○河井
委員 今、大変
大臣は奥ゆかしく謙虚におっしゃったんですけれ
ども、現場の
意見を聞いていますと、法曹の質は下がってきているんですね。
その幾つかの資料をきょうは持ってきたんですけれ
ども、ただ、大原則でいいますと、下がるなんというのは論外なんですよ。法科大学院
制度の生みの親たち、設計した人たちは、質、量ともに増大させると言ったんです。約束したわけですよ。質がよくなるから、六年間で千二百億円以上の国費をかけ、
子供たちにもお金と時間をかけてやらせている。それが、よくなって当たり前なのに、悪くなるなんということはおかしいんですよ。
法務省のホームページに載っておりますが、新司法試験の考査
委員ヒアリング、試験を実際に考査した人、試験官たちのヒアリングがこちらにあります。ある
大臣は、国民の苦情は宝の山だと言っているそうですけれ
ども、これこそまさに宝の山ですから、ぜひしっかりと目を通していただきたいと
思います。
平成十八年の、まず公法系からいいますと、これは考査
委員です。私は、全体答案の四分の一に当たる四百二十通を採点したが、憲法の論文問題で問うている最も核心的な問題をきちんととらえ、論じている答案が一通もなかった。
行政法。結果的には上の方のレベルの答案はほとんどなかった。下の方に関して言えば、一応書けているなというのがかなりあるという印象である。もちろん、それぐらいのレベルで果たしてよいかというのはまた別個の問題である。
予想よりよかったとか、法科大学院教育の成果があらわれているといった肯定的な印象を述べた
委員からも、問題点を把握してきちんと書いている答案はほんの一握りにすぎない、できのいい答案はそれほど多くないという
指摘がなされていた。
法学既修者については基礎的なことは学部段階でできているべきである。法科大学院の授業では、それを前提にして応用力を高めるという教育になってくると思われるが、実際に私
どもの法科大学院でソクラテス・メソッドで授業をやっても、意外と基本的なことは知らないわけである。
ソクラテス・メソッドという言葉が出てきましたけれ
ども、御存じでしょうか。もうこれは、ソクラテスさんが聞いたら泣いて怒るような話ですね。つまり、古代ギリシャのあのソクラテスと弟子たちが行ったような問答を法科大学院でやります、そういう理想というか、現実離れした、それがソクラテス・メソッドなんですよ。それでやろうとしても、そこまでの基礎的な力が全くついていないという話であります。
だから、これは司法試験の受験者ですから、法科大学院は当然修了しているわけです。基礎的なレベルを疑うような答案もかなりあった。これでよく論文まで来たなというのがあって、何よりも法科大学院の修了認定について厳格さを求めたいと思った。そういう
意見がたくさん出てくるんですね。
そうしましたら、こういう
意見が出てくると
思います。いや、中にはいい論文もあるじゃないか、優秀な子たちもいるじゃないかということが出てきますけれ
ども、この理屈はおかしいんです。なぜならば、
千葉大臣のように、学部を出て、旧
制度のもとで
自分で頑張って、何年勉強されたかは存じ上げませんが、御
自分で頑張って独力で合格される、そういう優秀層は今でもいるんですよ。だから、その子たちは、別に法科大学院に行っても行かなくても司法試験に合格する。それが、繰り返しますけれ
ども、国家によって三年間から二年間、義務で行かなくちゃいけない、そういう状況になってきているというのが私はおかしいのではないか。だから、優秀層がいるということは全く理由にならない。
今のは
平成十八年、十九年ですけれ
ども、最近の二十年の公法系ではこんなことが言われているんですね。もう
制度ができて時間がたっていますけれ
ども、誤字脱字、判読不能な文字、
意味のわからない文章などが多く見られた。法的な能力以前の問題として、他人に読まれる文章であることを意識して、客観的な立場で
自分の文章を見て修正する習慣を身につける必要があると思う。この点は
法律家、実務家として命の部分であり、そこがなぜできていないのかということを
考えさせられたなんという
指摘もあります。これはぜひごらんいただきたい。
関連でいいますと、考査
委員の採点実感というのは、極めて現場の
意見なんですよ。これは当然ホームページで公開されます。ですから、本当はもっと言いたいんですよ。随分これは穏やかにしている。それが、実は
平成二十一年から、今までのような
意見を書き連ねるということから形式が変わりまして、役所が編さんするようになりまして、全然生きた
意見が従来と比べて入ってこないようになってしまったというのは残念だということだけ
指摘をさせていただきたいと
思います。
そういうふうな、質の担保、厳格な修了認定を前提に受験資格を独占してきたのに、その効果が全く上がってきていない。この点、今のヒアリング、採点実感、お聞きになっていて、何かお
考えがありましたら、
大臣、お聞かせいただきたいと
思います。