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高市委員 どうもよくわからない答弁でございましたけれ
ども、少なくとも
鳩山内閣におきまして複数の閣僚の方が、日韓併合によって同じ
日本人として戦時徴用されて内地に来られた朝鮮人の方々の存在、今残っていらっしゃる方々の存在というものを外国人に参政権を付与すべきだというその必要性の根拠にされていることは確かでございます。
そうしますと、いわゆる強制連行というものが実際に行われたのかどうか、そしてまた、その徴用された方々が帰国できなかった、
自分のふるさとに帰れなかった、そして残っていらっしゃるということについて、事実関係というものを国として明らかにし、その上で結論を出していくということも必要であると私は思います。それを外国人参政権付与の根拠とされる閣僚が複数いらっしゃる、また、総理も日韓併合百年ということをおっしゃっている、そういった事実がある限りは、この歴史的な
経緯を解明していくということも大事だと思っております。
きょう
委員の皆様に、また答弁席の皆様にもお配りをしているかと思いますが、先日
外務省からちょうだいしたんですけれ
ども、昭和三十五年二月
外務省発表集第十号というものがお手元にあるかと思います。少し長いんですけれ
ども、読み上げさせていただきます。
第二次大戦中内地に渡来した朝鮮人、したがつてまた、現在
日本に居住している朝鮮人の大部分は、
日本政府が強制的に労働させるためにつれてきたものであるというような誤解や中傷が世間の一部に行われているが、右は事実に反する。実情は次のとおりである。
ということで、次の事項を挙げています。
一九三九年末現在
日本内地に居住していた朝鮮人の総数は約一〇〇万人であつたが、一九四五年終戦直前にはその数は約二〇〇万人に達していた。そして、この間に増加した約一〇〇万人のうち、約七〇万人は自から内地に職を求めてきた個別渡航と出生による自然増加によるのであり、残りの三〇万人の大部分は工鉱業、土木事業等による募集に応じて自由契約にもとづき内地に渡来したものであり、国民徴用令により導入されたいわゆる徴用労務者の数はごく少部分である。しかしてかれらに対しては、当時、所定の賃金等が支払われている。
元来国民徴用令は朝鮮人のみに限らず、
日本国民全般を対象としたものであり、
日本内地ではすでに一九三九年七月に施行されたが、朝鮮への適用は、できる限り差し控え、ようやく一九四四年九月に至つて、はじめて、朝鮮から内地へ送り出される労務者について実施された。かくていわゆる朝鮮人徴用労務者が導入されたのは一九四四年九月から一九四五年三月までの短期間であつた。
一九四五年三月以降は、往復する便が途絶していたということで、導入が事実上困難であったということも書かれております。続いて、
終戦後、在日朝鮮人の約七五%が朝鮮に引揚げたが、その帰還
状況を段階的にみると次のとおりである。
ということで、次の事項を挙げております。
まず一九四五年八月から一九四六年三月までの間に、帰国を希望する朝鮮人は、
日本政府の配船によつて、約九〇万人、個別的引揚げで約五〇万人合計約一四〇万人が朝鮮へ引揚げた。右引揚げにあたつては、復員軍人、軍属および動員労務者等は特に優先的便宜が与えられた。
ついで
日本政府は連合国最高司令官の指令に基づき一九四六年三月には残留朝鮮人全員約六五万人について帰還希望者の有無を
調査し、その結果、帰還希望者は約五〇万人ということであつたが、実際に朝鮮へ引揚げたものはその約一六%、約八万人にすぎず、残余のものは自から
日本に残る途をえらんだ。
その後、ちょっと北朝鮮関係の方のことを書いてあるところを飛ばします。
こうして朝鮮へ引揚げずに、自からの意思で
日本に残つたものの大部分は早くから
日本に来住して生活基盤を築いていた者であつた。戦時中に渡来した労務者や復員軍人、軍属などは
日本内地になじみが少ないだけに、終戦後
日本に残つたものは極めて少数である。
すなわち現在登録されている在日朝鮮人の総数は約六一万であるが、最近、関係省の当局において、外国人登録票について、いちいち渡来の事情を
調査した結果、右のうち戦時中に徴用労務者としてきたものは二四五人にすぎないことが明らかとなつた。そして、前述のとおり、終戦後、
日本政府としては帰国を希望する朝鮮人には常時帰国の途を開き、現に帰国した者が多数ある次第であつて、現在
日本に居住している者は、前記二四五人を含みみな
自分の自由意志によつて
日本に留つた者また
日本生れのものである。したがつて現在
日本政府が本人の意志に反して
日本に留めているような朝鮮人は犯罪者を除き一名もない。
というものでございました。
これは
外務省の報道用
資料でございます。
外務省発表集について、その
位置づけを
確認いたしましたら、そういうことでございます。
もし、この記載が正しければ、いわゆる強制連行と呼ばれる事実がなく、同じ
日本国民としての戦時徴用と呼ぶべきであるということ、それから、昭和三十五年時点で戦時中に徴用労務者として
日本内地に来られた方が二百四十五人にすぎず、原口
大臣がおっしゃった強制連行論というのは、四十六万九千四百十五人も現在おられる永住韓国人への参政権付与の根拠とはなり得ないこと、そしてまた、
日本政府として、特にこの戦時徴用者を優先して、韓国に帰還したい方々の帰還支援を行っていたということが示されたと言えると思います。
そこで
外務大臣に伺います。
外務大臣は、その歴史的
経緯にかかわらず、すべての永住外国人への参政権付与を目指される立場だとこれまでの御発言から私は推測をいたしておりますけれ
ども、複数の閣僚がこの強制連行論を参政権付与の必要性の根拠にされているので、この昭和三十五年二月の
外務省発表集第十号の記載というのは現在も有効なものなのか、それとも無効なものなのか伺います。