○竹内譲君 公明党の竹内譲でございます。
私は、公明党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
平成二十二
年度における
財政運営のための
公債の
発行の
特例等に関する
法律案、
所得税法等の一部を改正する
法律案等の三
法案について、
鳩山総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。(
拍手)
質疑に入ります前に、本日の本
会議開催の決定について、一言申し上げます。
昨日の議院運営
委員会におきまして、野党が、二月四日に既に提出しております石川知裕
議員辞職勧告決議案の本
会議採決をまず行うべきだと強く求めていたにもかかわらず、与党はこれに全くこたえようとせず、半ば強行的な形で本
会議開会に至ったことは極めて遺憾であります。
我が党は、
予算及び
関連法案の
審議の
重要性は十分認識しているものでありますが、
政治の基本は信であります。
政治と金の問題が
日本政治に大きな暗雲を投げかけている現在、信なくば立たず、
国民の
政治不信の解消を図ることが、まず何よりもの最優先の課題であります。
にもかかわらず、
民主党は、
政治資金規正法の虚偽記載の罪で検察によって逮捕、起訴された石川
議員の党内処分を何
一つ行わず、提出された辞職勧告決議案の賛否どころか本
会議にも諮れない姿は極めて異常と言わざるを得ません。現在の
民主党は、党首を初め党全体が
政治倫理をなくした、まさに自浄能力欠如党に陥っていることを厳しく自覚し、猛省すべきであります。
さて、本日から確定申告が始まりました。納税は
国民の義務であります。
昨年は、
鳩山総理が母親から十二億六千万円もの資金提供を受けていた問題が顕在化しました。
総理の言葉をかりれば知らなかった
贈与だそうですが、鳩山家のこの問題が
国民の納税意識を希薄化させることが懸念されます。
贈与というのは、受けた側が知らなかったと言い張れば納税を免れるものではありません。今後、納税という義務だけでなく、
国民に対し適切な増税を
お願いすることも困難になってしまうのではないでしょうか。
しかも、驚くべきことに、今回の
所得税法等の一部を改正する
法律案では、
脱税犯に係る
懲役刑の上限を現行の五年から十年に、また罰金刑の上限を現行の五百万円から一千万円に、それぞれ引き上げるとしているのであります。
国民には脱税に関して厳しい刑罰を科しながら、御自分は知らなかったということで罪を免れるというのは、
国民の道徳規範を著しく低下させることになりませんか。税金の使い道を徹底的に洗い出す事業仕分けも重要ですが、
国民に納得して納税してもらう環境をどうつくるかも国の重要な役割であります。
その
意味では、今般の
鳩山総理の
政治と金をめぐる問題が
社会に与えた影響は、はかり知れないものがあります。御自身の
政治責任について、改めて
鳩山総理の
見解を求めます。
次に、
財政運営全般についてお伺いをいたします。
御存じのとおり、
日本の財政は、
平成二十二
年度末の国、
地方の長期債務残高が八百六十二兆円と、対GDP比で見れば、先進国の中で最悪の水準となります。このまま放置すれば、
日本の
財政規律への信認を失い、
国債の暴落と金利上昇リスクが懸念されます。
このように言うと、
菅財務大臣を初め
民主党の
諸君は決まって、このようなひどい財政赤字にしたのは前の
政権だと責任転嫁を図る傾向があります。
しかし、前
政権では、多くの非難を浴びながらも財政再建に道筋をつけることに取り組んだ結果、二〇〇七年、米国の格付機関スタンダード・アンド・プアーズは、
日本国債の格付を、それまでのダブルAマイナスからダブルAに引き上げたのでありました。
ところが、その同じスタンダード・アンド・プアーズが、本年一月二十六日、
日本国債の格付の見通しを、これまでの安定的からネガティブ、引き下げ方向に変更いたしました。今回の変更は、
民主党政権の
