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齋藤(健)
委員 ありがとうございました。大変重要な点を確認させていただきました。
次に、昨年の九月に
総理は国連でこの二五%
目標を表明されて、二〇二〇年、九〇年比で二五%
削減ということでありますので、これは、
自民党の考えに基づいて〇五年比で二〇二〇年がどのくらいの
削減になるかといいますと、三〇%強の
削減になります。つまり、〇五年から二〇二〇年までの十五年間で三〇%強の
削減が必要になる、こういう計算になるわけであります。
現在
我が国は、これはもう御案内のとおり、京都議定書に基づきまして、一九九〇年から二〇一〇年までの二十年間で六%
削減するという
目標を掲げて努力をしているところですが、その実現もなかなか四苦八苦をしているところであります。二十年で六%で四苦八苦しているのでありますが、それを十五年で三〇%強
削減するということになりますものですから、国民各層から、本当に大丈夫なのか、どういう
影響が出るのかという懸念の声が出てくるのは、これは当然のことだろうと私は思います。
そして、私が十一月に衆議院の予算
委員会で
総理を初め
閣僚の
皆さんに質問させていただいたときには、私は、例えば、この二五%の中で国内の
削減分の
真水がどのくらいなんでしょうか、あるいは、
経済や
GDPに与える
影響というのはどの程度と考えればいいのでしょうか、あるいは、国民生活、特に国民
負担と言ったらいいかもしれませんが、それはどのくらいになるんでしょうか、それから、海外から排出権を買ってこざるを得ないという
状況があるのであれば、
国富の
流出はどのくらいになるんでしょうか、あるいは、
雇用にも
影響が出るんじゃないか、十五年で三〇%
削減ですから。それぞれの
影響につきまして質問させていただいたときには、明快な御
答弁は残念ながらございませんでした。まだ十一月でした。
法案が国会に三月十二日の段階で
提出されましたけれども、その
法案を国会に出された時点におきましても、これらの重要な点につきまして、
政府としての
見解は示されておりません。
これは私個人の懸念ではございませんで、例えば、三月十二日にこの
法案を閣議決定した際に、
日本基幹
産業労働組合連合会、いわゆる基幹労連の神津事務局長がわざわざ文書で談話を発表されております。この文書、どのように書いてあるか。一部読ませていただきますと、「今後の通常国会においては、これらの課題克服に向けた建設的な
議論を期待するとともに、様々な
負担の姿についても逃げることのない、国民目線に立った
審議を求めるものである。」つまり、この通常国会において、さまざまな
負担の姿についても逃げることのないよう
審議を求めるということを、労働組合の
皆さんが求めておられます。
そして、
産業界は、やはり同じ日に、鉄鋼連盟や電気事業連合会等九団体の会長名でこれまた文書を出しておりまして、そこでもこういう書き方になっております。「今後、本
法案に関わる国会等における具体的な内容の
審議・検討に当たっては、下記の点について明確にし、国民の
理解と納得を得られるよう、十分に時間をかけ必要な手続きを踏まえて実施していただくよう強く要請する。」ということで、国会等の
審議、検討に当たって、次の点ということで、こういうことが書かれております。「
我が国経済、国民生活や
雇用に与える
影響と、国民
負担を明らかにすること。」こういうことを
産業界もこの
法案の
国会審議において求めているわけであります。
しかし、それでもなお、この
法案審議が大分進んではきましたけれども、現時点におきましても、
政府として示されたものは何もございません。これでは、二五%
削減のよしあしについて国会で
議論しろと言っても無理なのではないかと私は思います。
政府としてこういったものを国会に示さずに国会の
議論をお願いしたいということになっているわけでありますけれども、
総理は、このようなことで国民への説明
責任を果たしていることになるとお考えになっておられるのかどうか。まさに、基幹労連の事務局長の言うように、「様々な
負担の姿についても逃げることのない、国民目線に立った
審議を求めるものである。」という切実な要望を全く無視して、一切
政府としての
見解を示さないままこの
審議を今後も続けていくのか。国内に与えるさまざまな
影響につきまして、国会に対するきちんとした説明
責任を
政府として果たすべきであると私は考えますが、
政府の最高
責任者としての
総理の御
見解を賜れればと思います。