○富田
委員 ありがとうございました。大谷政務官、もう結構でございます。
ちょっと法案から離れて二点ほどお伺いをしたいんですが、実は、この四月二日に我が党の井上幹事長が定例の記者会見でこのような発言をいたしました。
四月一日、入社式が一斉に行われた。新社会人としてスタートされる
皆さんに心からお祝い申し上げたいと思う。その一方で、就職が決まらない新卒者が大卒で八万人、高卒で二万人、合計十万人と推定されている。社会人としての一歩を踏み出すときに、適切に職につけないということは、その人生にとっても非常に厳しい問題であり、
日本の将来にとっても大変憂慮すべきことだと思う。雇用問題を成長戦略のかなめとして、きちんと政府は一体として手を打つべきだというような発言をされたんですが、その中で、検討課題として、卒業後三年間は新卒扱いにすることを経済界に要請するというように発言されました。
これは実は、その何日か前に
日本学術
会議の
大学と職業との接続検討分科会の方で報告書の案文を公表されまして、これは近々
最終の報告書となって、まだ
文部科学省の方には正式に提出されていないようですが、公表された
部分を見させていただきました。かなりいろいろ検討されて、特に新卒の
部分についてこういう表現がありました。
日本で広く行われてきた新卒一括採用という労働者の採用方式には、それと裏腹の関係で、一度
大学を卒業した者は、翌年度の卒業予定者を
対象とした採用の枠組みに応募することができないという慣行が付随している。
平成十八年版の国民生活白書によれば、若年既卒者を新卒者と同じ枠で採用
対象とした企業は調査
対象企業の二二・四%に留まっており、採用
対象としなかったとする企業が四四・〇%、中途採用枠では
対象としたとする企業が二九・一%であった。しかし中途採用枠では、通常、職務経験が重視されることから、そもそも就職できなかった若者にとっては厳しい門戸である。
つまり、
大学を卒業して直ちに正社員に採用されなければ、その後に正社員となる
可能性は非常に狭いものとなるが、このことと、正社員ではない非正規雇用の職においては、多くの場合、自らの労働の価値と生活水準を高めていく
可能性が狭く閉ざされたものであることとが相まって、卒業時に正社員に就職できなかった若者の問題を深刻なものにしている。新卒一括採用という採用方式は、その「新卒」要件が従来のように厳格に
運用される場合、個人のライフコースの特定の時期にリスクを集中させるとともに、景気の変動を通じて、世代間でも特定の世代にリスクを集中させるという機能を潜在的に内在させることになると言えよう。
というふうに
指摘されていました。
では、これをどう解決するのかという提案もされていまして、「卒業後最低三年間は、若年既卒者に対しても新卒一括採用の門戸が開かれること」を当面達成すべき目標とすべきだと。
これは本当にこのとおりだと思うんですが、その手法として、規制的な手法と経済的な手法があるというふうに提案されて、私はこの経済的な手法というのはなかなかいい観点だなというふうに思いました。ちょっと御
紹介させていただきますと、
国民生活白書の調査で二二・四%の企業が、若年既卒者を新卒者と同じ枠で採用
対象とすると回答しているが、一定の明確な定義の下に、たとえ少数ではあっても、そうした企業をリストアップして公表し、若年既卒者や学生が知ることができるようにすることは、現状に少なからぬインパクトを与えることになると考える。このことは、リストアップされた企業においても、新卒という要件にこだわらずに多様な人材がアクセスしてくる機会を拡大するとともに、事実上、従来単一のものとして認識されてきた新卒一括採用方式に新しい形態を加えることとなり、新旧二つの形態が競合する
状況をもたらすだろう。その結果、どちらの形態が企業が望む人材を効率的に採用するために有利であるのか、一種の市場メカニズムを通じた調整が働く
可能性が期待できる。
このとおりだと思うんですね。
そして、こういう「アプローチをとるにしても、卒業後一定期間は、
大学あるいは
大学間連合による就職支援を受けられるよう、関係する
法律の
改正と、
大学の支援機能・
体制の
強化等が必要である」、政府は一体としてこれをきちんと具体的に検討してほしいというふうに提言をされていました。
法
改正というのは、職業安定法で、学校が無料で職業
紹介するというのは所属している学生等に限ると書いてあるので、ここを多分変えないと卒業してしまった学生はできないということを意識されているんだと思うんですが、今後この提言が
文部科学省、
大臣の方にきちんと出てくると思うんです。
今、来年就職する学生の就職
活動も本当に大変です。私の息子は今
大学四年生で、去年の秋ぐらいからずっとやっているのを見ているんですが、私
たちの時代と違って、三年の夏ぐらいからいろいろな形でインターンシップに行ったり、いろいろな企業の
紹介所へ行ったり、ことしになって、エントリーシートをどんどん出して、その中でまた面接の時間が決まっていくというような
状況を見ていますと、就職
活動期間も物すごい長いですし、一たん外れてしまうと本当大変だなというのを肌身に感じているんですが、今の学術
会議の提言について
大臣はどのような感想を持たれていますか。