○近藤(三)
委員 自由
民主党の
近藤三津枝です。
廃棄物問題を考えますときに、
廃棄物そのものの排出を抑制するということが大変大切なことだと思っております。排出の抑制を徹底し、どうしても
発生してしまった
廃棄物はきちんと現場で分別し、
処理までの間の保管を確実にして、収集、運搬をし、中間
処理などを通じて再生利用可能なものを
リサイクルしていく。そして、残ったもの、残渣などは、生活など
環境に影響のないように適切に
最終処分することが重要であることは論をまちません。
この
発生抑制、分別、保管、収集、運搬、再生、
最終処分、一連の行為が
関係者の連携の中で適切に行われる、このために
廃棄物処理法は逐次
改正を重ねてきました。しかし、残念ながら
不法投棄の問題があります。
最終処分場などの
廃棄物処理施設の逼迫など、
廃棄物行政の抱える
課題はまさに山積みです。今回の
法改正がこのような諸
課題の解決のために有効なものとなりますことを私も期待いたしております。
あわせまして、この
法改正によりましても残される
課題の解決に向けて対応が迫られております。本日は、
廃棄物処理法の
改正案について、そして今回の
法改正によっても残る
課題について、私からの提案も含めて
質問をさせていただきます。
政府におかれましては、率直な答弁をお願いいたします。
まず第一に、
国外廃棄物を
輸入できる者を拡充するという
内容の
法改正について
質問させていただきます。
改正案の第十五条の四の五では、
廃棄物の
輸入の許可を求める「申請者がその
国外廃棄物を自ら又は他人に委託して適正に
処理することができると認められること。」とあります。そして、「申請者がその
国外廃棄物の処分を他人に委託して行おうとする者である場合にあつては、その
国外廃棄物を国内において処分することにつき相当の理由があると認められること。」とあります。
この条文をもう少しかみ砕いて言いますと、
現行法では、国外の
廃棄物を
輸入できる者は、
国外廃棄物をみずから
処理できる
産業廃棄物処分
業者か、
産業廃棄物処理施設を持っている者に限定されていました。今回の
法改正で、
日本国内で
処理することに相当の理由があると認められる者は海外から
廃棄物を
輸入することができ、ほかの
産業廃棄物処分
業者や
産業廃棄物処理施設を持っている者に委託することができると
法改正しようとしています。
この
廃棄物を
輸入できる者の拡充について、今回の
法改正の
経緯について調べてみました。そこで、こちらのパネルを。字が細かいですので、
皆様方にも
資料を配付させていただいています。
今回の
法改正は、
中央環境審議会の
廃棄物処理制度専門委員会で、自民党政権下の
平成二十年九月九日から本年一月十五日まで、十二回にわたる
委員会を開催し検討した結果が
中央環境審議会からの
意見具申となり、
法改正に至ったと承知しています。
このパネルの上段の方ですね、自民党政権下、昨年七月十三日の第九回の
委員会報告案です。この時点では、赤字で示していますように、
廃棄物の
輸入ができる者の拡大の範囲ですが、自社の
国外廃棄物を
輸入して処分する製造
事業者に限って、極めて限定的な
法改正を念頭に置いて自民党政権下では議論が進められていました。つまり、海外に輸出し廃棄された自社製品と海外の自社工場などから排出された
廃棄物に限って
日本に
輸入することができるとしていたわけです。
その後、昨年の十一月二日から十二月一日に行われましたパブリックインボルブメント、PIの
意見を反映することによりまして、報告書の
内容が、このパネルにありますように大きく改められています。それが下の段を見ていただくとおわかりかと思います。下段が
平成二十二年一月十五日の
専門委員会の最終報告書です。
先ほど御
説明しましたように、上の段の七月十三日、去年の時点では、赤字のように、当初案は自社製品に限って
輸入できるとしていたものが、下段のことしの一月十五日の最終版になりますと、「
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者」と、
輸入できる対象者の範囲が大幅に広がるのです。「
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者」は、読みようによりましては、
我が国において
処理することが適切と認められればだれでも海外の
廃棄物を
輸入でき、その
廃棄物をほかの者に委託して
処理できるという条文に急に変更されたということです。
まさに自公政権から
民主党政権にかわってから報告書の
内容が大幅に変更されたのです。そして、その報告書の
内容がそのまま今回の
