○
田中(康)
委員 今私が申し上げたことは、決して
行政が上から
目線で居丈高に
業者なりを縛りつけるということではありません。
すべての
人間は
消費者でございます。例えば
医師や
看護師も、
医師や
看護師になる前に、けがもすれば、風邪を引いたこともある患者であります。すなわち、すべての
人間を扱うのが、森羅万象という
抽象的言葉を超えた
消費者庁でございます。二百二人という
人員だからできる、できない、
予算が少ないからできる、できないではございません。現に、
竹島一彦さんの
公正取引委員会も、七百名余という限られた
人員でありながら、多くの
方々が単に
留飲を下げることを超えた、公正な
社会というもののために尽力をされているわけです。
でありますから、
業者の方に
お願いをするのでなく、これこそは、
国民の視点に立った、よい
意味での
権限強化ということであります。それが行えるのが
消費者庁であり、よい
意味で
消費者庁は、私は、OSのような
頭脳の部分であろうと
思います。
そして、これに対して、
経済産業省であったり、
国土交通省であったり、
農林水産省であったり、
厚生労働省であったり、あるいは
警察庁であったり、こうした部門が、現業ということではなく、具体的に動く。そのコーディネートをディレクトすることが
消費者庁であり、
消費者担当の
大臣あるいは三役の役目だと私は思っております。
同時に、例えば、
アメリカにおいては、難聴の
方々がテレビの音を増幅するといったようなデコーダーがプリセットされております。プリセットして販売をしていることによって、多くの人が分け合うことで
適価で販売することができます。
すなわち、例えばETCのカードも、今、
日本の車にすべてプリセットをするという形になれば、あるいは、これによって
業界や
団体の利潤が減るという
意見をおっしゃる方もいるかもしれませんが、これこそ
プロダクト・
アウトの傲慢でございます。
コンシューマー・インで、すべてにそのようなものをセットする。この
ブレーキ・オーバーライド・システムに関しても、あらかじめセットをする、あるいは、遡及をして、今までの車に関しても車検のときにつけていくというようなことが、これは
技術的にできる、できないという次元ではなく、こうした指針を示すことこそが、まさに人のための
政治を掲げているこの政権の責務だと私は思っております。
ぜひ、この点を
業者の方に
お願いするのではなく、
消費者庁が
リーダーシップを持って
消費者のために行うことを
お願いしたいと
思います。
二点目でございます。
実は、私のところに、
犯罪被害補償を求める会という
方々、私は今、
ダウンタウン、尼崎というところが
選挙区なのでございますが、ここの
選挙区の方のみならず、この
方々が中心となり、今全国に大きな輪になっております。これはどういう
団体かというと、
犯罪被害者に対する国の
立てかえ
補償制度を創設してほしいということなのでございます。
例えばの事例、深夜にコンビニエンスストアで車を駐車のラインを超えてとめていたり、そういう方に注意をしたとします。大変によい
意味で、上から
目線でなく、
正義感を持った方がいたとします。この方にその怒られた側が例えば暴力を振るうことで、その方が下半身不随になられてしまう、亡くなられてしまう、
脊髄損傷や、あるいは脳死の状態になられてしまうということがあります。この問題に関して、恐らくその
人間は
刑事事件で立件はされるかもしれません。しかし、これらの
方々は、御家族も含めて
奈落の底に陥れられるのに、これらの
方々への救済というものがなかなか難しい。
御存じのように、二〇〇八年から、
刑事裁判の
判決を活用した
賠償命令制度が発足しました。しかし、ほとんど活用がございません。二〇〇九年十一月までの一年間にも、
裁判件数五千八百六十六件中、申請はわずか百六十三件にとどまっております。
被害者側の
請求が認められたのはわずか四十一件で、和解の十七件を含めても、非常に少なくとどまっております。
これらの
方々が今おっしゃっていることは、例えば、
自動車損害賠償責任保険政府保障事業というものがございます。いわゆる
自賠責でございます。
自賠責は、これは
昭和三十年にできておりますので、私が生まれるよりも、
福島みずほさんが生まれるよりも前でございますよね。つまり、
昭和三十一年、私が生まれた年が、「もはや戦後ではない」と
経済白書に書かれた年です。
日本がまだ戦後の
復興期であったときから、モータリゼーションの前から、このような、車を持っている方がすべて
賠償の能力があられるとは限らない、もちろん任意の
保険はあります、しかし、最低限、
奈落の底に落とされる
方々を皆によって支え合うということが、この
自賠責でございます。
彼らがおっしゃっていることは、現実問題として、
東京地裁で、民事で
賠償という
判決が出た後も
加害者側が控訴をしていて係争中であったり、あるいは、
大阪地裁では、
慰謝料の
請求が全額その
被害者の両親に対して
判決で認められても、いまだ
賠償が行われていないという形がございます。
この
団体の
方々は、まず国が
立てかえ
補償をして、その後、
加害者に
請求する仕組みが必要ではないかと。例えば、
国民が一人年間百円という金額で、一億二千万人を超えております、百二十億円以上の基金のような形によって、こうした
方々を支え合う。
このことは、まさに
コンシューマー・インではなかろうかと
思います。この点に関しての御
見解をお聞かせください。