○
古川(禎)
委員 ありがとうございました。
今回の
事態が収束をして振り返ったときに、
拡大の、
蔓延の大きな要因の
一つに、埋
却地を確保できなかったがために、殺
処分をしてすぐ埋却という
対応がおくれてしまったために、
拡大につながったのではないか、恐らくこれが大きな
反省点になるだろう、そのように思っております。
私は、
地元が
都城でございます。
都城は日本一の
畜産基地でございまして、私は初当選までに八年かかりましたが、毎月、
家畜市場で
競りが行われるときは、白い
ゴム長を履いて
競り場を歩いておりました。
また、私の
政治活動の
スタート地点は、とある
養豚場に住み込んでの話でした。朝五時に起きまして、豚はブーブー、犬は
ワンワン、鳥はコケコッコーと大変騒々しい中を、
豚小屋の世話をして、それから一日の
政治活動が始まったわけでしたけれども、当時の
豚小屋というのは、つっと中を歩くだけで体ににおいがしみつくんですね。もう今はそんなことはありません。今はいろいろな工夫がありましてそんなことはありませんが、当時はそういうこともありまして、子豚はかわいいなと
思いながらやっておりました。
この一月
余りの間に、私は
都城の
家畜市場に何度か行きました。もちろん
競りはやっておりませんよ、閉鎖をしておりますから。
畜魂碑に手を合わせるために行くのであります。そして、その
畜魂碑の前で手を合わせているときの胸のうちたるや、これは
敗北感といいますか、
喪失感といいますか、何とも言えない違和感をぬぐい去ることができないんですね。一生懸命、
口蹄疫と格闘し頑張っているんだけれども、何万頭という牛や豚を殺さなきゃならない。一生懸命やっているんだけれども、やればやるほど、何となくこの数がふえていく、そういう
ニュースばかり。何ともいたたまれないような、人間は一体何をやっているんだろうか、そんな
思いに駆られてしまうことがあるんです。
そういう
もやもや感を、私、
自分の胸のうちに持っておりますときに、ある方から
メールをいただきました。ちょっと
紹介をさせていただきたいと
思います。
口蹄疫の件ではご心痛の事と存じます。今夕の
ニュースで、
これは五月二十三日、三日前です。
県がすでに
と殺処分しているはずの
種牛を
処分していなかったことを
農林副
大臣が非難しているのを見ましたが、思考停止しているのではと怒りを覚えました。これからの新たな
発想の
口蹄疫対策を志向するならば、
固定観念の全てを殺すという
発想を見直して、生かしてその後の病態を注意深く慎重に観察しようという
発想もあって当然だと私はずっと思っておりました。全てを殺しては何も新たな
対策は
生まれようがありません。
獣医学会がこのことを真剣に取り組んでいただきたいと心から願わずにはいられません。
いくら感染力が強くとも、
経済的影響力が甚大であっても、数十年前と進歩のない、とにかく全てを殺して
蔓延を防ぐという
発想が将来にわたってまかり通ることが、本当に正しいことなのでしょうか!?
これは、いろいろな御意見があります。賛否がありますから、今この場でこの是非を扱うつもりはありません。
しかし、この
メールを送ってくださったのは、私が尊敬するあるお
医者さんです。
獣医ではなくてお
医者さんです。人格的にも立派な方です。この方が送ってくれたこの
メールを読んで、私は、何となく胸のうちにあった
もやもや感みたいなもののある側面を表現してくれているような気がしたんですね。
きのうの本
会議でも、冒頭に、ある
養豚農家の詠んだ短歌を
紹介させていただいたんです。これは
地元の
新聞、
宮日新聞に
紹介された歌なんですが、もう一度
紹介をします。
養豚の音なき終わりにすべもなく只ありがとうの
感謝あるのみ
そして、これはもう
一つ実は掲載されていたんですね。
近日に命絶たれる母豚あり日々出産をするもあわれぞ
いろいろな
委員会等の場でさまざまな方が報告をしておられますけれども、やはり
畜産農家にとって
家畜というものは家族であり、牛、豚の命なんですよね。
先ほどの御
紹介をさせていただいた
メールにもあるんですが、四十九頭の
種牛の話なんです。
きょうの
参議院の本
会議でも、
質問に対して
総理が、
口蹄疫対策本部長たる
総理が、それはできないというようなことをおっしゃった、それは承知しております。
そしてまた、この場でまた私が改めてこのことを申し上げること、
自分が何を申し上げているかということについて、
自分自身よく承知をいたしておるつもりでございます。承知いたした上で、あえて申し上げたいのですが、この四十九頭、これが今、
口蹄疫にかかって今現在ばんばんウイルスを
発生しているということであれば申し上げませんが、そうでなければ、県が今
順番に、殺
処分という
言葉は悲しい
言葉だけれども、
順番にやっておるわけですが、そちらを今優先してやっておるわけでして、この
事態そのものは、やはり
現実として御容認をいただきたいと思うんです。
私は、
大臣や副
大臣に対して、
特例を設けてくださいとか、この
種牛だけは
特別扱いをしてくださいとか申し上げるつもりはありません。ここで何らかの
コメントをいただこうとも
思いません。ただ、今すぐ
処分せよというようなことはあえておっしゃらずにおいていただきたいなということを切に願うのであります。
また
宮日新聞なんですが、これはおとといの
新聞です。四十九頭について、副
大臣が、示しがつかないからというようなことをおっしゃったときの後の、翌日の
新聞なんですね。何と
見出しがあるか。「「先が見えなくなった」 心の
支え奪われ
農家落胆」
「
宮崎の
畜産をつぶすのか」「何のための
政治主導だ」。
東国原知事が
種雄牛四十九頭を
特例で「助命」するよう求めていた問題で二十四日、国は早々
と殺処分の方針に
鳩山由紀夫首相のお墨付きを得た。
云々と続いていくんですけれども、
見出しにあるとおり、心の
支えなんです。
御存じのとおり、
宮崎の
畜産は打ちのめされて、そして打ちひしがれておるんです。今最も必要なのは、再起に向けた希望、
望みなのだと僕は思うんです。
ですから、
特例を設けてくださいとは私は申し上げません。けれども、わかっていただきたい。わかっていただいて、じっと見守っておっていただきたいということを切に申し上げたいと思うんです。
今、
現場の
対策の
リーダーとして務めておられる副
大臣、あるいは
宮崎県の
知事である
東国原知事、お二人とも、この
宮崎の
畜産農家にとっては親みたいなものです。親が、今打ちひしがれて自信を失って悲嘆に暮れている我が子に対して、追い打ちをかけるように、
望みを奪うようなことをおっしゃらないようにしていただきたいと思うんです。
これは
お願いです。よろしく
お願い申し上げておきます。