○高木(美)
委員 私は東京が地元でございますので、江戸川の
虐待事例、新聞報道で御承知の
委員の方もいらっしゃるかと思いますので、少しお話をさせていただきたいのです。
この
報告書、江戸川区、また江戸川区
教育委員会が三月にまとめました。岡本海渡さんという小学校一年生の男の子です。死亡事件検証報告、「
児童虐待死ゼロをめざして」というサブタイトルになっております。
ここでは、昨年の九月四日、児童が歯医者さんを受診しまして、そこで歯科医があざに気づくわけです。ここは本当に大きなメッセージで、まず、太ももにあざがあったと。太ももにあざがつくというのは、専門家の話では、けり上げるとか、正座をして上から強い圧力をかけるとか、そういう場合でなければ太ももにあざがつくということはなかなかないと。また、顔などにも複数のあざがあって、そのために、歯科医が
子どもに聞くわけです。そうすると、お父さんが殴る、お母さんはそれに対して何も言わない、そういうことを、ここで既にこの児童は、最後のSOSのつもりで発信をするわけです。
十日後、歯科医が
子ども家庭支援センターに通報します。市区町村に通報するという義務がありますので通報するわけですが、そのときにこの
子ども家庭支援センターがどうしたかというと、小学校の校長に連絡をします。その児童の、ちょうどそのときは登校していて、その
状況を担任が確認して、外傷はないという確認をした。しかし、このときに既にセンターはハイリスク
家庭という
家庭状況を認識しなければいけなかったというのも、この
報告書に出てまいります。
そして、翌日、児童欠席。自転車でけがという連絡が
家庭から来ます。そこで、翌日、担任が
家庭訪問をします。その様子に異変を感じて、学校に戻って学校長に報告し、
状況を把握するために、今度は、校長、副校長、担任が再度
家庭訪問をします。そこで父親が暴力を認めるわけです。二度と殴りません、男の約束だという発言があり、そこで、翌日、この
状況を学校はセンターに報告をする。また、センターは児相に文書で情報提供をした。
その後、最終的に、長期欠席等々さまざま続くわけですけれども、一月二十四日にお子さんが亡くなる。こういう
状況でございました。
途中、連絡がとれなくなるとか、そういうことも何度かあったわけですけれども、ここで本来踏み込んで確認ができるはずであったのが、やはり、学校がずっと責任を持ってやっていた、また、センターも、熱心な学校だ、本当に熱心な先生
たちだという認識でここまで来てしまったということから、ここで問題点、
課題ということで、何度も甘さということが出てくるのです。
例えば、
子ども家庭支援センターは、リスクの適切な把握と初期
対応について受けとめの甘さがあったと、「本人が
虐待について訴えていること、母親が
虐待を黙認していることから、ハイリスク
家庭と認識すべきであった。」と。
状況把握の甘さ。また、学校も、同じく
状況把握の甘さ、担任に任せてしまったと。また、情報提供の不足等々、甘いという言葉が十カ所近くずっと続くわけです。
こうした点を含めて、最終的に、「
対応策」として、学校は、「「
子どもの命は自分が守るんだ」という使命感をもち、
子どもや
保護者の理解を深める」、また、「校内
体制の再構築」「多くの目で
子どもを見るための
ネットワークを深める」ということが書かれております。
そして、最後に、「再発防止に向けて」というところで、「本事件の検証において、事実経過をたどればたどるほど、命を救えなかった「
子ども家庭支援センター」と「学校」の
対応に、深い悔恨の念が湧きあがってくる。
子ども家庭支援センターは、歯科医からの通報を受け、学校に安否確認や事実確認を依頼しているが、区における専門機関としての
役割を発揮せず、結果として、学校任せの
対応になってしまったこと、及びセンターを中心に学校、民生・児童
委員などとの具体的連携
体制を構築し、
ケースマネジメントをしていくことができなかった。」さまざままだ続くわけですが、「痛切な反省に立ち、今後の再発防止に向け」ということで何点か挙げていらっしゃいます。
こうしたことを踏まえて、今後、私が思いますことは、
一つは、こういう発信される情報の
意味が読み取れるという、この専門家が大事であると思っております。危険な
状態にある、こうしたシグナルが続いたときに、それをしっかりと受けとめることができる、危ないと直感することができる、そういう専門家。もちろん、研修等によって養成することはできるかとは思いますけれども、ただ、どうしてもそこには限界というものがあります。
例えば、学校の先生が行く。行けば、学校の先生ですから、親御さん
たちがどういう思いで迎えるかというと、先生が来る、やはりそこで何となく、気持ちを打ち明けようというよりも、先生方の説得しようという、どうしても教師の目線というのはそういう目線も強いものがありますので、本来であれば、打ち明けて、その悩みを吸い取ってもらわなければいけないわけですが、それが、この場合はできなかったということがあります。
そこで、提案でございますが、今、スクールソーシャルワーカー、この
配置について、私どもも提案をさせていただき、今、多く
配置を開始されているとも聞いております。このスクールソーシャルワーカーの
配置状況等につきまして、高井政務官にお
伺いをいたします。