○河井
委員 自由民主党の河井克行です。
せんだって、四月の十六日、当
委員会におきまして、法曹養成、法曹人口、
質問をいたしました。きょうは、前回
質問することができなかった法曹養成についての後半
部分、そしてまた法曹人口、しっかりと
質問をさせていただきたいと存じます。
期せずして、ちょうどきょうは
裁判員制度が施行されて一周年ということでありまして、まさに
司法制度改革の車の両輪と言われたのが
裁判員制度、そして、新たな法曹養成、法曹人口の増員であったと記憶をいたしております。
国民に開かれた
裁判員制度、これが本当に定着するかどうかというのは、ひとえに、私は、それを支える
司法の人材、基礎が国民の皆様から信頼するに足り得るという
状況があったらばこそだ、そのように信じておりまして、それは
大臣、副
大臣も同じ思いだ、そのように感じております。
司法の基礎が崩れたら、
裁判員制度までもがこけていってしまう。重大な危機感を持って、今の
状況にしっかりと取り組んでいただきたい。まず初めにそれを申し上げます。
その上で、せんだっての当
委員会での
大臣、副
大臣の御
答弁を聞きまして、正直申し上げまして、驚いた
部分が幾つかありました。やはり、もっと現場の実態を知っていただきたい、そういうことなんです。
法科大学院生が在学中にどれぐらいの経済的負担、金額かということも、
質疑の段階では余り御存じなかった。法科大学院生が、本来であったならば行かなくてもいいと制度設計の生みの親たちが豪語していたはずの受験予備校に何割ぐらい通っているかということについても御存じなかった。あるいは、せんだって、
文部科学省の担当者に来ていただきまして、いろいろな
議論をした際に、
日本の法科大学院の仕組みの
一つの先進
事例、
参考にしたと言われている
米国のロースクール、このロースクールにおいて、では、
米国の受験予備校に通っている学生の割合がどれぐらいか尋ねたところ、全く知らないという状態であります。
今が去年の十一月段階ならいいんですけれども、もう五月も下旬の
状況です。ワーキングチーム、いろいろと
議論をしているという
答弁が前回ありましたけれども、本当にワークしているのかなという危惧を抱きましたし、そのワーキングチームの
議論が本当に地に足がついているんだろうか、そして、現場感覚に乏しい役人、
法務省と
文部科学省の役人の言いなりになっているんじゃないか、そういう疑念を強く抱きました。
私は、前回申し上げましたが、論点は既に出尽くしているというふうに思っておりますので、きょうは、失礼かと存じますけれども、前政権時代、自民党政権時代に、若手の議員の皆さんがこの問題について一生懸命勉強した、
議論した、その研究会の資料二つ、そして、高村正彦先生を初めとする
法務大臣経験者五名、そして
文部科学大臣経験者二名らにおつくりいただきました法曹養成と法曹人口を考える会の提言などについて、きょうは、政務三役の皆さん、また、文科省の鈴木副
大臣にもお出ましいただいておりますけれども、
紹介をしていきます。
結論から言いますと、私が言うのも変なんですけれども、せっかく政権交代したんですから、前政権が起こした政策の失敗は早く直してほしいということなんですよ。もうそれに尽きております。
昨年の総選挙で我が自由民主党が大敗をした原因、いろいろな理由があるけれども、そのうちの
一つは、役所や業界団体と結託して、正しい政策がゆがめられたのではないかと多くの国民が感じたからだと私は考えております。
民主党は、政治主導だとか、あるいは官僚政治をやめさせるとか、自民党政権の悪弊や旧弊を打ち破っていくんだと主張するんだったら、もっとちゃんと実行してほしい。特に、この問題については、民主党の政権公約に法曹養成、法曹人口は直接触れられていなかったと私は思いますよ。ならば、あなた方はフリーハンドなんですよ。中立なんだから、早く現場の実態に耳を傾けていただいて、現場の悲鳴に耳を傾けていただいて、必要な見直しを何でもできるはずなのに、私から言わせていただければ、手をこまねいているだけではないかと思います。
事態は、より一層悪化をしているんですよ。法科大学院の志望者が六年間で四分の一に激減をした。四分の一減ったんじゃないんですよ。四分の一に激減をしてしまった。質の低下。これについてはいろいろな
議論があると前回おっしゃったけれども、
日本じゅうの役所の中で一番保守的で頭がかたいと言われている
最高裁判所が、きょうもお見えでございますけれども、資料をごらんください、「新第六十期
司法修習生考試における不可答案の概要
最高裁判所事務総局」。よくよくの思いだと思いますよ。あの頭のかたい最高裁がここまで言わざるを得ないぐらい、現場の質の低下が明らかになってきている。
下線部、引かせてもらいました。中ぐらいから言いますと、「不可答案は、いずれの科目についても、
民法、刑法等の基本法における基礎的な事項についての論理的・体系的な
理解が不足していることから、これらの
理解を前提とした」云々と書いてあります。特に、私が一番衝撃を受けたのは、「具体的には、これら不可答案は、その記述
内容の一部に問題があるというだけで不可答案とされたわけではなく、後述のような問題点が一点にとどまらず複数積み重なっているなど、他の記載
部分と併せて答案全体をみても、実務法曹として求められる最低限の能力を修得しているとの評価を到底することができなかったものである。」括弧で、なお、従来と基本的に同様の判断、レベルだった、そのように書かれております。
これは、言うまでもありません、法科大学院の入学試験を通って、法科大学院を修了して、そして、難関と言われている
司法試験を突破した人がさらに和光の
司法研修所で勉強した後、受けた答案の
状況であります。
最高裁、この
平成二十年七月十五日にお出しになって以降の
状況、変化があったか、質の改善があったかどうか、御
認識をお聞かせください。