○大村秀章君
自由民主党の大村秀章であります。
私は、
自由民主党・
改革クラブを代表して、ただいま提案されました
国民健康保険法等の一部改正法案につきまして、順次質問をさせていただきます。(
拍手)
その前に、この国会で大変大きな問題となっている
政治と金の問題について触れざるを得ません。
これまで、
石川知裕議員を含む小沢
民主党幹事長の
秘書三人、そして
鳩山総理の
秘書二人が起訴され、さらに、
小林千代美議員に至っては、自身の選対
委員長代行の元連合札幌地区会長が公職
選挙法違反事件で一審では既に有罪判決を受けております。
そして、このたび、
北海道教職員組合、北教組から違法な
選挙資金を受けたとされる事件で、北教組
委員長代理と自治労北海道
財政局長が
政治資金規正法違反で起訴され、団体としての北教組も起訴されました。
小林
議員自身も、札幌地検の事情聴取を受けました。立件は見送られたものの、一連の事件で多くの逮捕者を出し、起訴されたことの
政治的道義的
責任は極めて重いと考えます。にもかかわらず、小林
議員は、みずからの進退について、離党や辞職は考えていない、職責を全うしていくと明言をしております。
政治の信頼、
政治の道義、倫理の確立という点で、
責任感はおろか問題意識すら全く持っていないのではありませんか。
これまで
民主党は、
鳩山総理、
小沢幹事長の件について、本人及び関係者の
証人喚問、
参考人招致にふたをし、
石川議員の辞職勧告決議案をも握りつぶしてきました。今回、小林
議員のこうした開き直りとも言える対応について、どのように対処されるのか。
議員辞職勧告決議案を我々が出しても、また握りつぶすのか。そんなことで
国民の信頼が得られるのか。
政治不信がさらに進んでしまうのではないか。国会に身を置く者として、残念無念であります。
その思いを持って、
民主党が民意に反して
政治道義、倫理の確立に背を向け続けていることを、これからも厳しく追及していくことを
国民の皆様にお誓いを申し上げ、質問に入ります。
まず、肝炎対策についてお聞きをいたします。
私は、これまで、この肝炎対策について多くの同僚
議員の皆様とともに全力で取り組み、二年前には、薬害肝炎の全員一律救済法を
全会一致で成立させることができました。また、昨年十一月、肝炎対策基本法も二年越しに成立をいたしました。多くの関係者の皆様の御尽力に心から厚く感謝を申し上げます。
こうした中で、今般、全国で行われているB型肝炎訴訟において、去る三月十二日、札幌地裁で和解勧告が出され、原告団は、国が早く和解に応じてほしいと訴えています。
民主党の多くの関係
議員は、野党時代、B型肝炎訴訟の早期
解決を訴えておられました。
民主党の肝炎対策本部も、菅直人本部長の談話として、一連の訴訟判決を受けて、B型、C型すべての救済対策に取り組むことを表明しております。
また、
鳩山総理は、命を守りたいと何度も国会で述べています。そうしたお考えに変わりはありませんか。
鳩山内閣の関係閣僚に、順次お聞きをいたします。五月十四日の期日までに、どのように対処する方針ですか。
長妻厚生労働大臣、菅財務大臣、千葉法務大臣、そして、この問題の窓口、取りまとめ役となられた仙谷国家戦略担当大臣、明確にお答えをいただきたいと存じます。
さて、日本が、戦後、世界一の長寿国となり、WHOからも世界一の保健
医療水準と評価されることとなった大きな要因は、
医療提供体制の
整備と
医療現場、関係者の
皆さんの御努力とあわせて、何といっても、昭和三十六年、我々自民党政権のもとで達成された
国民皆保険であります。
国民だれもが、どこでも、いつでも
医療を受けられる体制を確立したことであります。
今アメリカが、苦労してこれにチャレンジをしております。五十年も前の高度成長のあのころに導入した先人に感謝しなければなりませんし、我々は、それをしっかり守るべく努力していかなければなりません。
民主党においても、
マニフェストでは、この皆保険を守るとしておりますが、果たして本当にそうなのか、検証をしていきたいと思います。
