○金田
委員 実質的にというのは、
法律を適用させるときは、実質的にこれは適用になる、ならないという話は、これは
法律に反するということになってしまいますから、非常にそこは難しい話になりますね。ですから、こういうことが行われるということも、非常にこれは我々は見逃すことができない、恣意的な
人事というふうに、範疇に入っちゃいますよ。だから、そういうことをやはりしっかりと我々はウオッチしていかなきゃいけないということなんですね。
それから、例えば、もう
一つ話題として事務
次官。事務
次官会議がなくなった、しかし、事務
次官は何をすればいいんだろうというふうに言っている方もいるわけですね。これを、十四日のこの
委員会で、事務
次官は事務系副
大臣とするようなことを
考えているといった答弁をされたような気がしますけれども、これについても、やはり
国家公務員法の適用のない特別職にするということではないのかなというふうに思うんですね。
政権と去就をともにする特別職にするということは、それは、事務系トップを仮に置いたとしても、その人間はやはり所掌事務の中の継続性あるいは安定性を確保するということが困難になると思うんですよ。だから、そこのところを非常に安易に受けとめて
考えてやってほしくはないなというふうに思いますし、行政の継続性というのはやはり必要な
部分というのはあるわけですから。事務
次官を事務系副
大臣にしてやる、
内閣官房副長官も事務系はいますよ。しかし、そこはやはり、どこまでがポリティカルアポインティーで去就をともにするのか、あるいは、どこまでが
一般職でしっかりメリットシステムでとらえていくのかというところの
議論もわかりやすくしてもらわなきゃいけない。
それから、時間の
関係で、最後に申し上げます。
私は、最初にも申し上げたんですけれども、適材適所という名目のもとで時の
内閣が自由に
人事を差配する、こうなった場合は、過去の歴史から明らかですけれども、
幹部公務員の中で必ず党派性が生じる、そして
政権交代が起これば、次の
政権のもとでは必ずその反動が生じるわけですね。行政が混乱していく、これは私たちの国にとって国益、
国民のためにならない。だから、そこのところをどういうふうにして歯どめとしてチェックをしていくかということが必要だ。
水谷三公という国学院大学の教授の先生が「
日本の近代」という本の中で
戦前の話を書いている。これはもう御承知でしょうが、
内務省を
中心に行われた
政友会と反
政友会という党派的
人事について書いているんですね。本省
人事だけではなくて、当時は
知事、警察署長まで、
政権交代の際には大規模な
人事が行われたわけです。その結果、優秀な業績をおさめていた役人が、気に入らなければ左遷される、ついには官界を去るということがたびたび起こったわけです。
問題はその後で、その文章をそのまま言いますと、
政党の
人事介入は田中義一
政友会内閣にかわる浜口雄幸民
政党内閣のもとでも繰り返された、最後の
政党内閣となる犬養
政友会内閣で過度をきわめた、しょうけつをきわめた、結局それが、
政党に対する
国民そして軍部の不信感や反発というものを深めた、軍部の
政治進出を果たしたことになったんだ、軍部独裁につながっていった。
だから、私たちはこういう過去の貴重な
経験をしているということを忘れてはいけない。だから、どうするのか。
時代背景は昔とは違うよ、今は違うよとおっしゃるかもしれませんけれども、複雑化、多様化するこの国際社会の中で、そしてまた少子高齢化の
時代、低成長の
時代になってきたら、私たちの国の将来を
考えたときには、やはり行政がしっかりしていなければ、この国が、
国民が大変な事態に巻き込まれる。であるならば、どうするんだ。
そうすると、この
委員会の
議論の中ではこういう答えが出てくるんですね。
内閣総理大臣、
官房長官、各
大臣が協議をして、この
法律の趣旨なんだけれども、複数のチェックが働くので恣意的な
人事は起きないというふうに答弁を重ねる。しかし、そうではない。そんなことが
内閣全体としての
人事権の濫用の歯どめになるなんて言ったら、とんでもはっぷんです。それはおかしい。それで歯どめになるというのなら、何でも歯どめになりますよ。歯どめにならない。
だからどうするかというところが必要なのでありまして、私はやはり、今後どのような
政権ができようと、どんな
政権交代が行われようと、
公務員の中立性と専門性を維持するための
制度的な担保が必要だ。
これに対する
仙谷大臣のお答えを聞いて終わりたいと思いますが、今後、どのような
政権になろうとも、いかに、仮に官邸がしっかりしているとの全知全能説に立っているとしても、今の
内閣が濫用しないと言っているとしても、常にその
人事権を濫用しないという状況をどうやって担保するのかということを、公正かつ客観的な
人事の
基準というものをつくらなきゃいけない、私はこういうふうに思うんですね。でも、
制度的な担保が必要と
考えるんですけれども、その手だてを
大臣はどのように
考えていらっしゃるか、それを聞いて
質問を終わりたいと思います。