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吉井委員 採決を強行するなと言っているのに、いきなり
委員長から討論をやれと。これは
幾ら何でもこういう運営の仕方はおかしいと、私は重ねて、本日は採決するべきじゃないということを申し上げます。
その上で、しかし採決をするとおっしゃる話ですから、この
法案に対する考え方を述べておきます。
私は、
日本共産党を代表して、
エネルギー環境適合製品の
開発及び
製造を行う
事業の
促進に関する
法律案に反対の討論を行います。
冒頭にまず、本
法案と密接不可分の関係にある地球温暖化対策基本
法案についての問題点を
指摘しておきます。
地球温暖化対策基本
法案には、温室
効果ガス削減
目標を一九九〇年比二五%削減と掲げながら、その
目標を実質的に棚上げする、いわゆる停止条項を盛り込んでいることは、対策の実効性を根底から危うくするものであります。また、地球温暖化防止を口実とした原発推進の仕組みは、中越沖地震による柏崎刈羽原発の停止によって図らずも実証されたように、結局は代替火力発電によるCO2の大量排出を招くことになりました。これらは
法案の重大な欠陥として看過できません。
地球温暖化対策は人類と地球にとっての重要課題です。とりわけ、アメリカや
日本を初め、二酸化
炭素の歴史的な累積排出量で大きな責任を負う先進国と、それらを母国とする多
国籍企業が責任ある役割を果たすよう、率先して取り組まなければなりません。
我が国の国際的な責務を果たそうとしないで、人類共通の課題である地球温暖化対策の道筋を誤らせかねない
法案となっていることをまず厳しく
指摘いたします。
こうした地球温暖化対策の基本フレームが定まらないもとでは、本
法案による
支援策は単なる特定大
企業支援策とし
かなりません。
本
法案の反対理由の第一は、本
法案が低
炭素投資促進法案という略称とは名ばかりで、
我が国産業全体の
エネルギー浪費構造の転換や低
炭素社会の実現には結びつかないからであります。
今真剣に取り組まなければいけないのは、温室
効果ガス排出量の八割を占める
産業界の実質的な削減を実施し、大量
生産、大量消費、大量廃棄型の社会を転換し、社会全体で
エネルギーの無駄をなくすことです。しかし、本
法案は、特定大
企業がその
製造を担っている
電気自動車、太陽光パネル、リチウムイオン電池などの環境
エネルギー適合
製品の
需要拡大を図ろうとするもので、
エネルギー浪費構造そのものにメスを入れるものとはなっていません。これでは地球温暖化対策にも逆行するものと言わざるを得ません。
第二に、
産業空洞化の防止を理由に、
エネルギー環境適合製品の
製造事業者への金融
支援策に
国内の
工場立地や
雇用を
創出させる保証は全くないばかりか、
自動車、電機などの多国籍大
企業の
海外生産シフトを加速させるものになっているからであります。
このことは
法案審議の際、直
嶋大臣自身が、たとえ金融
支援策を講じたとしても
工場は
海外に出ていくことを認めました。多
国籍企業のマザー
工場とRアンドD拠点化でどうして
雇用拡大につながるでしょうか。
経済産業省は
法案の
効果で一兆円の
生産誘発効果と十万人の
雇用が生まれると
試算していますが、説得力ある根拠は示されませんでした。そればかりか、本来であれば当然勘案すべき
経済構造の変化によって失われる部分の
試算を行っておらず、これでは
法案審議の
前提を欠いていると言わざるを得ません。
第三に、放射能汚染など深刻な環境破壊を内包する原発を非化石
エネルギー源と位置づけ、高速増殖炉「もんじゅ」の再開強行とその商業化、
次世代軽水炉の世界標準化や中小型炉の途上国へのトップセールスなど、
エネルギー基本計画の見直しの一環として原発偏重を一層加速させる危険があるからであります。これは、再生可能
エネルギーの爆発的な
普及の障害ともなるものであり、賛成することはできません。
以上、討論といたします。