私は、先般の
予算委員会の審議を通じ、「
理念なき
民主党の
医療政策の迷走 七つの大罪」と題して、その無策ぶりを追及いたしました。
鳩山総理は命を守りたいと言われますが、実際に行われてきたことは、
国民の命をないがしろにするような
医療関係
予算のカット、カットであります。
平成二十一
年度の第一次補正
予算を、
医療関係で二千六百億円も執行停止し、また、
事業仕分けでは、医師確保、救急、周産期
医療対策の補助金を、
概算要求からほぼ半額の二百六十六億円もカットいたしました。その上、これらの財源は診療報酬引き上げに回すと言いながら、
平成二十二
年度の診療報酬改定の実態は、後発医薬品の削減分をそのままにしたマイナス改定でありました。
さらに、新型インフルエンザ対策では、一回、二回打ちで
医療現場に大混乱を生じさせたあげく、輸入ワクチンが大方余り、一千億円を超える税金の無駄遣いが生じようとしております。
このような
理念のない
医療政策の一体どこが命を守ることにつながるのか。命を守りたいというのは、鳩山氏個人の単なる願いであり、総理としての施政方針ではなかったと、謝罪すべきではありませんか。まずは厳しく指摘をした上で、具体的な質問に入ります。
さて、
与党三党の連立合意では、
医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保をうたい、
民主党の公約でも、総
医療費のGDP比をOECD平均まで引き上げるとしております。これには約四兆円の
医療費の
増加が必要です。しかし、その内訳、財源と工程表が全く不明であります。さきの
予算委員会でもこの点を厳しく指摘をいたしましたが、まともな回答がありませんでした。
鳩山総理は、これについて、努力はするが、四
年間で確約ができるとは限らないと答弁をしております。そんな無
責任なことでいいのでありましょうか。三党連立合意というのは、その程度のものなのでありましょうか。
医療費をふやすと言っておきながら、できるとは限らないと言う。無
責任ではありませんか。
改めて、
医療費をOECD平均にするのであれば、その内訳、中身、財源、工程表を示していただきたいと思います。
次に、
後期高齢者医療制度についてお聞きをいたします。
民主党マニフェスト、連立合意でも廃止と明確に掲げながら、実際に担当することとなったら、一から勉強します、これから勉強しますと言う。その間は、我々が講じた
負担軽減策をそのまま維持しつつ、ただ勉強すると言う。
マニフェストに掲げて
選挙をしたのではなかったのですか。
マニフェストに書いてあったことは
選挙目当ての言葉だけだったのでありましょうか。中身は全くなかったのですか。政権ができて六カ月以上もたっているのに、いまだに何の中身も方向も具体的に一切示されていないじゃありませんか。無
責任のきわみであり、明確な
マニフェスト違反であります。今、直ちにどうするかを示していただきたい。明確な答弁を求めます。
国民健康保険への
財政支援についてお聞きをいたします。
国民皆保険を守るポイントは、一番
財政基盤の弱い
国民健康保険。
市町村国保が崩れれば
国民皆保険も崩れます。国保の加入者は、
制度発足当初は、七割が自営業者や農林水産業者、しかし、今は、無職の人が五割を超えております。必然的に、
財政構造は脆弱。したがって、昭和五十八年の老人保健
制度を初め累次の
制度改正や
財政調整も、せんじ詰めれば、
国民皆保険を守るため、この国保を支えようとするものであります。それが、
現状は、大幅な
赤字で、
保険料収納率も最低になりました。
今こそ、
国民皆保険を守るために、追加的に国の財源を投入すべきであります。
しかしながら、今回の提案は、国の
予算は五百二十億円にとどまっております。
理念なき
医療政策のために削減された国の
予算、三千億円ものカットされた
予算はどこに行ったのでありますか。
子ども手当に回す何兆円ものお金があるのであれば、まず、こうした窮状にある
国民健康保険に
財政支援をしたらどうですか。
協会けんぽへの
