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菅原委員 それはまた
議論を深めていきたいと思います。
ドラッグラグ、ワクチンラグについて
お尋ねをしたいと思います。
私の父親も、また祖父母も、ともにがんで亡くしました。したがって、私も若いときからがんの治療やがんの検診、あるいは、国
会議員になって議連のメンバーとしても努めてきたところであります。
三年前、ちょうど自分が二期生のときに、NPO法人でブーゲンビリアという、
女性のがんの患者さんたちが主体となって、乳がんや子宮がん、子宮頸がんあるいは卵巣がん、こうした問題に取り組んでいく法人と御縁をいただきました。
そこで改めてドラッグラグ、ワクチンラグの問題にかかわりを持ったわけなんですけれども、例えば、そういう皆さんの声で、やはり、海外でエビデンスがあるにもかかわらず、
日本ではほかの部位やがんに承認されていない、あるいは、がんによっては承認されないで適応外だから、治療薬を使えないで苦しんでいる患者さんがたくさんいる、こういう実態があります。
がんで苦しむ患者にぜひ薬を与えてほしい、あるいは、救われる命を見殺しにしないでほしい、こういう切実な声。そういう
意味では、本当に今まで、薬の問題に関して言えば、もっと救える命があったのではないか、強くそのことを今思っております。
このドラッグラグの例としては、これまでも
議論がありましたが、例えば乳がんの治療薬についてはラパチニブという薬、これは大変有名であります。これは二〇〇七年にアメリカで承認をされて、ヨーロッパでも二〇〇八年。二〇〇八年十二月
時点で、世界の六十五の国、地域で承認されて使用されているわけなんですが、
日本の場合、ようやく去年、二〇〇九年の四月に承認、使用という運びになったことは御
案内のとおりだと思うんです。
でも、これは、アメリカが二〇〇七年ですから、三年というタームだったので、まだこれは今の
現状からいっていい方なんだと思うんですね。
例えばドキソルビシンなんという薬は、二〇〇六年にエイズのカポジ肉腫に効能があるということで承認をされたわけなんですけれども、世界的に見れば、当時から卵巣がんにも効果が認められていた。したがって、一九九九年にアメリカで、ところが
日本ではようやく去年、十年後に承認をされたわけでありまして、卵巣がんの患者さんにとっては、
外国で承認をされているにもかかわらず、目の前にその薬があったにもかかわらず使えなかった、承認されないで
保険適用等がされなかったということは、まさにこの間に命を落とした方もいるとするならば、この辺の、ある
意味では我々の責任も含めて、
政治の不作為です。この点について、よく
議論しなければいけないと思います。
ワクチンについても、例えば髄膜炎のワクチン、Hibワクチンというのが大変有名でありますが、フランスでは一九九二年に承認されました。その後、一九九八年にWHOが各国の乳児への定期接種を勧告して、その後、百を超える国、地域で承認、使用されてきたわけであります。ところが、
日本はフランスからおくれること十六年、おととしに承認をされた。
言ってみれば、アメリカ、ヨーロッパだけじゃなくて、アジア、アフリカという新興国、ある
意味では後進の国々で、定期接種をして細菌性の髄膜炎をある
意味では制圧したにもかかわらず、
日本だけがその恩恵にあずかれないで先般まで来てしまった。言ってみれば、医薬品、ワクチンのアクセスということに関しては、本当に
日本は後進国に位置づけをしているのではないか。
私も、三年前、
厚生労働大臣政務官の際に、この問題に取り組んでまいりました。医薬品産業を、世界最高
水準の医薬品を
日本国民あるいは世界の皆さんに提供したい、あるいは
日本の経済の牽引役にしていく、そういう
意味では、医薬品の
日本先行開発や
日本参加の世界同時開発ということを訴えてきたわけでありますけれども、言ってみれば、治験環境の
整備、承認審査の迅速化、これが今最も求められていることは論をまたないわけであります。
ところが、今までも、また今般も、今もそうなんですが、言ってみれば、この
分野、非常に小手先に終わってしまっている。
まず、治験の
環境整備について言えば、二〇〇七年に新たな治験活性化五カ年計画というものを策定いたしました。ことしはちょうどこの中間年なんだと思うんですが、従来から、
日本の治験は、質がよくない、コストが高い、スピードが遅い。牛どん屋と全く逆で、うまい、安い、早いの逆なんですね。いわば、改善の兆しは確かに見えてきてはいる、しかし、せっかく世界に冠たる製薬企業等の存在がありながら、治験あるいは承認の
環境整備はおくれている。
例えば韓国では、治験に関して、三千床から四千床の大変大きな大規模
病院を治験の拠点として、効率的な治験を
実施しているわけなんですね。
国家プロジェクトとしての取り組みを行っている。ところが、
日本の場合は、数多くの
病院や
診療所を対象に、患者さんを集め、分散してこの治験をやっている。非常に非効率的だ。
ところが、
日本の製薬会社、納税力は年間四千億円、これは他産業から比べても非常に大きい。問題は、スピードとコストをどうやって今後に生かしていくのかということなんです。
このドラッグラグの問題、あるいは、まとめて聞いちゃいますが、治験の
医療機関を新たに設置したり、一、二カ所に大規模にまとめる、こういうことが大事ではないか。
あわせて、承認審査体制についても、今のこのPMDA、年間八十の治療薬の承認
申請がされ、七十ほど承認をされております。多くの治療薬やあるいはワクチンの審査を待っているわけでありますけれども、今までの
議論にもあったように、確かに
定員、人員の確保も大事なんだけれども、その承認を審査する質の向上といいますか環境の向上というものが非常におくれている。言ってみれば、私は、審査の質の向上のために、PMDAと大学、
医療機関、あるいは製薬会社の研究開発部門の人材等、いわゆる形式的でない、実質的に、定期的に、きちっと、同時に情報交換あるいは研究を進めるという基盤
整備をすべきではないか、このことを申し上げておきたいんです。
以上、二点について
お尋ねをします。