○
松宮委員 なかなか容易でないタスクでありますけれども、しかし、計画的に着実に、しかも全方位
外交で、
国連安保理改革を目指してぜひ頑張っていただきたいと思います。
今
大臣の方から、オバマ政権になって
国連に対するスタンスが変わったという
お話がございました。私も、ブッシュのお父さん、そしてブッシュ前
大統領、あるいはとりわけクリントン政権に比べますと、オバマ政権の
国連外交に対するア
プローチの仕方というのは変わりつつあるのかな、素人ながらそういう
感じがいたします。
ただ、基本は、ツールとしての
国連という見方、
アメリカの
外交、戦後一貫して、
国連創立以来あるはずです。
アメリカの
国益増進のために利用価値があれば徹底的に
国連を利用する。さもなくば、例えばG8なのかG20なのか、いや、ひょっとしたらG2、
中国の存在感、際立った台頭ということを考えますと、そういう面で、ありとあらゆる
外交手段を講じてと。その中の相対的な、
一つの大きな手段として
国連を位置づけておるということでございます。
しかし他方、不勉強で恐縮ですけれども、
国連憲章の中で、
安保理、
理事会のみが軍事的な制裁も伴う権力を有している。しかも、それは、
国連加盟国百九十二カ国中、
常任理事国五カ国の一カ国のみが反対しても成立しないという大変な、本当に恵まれた五大
常任国という構図が、台湾から
中国が交代して復帰したということはありますけれども、
国連が発足して以来数十年間何
一つ変わっていない。
その間、このところ
日本の経済、
日本の国力の相対的な低下というのは悩ましいものでありますけれども、とはいえ、
中国に匹敵するぐらいの
世界二位の経済規模を誇り、
国連分担金も、ついこの間改定を見たこれからの三年間については、ついこの間までの一六・数%からようやく一二%台になった。しかし、とはいえ、勝手に
アメリカが二二%という上限を設定して、そして多くの、あまたある小さな国の本来分担すべき分担金はおまけしましょうと。そのあおりが、結果的には一番、あとは二番手から、下位の国を除いたところに、ある指標で、GDP、
GNIを
中心とした指標で配分するということですから、一番あおりを食らっているのはこの国という
意味では、
国連に対する
予算面での
貢献、それから、その他、先ほども申しましたような、
各国でのいろいろな
意味での国際的な
貢献等もあわせ考えますと、私
自身もぜひ
日本の
常任理事国入りの
早期実現を期待したいと思います。
それから、EUにおいては
ドイツ、あるいは
アジアではインド、そしてブラジルの場合にはアルゼンチンの関係、
ドイツの場合にはイタリアとの関係等々いろいろな問題はありますけれども、ぜひ、地理的な正当性と適正な配分、そういうものも視野に入れた
国連の
改革というのがなされてしかるべきだと思います。
本当に息の長い話でありますけれども、重ねて強調させていただきたいのは、
中国も非常に大事ですし、確かに
前回は
中国と折衝というのはほとんどなかったんだろうと私は記憶しておりますけれども、やはり、九割以上はワシントン、しかも、ワシントンも
大統領だけではなしに、
アメリカのパワーエリート集団、上院、下院の
外交に精通している人たち、そして彼らを支えているメディアが、
国連について
アメリカが、時代の環境変化に対応して十分に機能し、しかもそれが
アメリカの
国益にも直結するということで納得を得られるような努力というのは、
アメリカにもしてもらわなくちゃいけないし、しかし、
アメリカがみずからしないとするならば、我々が働きかけてそこからやっていかなければいけないんだろうと思います。
もっと端的に申しますと、
日本が、インドが、
ドイツが、あるいはブラジルが、そして
アフリカの特定国が
常任理事国入りをするとするならば、そのことによって
国連を通じてどういう
外交を展開し、
世界全体の公益増進、ウエルフェア増進のために、
日本は、
ドイツは、インドは、ブラジルは何を
貢献するんですか。そこがしっかりしていない限りは、
アメリカのパワーエリートはもちろんのこと、
関係者を説得するということは私は至難のわざだと思います。そういうことも念頭に置きながら、ぜひ着実な取り組みをお願いしたいと思います。
時間の関係で、あと二問ほどさせていただきたいと思います。
ドーハ・ラウンドなり、EPA、FTA。ドーハ・ラウンドにつきましては、昨年の暮れにもジュネーブにおいてWTO公式の閣僚
会議が開かれました。しかし、依然として問題としては、農産物等を
中心としたいわゆる争点の三角形と言われる問題がまだ必ずしも
主要国間での
解決が見られている段階ではないということで、先は非常に見通せないという
状況にあると思います。
しかし、私が心配しておりますのは、今、民主党、マニフェストなり、あるいは来年度、二十三年度の概算要求絡みで、いろいろな省がいろいろな
予算の案を練り始めているところだと思いますけれども、実は、ドーハ・ラウンドの過去数年間で展開されてきたいろいろな
議論の積み上げ、特に農産物貿易でいいますと、二〇〇七年、さきの参議院選挙の直前の、例の当時の赤城農林
大臣、あるいはその後のいろいろな
大臣、二〇〇八年には、今度参議院でおやめになる若林さんなんかも出られたようないろいろな大事な
会議なりあるいはオケージョンがありました。
しかし、実際にあのときに既に、一番
日本にとってバイタルな分野であります、交渉分野であります農産物貿易については、実は事実上、まず二〇〇七年の六月の中旬の時点で
アメリカとEUが大きな基本的な手を握り、そして、それを踏まえて交渉
委員会の
委員長提案がなされ、その後、ラミー事務局長提案がなされたということ。一言で、例の重要品目と称する、あまたある、
日本でいいますと千三百余を数える農産物品目、アイテムの中で、重要品目として相対的に高い関税を許される分野というのは四が原則であって、六は例外、それにはペナルティーが要りますよというような
状況になっているんです。これがラミー提案。
私
自身の受けとめ方は、そのラインで今日来ており、仮にドーハ・ラウンド交渉が再開されたとしたならばそれが出発点になって、マリリン・モンローじゃありませんが「帰らざる河」で、
もとに戻るのはなかなか容易じゃないという気がいたしますが、その点はどう
外務省はとらえていらっしゃいますか。