廃棄物を
輸入できる者の拡充の
法改正につながるのです。
その報告書の修正について、さらに背景を調べてみました。十月二十六日、第十一回の
専門委員会で決まったパブリックコメントにかける案では、
廃棄物の
輸入については自公政権下の七月十三日時点のものと全く同じ文面でありました。
パブリックコメントは三百二項目の
意見が出されるんですが、こちらのパネルを
ごらんいただきます。お手元の
資料ですと二枚目になります。
このパネルにありますように、なぜか二百七十七番の
廃棄物の
輸入に関する
意見に対しては、
法改正の
内容に直接大きな変更を及ぼす回答が
環境省から示されているんです。それがこの四角い枠の中の右側の「
意見に対する考え方」で、二百七十七番の
環境省の回答となっています。自社の縛りが外されて、「
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者についても、
輸入を可能とするべきである。」と、報告書が
環境省の事務局の提案によって大幅に修正されているんです。
このパブリックコメントを受けた修正案は、
専門委員会の最終回、昨年十二月二十四日の第十二回の
専門委員会にかけられます。第十二回での
廃棄物・
リサイクル制度企画室長の
説明の議事録の抜粋を、これまたパネルにしております。文字が多いですのでパネルにしました。
室長は、上の段なんですが、PIの
意見を受けて次のように修正するというふうに
説明しています。読みます。
廃棄物の
輸入については
ご
意見といたしまして、「
廃棄物の
輸入について、自社の
国外廃棄物だけでなく、自社の関連
会社の
国外廃棄物なども可能とすることや、
輸入が可能なものとして、
輸入・委託処分を継続して適正に実施できる者を追加することなどにより、
推進すべき」であるというご
意見でございます。
こちらのご
意見を受けまして、報告書を修正しております。
「自社の
国外廃棄物」の「自社の」というところを落として
「このため、
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者についても、
輸入を可能とするべきである」といった修正をさせていただいております。
このように室長は修正の
説明をしました。
これまでの
専門委員会で議論してきておりません報告書の大幅な修正でしたから、
委員からは懸念の
意見が多く噴出しました。その
一つを
環境省のホームページの
委員会議事録から抜粋して、こちらのパネルの下の段に示しています。
専門委員会のA
委員の発言として載せさせていただいています。読みます。
今まで海外で作っておりますもの、あるいは
日本から持って行って、
日本の企業が出した
廃棄物を
日本で
処理してくださいということで受け取っておるのですけれども、それと全く違う、海外の
廃棄物を
日本に入れるという、そういう大きな変化につながるわけで、自社関連あるいは
日本製品に関連するものという限定をするのであればわかりますけれども、海外の
廃棄物で適正な
処理ができないものを
日本に持ってきて
処理するといういわば方針転換をするというならば、もっと議論が必要だという感じがしています。
このように、突然の
環境省からの報告書の修正に対して異論が出ました。
最終回の
委員会の議論の結果、報告書の文言の一部修正の議論はなされますが、肝の自社の縛りが外されて、
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者までも
輸入が可能となりました。まさに土壇場での修正。自社製品の縛りを大幅に緩和した、
我が国において
処理することが適切と認められる
国外廃棄物の処分を委託して行う者も
輸入できるということになった。
運用によっては大変問題が生じる可能性のある条文が、このような
経緯によって、本日ここに
政府から提案されているわけです。私は、この条文が悪用されることによって、バーゼル条約、すなわち有害
廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約に違反するような事件が起きはしないかということまでも懸念しているわけです。
以上、少し長くなりましたけれども、
廃棄物の
輸入業者の拡大につきまして、報告書の取りまとめに当たりまして余りにも拙速な決め方をしているのではないか、実際の運用に当たってのきちんとした
制度設計ができているのか、本当に今
輸入者の拡充に踏み切ることが妥当なのかなどの疑問に対して、
大臣の見解を求めます。自公政権から
民主党政権にかわりまして大きく変更された
法改正の項目です。
小沢環境大臣の
責任ある御答弁を求めます。