財政支援についてもお聞きをいたします。
急激な
財政悪化で
中小企業の従業員等が加入する
協会けんぽの
保険料率は、過去最大の引き上げ、八・二%から九・三四%を余儀なくされるわけであります。その抑制を図るために
民主党政権が用意した新たな財源は、来
年度で六百十億円でしかありません。それで
協会けんぽの
保険料率は、
平成二十四
年度には一〇%を超えてしまう
状況であります。このように瞬く間に二割以上も
保険料負担がふえることに、不況にあえぐ
中小企業の従業員、
事業主の
方々は耐えられるのでありましょうか。
本気で
国民皆保険を守っていくならば、
協会けんぽに対しても追加的に国の財源を投入すべきではありませんか。お答えをいただきたいと思います。
次に、
保険料率の上限を一〇%から一二%に引き上げることについてお聞きをいたします。
協会けんぽが一〇%を超えそうだからというなら、むしろ、
財政支援して超えないようにすべきではありませんか。また、今平均七・四%の健保組合の料率の上限を一二%まで上げる必要があるんでありましょうか。それとも、その率まで健保組合の
負担を引き上げようと考えているのでありますか。上限を今回一二%に引き上げる
理由がわかりません。明確にお答えください。
健保組合等へのツケ回しについてお聞きをいたします。
今回、
後期高齢者支援金に総報酬割を導入することで、
国庫補助を削減し、その分の
負担を健保組合、共済組合に押しつけることになります。
この点について、いわゆる
被用者保険グループの中での合意は得られているのですか。合意なしで一方的に多くの勤労者に
負担を押しつけることになるんでありましょうか。将来の
医療保険制度の絵姿、ビジョンも示さずに、その場しのぎで取りやすいところから取るという発想では、関係者及び
国民の理解も得られず、今後の日本の
医療とこれを支える
医療保険の崩壊につながります。直ちに撤回すべきです。明確にお答えください。
我々は、この総報酬割の導入で健保組合等に一方的に
負担をツケ回しする案には断固
反対をし、
修正案を提出する決意であります。
なお、
民主党が目指す地域保険の一元化では健保組合は存在しなくなりますが、
民主党は、健保組合は不要だ、だからツケ回ししてもいいのだというお考えなのですか。健保組合をどう位置づけていくのか、お答えください。
我々は、健保組合は、日本の
医療体制、
国民皆保険を担う重要な柱であり、これからもその役割はますます重要と考えております。
連立政権の
政策合意、
民主党マニフェストでは
国民皆保険を守ると掲げておりますが、
鳩山内閣のもとで行われている
理念なき
医療政策、
マニフェスト違反だらけの厚生
労働行政を見ていると、到底信じることができません。
年金問題でも、二
年間集中的に取り組むとしながら、二年では全体の三割から四割しかできない。年金通帳をやると言って、やらない。
年金保険料を
事務費に充てないと言って、二千億円も充てる。歳入庁にすると言って、やらない。月七万円の最低保障年金も、当面何もやらない。
医療でも、
後期高齢者医療制度は
先送りをして、診療報酬を引き上げと言いながら、マイナスの引き下げ。
医療、年金という
国民の関心が高い分野で、
マニフェスト違反ばかりであります。
鳩山総理は
平成の脱税王で、
小沢幹事長は不動産王だとしたら、
長妻厚生労働大臣は
マニフェスト違反の王様、違反王。
民主党には王様ばかりなのであります。しかし、
国民にとっては、こうした王様はすべて願い下げであります。一刻も早くこうした王様がいなくなるように、しっかりとただしてまいります。
以上、
民主党政権では
医療も
国民皆保険も守ることができないことを厳しく指摘し、我々自民党は、
国民の皆様が安心できる社会をつくるべく、我々がつくった
国民皆保険を守り、
医療の
整備向上に引き続き全力で取り組んでいくことをお約束いたしまして、本
法律案に対する質問といたします。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣長妻昭君
登壇〕