正化委員会に付与することで、脱法的
行為についても強力に是正を進めることとしております。
また、規制以外の面におきましても、
国家公務員出身者が役員または職員等に在籍する公益法人について、昨年の十二月二十五日の閣議決定に基づいて、
国民的な視点から徹底的に
見直し、独立
行政法人については、昨年の九月二十九日の閣議決定に基づいて、
公務員OBが役員に就任していた
ポストにつきましては、
公募によって後任者の選考を行うこととしましたほか、「独立
行政法人の抜本的な
見直しについて」という昨年十二月二十五日の閣議決定に基づいて、
国民的視点から抜本的な
見直しを行うこととしております。
御承知のように、枝野
行政刷新大臣の所管としまして、この四月から独立
行政法人あるいは
政府関連公益法人の
事業仕分けを行うことも御承知のとおりでございます。このような
措置をあわせて講ずることで、退職
公務員が関与する再就職についても、より一層の
適正化を図ることといたしております。
幹部職員人事の公正中立性
確保の観点からの
適格性審査の基準等についてのお尋ねがございました。
今回の
法案におきましては、
幹部職員人事の
一元管理の仕組みを法定し、
内閣総理大臣、
内閣官房長官及び
任命権者が
幹部職員の
人事について
責任を負う
体制を
確立するとともに、適正に
人事が行われるように配慮しているところでございます。
お尋ねの
適格性審査は、
幹部職に係る標準職務遂行
能力の有無を
審査するものでございまして、その進め方については、民間有識者等から意見を伺うなど、
審査が、客観的で、かつ公正に行われることが必要不可欠だと考えております。また、
幹部候補者名簿につきましては、例えば、
適格性審査に合格した者の氏名や現在の職名等を記載することを想定いたしております。
個々の
官職への
任用に当たりましては、
幹部候補者名簿に記載されている者の中から、任命しようとする
幹部職についての適性を判断して行うこととされておりまして、この適性の判断につきましては、個々の
官職ごとの専門的な知識、技術、経験等の有無を考慮して行われる必要があると考えております。
さらに、任免
協議により、
社会経済の変化に対応し、複雑多様化する
行政課題に迅速かつ果断に取り組み、省益を超えた
国民本位の
行政を
実現するために、適材適所の
人材配置を柔軟に行ってまいります。
本
法案によりまして公正中立な
人事を担保できるのかという御質問がございました。
今回の
法案におきましては、
内閣官房長官が、
幹部職に係る標準職務遂行
能力の有無を
適格性審査において判定し、
審査の合格者について
幹部候補者名簿を作成すること、
任命権者は、
幹部候補者名簿に記載されている者の中から、
人事評価等に基づき、任命しようとする
幹部職についての適性を判断して
任用を行うこと、
幹部職員の任免を行う場合、
内閣総理大臣及び
内閣官房長官と
任命権者により
協議を行うことなどの仕組みを導入することにより、適正に
人事が行われるように配慮しております。
また、具体的な
人事につきましては、
官職についての適性があると判断されることを前提としつつ、重要
課題への対応の必要性、職員全体の士気の維持向上、さらには、組織運営への影響などについても十分考慮の上行われるものであると考えております。
それから、
事務次官級から
部長級へ転任となる場合の運用等についてのお尋ねがありました。
今回の
法案におきましては、適材適所の
人事を柔軟に行えるようにするため、
事務次官級、
局長級、
部長級の
官職は同一の職制上の段階に属するとみなすこととしており、これらの
官職の間の異動を転任としているところでございます。
御指摘のような転任の場合、
給与の減額を伴うこととなりますが、
一般職の職員の
給与に関する法律第六条の二の
規定に基づき、転任後の
官職に応じて定められる号俸に
給与が決定される、その結果でございまして、
基本的に、
国家公務員法第八十九条の「いちじるしく不利益な処分」には該当しないものと考えております。
なお、
国家公務員法におきましては、その意に反して著しく不利益な処分を受けた職員は、
独立性の高い
第三者機関である
人事院に対し不服申し立てをすることができるものと
規定されておることは、御承知のとおりであります。したがいまして、今、高木議員が問題視されておりますような、異動が著しく合理性を欠くものである場合には、不服申し立ての
対象となることはあり得るという理解をしております。
また、今回の
法案に基づく
任用制度の運用のあり方につきましては、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
以上でございます。(
拍手)
〔柴山昌彦君
登壇〕