○武部
委員 こういう場で
質問するのは十五年ぶりぐらいで、帰り新参というのが心境で、私はそんな難しく
質問いたしませんので、
大臣も肩の力を抜いて、率直にお答えいただければありがたいと思います。
ただいまも同僚議員の
議論を聞いておりまして、この
子ども手当支給法案というのは理念なき迷走を続けている、
制度設計が十分でないから、余りにも次から次と問題が出てくるような気がしてなりません。
久しぶりに私も勉強しまして、どんな問題があるかというのを調べてみました。ここに自分で列挙したものを、まず冒頭、並べ上げてみたいと思います。
まず、
子ども手当創設の政策
目的が不明確だ。経済対策なのか、
景気対策なのか、
少子化対策なのか、貧困対策なのか、何が
目的なのか、はっきり説明がなされていない。また、
社会全体で
子供の健やかな育ちを支援すると言いますが、親の扶養との関係がわからない。
子供とか育ちとかという
言葉を使っていますけれども、このことについても一般国民は極めてわかりづらいんじゃないか、このように私は思います。
また、
財源の面では、安定的
財源が示されていない。国債の発行によって
子ども手当を
支給するので、
子供にツケを回すことになる。
平成二十二年度における
支給総額一兆二千三百億円に対し、年少扶養控除の廃止等でふえる税収は約八百億円、十分な
財源が確保されていない。
財源がないのに無理をするから、いろいろ
大臣も
答弁に苦労するのだと思いますね。
子ども手当といいながら、
児童手当との併給になっている。
子ども手当法案といいながら、
児童手当法を廃止しておらず、
児童手当法の拡充になっている、こう思います。
財源構成でありますけれども、従来は全額国庫と主張しておりましたね。しかし、地方自治体や事業主の負担がある。地方自治体や事業主の負担が残されたことについて、明確な理由説明がない。地方に負担を求めることについて、自治体関係者と十分な意見交換をしていない。していませんね。
支給額の根拠でありますけれども、満額実施時、
子供一人当たり月額二万六千円ということでありますが、これまでの経過を見ましても、根拠が全く不明確。必要とされる
支給額についての実態調査を実施していない。長妻
大臣は野党時代によく調査とかサンプルとかということを、私、耳にしました。やるなら、しっかりした実態調査に基づいて、根拠を明らかにした上で
制度設計をするべきじゃないのかな。
今も
議論がありましたけれども、
所得制限を設けないこととした経緯が不透明だ。そのため、
所得制限を設けない理由が不明確。
所得制限を設けないので
支給対象が拡大し、巨額の
財源が必要になっている。
次に、
支給対象等でありますが、教育費の負担が重くなる高校生、大学生に対しては
支給されない。乳幼児加算や多子加算がない。児童養護施設等に措置入所している場合、
支給されない。上記のような入所児童については安心こども基金で対応する方針が長妻
大臣から示されておりますが、その
制度設計が明らかになっていない。里親に対して
支給されない。
子供を十分に監護していると言えない親に対しても
支給される。
また、国外に
子供を置いてきている外国人にも
支給されるが、
子供を監護しているかどうかの確認がきちんとできているのか不明確。外国人登録している国内在住の外国人に対し
支給されるが、外国在住の
日本人に同様に
支給されるのか確認されていない。
当初の説明資料では
子供に
支給するとなっていたのに、
子供に直接
支給される形になっていない。酒、パチンコなどに使ってしまう親に対して用途制限あるいは
支給停止できるような規定がない。学校給食費等を滞納している場合にも
支給される。給食費等を
子ども手当から天引きできる仕組みがない。
平成二十三年度以降の見通しについても、満額実施できるのか、どのような
制度になるのか、全く不透明。今も、満額
支給できないとはっきり率直に言ったらどうかという
議論がありました。これは、満額実施するとしても、二十三年度以降、安定的
財源を確保できるのかが不明だからでしょう。
このように、列挙をしただけでも、こんなにたくさん、いろいろな問題点が明らかになってきたわけであります。このことにお答えくださいと言えば私の
質問は終わっちゃうんですけれども、そういうわけにもいかないでしょうから、少しこの中で私が特に問題視している問題の幾つかを挙げて
質問したいと思います。
そもそも
子ども手当の
目的は何か、これが大事なんじゃないでしょうか。
政府関係者による発言は常にぶれているように思いますよ。現に鳩山
総理は、教育への投資であると同時に、消費刺激策であり、
少子化対策であると発言しております。
子育て費用の保障なのか、
少子化対策や低所得者対策なのか、さらには
景気対策などと多くの
効果を期待する余り、明確な軸が示されていないんですね。
目的のあいまいさが、
所得制限の是非に関してもいろいろ問題があり閣内不一致を生む、多くの混乱を招く結果になっていると思います。
また、
法律案では、
子ども手当導入の
趣旨は、次代の
社会を担う
子供の健やかな育ちを支援するためのもの、このようになっておりますけれども、
児童手当にあるように、児童養育費の家計負担の軽減を
目的とするという
趣旨よりも、さらにあいまいになっているんじゃないでしょうか。
子ども手当の政策
目的をどう考えているのか、
少子化対策なのか、消費刺激策なのか、低所得者対策なのか、
景気対策なのか。私は、おさらいの
意味で、長妻
大臣にしっかり考えを述べていただきたいと思います。