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坂本委員 わかりました。
ただ、この附則も、本則といろいろな形での整合性というのがなければなりません。今回のこの附則に対して、私は何回も条文を読み返してみましたけれども、やはり不自然な点があるんです。次の点で私は非常に不自然であるというふうに思っております。
一つは、
放送法第九十三条による
マスメディアの集中排除、いわゆるマス排というもの。これは、新聞社なり企業なりが複数の
放送局を支配してはならないという、
放送法に関する、
放送局について、
言論の自由なり、
言論の統制が行われないようそういうものを定めたのがマス排であります。
他方、クロスメディアの所有
規制というのは、新聞、
テレビ、ラジオ、基本的にはこの三つのメディアがお互いに株の持ち合いをして、お互いの持ち合いの中で
言論を統制するあるいは
言論の自由を奪うということがないように
規制する、これが基本的なクロスメディア所有
規制というものであります。私はそう思います。実際、そういうふうに書いております。
そして、その中で、
通信及び
情報、そして
情報の頒布を業とする者、こういったものがただし書きとして入っているわけですね。ですから、本来はクロスメディアの
規制条項とマス排の問題は別次元の問題である。そして、本則の中に書かれている条項というのは、新聞、
テレビ、ラジオの株の持ち合いを
規制するものであり、ただし、その中に
ニュースあるいは
情報の頒布を業とする者が入ってきた場合には改めて検討しますよというようなことが省令で決められるわけです。
ですから、
テレビ、新聞、ラジオと、その他の
マスメディア、その他の
ニュース、
情報の頒布を業とする者、これは新聞、
テレビ、ラジオが正選手であるとするならば、その他のメディアは控えの選手みたいなもので、ただし書きの中でそれが新聞、
テレビの中に入ってきたときはいろいろな検討をしますよ、株の持ち合いを
規制する限りではありませんよというようなことを省令の方で定めるわけです。
マス排の方も、これまでは省令で、新聞などが
テレビ局の株を持つときは二〇%以下の株を持つということを省令で決めてありましたけれども、今回は改めて三分の一未満に法定化するということになったわけですね。
ですから、マス排の
原則とクロスメディアの所有
規制というのはまさに違うものであり、クロスメディアの所有
規制の中においても、本来の新聞、
テレビ、ラジオと、
通信、
ニュース、
情報の頒布を業とする者、これはこれまでの省令では差がついているわけです。ただし書きであるわけです。それは省令の中に二カ所にわたって定められております。
しかし、今回のこの附則を見ますと、「検討」と書かれた項目に、「政府は、」云々云々、「新聞社、
通信社その他の
ニュース又は
情報の頒布を業とする
事業者」、そして次に「
基幹放送事業者」ということが記述されているわけです。いつの間にか、正選手と控えの選手であった者がこの附則の中で同列に並べられているわけです。そして、
法案の提案理由
説明の中で、
原口大臣は、いわゆるこのクロスメディアの所有
規制のあり方を含めて検討の必要があるということを言われているわけですね。
法律が非常にごっちゃになっているんです。
本来はメディアというもの、この
放送法について言えば電波ですから、
テレビというものの
言論の自由をしっかり確保することから定められた。そして、その次に、やはりクロスメディアということで新聞が入ってくる。新聞、
テレビ、ラジオで株の持ち合いをして
言論の自由が奪われるのであれば、それはいけませんよというようなことを定める。そして、なおその次にそれ以外のものが入ってくる。例えばプロバイダーがいろいろな形で、新聞、
放送、あるいはニューメディアが入ってくる、そういうその他の
ニュースや
情報の頒布を業とする人
たちが新聞や
テレビの中に、特に
テレビの中に入ってきた場合にはどうするかというときに、それはただし書きとしてこの省令の中に入っているわけですね。
ところが、今回の附則の中では、それを全く同じレベルにして、いつの間にか、その他のメディア、その他の
情報の頒布を業とする者が新聞、
テレビと同じようなレベルに記述されている。そして、当然のようにこの条文の中に入り込んでいる。
私は、これは非常に整理がついていない、おかしいというふうに思います。このような
法律の構成というのは本当に乱暴であると思うし、これを
内閣法制局がなぜ見逃したのかなというふうに思いますけれども、
内閣法制局、違和感はなかったんでしょうか。