政策運営では財政再建がおくれるとの見方に基づいており、財政の膨張やデフレを食いとめる対策がとられなければ格下げになる可能性があるとしたものであります。
また、国際通貨
基金、IMFも、同日の一月二十六日に発表した国際金融安定性報告の中で、
日本国債に対する市場の警戒感が強まっていることを指摘しています。
これらは明らかに、
政権交代した
民主党の
財政運営に世界が警鐘を鳴らし始めたというべきでしょう。
仙谷
国家戦略担当大臣が、
政策的にまともなことをちゃんと提起するのではなかなか
日本の選挙は勝てないと総括してつくられた超大盤振る舞いの
マニフェスト、
予算の無駄を省けばいとも簡単に二十兆円くらいは
財源を捻出できると大見えを切られたこと、このような
政策に対する基本姿勢は、やはり無責任のそしりを免れません。
今回は、
マニフェストの先送りや違反、赤字
国債の
発行、
埋蔵金の発掘などで何とかやりくりして
予算を編成したものの、この泥縄的なやり方は、
平成二十三
年度以降は通用しないと覚悟すべきであります。
マニフェスト実現のための
財源は、
平成二十三
年度には十二・六兆円、
平成二十四
年度は十三・二兆円、二十五
年度には十六・八兆円になると見込まれているからです。しかし、これはさらなる赤字
国債の大量
発行につながるのではないかということを、米国の格付機関もIMFも見抜いているのであります。
政府は六月までに
財政運営戦略と
中期財政フレームを決定するそうですが、そもそも順番が逆であります。
公債発行の
特例による
予算捻出の前にこれらを打ち出すべきであります。あれだけ必ず
政権交代を実現すると叫ばれていたのですから、もっと早くから準備をしておくべきではなかったのか。遅過ぎると言わねばなりません。
ところで、
菅財務大臣は、十四日、
政府税制調査会で
消費税を含めた
税制改正の
議論を三月くらいから始める考えを表明されました。しかも、
消費税について、複数
税率の
議論や、ある所得以下の人には還付するやり方など、本格的な
議論を始めたいと具体的で踏み込んだ意見を述べておられます。
菅大臣は、これまで、逆立ちしても無駄遣いがないと言えるようになったときに
議論が必要だなどと慎重だったはずです。ということは、この表明は、
国民目線では、
内閣の重大な
方針転換と映ります。もはや
予算の無駄を省く程度ではとても
マニフェストの恒久
財源が捻出できないことをようやくお気づきになられたということでしょうか。
これらの点につき、
菅財務大臣の答弁を求めます。
一方で、事業仕分けを担当する枝野行政刷新担当大臣は、
消費税の方向性が出てしまうと困る、お金がないから事業仕分けするので、お金が出てくることになればエンジンに燃料がつぎ込まれないと述べたとされています。枝野行政刷新担当大臣は、
政府のこの
方針転換につきましてどのような御
見解か、
お答えください。
昨年の事業仕分けでも
期待額の三分の一も
財源が出てきませんでしたが、今後の事業仕分けでも想定したほど効果が出ず、
平成二十三
年度の
歳出も巨額に膨らめば、もはや前
政権の責任だとか時間がなかったなどの言いわけは通用しません。
鳩山総理に
お尋ねします。
平成二十三
年度の
子ども手当の満額支給は必ず実行するということですね。そして、その
財源は、
消費税ではなく無駄の削減で捻出するということですね。もしもこれができなければ、
総理は責任をとるべきだと
思いますが、いかがでしょうか。
福島消費者及び食品安全担当大臣にお聞きします。
今回の
政府税調の
消費税に関する
議論の開始をどのように受けとめておられますか。その結果、
消費税の引き上げが決まった場合には、連立を離脱されるのでしょうか。
結局、財政を改善し行く手だては、国の
歳出を経済力に見合ったものにするしかありません。すなわち、むちゃくちゃなばらまきの
政策を取りやめることであります。まずは、
民主党マニフェストの事業仕分けこそ最も求められているのではないでしょうか。
鳩山総理の御
見解を承りたいと存じます。
次に、
特例公債法案について
質問いたします。
平成二十二
年度予算においての
国債発行額は、
税収の落ち込み分を上回る規模であり、これは明らかに、
民主党マニフェストにおいて予定していた
予算の無駄の削減による
財源確保が失敗した結果、膨れ上がったものであります。
外国為替
特別会計や財政投融資
特別会計など、まさに
埋蔵金と言われているものは、おおむね
平成二十二
年度予算案の中で使い切ったと言っても過言ではありません。
平成二十三
年度以降は、
税外収入十・六兆円という水準は到底不可能だと考えますが、仮に
税外収入を引き続き確保しようとするならば、どのような方策を考えているのか、
菅財務大臣の
見解を求めます。
次に、
所得税法等の一部改正案について
質問します。
新
年度予算と同様に、
平成二十二
年度税制改正大綱は、何の
理念も目標もなく、継ぎはぎだらけの
税制改正であり、鳩山
内閣の経済
財政運営の混迷ぶりを反映したものとなりました。
また、新機軸の
政府税制調査会は、党から独立した
政策の一元化を目指し、
財務大臣を会長とする
政治家だけの
政府税調をつくり、
審議を重ねてこられました。ところが、大綱の段階で、突然、党側の意見を待ってまとめるという対応になりました。結局、大事なところでは党がすべてを決裁するようでは、当初の
理念とは甚だ乖離してきたと言わざるを得ません。
新
年度の
税制改正においては、どちらかといえば、
子ども手当や
高校無償化という形での家計への対応、特に需要側を
中心とした経済対策と思われますが、やはり、投資減税を初めとした供給サイドに対しても対策を講じていく必要があると考えます。現下の不況における経済対策という視点での、
税制面でのメッセージが弱いのではないでしょうか。
今般の
税制改正が、どの程度経済対策として効果を持つものと考えているのか、
菅財務大臣の
見解を求めます。
次に、
税制改正の各論に移りますが、今回の改正で鳩山
内閣が
さきの
マニフェストに反する決定を数多く行ったことは、極めて重大な問題であります。
特に、
ガソリン税等の
暫定税率を、当分の間、名前をすりかえて実質的に維持するとしましたが、昨年春に
民主党が
暫定税率を一たん
廃止させ
社会を混乱させたことや、
マニフェストで
廃止とし直近まで声高に
鳩山総理がこだわっていたことは、一体何であったのでしょうか。
国民を欺いたことにはなりませんか。
総理の謝罪を求めます。
自動車重量税につきましては、いわゆる燃料課税とは異なるものであり、公明党としてもその引き下げを強く推進してきており、今般、一部とはいえ減税されたことは評価をいたします。
しかしながら、一時的な
措置では
意味がありません。エコカー減税がなくなる
平成二十四年四月末までに再
検討されるようですが、私は、いわゆる上乗せの
税率を
廃止し、本則
税率にまで下げるべきと考えますが、
菅財務大臣の
見解を求めます。
次に、
マニフェストの目玉
政策である
子ども手当、
高校無償化の
財源確保のため、
マニフェストには記述されていない、個人住民税の年少
扶養控除が
廃止となりました。
扶養控除の
廃止については、当初、
所得税のみとしていたはずです。なぜ住民税も
廃止したのでしょうか。税実務上やむを得なかったというのであれば、その程度のことは
マニフェスト作成時にわかっていたはずであります。
また、夫婦世帯すべてに影響を及ぼす配偶者
控除についても、
子ども手当の
財源として、
所得税については
廃止すると
マニフェストに明確に書いていたにもかかわらず、早々と先送りをされました。
確認ですが、二十三
年度以降に
廃止するおつもりなのかどうか、その際、住民税も
廃止の対象となるのか、
菅財務大臣の明確な答弁を求めます。
最後に、これからも公明党は、
国民生活を第一に考え、
予算や
税制の
あり方について、
政策提言を行うとともに、
政府・与党の
方針と
施策を厳しく監視していくことをお誓いし、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣鳩山由紀夫君
登壇〕